転生したらフォルテだった件   作:雷影

103 / 146
今日から紅蓮の絆編の始まり。
最初はやはり、あの大鬼族(オーガ)の男に起きた悲しい過去と運命の出会いから始まります。


99話 紅蓮の絆 序章

これはまだ、リムルとフォルテがシズさんと出会ったばかりの頃にあったとある大鬼族(オーガ)の悲しき運命の始まり。

 

雨が降り続く森の中を走り続ける大鬼族(オーガ)の集団がいた。

周りを警戒しながら進む大鬼族(オーガ)達。

その中に、左側が白い折れた角となっているリーダーらしき者がいた。

 

その者が皆の前に出た瞬間、ある魔人が槍を投げた。

 

「でぇあ!」

 

「うっ!」

 

その魔人の槍が一人の大鬼族(オーガ)を貫いた。

敵襲により皆が武器を手に取る

 

「うう〜!」

 

迫る魔人の集団。其処からは、魔人達と大鬼族(オーガ)達の戦いが始まった。

リーダーが次々と敵の魔人を斬り倒すが、次から次へと魔人達が襲って来る。

それにより、仲間の大鬼族(オーガ)が一人、また一人と倒れていく。

 

そして、沢の上まで追い込まれながらも、大鬼族(オーガ)

リーダーは魔人達を倒していき、残る一人の首をナイフで斬った。

 

 

「ハァ ハァ ハァ…」

 

連戦に次ぐ連戦に、リーダーも息が上がっていた。

すると、上流から血が流れてきたのを見て、リーダーが顔を上げる。

そこにいたのは、大鬼族(オーガ)の仲間達の亡骸を持つクレイマンの側近の一人である“五本指”中指のヤムザだった。

 

ヤムザは周囲の状況を見て舌打ちした。

 

「チッ!大鬼族(オーガ)の傭兵ごときが逆らいやがって。脱走兵程度に、この損害かよ。」

 

ヤムザはそう言いながら、手にしている大鬼族(オーガ)の亡骸をゴミのように放り投げ、大鬼族(オーガ)のリーダーの元へと向かう。

 

そんなヤムザを見ながらリーダーは口を開く。

 

「たかが大鬼族(オーガ)の傭兵でもー、守るべき里が…大事な仲間がいるんだよ。止まるわけにはいかねえんだ!」

 

そう。彼らはクレイマンに傭兵として雇われていた。

そんな時、自分達の故郷である大鬼族(オーガ)の里に豚頭族(オーク)の軍勢が迫っているという情報を知って、クレイマン軍から脱走したのだ。

 

……里の仲間達を助けに行く為に。

 

だが、ヤムザにとってはそんな事はどうでも良かった。

 

「ん?そこに転がっている奴らの事か?…あ?」

 

大鬼族(オーガ)のリーダーを完全に見下した目で見るヤムザ。

 

「くっ…。」

 

それに対して、リーダーは拳を強く握り締める。

 

「うう…。」

 

そして、何かのスキルを発動したリーダーの身体が赤く発光し構える。

 

「おっと……来るか?」

 

そんなリーダーを、ヤムザは挑発する。

 

「うおおーっ!」

 

リーダーは声を上げながらヤムザに向かって突っ込む。

 

「ハッ!」

 

そのままヤムザに斬り掛かるも、リーダーの斬撃をヤムザは次々と躱していく。

 

「おっと…フハハハ!」

 

ヤムザは斬撃を躱しながらリーダーの腹部に氷結魔剣(アイスブレード)を突き刺さした。

 

「ううっ!…ぶっは!」

 

大鬼族(オーガ)のリーダーは吐血し膝を突く。

 

「何だ、こんなもんか?おらぁ!」

 

そう言ってヤムザはリーダーを足蹴にする。

 

足蹴にされたリーダーは連戦に次ぐ連戦で体力が限界だった。

それに加えて、ヤムザの実力は本物であり、リーダーを上回っていた。

だが、それでも諦めずに立ち上がり、ふらつきながらも

ヤムザに立ち向かう。

 

そんなリーダーに向かって刃を向けるヤムザ。

そして、リーダーが構えると、最後の力を振り絞り俊足、一瞬でヤムザの懐に飛び込んだ。

 

「…っ!」

 

これにはヤムザも一瞬驚き、その僅かな隙を逃さず、リーダーはヤムザの氷結魔剣(アイスブレード)を斬り飛ばした。

 

無防備になるヤムザと、その隙を逃すまいと一気に決めようとするリーダー。

 

宙を舞う氷結魔剣(アイスブレード)……それをもう一人のヤムザが現れ掴み取る。そう…鏡身の腕輪(ドッペルゲンガー)による分身だ。

 

「ハッ…。」

 

それには大鬼族(オーガ)のリーダーも予想していなかった事態故に、思わず顔を上げてしまい意識がそちらに向いてしまった。

 

「ぐっ⁉︎」

 

その隙を、ヤムザが逃さず訳が無く、二人のヤムザから同時に左右から脇腹を突き刺した。

 

間違いなく致命傷となる二撃を喰らったリーダーは、糸が切れた操り人形の様にその場に倒れた。

 

「手間かけさせやがって。撤退するぞ。」

 

ヤムザは倒れたリーダーを仕留めたと判断しその場から立ち去った。

ヤムザと魔人達が立ち去ったが、……リーダーはまだ生きていた。

 

「誰か…里に…。」

 

息も絶え絶えの状態でも、里を…故郷の仲間達を想う

大鬼族(オーガ)のリーダー。

 

すると、森の中からこの様子を伺っていたとある間者達がいた。

 

「どうなさいますか?」

 

間者は連絡用の魔法水晶である人物に連絡をして問いかける。

連絡を受けて相手は、間者達に命令する。

それを受けた間者達は、倒れる大鬼族(オーガ)のリーダー達の元に近寄るのだった。

 

 

 

 

 

陽光が入るとある部屋。

其処には、包帯を巻かれ治療が施された大鬼族(オーガ)のリーダーが眠っていた。

そして、大鬼族(オーガ)のリーダーは人間の様な姿になっており、何故か鬼人へと進化したようだった。

 

看病をしていた者が手拭いを絞る中、リーダーが目を覚ました。

 

「うぅ…。」

 

「まだ動いてはなりません。」

 

目覚めたリーダーの耳に、自分に話し掛ける女性の声が聞こえた。そして、声のする方に顔を向けると、赤いティアラを被った黒髪の美しい女性が自分の側で座っていた。

 

「傷は癒えておりませんよ。」

 

大鬼族(オーガ)のリーダーはなんとかベットから起き上がる。

 

「ここは?それにあんたは?」

 

「ラージャ小亜国の女王ートワと申します。」

 

「ラージャ……トワ殿……。」

 

「沢で倒れていた其方をここへ運び込んだのだ。」

 

「危ないところであったのじゃぞ。覚えておらんか?」

 

そうリーダーに話すのは、細身のお坊さんの様な老人の

モブジと、数世代にわたり女王達に仕えてきた侍医エルフのチクアン。

 

二人の話を聞いて、リーダーは自分に起きた出来事を思い出した。

 

「…そうか。どうやら世話になった様だな。」

 

そう言って頭を下げるリーダー。

 

「礼など不要です……ヒイロ。」

 

ヒイロと呼ばれ、リーダーは何か強い繋がりを感じた。

 

「ヒイロ?」

 

そう。…大鬼族(オーガ)のリーダーは、トワによってヒイロと言う名を授かっていたのだ。

 

間者によって運び込まれたリーダー…ヒイロとまだ息のあった五人の大鬼族(オーガ)達はチクアンによる必死の治療が施された。

 

「うっ…うあっ。ああ…。」

 

だが皆の傷は深く、治療の甲斐も無く一人が息を引き取っていった。

 

「ハァ…ハァ…。」

 

そして、ヒイロの傷が一番酷く、もう手の施し用がないとチクアンは首を振った。

 

雷鳴が響く中、ヒイロの隣に寝かされていた大鬼族(オーガ)の仲間が最後の力を振り絞ってトワに頼む。

 

「助けて…やって…くれ……。」

 

自分ではなく、ヒイロを救って欲しいと願うその言葉を聞いたトワはある決断をした。

 

そして、ヒイロの手を取ると、トワの手が光り出した。

 

「貴方をー。」

 

トワの頭のティアラも光輝く。

 

「“ヒイロ”と名付けます。」

 

そう。名付けを行ったのだ。

 

トワの名付けによって光出すヒイロ。それと同時だった。

生き残っていた大鬼族(オーガ)四人が同時に息を引き取り、その魂がヒイロの元に集まり一つとなってヒイロに宿った。

まるで、ヒイロを生かす為に自分達の命を捧げる様に。

 

四人の魂のお陰でヒイロは一命を取り留めた。

 

「ハァ ハァ ハァ あ…。」

 

そして、トワは名付けによって生命力を多く消費したのだった。

 

 

「私達には、深手を負った貴方達を治すすべがありませんでした。名付けによる進化に賭けるしかなかったのです。」

 

トワの話を真剣に聞き続けるヒイロ。

 

「ですが…、私の生命力では全員に名付けを行うことは難しく…。」

 

「ハッ…あいつら…俺の仲間達は?」

 

トワの話を聞いてまさかと振り返ったヒイロの目に入ったのは、丁寧に畳まれた仲間達の衣服だった。

 

「貴方を助ける事ができるならばと…。無力な私を、どうかお許しください。」

 

そう言って頭を下げるトワ。

 

「トワ殿が謝る話じゃない。寧ろ、あいつらを看取ってもらった事、感謝する。」

 

ヒイロはトワを恨んだり攻めたりせず、寧ろ礼を言った。見ず知らずの人物達の為に治療を施し、名付けと言う危険を犯してまで自分を救ってくれたのだから。

 

「助けてもらったってのは分かっている。けどよ、今の俺は…。」

 

そう、今のヒイロはどうしても里に…故郷に戻らなければならない理由があった。

 

大鬼族(オーガ)の里へ帰るつもりか?」

 

「え?」

 

「何度もうなされておったからのう。」

 

モブジとチクアンはずっとヒイロがうなされていたので知っていたのだ。

当然トワも知っている。

 

「眠っていたのです。…10日もの間。」

 

「ハッ…!」

 

自分が眠っていた期間を知ったヒイロは、居ても立っても居られなずに、近くに置かれいた自分の長巻を手に取り起き上がると、ふらつきながらもモブジとチクアンの間を割ってすぐにでも里へ向かおうとするヒイロ。

 

「待ってヒイロ!」

 

それを見て止めようと声を上げるトワ。

ヒイロの怪我はまだ治りきっていないのだから。

 

荒い息で必死に進むヒイロ。

部屋を出ると、衛兵二人がヒイロに気付いて止めに入る。

 

「おい!」

 

「止まれ!」

 

ヒイロは時間が惜しい故に衛兵二人を睨む。

すると、飛竜(ワイバーン)の鳴き声が聞こえた。

 

ヒイロと衛兵が鳴き声のする方に向くと、丁度飛竜(ワイバーン)による巡回から兵が帰還したのだ。

 

「ハッ!」

 

それを見たヒイロは駆け出し、飛竜(ワイバーン)の元へ向かう。

 

「おっおい!」

 

飛竜(ワイバーン)の元に辿り着くと、ヒイロは降りようとしている兵を押し飛ばした。

 

「借りるぞ。」

 

「うわ!」

 

「悪い!」

 

そして、飛竜(ワイバーン)に跨り手綱を握るとすぐさま操ると、飛竜(ワイバーン)は素直に従い駆け出して飛び立つ。そして里に向かって急いで飛翔する。

 

皆を助ける為に……。

 

 

 

 

 

 

暗雲が空を覆う中、里に辿り着いたヒイロ。

 

飛竜(ワイバーン)から降り立ったヒイロの目に映ったのは……絶望の光景だった。

 

「あ…。」

 

ヒイロの故郷…大鬼族(オーガ)の里は見るも無惨な姿となっていた。

 

辺りには争った痕跡が至る所にあった。

ヒイロはその足で変わり果てたかつての故郷へ歩み出した。

 

雷鳴が轟く中、進み続けるヒイロ。

建物は破壊され、辺りは焼き尽くされたていた。

 

何も喋らず、ただ進み続けるヒイロ。

そうして辿り着いたのは、幼き頃に皆と遊んだ広場だった。

 

木に吊るされたブランコを見てヒイロの脳裏にある光景が浮かんだ。

 

そのブランコで楽しく遊ぶ紫苑、紅丸、朱菜と自分の姿。

 

次に紅丸とのコマ遊びだった。

 

ヒイロは落ちていたコマを拾い上げる。

 

次に浮かんだのは、満開の桜の木下で、皆で楽しく握飯を食べていた光景。

 

そして、呼び起こされる幼き日の頃を。

 

皆で笑い合いながら過ごした日々を。

広場で楽しく駆け回る紫苑。それを追いかける朱菜、

蒼影、紅丸…そして自分の姿。

 

「「ハァ ハァ…」」

 

そして、紅丸との力試しの殴り合い。

 

「おおおーっ!」

 

「はああーっ!」

 

互いの拳が顔に決まり笑いあった日々を…。

 

「「ハハハ!」」

 

 

 

 

雷鳴が轟き、雨が降り始めた。

 

降り続く雨の中を、ヒイロは歩み続けた。

……この雨はまるで、ヒイロの心を表しているかの様だった。

 

「あ…。」

 

何かにつまづくヒイロ。

そして、近くの壁に触れると、それは崩れた。

 

それを見たヒイロは、現実を受け入れるしかなかった。

 

「これがあの…美しかった里だというのか。」

 

その場に膝を突き悲しみに暮れるヒイロ。

そして、雷鳴が再び轟く。

 

「長から預かった大切な仲間達を失いー故郷までも……くっ!」

 

そして、ヒイロの心に激しい怒りと憎しみが湧き上がる。

 

「おのれ…豚頭族(オーク)共め!

 

自分の故郷を…仲間達を奪った豚頭族(オーク)達に対して怒りの叫びを上げた。

 

 

 

 

 

ヒイロが飛び去ってから四日が経過。

トワはヒイロが飛び去った飛竜(ワイバーン)の発着場からずっと空を見上げていた。

そこにモブジとチクアンがトワの様子を見にやって来た。

 

「恐れながら、あれからもう四日経っております。戻るつもりはないものと…。」

 

「見込み違いでしたな。受けた恩も分からぬ輩だったのじゃ。」

 

そう言って去ろうとする二人。

 

「!…いえ、あれを。」

 

丁度その時だった。トワが何かを見つけた。

 

「「ん?」」

 

二人が振り返ると、目に映ったのは…飛竜(ワイバーン)に跨り戻って来たヒイロの姿だった。

 

……その眼に里を滅ぼされた怒りを宿して。

 

 

 

 

 

 

 

そうして、現在。

ジュラの大森林…その森の中でガビル、ゴブタ、ランサー、雷蔵そして…ヤムザが白老達の修行を受けていた。

 

森の中を飛び回るガビルとランサーと走り回るゴブタ、雷蔵、ヤムザ。

 

「いたっすか?」

 

「否!不覚!」

 

「流石は白老殿達だ。」

 

「一切気配を感じないっす。」

 

「まさかここまで完璧に気配を消せるとは…!」

 

飛行しながら必死に白老達の気配を探るガビルとランサー。

 

「ふ〜む。」

 

「やはり何処にいるのか掴めん。」

 

ヤムザ、雷蔵、ゴブタも周囲を警戒しながら必死に探し続ける。

 

「くそ!」

 

「やっぱり気配を感じないっすね。」

 

「どこ行ったすか?あのジジイ!」

 

「呼んだかの?」

 

ゴブタがそう言った瞬間、ゴブタの真横に現れる白老。

 

「「げええ〜!」」

 

余りにも一瞬で姿を現した事に驚愕するガビルとゴブタ。

 

「フン!」

 

「ぐむっ!」

 

だがそんな隙を白老が見逃す筈がなく、鞘に納刀状態の刀でゴブタが鼻を突き飛ばした。

 

「あっ!」

 

「ああ〜!」

 

鼻を突かれ、鼻血を流しながら回転して飛ばされるゴブタをガビルは咄嗟に躱したが、背中ががら空きとなり白老が背後を取る。

 

「しまっ!」

 

「フン!」

 

ガビルは振り返るも白老に納刀状態の刀で殴り飛ばされる。

 

「たああ〜!ううう…。」

 

殴り飛ばされれ近くの木に回転しながら激突したガビルは摩擦で頭に火を起こして落下した。

 

「なっ!」

 

「くっやばいっすね!」

 

一瞬でゴブタとガビルが倒されたの目の当たりにしたランサーとヤムザと雷蔵は、白老から距離を取る。

 

だが、それにより注意が白老に向いてしまい、残る三人を忘れてしまった。

 

「隙あり!」

 

そう言って飛び出して来たのはヤマトマン。

 

「なっ!」

 

「しまっ⁉︎」

 

「ちぃ!」

 

そのままヤマトマンは三人の背後から仕掛ける。

 

千本槍突き(サウザンドスピア)!」

 

ヤマトマンが繰り出す高速連続突き、その余りの速さに、本当に槍が千本襲い掛かってきていると錯覚する殆ど。

 

「ぐうぅぅ!」

 

「ちぃぃ!」

 

ヤムザと雷蔵は、襲い掛かる槍を全て防ぎながら躱し続ける。

 

ランサーは、間一髪で飛び上がり躱すも、それをもう一人が逃さない。

 

「隙ありぃ!」

 

そう言って木の上から飛び出して来たのはケンドーマン。

 

「掛かり稽古!」

 

三人に分身してランサーに襲い掛かるケンドーマン。

 

「なんの!」

 

ランサーは分身したケンドーマンのビーム竹刀による攻撃を全て躱しきって見せた

 

だが、ランサーも、注意がケンドーマンのみに向いてしまった。

 

「甘い!」

 

そう言ってランサーの背後に現れたのは、もう一人の白老である無銘だった。

 

「なっ⁉︎」

 

ランサーが振り返ると同時に無銘の納刀状態の刀による斬撃が襲い掛かる。

 

「フン!」

 

「かはっ!」

 

無銘の一撃をなんとかランサーは水渦槍(ボルテクススピア)で受け止めるも、そのまま地面へと斬り飛ばされ叩きつけられてしまった。

 

そのまま着地した無銘は、素早い身の熟しでヤマトマンの攻撃を捌き続けるヤムザと雷蔵に向かい、二人にほぼ同時に一撃を入れた。

 

「かっ⁉︎」

 

「ぐぅ!」

 

ヤムザと雷蔵はその一撃を喰らってその場で倒れてしまった。

 

「あ〜あああ…。」

 

白老に鼻を突かれたゴブタは、まるで噴水の様に鼻から血を噴出しながら倒れていた。

 

「フン…まだまだ視覚に頼りすぎじゃ。」

 

「もっと視野を広げねばならん。」

 

「ハッ!確かに。」

 

「もう一度ご指導を願う!」

 

「「ん?」」

 

白老と無銘に言葉に納得してすぐさま立ち上がるガビルとランサー。

 

「不屈のガビル様!ランサー様!」

 

「頑丈!」

 

「然り。」

 

ガビルとランサーの修行を陰ながら見守るヤシチ、

スケロウ、カクシンだった。

 

「拙者達の攻撃を躱したのは見事であったが…。」

 

「ワシ達に意識を集中し過ぎていたのがいかんな。」

 

「ヤマトマンとケンドーマンの言う通りじゃ。雷蔵はゴブタより強いが、その分油断する癖がある。ヤムザは今まで氷結魔剣(アイスブレード)鏡身の腕輪(ドッペルゲンガー)に頼り過ぎておる。もっと基本的な剣術を身に付けねばならぬな。」

 

ヤマトマン、ケンドーマン、無銘がそう言うと、二人は起き上がる。

 

「…貴方達の言う通りだな。俺は今まで氷結魔剣(アイスブレード)に頼り過ぎていた。フォルテ様とオルタ様が言っていた事が身に沁みるぜ。」

 

「確かに、自分にはそういうところがあるっすね。」

 

指摘された自分の欠点を受け入れ、ヤムザと雷蔵は気合いを入れ直す。

 

皆がそれぞれ修行に気合いを入れる中、ゴブタは鼻を抑えながらようやく起き上がるのだった。

 

「痛て…あれ?そういや猪八戒さんとゲルドさんは?」

 

「仕事じゃよ。」

 

「え?」

 

「え?」

 

「作業の進捗が気になるようでの。」

 

白老の言う通り、先のファルムス軍との戦い…主に異世界人の省吾達との戦いで破壊された街道の整備に猪八戒と

ゲルド達は力を注いでいた。

 

「うっ!うっ!」

 

「ふぅ…こんなところか?」

 

「ゲルド様。猪八戒様が向こうの作業を終えたと、こちらに来るそうです。」

 

「そうか。分かった。」

 

ワアアオオオオ!

 

その時だった。突然何かの鳴き声が聞こえ、ゲルド達が声の聞こえた真上を見ると、上空を飛行する飛竜(ワイバーン)の姿があった。

 

「はあ〜真面目っすね〜。」

 

「お主も真面目に稽古の続きをせねばの?」

 

「ひっ!」

 

そう言いながら、白老は納刀状態の刀をゴブタの目の前に振り翳すと鼻に擦りまた鼻血が噴き出るのだった。

 

すると、突如蒼影とシャドーマンが白老達の元に現れた。

 

「「「「ん?」」」」

 

「修行中に済まないが緊急事態だ。」

 

「ゲルド殿が襲撃されていると報せが入った。」

 

「「「なっ…⁉︎」」」

 

「ウソ!敵すっか⁉︎」

 

「ならとっとと助けに向かうっすよ!」

 

「我らも向かうのである!」

 

「「「へい!」」」

 

「リムル様と若に伝えてくる。」

 

「拙者もフォルテ様に伝えに向かう。」

 

そう言って再び姿を消す蒼影とシャドーマン。

 

「うむ。」

 

白老達もすぐに向かった。

 

この時の妖鬼(オニ)の皆は、その襲撃者が自分達の知る人物とは想像もしなかっただろう。

 




仲間を失い、故郷を失ったヒイロの悲しみと怒りは、想像を絶するほど心に大きな傷を負った事が分かりますよね。
次回は、そんなヒイロが紅丸達と再会を果たします。
だが、その前に……仇のゲルド達を発見してしまった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。