龍の背に乗って   作:irodori

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やりたい展開が多すぎて無理に詰め込もうとするとガバるのはどうにかしたい。

感想、評価よろしくお願いします。



ニューワルド・カミング

 カーテンの隙間から光が差す。

 

 世の中全体で外出を自粛する動きが広がっているのだろう。平日、辰の時だというのにほとんどの学生は未だ惰眠をむさぼっている。かくいう少年──天戸祐希も例外に漏れず、その表情は心地よさげである、が、

 

 むにゅり。

 

 ひんやりとした肌触りに違和感を感じる。

 

 ちくり。

 

 なにか突起のようなものが当たっているようにも思える。

 

 バシャビシャッ!

 

 さすがに無視できなかったのだろう、彼は思わず布団から飛び起きる。そして、その原因を探るべくあたりを見回が思う様な原因は見つからない

 

 どうやら下手人は布団の中に潜り込んでいたようだ。足元に目を落とした彼が目にしたのはバスケットボール大の不自然な膨らみ、そこからひょっこりと相棒(ミズゴロウ)が顔を出した。

 

 そういえば──彼は思い出す。昨日の出来事を、そして彼女──ミズキとの約束を。

 

 何か思い当たることでもあったのか、彼は急いで時刻を確認する。時刻は8:01、アラームの時刻は6:30、対して約束の時間は9:00。完全な寝坊である。

 

 少年は愛用のジャージに着替えると、朝食もそぞろに自転車を飛ばした。

 

 結果だけ言えば少年は約束に間に合った。幸か不幸か、その代償に妹からは毎日のように怪奇の視線を向けられることになったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて、時間だね。それよりいいのかい?そんな状態で」

 

 目の前の弟子に疑問を投げかける。寝坊でもしたのか頭部には寝癖ができており、顔にははっきりと疲労の色が見て取れる。オボンの果実でもあとでくれてやろうか。そんなことを考えているとどうやら少し落ち着いたのか、少年から答えが返ってくる。

 

 問題ない、と息も絶え絶えに少年は返事をするが、その声色に気力はない。授業がてら何か食べるものでも出してやろう。そんなことを考えながら、私は教材(朝飯)を取りにねぐらへと戻った。

 

 

 

 

 

 「気分はどうだい?ねぼすけさん?」

 

 最初は遠慮がちだったユウキは、恐る恐るオボンにかじりつくやあっというまに一つ食べつくし、そのほかにも用意していた木の実を手当たり次第に手に取って食べだした。いまはひとしきり満足したのか、その様子は先ほどに比べて元気そうだ。

 

 「納得はいかないがまさに生き返るような心地?それは重畳、今日の授業を始めるとしよう。」

 

 

 「ポケットモンスター、縮めてポケモン。彼らは私たちの、君たちの世界にもであるが、いたるところに生息している。 陸に、空に、海に、それどころか宇宙から降ってきた、なんて種もいる。」

 

 「そのなかでもある程度定められた法則によって18のタイプに分けられることができる。たとえばこいつはリザードンと言ってほのお・ひこうというタイプを持っている」

 そういってボールから相棒を出す。ボールからでるや否や、リザードンは口から火柱を天高く噴き上げる。

 

 「そしてこいつはドラパルトといってドラゴン・ゴーストタイプのポケモンだ。」

 そういってドラパルトをボールから出すと、物珍しかったのだろうか、彼女は私たちの周りをくるくると回った後にユウキの隣で立ち止まった。

 

 「ちなみに君の相棒のタイプは()()()()()()()みずタイプだな。そしてデンチュラ──君たちを襲った黄色い蜘蛛だよ、あいつはでんき・むしタイプのポケモンだね。」

 

 「え?全部のタイプの名前を教えてほしい?焦ることはない、おいおい教えていくさ。もとより君には全部のポケモンの名前、姿とそのタイプ、その分類、それにその相性も学んでもらうつもりだったからね。さてここまではいいかい?」

 

 「さて、次は進化についてお教えしよう。ああ、生物学上での進化という意味ではないよ、どちらかといえば成長、変態とでも言ったほうがいいかな?」

 

 「ポケモンのなかにはある一定の成熟ラインを超えると、あるいは環境の変化、外部からの刺激などといった様々な要因でその姿を変えるものもいる。」

 

 「さっき紹介したこの子たちはどれもこれから進化を迎える、あるいは進化の最終段階を迎えたポケモン達だよ。」

 そういうと彼は少しの間手元のボールに目を向ける。

 

 「そこで、だ。ユウキ、君にはこれを預けようと思う。」

 そういって私は彼に空っぽのスマートフォンを手渡す。

 

 「それにはポケモン図鑑、図鑑ナビ、その他役に立つ情報に私の連絡先などが入っている。何かあったら私に連絡するといい。」

 

 「…まぁ、中にロトムは入っていないが普通に使う分には何とかなるだろう。」

 

 「さて、つぎは実践だ。実際にポケモンを捕まえてみようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 草むらをかき分けてミズキが進む。単純にこういったことに慣れているからか、涼しい表情の彼女とは対照的に、おそらく自分の顔疲労の色が浮かんでいるのだろうか、そんなことを考えていたときだった。彼女は不意に立ち止まり、声を潜めるように手で合図する。

 

 それに従ってそのほうに目を向けるとムクドリのようなポケモンがいた。

 

 先ほどの少女の説明の通りに、自分は腰のボールに手をかけ、相手に向かって放り投げた。

 

 「ー.ーー!」

 

 光とともにその中に収められた姿を現す。先ほどまでとは打って変わってその表情に油断は見られず、ただ一点、倒すべき敵のみを見据えている。

 どうやら向こうもこちらに気が付いたらしい。二匹の間に刹那、緊張が走る。

 

 さきに動いたのはムックルだ。その場で飛び上がり、翼を広げて滑空の姿勢をとると、目にもとまらぬ速さでこちらに突進してくる。ミズゴロウにそれをかわすよう指示するもすでに遅く、その一撃は直撃し、彼を自分のほうへと弾き飛ばす。

 

 まだやれるか?そんな不安のこもった自分の視線を視線に気が付いたのか、彼が返したのは闘志を宿す力強い視線であった。

 

 「みずでっぽう!」

 さっきの一連の攻防で向こうのほうが機動力があることが分かった。ならば向こうから間合いを詰めてもらおう。自分めがけて放たれた水流をムックルはかわすと、再びさっきのようにこちらへと突進してきた。

 

 「いまだ!()()()みずでっぽう!」

 しかしその速さが仇となった。かわそうとするも加速により急な軌道変更がままならず、今度こそ水流はムックルにヒットした。

 

 「つづけていわおとしだ!」

 水流のダメージがのこるムックルに上方より大岩が落ちてくる。しかし驚くべきことに、どこにそんな余力があったのだろうか、ムックルはその翼を大岩にたたきつけることにより自分への致命打を軽減してみせた。そしてこちらへ向き直り、再度突撃の構えを見せる。

 

 ミズゴロウも限界だろう、次の攻防で勝敗が決まることを予見したのか尻尾にあたる部分を逆立てる。先手を取ったのは向こうだこのままこちらめがけて一直線に飛び込んでくる、と見せかけ一度空高く上昇する。狙いは逆光を利用した視覚からの攻撃だろう。次の瞬間決着の時が訪れる。

 

 「左だ!左から行け!」

 目論見どおり逆光からの襲撃を決めて見せたムックルだが、その一撃に手ごたえはない。

 

 次の瞬間、彼は右からの衝撃に襲われた。ミズゴロウのたいあたりだ

 

 先ほどの攻防で、ムックル自身は気づかなかったことではあるが、岩を払いのけた影響により彼の左の翼は少なからず傷ついていた。

 

 それにより彼は飛行中、左翼を無意識のうちにかばっていた結果、思う様な加速ができず、相手に回り込むための時間を与えてしまったのだ。そして左側に意識が集中している状態を狙って仕掛けられた攻撃はものの見事にヒットし、勝負の決め手となった。

 

 ムックルはこちらに近づいてきた一匹と一人のニンゲンを見上げる。尚も闘志を失わぬその目は、敗者として勝者を讃えているのだろうか、どこか誇らしげであった。

 

 何かに包まれるような心地よさを感じながら彼の意識は深い闇へと落ちていった。

 

 

 ≪ムックルのデータがあたらしく図鑑に登録されます≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうだい?初めてのバトル、そして自分でポケモン捕まえた気分は」

 自分を今まで見守っていた少女が懐かしむような声色で語り掛けてくる。

 

 今自分のなかにはどんな感情が渦巻いているのだろう。心臓はばくばくと暴れだし脳の隅々にまで血流が行き渡るのを実感しながら、彼女へ返す言葉を探す。自分の生への実感、相手との駆け引きの恐怖、勝利への興奮、達成感など、多くの感情が流れ星のように光っては消え、引いてはまたぶり返す。そんな様子に彼女を目にしても彼女は未だ笑みを崩さない。

 

 「無理に言葉を返す必要はない。私も通った道だし誰もが一度は通る道だ。」

 

 「きみがこの先、どんな道を歩むのかは私にはわからない。予想だにしない困難も、もちろん楽しいことだってあるかもしれない。」

 

 「だからこれだけは忘れないでほしい。君の隣にはいつだってポケモンがいて、彼らとならどんなことだって乗り越えられるってことを。」

 

 だから、この子達を信じ続けてやってほしい。

 

 彼女個人の経験に基づくものか、後悔の念を宿しているかのような表情が見えたのもつかの間、すぐさま彼女は満面の笑みを作った。

 

 「ポケットモンスターの世界にようこそ!どうか、キミの行く末に祝福があらんことを!」




祐希くんの見た目はリメイク版ORASの主人公に脳内で変換しといてください。

バトル描写になんか違和感とかあったらアドバイスください。
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