転生したらフォルテだった件   作:雷影

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今回は、タイトルで分かる人はいると思いますが、七つのエメラルドによって時空を超えて黒き影が登場。


107話 黒き究極生命体

ラージャ小亜国を救ってから数日が経過。

 

ラージャ小亜国から希少金属(レアメタル)と鉄鉱石を買う事にした

リムルとフォルテ。

 

そして、フォルテは先駆けである程度の希少金属(レアメタル)を個人で買わせてもらっていた。

 

「…よし。ちゃんと高純度のスタンフィール・インゴットの魔鋼となっているな。」

 

それを自らの手で錬成して高純度のインゴットとにした。

その後でアゲンスト達は妖気(オーラ)を定期的に解放しているエリアに数日の間置き、魔鋼に変異するのを待っていたのだ。

後、クロンデジゾイドも各種同じ様に置き魔鋼へと変異させていた。

 

「これだけ高純度のスタンフィール・インゴットとクロンデジゾイドの魔鋼があれば遂に創り出せる。」

 

フォルテはスタンフィールド・インゴットとクロンデジゾイドのインゴットを情報(データ)化してエンブレムに収納してから両手を前へと翳した。

 

究極軍王(オーレギオン)!」

 

フォルテで手から情報(データ)を放出。そのデータは掌に収まる小さな人形の形を成していくが、ただの人形ではない。

 

両肩にミサイルランチャーを装備し、胸部に魔導砲(エネルギーキャノン)を搭載した爆撃機を装甲にした様な機体。

そう。究極のLBXと呼ばれる機体であるオーレギオンだ。

 

フォルテが創り出したオーレギオンは普通の色合いではなく、フォルテをイメージした様な色合いだった。

 

「よし。完成だ。俺の情報(データ)も組み込んだ俺専用のオーレギオン。敢えて名付けるなら、(フォルテ)オーレギオンだな。」

 

フォルテはただオーレギオンを創造するのではなく、自分の情報(データ)を組み込んだのだ。

(フォルテ)オーレギオンは、フォルテの技を必殺ファンクションとして使用可能。更に機体性能は、本来のオーレギオンを凌駕する機体となった。

 

中核骨骼(コアスケルトン)であるAX-000とオーレギオンの装甲(アーマー)に、

ふんだんに魔鋼へと変異させたクロンデジゾイドとスタンフィール・インゴットを使用したから、オーレギオン自身の力に耐えられる機体が漸く創り出せた。」

 

普通の鉱石から変異した魔鋼と魔銀(ミスリル)では、オーレギオンの力に耐え切れず、必殺ファンクションを一度使えば反動で機体が消滅するのだが、クロンデジゾイドの様な合金とスタンフィール・インゴットの様な高純度の希少金属(レアメタル)を魔鋼化した物ならオーレギオンに力に余裕で耐えられると分かったのだ。

 

「解析結果も申し分ない。これならオーレギオンを俺の手で量産することができる上に、魔鋼化したクロンデジゾイドとスタンフィール・インゴットの情報(データ)を使って、俺自身にオーレギオンの武装を纏う事もこれで出来る。」

 

ラージャ小亜国のスタンフィール・インゴットにより賞牌人形(メダロット)内骨格(ティンペット)の強化もでき、難航していた殺戮人形(キラードロイド)飛竜(ワイバーン)の大型化も進めることが可能となった。

 

「更に、コイツらも漸く創り出せるし、新たな開発計画も実行出来る様になる。」

 

そう言って、フォルテは掌からある情報(データ)を出して見る。

 

その情報(データ)とは、人型の機械魔人(ヒューマギア)四体と、紫のステルス戦闘機型のロボット、黒と赤紫の消防車型のロボット、黒と紺色のパトカー型のロボット、黒と錆色のドリル型掘削機型のロボットそして、それらをサポートする四連装ミサイルユニットを装備した戦車型ロボット、救急車型ロボット、バイク型ロボット、ブルドーザー型ロボットの設計情報(データ)だった。

 

 

 

 

自分専用機オーレギオンの創造に成功したフォルテは、普段はヴェルドラ達に解放しているエリアに足を踏み入れていた。

 

「さぁ、始めるとするか。」

 

そう言って、フォルテがエンブレムから取り出した物は、赤、黄、白、緑、水色、青、紫のブリリアントカット状の宝石……そう、カオスエメラルドだった。

 

 

 

 

数日前。

ラキュアとチクアンへの裁きをある程度終えたウルティマがフォルテの元にやって来た。

 

「フォルテ様。ラキュアのせいで遅くなったけど、これが前に話していた絵札(カード)だよ。」

 

そう言って、ウルティマは二枚の絵札(カード)をフォルテに差し出し、フォルテはその絵札(カード)を受け取った。

 

「……この絵札(カード)、やはり間違いない。辰と巳の十二神皇のウロヴォリアスとティアマドー…本物だな。」

 

この二枚の絵札(カード)はバトルスピリッツと呼ばれるカードゲームに登場する物だった。

だが、フォルテの言う通り、ただの絵札(カード)ではなく、二枚からは強力な紫の力が発せられている。そう、この二枚は

アニメ世界…ダブルドライブに登場した本物の十二神皇のウロヴォリアスとティアマドーだ。

 

恐らく邪神皇を再び封印した際に飛び散ったこの二枚は、時空を越える際にこの世界に来てしまったのだと、フォルテは推測した。

 

「後、これが僕が集めた宝石…フォルテ様が言っていたカオスエメラルドだよ。」

 

ウルティマは続く様に六つのエメラルドをフォルテの前に置いた。

カオスエメラルドとは、一つでも強大なエネルギーを秘めた宝石であり、七つ揃えば次元を越える程の力を発揮するソニックの世界の伝説の宝石。

そのエネルギーを使って、星すら砕く兵器が作られた事もある。

 

「…やはり全て本物の様だな。これで、ラージャで見つけた最後の一つで七つ全てが揃った訳だな。」

 

そう言いながら、フォルテはラージャで手に入れた最後の一つを取り出した。

その瞬間だった。カオスエメラルドが共鳴し、相乗効果で凄まじいエネルギーを放出した。

 

「くっ!しまった。」

 

フォルテはエメラルドが共鳴しエネルギーを放出するのを忘れていた。

凄まじいエネルギーがエリア全体に放出される中、エネルギーを浴びたウロヴォリアスとティアマドーのカードが共鳴する様に輝き出した。

 

「ッ⁉︎これは!」

 

フォルテの手から離れて宙に浮かぶ二枚のカードは、光輝きながら辰と巳の文字が浮かび上がると……実体化した。

 

エリアの大地が裂け、裂け目から這い出る様に姿を現したのは禍々しい魔王の如き甲冑を身に纏うウロヴォリアス。

天空から神々しい光の中から姿を現す東洋竜の如きティアマドー。

 

「グウォォオオ‼︎」

 

「ガアアアア‼︎」

 

絵札(カード)が実体化した⁉︎」

 

これにはウルティマも驚いた。

実体化したウロヴォリアスとティアマドーは咆哮を轟かした後、フォルテの前にゆっくりと降り立った。

 

そのまま見つめ合うフォルテとウロヴォリアスとティアマドー。

 

「……帰りたいんだな。元の世界に。」

 

フォルテの言葉にウロヴォリアスとティアマドーは頷く。

 

「分かった。その願いを叶えてやる!」

 

フォルテは死之賢者(バクラモン)で、右腕をバグラモンの腕に変えて

真上に掲げる。

 

「さぁ!開け次元の入り口よ!」

 

フォルテのバグラモンの右腕にカオスエメラルドから放たれたエネルギーが吸収され紫の妖気(オーラ)を放ちながら力を発揮する。

バグラモンには次元を操る力があった。そして、カオスエメラルドが放出したエネルギー利用する事で、この次元に穴を開けようとしているのだ。

 

フォルテのバグラモンの右腕のさきの空間に歪みが発生していき、空間に穴が開いた。

 

「ウロヴォリアス!ティアマドー!後はお前達の力で道を開け‼︎」

 

フォルテの声に応え、ウロヴォリアスとティアマドーはフォルテが開けた次元の穴目掛けて息吹(ブレス)を放った。

 

放たれた息吹(ブレス)が時空の穴の中を通過した瞬間、時空の穴は拡大してゲートとなった。

 

すると、時空ゲートの奥からこちらに向かって十個の光が飛び出した。

飛び出した光の中から姿を現したのは、シルクハット被り道化の様な服を着た(ねずみ)と、まるで要塞の様な機械的な(うし)、背に巨大なリボルバーキャノンを二連装備した(とら)、とある機動戦士シリーズに出て来そうなメカメカしい(うさぎ)、白き鎧を身に纏い炎を鬣を靡かせる(うま)、無数の砲身を背負う白き(ひつじ)、背に八つの義手を生やし雷神の如き姿の(さる)、触れる者全てを切り裂く様な鋭い刃の羽を生やす緑の(とり)、三つ首のケルベロスの如き青の(いぬ)、金の豪華な装飾を身に纏う青き(いのしし)……そう。他の十二神皇達だった。

 

「…ウロヴォリアスとティアマドーを迎えに来た様だな。」

 

十二神皇達は再会を喜ぶ様に咆哮すると、一斉にフォルテの方へと顔を向けた。

すると、それぞれを象徴する子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の十二の文字が浮かび上がり、光となってフォルテのエンブレムに全て収まった。

そして、十二神皇達は時空ゲートを潜って元から世界へと帰って行き、時空ゲートは消滅した。

 

「フォルテ様!」

 

事の成り行きを見守っていたウルティマが、フォルテの元に駆け寄る。

 

「まさか、時空に直接穴を開けるなんて…やっぱりフォルテ様は凄いよ。」

 

「まぁ、元々この腕には時空を操る力があるからな。まぁ穴は開けられるが、座標を把握していないと何処に繋がるかは分からない。今回は、ウロヴォリアスとティアマドーが自分達の世界に帰るために、自分達の力で繋げてくれたから助かった訳だがな。」

 

そうウルティマと話しながら、フォルテは自分の中に入ったウロヴォリアス達の光を解析していた。

 

《解析が完了した。先程の光は十二神皇達の力そのもの。それを得た事で、究極能力(アルティメットスキル)十二神皇を獲得した。》

 

やはり、あれはウロヴォリアス達の力だったか。…元の世界に戻れる様にしたお礼ってところか。

 

 

そして、この数日の間に、新たに得た十二神皇のスキルの把握も行なった。

究極能力(アルティメットスキル)十二神皇は名の通り、子から亥の十二神皇を

召喚し、使役出来る能力。

アニメのダブルドライブで、タツミが邪神皇を支配しようとして十二神皇を従えていた事が可能。

それに加え、十二神皇の力をその身に纏う事も出来る。

更に、フォルテと電脳之神(デューオ)によって十二神皇の情報(データ)を複製し、究極贈与(アルティメットギフト)として与える事が可能。

 

 

そして、現在。

フォルテは、七つのカオスエメラルドを自分の前に並べた。

 

「カオスエメラルド…これも元の世界に戻さないとな。」

 

これが悪人…リーガルの手に渡ったなら大変な事になると考えていたフォルテは、この数日間……カオスエメラルドのエネルギーを自分の中に取り込みながら解析を続けていたのだ。

 

その結果、七つのエメラルドの力を完全に己が力とし、究極能力(アルティメットスキル)混沌操作(カオスコントロール)を獲得したのだ。

 

そして、エメラルドにある程度のエネルギーを返還して力を戻したので、七つのエメラルドを元の世界に送り返す事にしたのだ。

 

「エメラルドのエネルギーを得た事で、エメラルドのある世界の座標は分かった。さぁ、今から元の世界に返してやるからな。」

 

そう言ってフォルテは目を瞑り意識を集中させながら妖気(オーラ)を放出する。

すると、それに共鳴するかの様に、七つのカオスエメラルドは光を放ちながら宙へと浮きフォルテの周りを漂う。

 

そして、カオスエメラルドの力によってフォルテの全身は金色に光り輝いた。

まるで……あの青と黒の針鼠の様に。

腕と足の装甲(アーマー)と身体に走るラインはXX(ダブルエックス)の様に紫に染まりながらも全身金色に光輝くフォルテ。…名付けるなら(スーパー)フォルテが妥当だろう。

 

(スーパー)化したフォルテは死之賢者(バグラモン)で右腕をバグラモンの腕に変異させ前に翳し時空に干渉する。

混沌操作(カオスコントロール)によって更に力が増し干渉し易くなった事で、直ぐに時空ゲートが開いた。

 

「さぁ、元の世界へと帰るがいい。」

 

フォルテの声に従う様に、フォルテの周りを漂っていたカオスエメラルドは勢いよくゲートに突っ込む自分達の世界へと帰って行った。

 

「これで良し。」

 

フォルテは掲げていた腕を下そうとしたその時だった。

安定させていた時空ゲートに歪みが生じ出した。

 

「ん?力を注ぎ過ぎて不安定となったか……ッ⁉︎」

 

フォルテは時空ゲートの歪みから見える二つの光景に目を見開いた。

時空の歪みの先に見えるのは、人間の様に二足歩行する黒い針鼠が金髪の少女の手を引っ張りながらライフルを持つ兵士達から逃げる光景。

もう一つは、椅子に括り付けられ、兵士達から銃口を向けられる老人の姿。

 

フォルテは知っている……この光景を……この先にある

悲劇を。

そして、フォルテは無意識にバグラモンの腕を時空ゲートに突っ込んでしまった。

 

「……はっ!」

 

そこで我に返ったフォルテは急いで腕を引き抜こうとした時だった。

右腕が何かを掴んでいる感覚がある事に気付いた。

 

フォルテが右腕を引き抜き手の方を見ると、……黒い針鼠と少女そして、椅子に括り付けられている老人を掴んでいた。

 

「なっ⁉︎まさか……!」

 

フォルテは驚きながらもゆっくりと右手を開いて彼らを下ろした。

そして、腕を元に戻すとすぐさま彼らの元に駆け寄る。

 

「……気を失っているだけか。」

 

生きている事に安堵するフォルテ。すると、時空ゲートはまるで役目を終えたかの様に閉じてしまった。

 

 

 

 

 

 

とある世界の宇宙空間にあるスペースコロニー…アーク。

そこである天才科学者が、ブラックドゥームという宇宙人の遺伝子から究極生命体である黒い針鼠を生み出した。

何故その様な事をしたのか…それは、孫娘の不治の病を治す特効薬を作り出す為でもあったのだ。

 

生み出された黒い針鼠は、その科学者の孫娘と触れ合いながら共に学び絆を結んでいった。

そんなある日、ある事故が起こった事をきっかけに、GUN(ガン)と呼ばれる国防軍が事故を隠蔽する為にアークの

閉鎖と研究員達の口封じを開始したのだ。

 

黒い針鼠は少女と共に兵士達から走って逃げる!

 

「シャドウ!」

 

少女は黒い針鼠…シャドウの名を呼ぶ。

 

(このままでは捕まる!……せめてマリアだけは…。)

 

黒い針鼠…シャドウがそう思ったその時だった。

突然、目の前の空間が歪み出したのだ。

 

突然の事にシャドウとマリアと呼ばれる少女は足を止め、追いかけていた兵士達も戸惑う。

 

そして、歪みから巨大な骨の腕が飛び出しシャドウと少女に迫る!

 

「マリア!」

 

シャドウは咄嗟にマリアを庇う様に抱き締めるも、その腕に捕まり二人は歪みの中に引き摺り込まれた。

 

そして、歪みが消え兵士達は突然の事態に呆気に取られるのだった。

 

謎の腕に捕まり歪みに引き摺り込まれたシャドウ。

すると、シャドウの頭に自分の知らない自分の記憶が流れ込んできた。

 

GUN(ガン)によってマリアが撃たれ、自分がその復讐の為に自分の生みの親であるプロフェッサージュラルドの孫である者を利用し、アークを地球に落下させようとした記憶。

だが、それを止める為に、ピンクの針鼠の女性……またはマリアに似た少年の必死な説得によってマリアの本当の願いを思い出し、青い針鼠と共にアークの落下を阻止した。

 

そこで、シャドウは自分の記憶を失い、ある場所で目覚め、記憶を取り戻す為に行動を開始。

 

そして…ブラックドゥームが地球に攻めて来た。

その戦いの中で、自分の記憶と本当の使命を思い出し

ブラックドゥームを倒した。

その後は、プロフェッサージュラルドとマリア…過去と決別し連邦政府大統領直属のエージェントとして活躍していった。

 

それから様々な任務を遂行し時が経ち、復活したブラックドゥームと再び戦う事になった。

ある存在によって起きた時空異常により、過去の時間軸の二人と再会し……ブラックドゥームを倒した際に時空異常が回復して二人は元の時間軸へと戻った。

 

それからも様々な記憶や情報がシャドウの頭の中に流れ込んできた。

記憶をなくしたまま宇宙で敵と戦い続けた記憶。

……自分達の存在がゲームとして存在する世界など。

 

これは未来…そして並行世界での自分の記憶や別世界の情報だとシャドウは理解した。

 

 

 

 

 

やがて、全ての記憶と情報がシャドウの頭に全て流れ込むと、シャドウの意識は戻り目を覚ました。

 

「……此処は?」

 

目を覚ましたシャドウの目に映ったのは知らない部屋の

天井だった。

 

シャドウは起き上がり近くにある窓から外を見ると、青空が広がる街並みが見えた。

 

「……此処は地球なのか?」

 

今の状況を理解出来ないシャドウ。

すると、シャドウがいる部屋の扉が開いた。

 

扉が開く音に気付いたシャドウは振り向くと、そこにいたのはマリアとジェラルドだった。

 

「シャドウ!」

 

マリアは目覚めたばかりのシャドウに笑顔で抱き付いた。

 

「マリア⁉︎」

 

「目覚めたかシャドウ。…何処か身体に不調はないか?」

 

ジェラルドは、目覚めたシャドウを気遣いながら声を掛ける。

 

「プロフェッサー…ええ。今のところは大丈夫です。」

 

戸惑いながらもジェラルドの問いに答えるシャドウ。

その時、シャドウはマリアの病を思い出した。

 

「マリア!君も方こそ大丈夫なのか⁉︎」

 

必死に声を上げるシャドウ。

 

無理もない。マリアの病とは、先天性免疫不全症候群(NIDC)という免疫力が低下し、病原菌に弱く無菌室の中でしか生きられないという物なのだ。

低重力のスペースコロニー・アークの療養棟内で過ごしており、無菌空間のアークから出られないのだ。

 

マリアを心配するシャドウ。

そんなシャドウをマリアは彼の頬を優しく撫でる。

 

「うん。私は大丈夫よシャドウ。」

 

「信じられない事じゃが、マリアの病は完治しておるのじゃ。」

 

ジェラルドの言葉に目を見開き驚くシャドウ。

 

「プロフェッサー。それは一体?」

 

「それについては、俺から話そう。」

 

ジェラルドに問いかけるシャドウの言葉に第三者が答える。

謎の第三者の声に、シャドウは声のする扉の方へと顔を向けた。

其処にいたのは、妙な黒いメットを被りマントで身を包んでいる子供と、蝶型の髪飾りをつけた少女が立っていた。

 

「おお。フォルテ殿。来られていたか。」

 

「シャドウの様子が気になっていたからな。無事に目が覚めて良かった。」

 

フォルテの姿を見たジェラルドは笑みを浮かべ、フォルテは話しながら病室に入った。

 

「お前は…。」

 

「俺の名はフォルテ。フォルテ=テンペストだ。」

 

「私はアイリス。」

 

「この方達が儂らを助けて下さったのじゃ。」

 

自己紹介するフォルテとアイリス。

そんな二人の説明をジェラルドはシャドウにする。

 

「まぁ、実際には俺がこの世界に連れて来てしまったからな。」

 

「この世界?此処は地球ではないのか?」

 

「その問いに答える前に、アイリス。マリアを頼む。」

 

「ええ。」

 

アイリスはマリアに近寄り手を差し伸べる。

 

「マリア。此処からは、込み入った話になるから向こうで私と待っていましょう。」

 

「うん。」

 

マリアはアイリスの手を取る。

 

「じゃあ、またねシャドウ。」

 

そして、アイリスと一緒に病室から出ていくのだった。

アイリスとマリアが病室を出て行くのを見届けたフォルテは、シャドウに向き直して口を開いた。

 

「さて、…何処から話すべきか。お前は五日ぶりに目を覚ましたばかりだからな。」

 

「五日?僕は五日も眠っていたのか?」

 

「その通りじゃ。儂とマリアは翌日には目を覚ましたが、お前だけは眠り続けておったのじゃ。」

 

「まぁ、やはり何故お前達がこの世界に来てしまったのかを説明しない事には始まらないな。」

 

そして、フォルテはシャドウに説明を始めた。

こちらの世界に迷い込んでいたカオスエメラルドの事。カオスエメラルドの力を利用して、時空に穴を開けてカオスエメラルドを元の世界に送り返した事。

その直後に時空に歪みが生じ、歪みからシャドウ達の姿が見え、フォルテは思わず右腕を歪みの中に突っ込んでしまい、…シャドウ達をこの世界に引き摺り込んでしまった事を…。

 

「あの妙な腕は貴方のものだったという訳か。」

 

「その通りだ。」

 

「そして儂らこの世界に来た訳じゃが、世界を越える際に、この世界に存在する魔素と呼ばられるエネルギーに触れた事で、肉体は再構成されたのじゃ。」

 

「それによって、マリアの病は消えた様だ。」

 

「なるほど。そういう事か…。」

 

フォルテとジェラルドの説明を聞き、マリアの病が消えたと分かったシャドウは安堵した。

 

「勝手にこの世界に引き込んでしまったを謝罪する。」

 

フォルテは二人に対し頭を下げる。

 

「頭を上げてくだされフォルテ殿。結果的に、フォルテ殿のお陰で儂とマリアは救われたのじゃから。」

 

「プロフェッサーの言う通りだ。あのままフォルテ殿の干渉がなければ、マリアが撃たれ、プロフェッサーは処刑されていた。」

 

シャドウの()()()()に、フォルテとジェラルドは反応した。

 

「シャドウ…やはりお前もあの記憶を見たんじゃな。」

 

ジェラルドの言葉にシャドウも反応し、ジェラルドを見る。

 

「もしや、プロフェッサーも…。」

 

「うむ。フォルテ殿にこの世界に引き込まれた時じゃった。時空の歪みの中で、儂の仕出かした事でお前に辛い思いをさせてしまった事を知ったのじゃ。」

 

「プロフェッサー…。」

 

「シャドウ。すまなかった。」

 

「いえ。プロフェッサーのせいではない。それに、あの記憶の中の僕は恐らく僕じゃない。」

 

「ん?それはどういう意味だ。」

 

ジェラルドとシャドウの話を聞いていたフォルテは、シャドウに問う。

 

「プロフェッサーが記憶操作した未来の僕。あれは僕の

複製体だ。」

 

シャドウの言葉にフォルテは目を見開いた。

 

「その通りじゃ。シャドウにもしもの事があった場合を考え、マリアにも秘密にしてシャドウの複製体を創り出しておいたのじゃ。」

 

「この事を知っているのは、僕とプロフェッサーだけ。」

 

シャドウとジェラルドの話にフォルテは内心驚いた。

 

(まさか、シャドウの複製体用意されていたとは、……このジェラルドとシャドウのいた世界ではそうだったという事か…。)

 

フォルテの様子見ていたシャドウは、何かを確信した。

 

「その反応。貴方は僕達について色々と知っている様だ。」

 

「ん?ああ。ジェラルドから事前に聞いていたからな。」

 

「いや、それだけではない。……貴方は最初から僕達の事を知っていた。そうではないか。」

 

シャドウの確信をつく様な言葉に、フォルテは驚いた。

 

「何故そう思った?」

 

「貴方の僕とマリア、そしてプロフェッサーを見る目が優しげだった。まるで、マリアと僕の再会を心から喜んでいる…そんな目だった。」

 

「そうか…。」

 

フォルテはジェラルドに目を向けると、ジェラルドは応える様に頷いた。

 

「流石はシャドウ。見事な観察眼だ。なら、俺についても話そう。これから話す事は、既にジェラルドにも話している。」

 

そうしてフォルテはシャドウに話した。

自分がこの世界とは違う世界の元人間である転生者だと言う事、元の世界ではシャドウ達は架空の存在…ゲームのキャラクターとして存在していた事を。

 

「なるほど。…そういう事か。」

 

「信じるのか?」

 

「既に僕達が異世界に来ているという事実がある。なら、貴方が言う転生があってもおかしくない。それに、貴方の元いた世界では架空の存在だったとしても、マリアやプロフェッサー…そして僕は此処に存在している。」

 

シャドウはフォルテの話を聞いて、信じて全てを受け入れたのだ。

 

「そうか。なら、ジェラルドと今後について話し合ったのだが、この街で暮らしてもらおう事になった。」

 

「この世界で生きていくには、フォルテ殿達に頼る他ないからのう。」

 

「プロフェッサーがそうおっしゃるなら、僕はそれで構わない。」

 

こうして、シャドウ達は魔国連邦(テンペスト)で暮らす事が決まった。

 

 

 

 

それから数日が経過。

 

「シャドウ!急いで!」

 

マリアは元気良くシャドウの手を引っ張って森の中を走っていた。

シャドウはマリアに引っ張られながら走り続ける。

 

やがて森を抜けると、そこには一面綺麗な花が咲き乱れていた。

此処は樹人族(トレント)の森。

トレイニーさん達が管理している場所であり、アピトと

ゼギオンそしてアークが蜜を集めている場所でもある。

 

「見てシャドウ!とっても綺麗!」

 

マリアは笑顔で笑いながらお花畑を走り回る。

そんなマリアの姿を、シャドウは笑みを浮かべて見ていた。

 

それからマリアは、花で作った輪っかをシャドウの頭に被せたりして楽しく遊んだ。

 

そして、二人は花畑の中心で座り青空を見上げた。

 

「こっちの世界の空も青くて綺麗。」

 

「そうだねマリア。」

 

「こうしてシャドウと一緒にお日様の下で遊べる事が、何よりも嬉しい。」

 

「マリア…。」

 

「それに、おじいちゃんも今は元気に働いているのも嬉しいの。」

 

マリアの祖父であるジェラルド・ロボトニック。

マリアの死を知って狂ってしまったが、この世界でマリアと再会し本来の自分を取り戻した。

そんな彼は現在、ベスターと共に回復薬の研究を行なっている。

この世界の回復薬…特に完全回復薬(フルポーション)の存在とその効能に驚愕したジェラルドは、回復薬に興味を持ち、回復薬の研究に自分から参加した。そして、病を完治させる回復薬を作り上げる事を目標としている。

 

「こっちの世界の人達……魔物と呼ばれている皆もとっても優しくて親切にしてくれる。」

 

マリア・ロボトニック…彼女はこの世界に来てからすぐにリムルとフォルテが検査と解析を行った。

そして、この世界に来た事で病は完治したが、代わりに大量の魔素を取り込んでしまった。

そこでフォルテは自分の能力を発揮し、シズさんの時の様に、トレイニーさんから得た情報(データ)から風の上位精霊

風の乙女(シルフィード)を純粋な精霊として創り出し、マリアに宿らせた。

風の乙女(シルフィード)のお陰で、マリアの魔素は安定した。

 

それからは、魔国連邦(テンペスト)こ寺子屋でこの世界について学びながらシャドウと楽しく過ごしていた。

 

「私、フォルテさんとリムルさんには感謝しているの。あの時、フォルテさんが私達をこの世界に連れ来てくれなかったら…私は……。」

 

「マリア…。」

 

マリアも分かっていた。アークでのあの状況、ではもう逃げる事は無理だった事を。

 

「…シャドウ。これからは、フォルテさん達の力になって上げて欲しいの。」

 

マリアの言葉に、シャドウは目を見開いた。

 

「フォルテさん達はこの世界で魔王として頑張っているって街の皆から聞いたの。皆からあれだけ慕われているフォルテさん達。私もそんなフォルテさん達の力になりたい。でもこの世界にはとても怖かったり、凄い力を持った人達がこの国を狙って襲って来た事を、皆が話し合っているのを偶然聞いてしまったの。」

 

そう話ながら悲しげな表情を浮かべるマリア。

 

「本当なら、シャドウには戦ってほしくない。…でも、この街の皆が傷付いて悲しむ姿はもっと見たくない…。」

 

この数日での魔国連邦(テンペスト)での日々は、ずっとスペースコロニー・アークで過ごしていたマリアにとって、本当に幸せな日々だった。

寺子屋での他の子供達と楽しく遊んだり、街の皆から笑顔で声を掛けられ色んな話をしたりと、毎日が楽しかった。

そんな中、偶然にも紅丸とカーネルそして、フォルテが話し合っているのを聞いてしまったのだ。

あのファルムスでの惨劇…リムルとフォルテの覚悟を。

 

「…だからねシャドウ。貴方の力でこの街の皆を守ってあげて。」

 

「…分かった。それが君の願いなら。」

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、俺の元に来たのか。」

 

「ああ。」

 

執務室で仕事をしていたフォルテの元にやって来たシャドウが、マリアと話し合って決めた事をフォルテに説明した。

 

「まさか、マリアにあの時の話を聞かれていたとは…。

それで、本当に良いのか?」

 

「無論だ。僕達は結果的に貴方に救われた。

プロフェッサーの事、そしてマリアの事も。」

 

「シャドウ…。」

 

「それに、僕が貴方の力になろうとするのは、マリアに言われる前から考えていた事だ。街の皆に慕われ寄り添う貴方だからこそ、僕の力を貴方の為に役立たせて欲しい。」

 

シャドウの真剣な偽りの無い澄んだ瞳を見たフォルテ。

 

「…分かった。」

 

フォルテは立ち上がりシャドウの前に立って手を差し出す。

 

「これから宜しく頼む。」

 

「ああ。」

 

シャドウはその手を掴んで二人は握手を交わした。

 

「後、一つ頼みたい事がある。」

 

「ん?なんだ?」

 

「僕に名付けというものやって欲しい。」

 

シャドウの言葉にフォルテは目をぱちくりさせた。

 

「本気か?理由はなんだ?」

 

「僕の名はマリアの思いが込められたもの。それを魂に刻んでおきたい。本来なら、プロフェッサーかマリアに頼むところだが、…この世界の名付けがどれほど危険なのかも聞いている。」

 

「なるほど。それで俺に頼んだ訳か。」

 

「僕自身、他の者に名付けてもらうなら、貴方しかいないと思っている。」

 

シャドウの真剣な眼差しを見てフォルテは頷いた。

 

「…分かった。なら改めて、これから宜しく頼むぞ

〝シャドウ・ザ・ヘッジホッグ〟!

 

フォルテは力強くシャドウの名を言った瞬間、膨大な魔素が消費された。

 

(流石は究極生命体のシャドウだ。……ウルティマ達と同じく七割くらい魔素を持っていかれたな。)

 

フォルテはすぐに、虹之鳳翼(フェニックスエール)無限供給(インフィニットレイヤー)で消費した魔素を回復させる。

その一方、名付けによってフォルテの魔素を取り込んだシャドウは。

 

「これが名付け……名を得るだけでこれだけの力を得られるとは。そして、僕の名が魂の奥底に刻まれたのを感じる。」

 

名付けによる力の増大を感じていた。

 

「名を与える方が名付けによって生命力を消費してしまうのも理解出来るな。」

 

「ああ。今まで名付けを繰り返して無事なのは、俺とリムルくらいだろうからな。」

 

そして、名付けが終わると、シャドウはその場でフォルテに向かって跪いた。

 

「改めて感謝する。これからは貴方の……いや、フォルテ様の為に僕の全身全霊を捧げると此処に約束する。」

 

「ああ。期待しているぞ。……シャドウ」

 

こうしてこの日、フォルテの配下…仲間にシャドウ・ザ・ヘッジホッグが加わった。

 




という訳で、ソニックのライバルであるシャドウ・ザ・ヘッジホッグが登場。
50年前のあの悲劇の瞬間からこの世界にマリアとジェラルドと共にフォルテが連れてきた彼ら。
マリアが生きている事でまともに戻ったジェラルドと、この世界に来た事で不治の病から解放されたマリア。
彼らには、シャドウと共にこれからも魔国連邦(テンペスト)で幸せに過ごして貰う予定。

そして、カオスエメラルドを元の世界に送り返した事で、時空に歪みが生じ新たな事態が待っている。月が導く世界と…。

来月は仕事などで忙しくなるので、投稿が遅れると思います。
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