転生したらフォルテだった件   作:雷影

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明けましておめでとう御座います。
今年も“転生したらフォルテだった件”を宜しくお願いします。
タイトル通りの話を始める前に、フォルテの戦力増強などの状況説明もあります。


96話 コリウスの夢(コリウス国へ)

ヤムザ達を仲間にしてから更に数日が経過。

皆それぞれ与えられた仕事を熟していた。

 

ピローネはフェザー達を連れて空中から街の警備を、アルヴァロは朱菜達と共に様々な雑務を熟しながら魔法の研究をしている。

ジョイスは猗窩座の道場で格闘術を磨き、サイラスは

ヤムザと共にカーネル、白老、無銘、黒死牟の修行を受けていた。

 

フォルテもこの数日で様々な事を行った。

須佐之神(スサノオモン)の能力で、風のビーストスピリットを創造し

ピローネに与えた。

それにより、ピローネはユニークスキル魂之進化(スピリットエボリューション)を獲得し、シューツモンに自在に進化できるようになった。

ピローネ自体高い戦闘能力がなかったので、もしもの時はこれで戦えるようになった。

その他にも、電脳創造(サイバークリエイト)電子之神(イグドラシル)そして、死之賢者(バグラモン)を組み合わせて新たな電子獣(デジモン)の配下の創造を開始した。

死之賢者(バグラモン)には、ブレイブスナッチャーに宿っていた歴代の選ばし子供達のリーダーと、そのパートナーデジモンの情報(データ)が宿っていた。そのうちの一体の電子獣(デジモン)情報(データ)は、

ブラックとシュバルツにインストールされている。

その情報(データ)とフォルテの魔素を合わせた結果、その電子獣(デジモン)達の暗黒進化版と言える者達が創造された。

 

創造された電子獣(デジモン)は、インペリアルドラモン(黒)、

カオスデュークモン、ダスクモン、シャイングレイモン

ルインモード、ブラックシャウトモンX7の五体。

 

皆フォルテの魔素の影響で闇の力を宿した進化態となったが、本来の様な暴走も無く、自我を保ちつつ力も制御出来ている。

 

ブラックシャウトモンX7とは、本来はアーケードゲーム超デジカ大戦のイベントのみに登場する存在だったが、

バグラモンの暗黒のパワーによって暗黒化したというその設定と似た状況で、フォルテの魔素によって創造され誕生した。

 

ダスクモンは、闇のスピリットがケルビモン(悪)の呪いによって変化した姿だが、これも一種の暗黒進化と呼べるだろう。

その変化した闇のスピリットの情報(データ)を元に、フォルテは自分の魔素を注いで暗黒のスピリットとして新たに創り上げた。

その暗黒のスピリットに、フォルテは自分の強化分身体を与えてダスクモンを誕生させた。

フォルテの強化分身体を器として誕生したダスクモンは、フォルテの技をも使用できる本来のダスクモン以上に強力な個体となった。

 

フォルテは、創造したこの五体の電子獣(デジモン)達にも名付けを行った。

 

カオスデュークモンにはカオスデュークと、インペリアル

ドラモン(黒)にはオニキス、ダスクモンにはダスク、シャイングレイモンルインモードにはルイン、ブラックシャウトモンX7にはブラックシャウトと名付けた。

 

皆、フォルテに従い素直に配下となった。

その後、フォルテのリンクPET(ペット)_EX(エクシード)の中へと入り、必要な時にはブラックとシュバルツと共に、電脳魔獣(ウィルス)化した電子獣(デジモン)達の相手をしてくれている。

 

フォルテシティでは、オメガダインでナンバーマンに任せていたLBXと殺戮人形(キラードロイド)の開発にプロトも参加する様になった。

 

プロトには、今の姿の元になったミゼルの知識も宿っている。故に、最近ではナンバーマンと共に開発に取り組んでいるのだ。

 

ベスター達に任せている賞牌人形(メダロット)の開発とシュゴッドZERO達の身体(ボディ)製作も更に進んでいる。

デジタルワールドから純度の高いクロンデジゾイドが手に入る様になり、金属系の問題もある程度解決したからだ。

特に、プロトがブラックデジゾイドを使って原作ミゼルの様に自分の手足として大量のベクターを量産していた。

 

様々な開発を行なっていく中、フォルテは居城の一つである海道邸の地下に新たな研究所を建設した。

 

そこでは、骨の様な外装に覆われた無数のUSBメモリーの様な物が作られていた。他にも、シャープなフォルムのUSBメモリーも作られている。

 

そんな研究所で、フォルテと話し合う者がいた。

 

「開発は順調の様だな。」

 

「勿論でありますフォルテ様。ガイアメモリ内の毒素の完全除去には成功しました。次は精神汚染の無効化に取り組んでおります。」

 

フォルテにそう話しかけているのは、両肩に光線(レーザー)発生器(ジェネレーター)を備えた漆黒の身体に赤色のラインが全身に浮かび上がっている電脳人(ネットナビ)…レーザーマンだ。

だが、リーガルのレーザーマンと違いゲーム版に登場した最終強化形態であるレーザーマンSPとなっている。

 

このレーザーマンSPは、フォルテが魔王達の宴(ワルプルギス)でチップ化したリーガルのレーザーマンを造り替えながら強化し

名付けもしてフォルテの配下となったレーザーマンだ。

名付けた名は、リーガルのレーザーマンと区別がつく様

ネオレーザーマンと名付けた。

種族は当然電脳生命体(サイバース)となっている。

元々リーガルが創り出したレーザーマン故に、リーガルの人格と知識を持っていたので、フォルテが有効活用したのだ。

 

そして、ネオレーザーマンに開発を任せているこのメモリこそが、“ガイアメモリ”だ。

ガイアメモリとは、特撮である仮面ライダーWの作品に登場するアイテムだ。

前世の地球上のあらゆる現象・事象を再現したプログラムを封じ込めた物だ。

 

特別な生体コネクターを身体に刻み込み、そこからメモリを差し込む事で封じ込められた地球の記憶を宿した怪人…ドーパントになれる。

更に、次世代型のメモリは特別なドライバーであるロストドライバー、ダブルドライバー、アクセルドライバーに

差し込む事で、仮面ライダーへの変身を可能にする。

そんな次世代型のメモリから更に進化させ、生体コネクター無しでも使用可能なT2シリーズなども開発された。

 

これらもデューオから得た情報(データ)で、本来なら不可能に近い毒素の完全除去などのデメリットの解消も、デューオは可能にしたのだ。

更に、T2シリーズの機能を全てのガイアメモリに備える事も可能になった。

 

こんなやばい物の開発を任せられるのは、リーガルの人格と知識を持ったネオレーザーマンだけだとフォルテは考え任せたのだ。

 

「しかし、まさかフォルテ様がダークチップに近い様な物の開発を進めるとは少し驚きましたね。」

 

「どんな力も使い方次第だ。このガイアメモリも、正しく使えば大切な者達を守る力となる事は仮面ライダー達が証明している。この調子で開発を進めてくれ。」

 

「承知しました。精神汚染の無効化が完了しだい、

ヴェルキオン様と共に次はドライバーの開発に取り掛かります。」

 

「頼んだぞ。」

 

ネオレーザーマンにメモリ関係の仕事を任せたフォルテは、この地下研究所にある自分専用の研究施設に向かった。

 

研究施設の扉を潜り中へと入ったフォルテの前にあるのは、とてつもなく巨大な培養装置だった。

その大きさは高さが310mはあり、全長420mの超巨大な培養槽だ。

 

この培養槽の中には、ヴェルドラ、アゲンスト、

ヴェルキオン、グレイガ、ファルザー、ゴスペル達の高密度の魔素によって水を変化させた魔水が隅々まで満たされている。

この高密度の魔水をもし普通の魔物が一滴でも浴びれば………消滅するだろう。

 

そんな魔水が満ちた培養槽の中に、…巨大な何かがいる。

フォルテは飛翔し培養槽の上に降り立ち、魔水の中いる存在を見る。

 

「…いい感じに魔水が馴染んできている様だな。なぁ……デスザウラー。」

 

そう。培養槽の魔水に浸かっていたのは、破滅の魔獣であるオリジナルデスザウラーだった。

 

フォルテはデスザウラーとの約束通り、真なる(ボディ)を修復した。

そして、更なる強化を施す為にこの培養装置で魔水に浸しているのだ。

 

デスザウラーに向かってフォルテが声を掛けると、魔水の中にいるデスザウラーの目が赤く光り、念話でフォルテに話し掛ける。

 

『フォルテか、この魔水とやらは素晴らしい。浸かっているだけで力が満ちてくるのが分かる。』

 

「ヴェルドラ達の魔素をたっぷりと含んだ溶液だからな。クロンデジゾイドも与えてみたが、そちらも馴染んだ様だな。」

 

『ああ。クロンデジゾイドと呼ばれる金属のお陰で、我の装甲は更に強固なものへと進化した。』

 

デスザウラーの(ボディ)を完全に復元し強化する為に、

フォルテはブルー、レッド、ゴールド、ブラック、

ブラウン、オブシダン全てのクロンデジゾイドを与えた。

 

それにより、オリジナル…真デスザウラーの装甲は更に超硬度のものへと進化したのだ。

 

「このまま魔水に浸かっていれば、装甲を更に進化しより強固のものへと変わるはずだ。」

 

『ああ。その時を楽しみにしている。』

 

「じゃあ、俺は他の培養槽を見に行く。何かあれば、いつでも知らせてくれ。」

 

『…分かった。』

 

そうして、フォルテは他の培養槽を見に行く。

 

次の培養槽は、高さが110mで全長220mあり真デスザウラーより小さいがそれでも巨大な培養槽だ。その培養槽の中に、なんともう一体のデスザウラーが浸かっていた。

このデスザウラーは、真デスザウラーのゾイドコアから培養されたクローン体で、アニメ一期に登場した個体を再現したもの。言うなれば、プロイツェンデスザウラーだ。

 

真デスザウラーのゾイドコアを複製し、そのゾイドコアから培養して創り出した個体故に、フォルテは入念に解析し培養状況を確認した。

 

 

「この個体も問題はない様だな。次はあの培養槽だ。」

 

フォルテが次に目を向けた培養槽は、高さ60mで全長100mはあり、魔水の中に巨大な蠍の様な姿が見える。

 

「…デススティンガーも順調に培養が進んでいる様だな。」

 

この培養槽で培養されていたのはデススティンガーだった。

 

このデススティンガーがは、真デスザウラーとのゾイドコアの融合の際にコアが抜けた(ボディ)であり、終焉の使者という異名で呼ばれていた個体だ。

真デスザウラーだけでなく、このデススティンガー………いや真デススティンガーもデューオが回収してフォルテに託していたのだ。

 

失われたゾイドコアはもちろん、真デスザウラーのゾイドコアから複製した。

元々真デスザウラーのコアは、真デススティンガーのコアと融合したもの故に、そこから複製することは簡単だった。

更に、真デスザウラーのコアはプロイツェンによって他のゾイドコアを大量に融合されているので、様々なゾイド達の情報(データ)が詰まっているのだ。

 

そんな真デスザウラーから複製された真デススティンガーのゾイドコアと(ボディ)は、この培養槽の中で時間をかけて

馴染ませているのだ。

真デスザウラーと同じ高密度の魔水に浸かり、全種類の

クロンデジゾイドを(ボディ)に融合させているので、更に強力な真デススティンガーとなるだろう。

 

真デスザウラーとプロイツェンデスザウラーそして、

真デススティンガーの培養状況を確認したフォルテは、

最後に人間サイズの培養槽を確認する。

その培養槽の中には、赤い恐竜型のゾイド……いやオーガノイドがいた。

 

「アンビエントの復元も順調の様だな。」

 

アンビエントとは、オーガノイドの一体であり主ヒルツに従っていた。

真デススティンガーのゾイドコアと合体していたが、ゾイドコアの膨張に巻き込まれ、そのまま取り込まれて真デスザウラーのゾイドコアと融合してしまっていたが、運良くアンビエントの情報(データ)はゾイドコアの中に残っていた。

ヒルツと違い、オーガノイドもゾイド故に保存されていたのだろう。

 

それを知ったフォルテは、アンビエントの情報(データ)を取り出し培養装置による復元を始めたのだ。

 

「…こいつもヒルツの被害者みたいなものだからな。」

 

そう呟きながら、培養槽の中のアンビエントを見つめるフォルテだった。

 

 

真デスザウラー達の培養状況を確認できたフォルテは、

今度は天空城に移動していた。…新たな電脳生命体(サイバース)を創造する為に。

 

「じゃあ始めるとするか。…電脳創造(サイバークリエイト)!」

 

フォルテの掌から情報(データ)が放出され人の形を形成していく。

姿を現したのは、長髪の様な頭部パーツに着物の袖口の様な腕をしたまるで、神の使者かと思う様な白い電脳人(ネットナビ)だった。

 

「さあ、目覚めの時だ……スラー。」

 

フォルテが創り出したのは、デューオの配下として登場したアニメオリジナルの電脳人(ネットナビ)スラー。

 

フォルテの手により創り出されたスラーは、ゆっくりと目を開け目の前のフォルテを見据える。

 

「……私を創り出して下さり感謝致します。偉大なる我が主人フォルテ。」

 

そう言って巨下の礼を執るスラー。

 

デューオからスラーに関する情報(データ)は貰っていた。

人格と記憶も再現しているが、アニメフォルテが倒したスラーとこのスラーは別個体。故に、創造主であるフォルテには絶対の忠誠を誓っているのだ。

スラーを創り出したのは、やはりDr.リーガルに対する戦力増強が目的の一つ。

スラーの実力はアニメで十分知っている。アニメフォルテを一度は倒し、ロックマン、ブルース、サーチマンの三人がかりでも倒せなかった強敵だった。

後、デューオの配下だったスラーはあらゆる面でも優秀なので、様々な仕事も熟せる。

 

「スラー。これから宜しく頼むぞ。」

 

「はっ。」

 

その後、トリル達にスラーを紹介し、皆がどの様な仕事をしているのかの説明と魔国連邦(テンペスト)の案内をカーネルに任せたフォルテは、海道邸の自室に戻り椅子に座った。

 

「これで、粗方やる事は終わったな。」

 

「お疲れ様フォルテ様。」

 

「こちらコーヒーとスコーンです。どうぞお召し上がりください。」

 

フォルテの自室に待機していたウルティマが労いの言葉を掛け、クレイマン・オルタがコーヒーとスコーンを差し出した。

 

「ありがとうオルタ。……うむ美味い。」

 

フォルテは美味しそうにスコーンを食べる。

 

「それにしても、皆にはちゃんと休む様に言っていたけど、フォルテ様の方が休まないといけないと僕は思ったよ。」

 

「そうですね。この数日、分身を利用しながら不眠不休であの研究施設を作り上げていましたからね。」

 

ウルティマとオルタの言う通り、この数日の間フォルテは大量の分身達と共に不眠不休であの研究施設を作り上げ、他にも様々な作業を熟し続けていた。

まるでBORUTOでの七代目火影の様な光景…前世の世界のあらゆるブラック企業も真っ青になるくらいの作業量だった。

 

 

「分かっている。だが、あの研究施設に関しては俺がやらないといけなかったからな。」

 

何せデスザウラーを復活させ更に強化を施す研究所なのだから。

このことを知っているのは、リムルとウルティマ達を含めたごく一部の者達だけだ。

 

スコーンを食べコーヒーを飲んで一息入れたフォルテは、ウルティマから今後の予定や現状についての説明を聞いていた。

 

「……という状況だから、此処を改善すれば問題は解決すると思うよ。それから……。」

 

説明するウルティマをじっと見つめるフォルテ。

 

「………どうしたのフォルテ様?」

 

そんなフォルテの視線に気付いたウルティマ。

 

「いや、……ウルティマが俺の秘書として働いてくれている姿を改めて見ていると、ウルティマを初めて見たあの頃の俺なら驚いただろうなと思ってな。」

 

「ああ、コリウス王国での事だね。」

 

「おや?フォルテ様は以前にもウルティマとお会いした事があるですか?」

 

フォルテの言葉を聞いたウルティマはあの時の事を思い出し、その事を全く知らないオルタがフォルテに問いかける。

 

「オルタが知らないのも無理はない。ファルムスの襲撃が起こる少し前の出来事だったからな。」

 

「あの時は、まさかフォルテ様に見られていたなんて思いもしなかったよ。」

 

「そうでしたか。しかし、ウルティマも気付かなかったとは一体どの様な方法で目撃したのですか?」

 

「こいつを使ってだ。」

 

そう言って、フォルテは掌に創り出したのは…電脳魔獣(ウィルス)の超小型キラーズアイだった。

 

「このキラーズアイを放っていたんだ。キラーズアイが見た光景は全て俺に伝わる様になっている。」

 

「へぇ〜。こんな小さな奴に見られていたんだ。流石の僕でも気付かない訳だね。」

 

ウルティマが納得するのも当然。フォルテが創り出した

キラーズアイの大きさは、指先くらいの本当に小さなものだったのだから。

 

「更に対象にくっ付けば、発信機にもなるからな。」

 

「成る程。それ程便利な電脳魔獣(ウィルス)なのですね。」

 

「だが、あの頃はまだ魔王に進化していなかったから

コントロールできたのは1体だけだがな。」

 

真なる魔王に覚醒した今なら、百体以上創り出し操る事が可能だ。

 

「それで、コリウス王国でどの様な事があったのでしょうか。」

 

「そうだな。…ウルティマ、話しても問題ないな?」

 

「フォルテ様が話したいなら僕は構わないよ。」

 

「そうか。なら話そう。あれはイングラシア王国で、

リムルが学園の夏休み中に優樹から頼まれた仕事が始まりだったな…。」

 

そうしてフォルテは語り出す。…コリウス王国で起きた事件と陰謀。

 

 

……そんなコリウス王国で偶然にも、裏で動いてた

ルミナス・バレンタインとウルティマ…ヴィオレの激突を見る事になったことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り、とある場所。

そこでは、ルミナスが氷で出来ているであろう棺の前に立っていた。……なぜか全裸で。

氷の棺の中にも、黒い長髪の女性が全裸で納められいた。

眠るっているかの、棺の中の美しい女性を見つめるルミナス。 

 

「……やはり気になる。妾自身の目で、かの者達を見定めておくべきであろうな。」

 

そう呟きながら氷の棺に触れるルミナス。

すると、棺に触れた瞬間、ルミナスの手が突然灼かれた。

どうやら、この棺には聖なる力が宿っている様だ。

吸血鬼(ヴァンパイヤ)の魔王であるルミナスには毒になるのだ。

 

だが、ルミナスは気にする事なく棺に寄り添い身体がより灼かれるのだった。

 

「お前の願い、妾が必ず叶えてやろうぞ。」

 

 

その頃、魔国連邦(テンペスト)ではフォルテが今日の分の書類を片付け仕事を終わらせていた。

 

「今日の仕事も終わったな。」

 

「お疲れ様です。フォルテ様。」

 

そんなフォルテに笑顔を向けながら紅茶を差し出す朱菜。

 

「ありがとう朱菜。……もう少ししたら、リムルが帰って来るな」

 

「そうですね。」

 

フォルテが紅茶を口にして一服していると、執務室の扉が開いてイングラシアにいるはずのリムルが入ってきた。

 

「リムル?」

 

「まぁリムル様!」

 

リムルの姿を見た朱菜は、嬉しそうに笑顔を浮かべる。

 

「どうしたリムル。まだ戻って来るには時間が掛かると言っていた筈だが。」

 

「フォルテ…頼む。一緒にコリウス王国に行ってくれ!」

 

「コリウス王国?」

 

話を聞いてみると、イングラシアの自由学園での夏休み中に魔国連邦(テンペスト)に帰る為の引き継ぎなどをしていたら、とある飲み屋で優樹に呼び出されたそうだ。

そして、勝手に話を進め出しコリウス王国の話を聞かされたそうだ。

 

コリウス王国とは、イグラシアと神聖法皇国ルベリオスに挟まれた砂漠の国だそうで、その国では今王位継承争いが起こっているそうだ。

争っているのは兄のサウザー・コリウス王太子と、側室の子である弟アスラン・コリウス王子の二人。

本来なら争いにもならない筈だが、アスラン殿下はAランクの冒険者で〝熱砂の英雄王子〟と名の轟く豪傑だそうだ。

そのカリスマ性は本物で、コリウス王国のギルドマスターが懐柔され、ギルドが反乱を起こしアスラン王子の傘下に入り、本部からの独立を宣言したそうだ。

 

本部としても、それを許す訳にはいかない。だが、コリウス王国は評議会加盟国な為、評議会から介入するなと言われる可能性が高く、外交にも熱心でなく貿易も最小限故に止めても効果は殆どない。

 

そこで、リムルに潜入捜査を任せたいとの事で、Aランク昇格試験としてパウロという冒険者と共にコリウス王国に行ってほしいと。

 

当然、他国の問題にリムルが関わりたいと思う訳もなく、考え中と優樹に言って背けていたが、学園にまで頼み込んでくる優樹に頭を悩ませていた。

そんな時、ティス先生に優樹がリムルが旅行に行くと勝手に話を進めてしまい、それを聞いたジェフ先生の計らいでコリウス王国のアマディ侯爵の家に厄介になる事が決まってしまった。

 

ジェフ先生は、リムルの出自を密かに調べていたそうで、リムルとフォルテが魔国連邦(テンペスト)の盟主である事を知っていた。

でも、子供達の野外訓練での出来事でジェフ先生の妹さんの命を救ったことを今でも感謝していたそうで、ジェフ先生なりに恩返しをしたかったそうだ。

 

それで、ジェフ先生が紹介状を書いてくれたそうだが、リムルが偽名でサトルを名乗ったのはまぁ分かるが……何故かフォルテも一緒に行く事になって偽名もタクトと勝手にリムルが決めてしまったと……。

 

リムルの話を聞いたフォルテは、……鋭い眼差しから眼光を放ちながらリムルを睨んだ。

 

「何勝手に俺まで巻き込んでいるんだリムル…。」

 

「いや…悪いとは思っているんだ。でも、気付いたらそう決まっていたんだ……すまん!」

 

必死に頭を下げて謝るリムル。

その姿を見ていたフォルテはため息を吐いた。

 

「……決まってしまったのは仕方ない。皆には俺から説明しておくから、リムルはとっとと準備しに戻れ。」

 

「ありがとうフォルテ!」

 

そう言ってリムルは空間移動でイングラシアへと戻った。

 

「……そういう事ですまないが朱菜。しばらくコリウス王国に行ってくる。」

 

「はい。お気を付けて。」

 

そうして、フォルテもコリウス王国に向かう準備を始めた。

 

 

 

イングラシアの酒場で合流したリムルとフォルテ。

フォルテの話を聞いたシズさんも一緒に来てくれる事になり、今は再会した優樹に笑顔で説教をしていた。

 

「優樹君久しぶりだね。仕事も頑張っている様で良かった。」

 

「しっ…シズ先生もお元気そうで何よりです!子供達から元気にしていると聞いていましたから安心はしていましたよ。」

 

優樹は笑顔で答えるが、顔から冷や汗を流している。

 

「今回の件でリムルさん達の力を借りたい気持ちは分かるよ。でもね、リムルさん達の気持ちを無視して勝手に進めるのは良くないって…分かるよね?」

 

「えっ、ええ勿論!でっでも、リムルさん達に頼るにはこうするしかなかったと言うか……。」

 

目が笑っていないシズさんの笑顔の圧に耐え切れなかったのか震える優樹だった。

 

その後、シズさんの説教を黙って聞いた優樹だった。

 

「これからは、同じような事はしちゃ駄目だよ。」

 

「………はい。」

 

1時間後。シズさんの説教が終わると、優樹は真っ白に染まっていた。

 

「…やはり、シズさんを怒らせるのは駄目だな。」

 

「そうだなリムル。」

 

それから、優樹が回復した丁度良いタイミングでパウロがやってきた。

 

自由組合総帥(グランドマスター)!俺の為にわざわざ出向いて下さりありがとう御座います‼︎」

 

「ハハハ、同然だよパウロ。君は今回の試験で、とても優秀な成績だったからね。」

 

「おお、ありがとう御座います‼︎」

 

「けど、実戦ではどうかなって思って。」

 

「え?実戦……ですか。」

 

パウロと呼ばれる冒険者は、裏表のない人間の様だが……何処か抜けている様な感じがする。

 

すると、パウロが俺達に気付いた。

 

「そちらの方達は?」

 

「ああ、こちらはリムルさんとフォルテさん、そしてシズ先生だよ。」

 

「えっ!あの爆炎の支配者の⁉︎」

 

パウロはシズさんを見ながら驚く。…やはり五十年前とはいえ、ギルドで活躍した英雄を知らない人はいないな。

 

「その通り。リムルさんとフォルテさんはB +ランクの冒険者だけど、今回の任務でシズ先生と共に、君のサポートを頼んでいるのさ。」

 

「そうなんですね。パウロだ。これでも討伐部はA −ランクでね。三度目の試験に挑戦中なのさ。」

 

「えっと、リムルです。」

 

「フォルテだ。」

 

「シズよ。宜しく。」

 

因みに、フォルテは電脳擬装(サイバースーツ)でゴスペル首領の姿となっている。顔はフォルテが青年に成長した様な美形だが、一応ゴスペル首領の能面を模した仮面を付けている。

 

「二人の腕は確かだから、そこは信頼してくれていい。」

 

「グラマスが認める程の人達なら、実力を疑ったりしませんよ。あの爆炎の支配者も一緒にいますから。それで、依頼とやらについて教えて下さいや。」

 

「もちろんさ。」

 

(…こんなところで話せる内容ではないから、何か対策は取っているだろうな。)

 

《この周囲に防音魔法が仕掛けられている。》

 

(防音魔法…中々便利な魔法だな。)

 

《元素魔法空流遮断(エアフローシャット)。発動しているのは、カウンターの向こう側にいる者だ。》

 

(マスターが……なるほど。)

 

フォルテの考えていた通り、しっかりと対策はされていた。

 

そして、優樹はパウロにコリウス王国の件を説明する。

 

分かったぜ!アスランとやらが何を考えているのか探ればいいんだな!」

 

「そうなるけど、相手は王族だぜ?もっと敬意を持って接するようにしなきゃ。」

 

「そ、そうか。了解ですよ、ユウキさん。」

 

「なぁフォルテ、シズさん。あのパウロって奴、大丈夫だと思うか?」

 

「……難しいな。」

 

リムルが小声で心配そうに俺達に話しかける。

…まぁリムルの気持ちも分かる。防音魔法があるとはいえ、こんな重要な話で大きく声を上げるのだからな。

それに、王族相手にタメ口とか普通に聞きそうだ。

 

フォルテも不安そうに考えこみ、シズさんは苦笑いを浮かべいた。

そんな俺達の様子を見た優樹が話しかける。

 

「リムルさん、フォルテさん。パウロはこんな感じなので、助言してあげてほしいんですよ。」

 

「お、おう…。」

 

「…分かった。」

 

「リムルとフォルテって言ったか。まぁ、よろしく頼むわ!」

 

「俺達って、サポートでいいんだよね?」

 

「何を言ってるんですか!作戦担当はリムルさんとフォルテさんですよ。」

 

「いやいやいや。普通なら、パウロが主導するのが筋だろうが!」

 

「…話が違うな。」

 

「おう!リムル、フォルテ。俺は細かい事が苦手なんだわ。アンタ達の指示に従うから、俺がAランクになれるように協力してくれや。」

 

(気安い…確かにパウロは見た通り、実力はあるが頭を使うのは無理そうだ。こんな重大任務の責任者を任せる事は出来ないな。)

 

………そして、フォルテの考えていた通りだった。

 

翌日、嵐牙にキャンピングカーを引っ張って貰い出発して少し経った頃、パウロは緊張の欠片も無く爆睡していた。

 

そんなパウロの姿にリムル達は更に不安になるのだった。

 

そして、今夜泊まる宿に到着した。

 

「ほう、中々いい宿だな。」

 

「支払いは別だからな。」

 

リムルがそう言うと、パウロは声を上げる。

 

「ちょっと待てよ。アンタ達はユウキさんから、俺の面倒を頼まれてんだろう?」

 

「…金は普通、自分の分は自分で払うだろう?」

 

何を当然の様に言ってるんだ…。すると、パウロは胸を張って信じられない事を言う。

 

「自慢じゃねーが、俺は金がねーんだ。」

 

「お前、仮にもA−ランクと言う一流冒険者が、どうして貧乏してるんだよ⁉︎」

 

「ハハハ。いや、イングラシアの様な大都会で興奮しちまってな。持ち金を使い切っちまったのさ。」

 

コイツ…田舎から出て来て大都会に興奮する気持ちは分かるが、お金の管理くらいしっかり出来ないのか?

 

リムルとフォルテが呆れていると、シズさんが笑顔でパウロの肩に手を置いた。

 

「…パウロ君。」

 

「はい!なんで……すか。」

 

シズさんに声を掛けられて、パウロは元気良く振り返ると……目が笑っていないシズさんの笑顔を見た。

その笑顔を見たパウロは、顔色が青ざめ冷や汗を流した。

 

「一流の冒険者の前に、大人として自分のお金の管理くらい出来ないとダメだよ。」

 

「はっ……はい。」

 

「向こうで少しお話(説教)をしようね。」

 

そう言って、シズさんはパウロを引き摺って行った。

それから二時間後、パウロは真っ白に燃え尽きた姿で戻ってきた。

 

 

これからのコリウス王国での潜入捜査が上手くいくのか、リムルとフォルテは心配になるのであった。

 

 

 

 




更なる戦力増強の為に、真デスザウラー達の復元及び強化に取り掛かるフォルテ。
真デスザウラーのゾイドコアから様々なゾイド達のデータを抽出して量産していく予定。
更には、ガイアメモリの量産計画も開始。
メモリの副作用を完全に除去したのちに、適合するメモリを皆に渡したりする予定。
開発を任せたネオレーザーマン…玉座に座りメモリに囲まれながら高笑いすれば、リーガルそのものに見えてしまいそう。
そして、更なる配下としてあのスラーも遂に登場!
フォルテやトリル達の特訓相手になったり様々な仕事を熟せるでしょう。
そして、遂に語られるコリウス王国での出来事。
次回も楽しみにでお願いします。
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