…この暑さで投稿速度が遅くなってしまいました。
遂に七曜の老師共とフォルテ達が戦う時。
ディアブロとウルティマの前にも現れた七曜の老師達だが、その運命は決まっている。
ディアブロは前に七曜の老師が姿を現すほんの少し前、リムルとフォルテ達の前に七曜の老師の2人がその姿を現した。
(遂に姿を現したな七曜の老師。)
フォルテは視線をリムルに向けると、リムルは気付き頷きながら互いに七曜の老師を警戒する。
「お前達の事情は知らんが邪魔をするな。」
「リムルとヒナタの決着はついた。ヒナタを死なせる訳にいかないからな。」
七曜の老師を睨みながらリムルとフォルテは言い放つ。
「そうはいきません。その者は大罪人。」
「聖人という立場でありながら神ルミナスの意思を無視した逆賊なのです。」
「お待ちください!ヒナタ様には考えがあって!」
「ヒナタ様を許してください!」
七曜の老師の言葉にアルノーとリティスが声を上げる。
「そこまでにしてもらおう!」
そんな中、一際大きな声を上げるものがいた。
「よくも私を欺いてくれたな七曜の老師よ!」
「レナード!」
そう。七曜の老師に騙され利用されたレナードだ。
「あなた方は最初からヒナタ様を抹殺するつもりで私に話を持ち掛けたのだろう!申し開きがあるならしてみるがいい!その如何によってはたとえ古の英雄と言えど私は決して…!」
ドスッ!
レナードが七曜の老師を問い詰めている最中だった。
……偽ギャルドが
「なっ…ギャルド。お、お前…。」
七曜の老師に集中し隙をつかれたレナードはそのまま倒れる。
「無礼だぞレナード。貴様こそ逆賊ヒナタと共謀し俺達を欺いた張本人だろうが!」
「レナード!」
まるでゴミを見るかの様な冷たい眼差しで倒れたレナードに対し言い放つ偽ギャルドと、レナードが刺された瞬間を目の当たりにしたフリッツが声を上げたその瞬間だった。
偽ギャルドの背後から兜を被った
「なっ⁉︎」
偽ギャルドは咄嗟に躱したが
「貴様!何をする!」
背後から攻撃された偽ギャルドが怒号を上げるが兜の聖騎士は無視し倒れているレナードの脇腹に
「うっ…。私は…。」
「しっかりしろレナード。」
意識を取り戻したレナードに兜の聖騎士が声を掛ける。
「お前は…。」
「おいおい。俺の声を忘れたのか?」
兜の聖騎士が兜を抜いだ。
「ッ⁉︎ば、馬鹿な!」
「ギャルド⁉︎」
兜の聖騎士がギャルドだと知り偽ギャルドとレナードが目を見開き驚く。
レナードはずっと偽ギャルドが本物だと思って今まで行動を共にしていた分、驚きが一番大きかった。
「これは一体……⁉︎」
「詳しい話は後だ。それよりも、俺に化けて随分と好き放題やってくれた様だな偽物!」
ギャルドは偽物が手放した自身の本来の武器である
そんな中、
《偽ギャルドから大剣に干渉した思念と同様の波長を確認した。》
「そうか。」
「
「「はっ‼︎」」
「油断はするな。七曜の配下か本人が化けている可能性が高い。」
リムルとフォルテの命に従い警戒しながら構える紫苑と紫蘭。
「くっ!…流石魔物は鼻が利く。もはや化けている意味もないな!」
偽ギャルドは本物のギャルドが現れた上にリムルとフォルテに正体を見抜かれた事で、自身の顔に手を当て被っていた偽ギャルドの顔を引き千切り本来の老爺の顔を曝け出したと同時に本来の服装を纏い七曜の老師の姿へと戻った。
「武力行使とは穏やかではありませんな魔王リムル、魔王フォルテよ。」
「ルベリオスとの戦争をお望みですかな?」
「しかし…ギャルドがまさか生きていたとは驚きましたぞ。」
ギャルドに化けていた老師は他の2人と合流し何食わぬ顔でリムルとフォルテに向かって口々に言ってくる。
「此処は俺達の国なんでな。怪しい入国者にはボディーチェック必須なんだよ。」
「他人に成り済ます様な奴は特にな。」
リムルとフォルテが七曜の老師に向かってそう言い放った時だった。
ディアブロとウルティマから思念伝達による連絡が入ってきたのは。
『リムル様、フォルテ様。緊急でご報告が。』
『黒幕が姿を現したよ。』
『ディアブロとウルティマか。』
『こっちも七曜の老師共が姿を現した。すまないが手短に頼む。』
『畏まりました。私に大司教殺しの罪を擦り付けた真犯人である七曜の老師の三名が姿を現しました。』
『証拠隠滅で報道陣達を迷いなく殺そうともしてたし、生かしおく必要がないと思うんだよね。』
『そうか。とことん腐った老害だな。』
これが人類の守り手と言われた偉大なる英雄だったとは思えないと考えながらフォルテは冷たい眼差しで七曜を睨んだ。
『七曜の老師が犯人だと言う証拠はあるのか?』
『目撃証人が多数おります。』
『……許す。駆逐しろ。』
『ウルティマも奴らに罪に相応しい苦しみを与えてやれ。』
『御意。』
『任せて♪』
リムルとフォルテから駆逐する許可を得た事でディアブロとウルティマは嬉しそうに黒い笑みを浮かべた。
そうしてリムルとフォルテから命じられたディアブロは、七曜の老師の攻撃による爆発が収まった頃合いでサーレ達に向かって口を開いた。
「…さて。皆さんご無事ですか?」
「あ、ああ…。無事だよ…アンタが張ってた結界にお陰で報道陣の連中は怪我一つない。」
ディアブロの問いにサーレは答える。
報道陣達はディアブロが此処に来てすぐに張っていた結界によって守られていたのだ。
ディアブロの結界によって守られた報道陣達だが、七曜の老師に攻撃された事実に皆は騒めき始めていた。
「い…今の私達が狙われたんだよな?」
「馬鹿な!三武仙のサーレ殿が“七曜の老師”と呼んでいたんだぞ?」
「そうだよ!偉大なる英雄達が一般人を害する訳ないだろう⁉︎」
「しかし明らかにこちらに向けて魔法を放っていたじゃないか!」
記者達も七曜の老師は当然知っている。
故に、その七曜の老師達が自分達の命を狙っている事に驚き戸惑うのは仕方なかった。
(まずい…。パニックが起きたら結界の外へ逃げ出す者もいるだろう。そうなっては必ず犠牲者が出てしまう。)
サーレは報道陣達の現状を見てなんとかせねばと考える中、報道陣達の無事な姿を見た七曜の老師共が忌々しそうに口を開く。
「チィ…忌々しい悪魔め。これ程とはな。」
「恐ろしい奴よ。ならばこちらも聖なる力を見せつけるとしよう。」
「やるぞ!準備せよ!」
七曜の老師共はディアブロとウルティマ諸共報道陣達を始末しようと次なる攻撃の準備を始める。
「そんな…で、では本当に証拠隠滅の為に我々は此処で七曜に殺されるのか…?」
「そんな⁉︎」
七曜の老師達が間違いなく自分達を殺すつもりだと知った報道陣達は絶望していた。
だが、そんな彼らに“原初”の救いの手が差し伸べられる。
「安心するがいい。私達がお前達を守ってやる。」
「僕達の優しさに感謝してね。」
ディアブロとウルティマの言葉を聞いた報道陣達は驚きながらも先程までのディアブロの圧倒的な戦闘を思い出し助かるかもと希望を感じた。
だが、1人の記者がある不安からディアブロに問い掛ける。
「あ…悪魔への願いには対価が必要なんだろう?俺達は何をすれば…。」
そう。悪魔に願いを叶えてもらうには本来対価が必要…。
身の丈に合わない願いをして召喚主がその悪魔に命を奪われる事など珍しくない故に、記者は助けられた後を心配していた。
「クフフフ。理解が早くて助かります。私達が求めるものは一つ…大司教殺しの真実を周知させる事です。貴方達の得意なやり方でね。」
「それだけで僕達が君達を守ってあげる。」
「も、勿論だとも!真実を大いに報道させてもらう!」
「アンタ達が私達を守ってくれた事も記事にしよう!」
「頼む!俺達を助けてくれ‼︎」
ディアブロとウルティマの言葉を聞いた記者達は喜び声を上げる。
真実を記事にして広める…自分達がしっかりと仕事をするだけで救って貰えると聞けば当然の反応だ。
……それが原初の悪魔となれば破格過ぎる対価だ。
「クフフフ…いいでしょう。皆様をお助けするとこの私達が約束します。」
「でもね…。」
ディアブロの言葉に続く様にウルティマが口を開きながら冷たい眼差しでエドワルド王を睨む。
「君は駄目だよエドワルド王。」
「な…何故⁉︎余が何をしたと⁉︎」
自分だけ助けてもらえない言われ声を上げるエドワルド王だが、ディアブロがその理由を口にして青褪める。
「黙れ!何故?何故だと?貴様は偉大なるリムル様とフォルテ様を愚弄した。その罪は万死に値する。」
「君には助ける価値がないんだよ。」
ディアブロとウルティマの言葉を聞いたエドワルド王は自分の言った言葉を思い出し冷や汗を流した。
リムルとフォルテの事を底が知れるや金に汚いなど2人の前で愚弄した事を…。
そしてディアブロとウルティマの塵を見る様な眼差しを見たエドワルド王は、2人が本気で助ける気がないと理解すると先程までの態度が一変しまるで神に許しを乞う様に手を組みながらディアブロとウルティマに必死に頼む。
「あぁ…お願いします!何とぞ…どうか何とぞ!余も…いや私もお救いください!全て差し上げます!金も地位も…王位も譲ります!」
「王位ですか…。」
エドワルド王が王位を譲ると言った事でディアブロとウルティマはほくそ笑む。
「そういえば英雄ヨウムが先王エドマリス殿の後見人になっていましたね。」
エドワルド王の元へと歩むディアブロとウルティマは、エドワルド王の左右に立ってその耳元に囁く。
「彼こそ、このファルムスの地を導くに相応しい男だと思うのですが…。」
「君はどう思う?」
「わ…私もそう思います!彼は見どころがある!」
ディアブロとウルティマがそう圧を乗せてエドワルド王に問い掛けると、エドワルド王は更に冷や汗を流しながら二人に同意し振り返りながら記者達に向かって声を上げる。
「き…君達!私はヨウム殿を後継者として公に発表したい!これも記事にしてくれるかね⁉︎」
「ハ…ハハ…英雄王の誕生ですね。」
「これは大々的に宣伝しないと。」
エドワルド王の必死な声に記事達は戸惑いながらも記事にする事を決めた。
その様子を見ていたディアブロとウルティマは満足そうに笑みを浮かべた。
「いいでしょう。これで計画は満足いくものとなりました。」
「じゃあ、後は塵の片付けだね。」
そう言って七曜の老師へと振り返るディアブロとウルティマ。
「ふん。貴様等が悠長に話をしている間に準備は整った!」
「
「この魔法より逃れる術はない‼︎」
ディアブロとウルティマがエドワルド王と話している間に、七曜の老師は術式の構築を完了させ二人の足下に巨大な魔法陣が展開された。
「「「
七曜の老師が魔法を発動させるとディアブロとウルティマの足下に展開された魔法陣から無数の光が豪雨の様に放たれる。
普通の魔王や悪魔ならこの攻撃で確実に倒せただろうが……相手が悪過ぎた。
殺戮の光の中で平然と立っているディアブロとウルティマ。
そして、七曜の老師を始末する為にディアブロが動く。
「緩やかに滅びゆく世界の中で何も出来ぬ絶望を知れ。発動、“
パチン!
ディアブロが指を鳴らすと同時に七曜の老師共は何も無い虚無の空間に転移され捕らわれた。
「っ…?…⁇…⁉︎」
「なんじゃ…何が起こった⁉︎何処だ此処は⁉︎」
「我らの組み上げた術式が消えておる!」
「馬鹿な‼︎奴らは…
突然の事態に訳が分からず戸惑いながら声を上げる七曜の老師達。
すると、ウルティマの声が虚無の空間に響く。
「ディアブロの世界に捕らわれた君達は終わりだよ。滅ぶ世界で絶望を味わいながら死ぬしかない。」
「貴様ら!一体何をした⁉︎」
「滅ぶ世界だと⁉︎どういう意味だ⁉︎」
ウルティマの言葉に対し声を上げて問い掛ける七曜の老師共。
それに対し今度はディアブロが答える。
「お前達は私のユニークスキルによって仮想世界に捕らわれた。それ以上を教えてやる義理もない。」
ハンドレッドのオーディン戦でも使用したディアブロの技。
ディアブロのユニークスキルである
本来は対象者の意識に直接作用し、相手の精神に直接影響を与えるのだが、ディアブロはそれを更に発展させ仮想世界を具現化させた上で、その仮想世界の中で絶対権力を発動させるに至った。
その世界で起きた出来事は虚実変転によって仮想と現実が入れ替わる……つまり、ディアブロによって与えられた幻覚が物質世界で現実となり、対象者の生死すらディアブロが司るのだ。
「本来ならこのまますぐにお前達を始末する予定でしたが、フォルテ様はお前達に相応しい苦しみを味合わせる事を望んでおられていますので、ここからはウルティマに協力してもらいましょうか。」
「ふふふ。任せてよ♪逃げ場の無い世界ならこれがやっぱり一番だね。」
ディアブロがウルティマに七曜の老師を苦しめる為の協力を申し出て、ウルティマは快く引き受けると、額に蝙蝠の紋様が浮かび上がりウルティマは仮想世界に向かって吐息を吐いた。
すると、ウルティマの吐息は霧となって七曜の老師全員を包み込んだ。
「ぐっ⁉︎ぐあああああ‼︎」
「なっ…なんだ!これは⁉︎」
「く、苦しい…!痛みが全身を……⁉︎」
七曜の老師全員の血管が紫にへんさ変色しながら浮かび上がり激痛にもがき苦しみ始めた。
……そう。ウルティマはリリスモンのファントムペインを使用した。
ラキュアの時より更に呪いを弱めている分、老体の七曜の老師であってもすぐに死なない様に見事な調整となっている。
「ほう。相変わらず見事ですね。あれほどの呪いを更に弱めるだけではなく、今度は意識を失わない様に調整するとは。」
「フォルテ様の望みは長く苦しめる事だからね。気絶されたら困るからちょっと調整してみたって訳さ。」
ディアブロでさえ感心するファントムペインの見事な調整。
ウルティマは弱めるだけでなく更に強化もしているのだが、……それはまた別の機会にお披露目する事になるかもしれない。
それから数十分もの間苦しみ続けた七曜の老師は口から泡を噴いたり血の涙を流しながら痙攣していた。
「……まぁこれくらい苦しめたらいいかな。本来ならもっと苦しんでもらうつもりだったけど、僕の優しさに感謝してよね。」
そう言ってファントムペインの呪いを解除するウルティマ。
呪いが解除された七曜の老師達はなんとか息を整え立ち上がると、ディアブロが彼らに最後の言葉を告げる。
「では自分達の愚かさを深淵の底で悔やむがいい。」
そうして七曜の老師達がいる仮想世界は紙を握り潰すかの様に徐々に縮みながら圧縮されてゆく。
「ま…待て!こんな事が…!」
「おい…おい!」
「うぅ…こんな事がまかり通ってなるものか!」
「こんな…何も出来ず…!」
ウルティマの呪いで苦しめられた後でも、現実を受け入れられず声を上げる七曜の老師共だったが、現実は変わらずやがて縮みゆく世界に押し潰される。
ベキ!バキ!ベキ!バキ!グシャ!ベキベキ!バキベキ!グシャバキ!
「「「ぐっああああああああ‼︎」」」
骨が砕かれ肉や内臓が潰れてゆく中、七曜の老師共の汚い悲鳴が仮想世界に響き渡りながら、最終的にはクシャクシャに握り潰した丸めた紙の様になってディアブロの掌に収まると塵となって消え去った。
そんな状況を目の当たりにした記者達は、どうやって記事すれば良いかと悩んでいた。
「さて…リムル様とフォルテ様にご報告申し上げなければ。」
「そうだね。」
こうしてディアブロ達の前に現れた七曜の老師三人は、何も出来ぬまま苦痛に苦しみ絶望の中で消えたのだった。
そのディアブロとウルティマに命じたリムルとフォルテは、紅丸達に向かって目の前の七曜の老師三人を捕らえる様に命じる。
「紅丸!蒼影!紫苑と共に七曜を捕えろ!」
「抵抗するなら実力行使も構わん!」
「待ってたぜその命令を!」
「リムル様とフォルテ様のお望みのままに。」
リムルとフォルテの命を受け臨戦体勢を紅丸と蒼影。
「フッフフフ、これはこれは。」
「良いのですかな?本当に全面戦争になりますぞ?」
リムルとフォルテが自分達を捕えようとする中でも丁寧に問い掛ける七曜の老師。
「よく言うよ。俺の伝言を書き換え和解の芽を摘もうとしたくせに。」
「まぁ、俺の用意していた予備の伝言までは流石に気付かなかった様だがな。」
「っ⁉︎」
「大司教殺しの犯人もお前らだってな。残念ながらウチの執事に濡れ
「俺達に喧嘩を売ったんだ。当然覚悟は出来ているんだろうな!」
リムルは自信満々に言い放ち、フォルテは右腕に魔素を集約しながら七曜の老師に問い掛ける様に言い放った。
「フッ、ハ〜ハッハッハッ!」
二人の言葉を聞いた七曜の老師共は言い訳するかと思えば、開き直ったかの様に笑い出した。
「そこまでバレているとは思わなんだわ。」
「しかし聖人は既に虫の息。」
「この好機を利用せぬ手はないわ!」
「ついでだ真実を知ってしまった貴様達も魔王共々始末しておくとしよう!」
「「「ハッハッハッハッハッハッ…!」」」
ヒナタは瀕死でリムルはヒナタとの一騎討ちで力を消費している事で七曜の老師共はアルノー達事始末しようと高笑いを上げる。
………だが、それは間違いだとすぐに知る事となる。
「誰が虫の息なのかしら?」
突然背後から声が聞こえ思わず振り返った七曜の老師達だが…。
「なっ…⁉︎」
「馬鹿な⁉︎」
「貴様は⁉︎」
七曜の老師達は戸惑う。
何故なら、振り返った先にいたのは……リムルの腕の中で息絶え絶えの筈のヒナタが平然と立っていたからだ。
「何故貴様がそこに⁉︎」
「では今魔王の腕にいるのは⁉︎」
七曜の老師が再びリムルの腕の中で息絶え絶えのヒナタへと顔を向けると、リムルとフォルテが笑みを浮かべる。
「残念だったな。」
「お前達は俺達に誘き出されたんだ。」
リムルとフォルテがそう言った直後、リムルの腕の中にいたヒナタが0と1へと変換されながら消えていった。
ヒナタだけではない。
七曜の老師が放った光のリングに捕らえられていたアルノー達も0と1へと変換され消えていた。
まさか!っと思った七曜の老師達が再び背後に現れたヒナタの方へと顔を向けると、ヒナタの左右に並び立つアルノー達の姿があった。
「……まさか、七曜の老師の本性がこれとはな。」
「人類の守り手と言われた英雄達が…。」
「私利私欲の為にこの様な事をするとは!」
「本当ありえないですよ!」
アルノー、リティス、バッカス、フリッツがそれぞれ口を開きながら鋭い眼差しで七曜の老師達を睨む!
「……フォルテ。貴方が渡してくれたチップに感謝するわ。」
そう言いながらフォルテに向かって笑みを浮かべるヒナタ。
実はフォルテがヒナタ達と宿屋で密会をした時に、フォルテが念には念をとあるバトルチップをヒナタ達に渡していた。
「これは?」
「カワリミのバトルチップだ。敵に捕らわれたり致命傷を負う様な瞬間に発動し、使用者の身代わりの人形を出現させて守る事が出来る。レイヒムには改良型で瓜二つの
フォルテが更なる改良を施したカワリミは、
それ故に、七曜の老師達でもカワリミの偽物を本物のヒナタ達と思い込んだのだ。
「……覚悟はいいかしら七曜。」
そう言って
ヒナタに続いてアルノー達も構える。
背後にはヒナタ達、前方にはリムルとフォルテ達が待ち構え…挟み討ちとなってしまった七曜の老師。
「さあ選べ。このまま大人しく捕らえられるか、俺達に倒されるかを。」
フォルテが七曜の老師に向かってそう言い放った時だった。
「フッフフフフ…。」
七曜の老師の1人が突然笑い出した。
「まさか我らの嘘が現実となろうとはな。」
「ヒナタよ。貴様は本当に魔王リムルと魔王フォルテと繋がっおったのじゃな。」
「これは神ルミナスもお怒りぞ。」
何故か余裕気ある態度でヒナタへと話し掛ける七曜の老師達。
「貴方達から見たらそうでしょうね。もっとも、これは貴方達の企みによって招いた結果に過ぎないわ。」
七曜の老師の言葉に対し冷たい眼差しで言い返すヒナタ。
すると、七曜の老師の1人が懐から銀色の液体が入った瓶を取り出した。
「少し予定が狂いはしたが、何の問題もない。」
「左様。」
「貴様らの相手は此奴らがしてくれるぞ!」
そう言って七曜の老師が瓶を地面に叩き付けると、中の銀色の液体が広がりヒナタ達やリムルとフォルテの前まで広がると、銀色の液体が形を成し無数の人型となって立ちはだかる。
「あれは⁉︎」
「リーガルの液体兵!」
そう。現れたのはDr.リーガルの手足にして尖兵の液体兵。
「七曜の老師!貴様らそれを何処で手に入れた!」
液体兵を見たフォルテが七曜の老師に向かって声を荒げる。
先ほどまで冷静さを貫いていたフォルテの突然の変わり様にヒナタは驚きながらも何かあるのだとすぐに悟った。
「これはこれは、彼奴の言う通り魔王フォルテはコレに反応するとは。」
「それほどまでに此奴の出所が知りたい様じゃが…。」
「教えてやる義理などない。」
「…まぁ、お前らが素直に答える訳ないか。」
七曜が答えない事を理解していたフォルテは、瞬時に液体兵を解析した。
カーネル達から報告などは聞いてはいたが、フォルテ自身が液体兵を見るのはこれが初めてだった。
(……種族はプロトとシンシヤの以前の種族だった
フォルテは解析した
人型を象っていた姿がより人間らしい姿へと変わってゆきある人物に瓜二つの姿へと変形したのだ。
その光景はまるでターミネーター2のT-1000の擬態そのものと言っても過言ではない。
「これは…⁉︎」
その光景にアルノーは思わず声を上げリティス達も目を見開いた。
何故なら、液体兵が模したのはヒナタの姿だったのだから。
ヒナタの姿へと変形した液体兵達の姿が全身が本来の銀のままなので本物ヒナタとの区別はついた。
「ヒナタの姿になった⁉︎」
「………。」
その光景にリムルは声を上げ、ヒナタは自分の姿を模られた事で不快となり七曜の老師を鋭い眼差しで睨む。
(……ヒナタの
そんな中、フォルテは冷静にヒナタの姿へと変形した液体兵を再び解析していた。
「……なるほど。油断するな!この液体兵はヒナタの姿だけじゃない!剣術まで再現している様だ!」
「なっ⁉︎」
「そんな…!」
「なんと⁉︎」
「本当ですかそれ!」
フォルテの言葉にアルノー、リティス、バッカス、フリッツは驚愕する。
無理もない。この無数のヒナタを模した液体兵全てがヒナタの剣術を使えるという事は、無数のヒナタを相手にする様なものだ。
「ほう。それにすぐ気付くとはやはり侮れんな魔王フォルテ。」
「じゃが知ったところでどうする事も出来ん!」
「さあ!行け!」
七曜の老師の命に一斉にフォルテ達に仕掛ける液体兵。
「来るぞ!」
それに対し皆が迎え討つ。
キィン!キィン!キィン!ガキィン!
皆が液体兵と剣を交え周囲に激突音が響く。
「くっ!なんて凄まじい剣撃だ!」
「この剣技…確かにあのヒナタに匹敵する!」
紅丸は凄まじい剣撃に驚き、蒼影は嘗てイングラシアで分身体が交戦した経験から液体兵の剣技がヒナタに匹敵している事を改めて理解した。
「ぐっ!」
「くっ!」
「ぐあっ!」
「うわっ!」
「うっ!」
「本当にヒナタ様の剣術を再現しているとは…!」
アルノー、リティス、バッカス、フリッツ、レナード、ギャルド達もヒナタの剣技で攻めてくる液体兵に苦戦した。
特に、アルノー達は紅丸達との戦闘で体力を消費している分より苦戦していた。
「水の呼吸 壱ノ型 水面斬り!」
「月の呼吸 壱ノ型
リムルとフォルテの一閃により、二人の周囲の液体兵は纏めて両断された。
そんな二人に続く様にヒナタも自身を象る液体兵を次々斬り倒した。
ヒナタの剣術を再現している液体兵だが、やはりヒナタ本人との力量の差は埋められる訳はなかった。
「私の姿と剣技を真似たところで所詮は紛い物の偽物。これで私を倒せると本気で思っていたのかしら。」
そう言って七曜を睨むヒナタ。
「フフフ。やはり魔王やヒナタ相手では敵わぬか。」
「じゃがいくら倒そうが無駄なことよ。」
「其奴らは幾らでも現れるのじゃからな。」
七曜の言う通り、倒しても倒しても次々と発生する液体兵。
「くっ…。」
その光景にヒナタは難しい表情を浮かべる。
リムルとの一騎討ちで全力を発揮したヒナタの体力はまだ完全には回復はしていない。そんな状態で無尽蔵に現れる液体兵の相手は流石のヒナタでもいつまで保つか分からない。
そんな状態でも迫り来る液体兵を相手に戦い続けるヒナタにリムルとフォルテが加勢しようと向かおうとしたその時だった。
グサッ!
液体兵と刃を交えていたヒナタが心臓を刺し貫かれた。
ヒナタの姿を模してはいるが液体兵は自身の身体を自由自在に変形させられる。
それ故に、ヒナタと剣を交え鍔迫り合いとなった瞬間に、小指をヒナタの心臓へと伸ばし鋭利な針と化して突き刺したのだ。
「ガハッ!」
「「ヒナタ!」」
心臓を貫かれ血反吐を吐くヒナタが姿にリムルとフォルテは同時に声を上げた。
だが液体兵は容赦なく周囲の仲間と共に蹌踉めくヒナタに向かって剣を次々と突き刺した。
「「「「「「ヒナタ様!」」」」」」
その光景を目の当たりにしたアルノー達も一斉に声を上げる。
「邪魔だ!」
フォルテが声を張り上げながらリムルと共にヒナタを突き刺した液体兵を斬り倒しヒナタへと駆け寄る。
「ヒナタ!しっかりしろ!」
蹌踉めくヒナタをリムルは抱き止め声を掛ける。
フォルテはすぐさまヒナタの状態を確認する。
(くっ…!急所を的確に突き刺されている。このままでは……!)
すると、その様子を見ていた七曜の老師が待っていたとばかりに動いた。
「よし、今度こそヒナタは虫の息じゃ。」
「この好機は逃せぬな。」
「では始めるぞ!」
そう言って七曜の老師が飛び上がると、リムルとフォルテを中心に巨大な魔法陣が展開される。
「
「操糸妖斬流!」
紅丸と蒼影がすかさず七曜の老師に攻撃を放つが展開された魔法陣の結界に阻まれる。
「無駄よ。無駄無駄。」
「うるさい!そんなものこの私の剛力丸・改の前には無意味!」
「私の鉄砕牙がお前達ごと斬り裂いてくれる!」
紫苑と紫蘭は構え宙に浮く七曜の老師に向かって勢いよく跳び上がる!
「「ハァ〜!」」
二人はそれぞれ剛力丸・改と鉄砕牙が七曜の老師に斬り掛かる。
その際、紫蘭の鉄砕牙の刀身は赤く染まっていた。
紫苑と紫蘭が七曜目掛けて刃を振り下ろすがやがり結界に阻まれる。
「バカめそんな剣で何が…。」
「なっ⁉︎」
七曜の老師が戸惑う。
何故なら、結界にヒビが入ったからだ。
そして二人が振り切り後ろに跳び退くと同時に結界に巨大な亀裂が生じた。
「本当に出鱈目な奴らだよ…。」
「やはり
自分の望んだ結果へと事象を書き換える力。
それにより七曜の老師の結界すら簡単に破壊したのだ。
紫苑と紫蘭の一撃は七曜の老師共も想定外だった様で、魔法陣全体にヒビが広がってゆく光景に戸惑いの声を上げる。
「マ…マズい!」
「このままでは魔法陣が崩壊する!」
「かくなる上はこのまま放つぞ!」
七曜の老師共は魔法陣が崩壊する前にリムルとフォルテ達を始末しようと魔法を放とうとする。
「死に絶えるがいい!」
「「「
七曜目掛けて老師の背後に魔法陣が展開され、そこから殺戮の光が豪雨の様にリムルとフォルテ達に向かって放たれたが、殺戮の光が皆に迫った瞬間リムルから
「バカな!」
「おぉ…!」
七曜の老師達が自分達の魔法が呑み込まれる様を見て驚き戸惑っている中、その隙にフォルテは液体兵を発生させている銀色の水溜りに向かって腕を翳した。
「
フォルテの力によって銀色の水溜りは0と1に分解されながらフォルテに吸収された。
「これでこれ以上の液体兵は発生しない。」
フォルテはそのままリムルに知らせる為に思念伝達を繋げると、丁度リムルが
『ちょっと
《是。
『はああっ⁉︎バックアップだ⁉︎それならそうと最初から言えよ!もう使えなくなるのかと思ったじゃねーか…。』
『
『フォルテ⁉︎』
『
フォルテがそう言った後、七曜共が両手を合わせてリムルとフォルテに仕掛ける。
「滅べ!魔王共よ‼︎」
七曜の老師の声に合わせる様にリムル、フォルテ、ヒナタを中心に魔法陣が展開される。
その魔法陣を見たリムルとフォルテは七曜の老師が何を仕掛けたのかすぐに理解した。
何故なら、二人はヒナタ戦で一度この神聖魔法を喰らい分身体が消滅したのだから。
「「「
七曜の老師共の声が響く中、無数の魔法陣がリムル、フォルテ、ヒナタの真上に展開され周囲に光の鎖が張られる。
「「リムル様!フォルテ様!」」
『ヤッベ!今度は俺達だけを狙った攻撃だが流石にこれは
《問題ありません。
紫苑と紫蘭が声を上げリムルはヤバイと思った瞬間、智慧之王《ラファエル》がそう問い掛ける。
『うりえる⁉︎…ああ能力の統廃合してる時に
『……。』
リムルの言葉に黙秘する
『リムル。
『フォルテ。…確かにそうだな。取り敢えずYESだ。だけどね
『ん?』
『後でお話しがあります。』
『是。喜んで。』
フォルテに説得されたリムルは後で
ドゴオオオオン!
パリィィィィン!
凄まじい衝撃音と共に魔法陣が砕け散ったが、リムル、フォルテ、ヒナタの三人が間違いなく
「ふん。」
「口程にもない。」
「ハハハ…。」
リムル、フォルテ、ヒナタの三人を始末したと確信する七曜の老師共。
やがて周囲を立ち込める土煙が晴れてゆくと、七曜の老師共にとって信じられない光景を目の当たりにした。
「なっ…!」
「馬鹿な。」
「そんな…そんな馬鹿なぁー‼︎」
其処にはお姫様抱っこでヒナタを抱えながら何事も無かったかの様に平然と立つリムルとマントに付いた砂埃を軽く叩き落とすフォルテの姿だった。
「あり得ぬ…あり得ぬのだ!」
「この世に
地面に降りた七曜の老師共は頭を抱えたり白ヴェールごと顔を押さえたりしながらリムルとフォルテに向かって叫んだ。
その際、ヴェールが風で煽られ老いた顔が僅かに見えた。
(…まぁ奴らが信じられずに叫ぶのは当然だな。神聖魔法最強の
因みに、フォルテは自身の
「さて、今度はこっちの番だな。」
「魔王二人に喧嘩を売ったんだ。当然覚悟は出来ているんだろな。」
「妙な液体兵を失いご自慢の魔法陣も消えた様だが、果たして今度は耐えられるかな?」
「逃さんぞ塵共。」
「覚悟するがいい!」
リムルはヒナタをゆっくりと下ろした後、フォルテと共に七曜の老師の元へと歩みながら問い掛け、紅丸は掌に黒炎を燃え上がらせ、紫苑と紫蘭は剛力丸・改と鉄砕牙の切っ先を向ける。
アルノー達も皆で七曜の老師を取り囲みながら臨戦態勢を取る。
「くっ…。」
「我々は人類の守護者ぞ!神ルミナスの信徒が黙ってはおらん!」
「今回は我らが退こう。だがいずれ神ルミナスの怒りがお前達を焼くであろう!」
そう言いながらこの場から逃げだそうとする七曜の老師達。
フォルテは逃す訳がないだろうと七曜の老師を捕らえようと動こうとしたまさにその時だった。
七曜の老師共の背後に突如巨大な美しい白き扉が出現した。
「うん⁉︎何奴!」
七曜の老師共も気付いて振り返った瞬間、扉が開き光の中から二人の人物が姿を現した。
「っ‼︎」
「あ…ああ貴女は。」
「貴女様は……ッ‼︎」
その者達…いやその女性の姿を見た七曜の老師達は一斉に頭を下げ平伏した。
「魔王リムルと魔王フォルテよ。迷惑をかけたようじゃな。」
「あぁ…。」
「…久しぶりだな。」
祭服に身を包み黒いドレスの女性の手を引きながらエスコートする魔王ロイ・ヴァレンタイン(フォルテ達は双子のルイとはまだ知らない)。
そして、リムルとフォルテに話しかける女性を二人は知っている。
何故なら、
(ウルティマから話は聞いていた。七曜の老師の暗躍についてウルティマを通じて知らせるつもりだったが、その必要がなくなったな。)
フォルテは目の前に現れた銀髪で右眼が赤で左眼が青のオッドアイである美しい女性を見据える。
(神ルミナス…魔王ルミナス・バレンタイン本人が来てくれたのだから。)
七曜の老師共の攻撃からヒナタを守る為にカワリミを用意していたフォルテだったが、七曜の老師がリーガルの液体兵を呼び出しヒナタの姿となりその剣技まで再現する強化が施されていた。
その液体兵によってヒナタは心臓を貫かれてしまった。
そして、状況が不利になったと判断し逃亡しようとした七曜の老師達の前に神ルミナスが姿を現した。
次回…七曜の老師に神と魔王の裁きが下される。
……ディアブロとウルティマの裁きよりは慈悲があるかもしれない…。