この時期になるとやはり仕事が忙しく中々筆記する時間が取れませんでしたが、何とか仕上げました。
タイトル通り、……
ルミナス達と共に楽しい宴会を過ごした翌日。
訓練場にて木刀がぶつかり合う激しい音が響いていた。
カァンッ!カッ!カッ!カッ!カッ!カッ!カッ!カンッ!カンッ!カァンッ!
激しい打ち合いを繰り広げているのは……フォルテとヒナタだった。
「「はぁ!」」
互いに一歩も引かない激しい打ち合いを続ける中、二人の呼吸音が変化する。
ホオオオオオオ!
フゥゥゥゥゥゥ!
呼吸が変わり二人が構えると同時に互いに型を繰り出す。
「月の呼吸 参ノ型
「花の呼吸 弐ノ型
フォルテは横薙ぎで斬撃を連続で放ち、ヒナタは球体を描く様に無数の斬撃を放ってフォルテの斬撃を捌きながら受け流す。
その際、無数の三日月と花びらが舞っている様にも見える。
カッ!カッ!カッ!カッ!カッ!カッ!カッ!カッ!
フォルテとヒナタは互いに凄まじい斬撃を放ち続ける度に、木刀がぶつかり合う音が訓練場により一層響き渡ってゆく中、両者は最後に強烈な一撃を放つ。
カァンッ!
フォルテとヒナタの木刀がぶつかり合うと同時に凄まじい衝撃破が広がると、2人は木刀を交えた状態のまま静止した。
「流石はヒナタ。良い攻撃だった。」
「君もね。」
フォルテとヒナタは木刀を下ろして構えを解いた。
「この短い時間で全集中の呼吸を身に付け、花の呼吸まで扱える様になるとは、流石としか言いようがないな。」
「ありがとう。それにしても、別世界の日本…戦国の時代にこれ程の呼吸があるなんて本当に驚いたわ。」
フォルテが
故に、今はフォルテと手合わせしながら全集中の呼吸を完全に扱える様に鍛錬しているのだ。
それから、リムルも
「ヒナタは七曜の老師共から
何の適正があるのか調べる為にヒナタに刀を握ってもらった時、刀身が七色に輝き縁壱達も驚いていた。
その後、杏寿郎の指導を受けながら
「まぁ、話はこれくらいにして、鍛錬を再開しよう。」
「ええ。」
そうしてフォルテとヒナタは模擬戦を再開し、ある程度鍛錬を続けた後、フォルテはヒナタをデジタルワールドに向かい及川を紹介したりもした。
その際、始まりの町で元気に遊べ幼年期デジモン達の姿を見たヒナタが頬を赤らめながら目を輝かせていたので、……少しの間だけ触れ合ってもらった。
その後、ヒナタと共に
「朱菜、
「ゴブイチ達が手伝ってくれていますので、大丈夫ですよ。それに殻からも、いいお出汁が出ていますよ。」
「うんうん。こっちまでいい匂いしてきてる。しかしあの甲羅、武器にも出汁にもなるとか、便利過ぎるな。」
「確かにな。あの甲羅は本当に便利だ。」
「あっ、フォルテ様!」
「なんだ、フォルテても来たんだな。」
「ああ。ヒナタもルミナスを連れて見学に来るぞ。」
朱菜とリムルがフォルテに気付いたその後、調理していた紫苑もフォルテに気付いて声を上げる。
「フォルテ様ー!こっちもいい塩梅ですよ!新たに頂いた包丁で、ラーゼンを細く切り刻んで、後は汁に入れるだけです!」
「…何故ラーゼン?」
「んなもん切り刻むなよ⁉︎ラーメンな?」
「後、切り刻む生地は“麺”だ。」
「そうそう、茹で加減で食感が変わ……って、なんで紫苑がラーメン作ってんの?」
「朱菜様の負担を減らそかと。今日と、前夜祭と本番の開国祭。提供する料理の量は相当なものだと思いますので。」
「あー、うん。それはそうなんだけどね?適材適所って言葉があってだな…。」
「はい!ですからフォルテ様に教えられ料理上手となった私の出番かと!」
「確かに紫苑の腕は以前とは比べられない位には上がったが…。」
(駄目だ、本人がそう思っている以上、話が噛み合わない……!)
フォルテとリムルはどうにしかして紫苑を説得しようと考えていると、ヒナタがルミナスとレナードを連れて厨房へとやって来た。
「いい香りね。」
「これが今宵の晩餐じゃな?」
「なるほど、紫苑殿が言った通り、料理上手の様ですね。ところで、そこの鍋に入っている物体は……?」
「見た事ない魔物ね。」
「何かの塗料じゃろう?」
(ほら!誰もこれがラーメンのスープだなんて思ってないじゃん!)
(まぁ…見た目が毒々しい紫の液体だからな。)
「何を言ってるんですか?どう見てもラーメンの汁じゃないですか?」
「「「……は?」」」
紫苑の言葉にヒナタ、ルミナス、レナードの三人は思わず声が出た。
(どう見てもラーメンの汁じゃないです。)
(今のヒナタ達の気持ちがよく分かる。)
「ラーメン、というと……ヒナタ様達が道中で食べたという料理ですよね?確か、スープの種類がいくつかあるのだとか……。」
「そうね。大きく分けて“醤油”“豚骨”“味噌”辺りかしら……。」
「で、これはどれに該当するのじゃ?」
([
ヒナタは自分の力を超えている紫の毒々しいスープに戦慄した。
「リムル様の仰っていた“豚骨”を再現したつもりです。フォルテ様からトンが豚を意味していると聞いていましたので、イノシシ型魔獣の
「そうか。確かにそれなら豚骨スープにはなるな。」
「味もちゃんと豚骨スープにはなっていそうだな。」
「冗談でしょう?」
フォルテとリムルの言葉を聞いたヒナタは信じられなかった。
「まぁ、信じられないだろうが…。」
「ホントなんだよなぁ、これが……。」
(……はっ!もしかすると、…“確定結果”……思い通りに
紫苑と戦ったレナードは、紫苑が確定結果で料理の味を変えていることにいち早く気付いた。
「灰汁も、ちゃんとおたまでとっています!」
「それは良いんだが…。」
「本物の灰汁よりもアクが濃い見た目になっているんだってば……。」
フォルテとリムルが見つめる寸胴鍋の中には、マグマの様に煮込まれている毒々しい紫色のスープから怨霊の様な湯気が立っている。
「今日はお客様も多いですし、もう少し量が要りますね。今からもう一匹ほど狩りに行ってきます!どなたか、お鍋の様子を見ていてください!」
そう言って厨房からすぐさま出て行く紫苑だった。
「…行ったな。」
「見ててくれったって……なぁ……。」
「何かの拷問かしら?」
紫苑が出て行った後、ヒナタが鋭い眼差しでフォルテとリムルを睨みながら問い掛ける。
「落ち着けヒナタ。まぁ…あの見た目ではそう思うのも無理はないが…。」
「ホントに美味しいスープの筈なんだよ。あいつがそう望んで具材を切り刻んだならな。」
「望むだけで味を変えられる?」
「ええ。彼女自身も“法則を弄るのが得意”と言っておりましたので、あり得ない話ではないかと……。」
フォルテとリムルの言葉にヒナタは訝しむが、紫苑と実際に戦ったレナードが取成してくれた。
「なるほどのぅ……じゃが、にわかには信じられん。ものは試しじゃ。ヒナタよ、その汁を飲んでみよ。」
「……ッ⁉︎」
ルミナスの命にヒナタは目を見開き冷や汗を流した。
「さ、流石にそれは……。」
「……神託は絶対よ。頂くわ……レナード?」
「え⁉︎まさか、私もですか⁉︎」
「………。」
自分まで飲み事になり驚愕するレナードだが、ヒナタの鋭い眼光に睨まれ断る選択しは無かった。
「しょ、承知しました……。」
「おいおい……。」
その様子を見ていたリムルは苦笑いを浮かべた。
そして味見用のお猪口に紫苑の作ったスープを入れ手にするヒナタとレナード。
紫のスープから立つ禍々しい湯気に冷や汗を流すも覚悟を決めて口にした。
「只今戻りました!……ん?どうしたのです?」
ヒナタとレナードがスープを口にしたタイミングで紫苑が戻ってきたの店、頭を悩ます二人の姿に首を傾げた。
「……ダメ、脳の処理が追い付かない……理屈は分かるけど、なんであの見た目で本当に豚骨スープの味がするのよ?」
「それに美味しい……ですが見た目と味がかけ離れ過ぎて頭が痛くなりますね。……正直、苦いものだと思っていました。」
二人は本当に豚骨スープの味がして美味しい紫苑の毒々しいスープに自分達の常識が崩れてしまった。
「それに冷まそうと息を吹くと、何故か悲鳴の様な音が返ってくるから不気味過ぎだわ。」
(そういえばフリッツから聞いたな。猫舌だって……いや、今は余計な事を言うまい。)
「リムル、初めて君と戦った時を思い出したわ。異形の姿になった貴方と、ちょっと似てるもの、このスープ。」
「
イングラシアでヒナタに追い詰められたリムルは
「そうですよ。いくら出来の良い料理と言っても、リムル様の神々しい姿には近づけません。寧ろ、どんなに美しく作った料理でも、リムル様の前では霞むものですから、全ての料理の見た目など、誤差ですよ誤差!」
「……それは違うぞ紫苑。」
「いつも言ってるけど、見た目も大事なんですよ紫苑さん……?」
紫苑が見た目の大事さを蔑ろにしようしているので注意するフォルテとリムルだった。
「ほう、つまり目隠しさえしてしまえば美味、という事じゃな?」
「あ、ああ。そういう事になるな。」
「俺やシズさん達も食べているから美味さは保証する。」
リムルとフォルテの言葉を聞いたルミナスは、何か思いついたのか笑みを浮かべる。
「これは面白い。ヒナタ、
何を思いついたのか、…ルミナスの笑みが黒い笑みへと変わった。
「(嫌な予感しかしない……けど神託は絶対……。)……ただちに。」
そうしてヒナタはアルノー達を含めて
「揃ったな?真に心と肉体、そして感覚を研ぎ澄ませておる騎士ならば、これより振舞われる二つの料理を、目隠しで噛み分けられるじゃろう?」
「料理……?」
「噛み分ける?」
ルミナスの言葉の意味が分からずにいる
「用意は出来たか?」
「はい!
「はい!私のは外殻を細かく刻んで出汁を取りました!」
(刻んだっていうより粉砕だよね、それ……。)
(だが、…食べ易くはなっている。)
ルミナスの言葉に合わせて朱菜達が
「何だこれは……
「いや、何かの顔料じゃないか?」
「失敬な!れっきとした鍋料理です!」
紫苑の料理を初めてみた
まぁ、見た目は朱菜の料理と同じだが、色が紫に染まり汁が蠢いている様に見え更に湯気が怨霊の様な形で立ち昇っているのだから仕方ない。
「あの、食あたりする予感しかしないんですが……。」
「蠢いてる……様に見えるから、多分鮮度は抜群だと思うけど……保証しかねるわね。」
紫苑の料理を見たフリッツが恐る恐るヒナタに言うのだが、ヒナタでも保証する事は難しかった。
「この2品を目隠しで食し、どっちが朱菜の鍋で、どっちが紫苑の鍋か当てて見せよ!」
⁉︎
ルミナスの言葉に
無理もない……“これ”を食べるのだから。
「さ、流石にあれ程違う形をしていれば、食感で分かるはず!」
(私もさっきまではそう思ってたんだけどね……今は他人より、自分の事に集中しないと。私だって噛み分ける自信が無いもの。)
「では、始めよ!」
ルミナスの開始の宣言と共に目隠しした
そして………。
「馬鹿な……どうして同じ味がする⁉︎」
「食感も同じに感じる……あんなに蠢いて見えたのに⁉︎」
アルノーとバッカスは両方とも同じ味と食感をしている事に驚愕していた。
(……普通に食べたんじゃ分からない……でも、スキルで美味しくなった鍋料理より、大鍋で煮込んだものの方が素材の味が出るはず。)
ヒナタは舌に意識を集中させていると、突然魔獣の姿が脳裏に浮かんだ。
(⁉︎何、このイメージ……⁉︎食材のイメージが襲って来る……⁉︎こんな現象が……⁉︎いや、もしもこれが紫苑の料理だったら、何が起きても不思議じゃない!)
ヒナタは今食べた料理から浮かんだ魔獣のイメージから、これが紫苑が作った料理だと確信した。
「そろそろよいな?目隠しを外すがよい。」
ルミナスの言葉に従いヒナタ達は目隠しを外した。
「えっと、じゃあ最初に食べたのが朱菜の鍋だと思う人!せーの!拳手!」
「はい!」
「はい……って、レナード様もヒナタ様ま手を上げていない⁉︎」
「アルノー様達もだ⁉︎」
「て事はまさか……!」
最初に食べたものが朱菜料理であると判断し手を上げた
「そのまさかだ。最初の鍋は紫苑が作ったものだ。」
「そんな馬鹿な……!」
「どうしたらあんな物体から、肉厚な蜘蛛の肉の味がするんだ⁉︎どうしよう……どの面を下げて聖騎士を名乗ればいい⁉︎」
「よっしゃ当たったー‼︎」
「俺の馬鹿舌めぇ……‼︎どう見ても別種の食べ物じゃないか……!」
フォルテの言葉を聞いて間違えた者は悔やみ恥じる中、正解した者達は歓喜の声を上げた。
「………。」
「どうしたの、レナード?」
「いえ、何も。」
「そう。」
正解したレナードだが、……まだ何か考えている様だった。
(まぁ、紫苑の料理は禍々しいからな。味と食感は良いが見た目の色が毒々しい紫で食材の怨念の様な湯気が立ち昇っているから、見た目と味が合わず色々と悩んでいるのだろうな。)
リムルはレナードの表情を見てそう察するのだった。
その頃、森で警備に当たっていたリグルにまで
うぎゃああああああッ‼︎
「悲鳴……⁉︎町で何かあったのか⁉︎」
うおおおお!助かったあああ‼︎
「早っ⁉︎な、何があったんだ……?向こうにはリムル様とフォルテ様もいるから、何事も無かったのかもしれないけど、一応様子を見に行くか。」
こうして、心配に思ったリグルも悲鳴が聞こえてきた厨房へと向かった。
……自分まで巻き込まれるとも知らずに。
「ふふふ、これは思いの外面白い。興が乗った。もう1問、チャンスをやろうぞ!」
「おお‼︎挽回のチャンス……‼︎」
「次こそ当てる!」
ルミナスからもう1問チャンスを与えられると聞き、先程外してしまった
「次の品は……ラーメンとやらはさっき、ヒナタとレナードが食したな。他のもので何か、すぐに用意出来る料理は無いかリムル、フォルテよ?」
「いきなり言われてもなぁ…。」
「すぐに用意出来るものとなると…。」
ルミナスに問われ悩むリムルとフォルテだったが、厨房に菓子を持ってクレイマン・オルタが入ってきた。
「フォルテ様。こちらにおられましたか。」
「オルタか、どうした?」
「いえ、そろそろお茶の時間でしたので、フォルテ様にクッキーをお持ち致しました。」
「これは丁度良い、紫苑よ。次はクッキーを作るがよい。第2問はクッキーで決まりじゃ!」
オルタが持ってきたクッキーを見てルミナスは2問目をクッキーに決定した。
そして、ルミナスに命じられた紫苑は満面の笑みを浮かべていた。
「丁度お菓子作りにも力を入れようと思っていましたから、腕によりをかけて作りますね!」
「力を入れるって……お前の場合、力いっぱいにやるだけじゃ…。」
「大丈夫だリムル。やり方は俺がみっちり教えたからな。紫苑、特訓の成果を見せてみろ。」
「はい!」
フォルテの言葉に笑顔で応えた紫苑は、気合いを入れてクッキーを作り始めるのだった。
「出来ました!オルタのと同じになる様、チョコチップクッキーにしてみました!」
自信満々に紫苑が見せるチョコチップクッキーは……確かにチョコチップクッキーなのだが、やはり紫に染まりまるで怨霊が蠢き渦巻いているかの様なマーブルクッキーの様にも見える。
「確かにチョコチップクッキーだが…。」
「うん。クッキーモンスターからクッキー要素を取り除いたって感じの見た目だ。」
「それじゃあただのモンスターじゃない……それにそのネタ、異世界人にしか伝わらないと思うけど?」
「まあね……。なんか手で触れただけで紫苑のクッキーだって分かるかも。」
「確かに…あり得そうじゃのう。では誰か他の……朱菜よ、皆にクッキーを食べさせよ。手触りで悟られぬ様にな?」
「はい、分かりました!」
「おお、あの子が食べさせてくれるのか。」
「ちょっとヤル気出てきたな。」
朱菜に食べさせてもらえると聞きやる気を出す
「ゲンキンな連中よ……それと、そこの
「え⁉︎」
つい先程厨房に辿り着いたリグルだが、ルミナスに気付かれ訳も分からず参加する事に。
「いたのかリグル。」
「見回りは済んだのか?」
「ええ、それで町に戻ってみれば大騒ぎしていたので、何かの事件かと思って焦りましたよ。それで、俺は何をすればいいんでしょうか?」
「簡単じゃ。普通のクッキーと紫苑のクッキーを食す。ただそれだけじゃ。」
「簡単じゃないですよ⁉︎」
紫苑の料理の恐ろしさを十分知っているリグルは驚きと恐怖から大声を上げた。
「いやいや、死なない死なない……多分。」
「俺が保証するから安心して食べてみろリグル。」
「……はい。」
フォルテの言葉を信じ覚悟を決めたリグルは
そして……結果は。
「うぎゃああ‼︎また間違えた‼︎」
「俺もだ……しかし凄いな、ヒナタ様もレナード様達も、また正解だ。」
「………。」
間違えてしまった
「なんであんな毒々しい見た目で一部ドロっとしているのに、口に入るとサクサクするんだ……?ゲテモノな筈なのに美味さは……。」
「口が過ぎるぞ、お前達。」
「え?」
「紫苑殿の料理が美味なのは、彼女がそうなる様に念じて作ったからだ。いくら見た目が悪くとも、その味には“思い”がある。私の誤解も原因だったとはいえ、1度は殺し合いの戦を仕掛けた我々に、思いを込めて調理する……。紫苑殿……もっといえばこの国の懐の広さ。それに敬意を払えずして、何が聖騎士と言えるものか。見た目だけで、この料理を卑下する様な言い回しは控えるべきだ‼︎味覚より、振る舞いを聖騎士らしく正せ。」
レナードの言葉に
それと同時にフォルテはレナードが紫苑の料理の…リムルや皆に美味しく食べて貰いたいという純粋な気持ちを理解していた事に感心していた。
(レナード…紫苑の思いに気付いていたとは、流石は十大聖人の1人だ。俺も紫苑がリムルは俺に食べて貰いたいという思いを知っているからこそ、紫苑に料理を教えてきた。)
紫苑の料理が恐ろし過ぎる故にリムルや紅丸達は気付かずにいるが、紫苑はただ皆に自分の料理を美味しく食べて笑顔になって欲しい…その一途な思いがあるからこそ、死から蘇った際に
そして、フォルテの厳しい料理指導にも耐えてきた。
その努力によって、見た目以外の味や食感が美味な料理が作れる様になるまで成長することが出来たのだ。
「た、確かに……すみません、紫苑殿。」
レナードに諭され、自分達の失言に気付いた
「うんうん。漸く私の料理の魅力が分かった様だな!」
「そういう意味とはちょっと違う様な……。(いい事言っているんだけど、紫苑の料理をちゃんと料理と認めるのは凄いな。慣れてる俺でも中々言えないぞ。)」
リムルは紫苑の料理を認めるレナードに感心した。
「ほう……老人共に騙されていたという汚点があったが、その心眼はやはり聖人であったか。」
「ルミナス様……!」
ルミナスもレナードが紫苑の料理に込められた思い…心に気付いた事を高く評価した。
「そう、この食べ比べは単なる余興ではない。味覚の繊細さも些末な事よ。妾が見たかったのは、“心の在り方”じゃ。」
ルミナスの言葉に
「も、申し訳ございません、紫苑殿!」
「分かってくれたのなら良しとしましょう。」
「お前は何も言ってないだろ…。」
「まぁリムル、…いいじゃないか。」
「もっ、もう一度チャンスを頂けませんか⁉︎当たるかどうかは保証出来ませんが、騎士の振る舞いを取り戻す為に!」
「ほう。妾は良いぞ。紫苑、頼めるか?」
「お任せください、」
「おいおい、もう十分だろ……。」
「いえ、リムル殿。私からもお願いします。少々試したい事がございますして。」
「試したい事?」
「はい。この町に、山菜を使った料理などはありませんか?」
「山菜?山菜かぁ……天ぷらなら丁度いいかもな。」
「だが、肝心の山菜は今はないだろう。」
「そこは我々
もう一度紫苑の料理に挑む為に山菜を使った料理をレナードが所望し、リムルが天ぷらが良いと口にすると、フォルテが現在厨房に山菜がない事を話しそれを聞いたレナードは自分達で収穫して来ると気合いを入れて言うのだった。
「山菜狩りで⁉︎まあ、どうしてもって言うなら……。
「朱菜、紫苑、天ぷらを頼めるか?」
「はい!」
「私も構いませんよ?ここまで朱菜様、オルタの料理と互角の味が作れて、私も更に自身を深めてますから!」
(深めんでいい深めんで……てか、元々自身満々だったくせに……。これでもっと料理にハマりでもしたら、それを試食されるのは俺とフォルテなんだぞ?……まぁフォルテは平気で寧ろ強くなるんだけど…。)
紫苑のやる気に満ちた姿にリムルは内心でまた試食する危機を感じる中、レナードが皆に山菜が取れる場所を尋ねる。
「どなたか、この辺りで山菜が取れる場所を知る方はいませんか?」
「知ってますよ、俺。森の周辺を見回ってるものですから。」
すると、森に詳しいリグルが名乗り出た。
「助かります。早速案内して頂きたい。」
「妾はここで待っておるから、さっさと山菜狩りを済ませてくるがよい。」
「ハッ!」
「それじゃ案内しますね。知能の低い魔獣は、無鉄砲に襲ってきますんで、怪我に気を付けて……って、要らない心配ですよね。」
「そこは問題ありません。ところで山菜と言いましたが、欲しいのはもっと、薬の調合に使う様な苦い野草なのですが、ありますか?」
「そりゃありますけど、それで天ぷらを作るんですか?苦くなるんじゃ……。」
「もっと言えば、天ぷら以外にも色々作って頂きたい……紫苑殿に。」
「えっ⁉︎」
レナードの言葉に驚愕するリグル。
(まさかこの世に、紫苑の料理を所望するヤツがいるなんて……。)
「ふっふっふ……この私を指名するとは。あの時殺さないで良かった。レナード、お前は見る眼があるな!」
リムルもレナード自ら紫苑に料理を作ってもらうとしていることに驚愕し、紫苑は自分の料理を褒めた上に更に作って欲しいと頼んでくれたので上機嫌となっていた。
「どうなされたのでしょう、レナード様……。」
「きっと彼なりの理由があるでしょ。さ、行くわよ?」
(…山菜…薬の調合に使う野草……紫苑の料理………そういう事か。)
その中、フォルテはレナードが何故わざわざ紫苑に山菜や野草を料理してもらうとするのかその理由に気付いた。
「着きました。この辺が穴場なんですよ。山菜、というよりは薬草ばかりですけどね。流石にヒポクテ草程のものは生えてませんが、各種、状態異常に効果のある薬草が生えてます。」
「確かに、見覚えのある薬草があちこちにありますね。入手もこれだけあれば、すぐに片付くでしょう。」
リグルの案内で山菜と薬草の群生地についたレナードはすぐ
「各自、収穫を始めてくれ!」
「「「「「「ハッ‼︎」」」」」」
「あ!ありました、レナード様!」
「おお、それだ。」
「こっちにもありました!」
「ああそれは、よく似ているがただの雑草だ。」
「ところで、ここまで頼んでおいてなんですが……。」
「ん?」
「天ぷらとは、どのような食べ物なのでしょう?」
「知らずに注文してたのか⁉︎」
レナードの言葉に驚くリムル。
「いやリムル、レナード達が知らないのは当然だろうが。天ぷらと言うのは卵と小麦粉に水を加えて混ぜた衣を塗して油であげる料理だ。」
リムルに代わってフォルテがレナードに分かりやすく説明した。
「油…と聞くと、太りやすそうな料理ですが。」
「ああ、確かにカロリー高いよ?」
「ですが、野菜も使うのであれば話は別です。」
「どういう事だ?ひょっとして、野菜さえ摂れてればカロリーがノーカウントになるとか思ってない?」
「いえいえ、流石にそうはならないでしょう。ただ野菜を山菜に置き換えられる料理であれば、何でも良いのです。」
「ほう?」
「何故だ?」
「紫苑殿の料理で、唯一の難点はその見た目。ですがそれは、工夫次第で不可視にすれば良いかと。例えば透けないコップに入れて蓋をし、ストローで飲むとか。」
「成る程、その手があったな。」
「でも吸えるのかな、アレ……シェイクより飲みにくそう……。」
レナードの考えにフォルテは感心するが、リムルはそれでも不安に思った。
「で、結局野草で何がしたいんだ?」
「リティス達から、中華料理の話を聞きました。その時、ヒナタ様は…“一応言っておくけど、スープまで飲むと太るわよ。”と言われ、リティスはそれを気にして、飲みたかったけど飲めなかったと。そこで紫苑殿の能力に目を付けたのです。体に良い野草や山菜のみを材料にする事で、本来高カロリーな料理を低カロリーかつ栄養満点で食せる。」
「太るどころか健康的に、豚骨スープとかの味を楽しめるって事か。凄い事を思いついたな。大発明の予感。」
「流石は
「元々彼は
「恐縮です。話を戻しますが……ラーメンも餃子も、味の革命だったと聞いております。ですが、その材料はどれも太り易い能力だとか。」
「そうね。頻繁に食べてしまえば、体型が変わってしまうわ。元の世界には、そういう食べ物が多いのよ。」
「そうなんだよなぁ。美味い物に限って太りやすかったり、肌荒れしやすかったりするんだよ。」
「美味い物ほど高カロリーな料理にはなるな。」
レナードの話を聞いて元の世界での料理のカロリーについて思い返すフォルテ達だった。
「成る程。それらを全部、薬用の野草と栄養価の高いもので、紫苑に調理させれば……栄養の革命だな。」
「それに、皆に食べてもらえるから紫苑も喜ぶだろうな。」
「お分かりいただけましたか。」
「ああ。…でも。」
「レナード様!ここいら一帯の山菜は撮り尽くしたかと!」
リムルは何か言いかけたが、
「分かった。では戻って、調理を続けて頂こう。」
「帰りは日が落ちて、夜行性の魔獣が活発になります。大丈夫だとは思いますが、気を付けてください。」
リグルがレナード達に注意を促した後、リムルとフォルテ達は紫苑達の待つ厨房へと戻るのだった。
「もぐ……戻ったか。」
厨房へと戻ると、丁度ルミナスが鍋の味見をしていた。
「お味は如何ですか?」
「うむ。実に美味じゃ。しかし、普通の人間に振舞うのであれば、殻を外した方が良かろう。熱くて触れんじゃろうからな。」
「あ!そうですね!貴重なご意見、ありがとうございます!」
「あー、蟹鍋風だからな。確かにあるある。」
「俺達は平気だからな。…ヨウム達も食べる際は殻に手こずっていたな。」
ルミナスの
「手指の火傷ですか……。その点も、紫苑殿なら解決出来そうですね。」
「お前の中で紫苑の株上がり過ぎだろ……それで?積んできた野草で天ぷらを作ればいいんだな?」
「とはいえ、山菜は本当に苦味が強い。本来は薬の材料に使うからな。」
「朱菜、何とかなるか?」
「苦い薬草……やれるだけ、やってみます!」
そうして朱菜は調理に取り掛かり、薬草で見事な天ぷらを作り上げた。
「出来ました!……けど、薬草の苦みを旨味に変えるのが難しく、普段の天ぷらとは違う味になっていると思います……。」
朱菜は少し落ち込み気味にそう言うのだった。
「別に落胆する事でもないって。」
「ですが、調理の時間も紫苑は数秒で済んだのに、
「アイツの場合はスキルの力だから仕方ないって。」
「リムルの言う通りだ。朱菜の料理の腕は俺とリムルがよく知っている。」
「リムル様…!フォルテ様…!」
リムルとフォルテの言葉を聞いて朱菜は元気を取り戻した。
「準備は良いな?ならば例によって、目隠しをして噛み分けよ!」
ルミナスの声を合図に
「あれ、今回は味が違うぞ?」
「どっちも美味いけどな……苦い方がアタリなのだろうが、見事に苦みが消えている……朱菜って人の技術も凄いな。」
「良かったな、朱菜。」
「はい!ホッとしました……。」
朱菜の見事な調理によって
その光景を見て、朱菜も笑みを浮かべていた。
……やがて
「じゃあ、最初のが朱菜の天ぷらだと思う人!」
リムルがそう問うと、半数近い
「ハズレ!最初のは紫苑の天ぷらでしたー。」
「ぐおお……負け越しか!」
「お前はまだいいよ……俺達は全敗だからな……。」
外してしまった者達は、悔しいさで声を上げたり落ち込むのだった。
(潔い態度になったのは褒めてやろう。負けず嫌いも、戦士には必要不可欠な素質。じゃが……ハズレ過ぎではないか?まあ、傍から見ている分には面白いが。)
ルミナスは楽しむ事は出来たが、ここまでハズレが多い事に思うところがあるのだった。
「しかし凄いな、ヒナタ様もレナード様も全勝だ。」
「ホントだな。何かスキルを使った気配も無いし。」
「別に、元々天ぷらの味は知ってたから、その記憶と照らし合わせただけよ。」
「俺もそうです。普段の天ぷらの味を、紫苑さんが再現しているなら、いつもと味の違う方が朱菜さんのだと思いまして。」
「そこですよ、リグル殿。薬草だけで作られた“いつもの味の天ぷら”。つまり見た目を無視すれば、太る食材無しでその味が楽しめる。太りたくはないが、味の濃いものは食べたい。そんな悩みを解決出来ると思いまして。」
「やはりその発想に至っていたか……やるなレナード。」
レナードの考えはフォルテも考えていた。
だからこそ、紫苑に正しい調理を徹底して教えていたのだ。
「まるで“ミラクルフルーツ”みたいな発想ね。」
「なんだそれ?奇跡の果実……?」
ヒナタの言ったフルーツについてリムルは知らなかった様で首を傾げる。
「知らないの?元の世界の果実よ?」
「確かミラクルフルーツを食べ舌になじませると、しばらくの間は酸味が甘味に感じるんだったな。他だとアーティチョークに含まれるシナリンにも似たような効果があったな。」
「マジ?そんな果実があったのか……。」
「女性に縁が無かったのかしら?女子達の間で流行ってたのよ?」
「うぐっ‼︎」
ミラクルフルーツについてヒナタとフォルテから知らせ驚くリムル。
そんなリムルに向かってヒナタがさりげなく言った言葉がリムルの心に突き刺さった。
「甘いものは食べたいけど、太りたくない。だからミラクルフルーツで、トマトとかお酢とかヨーグルトを、甘く感じながら食べるの。」
「た、確かにレナードの発想に似てるな……後、女友達ぐらいはいたからな⁉︎」
「どうでもいいわ。」
「別に今気にする事じゃないぞリムル。」
「くっ……!」
二人にそう言われてしまうリムルだった。
「でも、にわかには信じられないわね。ここまで味をコピー出来ているのに、原料がタンポポみたいな薬草だから、カロリーはゼロだなんて。」
「いや、レナードの狙い通りだよ。紫苑の作った天ぷらを食べても、皆の血糖値は上がらなかった。」
「朱菜の作った天ぷらを食べた時は上がったな。」
「どうやって調べたの?」
「指先にすっごく小さい注射器を生やして、ちょんと触れば採血出来るんだよ。痛みを感じさせない様に。」
「便利な能力じゃな。」
リムルがどうやって皆の血糖値を調べたのか知ってルミナスは羨ましそうに言うのだった。
「(別の使い道で羨んでるよね、それ……?)えっと、それでレナード?実験は成功っぽいけど、紫苑の料理をどうするつもりなんだ?」
「もっと色々な料理の味を、薬草のみで再現し、本来は体に良くない濃いめの料理を、栄養の塊として食せる様になれば、と。」
「なるほどな……でも一つ問題があるぞ?」
「紫苑、さっき作った鍋とクッキーと天ぷらを持ってきてくれ。」
「畏まりました!」
フォルテに命じられ、紫苑は自分が作った料理を持ってきた。
「さて、これが紫苑が作った料理なんだが。」
「あ……。」
「全て紫に染まっているんだよねぇ。これじゃあ普通に食欲が湧かないと思わない?」
「そう、ですね……。」
フォルテ達は見慣れた紫苑の料理だが、色がここまで毒々しい紫に染まっていては普通の人間や魔物達も食欲が失せてしまう。
「それにね、レナード。特にラーメンなんかがそうなのだけど、体に悪いと思いながらも食べる背徳感も、スパイスになるのよ?」
「確かにありますね、そういう瞬間。」
「夜遅くに限ってジャンクフードが欲しくなったりね。」
「確かに、そういう時もあるな。」
「話を戻すけどさ、さっきはああ言ったが、レナードのアイデアは工夫次第で良い商品になりそうだと思ってるんだけど。」
「売るの?あの料理を?誰も買わないでしょう?」
ヒナタは紫苑の料理を売り物にしようとしているリムルに戦慄した。
「見た目に関してはレナードが言った様に、容器などで隠せば問題はないだろう。例えば……これなんかが丁度いいだろう。」
フォルテはそう言いながら掌からあるものを出現させる。
それは…前世の世界でフォルテもよく買っていたスパウトパウチだった。
「これは……珍しい容器ですね。飲み口が硬く、容器自体が柔らかい……。」
「“飲みゼリー”の容器よね、これ?」
「その通りだ。これに半個体にした紫苑の料理を入れれば見た目を気にせずその味を味わう事が出来るだろう。」
「それに、何味かはラベルに書いておけば、見分けが付くだろう?」
「流石です!見た目を隠しつつ味を明記しておけば、容器を破らない限り問題はありませんね!」
レナードは全ての問題を解決する容器に驚きつつも感動した。
「紫苑は半個体で料理を作るのが得意だからな。」
「そうだよね……半個体?だからなあれは。」
「要するに“スライムみたい”って事でしょ?誰かさんとよく似たものよね。」
「せっかくその表現を避けてたのに……。じゃなくて!ドロっとしてて半分液体だからさ、容器をぎゅっと握るだけで口の中に流し込める筈だ。」
「これなら急ぎの事態が発生してもすぐ栄養補給が出来る上に味も味わえるからな。」
「何気にこれ、革命じゃないか?」
「それはいいですね‼︎騎士の中でも、携帯食料の味気無さに困っている者がいます。これなら士気も上がる事でしょう。」
リムルとフォルテの説明を聞いたレナードは、自分達の携帯食料に関する問題も解決出来ると歓喜した。
「なら、もうちょっとレパートリーを欲しいな。背徳感がある、高カロリーだけど美味いもの……。」
「ラーメン、餃子、炒飯……中華料理屋のメニューで、低カロリーのものを探す方が難しいわね。」
「他だとハンバーガー、ナゲット、ポテトフライの様なファストフード系が美味くて高カロリーだな。」
「他は……粉モノとか?」
「粉?」
「たこ焼きとかお好み焼きだな。」
「炭水化物が多いと太り易いんだよ。酢飯を使ってる寿司も太り易い。」
「そうだったのですか。」
「それで?今言った料理は再現出来てるの?この国。」
「流石にまだだ。」
「再現も量産も、ゴブイチ達に頑張ってもらわなきゃだし、時間はかかるよ。でも、今ある料理だけでも、十分商売になりそうだ。」
「それで?どういうルートで売るの?」
「紫苑にしか作れないものだから、量産は難しいな。だからブルムンドまでの街道と、ウチに来た冒険者と、ルベリオスに販売を絞る。」
「ウチにも卸すの?」
「当然だ。レナードのアイデアがあってこそ、紫苑の料理を商品に出来るからな。」
「それにルベリオスの騎士達も、携帯食料が味気なくて困ってるんだろ?」
「まぁ流石がにゼロカロリーばかりでは戦えないだろうから、通常の携帯食料と併せて食べてもらう必要はあるがな。」
「そんでもって、この容器の裏を読んでもらう。」
「裏?」
リムルに言われるがまま、ヒナタとレナードはスパウトパウチの裏を書かれている文章を読む。
本商品は、料理の味を再現した携帯食料です。元となった料理は、
「この携帯食料の味を味わった者達は必ず元の料理を知りたくなる。」
「そうなれば、
「ホント、よく思いつくわね……。」
フォルテとリムルの計算された販売方法に、ヒナタは感心と呆れが混じった様な声で言うのだった。
そうしてスパウトパウチによる販売についてある程度の話が終わり、晩飯に皆で
「第4問!より美味しかったのは、紫苑の天ぷらか!それとも、この短時間で改良を重ねた、朱菜の薬草天ぷら!」
朱菜さんの天ぷらが美味しかった‼︎
「ほっ……。」
リムルの問いに
「そんな……リムル様とフォルテ様の分もと思って、とびっきり美味しくなる様に調理したのに‼︎」
「安心しろ。紫苑の料理はちゃんと俺とリムルで食べるからな。」
「フォルテ様!」
(俺まだ巻き込むなよ⁉︎なんとか話を逸らさなきゃ……!)
落ち込む紫苑を見てフォルテは肩に手を置きながらそう慰めると、自分まで巻き込まれる事に恐怖したリムルはなんとか話を逸らそうと朱菜に話しかける。
「そ、それにしても朱菜、よくあの苦い薬草を美味しく調理出来たな。」
「はい!紫苑の強力なスキルを超えて、美味しいものを作りたくて、努力して身に付けた“本物の
今回の噛み分けで朱菜は紫苑の
「薬草の苦みを消すのではなく、旨味に変えるよう、下味などを改良しました。努力が報われて、一安心です。」
「わ、私にも食べさせてください、朱菜様!味を覚えて、
「ふふふ、ダメですよー?ちゃんと自分で研究してください!」
「そんなぁ!」
(まぁ、せっかく頑張って研究して見つけた味を簡単に再現されるのは、朱菜からすれば堪ったものじゃないよね。)
(そう考えると戦闘面だけでなく、料理面からしてもやはり紫苑の
紫苑と朱菜のやり取りをフォルテとリムルは苦笑いしながら見守るのだった。
「デザートはまだか?」
「あ、はーい!」
ルミナスがデザートを頼むと朱菜はシュークリームを用意すると、ヒナタはある事に気付いた。
「シュークリーム……さっき、これも携帯食料にしていたわよね?……。」
「ふっふっふ。しょっぱい系の携帯食料と、甘い系の携帯食料……2つセットで売れば……!」
「ちょっと、なんてアクドイ事考えるのよ?そんな無限ループをやられちゃったら、買い続けるしかなくなるじゃない。」
「成る程、甘い物を食べたら、塩味が欲しくなりますからね。そして塩味の次は甘い物が欲しくなる……。」
「本来ならそのループ、猛スピードで太るんだけど、携帯食料の材料は薬草だから太らない……。」
「一度ハマっちゃえば、予算の限り買い続けてくれそうだ。」
「悪魔みたいな発想ね……魔王に言うのもどうかと思うけど。」
「まぁ、この無限ループを思い付いたきっかけはリティスのお陰なんだかな。」
「……ああ、あの時ね。」
スパウトパウチによる紫苑の料理を携帯食料として販売するにあたって、フォルテは試しに紫苑の豚骨スープを何袋か入れて試していた時だった。
「……あ、フォルテ。そのパッキングされたスープ貰っていいかしら?」
「構わないが……飲むのか?」
「ええ。まあ、飲むのは私じゃないんだけれどね。」
そうしてヒナタはリティスに紫苑の豚骨スープを飲んでもらった。
太り難く出来ていると説明したら、喜んで何本も飲んでいた。
そんなリティスの姿を見ていたリムルは、カロリーを気にせず飲み続けられるこの無限ループを思い付いたのだ。
「いやいや、これはウチの紫苑と、お宅のレナードさんの共同開発じゃん?」
「ほう、共同開発か。ならば我が国にも利益の何割かを回すなり、便宜を図るのじゃろうな?」
共同開発と聞いてルミナスが反応しリムルに問い掛ける。
「もちろん。レナードとも約束したしな。魔王だけど、悪いスライムじゃないから、今後とも宜しくね!」
「それを妾に……同じ“魔王”に言うか?まったく、変わったスライムじゃ。」
「まあ、それがリムルだからな。」
そうして紫苑の料理は携帯食料として販売される事となり、後に開かれる開国祭でより多くの人達に知られ美味でありながら低カロリーで健康にも良い携帯食料として
まおりゅうであったルミナスの思いつきから始まった紫苑と朱菜の料理の噛み分け。
その中でレナードが思い付いた紫苑の料理の活用方により、紫苑の料理を携帯食料として販売する事が決まった。
スパウトパウチによって見た目を完全に隠し、……紫苑の料理が