…怒るルミナスの裁きをどうぞ。
ヴェルドラがルミナスに灸を添えられている間に、ヒナタはアルノー達にルベリオスの真実を話した。
「我らの宿敵ヴァレンタインが偽りの魔王で、そして神ルミナスが本当の魔王…?」
「はは…そんな馬鹿な。」
「事実よ。貴方達を騙していた事 申し訳なく思うわ。」
ヒナタはアルノー達に頭を下げ謝罪する。
「ヒナタ様…。ヒナタ様はそれを知った上で見過ごしてこられたのですか?」
「その通りよ。管理された平和ではあるけれども、ルミナス様は民を犠牲にしないと約束してくださったから。」
レナードの問いに素直に答えるヒナタ。
「しかし、それではまるで茶番ではないですか⁉︎」
それに対しバッカスが声を上げ、その様子を離れた場所から見守るフォルテ。
(やはり直ぐには納得出来ないだろうな。弱き者達を魔物から守る為に戦い続けた
フォルテがヒナタ達の様子を見守っていると、ディアブロの手伝いを終えたウルティマが転移で帰って来た。
「フォルテ様!今戻ったよ!」
「お帰りウルティマ。ディアブロの手伝い御苦労だったな。」
「フォルテ様の頼みだから問題ないよ。…あれ?ルミナスも来たんだね。なんだか凄く怒ってヴェルドラと戦っているみたいだけど、……もしかして
「ああ。ヴェルドラのやらかしでな。」
ウルティマと共にフォルテが真上を見上げると、リムルとフォルテが張った二重の絶対防御の結界の中でルミナスが容赦なくヴェルドラを攻撃し続けていた。
「それにしてもこの結界凄いね。ルミナスの攻撃を完全に防いでいるし、流石はフォルテ様。」
ウルティマも関心するリムルとフォルテの絶対防御結界。
(本当に
そう心の中で呟きながらフォルテはリムルを見ると、リムルが笑みを浮かべていた。
(
フォルテはそろそろヒナタ達の話し合いも終わる頃だろうと思いヒナタ達の方へと視線を戻す。
「フ、フフッこのアルノー騙されませんよ。神ルミナス…いや魔王ルミナスに脅されて……。」
「違うわよ。」
アルノーはまだ信じ切れずヒナタがルミナスに騙されているのだろうと言うが、ヒナタはそれを否定する。
「私はあの方に敗北して従う事になったけれど、その理念に共感したからここまで続けてきたの。ルベリオスが平和で争いのない国なのはルミナス様の加護の下にいるから。これは事実よ。…だからねアルノー。ルミナス様を悪く言うのは許さないわよ。」
アルノーを睨むヒナタ。その眼を見たリムルは思わずうわ怖ぇと呟き宥めようとヒナタに話し掛ける。
「まぁまぁ。ヒナタもさ、もっと優しく言ってやれよ。」
「貴方には関係ないでしょう?」
ヒナタの鋭い視線がリムルに移る。
「だからその目よ…。いや、仲間割れなんてされたら俺達も困るし。」
「いえ。その心配はないです。」
リムルの言葉に対しアルノーが口を開いた。
「俺はヒナタ様を信じていますからヒナタ様の判断に従います。」
先ほど戸惑っていた態度が嘘の様に笑みを浮かべながらそう言うアルノー。
すると、アルノーの言葉に続く様にレナード達も次々とそれぞれの想いを乗せた言葉を口にする。
「ええ、アルノーの言う通りです魔王リムル。形骸化していた
「はいはい!俺も異議なしですよ。」
「ルベリオスの平和が保たれてきたというのは事実。それにヒナタ様が決めたのなら尚更反発する理由がない。」
「成果を挙げている仕組みに反発するのも無益ですものね。私もヒナタ様の判断を信じます。」
「俺は魔王リムルと魔王フォルテがどの様な魔王なのかこの目で見てきて信用出来ると確信した。ヒナタ様も魔王ルミナスの本当の姿を知っているのでしょう。だから、俺も信じますよ。」
フリッツ、バッカス、リティス、ギャルドの四人もヒナタを信じその判断に従う事を決めた。
「…流石はヒナタだな。」
「皆から慕われているな。」
「揶揄わないでくれる?」
フォルテとリムルの言葉に少し恥ずかしそうに照れるヒナタだった。
「それにですね。魔王ルミナスと敵対するというのはつまり、
ぬああああああああああああ!
アルノーが真上を指差すと、丁度ルミナスの
ズガアアァァン!
そのまま地面に激突したヴェルドラは地面に突き刺さりまるで犬◯家の一族状態となった。
「ヴェ…ヴェルドラ?」
「……大丈夫か?」
リムルとフォルテが声を掛けると、ヴェルドラは勢い良く起き上がり二人に助けを求める。
「リムル!フォルテよ!あの頑固者を説得してくれ!我が寛大にも謝ってやったというのにヤツは聞く耳を持たぬのだ‼︎」
「いや、あれはまったく謝罪になってないぞヴェルドラ。…それよりも後ろだ。」
フォルテがそう言った後、いつの間にかヴェルドラの背後に立っていたルミナスがそっとヴェルドラを抱き締める。
「
あばばばばばばばばばば‼︎
ルミナスに抱き締められたヴェルドラは電撃を受けている様な凄まじい衝撃を喰らいながら苦痛の悲鳴を上げる。
ヴェルドラに苦痛を与えるルミナスの技を
《解析が完了した。対象からエネルギーを吸収すると同時に、激痛と不快感を
「なるほど。まさに相手を甚振る為の技だな。精神生命体のヴェルドラでもこたえる訳だ。」
「あれ本当に便利そうな技なんだよね〜。」
フォルテはルミナスの技に関心し、ウルティマも良い技だと思いながら見ていた。
すると、ヴェルドラが涙しながら悲痛な表情を浮かべてリムルとフォルテに助けを求めて手を伸ばすが、リムルは動かずフォルテはウルティマと何やら話を始めた。
そうしてルミナスによるヴェルドラへのお灸が続く中、ヒナタがリムルに問い掛ける。
「ところで気になっていたのだけど、彼ってまさか…。」
「ああ、紹介がまだだったな。人型だけどヴェルドラだよ。」
「あれが…?」
「今は取り込み中みたいだからまた後でゆっくり紹介するよ。」
「ま、待てリムル!いまッ今、紹介を…!」
リムルの言葉を聞いたヴェルドラが声を上げるが、…それは過ちだった。
「ほう?まだ余裕がありそうじゃな。」
「‼︎ギャババババババババ!」
ルミナスからのお灸が更に続く事になったからだ。
「あれがヴェルドラ…?」
「我らが恐れた暴風竜?」
「信じられん?」
「ちょっと可哀想かも…。」
「俺としては魔王ルミナスの方が怖そうに見える。」
「まぁ、…信じられんよな。」
レナード、アルノー、バッカス、リティス、フリッツ、ギャルドの六人はヴェルドラにお灸を据えるルミナスの姿を見ながらそれぞれそう言うのだった。
「あれがルミナス様が警戒していた暴風竜だというの……?」
ヒナタでさえルミナスにお灸を据えられるヴェルドラの姿を見てスンッと真顔となって呆気に取られる。
そんな中、レナード達に対してルイが口を開く。
「……まぁ安心するがいいさ。ルミナス様は寛大な御方だ。庇護下にある者を虐げる趣味などお持ちではない。ただし、その正体を口にすれば末路はあれだろう。」
「「「「「「き!気を付けます…。」」」」」」
そう言いながらルイがルミナスにお灸を据えられ白目を剥いて倒れるヴェルドラを見ると、それに釣られて見たレナード達は声を合わせて注意すると誓うのだった。
ルミナスからたっぷりと灸を据えられ倒れるヴェルドラ。
すると、そんなヴェルドラにフォルテが近寄り手を差し伸べる。
「…おぉフォルテよ。流石は我が友……。」
ヴェルドラはフォルテが助けてくれると思いその手を掴んだのだが…。
「アババババババババババ⁉︎」
なんとルミナスの
「良し。……上手くいったな。」
「おいフォルテ。さっきのはルミナスの技と同じなんじゃ……。」
「ああ。ヴェルドラへのお灸でじっくり見る事が出来たからな。俺でも使える様に改良させて貰った。技名は
フォルテは異世界交流の際に、カズマからドレインタッチを習得していた。
そして、ルミナスの
「ほぉう。見ただけで妾の技を再現し己が技へと改良するとは…面白い。」
ヴェルドラへのお灸に使っている間に自分の技を学習したフォルテに対しルミナスは怒るではなく逆に感心していた。
「うぅ…フォ、フォルテよ…何故…?」
ヴェルドラはルミナスだけでなくフォルテにまで苦痛を与えられた事に困惑しながらもフォルテに問い掛ける。
「……ヴェルドラ。お前は皆の前でルミナスの正体を盛大にバラしただけでなく、あんな謝罪と呼べない事を平然と言った。俺は何度も注意する様に言ってきたが、……今回の件で俺からのお灸が必要だと判断した。」
そう言いながら右手に黒紫の
フォルテの真顔を見たヴェルドラはフォルテがいつも以上に怒っていると理解し恐怖で後ずさるも、背後にはいつの間にかウルティマが立っていた。
「何処に行くのかなヴェルドラ様?」
「ウ…ウルティマ!」
「実はね、僕もフォルテ様からルミナスの技を教えてもらったんだ。しかも僕専用の
フォルテがウルティマの為に一緒に編み出した技である
ルミナスの
「大丈夫だよ。毒は調整して苦痛が倍増するだけにするからフォルテ様と僕の優しさに感謝してよね♪」
そう言いながら黒い笑みを浮かべるウルティマ。
後方にはウルティマ、前方にはフォルテ……二人に挟まられ逃れる術がないと悟ったヴェルドラは大量の冷や汗を流しながら顔を青ざめる。
「まっ…待て……待つのだフォルテ‼︎」
「問答無用‼︎」
「ぎゃあああああああああ‼︎」
こうして…ヴェルドラはフォルテとウルティマから強烈なお灸を据えられた。
フォルテはヴェルドラの頭を鷲掴みにしながら締め上げそのまま激痛と不快感の
ウルティマは背中に触れながら激痛と不快感だけでなくヴェルドラにも効果のある苦痛を倍増する毒を注入。
ルミナスに十分
フォルテに頭を締め上げられ、ウルティマから毒を注入されたヴェルドラは先程ルミナスから受けたお灸以上の苦しみを味わい涙しながら再び白目を剥いていた。
「……なんと恐ろしい。」
「暴風竜を相手にあそこまでの仕置きするとは…。」
「…本当に可哀想だわ。」
「魔王ルミナスも怖そうだったが、魔王フォルテはマジでおっかねぇ。」
「魔王フォルテ…魔王リムルより魔王に相応しく思う。」
「だが、あの方も魔王リムルと同じくらい器が広い魔王だ。」
バッカス、アルノー、リティス、フリッツ、レナードの五名はフォルテの仕置きを目の当たりにしルミナスの時より恐怖するが、ギャルドが皆に本来は理性的な魔王だと説明する。
「うわぁ…フォルテの奴相当怒っていたんだな。」
リムルもフォルテのヴェルドラへの仕置きを見て顔引き攣らせていた。
すると、ヒナタがリムルにウルティマについて尋ねる。
「ねぇリムル。フォルテと一緒にヴェルドラにあれだけの苦痛を与えているあの子は何者なの?」
「ああ…ウルティマか。……後でフォルテから詳しく説明されると思うけど……
「
リムルの言葉を聞き目を見開き驚くヒナタ……まぁ無理はない。
「ふふふ。邪竜が苦しむ様を見るのは良い気分じゃ。」
ルミナスは自分のお灸だけでなく、フォルテとウルティマによって仕置きされ苦しむヴェルドラの姿を見て気分が良くなっていた。
………やがてフォルテの仕置きが終わると、ヴェルドラは顔を青ざめながら白目を剥いたまま顔を引き攣つかせながら気を失っていた。
「アゲンスト、ヴェルキオン。ヴェルドラをたのむ。」
「「うむ。」」
フォルテに頼まれた二人は、気を失っているヴェルドラを肩から持ち上げ回収していった後、リムルは何事もなかったかの様にヒナタ達に声を掛ける。
「…さてと。取り敢えずウチの町に来てもらってまずは和解の宴と洒落込もうじゃないか。」
「え?」
「ほう、宴か。」
宴と聞いてルミナスが興味を示す。
「ヴェルドラの件は一応済んだと思って良いのか?」
「無論許さん。…許さんが、しかし今日来た目的は配下の尻拭いじゃ。貴様達の顔を立てて、あの
「なら、その時には思いっきりやれる場所に案内しよう。思う存分残りのお灸を据えてくれ。」
「ほう。それはまた楽しみじゃな。」
フォルテの提案にルミナスは嬉しそうに黒い笑みを浮かべた。
「じゃ 行くか!」
そうしてリムルとフォルテはルミナス達を
「ヒナタ!」
「シズ先生⁉︎」
「無事で良かった!胸を刺されて一度死んだって聞いて私…私…!」
「シズ先生…心配を掛けてごめんなさい。」
フォルテの命でシャドーマンが事前に七曜との戦いについてシズさんに報告し、それを聞いたシズさんはヒナタが刺されて一度死んでしまったと知り本当にショックし心配していたのだ。
「ほう。其方がヒナタの師である爆炎の支配者シズエ・イザワか。」
「…お久しぶりです魔王ルミナスさん。ヒナタを助けてくれてありがとう。」
「気にするでない。妾にとってもヒナタは失いたく存在じゃった。それにしても、……其方も美しいのう。」
ヒナタを救ってくれたルミナスに感謝の言葉を述べるシズさん。
それに対しルミナスは気にするなと言いながら、どこかうっとりした様な表情でシズさんを見ていた。
そうしてリムルとフォルテは改めてルミナス達を
「ルベリオスの皆様。ようこそ魔都リムルへ。我ら魔王リムル、魔王フォルテの配下一同歓迎致しますぞ!」
旅館に着くとリグルドが旅館で働く
「食事の用意をさせますので食べられぬ食材があればお申し付けください。」
「あ、いえ特には…。」
リグルド達の丁寧な対応に少し戸惑うヒナタ達。
(流石はリグルド。礼儀作法は完璧だな。この
「ではご案内致します。」
フォルテがリグルドの見事な礼儀作法に関し、係の者達が
「彼らは俺達が案内するよ。」
「リグルド達には後からヤムザと
「はっ!畏まりました。」
後から来る二百名の
「ーこれ…浴衣?」
「左様でございます。甚兵衛も御座いますのでお気軽にお申し付けください。」
係のゴブリナ達から浴衣を受け取ったヒナタは少し驚いていた。
「…貴方達の国は和服も量産してるの?」
「ああ。ウチの
「俺達が頼んだのもあるが、
「湯上がりに戦闘で汚れた服は着たくないだろ?」
「まぁ、遠慮せずに使ってくれ。」
リムルとフォルテはヒナタ達の為に浴衣を用意し説明するのだが、……リムルがまた余計な事を口走る。
「ヒナタなんてその白いローブの下胸元が破けて穴空いてるしな!」
「リムル⁉︎」
リムルの言葉を聞いたフォルテが声を上げるが、時すでに遅くヒナタの空気が重く変わったのを感じた。
液体兵に心臓を刺し貫かれた後、液体兵が刃を引き抜く際にヒナタの胸元の服を斬り裂き破いていたのだ。
ヒナタの雰囲気がヤバいとアルノー達も感じており少し距離を取る中、リムルの勢いよく頭を下げてヒナタに謝罪する。
「失礼しました!大変眼福でした!」
「ほう?」
素直に謝るまでは良かったが、また余計な一言を加えていたリムル。
「君、デリカシーがないって人から言われなかった?」
「うぐっ!」
頭を下げるリムルに対しヒナタは冷たい眼差しで見据えながら言う。
「お、お前こそ頑固で人の話を聞かないじゃねーか!そんな射殺する様な眼で人を睨みやがって!」
「あのねぇ。私の目つきが悪いのは近眼なだけよ。」
(既に仲良しではないか。)
リムルとヒナタのやり取りを見ていたルミナスは、二人が口論する姿を見てもう仲良くなっていると思っていた。
「そんなんじゃ君、女の子からモテなかったんじゃないかな?」
「あうっ!」
ヒナタの容赦ない言葉が鋭い矢となってリムルの心核に深く突き刺さる。
「そ…そんなことないし…。気配り出来る頼れる人って感じだったし…。」
「ふ〜ん…ならいいけど。」
(うっ、うぅ…。何か負けた様な気がする…。)
リムルは悔しそうな表情を浮かべながらヒナタを見ていた。
「…まぁなんだ。話はこれくらいにしてヒナタ達には温泉で疲れを癒やしもらうか。」
「へぇ…温泉ね。」
フォルテから温泉という言葉を聞いたヒナタは期待している様でほくそ笑む。
「そ、そうだな!我が国の温泉で骨抜きになるがいい。」
そう自信満々にヒナタに向かって言い放つリムル。
「来たまえ。女湯に案内しよう。」
「おい…。」
リムルが当たり前の様にヒナタ達を女湯に案内しようとしている事に声を上げるフォルテ。
「ほう。女湯…個室ではなく男女別になっておるのか。」
ルミナスが男女に別れて入る温泉に関心する一方、ヒナタはスンっと真顔となっていた。
「なんで貴方が女湯へ案内するのかしら?」
「だって説明が必要だろう?」
そしてリムルの背後に立って圧が籠った声でリムルに問い掛けるも、リムルは何食わぬ顔で答える。
「各種効能別に浴槽も分かれているし、使い方を実演して見せようかと思ってね。」
「リムル様!それならば私が!」
「いや、紫苑では頼りない。」
「そんなぁ〜。」
(…紫苑に任せてもいいだろうが。エロスライムめ。)
紫苑が元気良くリムルに進言するも断れ涙目となり、そんなやり取りを見ていたフォルテはリムルが口実を作ってただ女湯に入ろうとしていると知っているので心の中で呆れていた。
「あのねぇ…。」
それはヒナタも同じで頭に手を当てながらリムルに呆れていた。
「貴方 向こうの世界では男だったんでしょう?何を当たり前の様な顔をして女湯に入ろうとしているのよ。」
「い、いや…ほら今は男でも女でもないし。」
ヒナタに詰め寄られたじろぎながらも言い訳するリムル。
「心は男なのよね?」
ヒナタの的確な指摘に押し黙るリムルのだった。
「良いではないですか。リムル様はリムル様です。私も良くご一緒させて頂「ストーップ!」?」
「…なに?」
紫苑が良く一緒に入っている事をヒナタに話そうとした瞬間。リムルは声を上げてそれを阻止した。
(…リムル。普段から女湯に入っている事を今知られるのはマズいと判断したか……なら。)
リムルの考えを理解したフォルテは、笑みを浮かべながらヒナタに話し掛ける。
「実はなヒナタ。リムルの奴は朱菜達に望まれたら普通に女湯に入っているんだ。」
「フォルテ⁉︎」
普通にバラした。フォルテが注意しても殆ど聞かないのでヒナタに話して任せる事にしたのだ。
「へぇ〜…。」
ヒナタは再び真顔となり冷たい眼差しでリムルを見る。
「そうだよな紫苑?」
「はい!リムル様は私達が望めば一緒に入ってくれます!」
フォルテが紫苑に問い掛けると、紫苑は笑顔で当然の様に答える。
「しかも、人型ではなく本来のスライム姿で入っているからな。」
「そうです!リムル様で身体を洗うとお肌もスベスベになります!」
「紫苑‼︎」
更に紫苑に女湯の日常を暴露され声を上げるリムル。
「……まさかシズ先生とも入っているの?」
「ああ。俺がどれだけ注意しても聞かないんだ。」
ヒナタの問いに素直に答えるフォルテ。
ヒナタはそのままシズさんの方へと顔を向けると、シズさんが苦笑いを浮かべている姿を見て真実だと知ったヒナタは軽蔑の眼差しでリムルを睨む。
「だからこそ、今回の件が終わったら一緒にリムルに灸を据えて欲しい。」
「…ええ。分かったわ。」
フォルテが手を差し出しながらヒナタに頼むと、ヒナタは承知しフォルテの手を取り固い握手を交わした。
「は…はは……。」
その様子を見ていたリムルは乾いた笑みを浮かべながら今後の話し合いが終わった後のフォルテとヒナタの二人掛かりの
「パパ!お帰りなさい!」
「うわっ⁉︎シンシヤ!」
そんな中、突然シンシヤが現れリムルに抱き付いた。
「ようやく戻って来やがったか。」
それに続く様にエミルスもヒナタ達の前に出て来た。
「…フォルテ。あのリムルにそっくりな彼とあの子は?」
突然現れたシンシヤとエミルスについてフォルテに問い掛けるヒナタ。
するとそれに気付いたシンシヤがヒナタ達に自己紹介をする。
「初めまして。リムル=テンペストの娘シンシヤです!こっちは父様のエミルス=アゲンストです!」
……ええええ⁉︎魔王リムルの娘⁉︎
シンシヤの自己紹介を聞いてアルノー達は一瞬唖然となった後、驚愕し声を上げた。
ヒナタも目を見開きルミナスは興味深そうにシンシヤを見ている。
「魔王に娘…。」
「でも魔王リムルはスライムですよね?」
「それに魔王リムルにそっくりな者が……?」
「あっ!俺分かった!分裂ですよきっと…。」
「違うわ!スライムだからよく言われるけど違うからな!」
「……誰が
アルノー、リティス、バッカスが不思議がる中フリッツはリムルが分裂したんだと言い出しリムルは声を上げて否定すると、リムルの分裂体扱いされた事にエミルスが怒り圧のある声を出しながらフリッツを睨む。
「皆落ち着け。シンシヤとエミルスについては俺が説明する。」
シンシヤの自己紹介で皆が混乱する中、フォルテが皆にシンシヤとエミルスに関して説明をした。
「……と言うわけだ。」
「…平行世界にその世界に存在する魔女イジス。」
「その魔女の力で生まれたのがシンシヤとエミルスか。…実に興味深い存在じゃ。」
フォルテの的確な説明を聞いたヒナタとルミナスは理解してくれた。
その後、女湯の案内は紫苑とウルティマとシンシヤに任せる事にした。
「お任せくださいリムル様!フォルテ様!」
「僕もいるから安心してね♪」
「パパ!頑張って皆に色々と教えます!」
「ああ…うん。頑張ってね…。」
「頼りにしているぞ。」
「私共もフォローします。」
紫苑とウルティマとシンシヤはリムルとフォルテの期待に応える為にやる気を出し、アルビスもフォローしてくれるそうだ。
「はぁ〜…仕方ない。久しぶりに男湯に入るか。」
「それが正しいだろう。」
こうしてリムルはフォルテ様と共に男湯に入る事が決まった。
「クァハハハ!ではリムルが我の背中を流してくれるのか?」
するとフォルテの仕置きから復活したヴェルドラが笑いながらリムルに話し掛ける。
「やだよ。なんで俺がそんな真似しないとならねーんだよ。」
「それじゃあ俺がリムル様の背中を流しましょうか?」
「お、いいのか?」
「でしたら自分が御髪を。」
「どうよヴェルドラ。これが人望よ。」
リムルは紅丸と蒼影が自分から背中と髪を流してくれると言ってくれた事をヴェルドラに自慢するのだった。
「ぬぅ…皆 我の頼もしき背中に畏怖しおるようだな。」
「いふて。」
「ならヴェルドラの背中は俺が流してやるよ。」
「おぉ!流石はフォルテ!」
フォルテに背中を流してくれると言われ喜ぶヴェルドラ。
「アゲンストとヴェルキオンも一緒に入らないか?」
「うむ!」
「そうだな。なら遠慮なく。」
こうしてアゲンスト、ヴェルキオンも共に男湯に入る事が決まった。
男湯に入った
「はぁ〜…なんすかこれ〜。」
「疲れがほぐれる。」
「うむ。実に良い湯だ。」
「これほど広い湯船に全身浸かれるとは…今でも信じられない。」
「まぁ、最初はそう思うよな。」
フリッツ、アルノー、バッカス・レナードは湯に浸かりながらそれぞれ思った事を口にし、ギャルドは頷く。
「どうやら気に入ってくれたみたいだな。」
「しっかり浸かって癒やしてくれ。上がった後には歓迎の宴が待っているからな。」
温泉で癒されているアルノー達にフォルテとスライム姿のリムルがそう言うのだった。
すると、フリッツがある事を気にしてフォルテに問い掛ける。
「そういえば、このお湯は何処から引いているんですか?」
「確かに…気になるな。」
フリッツの言葉でアルノー達も気になりフォルテとリムルを見据える。
「ん?ああそれな。」
「地下大洞窟から引いている。」
「えっ⁉︎あの魔境から‼︎」
二人の言葉にアルノー達は驚くのだった。
一方女湯ではルミナスがヒナタから温泉について詳しく聞いていた。
「…なるほどのぅ。リムルとフォルテは自分の知る施設をこっちの世界で再現して見せた訳か。」
「そのようですね…。街道の快適さやラーメンにも驚かされたけど、やりたい放題してるわね。アイツら…。」
ヒナタは少し不満がある感じで口を開く。
「重機も無い世界で一体どれだけの労力とお金をかけたらこんな施設が出来上がるのよ。」
「ふん。あれでも魔王へと上り詰めたほどの者達。命じれば喜んで従事する者も多かろう。」
「それはそうかもしれませんが…。これはちょっと納得が行かないわよ。」
ルミナスの言葉を聞いてもやはりヒナタは何処か納得出来ない感じだった。
「そう言うやるな。民の暮らし向きを良くしようと奮闘していた主が理不尽に思うのも無理はないが、妾はこの温泉風呂とやらが気に入った。」
そう言いながらルミナスは立ち上がって岩風呂の岩へと腰掛ける。
「ヒナタ。」
すると、近くで話を聞いていたシズさんがヒナタの側に寄る。
「ヒナタの気持ちも分かるけど、リムルさんとフォルテ君も最初から上手くいっていた訳じゃないよ。色んな苦難を乗り越えて…覚悟を決めたから今があるの。」
「シズ先生…。」
シズさんにそう言われヒナタは軽く頷いた。
それからは紫苑とシンシヤがリティス達に様々な湯やサウナなどを説明してゆく中、ルミナス達は露天風呂を満喫していた。
「……極楽ですね。」
「うん。」
「うむ。そうじゃな。」
露天風呂で身も心も癒されるヒナタとシズさんとルミナス。
(本当にリムルとフォルテには感謝せねばなるまい。)
そう心の中で呟きながら魔力感知を全開にしてヒナタとシズさんを見るルミナス。
(何しろこうして
ルミナスはヒナタとシズの美しい裸体に見惚れていた。
(帰ったら妾の国にも大浴場を用意しよう。)
「ルミナス様…ルミナス様?」
「むっ⁉︎」
ヒナタに急に声を掛けられ思わずビクッと反応してしまったルミナス。
「そんなに警戒しなくても大丈夫だと思います。女湯への案内云々はこちらの緊張をほぐす為の
「う、うむそうじゃな。(どうやら妾が魔力感知を全開にしていた理由を都合良く勘違いしてくれたようじゃのう。…そしてアヤツの案内の申し出は本気だったと思うぞヒナタよ…。)」
「ルミナス様。私達もサウナに行ってみませんか?」
「うむ。楽しみじゃ。」
こうして
ルミナスの技を解析し己が技へと昇華したフォルテとウルティマ。
その力でヴェルドラにキツイお灸をした後、和解の為の宴の為に旅館へと向かい……また女湯に入ろうとするリムル。
フォルテはヒナタにリムルの女湯へよく入ってしまう事を暴露し後に二人でリムルに灸をすえる約束を交わした。
次回はいよいよヒナタの謝罪と宴の始まりです。