転生したらフォルテだった件   作:雷影

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これからも頑張っていきます。
そしてタイトルどおりにカーネルの妹の彼女が登場します。


9話 大鬼族とカーネルの妹

デューオと出会ってから1週間。俺達の街作りは順調に進んでいた。

 

そんな中、俺は森の中でカーネルと対峙していた。

 

「いくぞ。」

 

「了解。」

 

俺は腕をソードに変えカーネルに斬りかかる。カーネルも自身の腕をサーベルに変え受け止める。そのまま互いに斬り合い、その度に剣がぶつかり合う音が辺りに響く。やがて鍔迫り合いとなるが、体格差で俺が押され始める。

このままでは押し切られると判断した俺は自分から飛び退いた。俺が引いた事でカーネルの体制が崩れる。その隙を狙って俺はバスターに切り替えて攻撃する。

 

連射光弾(エクスプロージョン)!」

 

無数の光弾がカーネルに迫る。だがカーネルは冷静にサーベルで全ての光弾を叩き斬った。

 

雷撃破斬(スクリーンディバイド)!」

 

カーネルのサーベルから緑の雷撃が斬撃となって大地を引き裂きながら俺に向かって襲いかかる。

 

俺は闘気(オーラ)を纏い斬撃を受け止める。斬撃を受けた事で爆発が起こり辺りが爆煙に包まれる。

 

カーネルは煙の中でフォルテが何処から来るか警戒している。

 

「………上か!」

 

カーネルが真上を見る。其処には夢之剣(ドリームソード)を握って斬りかかろうとするフォルテの姿が

 

「はあああ!」

 

カーネルはその場から回避して交わす。夢之剣の一撃で大地が切り裂かれ砕ける。

 

俺はすぐに体制を直す。互いに剣を構え次の手を考えるなか、シズが声をかける。

 

「フォルテ君。カーネル。今日はそこまでにしよう。」

 

シズさんの声でカーネルと俺は剣をしまう。

 

「流石はカーネルだ。軍事ナビだっただけあって戦闘力も高い上に冷静な判断力を備え剣の腕も一流だ。」

 

「フォルテ様もだいぶ戦闘に慣れてきましたね。操られた彼と戦ったことはありますがそれ以上の戦闘力は出せています。」

 

そう…俺は自身のフォルテとしての体でまともな戦闘をした事が殆どなかった。

だからカーネルに戦闘訓練として模擬戦をしてもらっていたのだ。

最初はフォルテの身体能力でなんとか戦っていたが、やはり軍事ナビであったカーネルが相手では戦闘経験の差でいつも負け越していた

だが模擬戦を繰り返す中で、能力吸収(ゲットアビリティプログラム)でカーネルの戦闘情報を吸収して、自分の力に変えながら戦い続けた甲斐もあり、自身の体の扱いにもだいぶ慣れて来た。

 

「スキルでカーネルの戦闘情報を取り込んではいるが、…やはり戦い慣れしないといくら力があっても宝の持ち腐れだと実感したよ。」

 

「フォルテ様は日々私との模擬戦で経験も積んでいます。その積み重ねはしっかりとフォルテ様の力となっていますよ。これからも模擬戦を続けていればご自身の身体能力(スペック)どうりの力を発揮できるでしょう。」

 

「ああそうだな。シズさんもいつも付き合ってくれてありがとう。」

 

「気にしないで、私もイフリートの本当の力とセレナードの力をうまく使えるように頑張らないといけないから。」

 

シズさんも新しいイフリートとセレナードの力を使い熟せるように俺達の模擬戦に協力してくれている。イフリートの力に関しては以前に制御していた分使用できたらしいけど、イフリートと心を通わせている事と精霊之心(フェアリーハート)で今まで以上に炎の力が増しておりコントロールするのが困難らしい。そしてセレナードの力も強大で固有スキルをうまく使えるように努力している。

 

「イフリートと通じ合えるとあんなに強い力を出せるなんて思ってもみなかった。それにセレナードのスキルも凄いんだよ。」

 

「確かに。俺もセレナードにスキルを写させてもらったが、流石は裏の王だ。」

 

『そう言って貰えると私も照れますね。』

 

シズさんの中からセレナードが話しかけてきた。

 

「セレナード。シズさんとのリンク率は上がっているみたいだな。」

 

『はい。シズも毎日私達と向き合ってくれてますからイフリートもシズの為に頑張ろうと張り切ってますよ。』

 

「ありがとうセレナード。イフリート。」

 

「じゃあそろそろ戻ろうか、リムルも心配するからな。」

 

「そうだね。」

 

「ではもどりましょう。」

 

イフリートの暴走で燃えてしまった分の復興を含めても街の建設は着々と進んでいた。カイジンとドワーフ三兄弟が衣類、道具作成、住居建設を進めてリグルドが他の村のゴブリンロード達をまとめて街の統治を行なってくれている。

 

リグルドからリムルがテントに戻っている事を聞いた俺とシズさんはリムルの元に向かった。

 

「リムル今戻ったぞ。」

 

俺が中に入ると。

 

「て⁉︎ストーップ‼︎ストーップ‼︎」

 

そこには人化しているリムルとリムルの分身体らしい存在がいた。何故らしいかといえば、その分身体は…リムルを大人の女性にしたみたいな姿だったからだ。

 

「………お邪魔だったようだな済まない。」

 

俺がそう言って外に出ようとする。

 

「待ってフォルテ!シズさん!色々誤解だっ‼︎」

 

リムルに止められ事情を聞くと、人間の姿に擬態できるようになったのでスライムの時との差を比較しながら分身体で自分の姿を確認したのちに大人の姿も作れるので男よりと女よりの姿を作っていたと。

 

「成る程。確かに人間の姿に慣れるようにするのは正しいが、女よりの姿は気をつけろ。」

 

「はい。つい勢いでやってしまったがあれは背徳感がある。」

 

そりゃあそうだ。リムルの人間ベースはシズさんなのだから女よりにしたらシズさんに似るのは当たり前。

 

「シズさんごめんなさい。」

 

「うん。リムルさんもわざとじゃなかったしいいよ。でも次はせめて服は着せてね。」

 

「はい……。」

 

こうしてリムルに対する説教は終わった。ちなみシズさんはリムルをスライムさんと呼ぶのをやめて今はちゃんと名前で呼んでいる。

そして今俺とリムルはリグルドから街の建設状況の報告を受けている。

 

「報告は以上であります。」

 

「ああ。問題ないご苦労さん。」

 

「ところでリムル様…今日もお食事は必要ないのでありますか?」

 

「ああ。どうせスライムの身体じゃ味はしないし…。」

 

「…リムル、その問題は解決してるだろ。」

 

「え?……おお⁉︎リグルド!今日から俺も一緒に飯を食うことにする!」

 

「なんと⁉︎では今夜は宴会ですな!」

 

「うむ頼んだぞ。」

 

リグルドは現場に戻り、リムルは上機嫌で歩いている。

 

「リムルさん嬉しそう。」

 

「今までスライムで味覚がなかったからな。元人間としてはやはり美味しいものが食べれるならこれほど喜ばしいことはないさ。」

 

「確かに味覚がないのは辛いな。」

 

「カーネルも味覚あったっけ?」

 

「再現はされてましたがあまり食べることはしなかったので。」

 

「軍事ナビだったからしかたないか。」

 

しばらく歩いているとリグル達が周辺警備兼食料調達に向かおうとしていた。

 

「今夜は宴会の予定だ。美味しそうな獲物を頼むよ。」

 

「今日はリムル様も食べるっすか?」

 

「おうよ!なんせこの身体には味覚があるからな!」

 

胸を張って言うリムル。ゴブタはそんなリムルの胸元を凝視していた。

 

「いっぱい食べるとおっぱいも育つっすかね?」

 

その瞬間、リムルの回し蹴りが見事にゴブタの鳩尾に炸裂

崩れ落ちるゴブタにシズさんがそっと近づくと、笑顔でこう言った。

 

「ゴブタ君。ああいう発言は女の子には駄目だよ。リムルさんだからまだ色々大丈夫だったけど気をつけようね。」

 

その笑顔の奥に何かを感じたゴブタは顔を真っ青にして〝ごめんなさい〟とシズさんに謝っていた。

 

その一方でリムルはリグルから魔獣の移動と言う異変を聞き、ランガに警備隊と同行するように命じていた。俺もゴスペルを影から呼び出した。

 

「……ゴスペル。お前も頼む。何かあればすぐに知らせてくれ。」

 

「かしこまりました。」

 

リグル達と別れた俺達はヴェルドラが封印されていた洞窟に来ていた。カーネルには街に残って見張りをしてもらっている。

俺達がシズさんから写させてもらったユニークスキル変質者の能力で得られたものを試しにきたのだ。変質者の能力は統合と分離で、シズさんがイフリートと同化させ一つの存在に変質させていたが、その能力はスキルなどにも応用が効き、様々なスキルを統合させて新しいスキルに進化させられた。

シズさん自身、自分のスキルでそんな事ができると知らなかったようで大層驚いていた。

まぁ俺の場合は、デューオから与えられた力により、解答者(オペレーター)と変質者がデューオの力と複製人格に統合されアルティメットスキル電脳之神(デューオ)に進化したことで更に効率良くスキルの統合と分離ができるようになった……ある意味デューオに感謝だな。

そして俺達は互いに得られたスキルを確認していた。その中でリムルが得られたスキルのひとつが。

 

「何これえげつない。」

 

エクストラスキル黒炎である。黒い炎とはまた強力なスキルを得たようだ。俺とシズさんも似たスキルに進化させられていた。シズさんはセレナードが補佐のおかげで効率良くスキルを統合をする事ができた。俺は電脳之神(デューオ)の補佐もあるが、俺自身がフォルテ…電脳魔人だったのでそういった電子的に近い作業がスムーズに行えた。改めてこの身体の優秀さには感謝だ。

 

俺が得たエクストラスキルは獄炎でまるで地獄の業火のような黒紫の炎。

シズさんはエクストラスキル蒼炎で透き通るような綺麗な蒼い炎だった。

 

「俺達かなり強力なスキルを得られたな。」

 

「これもシズさんのおかげだ。」

 

「ううん。私だけなら自分のスキルにこんな使い方があることさえ知らないままだったと思う。リムルさんとフォルテ君のおかげだよ。」

 

「シズさん…あっ!そういえばこの抗魔の仮面の修理できてたんだった。はいシズさん。」

 

リムルは仮面をシズさんに渡そうとする。

 

「ありがとう。でもその仮面はリムルさんが持っていて。」

 

「え?でもこれは。」

 

「今の私はイフリートとも分かり合えてるから仮面で抑えなくても大丈夫だよ。それに、これからリムルさんには必要になると思うから。」

 

「シズさん…わかったよ。それじゃあさっそく。」

 

リムルは仮面をつけて湖に映る自分の姿を確認している。

 

「似合うかな。」

 

「うん似合ってるよ。」

 

「いいんじゃないか。」

 

仮面姿のリムルに俺達がそう答えているとゴスペルとランガから思念伝達が

 

『『リムル様!フォルテ様!』』 

 

声からして緊急事態と推測した俺達は急いで向かった

 

 

 

走る俺達が森の先に見たのは倒れる警備隊と4人の鬼らしい存在。その内の老人らしい鬼がゴブタを斬ろうとした瞬間!ガキン!と音が響くと、ゴブタが斬られることなく別の剣が刀を受け止めていた。そこに現れたのはカーネルだった。

 

「カーネル!」

 

「ッフォルテ様!」

 

カーネルは俺に気付いて老人の剣を弾いて俺の元にくる。

 

「来てくれたかカーネル。」

 

「はい。森の中で強い力を感知し、警備隊が交戦したと予想して駆けつけました。」

 

「ウオォオオ‼︎」

 

「グオオオオ‼︎」

 

その上空から咆哮が聞こえ見上げるとランガとゴスペルは2人の鬼と戦っていた。

 

「ランガ戻れ!」

 

「ゴスペルお前もだ!」

 

ゴスペルとランガは俺達の元に

 

「主よ、すみません。」

 

「我らがついていながら。」

 

「ランガ、この倒れている者達は。」

 

「魔法で眠らされおります。あの桃色の髪の者の仕業です。」

 

ランガが顔を向けた方向には確かに桃色の髪の女性らしい鬼がいた。見た感じは巫女か姫のようにも見える。

 

俺とリムルは傷だらけのリグルとゴブタの治療を行った。

 

「リムル様。フォルテ様すみません。まさか大鬼族(オーガ)に出会すとは。」

 

大鬼族(オーガ)?」

 

なんか俺達の知るイメージとはだいぶ違うな。鎧をつけて持っているのは日本刀だよなあれは。他の者達の着てる物もなんか和服ぽい………。

そんな大鬼族達にリムルが話しかける。

 

「おいお前ら!事情は知らんがウチの奴等が失礼したな。話し合いに応じる気はあるか⁉︎」

 

リムルも気づいているようだ。ゴブタとリグルは実力に差があるのに致命傷ではなく、警備隊もわざわざ無傷で無力化されている。それによく見ると大鬼族の鎧に傷やヒビがあった。おそらく何か事情があるようだが……。

 

「お兄様 あの者の仮面…。」

 

「ああ。正体を現せ邪悪な魔人め。」

 

「は?」

 

やっぱり俺達を敵だと思い込んでいるようだ。

 

「ちょっと待て!俺がなんだって⁉︎」

 

「魔物を使役するなど普通の人間にできる芸当ではあるまい。それに先程爺の攻撃を受け止めた魔人。その魔人が仕える貴様も只者ではない。見た目を偽り妖気(オーラ)を抑えているようだが甘いわ!大鬼族(オーガ)の巫女姫の目は誤魔化せん!」

 

「正体を表すがいい。」

 

「黒幕から出向いてくれるとは、好都合というもの。」

 

あー今リムルは抗魔の仮面もつけて妖気を抑えているのが余計に誤解をまねいているのか。それにカーネルの強さを理解した上で俺に従っている姿を見れば余計そうなるか。

 

「なっ…あのな。」

 

「ふん。貴様の言葉など聞く耳をもたん!貴様の正体は全てその仮面が物語っている。」

 

ん?仮面が…俺はシズさんの方を見ると、シズさんは首を横に振った。どうやらシズさんとは関係ないようだ。

 

「待ってくれ、何か勘違いしてないか?」

 

リムルが誤解を解こうと話しかけるがオーガのリーダーらしい者が刀の矛先を向ける。

 

「同胞の無念!その億分の一でも貴様の首で贖ってもらう!邪悪な豚共の仲間め‼︎」

 

どうも話を聞いてくれそうにない。仕方ないここは戦意喪失させてから話し合いをするしかないか。先程の会話だと、どうやら俺達が大鬼族(オーガ)の仲間を倒した一味と勘違いしているようだ。

 

「リムル俺がやろうか?」

 

「いや、此処は俺がやる。フォルテはシズさんとランガと一緒にあの桃色の髪の巫女を抑えてくれ。」

 

「わかった。カーネルとゴスペルはリグル達を守ってくれ。」

 

「了解しました。ですがリムル様だけで5人を相手にする事なりますが。」

 

「大丈夫だカーネル。負ける気はしない。」

 

「流石は我が主!」

 

リムルの言葉にランガは尻尾を元気に振っている。

 

「舐められたものだ…真の勇気かただの蛮勇か。その度胸に敬意を払い挑発に乗ってやろう。……後悔するなよ!」

 

そう言って長らしい大鬼族(オーガ)はリムルに斬りかかるが、刀を振りおろすとそこにリムルはおらず、辺りを探し振り返ると大男の大鬼族(オーガ)の前にリムルはいた。

 

大男が木製の金槌で攻撃しようとするが、リムルが手をかざすと手の平から麻痺吐息を放ち大男は麻痺して倒れた。その瞬間背後から大鬼族(オーガ)の女性がモーニングスターで頭を狙うが魔力感知で動きを把握していたリムルはしゃがんで躱した。その際に振り返り〝デカイ!〟とリムルの声が聞こえたが……戦闘中にどこ見てんだよ。

 

大鬼族(オーガ)の女性を粘鋼糸で動きを封じた直後に大鬼族(オーガ)の男性が刀でリムルを強襲するが

刀は折れた。リムルの右腕は身体装甲により強固な装甲の腕と化していたからだ、その腕による一撃を受けた大鬼族(オーガ)の男性は木に叩きつけられ気絶した。

 

「あんなに簡単に……。」

 

「見事だな。リムルの奴、人の姿になってまだ間もないのに、今まで獲得したスキルもうまく使い熟している。」

 

「やっぱり凄いねリムルさん。」

 

リムルの戦いぶりに大鬼族(オーガ)の巫女姫は驚き俺とシズさんは感心した。

そして今までのリムルの戦闘からリムルが捕食した魔物とスキルを大鬼族(オーガ)の老人は言い当てる。

 

「あの爺さんは厄介だな。年に見合う経験と観察力それに一瞬だが見えたあの刀捌きは…正しく達人のものだ。」

 

「私もそう思う。純粋な剣術だけなら私でも敵わない気がする。」

 

英雄と呼ばれたシズさんにそう言わせるとは。そんな中リムルがもう一度大鬼族(オーガ)の長に話しかける。

 

「ここら辺にしないか?そろそろ俺達の言い分も聞いて欲しいんだが。」

 

「黙れ邪悪な魔人め‼︎」

 

「えーと…だからな。」

 

「確かに貴様は強い、だからこそ確信が深まった。」

 

「確信?」

 

「やはり貴様は奴らの仲間だ!たかが豚頭(オーク)ごときに我ら大鬼族(オーガ)が敗れるなど考えられぬ。」

 

「オーク?おいさっきから何を⁉︎」

 

「黙れ!全ては貴様ら魔人の仕業であろう!」

 

「えっ魔人?」

 

「とぼけるな!」

 

何やら余計に誤解されてしまったが…豚頭族(オーク)とか魔人とか、やはり何かあったのだろう。

 

「待てよ!だからそれは誤解っ⁉︎」

 

リムルがなんとか誤解を解こうとした次の瞬間、リムルの背後に大鬼族(オーガ)の老人が回り込み斬りかかる。リムルはとっさに躱すが、なんと身体装甲で強化された右腕が斬り落とされた。

 

「うぬ……わしも耄碌したものよ。頭を刎ねたと思ったのじゃが。」

 

マジかよあの爺さん⁉︎達人級だと思っていたが、リムルの魔力感知を掻い潜って多重結界と身体装甲で強化された腕を斬り落とすとは。

 

「リムル様!」

 

「腕が!」

 

「我主!」

 

その光景にリグルとゴブタそれにランガが声を上げる。リムルは大丈夫だとランガ達に声をかける。

 

「次は外さぬ!」

 

「どうやら蛮勇のほうだったらしいな。片腕を失い発狂しない胆力は褒めてやる。1人で俺達を相手取ろうとしたその傲慢さが貴様の敗因だ。冥府で悔み続けるがいい‼︎」

 

大鬼族(オーガ)の長は刀を構え止めをさそうとするが、リムルは斬り落とされた右腕を拾いそのまま吸収した。そして斬られ腕は超速再生で復元する。その光景に長と老人は目を見開く。

 

「あは!片腕を斬り落とした程度で俺に勝ったつもりだったのか?」

 

「うっ⁉︎ばっ…化物め‼︎鬼王の妖炎(オーガフレイム)‼︎」

 

長が印を結ぶと炎の竜巻がリムルを呑み込む。中々の炎だがイフリートの炎化爆獄陣(フレアサークル)に比べるとまだ威力は足りないな。それに炎とは本当に相手が悪かったな。

 

「…若。」

 

「やった…のか?……⁉︎」

 

炎の竜巻の中を平然とリムルは歩いて抜けた。

 

「悪いな、俺に炎は効かないんだ。だが確かに俺はお前達のことを甘く見ていたようだ。」

 

そう言ってリムルは抗魔の仮面を外した。

 

「少し本気を見せてやろう。」

 

リムルから妖気(オーラ)が解放される。

 

「なんという妖気!」

 

「よく見ておけ。」

 

リムルが左腕を上げると黒炎を放ち上空で渦巻くように燃え上がる。

 

「ああ…あれは…あの炎は周囲の魔素を利用した妖術ではありません!あの炎を形作っているのは純粋にあの者の力のみ。炎の大きさがそのままあの者の力‼︎」

 

巫女姫はリムルの力を理解したようだ。

 

「もっと面白いものをみせてやろう。これが俺の…真の力だ!」

 

そう言ってリムルは黒稲妻が進化した黒雷で近くの大岩を粉砕

 

「…やりすぎだろ。」

 

俺は思わずそう呟く。

 

「どうするまだやるか?」

 

流石に大鬼族(オーガ)の長もリムルの力を理解して怯んだ。

 

「若!姫を連れてお逃げ下さいここはワシが!」

 

「黙れ爺。」

 

「凄まじいな…悔しいが我らでは貴様に遠く及ばぬようだ。だが!無惨に散った同胞の無念を背負ったこの俺が…ようやく見つけた仇を前に逃げるなどできん!俺には次期頭領として育てられた誇りがある!生き恥をさらすくらいなら命果てようとも一矢報いてくれるわ‼︎」

 

「若…それではワシもお供致しましょうぞ!」

 

ああそっちを選んだか。こうなると本当に死ぬまで戦いを続けるつもりだろうな……仕方ないここは俺も出て取り押さえるか。

俺がリムルの元に向かうとすると、俺より先にオーガの巫女姫がリムルを庇うように前に立つ!

 

「お待ちくださいお兄様!この人達は敵でないかも知れません。」

 

「そこを退け!」

 

「いいえ退きません!」

 

「何故だ?里を襲った奴と同じ仮面をつけた魔人ではないかっお前も言っただろう⁉︎」

 

「はい。ですが…冷静になって考えてみてください。これだけの力を持つ魔人様が、姑息な手段を用いて豚共に我らが里を襲撃されるなど不自然です。それこそお一人で我ら全てを皆殺しにできましょうから。それに昏睡の魔法に抵抗して見せたあの2人のボブゴブリンはこの魔人様を信頼して慕っているようです。私を牽制していた狼も。そして爺の刀を受け止めたあの魔人も只者ではありません。そんな魔人が仕えるあの魔人様もこの魔人様と同等かそれ以上の力を持っているはず。それならやはり豚共を使う必要がありません。」

 

巫女姫の話に長は少し落ち着きを取り戻したようだ。

 

「少しは人の話を聞く気になったか。ならこれはもういらないよな。」

 

リムルは黒炎の炎を消した。

 

「……結局何者なんだお前は?」

 

「俺?俺はただのスライムだよ。」

 

「スライム?」

 

「そうスライムのリムル。」

 

そう言ってリムルはスライムの姿に戻る。その光景に大鬼族(オーガ)達は目を見開く。

 

「ほっ本当に…。」

 

「ちなみにこの仮面はそこにいるシズさんが昔勇者から貰った物だ。お前達の里を襲った奴らと同じか確かめてくれて構わない。いいよねシズさん。」

 

「うん。」

 

「シズ……お主もしや爆炎の支配者シズエ・イザワか⁉︎」

 

シズさんの名を聞いて老人は驚く。

 

「爺さんはシズさんのこと知っているのか。」

 

「話には聞いたことがあったが、実際に会うのは初めてじゃ。それにあの仮面が勇者の持ち物だったなど。」

 

俺が大鬼族(オーガ)の老人と話をしている間に大鬼族(オーガ)の長はリムルから仮面を渡され確認している。

 

「……似ている気はするが。」

 

「この仮面には抗魔の力が備わっているようです。」

 

「しかしあの時の魔人は妖気を隠しておらなんだな。」

 

「では……申し訳ない。追い詰められて勘違いをしてしまったようだ。どうか謝罪を受け入れて欲しい。」

 

そう言って大鬼族(オーガ)の長がリムルに跪く。その後、俺とリムルで大鬼族(オーガ)達を回復させ警備隊も目覚めてこれで一件落着かと思ったその時!森の奥で爆発が起こり爆煙が上がる!何事か⁉︎と皆が顔を上げる。それと同時に電脳之神(デューオ)が俺に話かけてきた。

 

《主よ。爆発地点近くに多数の電子体の生命エネルギーを確認した。》

 

電子体だと⁉︎一体何が?

 

《反応から大半が電脳ウィルスと同じものだ。その中で2体のナビの反応を確認。どうやらウィルスから逃げているようだ。》

 

それなら助けに行くか。この世界で俺達以外の電脳世界の存在がいるとは、そのナビ達から話を聞く必要がある。それにしても、解答者(オペレーター)電脳之神(デューオ)に進化してからはなんか意思があるように喋るようになったな。これもデューオの人格を複製した影響か…。

兎に角!今は現場に向かわないといけない。

 

「リムル!何やら事件のようだ。俺はゴスペルとカーネルと共に確認しに向かう!行くぞ!ゴスペル!カーネル!」

 

「「は!」」

 

「おっ!おい⁉︎」

 

俺達は急いで爆発のあった現場に向かう。

 

 

 

森の中では少女と子供が手を繋ぎ何かから必死に逃げていた。それは6つの脚の昆虫か蟹のような存在の群れだった。その群れは額から光線を放ちながら少女達を追いかける。

 

「はぁ!はぁ!急いで‼︎」

 

「うんお姉ちゃん!」

 

必死に逃げる2人。だが光線の余波で少女がその場に倒れる。

 

「きゃあ!」

 

「お姉ちゃん⁉︎」

 

子供は倒れた少女の元に近寄る。

 

「トリル!私はいいから逃げて!」

 

「嫌だ!お姉ちゃんを置いてなんて行かない!」

 

その間にも無数の虫のような存在が少女とトリルと呼ばれる子供に迫る。

 

「お姉ちゃんは僕が守る!」

 

「ダメ!トリル!」

 

少女を守ろうとトリルは手を広げ前にでる。そして虫の足がトリル目掛けて降り下ろされる。

 

「ッットリル‼︎」

 

少女が叫んだその時!虫の動きが止まった………そして次の瞬間虫の体が真っ二つに割れた。その向こう側にはサーベルを構えたカーネルがいた。

 

「間に合ったようだな。まさかドリームビットがいようとは。」

 

「………そんな…まさか……兄さん⁉︎」

 

突然兄と呼ばれ、振り向いたカーネルは少女を見ると…驚きで目を見開いた。その少女は自分とは違うカーネルの優しさのプログラムから分離され生まれた。まさにカーネルの妹と呼べる存在……。

 

「お前は…アイリス。」

 

「まさか、アイリスとトリルがこの世界に……それにドリームビットとは。デューオが言っていた影響とはこの事か。」

 

カーネルの側にフォルテが降り立ちゴスペルも到着した。

 

「フォルテ様。」

 

「カーネル。まずはこのドリームビットを片付けるぞ。ゴスペルも頼む。」

 

「は!」

 

「承知いたしました!」

 

俺とカーネルとゴスペルはドリームビットの群に攻撃を開始する。俺が光弾でビットを撃ち抜き。カーネルがサーベルで斬り裂いていく。ゴスペルも口からブレスを放ちビットを焼き尽くす。

 

「なんだ⁉︎あの魔獣は⁉︎」

 

「あれはドリームビット⁉︎なんで‼︎」

 

その最中にリムルと大鬼族(オーガ)達が追いついた。

 

「リムル!こいつらは俺達がなんとかする!リムルはアイリス達を!」

 

リムルはフォルテに言われ周りを見渡し、アイリスとトリルを見てまた驚く。

 

「なんで⁉︎……て今はそんなのは後だ!リグル!ゴブタ!シズさんもあの子の保護を!オーガの皆もすまないが協力してくれ!」

 

「は!」「わかりましたっす。」

 

「任せて!」

 

「わかった。」

 

リムル達がアイリス達の保護に動いてくれている間、残りのビット達がこっちの対処に闘気(オーラ)を纏い出した。

 

「厄介だが今の俺達には無駄だ一気にいくぞ!」

 

俺がそう言うと同時にカーネルとゴスペルが一斉に攻撃する!

 

氷之塔(アイスタワー)炎之塔(フレイムタワー)!」

 

雷撃破斬(スクリーンディバイド)!」

 

破壊波動(ダイナウェーブ)!」

 

氷と炎の塔がビット達を串刺しに凍らせ燃やし、カーネルの雷撃の斬撃とゴスペルの破壊の波動が一掃した。

 

「やっぱり凄いな…改めて見るとその威力が分かる。」

 

「フォルテ様。親父殿にカーネル殿もお見事です!」

 

「凄いよねフォルテ君達は。」

 

「リムル殿も凄まじかったが…あの者の力も凄まじい。」

 

「あの黒い狼……もし本気を出されていたら我らなど瞬殺されていただろう。」

 

リムル達と大鬼族(オーガ)達はフォルテ達の強さに感心したり圧倒されていた。

大半のビット達を撃破したが、まだ数体残っていた。このまま倒そうとしたその時、一匹が突然光だし、倒された仲間のビット達が粒子となって吸収されていく。そして光っていたビットが巨大化していきその姿を変えていき脚は変わらないが上半身が人型に変化、そうドリームウィルスに変貌した。

それにリムルは驚く!

 

「おい⁉︎ビットがマザーのウィルスになるとかありか⁉︎」

 

「おそらく仲間の情報(データ)を大量に取り込むことで進化したのだろう。」

 

俺はそう言いながらドリームウィルスに連射光弾(エクスプロージョン)を放った。だが、ドリームウィルスはビットの時とは比べものにならない闘気(オーラ)を纏い全て弾いた。そして反撃とばかりに光線を放つ。

 

「やはり闘気(オーラ)もドリームオーラになっているな!」

 

ウィルスは続けて腕を振るうとそれらは斬撃波となって俺達を襲う!躱すと斬撃波は地面を斬り裂いた。その威力は夢之剣(ドリームソード)に匹敵する。

 

ウィルスが斬撃波を連続で放ち俺達が交わす中、斬撃波がリムル達の方に向かった。

 

「まずい!」

 

リムルがなんとかしようと前に出ようとしたが、先にシズさんが皆の前に立った。

 

「シズさん⁉︎」

 

「大丈夫だよリムルさん。私に…ううん私達に任せて。いくよセレナード。」

 

『はいシズ。』

 

その言うとシズさんの背から羽衣が現れた。

 

反射(リフレクト)!」

 

斬撃波がシズさんに当たるその瞬間、斬撃波が弾かれそうままドリームウィルスに返された!ウィルスはドリームオーラで防いだが、オーラがその瞬間僅かに揺らいだ。

 

その光景にリグルド達が驚くが、リムルは凄いなと感動していた。

 

「さすがはセレナードの力だな。どんな攻撃も跳ね返す絶対防御の力を間近で見ると凄いな。」

 

「ありがとうリムルさん。今は私とセレナードが皆を守る!」

 

そう、セレナードの力はこの世界でユニークスキル絶対防御として獲得された。

その名の通りあらゆる攻撃を無効にしその威力をそのまま放った相手に跳ね返す。ヴェルドラを封印した勇者が使っていたと聞いた絶対切断と同等ではないかと思う程の強力なスキル。ただやはり強大すぎる力は完全に跳ね返せるほどには制御はまだできないようで、シズさんはこのスキルを過信しないようにしている。

 

さて、さっきのオーラの揺らぎからしてやはり夢之剣(ドリームソード)以上の力でないとあのドリームオーラは剥がせないようだ。なら最大の一撃を与えてやるまでだ。

 

俺が次で決めようと腕にエネルギーを集中する。それを見たドリームウィルスは本能で危険を察知したのか、新たに無数のドリームビットを生み出した。

 

「壁を作ったか。カーネル!ゴスペル!ビット達は任せる!俺は本体のウィルスを叩く‼︎」

 

「了解!」

 

「お任せを!」

 

俺が本体のウィルスに向かって進む。それを阻止しようとビット達が向かって来るが、カーネルとゴスペルがビット達を次々と撃破する。

 

そしてドリームウィルス目掛けて飛び上がる。ウィルスは新たにビットを数体生み出し一斉に光線を放ってきた!だが俺は構わず突っ込む。そんな俺に光線が直撃⋯…せずに弾かれそのまま放ったビット達が自身の光線で倒れる。

そう……俺も絶対防御を発動したのだ。

ウィルスを守るビット達がいなくなり、俺は腕に集めたエネルギーを叩き込む。

 

大地破砕(アースブレイカー)‼︎」

 

膨大な破壊のエネルギーがドリームウィルスに放たれドリームウィルスのドリームオーラを消し飛ばしウィルスは大地破砕(アースブレイカー)のエネルギーに呑み込まれる。

 

「グオァァァァ‼︎」

 

ドリームウィルスの悲鳴の叫びが響き、その身体は消し飛んだ。俺は能力吸収(ゲットアビリティプログラム)で残留しているドリームウィルスとビットの残留情報(データ)を取り込む。

 

《ドリームウィルスの情報(データ)を得たことにより闘気(オーラ)夢之闘気(ドリームオーラ)に進化した。更に新たなユニークスキル電脳魔獣(サイバーウィルス)召喚を獲得した。》

 

予想はしていたが夢之闘気(ドリームオーラ)に進化したか。やはりフォルテの闘気(オーラ)夢之闘気(ドリームオーラ)でないと。そして電脳魔獣(サイバーウィルス)召喚は名の通りウィルスを呼び出せるスキル。

 

俺は振り返り皆の方を見ると、大鬼族(オーガ)達は俺の一撃に唖然となって硬直していてリムルがおぉ!声を上げていた。

 

「これで片付いたな。後はこのビット達の残骸を……いっそ吸収したほうが早いか。」

 

「フォルテ様。ならば我にお任せを!」

 

「ゴスペル……そうだな頼む。」

 

俺がそう言うとゴスペルの体からスライム状の物体が広がり、ビットの残留を次々と包み込むと、球体のように小さく圧縮されていく。其れをゴスペルが呑み込む。これはゴスペルの固有スキル〈粘生物化〉で体をリムルのようなスライム状に変え〈吸収者〉で取り込んでいる。取り込んだものを魔素に変えてゴスペルは自身の体をより成長させ強化している。ゴスペルの成長の役に立つのだから一石二鳥だ。

 

そして瞬く間に辺りに散乱していたビットの残骸は全てゴスペルに吸収された。

 

「ご苦労ゴスペル。」

 

俺はゴスペルの頭を撫でて労う。そんな俺の姿をアイリスとトリルを見つめていた。

 

「なんて力…。」

 

「凄い……。」

 

そんな2人に俺は近寄り話かける。

 

「怪我はないか。」

 

「…ッあ⁉︎はい大丈夫ですッ。」

 

「助けてくれてありがとう。」

 

「無事で良かったな。」

 

「あの…貴方は一体、それにどうして兄さんが此処に。」

 

「それについては俺達の村で話そう。いいよなリムル。」

 

「もちろんだ。お前達も来いよ。」

 

リムルは大鬼族(オーガ)達も村へと誘う。

 

「え⁉︎いいのか?」

 

「ああ。色々事情も聞きたいしな。」

 

「そちらの仲間を傷付けてしまったが…。」

 

「そりゃお互い様だしな。死人は出なかったし良しとしよう。」

 

「お前達ならリグル達を倒すのはいつでもできたはず。それをせずあえて眠らせたのは関係ない者達の命まで奪うのを避けたんだろ?」

 

「ああ。」

 

「それに今夜うちは宴会なんだ。人数が多いほうが楽しいだろ。」

 

こうして俺達と大鬼族(オーガ)そしてドリームウィルスとの戦いは終わった。

アイリス達を保護して村に向かう俺達。その際、リムルが大鬼族(オーガ)の長に名を聞く。

 

「そういやお前達名前は?」

 

「いや、俺達に名持ち(ネームド)はいないよ。」

 

「そっか普通はないんだっけ。」

 

「え?名前がないのが普通なの?」

 

トリルは不思議そうに首を傾げる。

 

「その事も後で説明するから待ってくれ。」

 

それに俺達も何故アイリスとトリルがこの異世界にいるのか、何故ドリームビットに追われていたかなど聞きたいことがあった。

そう話をしているうちに俺達は村へと帰還した。




大鬼族達だけでなくカーネルの妹であるアイリスとアニメキャラのトリルも登場!
アイリスとトリルが何故この世界にいるのか…これからどうするのかをお楽しみにしていてください。
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