転生したらフォルテだった件   作:雷影

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ラージャを救う為に準備を始めるリムルとフォルテ。
だが、その間にヒイロとトワさんに迫る黒幕の魔の手。
果たしてどうなるのか…本編をどうぞ。


104話 紅蓮の絆 ラキュア

リムルとフォルテ達がラージャに向かう為に皆を集めている頃。

ラージャでは、動き出した隣国に対して防衛戦の準備を急いでいた。

 

「迎撃態勢に入れ!」

 

「はっ!」

 

兵士達が慌ただしく動き回る中、トワさんの私室からチクアンとモブジと大臣が出て来た。

 

「チクアン殿。」

 

「今の状態では、此処から動く事は難しいじゃろう。戦火を避けて逃げ続ける前に、体がもつまい……。」

 

「何と…。」

 

再びティアラの力を使った事で、呪毒が全身に広がり生命力を大きく消耗した今のトワさんでは戦火の中逃げ続ける事は不可能だった。

 

そんなトワさんは私室のベッドで寝込んでおり、ヒイロが見守っていた。

 

「ハァ ハァ…。」

 

呪毒に蝕まれ生命力を消耗しているトワさんは、衰弱し高熱で苦しみながらも、荒い息遣いで必死にヒイロに謝っていた。

 

「ごめんなさい。ヒイロ…。貴方の仲間達を救えなくて。」

 

……トワさんはずっと、ヒイロの仲間達を救えなかった事を悔やんでいた。

 

「トワ様。謝る事など何も…。」

 

「貴方は…。貴方のしたいようにしていいんですよ。」

 

「何をおっしゃって…。」

 

「ごめんなさい。ヒイロ…。」

 

最後までヒイロに謝り続けながら、トワさんは眠りについた。

 

そんなトワさんの姿を見ている事しか出来ないヒイロは、自分を恥じた。

 

(謝る必要なんかねえだろうが…。)

 

ヒイロの脳裏には、救えなかった仲間達の姿と瀕死の自分を救う為に、名付けをしてくれたトワさんの姿が浮かんでいた。

 

(何で、貴女が苦しまなきゃならねえんだ。)

 

自分は助けられてばかり…守るべきトワさんが目の前で苦しんでいるのに何も出来ない事を、ヒイロは恥じるばかりだった。

 

 

 

 

その頃、リムルとフォルテは皆を中庭に集めてラージャで起きた事態を説明した。

 

「……という訳でー、裏で糸を引いている者が何者なのかはまだ分からないし、戦いになるかもしれない。」

 

「だが、俺達はトワさんを信じている。よってラージャを助けようと思っている。皆の力を貸して欲しい。」

 

トワさんを、ラージャの民達を救う為にリムルとフォルテは皆にそう言った。

 

「異論はありませんよ。」

 

「それに兄様もいます。(わたくし)達も、リムル様とフォルテ様にお力添えをお願いしたいです。」

 

紅丸と朱菜はもちろん。この場にいる皆も異論などなかった。

 

「では、早速準備にかかってくれ。」

 

はっ!

 

リムルの言葉に皆は駆け出し準備に取り掛かる。

そして、フォルテは寝そべって漫画を読むヴェルドラに近寄る。

 

「ヴェルドラ。」

 

「どうせ我は留守番なのだろう?」

 

「いや。ヴェルドラには一緒にラージャに行って、ラージャの民を守って欲しいんだ。」

 

「何⁉︎」

 

留守番だと思っていたヴェルドラは、フォルテの言葉に思わず起き上がる。

 

魔国連邦(テンペスト)の防衛にはアゲンストとヴェルキオン…それにグレイガとファルザーもいるからな。ラージャの民達を任せられるのはヴェルドラだけだ。」

 

ラージャの人達と一度は笑い合いながら交流したヴェルドラだからこそと、フォルテはラージャの人達をヴェルドラに任せる事にしたのだ。

 

「フッフフフ…。やはりな。」

 

フォルテの言葉を聞いたヴェルドラは笑みを浮かべて立ち上がる。

 

「大船に乗ったつもりで我に任せておくがよい!クワーッハハハ…!」

 

そうして笑いながらこの場を去っていくヴェルドラの後に続くように、アゲンストとヴェルキオンもついて行くのだった。

 

「…なぁ、本当に大丈夫か?」

 

リムルが心配そうにそうフォルテに問いかける。

 

「ヴェルドラなら大丈夫だ。前にラージャに行った時も大人しくしてくれていただろう。親友なら信じてやるのも大事だ。」

 

「そう…だよな。」

 

フォルテの言葉に少し心配しながらも、ヴェルドラを信じる事にしたリムルだった。

 

ヴェルドラも去り、この場に残ったのはリムルとフォルテそして…ディアブロとウルティマの四人となった。

 

そして、そのタイミングを見計らった様に、ラージャの

調査に赴いていたヴェイロンとゾンダがウルティマの元に戻ってきた。

 

「お嬢様。」

 

「お待たせ致しました。」

 

「……どうだった。」

 

ウルティマは、戻って来た二人にラージャでの“アイツ”の事を聞く。

 

「お嬢様のお考え通りでした。」

 

「ラキュアめが勝手な振る舞いを…。」

 

「…やっぱりそうだったんだね。」

 

「ウルティマ。ラキュアというのはお前の配下の一人か?」

 

「そうだよフォルテ様。ラージャとのゲームに余計な邪魔が入らない様に監視をする様に言ってたんだけど……こんな馬鹿な事をしでかすなんてねえ。」

 

この時、ウルティマは笑ってはいるが、目が笑っておらずハイライトが消え、とても冷たくて黒い笑みを浮かべいた。

 

その笑みを見たヴェイロンとゾンダは冷や汗を流しながら震えていた。

 

「それで、……続きは?」

 

「ッ⁉︎ラージャが隣国に攻め込まれる様に、ラキュアが偽の情報て煽った様です。」

 

「しかも、女王の体にも、呪毒以外に手を加えていたようです。」

 

「ふ〜ん…。僕と女王達の契約にそんな汚点をつけるなんてね…。」

 

ヴェイロンとゾンダの報告を聞いて、ますます怖い笑みを浮かべるウルティマ。

 

「トワさんに呪毒以外に手を加えていた…。」

 

「やはりあのチクアンという侍医は、ラキュアという奴の手の者の可能性があるな。」

 

トワさんの身体に手を加えられる者など、侍医のチクアンくらいしかいないのだ。

 

「ですが、ウルティマの配下が問題を起こした事には変わりないですね。」

 

「ッ!(お前に言われなくても分かっているんだよ。……ラキュアが余計な事を仕出かした所為で、フォルテ様の僕への評価が最悪だよ。)」

 

ディアブロの言葉に、ウルティマは苦々しい表情を浮かべる。

 

「……確かにディアブロの言う事にも一理ある。部下の失敗は上の者の責任でもあるからな。」

 

フォルテの言葉にウルティマはびくりと反応する。

 

「だからこそウルティマ。お前にはラキュアの始末を任せる。その後で、トワさんの呪毒を解除するんだ。」

 

「……え?」

 

フォルテの言った言葉にウルティマは、鳩が豆鉄砲を食った様な表情を浮かべながら目をぱちくりさせた。

 

「ん?もしかしてクビになると思ったか?確かに今回は

ウルティマの配下が勝手に仕出かした事だが、ウルティマが命じた訳じゃないのは分かっている。それに、部下の失敗は上の者の責任なら、ウルティマの主人である俺の責任でもあるからな。」

 

「ッ⁉︎そんな!フォルテ様の所為じゃないよ⁉︎」

 

「いや。俺がウルティマからあのゲームについて聞いて依代を与えたあの時に、もっと話しを聞いていればこんな事態を引き起こさずに済んだ筈だ。」

 

フォルテは、今回の事態を招いた原因が自分にもあると悔いていたのだ。

 

「だからこそ、俺達がトワさんを…ラージャの民を救うんだ。」

 

「フォルテ様…。」

 

「ウルティマ。配下の起こしたこの事態は俺達が始末をつけるぞ。」

 

「…うん!任せてよフォルテ様!」

 

ウルティマはフォルテの器の広さに感服し笑顔で返事を返した。そして…。

 

(さぁて…ラキュアの奴、僕に恥を掻かせたんだ。たっぷりと仕置きしないとね。)

 

ラキュアをどう料理するかを考えながら黒い笑みを浮かべるのだった。

 

「…じゃあディアブロ。お前はウルティマの手伝いを頼む。」

 

「お任せ下さいリムル様。」

 

こうして、リムルとフォルテ達はラージャに向かう準備を進めるのだった。

 

 

 

その夜、ラージャではヒイロが一人廊下を歩いていた。

 

(あのリムル殿とフォルテ殿が浄化して下さった湖を守り切れなかった。)

 

ラージャに戻ったヒイロは、フォルテに言われてから湖に警備をつけていたのに何故毒に侵されたのかを調べた。

そして、警備の者達が何者かに背後から襲われ重傷を負い倒された事を知った。

 

(何者かは知らんがその者を捕まえぬ限り湖が毒で侵され、その度にトワ様はティアラの力を使ってしまう。)

 

そう。湖を汚す黒幕を捕まえぬ限りイタチごっこの繰り返しとなる。

 

(どうすれば断ち切れる…。)

 

悩みながら歩くヒイロ……そんな彼の前にラキュアが現れた。

 

「ヒイロ様。」

 

「何か用かラキュア。」

 

声を掛けられ足を止めるヒイロ。

 

「内密な話がありまして、女王陛下をお救いする事が出来るかもしれない……というお話なのですが。」

 

「ッ⁉︎どういう事だ聞かせろ。」

 

ラキュアの言葉にヒイロは反応する。

そして、ラキュアに案内され何処かの倉庫で二人だけで話しを始めた。

 

「秘術があるのです。魂を別の体に移す…つまり、体を乗り換えるという秘術が。」

 

「まさか、そんな事が…。」

 

ラキュアの話に半信半疑なヒイロ。

 

「疑われるのも仕方ありません。しかし、あるのですよ!」

 

「はっ!」

 

ラキュアは自信満々にそう言うと、ヒイロはフォルテの言葉を思い出した。

猪八戒の魂を保護し新たな物質体(マテリアル・ボディー)を与えた事を。

そして、魂を別の体に移す秘術が本当にあるのではと

ヒイロは思った。

 

「もちろん。無条件で執り行えるものではありません。相性というものがあるようでして…。」

 

ラキュアは話を続け、ヒイロはその内容に納得した。

フォルテが猪八戒の魂を合うように、物質体(マテリアル・ボディー)を創り出すのに、時間を掛けた事も聞いていたからだ。

 

「ですが、女王様とヒイロ様のようにー、名付けによって魂が結び付いたお二人であればー、上手くいくのではないでしょうか。」

 

「ハッ…本当か?」

 

「ええ ええ。ただし、ただしですよ。もし女王陛下の魂をヒイロ様へ移すとなるとー、ヒイロ様の魂は行き場を無くし失われる事になります。その覚悟があるならば……

としか私は申し上げる事が出来ません。」

 

ラキュアはヒイロの覚悟を試す様な真剣な目でそう言った。

そして、ラキュアの言葉を聞いたヒイロは、自分の胸に手を当てる。

 

「俺の体…。救ってもらったこの命をトワ様に渡せるという事か。」

 

「うんうん。」

 

「そうか…。ならば、俺のやるべき事は決まった。」

 

「はっ…、ま…まさか…。」

 

ラキュアは驚きながら後ずさる。

 

「この命、トワ様に返そう。すぐに取り掛かってくれ。」

 

「ご自分を犠牲に…。その美しき心。このラキュア感服致しました!」

 

ヒイロの覚悟を聞いたラキュアは涙目で感動した。……それが演技だとは、ヒイロは気付いていなかった。

 

その後、眠っているトワさんを連れ出したヒイロは、一旦ラキュアの馬車に乗せた。

 

そして、ラキュアは小さな宝箱の様な物を開けると、どこか怪しげな紫の輝きを放つ宝珠をヒイロに差し出した。

 

紫縛(しばく)宝珠(ほうじゅ)。カース・オーブと呼ばれております。」

 

「カース・オーブ…。」

 

「力の秘宝とでも申しましょうか。体を頑強に作り替えると言われておりましてな。西の果てで仕入れたとても高価な代物なのですが、魂を移す儀式を確実なものにするためー、ヒイロ様に服用していただきたく存じます。」

 

「分かった。」

 

ラキュアの話を聞いたヒイロは紫縛の宝珠(カース・オーブ)を手に取る。

 

「うん。」

 

ラキュアが頷くと、ヒイロも頷き躊躇いなく宝珠を呑み込んだ。

すると、ヒイロから紫の妖気(オーラ)が放たれ身を包み込むと消えた。

 

「妙な気分だ…。」

 

「オーブの力が体に馴染むまでの辛抱です。それでは、邪魔の入らない所へ参りましょう。」

 

ラキュアの言葉に従い、ヒイロはトワさんをお姫様抱っこで連れて行く。

トワさんを心配しながら見つめるヒイロ。

 

「フフフッ…。」

 

その時、ヒイロの前を進むラキュアは目を赤く光らせ邪悪な笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

その頃、フォルテ達はラージャに向かう準備を終え中庭に集結していた。

向かうのは、ゴブタ達狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)達と雷蔵と雷牙そして、白老、無銘、紫苑、紫蘭、猪八戒、ゲルド、ガビルと

スケロウ達、ランサーだ。

 

カーネルや黒死牟達は、留守の間魔国連邦(テンペスト)を任せる事にした。

 

「準備はいいな?」

 

おう!

 

リムルの言葉に皆が気合いを入れて答える。

 

「なら、転送するぞ。」

 

フォルテは皆を転送魔法でラージャへと転送した。

 

皆を転送し終えると、リムルとフォルテもすぐさまラージャへと向かった。

 

最初にラージャに来た時、モブジ達の許可を取ってベランダに設置した拠点移動(ワープポータル)でリムル、フォルテ、ヴェルドラ、紅丸、朱菜、嵐牙、ゴスペル、クレイマン・オルタ。

そして、ウルティマとディアブロの二人と共に転移した。

 

「おお!リムル殿。フォルテ殿。」

 

あらかじめ連絡していたので、リムルとフォルテ達が来るのを待っていたモブジが声を上げる。

 

「モブジさん。大臣さん。」

 

「フジも待たせたな。」

 

「陛下のお姿が見えないのですじゃ。」

 

「何?」

 

「何だって?」

 

モブジの知らせに声を上げるフォルテとリムル。

すると、キキョウがフジに耳元である知らせをし、フジはすぐにモブジに知らせる。

 

「隊長も見当たらない様です。」

 

「あ…こんな時に何処へ…。」

 

トワさんとフジがいなくなった…嫌な予感を感じたフォルテはすぐさまオルタに命じる。

 

「オルタ。二人が何処にいるのかすぐに調べてくれ。」

 

「畏まりました。」

 

命じられたオルタは、下に向かって手を翳す。

 

操演者(アヤツルモノ)“地脈操作”!」

 

オルタは操演者(アヤツルモノ)の権能の一つである地脈操作で、ラージャ全体の地形からトワさんを探す。そして……。

 

「見つけました。トワ様とヒイロ殿はこの城の地下を進んでいます。」

 

「地下に?」

 

「はい。何者かに先導されている様ですね。」

 

何者か……まさか!

 

フォルテはその何者かがラキュアだと気付いた。

 

その頃、ラキュアに案内されていたヒイロはある場所に辿り着いた。

 

「おお!ここなら落ち着いて儀式が出来そうです。」

 

そこは、昔使われていたであろう何かの祭壇だった。

 

「さあさあ、陛下をそこに。」

 

ラキュアにそう言われ、ヒイロはトワさんを祭壇に寝かせる。

すると、祭壇が仄かに光り出した。

 

「トワ様。安心してください。」

 

眠り続けるトワさんを見ながらヒイロはそう呟く。

 

一方、オルタによって場所特定したリムルとフォルテ達は急いでトワさん達の元へと向かっていた。

ウルティマとディアブロは、リムルとフォルテの命により、ベランダで待機している。…ラキュアが逃げ出した時の為に。

 

「女王様とヒイロは、一体何故そんな所へ…。」

 

モブジがそう言ったその時だった。

 

『リムル様。フォルテ様。よろしいですか?』

 

蒼影から思念による連絡が届いた。

 

「蒼影か。」

 

「どうした?」

 

『隣国がラージャを狙っている理由ですが…。』

 

「待て蒼影。」

 

「此処には宰相や大臣がいる。彼らにも聞こえる様にするから。」

 

そして、リムルはこの場にいる皆に思念を繋げて聞こえる様にした。

 

「よし。」

 

「続きを頼む。」

 

『隣国ですがー、ラージャに眠っている巨大な金鉱脈を狙っているようです。』

 

「巨大な金鉱脈だと?」

 

「隣国では、その様な噂が広まっております。」

 

「それを狙い、出撃準備を急いでいるようです。」

 

蒼華とシャドーマンが続く様に報告した。

 

(なるほど。それがラキュアって奴が流した嘘の情報か。)

 

蒼影達の報告を聞き終えると、リムルとフォルテは一応フジ達に視線を向けた。

 

「いや。全く聞いた事がありません。」

 

「私もです。」

 

当然フジとキキョウは首を横に振りながらそう言った。

 

すると、嵐牙が唸り声を出しなら体を大きくした。

 

「グルルルル…!嘘をつくと承知せぬぞ!」

 

「「ひいいいいいいい‼︎」」

 

嵐牙の凄まじい迫力に、フジとキキョウは抱き合いながら顔を青ざめ悲鳴を上げる。

 

すると、モブジが嵐牙を宥めようと口を開く。

 

「ま…、待て嵐牙殿。嘘ではない。確かに大昔には沢山の金が掘り出されたともいうが、今ではせいぜい小指程度の…。」

 

だが、モブジの説明を聞いても、嵐牙は更に体を大きくして唸り声を上げる。

 

「グルルルルルルル!」

 

「「「「ひいいいいいいいいい‼︎」」」」

 

嵐牙の迫力にモブジと大臣もフジ達に抱き付き悲鳴を上げる。

 

「落ち着け!息子よ。」

 

「ッ!親父殿…。」

 

ゴスペルの声により、嵐牙は唸るのをやめた。

 

「ゴスペルの言う通りだ。落ち着け嵐牙。」

 

「この人達は嘘をついてない。もしもそんな物があったらー、ジュラの森を開墾しようとは思わないだろうさ。」

 

「「「「うんうん!うんうん…!」」」」

 

フォルテが嵐牙を宥め、リムルが嵐牙にそう言うと、モブジ達も必死に頭を振って頷く。

 

その必死な姿を見て、嘘をついていないと理解した嵐牙は、体を小さくして離れた。

 

「「「「ハァ…。」」」」

 

そして、モブジ達は安堵しその場で崩れるのだった。

 

(だが、…こんなすぐに分かりそうな嘘を信じて軍が動くものか?)

 

今までのラージャを知っているなら、そんな巨大な金鉱脈などないと知っているはず。

 

(…やはり、軍の中にもそのラキュアとか言う奴の配下が潜んでいるのかも知れない。……兎に角、今はラージャを守るのが最優先だ。)

 

フォルテは大臣に声を掛ける。

 

「大臣。ラージャの戦力はどのくらいなんだ?」

 

「二千くらいは。」

 

「なら、すぐに集めて住民を避難させるんだ。」

 

「しかし…。」

 

「心配するな。攻撃が始まれば、俺達の仲間が力を貸す。それに、いざとなればヴェルドラもいるからな。」

 

「うむ!我に任せるが良い‼︎」

 

大臣は不安そうに呟くが、フォルテが安心させる為にそう言い、ヴェルドラも自信満々に胸を張るのだった。

 

それを見たモブジは大臣に向かって口を開く。

 

「大臣!」

 

「は…はいすぐに!お前達!」

 

「「はっ!」」

 

大臣の叫びに答え、フジとキキョウも兵達を集めに向かう。

 

「蒼影も援護に向かってくれ。」

 

「シャドーマンも頼んだぞ。」

 

『『『御意。』』』

 

そして、蒼影達の思念連絡は終わった。

 

「ヴェルドラ。お前もラージャの民達の守りに向かってくれ。」

 

「うむ!この国の民は我が必ず守ってやるぞ。」

 

ラージャの民達と楽しみ酒を飲み語り合った故に、

ヴェルドラもラージャの民を守る為に張り切っていた。

 

「オルタも念の為にヴェルドラと共にラージャの民を守ってくれ。」

 

「承知しました。では、トワ様達の現在地の情報をお伝えします。」

 

そう言ってオルタは、思念伝達でフォルテにトワ様達の位置情報を送った。

 

「では!行ってくるぞ!」

 

その言ってヴェルドラは走り出し、オルタも後に続いて行くのだった。

 

「よし。俺達も急ぐぞ!」

 

こうしてフォルテ達は、トワ様達の元へと再び急ぎ向かうのだった。

 

 

 

 

その頃、ヒイロは眠っているトワさんの手を握っていた。

 

「ん…。」

 

「ヒイロ様。では…。」

 

「ああ。」

 

ヒイロ達が儀式を始めようとしたその時だった。

 

「ヒイロ…。」

 

トワさんが目を覚ました。

 

「これは?」

 

状況が分からず困惑するトワさんに、ラキュアが説明する為に口を開いた。

 

「トワ様の魂を、ヒイロ様の体に移す儀式を行います。」 

 

「もう。貴女が苦しむことはない。」

 

「どういうことですか?」

 

「もらった命を返したい。」

 

「ヒイロ様は、女王陛下の為にその身を捧げられるのです。」

 

「あ…。」

 

トワさんはこの時理解した。ヒイロが自分の為に己を犠牲にしようとしている事を。

 

「気にするな。」

 

「そんな…そんなこと…。」

 

トワさんは、ヒイロがしようとしている事に驚愕し涙を浮かべる。

 

「あ…。」

 

「許しません。(わたくし)は絶対…うっ…。」

 

ヒイロのやろうとしている事を止める為に、必死に起き上がろうとするトワさん。

 

「トワ様。」

 

だが、まだ回復しきっていない故に倒れそうになり、ヒイロが支える。

 

「俺はしたい様にしただけだ。」

 

「いけません。貴方の命は、貴方だけのものではありません。」

 

トワさんの言葉に、ヒイロははっと思いだす。

自分の命はトワさんだけでなく、…仲間達の命によって救われた事を。

 

「生きるのです。貴方は仲間達の分まで、(わたくし)の分まで…。」

 

そう言って再び倒れるトワさんを、ヒイロは抱きしめる。

 

「トワ様…。その言葉だけで十分だ。」

 

ヒイロはトワさんの気持ちを理解して上で、自分の決めた事…トワさんを救う方を選んだ。

 

「儀式を始めてくれ。……ラキュア?」

 

ヒイロはラキュアに儀式を始めるように声を掛けるが返事がない。

後ろを見てもラキュアの姿はなく困惑していると、何処からともなく拍手が聞こえてきた。

ヒイロは拍手が聞こえる方に顔を向けると、柱の一つに座りヒイロ達に拍手するラキュアの姿があった。

 

「ブラーヴォ!良いですね。とても良い。悲しくも美しい光景素敵です。」

 

「あ…。」

 

「何だ?」

 

突然のラキュアの変貌にヒイロは訝しむ。

 

「おっと失礼。あまりにも良いシーンなんで、つい歓声を上げてしまいました。」

 

ラキュアはそう言いながら立ち上がり、帽子を取ってお辞儀する。

その時、ヒイロはラキュアの目が黒くなって瞳が紫に変わっている事に気付き、トワさんを自分の後ろに寄せて守る態勢をとる。

 

「いやあ、あのクソスライムとフォルテとか言うクソ餓鬼が、私のシナリオを壊した時はー、ヒヤリとしたものです。」

 

そう言いながら、ラキュアは柱からスキップするかの様に躍び跳ねて地面に着地する。

 

「だがしかし、我ながら素晴らしいナイスリカバリー!

ああ、楽しい。嬉しい。ハハッ!」

 

そう言って笑いながら小躍りするラキュア。

 

「おお!これであのお方も喜んでくれるでしょう。」

 

「貴様、何を言っている。儀式はどうなった?」

 

ラキュアの変貌に警戒しながらも、ヒイロはラキュアに向かって声を上げる。

 

「ブッフフワハハハ…そんなものは存在しませんね。」

 

ラキュアは人を馬鹿した様な態度で真実を暴露した。

 

「なっ⁉︎」

 

「あなたは…。」

 

「魂を移す秘術?フフフフ…そんな都合のいいことがあるわけ…プップププ…ヒャハハハ…。」

 

「騙したのか!」

 

ヒイロはさっき飲んだ紫縛の宝珠(カース・オーブ)を思い出し自分の腹部を押さえる。

 

「ああ、可笑しい!確かに飲んだのは力の秘宝です。秘術もありますよ。ただし、それは貴方の思うものではありません。」

 

ラキュアはそう言いながらヒイロを指差し、ぐるぐると指を回す。

 

「それは更なる試練。陛下はきっと全力でティアラの魔力をお使いになる事でしょう。そしてそして、完全に陛下の全身が蝕まれれば……。」

 

ラキュアがそう言いながら手を広げると、ラキュアが謎の光に照らされ紙吹雪が降り注ぎ、何処からか歓声と拍手が聞こえてくる。

 

「降り注ぐでしょう。あの方の拍手が、ご褒美が福音のように。」

 

ラキュアの目的それは、トワさんにティアラの力を使わせ、その全身を呪毒で完全に染め上げてウルティマの依代として完成させる事だった。

 

「貴様!……ッ⁉︎では湖の毒は貴様の仕業か!」

 

ラキュアの話を聞き、フォルテからの警告を思い出し、今まで湖を毒で汚していたのがラキュアだとヒイロは気付いた。

 

「おや?今頃気付きましたか。ですがもう遅い。陛下の身体は殆ど呪毒に蝕まれた。あとひと推しであの方のものとなるのです。」

 

「ラキュアアアアア‼︎」

 

全ての元凶がラキュアと知って、ヒイロは怒りの声を上げながら長巻を振るい構える。

 

「ヒーッ。そうそうそれです。その怒りが絶望への導火線となるのです。」

 

ラキュアは慌てる事無く、逆にヒイロの怒りを煽る。

 

「フンッ。うおーつ!」

 

ラキュアに斬り掛かるヒイロ。だが、それでもラキュアは慌てずヒイロに向かって手を翳す。

 

「弾けろ。紫縛の宝珠(カース・オーブ)。」

 

その瞬間、ヒイロの腹部から光が全身に広がりヒイロを呑み込んだ。

 

「うっ…うわぁぁっ!」

 

「ヒイロ!」

 

そして、遺跡全体が振動し、その揺れはリムルとフォルテ達のところまで伝わった。

 

「この揺れは⁉︎」

 

「くっ…急ぐぞ。」

 

「「「「はっ!」」」」

 

リムルとフォルテは皆共に急いでトワさん達のところへ向かう。

 

 

その一方では、ラキュアの策略で紫縛の宝珠(カース・オーブ)の力を強制的に使わされ、その力に呑まれたヒイロは異形の鬼へと変貌しかけていた。

 

「ヒハハハ!さあ、思い出して下さいヒイロ様。まだ意識があるうちにさあ!」

 

ヒイロはギリギリ意識を保ちつつラキュアに迫るが、そんなヒイロにラキュアは煽るように口を開く。

 

「里を踏みしだかされた絶望を。」

 

「ううっ……ううううっ……!」

 

ラキュアの言葉に、呻き声を上げながら思い出すヒイロ。

 

「仲間を失った悲しみを。」

 

「うううっ……!ううううっ‼︎」

 

救えなかった仲間達の事を思い出し更に呻き声を上げるヒイロ。

 

「騙され、何も出来ない自分自身への怒りを。」

 

ラキュアに煽られ怒りに呑み込まれそうになるヒイロ…だが、もう一つ思い出した事があった。

それは、フォルテに見せてもらった猪八戒の同胞を思い全ての罪を背負うとした姿だった。

 

「ううっ……うううう。」

 

その真実を知っているヒイロは必死に怒りに呑まれない様に、自分の意識を必死に保つ。

 

「…チィ!何を迷うのですヒイロ様?さっさと自分の怒りを解放しろ‼︎」

 

ここまで思い通りだったのに、最後の最後でヒイロが怒りに呑まれない事に苛立ち声を荒げるラキュア。

 

「…なら、仕方ありませんね。特別にヒイロ様にはこの力も差し上げましょう。」

 

そう言って、ラキュアが懐から取り出したのは……ダークチップだった。

 

「さあ!本当の自分を解放するのです‼︎」

 

そう言って、ラキュアはヒイロに向かってダークチップを投げる。

そして、ダークチップの闇之妖気(ダークオーラ)がヒイロの全身を駆け巡る。

 

「ガッ⁉︎…ぐぐぅぅ…がああ!」

 

必死に耐えるヒイロを嘲笑うかの様に、ヒイロの背後に闇之妖気(ダークオーラ)の禍々しい顔が浮かび上がると、ヒイロの意識が完全に呑まれた。

 

「うぉぉぉ!ううっ‼︎うおぁぁぁぁぁ‼︎」

 

怒りの感情に呑まれ、けたたましい咆哮を上げるヒイロ。

紫縛の宝珠(カース・オーブ)により強大な力を得たが、力に呑まれ更に、ダークチップによって更なる力の代償として完全に理性を失い暴走状態となって周囲を破壊し始めた。

 

「ヒャハハハハ!素晴らしい!怒りと憎しみを糧に狂鬼(きょうき)となった。」

 

ラキュアは喜び笑い、その場で小躍りする。

 

「暴れろ壊せ!敬愛する主に力を使わせるのだ。それこそが、あのお方にとって最高の余興となるだろう。」

 

「うっうう!…うおぁぁぁぁ‼︎」

 

ヒイロが咆哮を轟かせると、光が弾け異形の鬼…狂鬼と化したヒイロの姿が露わとなった。

 

「ヒイロ…。」

 

変わり果てたヒイロの姿を見たトワさんは、急いでヒイロの元に向かおうとする。

 

「うう…。」

 

だが、怒りのまま…本能のまま暴れ回る今のヒイロに近づくのはあまりにも危険すぎた。

 

「ヒャハハハ!アハハハ!そうだ暴れろ!」

 

暴れ回り破壊の限りを尽くすヒイロを見て高笑いするラキュア。

 

「狂い鬼となった気分はどうですか?」

 

「ううっ!」

 

ラキュアに煽られ、本能的にラキュアを攻撃するヒイロだが、難なく躱され破片が飛び、トワさんの頭…ティアラにぶつかりトワさんはその場に倒れた。

 

「ハハハ…。貴方ほど単純だと、騙す私も気分が良いですよ。」

 

ラキュアが笑いながらそう言う中、ヒイロは口から焔を放ち、辺りを火の海へと変えてしまう。

 

「おお!地獄のようだ。おお…。」

 

ラキュアが更に喜びの声を上げる中、自分のせいでヒイロがあんな姿となって暴れてしまっていると、トワさんは打ち拉がれていた。

 

「ハァ…ヒイロ…ハァハァ…。」

 

「ああ陛下。このままで良いのですか?」

 

そんなトワさんに何食わぬ顔でラキュアが話しかけてくる。

だが、ラキュアの言う通り、今ヒイロを救えるのはトワさんだけだった。

 

(わたくし)が助けないと…。」

 

トワさんはヒイロを救う為に両手を翳す。

 

「フフ…。」

 

そしてティアラが光出す。

 

「フフフ…。」

 

それを見ていたラキュアは全てが計画通りに進み、目的が達成出来ると邪悪な笑みを浮かべる。

だが……その時だった。

 

「うう…。」

 

ヒイロが周囲を破壊した事で脆くなった床を、ヒイロ自身が踏み抜いてしまっい崩れる。

 

「ちぃ!」

 

ラキュアは咄嗟に躍び跳ね避けるが、トワさんは崩落に巻き込まれてしまった。

 

落下するトワさん。……その時だった。

 

「…っとお待たせ。」

 

「間一髪だったな。」

 

「え?」

 

リムルとフォルテ達がトワさんの元に辿り着いたのだ。

そして、リムルが落下するトワさんを抱き止めながらゆっくり降り立ち、フォルテと朱菜が障壁と結界を張って落下してくる瓦礫を防いだ。

 

「もう大丈夫ですよ。」

 

「瓦礫は全て防いだ。」

 

朱菜とフォルテがそう言った時だった。

 

向かう側で紅丸が狂鬼と化したヒイロと応戦していた。

 

「その姿、どうしたヒイロ⁉︎」

 

「ぐおおお…うおぉぉっ!」

 

紅丸が呼びかけるも、狂鬼と化したヒイロは答えず叫び声と共に妖気(オーラ)を放出し紅丸を吹き飛ばした。

 

(一体ヒイロに何が⁉︎)

 

フォルテはすぐさまヒイロを解析すると、ヒイロの胸に禍々しい力を放つ宝珠がある事が分かった。

 

《解析が完了した。個体名ヒイロは、紫縛の宝珠(カース・オーブ)の力に取り込まれ暴走状態となっている。更に、ダークチップで

無理矢理力を底上げされている。》

 

電脳之神(デューオ)の解析結果を聞いたその時だった。

 

「チッ!またお前らか!」

 

ラキュアがリムルとフォルテに向かって声を荒げた。

 

「お前がラキュアか…!」

 

「てことは、…お前が黒幕だな。」

 

「チクショー!度々邪魔しおって!」

 

リムルとフォルテがラキュアに向かって口を開くも、ラキュアは叫びながら煙幕を放ち奥の通路へと逃げて行く。

 

「あっおい!っふ!」

 

「逃すか!」

 

リムルとフォルテはすぐさまラキュアを追うとしたが…。

 

「うおーっ!」

 

狂鬼化したヒイロが二人に向かって来る。

リムルとフォルテは応戦しようとしたが、紅丸が飛び出しヒイロを斬り飛ばした。

 

「リムル様。フォルテ様。行ってください。」

 

紅丸がそう言った瞬間、斬り飛ばされたヒイロが紅丸に襲い掛かる。

 

「うおっ!」

 

ヒイロの長巻と紅丸の刀がぶつかり合い、周囲に亀裂が入る。

 

「頼んだぞ。」

 

「朱菜はトワさんを頼む。」

 

「はい。」

 

フォルテは朱菜にトワさんを任せる。

 

「行くぞ嵐牙!」

 

「ゴスペルも頼む!」

 

わぉぉぉ‼︎

 

グオォォ‼︎

 

リムルは嵐牙に、フォルテがゴスペルに跨りラキュアを追いかける。

 

 

 

そして、逃げたラキュアはトロッコに乗って坑道を進んでいた。

 

「見つけた。」

 

「待て!」

 

「逃さぬぞ。」

 

「観念しろ。」

 

リムルとフォルテ達の声に気付いたラキュアは、カーブを曲がったと同時に魔力弾を放った。

 

「これでも食らえ!」

 

嵐牙とゴスペルは魔力弾を難なく躱すと、そのままラキュアに飛び掛かる。

 

「うおーっ!」

 

「グオーッ!」

 

「はっ!」

 

ラキュアは咄嗟に頭を伏せて躱した。

 

「へへへ…え?」

 

だが、嵐牙とゴスペルの一撃でお気に入りだったであろう帽子を失い、左頬を傷つけられていた。

 

「この……クソスライムとクソ餓鬼がぁぁぁぁ‼︎

 

ラキュアは怒りながらリムルとフォルテを罵倒する。

 

『リムル様、フォルテ様。』

 

すると、蒼影から思念通信がきた。

 

「蒼影!」

 

「遂に動いたか!」

 

『はい。隣国の軍勢が進撃を開始しました。間もなく

ラージャ小亜国の国境に差し掛かります。』

 

『分かった。こっちはこっちで忙しいから、皆聞こえいるか?』

 

リムルとフォルテは皆に思念を繋いだ。

 

『なるべく犠牲は出したくないからー、敵を倒すのは構わないが、可能な限り殺さないように。』

 

『ただし、どうしようない場合は自分の身を最優先しろ。』

 

『『いいな!』』

 

『『『『はっ!』』』』

 

ファルムスの惨劇を繰り返さない為に、リムルとフォルテは皆にそう命じ、皆はそれに応え動き出す。

 

そのままラキュアの追跡を続行するリムルとフォルテ。

……フォルテは繋げたままの思念から連絡を入れる。

 

『…ウルティマ。ディアブロ。今ラキュアを追跡している所だが、見えているか。』

 

『もちろんだよフォルテ様。』

 

『ええ。問題なく見えております。』

 

そう…。ウルティマとディアブロの二人だ。

もしラキュアを逃した場合、二人に先回りしてもらおうとフォルテは思念を繋げていたのだ。

 

『…こんな馬鹿な事を仕出かしただけじゃなく、……

フォルテ様をクソ餓鬼呼ばわりするなんてね。』

 

 

ウルティマの声がもの凄く冷たいものとなっていた。それはウルティマだけではなかった。

 

『……リムル様をクソスライムなどと呼ぶとは、万死に値します。』

 

ディアブロも、普段より遥かに冷たく重い声でラキュアを裁く事を宣言した。

 

『……ラキュアは恐らくこのまま外に出て逃げるつもりだろう。もし俺達が取り逃した場合には、二人はラージャ上空からラキュアを見つ次第始末を任せる。それまでは、俺達の指示があるまで待機していてくれ。』

 

『うん。分かった。』

 

『承知しました。』

 

フォルテとの念話を終えたウルティマとディアブロ。

 

「……ねぇディアブロ。ラキュアの処分だけど、簡単には殺さずにアイツが仕出かした罪をその身に刻もうと僕は思うんだ。」

 

「なるほど。確かに簡単に殺しては、リムル様とフォルテ様を侮辱した罪には釣り合わないですね。」

 

「今回だけは、二人でアイツに自分が犯した罪を思い知らせようと考えているんだけどいい?」

 

「…いいでしょう。そのラキュアとかいう貴女の配下には、その身を持って永遠の贖罪をしてもらいましょう。」

 

こうして、ウルティマとディアブロ…原初の(ヴィオレ)(ノワール)の二人によるラキュアの裁きが決定したのだった。

 

 

 

(ラキュア……僕に恥をかかせた事、…償ってもらうから覚悟しなよ!)

 

ウルティマは冷たい黒い笑みを浮かべながら心の中でそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 




黒幕であるラキュアに騙され狂鬼と化したヒイロ。
そんなヒイロを止める為に立ち向かう紅丸。
そして、リムルとフォルテを罵りながら逃げるラキュア……その言葉によって、ウルティマとディアブロ……原初の悪魔である紫と黒の二人による裁きが決定した。

次回、ラキュアの最後の時。
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