転生したらフォルテだった件   作:雷影

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夏…今年はコロナが緩和してGWも人が戻ってきた中、夏も人が多くなりそうですね。


21話 夏の始まり

梅雨が明け…夏の季節となった。夏の暑い日差しの中、リムルの元に向かう俺は足を止めた。

 

リムルのいる部屋の窓から向日葵らしい植物が何かを覗いている。

あれは向日葵なのか…俺がそう思っていると、覗かれている事に気付いたのか、リムルが部屋から飛び出て俺の元に来た。

 

「フォルテ!リグルドの元に行こう!」

 

必死に言うリムル。まぁずっとあんな植物に見られていたら溜まったものじゃないな。俺達が向日葵に背を向けるとやはり誰かに見られている視線を感じた。

 

リグルドの元に向かう途中、街の様子を見ると……皆この暑さにまいっているようだった。俺とリムルは耐性がある為平気だが…皆大丈夫だろうか。

 

リグルドの元に着くと、リグルドはヴェルドラを祀っている祠に手を合わせ拝んでいた。

 

「ジュラの夏って暑いんだな。なぁリグルド、なんか皆まいっているみたいなんだけど…。」

 

「これはリムル様。フォルテ様。ええ、私共の記憶でもこんなに暑い夏は初めてです。」

 

「ん…あれ?もしかして……森切り開いて街作り始めたから自然環境に変化が…。」

 

「いやリムル、流石にそれはないだろ。」

 

前世の地球のように星全体の森が伐採されているわけでもないんだから。

 

「いいえ⁉︎きっとこれは…暴風竜様が姿を消された為かと…。」

 

いや…リグルドよ。そう言っても原因が俺達になってしまうんだ。

 

「何せ神様のなされたことですから……暴風竜様ですしセーフです!セーフ!」

 

「ヴェルドラだもんなぁ…ヴェルドラじゃ…しょうがないよなぁ〜。」

 

リムルよ…それはそれで酷いんじゃないか……済まないヴェルドラ。

 

 

 

夏の日差しが容赦なく街に降り注ぐなか、俺はシズさんとアイリスそしてトリルを連れて森の中にある川でスイカと野菜を冷やしていた。

 

「やはり夏といえばスイカと冷やした新鮮野菜だよな。」

 

「そうだね。私もお母さんと一緒にこうして川に来ていたよ。」

 

「綺麗な川。」

 

「水も凄く冷たくて美味しい!」

 

「それにしても、リムル達はカブトムシを探しに森の奥に言ったが大丈夫か?異世界のカブトムシだからな…どんな姿で能力(スキル)を持っているのかわからないんだがな。」

 

俺は森を見ながらそう言っているが、実は俺もカブトムシを探しに行きたかったりする。子供のころは良く蝉は取ったがカブトムシやクワガタは取ったことがなかった。

 

森を見ている俺の姿に、シズさん達が笑みを浮かべていた。

 

「ん?どうしたシズさん?」

 

「フォルテ君も本当は行きたかったんだよね。」

 

「うん。顔にそうでてる。」

 

「えっ⁉︎」

 

俺は思わず顔に手を触れた。

 

「やっぱりそうなんだ。アイリスお姉ちゃんの言う通りだったね。」

 

トリルにもそう言われてしまい俺は顔を逸らした。

 

「なんか恥ずかしいな。」

 

「そうかな?男の子なら当然だと思うよ。」

 

シズさんにそう言われるがやっぱりなんか恥ずかしい。……ん?なんだ…何がこっちに向かって来る。

 

俺は立ち上がり、こちらに近づいて来る何かに警戒する。

 

すると、森の木々を薙ぎ倒し現れたのは体長五メートルはあるであろう巨大な頭角と胸角を持つヘラクレスオオカブト⁉︎デカ‼︎異世界の昆虫はやはりデカいのか!それによく見ると、羽の部分がダイヤのように輝いている⁉︎

これは…亜種ってやつなのか?異世界だからなんとも言えないが、兎に角暴れれたら大変だな。

 

俺はいつ襲って来られてもいいように構える。

 

「待ってフォルテ君!あの昆虫何か様子が変だよ。」

 

シズさんにそう言われ改めてよく見ると、おぼつかない足取りで身体は傷だらけだった。

 

「はっ……腹が減った〜。」

 

ヘラクレスオオカブトがそう喋った。…てか腹を空かしていたのか。成る程、スイカの匂いに釣られて現れたようだな。にしてあの傷……まぁ弱っている相手と戦うのは流石に気が引ける。

 

「お前、腹が減っているなら一緒に食うか?」

 

俺がそう言うと、ヘラクレスオオカブトの目が輝いていた。

 

「いいのか⁉︎」

 

「ああ。」

 

 

 

ヘラクレスオオカブトはスイカに勢いよく齧り付いている。

 

「よく食べるな。」

 

「そうとうお腹を空かしていたんだね。」

 

「これがカブトムシの仲間…。」

 

「カッコイイね。」

 

俺達も切り分けたスイカを食べながらヘラクレスオオカブトの食いっぷりを眺めていた。

 

「ふぅ〜美味かった。こんなに美味いスイカは初めてだ。」

 

「満足したようでなによりだ。ところでお前はなんで傷だらけなんだ?」

 

「ん?ああこれか。なぁに、この森の魔獣共とやり合ってできた傷だ。俺に襲い掛かるから返り討ちにしてやった!」

 

「そうか。で此処に来たのはスイカの匂い釣られて来たって事だな。」

 

「それもあるが、このジュラの森の盟主様に会いに来た。」

 

ん?俺達に。

 

「どうして盟主様に会いに来たの?」

 

シズさんがそう聞くとヘラクレスオオカブトは元気よく声を上げて言った。

 

「もちろん!配下に加えて欲しくてだ!此処の盟主様の1人は凄く強くて訓練するだけで辺りに凄い余波が来る程の力の持ち主だと森中で噂になってるからな。そんな強い盟主様なら是非配下に入りたいと思った。」

 

あっ…それ俺だな。トリル達の特訓とかで訓練場とかはでに壊しているからな。その影響が森の魔物達の間に広まっていた訳か……やっぱり新しい訓練場を探した方がいいだろな。

 

「そしてその盟主様は貴方だな。」

 

ヘラクレスオオカブトはその角で俺を指し示した。

 

「ほう分かるのか?」

 

「うまく妖気(オーラ)を抑えていますが、強者の気配を強く感じます!どうか俺を配下にお願いします!」

 

頭を下げ俺に頼み込むヘラクレスオオカブト。せっかく俺の配下になる為に来たんだ。受け入れてやるか。にしても、虫取りに行こうとしたらまさか虫の方から俺の仲間になりに来るとは思わなかった。

 

「いいだろう。俺の配下に入る証に名を与えよう。」

 

「おぉ!ありがとうございます!」

 

ヘラクレスオオカブトのような姿……俺の頭にある人型ロボのイメージが浮かんだ。

 

「今日からお前はアークだ。」

 

「アーク…素晴らしき名前!」

 

どうやら気に入ってくれたようだ。

 

その後、俺達はリムルを探しに空から森の探索を始めた。俺は自分で飛べるので、アークにシズさん達を乗せてもらったいる。

 

「空を飛ぶのってこんなに風が気持ちいいんだね。」

 

「空から見る森の景色も綺麗。」

 

「凄いね。」

 

「喜んで貰えてなによりです!」

 

「それにしても、リムルは何処にいったんだ?」

 

「そのリムル様がフォルテ様と同じ盟主様なんですね。」

 

「ああ。スライムだが、豚頭帝(オークロード)を捕食した強者だ。」

 

「スライムでそこまでの力を……是非しっかりと挨拶しなければ!」

 

アークの仲間入りをリムルに伝えようと探していると、川に近くの木々が薙ぎ倒されその奥で巨大な水しぶきが上がった。

 

「……あの先にいるな。」

 

「なんと凄まじい水弾……流石は盟主様の1人。」

 

俺達は水弾が通った跡を遡ると、其処には小さい池となっている水溜まりにゴブタ達が水死体のように浮かびリムルが1人佇んでいた。

 

 

「おーいリムル!何やっているんだ?」

 

「えっ?フォルテ……て⁉︎なんだデカいヘラクレスオオカブトだと‼︎」

 

あっやっぱりそっちに目が行くか。

 

「紹介する。今日から俺の配下となったアークだ。」

 

「初めまして!フォルテ様の配下になったアークと言います。これからよろしくお願いしますリムル様!」

 

「喋った⁉︎」

 

リムルが落ち着いてゴブタ達が回復した後、お互いに事情を説明し合った。なんでもカブトムシは見つけたが、アークと同じくらいデカいカブトムシだったので、虫取りを諦め小川で水鉄砲合戦を始めたそうだが、ハンデに1人で相手をしてたら追い詰められて、思わず体内に貯めていた水を放ってしまったそうだ。

 

「この辺りの奴は、縄張り意識が強いですからな。」

 

「そうなのかアーク?」

 

「はい。ですからたまに乱戦になって弱ってしまうことがあります。…自分みたいに。」

 

ああそれであんなに傷だらけだったのか。

 

「にしてもフォルテはいいよな〜こんなカッコいいアークが仲間になって。」

 

「そう言うなって、その内リムルの所にもカッコいい奴が仲間になる可能性があるだろ。」

 

「そうかな…。」

 

「そうだよリムルさん。」

 

「きっと大丈夫。」

 

「僕もそう思うよ。」

 

皆の言う通り、後にリムルにも素晴らしい昆虫が仲間になることを今の俺達は知る由もなかった。

 

 

 

街に戻りアークの自己紹介を済ませた後、リムルがこの暑さを利用したイベントを思いつたので、一緒にベニマルの元に向かった。

 

「おっいたいた。ベニマルちょっといいか。」

 

「なんですか?また悪巧みじゃないでしょうね。」

 

「いやね〜すげぇ暑いし、もうこうなったら暑さを活かして我慢大会でもやろうかなと思って。」

 

成る程。リムルはやはりこういうところは抜け目ないな。

そしてベニマルに我慢大会について説明をした。

 

「ベニマル〜お前のように強い男は暑さなんかに負けないだろう?」

 

「ん!ならココは一つ俺の我慢強さを知らしめてやりましょう。」

 

「最近いいところが全くありませんでしたしね。」

 

「うるさいぞそこ!」

 

「だって事実ですし。」

 

「己〜見てろ残念秘書!炎の戦士の生き様をなー‼︎」

 

燃えるベニマル!……そして始まった我慢大会に広がるのは地獄の光景だった。ガビルにベニマルなどの参加者皆が鍋の前に白目を剥いて気絶し口から紫の物体を吐いていた。

 

その光景に見に来た者達は唖然としていた。

 

「おーと!鍋の前に出場者全員がダウンだ!」

 

「まさかベニマルが負けた⁉︎」

 

「どうしたんでしょうか?」

 

実況役の蒼華は声を上げ、リムルはベニマルが倒れた事に驚くなか、シオンはエプロンと片手にお玉を持ってベニマルらしくないと首を傾げているが、ゴブタはその理由を察して出なかったことを心から安堵していた。

 

「おっ……いや!1人だけ無事な者が!」

 

蒼華の言葉に皆が顔を向ける。

 

其処にはコタツに入り厚着したままシオンお手製の鍋を食べ続けるフォルテの姿だった。

 

「フォルテ様だー!我慢大会優勝はフォルテ様‼︎」

 

「「「「うおおぉぉぉ‼︎」」」」

 

「全くシオンの奴………まぁ舌触りは良くなってきているしだいぶ腕を上げたな。」

 

 

 

我慢大会の後、すぐにベニマル達は治療された。そして今俺は、ゴスペルの背に身を任せ休んでいる。

 

 

「……こうやってのんびりするのは久しぶりだなぁゴスペル。」

 

「はいフォルテ様。」

 

夏の猛暑の中、木の影の下で程よい風が吹く良い場所でフォルテは静かに自然を感じていた。

 

 

「……フォルテ様少し聞いてもいいでしょうか。」

 

「ん?なんだゴスペル。」

 

ゴスペルが俺に質問してくるのは珍しいな。

 

「フォルテ様はいつも特訓に精を出されていますが、何故そこまで強さを極めようとするのですか?フォルテ様の強さは皆が認めております。」

 

「……そうだな。多分それは俺のフォルテとしての本能が無意識に出ているのかも知れないな。」

 

「それはどう言うことでしょうか?」

 

「ゴスペル…前に話したよな。俺が転生者だと言う事。」

 

「はい。フォルテ様が我を信じて話してくれた日のことは今でも覚えております。」

 

「俺の元となった物語のフォルテはな、自分の信じていた者に裏切られたと勘違いしてただ強さを…力を求める修羅となっていた。……俺のこの身体にはその本能のようなところがあるのかも知れない。」

 

「フォルテ様……。」

 

「まぁ、強くなること自体は俺も望んでいるからな。この世界には俺より強い存在は絶対いる。そんな奴らと戦うことがないともいいきれない……だからこそ、俺は今も強くなろうとしている。」

 

俺は拳を上げでそのゴスペルに言った。

 

「……フォルテ様。ならばこのゴスペルも更に強くなれるように精進します!」

 

「ああ。共に強くなろうゴスペル。」

 

「はい!それでフォルテ様、実は…一緒にある技をやってみたいのですが……。」

 

「ある技?……もしかしてアレか一緒に放つ。」

 

「はい!多分それです!」

 

「成る程な…ただ、アレは本当に威力がありすぎるからな……何処かいい場所が見つかるまで我慢してくれるか。」

 

「はい分かりました!」

 

ゴスペルと俺で放つあの技はマジで危険だからなぁ……。

 

その夜、俺とリムルはスナック樹羅にて1日の疲れを癒やしていた。

 

「はいテンペストブルー。」

 

「おぉぉぉ涼しげ。」

 

「うむ良い味だな。」

 

「アルコールの代わりに、涼しげなハーブを入れてみました。」

 

「猛暑の今にはぴったりだと思うよ。」

 

「確かに。ありがとうトレイニーさん。シズさん。」

 

「本当だよ。今日は暑くてみんな参ってたし。」

 

「確かに、今年の夏は暑いですね。ですが、長い目で見れば揺らぎのようなものです。……揺り始めか…揺り戻しか…。」

 

「確かに…トレイニーさんの言う通りかもな。」

 

「でも生憎、俺はそんな長い目はもってないんだ。」

 

「うっふふふ。リムル様とフォルテ様の力添えで、この森は大きく変わってきています。そして、この街の皆様はその予期せぬ変化にもしっかり対応しています。」

 

その言ってトレイニーさんはポテチを出してくれた。

 

「大丈夫ですよ。きっと上手くいきます。」

 

「そうだよリムルさん。」

 

「…うん。ありがとうトレイニーさん、シズさん。」

 

2人に励まされ、リムルの気持ちがまた少し楽になったようだな。

そんなリムルの様子を見ながら俺はポテチを齧った。

 

「お客様の心をほぐすのもスナック樹羅の役割ですから。」

 

チャリリン

 

店のドアが開く音が響く。

 

「いらっしゃいませ。」

 

「おっ!今日はママさんとシズさんが居るぞい。」

 

「あら、カイジンさんお帰りなさい。」

 

「お帰りなさい。」

 

「すっかりこの店は街の皆の癒しだな。」

 

「うん。中々会えない人とかも来てくれるから色んな話ができるよ。」

 

しばらくの間、スナック樹羅の雰囲気に癒されていると、再び店の扉が開いた。

 

チャリリン

 

「あっリムル様、フォルテ様こんなところに居たんすか。蛍が群れで出てるんすよ。見に行きましょうよ!」

 

「こらこらゴブタくんお静かに。」

 

「蛍か……見に行くか。」

 

俺は席を立つとふとシズさんを見た。それに気づいたのか、トレイニーさんが笑みを浮かべる。

 

「あら良いですね。シズさんも一緒に見に行ってはどうですか?お店の方は大丈夫ですから。」

 

「トレイニーさん……はいありがとうございます。」

 

「早く早く!こんな群れもう見れないかもしれないっす!」

 

「おっおいちょっと!」

 

ゴブタはリムルの手を掴んで急がせる。

 

「リムル様ーいってらっしゃい。」

 

「ごめんまた来るよ。フォルテもシズさんも早く来てくれ。」

 

「わかった。では行こうかシズさん。」

 

「うん。」

 

ゴブタに連れられて来た川には、ゴブタの言う通り滅多に見られないような蛍の群れが夜空に輝く星々のように光っていた。前世の世界では、もう蛍を見れる場所も限られていたからこうして見れたのは嬉しかった。

 

 

蛍の群れを見ているシズさんの脳裏には、幼い頃に母と一緒に蛍を見ていた思い出が浮かんでいた。

 

「母の事を思い出しましたかシズ。」

 

そんなシズさんからセレナードが出て来て問う。

 

「セレナード…うん。昔はこうしてお母さんと一緒に蛍を見に行ってた。この世界に来てこんなに沢山の蛍を見れるなんて思わなかったよ。」

 

「私も実際に蛍を見るのは初めてですが、本当に綺麗ですね。」

 

「こうして蛍を見れたのも、リムルさんやフォルテ君のお陰だね。」

 

「ええ。2人が力を合わせて本当に皆が楽しく幸せに暮らせる街を作ったからこそ、この素敵な景色が見れたのですね。」

 

「うん。もし2人に出逢えなかったら、私はイフリートの暴走でこの景色も燃やしてしまっていたかも知れないし…セレナードとも会えなかった。」

 

「リムルとフォルテ…2人に出逢えたのは、私達にとって運命の出会いだと私は思います。」

 

シズとセレナードは2人の方に顔向けると、リムルはゴブタとシオンそして子供達と共にその場に寝そべりながら蛍を眺め、フォルテは後から来たアイリスとトリルに蛍の事を説明しながら一緒に眺めていた。

 

「……セレナード。前に言ってたフォルテ君の未来……私は絶対リムルさんとフォルテ君の未来を守るよ。」

 

「はい私もですよシズ。」

 

この素晴らしい街と仲間達そして、この世界が嫌いだった自分にこの光景を見せてくれた2人の未来を守る事をシズとセレナードは改めて決意する。

 

 

 

 

 

翌日の早朝、朝日が昇るなかでジュラの夏恒例の出来事が起こる。

 

ジュラの大地から水色のプニプニした水玉が溢れ出て来た。

 

「これがシュナ達が言っていた野良スライムの大量発生か……。」

 

「凄い光景だね。」

 

まさかこれだけのスライムが突然出現するとは……辺り一面スライムだらけだ。

 

「リムルも見に来ているはずだが……おっ!」

 

俺の目に入ったのは、リムルが野良スライムと一緒に形を変えて遊んでいた。

 

最初は簡単なアルファベットのA……次に手……極め付けは考える人

 

野良スライムも頑張っていたが、Aと手の形がギリギリできたものの、流石に考える人は無理だった。やはり自我のあるないの差が大きいな。

 

野良スライムが仲間達の元に帰って行く姿を眺めるリムル……なんだかちょっと寂しそう。

 

「「リムル様ー!」」

 

「「「リムル様ー‼︎」」」

 

必死に叫ぶ皆の声が聞こえ振り向くと、皆が慌ててリムルの元に向かって行く。リグルドとシオンなんて涙目だ。

 

「「群れに帰っちゃやだー‼︎」」

 

どうやらリムルがあのスライムの群れに帰ってしまうと誤解したようだ。

 

「リムルにとっての群れはお前達だよ。」

 

「あれ?フォルテ君その足元のスライムは?」

 

シズにそう言われ足元を見ると、赤いスライムが俺の足の近くにいた。

 

「赤いスライムとは亜種……もしくは進化系か?」

 

俺はそのスライムを持ち上げるとスライムの中心部に真紅の球体がある事に気付いた。その球体にはセレナードも気付いてシズさんから飛び出て来た。

 

「フォルテ!それはプロトです!」

 

ん?プロト……って!あのプロト⁉︎初期型インターネット……つまり電脳世界その物であり、自我に目覚めてあらゆる物を喰らおうと暴走した。

それにより、本物のフォルテは疑われ、狂気の存在となり光博士達により封印された。それがプロトの反乱として記録に残った。

そして、ワイリー博士がフォルテを利用して復活させフォルテ諸共プロトに喰われ、ロックマンに倒された……。

そんなプロトが何故此処に⁉︎

 

俺はプロトを離そうとした時、プロトから何かが伝わって来た。

 

寂しい……悲しい……怖い……。

 

プロトから感じたのは孤独の感情……何故プロトからこんな感情が……。

 

《このプロトは恐らく、ゲームの世界で倒されたプロトの残留意識が集まって転生したスライムのようだ。故に明確な自我にはまだ完全には目覚めていないが、未知の世界で以前のような力も無く、孤独感に支配されているようだ。》

 

電脳之神(デューオ)の解析結果にただ驚いた。

 

(孤独感って……そんな感情が今のプロトにはあるのか?)

 

《転生以前にあったのは喰らう感情のみだったようだが、転生前に喰らったフォルテとワイリーから得た情報からそれ以外の感情を学習し、その後に倒されそのまま転生したようだ。》

 

成る程ねぇ……にしても、これがあのプロトとは本当に思えないなぁ。

俺はプロトを優しく撫でてやると、プロトがなんか嬉しそうに揺れた。

 

暖かい…優しい……嬉しい…。

 

プロトからそんな喜びの感情を感じた。……生まれ変わったなら今度は正しい自我に目覚める様に導いてやるか。

 

「……セレナード。このプロトは俺が面倒を見る事にする。」

 

「……分かりました。フォルテがそう決めたのなら、ただ気をつけてください。」

 

「勿論だ。よろしくなプロト。」

 

こうして俺はスライムとして生まれ変わったプロトを育てる事にしたのだった。この後にリムルに説明したが、やはり驚きながら大丈夫なのかとかなり心配された。

 




スライム大量発生でまさかのプロトの登場!薄い自我に目覚めた幼いプロトがどう成長するか見守っていてください。
そして、プロトとの出会いがフォルテに新たな世界を開かせる。
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