転生したらフォルテだった件   作:雷影

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タイトル通りあの料理にフォルテが挑む。
果たしてフォルテはどうなるのか…どうぞ。


11話 暗黒料理

訓練場。そこではフォルテ、カーネル、ハクロウの3人が木刀を手に構えていた。

互いに動かず静寂が支配するなか風が吹き、葉が一枚地面に落ちた瞬間、それを合図に3人の姿が消え、カカカカッと木刀同士がぶつかり合う音が響く。

目に見えないほどの高速での打ち合い。やがて音が収まった時、3人は互いの場所を入れ替えた位置に立っていた。

 

「今日はこのくらいにしましょうかのう。いやはやフォルテ様もさることながらカーネルも見事な剣士…いや軍人でしたな。」

 

「私から見ればハクロウ殿の方が剣では上だと思う。やはり長い月日剣と共に生きてきた者の剣は凄まじい。」

 

「いや、俺からすれば相変わらず2人共凄い。俺はただスキルで2人の戦闘経験を得て2人の動きに追いついていってるだけだ。」

 

「ほほほ、何を言いますか。例え経験を得て目でワシらの動きに追いつけてたとしても、体は普通ついていけませぬよ。ですがフォルテ様は見事にワシらについてきているではありませぬか。」

 

「その通り。フォルテ様自身の日々の努力の成果です。」

 

「そう言われるとありがたい。これからも2人との訓練が楽しみだ。」

 

そう言って笑みを浮かべる俺達。だがその周りにはズタボロになって倒れるゴブタ達がいた。

 

(((この人達が化け物過ぎる!)))

 

俺達が訓練をする前にゴブタ達がハクロウに剣の修行をつけてもらっていたが、ハクロウのまさに鬼コーチっぷりにゴブタ達はいつもボロボロ。

それに加えて最近ではトリルの訓練をしていたカーネルがハクロウの修行に興味を持ち、そのままゴブタ達の修行に自身の訓練を加えた。

そして剣士と軍人2人のコーチが誕生。ゴブタ達はより過酷な修行と軍事訓練をすることになった。そんな時、俺もしっかりと剣術を身につけようと2人に稽古をつけてもらっていたのだった。ちなみにシズさんも参加していたが、今はアイリスと一緒にシュナの手伝いをしてもらっている。

 

ハクロウ達との稽古を終えた俺は、リムルがベニマルと話をしている姿が見えたので俺も話に入ることにした。

 

「リムル、ベニマル、何を話しているんだ?」

 

「フォルテ、稽古は終わったのか?」

 

「ああ。それで2人はなんの話をしているんだ?」

 

「いえ、オークの中に豚頭帝(オークロード)が誕生している可能性があるとリムル様にお話を。」

 

豚頭帝(オークロード)? 名前からしてオークの王ってところか。」

 

「はい。数百年に一度生まれるとされるユニークモンスターです。」

 

「ユニークか…。」

 

「なんでも味方の恐怖などの感情を喰らい異常に高い統率力を持つとか。里を襲ってきたオーク達も仲間の死に怯む様子もなかったのでもしやと思い…。」

 

「なるほど。」

 

「まぁ可能性で言えば非常に低い話です。」

 

「だが可能性が無いわけでもないから警戒した方がいいな。それで他に里が狙われた理由に心当たりはないか?」

 

「そうですね……関係あるかわかりませんが、襲撃の少し前にある魔人がやってきて名を与えると言ってきたんですが……あまりにも胡散臭いので追い返したところ悪態をつきながら帰っていきました。」

 

「魔人ね。…そいつに恨みをかっているかもしれないってことか。」

 

「仕方ないですよ。主に見合わなければこっちだってごめんだ。名をつけてもらうのも誰でもいいってわけじゃありませんからね。」

 

「そりゃそうだな。」

 

「なんて名前だったか…ゲレ…ゲロ…」

 

ベニマルが里にきた魔人の名を思い出そうとしていると忍者のごとくソウエイが現れた。

 

「ゲルミュッドだ。」

 

「そうそれだ。」

 

ん?その名前ってたしかリグルの兄に名付けしたやつだよな。オーガの里にまで名をつけに行ったのか。

 

「ソウエイどうした?」

 

「報告がございますリムル様、フォルテ様。蜥蜴人族(リザードマン)の一行を目撃しました。湿地帯を拠点とする彼らがこんな所にまで出向くのは異常ですので取り急ぎご報告をと。」

 

「リザードマン? オークじゃなくて?」

 

「はい。なにやら近くのゴブリン村で交渉に及んでいるようでした。ここにもいずれ来るかもしれません。」

 

「そうか…リザードマンが。」

 

「おそらくリザードマン達もオーク達の行動を察知して対抗する為にゴブリン達を集めているんじゃないか。」

 

「なるほど。だがあの誇り高いリザードマン達がゴブリン達を集めているとなると、やはり豚頭帝(オークロード)の可能性を警戒しているのでしょう。」

 

そうなると、やはりこちらの戦力も上げておきたいがどうしたものか。

 

《それならば、電脳創造(サイバークリエイト)で新たな電脳の者達を創り出せばよい。》

 

俺の悩みに電脳之神(デューオ)が答える。

 

そうか!確か一からも創り出せるんだったな。今までは残留データからカーネル、不安定なアイリス達の再構成の為に使ったが一から創り出すことはやっていなかった。……試してみるのもいいだろう。

そう思った俺はソウエイとハクロウを見て作り出す者達を決めた。

 

「リムル。ちょっと離れてくれ。今から試したい事をやってみる。」

 

「フォルテ?……わかった。ベニマルも少し離れてくれ。」

 

「わかりました。」

 

リムルとベニマルが離れた事を確認し、俺は両手を前にかざして集中する。

イメージを形にする為に記憶や電脳之神(デューオ)にある情報(データ)を集約しスキルを使う。

 

電脳創造(サイバークリエイト)!」

 

俺の手から魔素が粒子となって放出され、それが人型に形成されていく。

やがて構成が完了すると、そこには紫の忍者と槍を持った鎧武者が目を瞑って立っていた。

 

「さあ目覚めろシャドーマン!ヤマトマン!」

 

俺が名を言うとやはり名付けとなり魔素を更に消費し、2人に魔素が送られると2人は目を開けた。

 

「俺は……なるほど。フォルテ様、生み出していただき感謝する。」

 

「拙者も感謝いたす。これよりフォルテ様に忠誠を誓いましょうぞ。」

 

どうやらこの2人も俺の記憶を見たようだ。そして、シャドーマンとヤマトマンの登場にリムルは驚く。

 

「えぇー⁉︎ シャドーマンにヤマトマン⁉︎ フォルテ、凄すぎだろ!」

 

「まぁ、デューオの力の一端を持つからできることだ。さてシャドーマン。お前はそこにいるソウエイと共に行動しオークとリザードマンの情報を集めてくれ。」

 

「かしこまりました。」

 

その言った瞬間、シャドーマンは目の前から消えたと思えばソウエイの隣に移動していた。

 

「フォルテ様の命により今日より其方の力となるがよろしいか?」

 

「無論だ。俺としてもお前のようなできる者が味方なら心強い。」

 

そう言った後、ソウエイとシャドーマンは消えた。早速情報を集めに向かったのだろう。この忍者タッグは頼もしい。

 

「最後にヤマトマン。お前はそこで皆に指導しているハクロウと共に皆の指導をしてくれ。オークとの戦いに備えてやはり訓練の強化が大事だ。」

 

俺の言葉にゴブタ達がえ⁉︎っと驚き顔を青くした。ハクロウを見たヤマトマンは歩みよる。

 

「フォルテ様の命により指導に参加したいが、できればハクロウ殿とは手合わせも願いたい。」

 

「ほほほ。ワシもフォルテ様が生み出したお主の実力も知りたいのでいつでも良いぞ。」

 

「ありがたい。では早速皆の指導を始めましょう!」

 

「うむ!」

 

そう言って木刀を手にゴブタ達に向かう武者と鬼……その姿にベニマルですら冷や汗を流していた。

 

「フォルテ様もなんて恐ろしい事を思いつくのか。ハクロウとカーネルのしごきでゴブタ達も限界そうなのに更に追い込みとは。」

 

「限界を超えなければ強くはなれない。それに俺自身も強くなりたいからこれくらい同然だ。」

 

「フォルテってスパルタなんだな。」

 

「さぁてリムル、ベニマル、俺達も行くぞ!」

 

「「お断りします!」」

 

 

 

それから数日、ヤマトマンも指導に加えた事で剣術だけでなく槍術もかなり上手くなった。

その分、ゴブタ達がズタボロになって倒れているがこれも皆が強くなる為だ。

ちなみにトリルは基礎能力がロックマンと同等であるためカーネルとヤマトマンの2人をメインとした訓練を受けている。

 

今日はシュナとアイリスの様子を見に行った。

シュナが織り機で見事な絹糸の反物を作っていた。アイリスも資料などでは知っていたであろうが実際に織られていく反物に興味深々であった。

 

「凄いな。もう絹織物なんてできたのか。」

 

「どれも綺麗で色鮮やかだな。」

 

「リムル様にフォルテ様、きてくれたのですね。」

 

そう言いながらシュナはリムルに抱きつく。リムルもスライムだが頬を赤くしているように見える。

そんな様子を見ているとアイリスが俺に歩みよる。

 

「フォルテ。これ見てくれるかな。」

 

そう言って反物を一つ手渡される。

 

「よくできるな。織り方も綺麗だし良い出来だと思う。」

 

「良かった。」

 

「良かったですねアイリス。」

 

笑みを浮かべるアイリスにシュナが笑顔でそう言う。

 

「もしかして、この反物はアイリスが織ったのか?」

 

「はい。アイリスはとても熱心に頑張っていました。」

 

「凄いじゃないかアイリス。」

 

「ありがとう。今の私にできるのはこれくらいだから。」

 

「そんな事ないですよ。アイリスさんがいてくれて私も助かってます。」

 

シュナもアイリスがいてくれて嬉しいようだ。そういえばシズさんも一緒にいるはずなんだが見当たらない。俺は辺りを探していると、奥からシズさんの声が聞こえてきた。よく聞くとハルナと何か話しているようだ。

 

「シズさんとっても綺麗ですよ。」

 

「ありがとう。」

 

「今リムル様とフォルテ様が来ているみたいですからお見せしましょう。」

 

「でも、ちょっと恥ずかしいかなぁ。」

 

「大丈夫ですよ。自信を持ってさあさあ!」

 

ハルナに押されて赤い着物姿のシズさんが出てきた。

 

「おお!シズさんすっごく綺麗だ!」

 

「うん。よく似合っている。」

 

「あっありがとう。お母さんがいつか私にもこんな着物を着せてくれるって話を皆にしたら、皆がこの着物を作ってくれたの。」

 

「シズさんの話を聞いて是非にもその思いを叶えてあげたいと皆で頑張りました!」

 

ハルナがそう俺達に説明してくれた。そうだよな…戦争が起こらず異世界に召喚されなかったら、シズさんもお母さんといっしょに着物姿で楽しく過ごせただろうに。

 

「ハルナ、シュナ、アイリス。これからも皆の衣類など頑張ってくれ。それにまたシズさんに似合う着物を作ってあげてくれ。」

 

「「「はい!」」」

 

その後、シュナとシオンでリムルの取り合いがあったが、リムルがなんとか宥めた。見ていた俺はリムルの体が千切れるんじゃないかと少し冷や冷やした。

 

そして俺達はシオンが手料理をご馳走してくれるそうなので食堂に来ていた。

そこにはベニマルにハクロウとソウエイがいた。

 

「これはリムル様。フォルテ様」

 

「お食事ですかな。」

 

「ああ。」

 

「シオンが手料理を作ってくれたって言うんでな。」

 

「「「え⁉︎」」」

 

ん?おいベニマル、お前その反応はなんだ。

 

リムルがベニマル達も誘うがベニマルは今腹がいっぱいだといい断りハクロウはお茶だけでいいと、ソウエイは分身体を出して村の周囲の偵察に行ったがまるで逃げているように見えた。

 

シオンってまさか……俺がある可能性を過らせるとちょうどシオンが料理を持って来たが……その可能性が当たってしまった。

 

シオンが持ってきた料理……いやこれは料理なのか⁉︎何か禍々しい妖気(オーラ)を放つ暗黒物質‼︎ 料理が下手とかそう言うレベルを超えたものが俺達の前に置かれた。

 

「さあさあリムル様。フォルテ様。」

 

シオンは笑顔でスプーンを俺達に渡す。俺とリムルはベニマルの方を見ると、腹を鳴らしながら顔を外らして茶を飲んでいる。ハクロウに至っては気配を完全に消している。

 

「いっ…いただきます。」

 

「はい。」

 

リムルは食べようとスプーンで掬うと、何故か顔に似たものが形成され、不気味な笑みを浮かべているように見えた………これはシミュラクラ現象ってやつか!と思えば、顔らしきものが怨念のような不気味な声をあげた。いや⁉︎これはもはや生き物‼︎何をどうしたらこうなる⁉︎

 

俺はどうすれば……必死にこの場をなんとかしようと考えいると救いの神(電脳之神)が俺に語りかけた。

 

 

 

 

その一方でリムルは…。

 

フォルテと一緒にシオンの手料理を食べに来て俺は今まさに命の危機‼︎

どうすれば‼︎助けて大賢者‼︎その俺の願いに大賢者が目を瞑って右斜めにスプーンを突き出せば助かると答えてくれた。

どうゆう意味か分からなかったが、それを信じて実行‼︎するとむぐ⁉︎っと誰かが声をあげた。俺は恐る恐る目を開けると……俺が突き出したスプーンを咥えるゴブタの姿が……。

 

「ぐおおおおおお‼︎」

 

口にしたゴブタはその場に倒れもがき苦しみ緑の肌が紫に染まり口から泡を吹き助けを求めるように手を伸ばすが、ゴブタは力尽き上げた手も落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

その恐怖と戦慄の光景に辺りは静寂が支配する。そして料理を出したシオンはあれぇ?と目を逸らした。

 

「……シオン。」

 

「はっはい!」

 

「今後人に出す飲食物を作る時はベニマルの許可を得てからするように。」

 

「え⁉︎」

 

リムルの指示にベニマルはあんまりだと表情でリムルに訴え掛けるがリムルは知らんと顔で答えた。そして自分の為に犠牲になったゴブタに白い布を被せ手を合わせる。

 

 

ゴブタお前の勇姿は忘れない。

 

 

 

カチャ。

 

「ご馳走様でした。」

 

フォルテの方からスプーンを置く音とご馳走様って聞こえた……いやまさか……あれを食ったの⁉︎しかも完食⁉︎

 

俺はフォルテの方を見ると、フォルテの前にあったあのシオンの料理(暗黒物質)が綺麗に無くなっていた。

 

 

(((ばっ馬鹿な‼︎⁉︎)))

 

俺にベニマルそしてハクロウでさえ目を見開いて驚愕‼︎シオンは口を押さえて感動で涙していた。

 

そんなシオンにフォルテは近づいて話しかける。

 

「シオン。俺達を思って作ってくれたことは嬉しい。だがやはりある程度の料理の基礎はしっかりとした方がいい。これからは俺が料理の基礎を教えよう。」

 

「⁉︎ほっ本当ですか!フォルテ様にご指導していただけると。」

 

「ああ。ある程度なら俺もできるからな。その代わり俺の指導は厳しいぞ。」

 

「はい!私頑張ります!」

 

シオンは真剣な表情で返事をする。さてとゴブタの回復をしようとゴブタの方に向かうとしたフォルテだが、リムルに突然手を引っ張られ部屋の隅に連れられた。

……まぁ理由は分かる。

 

「フォルテ!お前どうやってあれを食った⁉︎いや!本当に食ったのか⁉︎」

 

「落ち着けリムル。気持ちは分かるが、俺はこうして無事だ。」

 

「だからなんで無事なの⁉︎ゴブタはあんな状態なのに‼︎」

 

「それはな、俺が電脳(サイバー)だから味覚を感じる機関をオフにする事ができる。それで味を感じずに済んだ。後1番大きいのは暗黒耐性があったからだな。」

 

「暗黒耐性?」

 

「その名の通り暗黒、闇や呪いに対する耐性だ。精神支配にも有効だし猛毒も無効にしてくれる。」

 

「何その耐性強くない⁉︎」

 

「まぁデューオの力から得た耐性だからな。」

 

「…流石フォルテ様。」

 

「ワシもシオンの料理を完食されたのには正直驚きましたぞ。」

 

「シオンの気持ちを考えたら食べないといけない気がしてな。それとベニマル。シオンの料理の味見は頑張れ。俺がシオンにしっかりと教えてやるからな。」

 

 

「フォルテ様………本当に頼みます!」

 

ベニマルは必死に頭を下げるのだった。




…まさかの完食。この頃の紫苑の料理が食べられる強者がいなかったのでフォルテに完食させました。
この紫苑料理が後にフォルテの力となります。
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