転生したらフォルテだった件   作:雷影

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13話 決戦準備

豚頭帝(オークロード)を討伐することにした俺達は作戦会議をしていくなか、やはり20万もの軍勢を相手取るとなると蜥蜴人族(リザードマン)との同盟を前向きに検討する必要があるのだが。

 

「なぁリムル、その使者はそんなに駄目だったのか?」

 

「フォルテが来たのはゴブタとの一騎打ちの時だったな。いきなり来て配下に加えてやろうと偉そうに言ったり、俺がスライムだからランガ達を従えているのもなんか騙されているって決めつけてきた態度が、もうなんていうか調子乗っている奴感半端なくてな…。」

 

「俺…本当に燃やしてやろうかと思いましたよ。」

 

「リムル様に対するあの態度許せません!」

 

おぉ、ベニマルとシオンから凄まじい怒りのオーラが見える。

 

「シズさんから見ても駄目な奴だったか?」

 

「うーん、実力はあるようだったけど悪人では無さそうだし…、なんて言うか、本当にお調子者って人だったなぁ。」

 

成る程…、確かにそんな浮かれ気味な感じでは同盟を結ぶのも悩むよな。

 

「話の通じる者となるとやはり首領と話した方が1番だろうな。」

 

「そうだな。でも首領と話すにしろどうするか…。」

 

「リムル様。でしたら自分がリザードマンの首領と話をつけてきます。」

 

「フォルテ様。拙者も同行してもよろしいでしょうか。」

 

「ソウエイ、できるのか?」

 

「シャドーマン…任せていいんだな?」

 

「はい。」

 

「もちろんです。」

 

この2人なら大丈夫だろう。

 

「わかった、任せたぞ。」

 

「「は!」」

 

2人はその場から消えた。すぐに動いてくれる本当に優秀な2人だ。

 

ソウエイとシャドーマンがリザードマンとの話し合いに向かい、作戦会議が終わった後、俺はカーネルとシズさんに話をしていた。

 

「カーネル。お前は村に残って村の皆とアイリス達を守ってくれ。シズさんは、できれば共に戦ってくれないか? この世界で英雄として戦っていたシズさんの力添えがあれば心強い。」

 

「了解しました。」

 

「私もいいよ。豚頭帝(オークロード)がいるならこの世界の危機だから私も皆の力になりたい。」

 

「ありがとう。」

 

「フォルテ!」

 

突然俺を呼ぶ声に、声のする方を見ればトリルがいた。恐らくトリルも皆を守る為に戦いたいのだろう。だが特訓を受けたとはいえ、トリルはまだこの世界で進化してまもない上に精神的にもこの戦いに参加はまだ無理だ。なんとか説得するしかない。

 

「トリル……済まないがこの戦いには「わかってる。」⁉︎」

 

「僕も皆の為に戦いたいけど、こんな大きな戦い…正直僕はちゃんと戦えるか不安がある。僕は村に残ってアイリスお姉ちゃん達を守るよ!」

 

「トリル…成長したな。カーネルと一緒に村の皆を守ってくれ。」

 

「うん!」

 

トリル達は自分の今できる準備をしに向かった。そして俺は1人森の中で待っている。

 

「………俺は1人だ。そろそろ出てきたらどうですかトレイニーさん。」

 

俺がそう言うと、木の葉と共にトレイニーさんが俺の前に現れた。背後に他の樹妖精(ドライアド)を連れて。

 

「後ろの2人は?」

 

「ご心配無く、この2人は私の妹達です。」

 

「初めましてトライアです。」

 

「ドリスです。」

 

「こちらこそよろしく。それで会議の後から俺が1人になるのを待っていたようだが、俺に何か? 樹妖精(ドライアド)はこのジュラの大森林の管理者であるのは知っている。俺の存在がこの森にとって危険と判断したのか?」

 

「それは違います、フォルテ=テンペスト。それどころか貴方はこの森を…いえ、この世界を救ってくれました。」

 

そう言いながら俺に対し膝をつくトレイニーさん達。

 

「俺が救った?」

 

「はい。貴方達がイフリートの暴走を止めた1週間後に、貴方が異世界の脅威と対話してこの世界を救ったことです。」

 

それってデューオが来たあの時か

 

「話しの内容までは知りません。ですが私達の常識を超えた存在だということは貴方達がその場から消え、また戻って来たことから分かりました。」

 

どうやら俺がデューオの元に呼ばれている所を見ていたようだ。

 

「戻ってきた貴方達が新たな力を得た事と、空に見えていた彗星が突然消えたこと、そして貴方達の会話からとてつもない存在だったと理解しました。それもヴェルドラ様や魔王でも敵わない存在だと。」

 

「…確かに、デューオの力の前だとそうだろうな。」

 

この世界の魔王がどれほどの者か分からないが、世界そのものを消されてはどうにもならないからな。

 

「私達は失礼ながらその後も貴方の行動を監視しておりました。」

 

だろうな。トレイニーさん達からすれば得体の知れない存在が現れ、その存在と接触して無事に戻って来た俺が危険な存在になっている可能性があったからな。監視するのは当然だな。

 

「フォルテ。貴方の力は神に近いと言っていい程のものでした。

強さもそうですが、命を一から生み出すなど私達が生きてきた中でも前代未聞のことです。」

 

「俺がシャドーマンとヤマトマンを創り出した事だな。」

 

「そんな中での豚頭帝(オークロード)の進軍。私達は貴方の人柄を知る為にも、今回の豚頭帝(オークロード)討伐を頼みました。」

 

「なるほど。…それでどうだった?」

 

「貴方は森にとって災いではないと私達は確信できました。先程もあの少年の事を考え皆を守ることを頼んでいました。」

 

「そうか。トレイニーさん達に認めてもらえたらこちらも安心だ。」

 

「はい。ですが、豚頭帝(オークロード)に使われているあのダークチップとやらについて詳しかった訳を教えてもらえますか。」

 

確かに、トレイニーさん達樹妖精(ドライアド)ですら謎の力に俺が知っていたに疑問に及ぶのは仕方ない。それに管理者に知ってもらったほうがいいだろう。

 

「トレイニーさん達はシズさんが召喚者だと言うのは知っているな。」

 

「はい。」

 

「俺とリムルはシズさんがいた世界で死んでこの世界に転生した転生者だ。」

 

「「「⁉︎」」」

 

俺の言葉にトレイニーさん達は驚く。俺は、自分が前の世界で死ぬ間際にゲーム…物語の人物の存在を思っていたことで、この世界でその人物に転生していたこと、その物語にダークチップが使われていたことを話した。

 

「そういう事だったのですね…。話していただき感謝いたします、これでいろいろ納得できました。他にこの事を知っている方達はいますか?」

 

「今の時点で知っているのはシズさんにランガとゴスペル、そしてカーネル達だ。トレイニーさん達には伝えたほうがいいと思ったから話したんだ。」

 

「信頼してくださりありがとうございます。では私達は森の調査を再開します。」

 

「例の魔人の捜索なら無理はしないでくれ。」

 

「心配してくださって嬉しい限りです。ですが樹妖精(ドライアド)として森を乱す者は許せません。」

 

「そうか。ならこれをもっていってくれ。」

 

俺はチップを一枚トレイニーさんに渡す。

 

「これは?」

 

「俺が記憶している技をチップに納めた物だ。念じて使うと納めていた技が一時的にスキルとして発揮できる。」

 

「それは助かります。フォルテ=テンペスト、豚頭帝(オークロード)の討伐よろしくお願いします。」

 

そう言ってトレイニーさん達は葉となってその場から消えた。

 

……さてと俺はリムルにこの事を話さないとな。

 

 

 

 

シス湖周囲の湿地帯。蜥蜴人族(リザードマン)の首領が静かに座っていた。

 

「首領…いかが致しましょう。オーク軍が迫っておりますが。」

 

「…籠城するしかあるまい。20万のオークを相手に戦う術はあるまい。」

 

首領は冷静に対処する。そんな時、1人の兵が慌てて首領の元に走ってきた。

 

「首領…首領‼︎」

 

「何事だ?」

 

「侵入者です! 鍾乳洞の入り口にて首領に会わせろと…。」

 

「…会おう、連れて参れ。」

 

「⁉︎ 首領、危険では……。」

 

「そなたも感じるか、この妖気(オーラ)を…。」

 

「ええ…只者ではありません。これは蜥蜴人族(リザードマン)の精鋭百体以上でかかったとしても敗北するかも知れません…。」

 

コツ…コツ…コツとゆっくりと近いてくる足音。やがて入り口の暗闇の中から現れたのは額に角を生やした青い髪のオーガと思われる男と、紫の装備に身を包んでいる忍と思しき人間?

 

「失礼、今取り込んでおりましてな。おもてなしも出来ませんので…。」

 

「気遣いは無用だ。」

 

「拙者達は単なる使者…。」

 

「我が主の言葉を伝えに来ただけなのでな。」

 

そう聞いてリザードマン達は警戒を解く。

 

「して…用件は。」

 

「我が主達はリザードマンとの同盟を望んでいる。」

 

「同盟? はて、そなた達の主達をワシは知らんのだがね。」

 

「我らの主達はリムル=テンペスト様とフォルテ=テンペスト様だ。樹妖精(ドライアド)より直に要請を受けオーク軍の討伐を確約されている。」

 

「なっ⁉︎ 森の管理者が直接…。」

 

樹妖精(ドライアド)の話では、オーク軍を率いているのは豚頭帝(オークロード)だという。この意味を踏まえて良く検討して欲しい。」

 

「更に樹妖精(ドライアド)の情報では、豚頭帝(オークロード)は特殊な闇の力でよりその力を増大させているそうだ。」

 

やはり豚頭帝(オークロード)が生まれていたのか…それに闇の力……。

 

「ふんっリムル? フォルテだと⁉︎聞いたこともない! どうせそいつらも豚頭帝(オークロード)を恐れて我らに泣きついて来たのだろ? 素直に助けてくれと言えばいいものを「やめろ」⁉︎」

 

兵の1人が喚くなか、首領がそれを止める。

 

「口を塞ぐのだ。」

 

「しゅっ首領! そのような態度では舐められて⁉︎」

 

喚いていた兵は、自身の首に何かが巻き付き食い込む痛みを感じた。よく見ると極細の糸が自分の首に巻き付いており、その糸は青髪の男と紫の忍者から放っており、2人は糸をゆっくりと指で引こうとしていた。

 

「待て、同族の非礼を詫びよう。離してやってもらえないだろうか、これは対等の申し出なのだろう?」

 

首領の言葉に2人は指の動きを止めた。そして軽く動かし兵の首から糸を外した。

解放された兵はその場で尻餅をついた。

 

「失礼。脅すつもりはなかったが、主達を愚弄されるのは好まぬ。」

 

「拙者も同じだ。」

 

 

よく言う……止めねば迷わず首を刎ねただろうに。

 

「…ジュラの大森林に暮らす魔物で森の管理者を騙る愚か者はいない。見たところ、そなた…私の知るそれとは内包する妖気(オーラ)が大きく異なるが、南西に暮らすオーガであろう?」

 

「今は違う。主より蒼影(ソウエイ)の名を賜った折…鬼人となった。」

 

「鬼人⁉︎」

 

「オーガの中から希に生まれると言う上位種族…。」

 

「ならば、其方に名を与えた主とは…それ以上の存在っと言うわけか。そしてもう1人、そなたは見た目こそ人間に近いがその妖気(オーラ)はただ者ではない。私の知る限りそなたのような種族は、このジュラの大森林にはいなかったはずだが?」

 

「拙者の名はシャドーマン。この世界で主の手により創り出されし新たな種族電脳魔人(サイバーノイド)。」

 

「⁉︎なんと、そなたの主は命を創り出したというのか…。」

 

「そんなことが…命を創り出す…それは神のなせる技…。」

 

首領と側近はシャドーマンの話しに耳を疑うのだった。

 

豚頭帝(オークロード)の出現…。この局面において強者達からの同盟の申し出……断る理由はないな。だが…

 

「ソウエイ、シャドーマンとやら、ひとつ条件がある。」

 

「…聞こう。」

 

 

 

 

 

「………リムル。随分と可愛くなったな。」

 

「言うな!」

 

今リムルはシュナやシオンを含めた女性陣によって着せ替え人形のように色んな服を着せられている。…しかも女性物ばかり。

 

「シズさんから見ても可愛いですよね。」

 

「うん。リムルさんすっごく可愛いよ。」

 

「くぅ…! もうどうにでもなれ…。」

 

元男性として色んな事を諦めたリムル。そんなリムルを見ていた俺の元にシュナが来た。

 

「あのフォルテ様、良ければこれを付けて見てください。」

 

そう言ってシュナが俺に差し出したのは銀でできたゴスペルを模したアクセサリーだった。

 

「フォルテ様に合う服が中々できなくて…それでせめてアクセサリーはと作りました。」

 

「シュナ…ありがとう、さっそく着けてみよう。」

 

俺はアクセサリーを首に付ける。

 

「どうだ。」

 

「はい。よく似合ってます!」

 

「フォルテ君、凄く似合ってるよ。」

 

「私も合ってると思う。」

 

シュナとシズさん、アイリスにそう言われ、思わず小さく笑みを浮かべた。

 

「…フォルテ。お前はいいよなそんなアクセサリーをもらって…。」

 

その様子を恨めしげな目で見つめながらリムルが言う。

まぁ、自分は女装させられているのに、俺は渋くカッコいいアクセサリーだからそう思うのも無理はない。

 

 

 

『フォルテ様、今よろしいでしょうか?』

 

そんなときシャドーマンから思念伝達が来た。リムルの方にもソウエイから連絡が来たようだ。

俺達はシャナ達から離れて連絡を聞く。

 

『どうしたシャドーマン?』

 

『リザードマンの首領に会い、同盟の話をしたところ受けてもいいと判断されました。』

 

『そうか、よくやった。』

 

『ただ、一度フォルテ様とリムル様に出向いて欲しいとの事ですが…。』

 

『成る程…やはりな。リムルと話してそうなるだろうと予想はしていた。わかった。準備と移動時間を考え7日後にはそちらに着くと伝えてくれ。』

 

『承知しました。』

 

そう言ってシャドーマンとの通信を終える。

 

「さてと、リムルと湿地帯に向かう準備を始めないとな。」

 

そう言ってリムルの元に向かうが、またリムル達がシュナ達によって着せ替え人形にされていた。

 

「……もう少し後にするか。」

 

 

 

通信を終えた後、ソウエイとシャドーマンは首領に日時などを説明した。

 

「ーーでは我等は準備を整え7日後にこちらに合流する。」

 

「その時こそ、我が主リムル様とフォルテ様に目通りしてもらうとしよう。」

 

「それまでは決して先走って戦を仕掛けることのないように。」

 

「うむ、承知した。」

 

聞き入れてもらえたか…。

 

話を終え去ろうとするソウエイとシャドーマン。その途中でソウエイが足を止めた。

 

「最後にひとつリムル様より伝言がある。〝背後にも気をつけろ〟とのことだ。」

 

「……? そうしよう。」

 

そうして2人が去った後、首領は玉座に座った。

 

「…首領。」

 

「…どうにか光明が見えたようだ。皆を集めよ。」

 

首領の元にリザードマンの兵達が集結した。

 

「よいか、皆の者。 オーク軍はすでにこの地下大洞窟のすぐ側まで迫ってきている。だが恐れることはない。7日後には樹妖精(ドライアド)の要請を受けた強力な援軍が見込める。それまでの間、我々は籠城し戦力を温存するのだ! 地の利は我らにある。この天然の迷路を利用しオーク一体に対し必ず複数人であたれ。目的はあくまでも防衛だ!

間違っても攻勢に打って出ようなどとは思うな。戦死してしまえば亡骸はそのまま奴らの餌となり、奴らの力となってしまう。それが豚頭帝(オークロード)を相手に戦うということだ!

援軍と合流した後反撃に転ずる!その時までは耐えるのだ!誰一人死ぬことは許さん‼︎」

 

「「「「ウオオオオ‼︎」」」」

 

首領は冷静な判断でリムル達と合流するまで耐える作戦を取った。首領は長い戦いと経験から豚頭帝(オークロード)の恐怖を知っていた。

だが、その息子は知らなかったのだ、豚頭帝(オークロード)の恐怖を…。その違いがリザードマン達を危機に追いやることになる。

 

 

「……老いたな…親父。」




ガビルには相手を知ることの大事さが分かっていなかった。
それがどれだけ大事だと言うことが。
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