転生したらフォルテだった件   作:雷影

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遂にオーク軍との戦争!圧倒的な戦力のオーク達にフォルテ達が迫る。


14話 大激突

「お待ちしておりましたリムル様、フォルテ様。出陣用の武具の準備が整っております。」

 

「…へぇ、いいじゃないか。」

 

「ああ。」

 

リムルは青い服装に着替え、俺はシュナとアイリスが新しく作ってくれたマントに身を包んだ。

 

ソウエイ達とリザードマンの首領との会合から4日後。

 

俺達は準備を終え、湿地帯へ向かっていた。村はリグルド達に任せ、もし危機が来たら即座に逃げるように指示はしている。カーネルとヤマトマン、それに成長したトリルもいるから大丈夫なはずだ。

 

出陣メンバーはゴブタ達ゴブリンライダーにベニマル、シオン、ハクロウ、偵察中のソウエイとシャドーマン、そしてゴスペルとランガ。

 

『フォルテ様。』

 

シャドーマンから通信が入る。

 

『どうしたシャドーマン。』

 

『交戦中の一団を発見しました。片方はリザードマンの首領の側近で、相手はオークの上位個体のようです。』

 

それを聞いてリムルの方を見たが、考えていることは同じのようだ。

 

『側近を助けろ。後オークを何体か生かして捕らえておけ、情報を得るにはちょうどいい。』

 

『御意。』

 

「リムル。」

 

「わかってるよ。総員、戦闘態勢をとれ! ソウエイとシャドーマンの元に向かう!」

 

 

リザードマンの首領の側近はオークに痛みつけられ、もはや動く力すら残っていなかった。

 

「なんだ、もうお終いか? つまらんな、飽きてきたしそろそろ〆時か。」

 

父上…兄上…ごめんなさい私はもうここまで……。

 

側近が諦めかけたその時、助けが現れた。

 

「なっなんだ貴様は⁉︎ 突然現れやがって、獲物の横取りでもしようってか⁉︎」

 

側近が顔を上げると、そこにはオークの攻撃を弾いたソウエイの姿があった。

 

「勝手に死なれては困るな。リムル様がお前に事情を聞きたいそうだ。」

 

ソウエイが繰り出した斬撃により、オークは深いダメージを受けた。

 

「シャドーマン。他のオーク達は始末は終わっているか。」

 

「無論だ。生け捕りはその上位個体で十分と判断した。」

 

声の方を見ると、そこには取り巻きのオーク50体を全て倒し、その中央で一人佇んでいるシャドーマンの姿があった。オーク達は全て一撃で急所を斬られ即死していた。

 

あれだけの数をたった1人で……。

 

「無事か? ソウエイ、シャドーマン。」

 

「あれ? もう終わってるっすか?」

 

「君がリザードマンの首領の側近だな。」

 

その直後現れた集団。あれはゴブリンと牙狼族? その隣の黒い狼?は始めて見る。それにあそこにいる3人はソウエイ殿と同じ鬼人? そして私に近づく青い髪の美少年…少女? そしてマントに身を包む少年。

 

「これを飲め。大丈夫、回復薬だ。」

 

回復薬を飲んだ側近の傷は瞬く間に完治した。

 

「傷が…⁉︎ウソ、致命傷だと思ったのに……。あっ貴方達は」

 

「俺はリムル=テンペスト。リザードマンとの同盟の為に会談に参加するべくここにいる。」

 

「フォルテ=テンペストだ。ソウエイ、シャドーマン、そのオークが生かしておいた奴か。」

 

「はい、フォルテ様。急所ははずしてあります。」

 

「よくやった。」

 

俺が2人を褒めていると、オークが立ち上がってきた。

 

「あえて急所を外しただと? 負け惜しみを…。貴様程度の非力な腕では、この俺には通じぬだけよ。主の手前で格好つけたかったのか? 残念だったな!」

 

残念なのは此奴だな。ソウエイが殺す気ならその体はバラバラにされていただろう。相手の実力もわからないほどに力に酔いしれているみたいだな。

 

豚頭帝(オークロード)様より授かったこの偉大な力の前に貴様らは敗北「痴れ者め。」⁉︎」

 

オークが叫んでいる途中でシオンが愛刀である剛力丸を振り下ろした。

オークの体が真っ二つにされたと誰もが思ったが、フォルテが間に入り剛力丸を素手で受け止めた。その際激しい衝撃波が辺りに広がり、背後のオークは吹っ飛びながら転がり倒れ込んだ。

 

「シオン。このオークからは大事な情報を聞き出さなければならない。」

 

「す、すみません、フォルテ様!」

 

シオンは慌てて剛力丸をしまってフォルテに頭を下げた。

 

「フォルテ、お前大丈夫か⁉︎」

 

「心配ない。夢之闘気(ドリームオーラ)を纏っていたからな。」

 

「流石フォルテ様。シオンの一撃を受けて微動だにしないとは…。」

 

「ですが無理はしないでくださいよ。見ているこっちは冷や冷やしました。」

 

「皆の言う通りだよフォルテ君!」

 

ハクロウは驚きながら感心され、ベニマルとシズさんには心配された。流石にあの行動には皆から注意された。

 

 

(あの一撃を片手で受け止め平然としているなんて……。)

 

そんな様子を首領の側近は目を見開いて見ていた。

 

「さてと、そこのオーク。」

 

フォルテの呼ばれたオークはさっきまでの勢いはどうしたと言わんばかりに震えていた。さっきのシオンの一撃で自分が確実に死んでいたこと、そんな一撃を片手で受け止めたフォルテの力を理解したのだろう。

フォルテはオークに近づいて見下ろしながら言った。

 

「相手の実力も分からずに良い気になっていたようだが、これでわかっただろう? 今、お前が相手している者の力がどれ程のものなのかを。」

 

オークはその言葉に必死に頭を縦に振る。

 

「ならお前の知る限りの情報を渡してもらうか。」

 

「ぐぅ!…確かに貴様達は強い。だが俺達の情報はわたさん!」

 

「そうか…。なら、お前の頭から直接情報を取り出すまでだ。」

 

「何⁉︎」

 

俺はオークの頭を掴み上げる。

 

(電脳之神(デューオ)、始めるぞ。)

 

《心得た。》

 

オークの頭を掴む俺の手が発光すると同時にオークが苦しみだした。

 

「ガ⁉︎ グオガァァォァ‼︎」

 

オークは苦しみながら俺の手を掴み剥がそうとするが全く力が入らないようだ。オークの頭から様々な情報が俺に流れ込む。ベニマル達の里の襲撃。オークロードの誕生の関わり。ダークチップを与えた魔人。そして、何故オーク達が20万の軍勢で動いたのか。

 

 

 

情報を引き出し終えたのでオークを離してやったが、オークは無理矢理情報を引き出す際の激痛に耐えられず事切れていた。

その様子を見ていたリムル達は少し恐怖を感じていた。ゴブタなど顔を真っ青にしていた。

 

「容赦ないな…。」

 

「オーク達が戦争を仕掛け来ている以上、俺もいろいろ覚悟を決めた。その覚悟の確認の為にもこの情報の引き出しは必要だ。」

 

「…フォルテ君。」

 

今まで倒した魔物の殆どが自我のない本能のままに動く存在だったが、これから戦うオーク達は意思がある存在だ。前世の価値観が俺の中で抵抗する可能性があった。だからこそ、このオークで自分の中での覚悟を確認した。

 

「それでだが、このオークの情報から今回の黒幕であろう魔人がわかった。」

 

「本当か!」

 

「ああ。まず豚頭帝(オークロード)の名はゲルド。そしてその名を与えたのはやはりゲルミュッドだった。」

 

その名に首領の側近は目を見開いた。

 

(その名は兄上に名を与えた魔人の…⁉︎ では今回のオーク軍を手引きしたのも……。)

 

「やっぱりか…なんとなく予想はしていたが…。」

 

「リグルの兄やオーガの里にまで名付けをしに来た奴らしいからな。そして、オーガ達が自分の名付けを断り追い返した事を逆恨みして豚頭帝(オークロード)にオーガの里を襲うように指示したようだ。」

 

俺が得た情報を聞いたベニマル達から憤怒の気配を感じた。

 

「そうか……あの野郎が俺達の里を…!」

 

「明確な仇がわかったと言うわけですじゃな。…フォルテ様感謝しますぞ。」

 

「そんな理由で里は…。」

 

「必ず仕留めましょう。」

 

「お前達…気持ちはわかるがまずはリザードマン達と同盟を結ばなければいけない。」

 

「フォルテの言う通りだ。その為にも首領の側近に話を聞かないとな。」

 

側近は父に兄による謀反に他を巻き込まぬよう密命されていたが、先程のソウエイとシャドーマン、その主の1人であるフォルテの力の一端を見てこの方達ならばと希望の光を感じた。

 

 

(言いつけに背くことをお許し下さい…父上。)

 

側近はリムルとフォルテに頭を下げて請願する。

 

「お願いがございます! どうか我が父たる首領と兄たるガビルをどうかお救い下さいませ‼︎」

 

「ガビルの妹なのか?」

 

「はい!」

 

「どういう事だ? お前がこんな場所で1人でオーク達と戦っていたことから何かあったと思うが…話してみろ。」

 

「…兄ガビルが謀反を起こし、首領を幽閉したのです。」

 

(…っ⁉︎ 何かあったと思っていたがまさか謀反とはな…。リムルの話からお調子者だと聞いていたが…。)

 

「兄はオーク軍を自らの力で退けるつもりのようです。ですが兄は豚頭帝(オークロード)を甘く見ており…このままではリザードマンは滅亡することになりましょう。父は見張りの隙を見て私を逃してくれました。先走らぬようにとの協約をも守れず、虫のいい話であるのは重々承知しております。ですが、力ある魔人の皆様を従えるあなた様達なら我らを救う御力があるのではと愚考致し、貴方達のその慈悲にすがりたく、何卒…何卒‼︎」

 

父と兄を…そして仲間達を救いたい一心で助けを願いでる側近。その姿はの心に響いた。リムルとシズさんの方に顔を向けると、二人ともどうやら思っていることは同じのようだ

 

側近の方に顔を戻すと、いつの間にかシオンが彼女の肩に手を乗せて、リムルの素晴らしさを熱弁していた。

 

「よくぞ申しました! リムル様の偉大さに気付くとは、貴方は見所があります。さぁ立ちなさい! 貴方のお望み通り、リザードマンは救われるでしょう。」

 

シオン…見事に秘書として勝手に仕事をとってきてるな…。

 

「ありがとうございます…! ありがとうございます! ありがとうございます‼︎」

 

側近の方も頭を何度も下げてるよ。

 

「まったく…。じゃあリムル、頼むよ。」

 

「わかってるよ。えーと、君は首領の娘さんだっけ?」

 

「は、はい! 仰せの通りに御座います!」

 

「では君を首領の代理と認める。ここで同盟を締結することに異論はあるか?」

 

「えっ!? い、いえ異論など!」

 

「じゃあ決まりだ。同盟は締結された。」

 

「あ…ありがとう…ございます…っ!」

 

同盟が締結されたのを確認した俺は、ソウエイとシャドーマンに指示をだす。

 

「ソウエイ、シャドーマン。首領のところまで影移動は可能だろう。」

 

「勿論です。」

 

「問題ございません。」

 

流石忍者コンビ。この2人を組ませたのはやはり正しかったな。

 

「リザードマンの首領と仲間達の救出を命じる。」

 

「御意!」

 

「承知しました!」

 

2人はその場から消える。さてと、俺はこのオーク達の能力と僅かに残るダークチップの闇の妖気(ダークオーラ)を解析しなくてはな。

俺はオークの遺体に手を向けて、能力吸収(ゲットアビリティプログラム)を使用して取り込んだ。

 

《オークのスキルと残留している闇の妖気(ダークオーラ)の解析を実行する。》

 

さてと…これから忙しくなるな。

 

「首領の娘さん、貴女も首領の元へ行くといい。ソウエイとシャドーマンがいればもう安心だ。」

 

「…感謝いたします。」

 

首領の娘は感謝の涙を浮かべながら首領の元に向かっていった。

 

「よし、俺達は進軍を続けるぞ!」

 

 

 

 

 

シス湖湿地帯。此処では今、オーク軍とリザードマン達の戦いが始まっていた。

 

「豚共を必要以上に恐れることなどない! 湿地帯は我らの領域! 素早い動きでオーク共を撹乱するのだ! ぬかるみに足を取られるノロマに後れは取らん!」

 

ガビルの指示に従い、兵達はオーク達をその素早い動きで翻弄し仕留めていく。オーク達はぬかるみで思うように動けず、リザードマン達側が圧倒的に優位に立っていた。

 

「俺達の攻撃が効いてるぞ!」

 

「やっぱりガビル様の言う通りだ!」

 

「然り!」

 

「オークなど我らリザードマンの敵ではない! よし、一旦離脱‼︎」

 

いかに自分達が優勢だろうと数が多いことには変わらない。ガビルは兵達に無理はさせずに一旦離脱させた。

 

(我らが翻弄しゴブリン達に仕留めさせるつもりだったが、ゴブリン達の手を借りるまでもないようだ。やはり親父殿は老いて判断を誤っていた。ならば、このガビルが見事に豚頭帝(オークロード)を討ち取る!)

 

ガビルは自分達の優勢な状況を確認しそう考えていたとき、一角から騒めきが生じた。

 

「う、うわぁぁっ‼︎」

 

その声に振り返ったガビルは、飛び込んできたその光景に目を疑った。

 

「なんだ…? オークがオークを喰っている…⁉︎」

 

オーク達が倒された仲間の遺体に群がって貪り食っていた。

その光景に他の兵達も恐怖を感じる中、兵の1人が油断してオークに捕まりそのまま引きずり込まれてしまった。

 

「た、たっ助けてぇぇ‼︎ ガッガビッガビル様‼︎ う、うわぁぁああっ‼︎」

 

他の兵達は恐怖から動けず、その兵はそのままオーク達に生きたまま貪り喰われてしまった。

 

ガビルはオーク達の異常な行動に危険を感じ、即座に撤退を指示した。

 

「退却だ急げ! 退却‼︎」

 

だがそれよりも早くオーク達がガビル達を取り囲んでしまう。

 

「ガビル様! 回り込まれちゃったよ!?」

 

「何⁉︎(何が起こった? 明らかに奴らの動きが素早くなっている!)」

 

状況の突然の変化に困惑しながらもオーク達を見ていたガビルは、その理由に気がついた。

 

「馬鹿な⁉︎ オークの体に水掻きと鱗だと⁉︎ それではまるで我らと同じではないか⁉︎」

 

「さっき仲間が1人喰われた!」

 

「然り! そこから奴らの動きが変わった!」

 

(まさか…食う事で我らの能力を⁉︎)

 

それこそが豚頭帝(オークロード)飢餓者(ウエルモノ)の恐ろしさ。それを知らなかったガビルの侮りがこの事態を引き起こしてしまったのだ。

 

「くっ、密集隊形! ゴブリン隊を中心に隙間なく固まれ! ゴブリン隊を守りつつオークの包囲を突破する!」

 

ガビルの指示に従い兵達はゴブリン達を守るように密集隊形をとる。

 

(我らだけなら逃げ切れたかもしれんが、ゴブリン達を連れてきたことが裏目に出でしまった…!)

 

 

「「「蹂躙せよ! 蹂躙せよ! 仲間の力を我が物に! 奴ら力を我が物に!」」」

 

オークの軍勢がガビル達に迫って来る!

 

「恐れるな! 我ら誇り高きリザードマンの力を見せつけてやれ!」

 

ガビルがそう叫んだ時、オーク軍の中から他のとは比べ物にならないくらい強大な妖気(オーラ)を纏う黒い鎧のオークが前へ出てきた。

 

「なんと凄まじい妖気(オーラ)なのだ!」

 

ガビルや兵達はそのオークの力に威圧されるが、ガビルは振り払うように前に出る。

 

「そこのオーク! 貴様が豚頭帝(オークロード)だな! 我輩は蜥蜴人族(リザードマン)の首領ガビル! 貴様に一騎討ちを挑む!」

 

ガビルはこのオークがロードだと判断し一騎討ちを挑むが、オークはこう答えた。

 

(ロード)ではない。我は豚頭将軍(オークジェネラル)豚頭帝(オークロード)様の足元にも及ばない。」

 

豚頭帝(オークロード)ではないだと⁉︎(これだけの力を持ちながら足元にも及ばないだと…。)」

 

「一騎討ちだったか、面白い、受けてやろう!」

 

豚頭将軍(オークジェネラル)が構え、ガビルも構える。

 

「感謝する!(一体どれほど化け物だと言うのだ本当の豚頭帝(オークロード)とは⁉︎)」

 

豚頭将軍(オークジェネラル)とガビルの一騎討ちが始まろうとするなか、ジュラの森の中でその様子を水晶玉から見ている怪しげなペストマスクのような仮面を付けた魔人とピエロのような格好の黒い仮面をつけた魔人がいた。

 

「よぉ〜しよしよしよっしゃ〜! ええ感じになってきたでぇ~! なぁゲルミュッド様〜。」

 

「うむ。」

 

「計画の方も順調に運んどるようやな~。」

 

「ああ。我が子が森の覇権を手に入れる日も近いだろう…。」

 

そう言いながら、ゲルミュッドは手に持つ水晶玉に映る豚頭将(オークジェネラル)とガビルの一騎討ちの様子を眺めていた。

 

「そうすれば俺の野望も……「中々面白い話をしていますね。」⁉︎」

 

「だっ、誰や⁉︎」

 

突然の声にゲルミュッド達が振り向く

 

「私の名はトレイニー。この森での悪巧みは見逃せません。」

 

「こりゃヤバイでゲルミュッド様。森の管理者樹妖精(ドライアド)や!」

 

「何だと⁉︎」

 

「御名答。それで、何を企んでいるのか話して下さいませんか?」

 

「いやーその辺は守秘義務ゆうか…。」

 

「そうですか。ではもう用はありません。森を乱した罪であなた方を排除します。」

 

「はぁ⁉︎」

 

「精霊召喚風の乙女(シルフィード)!」

 

トレイニーさんの背後から美しい女性の精霊が召喚される。

 

「待て待て待て⁉︎ 気早すぎやろ‼︎」

 

「さぁ、断罪の時です。罪を悔いて祈りなさい大気圧縮断裂(エアリアルブレード)!」

 

風の乙女が清らかな声の上げると同時に圧縮された風の刃が黒い仮面の魔人の片腕を切り落とした。

 

「おっおい⁉︎ 腕‼︎」

 

「無茶苦茶しよるなぁアンタ。問答無用かいなぁ…。ならこれはどうや!」

 

黒い仮面の魔人が指を鳴らすと、牙狼族とは違う狼型の魔獣が多数出現した。

 

「…っ⁉︎ この魔獣は!」

 

「なぁに、とあるお方から試作品で預かったやつや。いくら樹妖精(ドライアド)でもこの数を相手にするんは無理やろ。因にそいつらが得意なのは火を吐くことやから早くせな森が燃えてしまうで。」

 

「姑息な手を…。」

 

黒い仮面の魔人が呼び出した魔獣達はトレイニーを取り囲んだ。

トレイニーはこの状況をどう対処するべきかを考えを巡らせていた。その時、彼女の胸の辺りから何かが光を放ち始めた。

 

「これは…。」

 

トレイニーは光っていたそれを手に取る。それは、フォルテが渡したチップだった。

 

「フォルテ=テンペスト……貴方の力を借ります。」

 

トレイニーさんはチップを握りながら強く念じる。そうすると、チップの力の使い方が頭に流れ込む。

そして、トレイニーはゆっくりと腕を上げてチップの力を使う。

 

水之塔(アクアタワー)!」

 

トレイニーが上げた腕を地面へと下ろすと、そこから水柱が発生し、続けて起こる波が魔獣達を呑み込んでいく。

 

「なんやそれ⁉︎」

 

黒い仮面の魔人はゲルミュッドを掴んで飛び上がり、波を避けた。

 

「まさかそんな技を持っていたなんてな。まぁいいわ。本来の目的は達成してるし、此処らでお暇させてもらうわ。」

 

その言って黒い仮面の魔人は指の間から丸い球を取り出した。

 

「ほなさいなら~!」

 

それを地面に叩きつけると辺りが煙に包まれ、煙が晴れる頃には魔人達の姿は消えていた。

 

「逃げられましたか…。あの魔獣といい、状況は予想より思わしくありません。

リムル=テンペスト、そしてフォルテ=テンペスト、豚頭帝(オークロード)の討伐…信じていますよ。」

 

 

 

 

 

トレイニーがゲルミュッド達を逃してしまった頃、

リムルとフォルテは上空から戦場に向かっていた。

 

 

「リムルも蝙蝠の翼のおかげで飛べるようになったのは良かったな。」

 

「あぁ。これも大賢者のおかげだよ。」

 

リムルは背中に部分擬態で蝙蝠の羽を生やして俺と並んで飛行している。

 

「にしても、その翼を生やしていると吸血鬼か悪魔みたいだな。」

 

「うっ!お前な…それちょっと気にしてるんだぞ。」

 

「悪い。今度鳥系の魔物でも狩るか?」

 

「まぁ機会があればな。今はそんな暇ないだろ。」

 

「そうだな。さてと、そろそろ目的の戦場上空だ。」

 

そんな会話をしてる中、俺達はオークとリザードマン達が戦う湿地帯に到着した。

 

「さて戦況は…。」

 

「オーク軍にリザードマン達が取り囲まれているな。シミュレーションゲームなら詰んでるぞコレ。」

 

「よく見ると、リザードマン隊の中央にゴブリン達がいるな。おそらくリザードマン達は自分達で翻弄してゴブリン達に仕留めさせようとしたが、追い込まれて今ゴブリン達を守っているようだ。」

 

「見捨てない辺りはまだマシだな。…ん? 一騎討ち? あれは…ガビルか。」

 

「お調子者だと聞いていたが、中々漢気があるじゃないか。一騎討ちの相手のオークもかなりの妖気(オーラ)だが、やはり実力があるな。」

 

「そうだな。さて、俺達も皆が戦いを開始する前に豚頭帝(オークロード)を探しだそう。」

 

「わかった。」

 

俺達が上空から豚頭帝(オークロード)を探し始める中、ガビルは必死に豚頭将軍(オークジェネラル)と戦っていた。

 

「はあぁぁ!渦槍水流撃‼︎(ボルテクスクラッシュ)

 

ガビルの槍から凄まじい槍の水流が渦となって放たれる。だが豚頭将軍(オークジェネラル)の戦斧から発せられる風の渦がそれを相殺した。

 

混沌喰(カオスイーター)!」

 

豚頭将軍(オークジェネラル)から禍々しい妖気(オーラ)が顔の形をなしてガビルに襲いかかってくる。

ガビルは後ろに飛びながらそれを躱した。

 

「く…! 我輩を喰おうというのか!」

 

「フッフッフ。いつまで逃げ切れるかな。」

 

豚頭将軍(オーラジェネラル)の圧倒的強さにガビルは追い込まれていく。

 

「ガッ、ガビル様!」

 

「助太刀を!」

 

「手を出すな! これは一騎討ちである! それにお前達が敵う相手ではない!」

 

「…っ! 漢だせガビル!」

 

「「「ガビル!ガビル!ガビル!」」」

 

仲間達はせめてとガビルにエールをおくる。

 

仲間達の想いを背負いガビルは混沌喰(カオスイーター)を薙ぎ払い、豚頭将軍(オークジェネラル)に突っ込んでいく。

 

豚頭将軍(オークジェネラル)はガビル目掛けて戦斧を振り下ろすが、ガビルは紙一重でそれを交わし飛び上がった。

 

「なに⁉︎」

 

「ウオアァァァァ‼︎」

 

ガビルは落下の速度を加えた渾身の一撃を豚頭将軍(オークジェネラル)に叩き込もうとした。

 

 

が、豚頭将軍(オークジェネラル)はその一撃を盾で防ぎ、ガビルをそのまま戦斧の一撃で吹き飛ばした。

 

「ぐあぁぁ!」

 

ガビルは地面に転がり倒れる。

 

「ガビル様!」

 

ガビルは必死に立ち上がろうとするが、その前に豚頭将軍(オークジェネラル)がガビルの前に立った。

 

「蜥蜴は地面に這いつくばっているのがお似合いだ。死ね!」

 

そして止めと戦斧を振り下ろした。

自分の命はもはやこれまでかと諦め、目を瞑るガビル。

 

 

 

ガキン‼︎

 

だが、その一撃は第三者によって防がれた。

 

ガビルが目を開けると、目の前にいたのはあの村で自分を倒したボブゴブリンだった。

 

「なっ! きっ貴殿は…あの村の真の主殿ではないかっ!」

 

ボブゴブリン…いやゴブタはガビルの言葉に疑問符を浮かべた。

 

(なに言ってるっすかこの人?)

 

「もしや我々の助太刀に?」

 

「あれは狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)の隊長ゴブタだ。」

 

ガビルは声につられ上を見上げるとそこには一角を持つ狼が

 

「牙狼族の!」

 

「我が名はランガ。リムル様とフォルテ様の命により助太刀に来た。」

 

「いかにしてここまで…。」

 

「影移動だ。学ばんのか貴様。」

 

ランガがガビルに呆れていると、豚頭将軍(オークジェネラル)が不敵に笑う。

 

「ンフッフッフッフ…リムルとフォルテだと? 知らんな。何処の馬の骨かは知らんが、邪魔立てするなら容赦は…⁉︎」

 

ドゴォン‼︎ドゴォンドゴォン‼︎ドゴォンドゴォンドゴォン‼︎

 

豚頭将軍(オークジェネラル)が言い終える直前、背後の軍勢達が次々と発生する巨大な黒炎の球体(ドーム)に包まれ、燃やされていった。

 

「なっ⁉︎」

 

「おおっと! 始まったみたいすっね。」

 

(ぬぅ! 蜥蜴人族(リザードマン)の大魔法か⁉︎ 早々にケリをつけて、大魔法を操る者を始末せねば‼︎)

 

「えぇっと、ガビルさんでしたっけ? さっさと防御陣形を整えるっすよ。」

 

「う、うむ、わかったのである! しかし…あの炎は…。」

 

「心配いらないっす。味方の術っすから……多分!」

 

 

 

黒炎に焼かれる仲間達を見ながら巻き込まれないように距離を取るオーク達。

そんな時立ち込む煙の中から五つの影が見えた。

 

「…だからどけと言っただろう。」

 

「きっ…貴様ら、何者だ⁉︎」

 

「覚えてないのか? 酷いな、俺達の里を散々食い散らかしてくれたじゃないか。」

 

煙が晴れたそこに現れたのは、角のある3人と剣に炎を纏わせている魔人に黒い牙狼族?のような魔物だった。

 

そう、ベニマルとシオンにハクロウ、そしてシズとゴスペルである。

 

「その角…まさか、オーガか⁉︎」

 

「どうかな? 今は少し違うかもしれないな。」

 

「いよいよじゃな!」

 

「この機会を与えてくださったリムル様に感謝いたします。」

 

「私は貴方達に恨みはないけど、皆を守る為に私は戦う。」

 

「今こそ! フォルテ様が与えてくださったこの身体と力を発揮する時‼︎」

 

ベニマル達は里の皆の仇を討つ為、シズは大切な人達を守る為、そしてゴスペルは自分に新たな道を示してくれた主の為に今戦う!。

 

「もう一度言う、道を開けろ豚共。灰すら遺さず消えたくなければな!」

 

その言葉と共にベニマルは手から生み出した黒炎をオーク達に目掛けて放った。

 

オーク達は咄嗟に避けるが意味がなく、再び巨大な黒炎の球体(ドーム)によって包まれた。

 

それを上空から見ていた俺とリムルが目を開いて驚いていた。

 

「…すっげぇな。」

 

「リムルの名付けでここまでの力を得ていたとはな…。」

 

 

その頃、ガビル達の加勢に入ったゴブタ達とランガは豚頭将軍(オークジェネラル)と対峙する中、豚頭将軍(オークジェネラル)は余裕の笑みを浮かべていた。

 

「フン!蜥蜴共を助けに来たつもりだろうが、無駄なことを。ゴブリンに犬畜生、何処ぞの木端魔物の配下が加わったところで、我らの優勢は揺るがんわ!」

 

その言葉に怒るゴブタ。だがその隣のランガから自分以上の憤怒を感じていた。

 

 

「では…見せてやろう。」

 

 

 

その頃、リムルと二人で豚頭帝(オークロード)を探していたところ、突然夜空が暗雲に覆われ、無数の巨大な竜巻が発生した。

 

「おぉぉ…ええぇぇぇぇ⁉︎」

 

「これは中々の天変地異だな。」

 

無数の竜巻がオーク達を巻き上げ、更に黒稲妻が辺りに降り注ぐ。

 

「何これ?」

 

突然の事にリムルが俺に聞いてくる。

 

電脳之神(デューオ)と俺の解析によれば、ランガの広範囲攻撃技の黒雷嵐(デスストーム)らしい。ランガもリムルの名付けで信じられないくらいの力を発揮しているな。」

 

牙狼だった頃を思えば、こんな凄まじい技を出せるくらいに強くなったことを改めて理解するよ。

 

 

その一方、ランガ達と対峙していた豚頭将軍(オークジェネラル)はランガの黒雷嵐(デスストーム)に必死に抗っていた。

 

「ぐおぉ!おっ…おのれぇッ‼︎」

 

だがついに耐えきれず竜巻に巻き上げられると同時に黒稲妻が豚頭将軍(オークジェネラル)に直撃した。

 

「グアァァァァ‼︎」

 

そして肉片も残らず消し炭と化した。そして嵐を起こしたランガはその身体から溢れんばかりの魔素を放ち、その体はまた一回り大きくなり額に新たな角が生えた。

 

「ウオオォーーン!」

 

ランガはリムルが擬態でなっていた進化体である黒嵐星狼(テンペストスターウルフ)へと進化したようだ。

 

嵐が収まり顔上げたゴブタは驚く。

 

「おぉ!黒嵐星狼(テンペストスターウルフ)になったす!」

 

「しかと見たかオーク共よ! これが貴様らが木端と侮った御方達の力の一端だ‼︎」

 

「全部吹っ飛んじゃったすよ…。」

 

「ああ!」

 

ランガ達の前に残っているのは黒稲妻によって焦げた大地であった。その様子を遠くから見ていたゴスペル。

 

「ランガよ…立派になったなぁ。ワシも派手にやるとするか‼︎」

 

ゴスペルは口に膨大な魔素を集約し、ゴスペルが使える技である黒獣之息吹(ブレスオブゴスペル)を放つ。辺り一面が火の海となりオーク達が焼き尽くされていく。

 

「にっ、逃げろ! あの炎もやばい‼︎」

 

オーク達がゴスペルから距離を取ろうとするが、いつの間にか足が動かせなくなっていることに気づいた。

 

「馬鹿な⁉︎ 蜥蜴の力で泥濘に足は取られないはず‼︎」

 

オーク達が自分の足元を見ると、泥濘みとは違う黒い何が足にまとわりついていた。それをよく見ると、ゴスペルの身体にある黄緑の斑がある。

 

「これは…まさか⁉︎」

 

オーク達が気づいた時にはもう遅かった。その黒い物はゴスペルが体の一部を粘生物化(スライム化)させた物。オーク達は逃れる術も無く、粘生物化(スライム化)したゴスペルの一部に呑み込まれ、球体として圧縮されゴスペルに喰われていった。

その光景を見ていた他のオーク達は恐怖心によって後ずさる。そんなオーク達にゴスペルは振り向きながら言う。

 

「食われる側になった気分はどうだ?」

 

ゴスペルの言葉にオーク達は更に恐怖するが、負けじとゴスペルに飛びかかっていった。だがゴスペルの咆哮によって吹き飛ばされ、そのまま粘生物化(スライム化)した一部に取り込まれていく。ゴスペルは追撃とばかりにスキル元素息吹(エレメントブレス)で雷属性に変えた黒獣之息吹(ブレスオブゴスペル)を放った。

稲妻を帯びた黄色い炎がオーク達を焼き焦がしていく。

 

 

 

そして別の場所では、蒼炎を纏った剣でシズさんがオーク達を切り倒していく。

 

(改めて実感する。今までより身体が軽い上に力がとても安定して引き出せる。)

 

かつてのシズは、イフリートの力を抑えながら力を引き出していた…。でも、今は違う。新たなイフリートと心を通わせ、精霊之心(フェアリーハート)で更に力を高めて発揮することができる。

 

シズは剣に更に炎の力を纏わせていく。そして蒼炎から編み出した新たな技を放つ。

 

極蒼炎聖霊斬(セイクリッドフレア)‼︎」

 

シズの剣から蒼炎の斬撃が放たれオーク達を斬り裂き浄化するように蒼炎が辺りを燃やしていく。

 

 

 

「シズさんとゴスペルも凄いな!」

 

「英雄として戦ってきた経験に新たな上位精霊(イフリート)と通じ合い、今までにないくらいの力を引き出している。ゴスペルも今の身体を完全に使い熟しているな。」

 

 

シズとゴスペルの戦いでオーク軍は更に翻弄され混乱していくなかで、ベニマルの黒炎の球体(ドーム)が容赦なくオーク軍を焼き尽くしていく。

 

「これが俺達の新たなる門出。」

 

ハクロウがオーク軍の合間を素早く通り、刀を鞘に収めた瞬間、オーク達は血を噴き出し倒れていく。

 

「リムル様とフォルテ様の華々しい勝ち戦の!」

 

オーク達の前に剛力丸を片手にシオンが立つ。

 

「まずは最初の一戦目ですね!」

 

そんなシオンに怯みながらもオーク達は一斉に襲い掛かる。

 

「調子に乗るな!」

 

だが、シオンが剛力丸を握り振り下ろした瞬間、斬撃が地面を切り裂きオーク達を吹き飛ばした。…あの威力は夢之剣(ドリームソード)と同等では?と心の中で思ってしまった。

 

シオンは俺達に気付いて笑顔でこちらに向かって手を振る。

 

「リムル様! フォルテ様〜!」

 

「お、おう。…シオンを怒らせるのはやめよう。」

 

「そうだな。だが皆の強さは大したものだ。」

 

「あぁ。圧倒的だったオーク軍が見る見る減っていく。」

 

リムルの言う通り、ベニマルの黒炎の球体(ドーム)が次々とオーク達を焼き尽くしていく。

 

「本当に鬼人勢は優秀だね。いやはや、この戦いが終わった後も仲良くしたいものだね。」

 

「シズさんもさすがに英雄として戦って来た人だ。無駄のない動きと剣捌きは見事だ。そして、ゴスペルも自分の身体と能力を充分に引き出しいる。」

 

「そうだな。そういえば、ソウエイ達はうまくやってるかな。」

 

「ソウエイなら大丈夫だ。シャドーマンも一緒だし、今頃は首領達を狙っていたオーク共を倒しているだろう。」

 

 

リザードマンの本拠地。

其処にはソウエイとシャドーマンによって侵入していたオーク達が一掃されていた。余りの圧倒的な光景に側近は口を開けて唖然としていた。

 

そして傷ついた者達をリムルのポーションで回復させた後、首領の元に向かった。

 

「父上!」

 

側近は父である首領の無事を確認し抱きつく。

 

「そ、ソウエイ殿にシャドーマン殿…何故…。」

 

「同盟は締結された。」

 

「…⁉︎ それは…どういう…。」

 

「私を首領の代理と認めてくださったのです。援軍が来ます。」

 

「なんと!」

 

「まだ諦める時ではありません! …父上!」

 

「一族は助かるのか…。」

 

諦めていた首領は希望があると知り涙する。その直後、二体の豚頭将軍(オークジェネラル)が立ちはだかり、ソウエイとシャドーマン目掛けて斬りかかろうとする。

 

「ソウエイ殿!シャドーマン殿!」

 

首領は声を上げが、2人は動かない。

 

「心配は無用。」

 

「あぁ。すでに捕らえている。」

 

よく見ると、豚頭将軍(オークジェネラル)達はソウエイとシャドーマンの糸により動きを封じられていた。

その光景に首領も口を開けて唖然となっていた。

 

「そう…なりますよね。」

 

豚頭将軍(オークジェネラル)の強さを知っている首領は一瞬で無力化した2人を見て、改めて自分の判断が…同盟の受け入れが正しかったと悟る。

 

「見ているのであろう? オークを操りし者ゲルミュッドよ。次は貴様の番だ。オーガの里を滅ぼし、鬼人を敵に回した事、せいぜい後悔するがいい。」

 

 

そう言った後、ソウエイが糸を引くと豚頭将軍(オークジェネラル)はバラバラに引き裂かれた。

残っていたオーク達はシャドーマンが全て斬り倒しており、刀を背の鞘に収めた。

 

 

 

 

 

その直後の森のとある場所。トレイニーから逃げ延びたゲルミュッドが水晶玉からその光景を見ていた。

 

「クソ! 役立たず共が!」

 

怒りの感情に任せてゲルミュッドはその水晶玉を地面へと投げつけ叩き割った。

 

「鬼人だと⁉︎ ゲルドには俺の誘いを断りやがった大鬼族(オーガ)共の里を真っ先に襲わせたが、まさか生き残りが進化したとでもいうのか⁉︎

それにあの獣共だ! ジュラの森にあんな化け物共がいたなど聞いていない!」

 

ゲルミュッドはソウエイやランガそしてゴスペルの存在に戸惑っていた。

 

「俺の知らないところで一体何が起こっているというんだ! まずい…何とかしなければ! ここまで来た計画が潰れてしまう!」

 

ゲルミュッドはその場から飛び立つと戦場に向かっていく。

 

「このままでは俺が…俺があの方に殺されてしまう!」

 

 

 

 

その少し後、とある城の中でワインを持ち窓の外を眺める男がいた。

 

「いやーまいったまいった。いきなり人の腕切り飛ばすとか非常識な姉ちゃんやで。」

 

「笑わせるな。その程度、君にしてみれば大したことはないだろう? ラプラス。」

 

ワインを持つ男が振り返りながらそう言うと、其処にはゲルミュッドと共にいた黒い仮面の魔人…ラプラスがいた。

 

「まぁな。せやけど懐の水晶がわれたらどないしよ思たわ。」

 

「それは困るね。私もそれを楽しみにしているんだ。だけど君が不覚を取るなんてあり得ないだろう?」

 

「買い被りすぎやって。ワイかて失敗する事もあるわい。それにあの人からもらった魔獣達も皆駄目にしてしまったしなぁ。」

 

『気にすることは無いよ、ラプラス。』

 

2人の会話に横から第三者が話に入って来た。2人が声のする方に顔を向けると、暗がりの中に半透明の体の人物が立っていた。

 

「おや、貴方が会話に入るとは珍しいですね。」

 

『なぁに、今手が空いたので休憩がてら君達の作戦がうまくいっているのか気になってね。それにラプラスに与えた魔獣は試作品だ。データが取れただけで十分だよ。』

 

「そう言うてもらえるならワイもほっとするわ。」

 

『それに、あのチップもそれなりに効果が出ているようだ。完全再現にはまだ及ばないがいい傾向だよ。』

 

「確かに、貴方の作ったあのチップは素晴らしいですね。完成したなら私の駒達にも使わせていただいてもよろしいかな?」

 

『もちろんだとも、これからもお互いに協力するのは当たり前のことだからね。』

 

「おっ! 視覚の主はゲルミュッド。そろそろクライマックスやで。」

 

「…見せてもらおうか。」

 

2人はラプラスの持つ水晶に目を向ける。

 

「これは豚頭帝(オークロード)か。」

 

「せや、湿地帯のど真ん中や。」

 

「ということは、ゲルミュッド自ら戦場に降り立ったということか。手出しは厳禁だというのに使えん男だ。」

 

『何か計画に予期せぬことが起こったのかもしれんな。』

 

「まぁまぁ…お! ホラもう2人出て来たで。」

 

ラプラスの言葉に再び水晶に目を向けると、2人は思わず目を見開いた。

 

「…前言を撤回しよう。ゲルミュッドのおかげで面白いものが見られそうだ。」

 

『私もだ。この水晶に映る者……私の知る者なら面白い展開だよ。』

 

「へーえ…あんたや十大魔王が一柱人形傀儡師(マリオネットマスター)クレイマンにそこまで言わせるとはねぇ。」

 

水晶にはリムルとフォルテが映っていた。

 




クレイマンと共にリムルとフォルテを見る謎の人物。
暗躍するその行動の目的とは…。
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