フォルテ達の世界に時空を超えて来たシンシヤの複製体。
彼女はどうなるのかどうぞ。
空間の歪みからこちらの世界に現れた少女がリムルの娘と言われて驚愕する皆。
「おい⁉︎俺の娘ってなんだよ!」
「まさか…リムル様に!」
「いや落ち着けって!みたいって言っただろ!」
困惑しだす皆に俺は叫んだ。
「あのフォルテ様。リムル様の娘みたいとは一体…。」
「まぁ少し待て紅丸。リムルに朱菜と紫苑に少し聞きたいことがある。」
「おっおう!」
「なんでしょうか?」
「もしやその子の母親になれと!」
「いや…その話はまだ後だ。今までに水溜りや鏡などの自分の写る物の前に立った時に記憶が途切れるような覚えはないか?」
「いや無いけど。」
「私もですね。」
「私もです。」
「……ならこの世界にはいないようだな。」
「なぁフォルテそろそろ話してくれないか?」
「ああ。この子はな、向こう側…つまり平行世界の一つで鏡の魔女イジスのスキルによって生まれた存在だ。」
俺は
向こうの世界には鏡の魔女イジスと呼ばれる存在がいて、イジスのユニークスキル
「成る程な…そのイジスって奴が向こうの俺達をその鏡の世界に何度も引き摺り込んでいたのか。」
「ああ。理由までは分からなかったが、リムルを狙っていたようだ。それでリムルに関わった者達の無意識に問いかけその理想を実現させてきた。」
「リムル様を狙うなんて許せません!」
「それじゃあ…その子は。」
「ああ。イジスのスキルで生まれた存在だ。リムルと変わらないスキルを持って成長しリムル以上の力を得た。」
「えぇ!俺以上⁉︎」
「まぁ…複製体のこの子はこちらの世界に来る時の影響で弱体化して今のリムルより少し弱いくらいの魔素量になっているな。」
「…そうなのか?」
「あの…すみませんフォルテ様。」
「なんだ朱菜?」
「先程の話だと、そのイジスと呼ばれる魔女のスキルで生まれたその子は誰かの無意識の理想から生まれたのですよね………もしかして。」
あっやはり朱菜には心当たりがあるようだ。
「ああ…あの世界の情報から調べて知ったが、どうやら向こうの朱菜がもっと可愛いリムルを見てみたいと思った結果…この子が誕生したようだ。」
「やっぱりですか…。」
「そう言えば…どこかシュナと似てるな髪の色や顔立ちが。」
「本当。まるで本当にリムルさんとシュナちゃんの子供みたいだね。」
「いや…シズさんそんなこと言われても…。」
「くぅ〜!何故か悔しいです!」
「なんでだよシオン!」
「それでどうしますか?」
「その事だが、向こうの世界の情報を得て知ったが…この子はイジスのスキルの世界でイジスに教えられた通りにしていた。ただ…鏡の世界は誰の理想も反映していないと何もない虚無の世界……この子はイジスがリムルの父親と教えられずっとリムルと暮らしたい想いで動いていた。」
「何も無い世界……俺達よりも辛い思いをその子は1人で…。」
猪八戒とゲルドが哀しげな眼差しで見る。
「だから…リムルには悪いがこの子の父親としていてあげてくれないか。」
「えぇ…突然に父親って。」
「いいではありませんかリムル様!この子はリムル様を思う気持ちは本物なら!」
「私もお願いします。別世界とはいえ、私の思いで生まれ存在なのですから放ってはおけません。」
「シオン…シュナ……はぁ〜わかったよ。まさか俺が父親になるなんてな。」
「「リムル様!」」
シュナとシオンが笑顔になった時、この子が意識を取り戻した。
「うっ…うーんここは……。」
「お目覚めか。」
「貴方は?」
「俺はフォルテ=テンペスト。リムルのまぁ兄弟みたいな存在だ。」
「パパの‼︎」
その子は驚きながら起き上がって、そして周りを見渡しリムルを見つけると笑顔を浮かべてリムルに抱き着いた。
「わあああ!パパだパパだパパだぁ‼︎」
「おっ……おう。」
パパと呼ばれて抱きつかれるリムルは戸惑っている。まぁ無理はないな。
「あれ?私はどうしてたんだっけ?ママは?それに此処は?」
ママ…おそらくイジスの事だろう。
「えーと君の名前は。」
「私はシンシヤです。」
「シンシヤちゃんか。俺が言うことをよく聞いてくれるかな。シンシヤちゃんにも関わる大事な話だから。」
「えーと大事な話なら聞きます!」
「いい子だ。まずは落ち着いて聞いてくれ。此処は君のいた世界でなく平行世界…簡単に言ったらもう一つの鏡の世界なんだ。」
「へぇ⁉︎」
驚くシンシヤに俺はゆっくりと分かりやすく丁寧に説明する。
「ふむふむ…なるほど。つまり此処は他の鏡のパパ達の世界で、私は本当の私が無意識で作った分身体みたいな存在なんですね。」
「その通りだ。」
「通りで記憶にないような場所だと思いました。私がいた鏡の世界にはフォルテさんはいなかったですから。」
「そうなのか。」
まぁ世界全てに同じことはないだろうからな。
「本当の私がちゃんと向こうにいるならなんか少し安心しました。でも……私はどうしましょう?聞く通りだと、向こうとの歪みの繋がりもなくなったから戻れないみたいですし。」
「その事を話し合っていたが、このまま俺達と一緒にいないか?」
「ええ⁉︎いいんですか!」
「ああ。リムルも認めてくれた。」
「ありがとうパパ!」
「うっうん。」
まだパパ呼びに慣れないリムル。
「あれ?そう言えばこの世界にはママはいないんですよね。」
「その通り。シンシヤちゃんの世界に俺がいないようにこの世界にイジスはいないようなんだ。」
「じゃあ今度はママがいないんですね…。」
しょんぼりするシンシヤ。
「それなんだがシンシヤちゃん。イジスのスキルで確かに君は生まれた…でもね、シンシヤちゃんが生まれるきっかけを願った人がいたんだよ。」
「えっ?そうなんですか?」
「そう。イジスの力だけでは君は生まれなかったんだ。」
「じゃあ私の生まれるきっかけの人って誰ですか!」
「そこにいる朱菜だ。」
俺がそう言うとシンシヤは朱菜を見る。
「朱菜が可愛いリムルを見たいと思ったから君が生まれた。だから朱菜が君の本当の母ってことになる。」
「えっ!フォルテ様⁉︎」
驚く朱菜を他所にシンシヤは真実を聞いて今度は朱菜に笑顔で抱き付く。
「わあああ!私の本当のママだぁ!」
「……はいシンシヤ。」
朱菜もシンシヤの笑顔の姿に頬を緩ませ頭を撫でる。その様子をどうか悔しそうに頬を膨らませるシオン。
「紫苑…これは仕方ないんだ。」
俺は落ち着かせるように紫苑の肩に手を置く。
「わかっていますが、やはり悔しいですぅぅ〜!」
その後はシンシヤも連れてこのインターネットシティを案内した。シンシヤは無邪気な子供らしく驚いていた。ちなみにこの世界に入って瞬間に擬似電脳化も運良く発動していたようだ。
「此処は凄いです!」
「喜んで貰えて良かった。……そう言えば、シンシヤにも名付けをしたらどうだリムル。名付けの上書きは可能なのはガビルで判明したし。」
「ええ!ならフォルテがしてもいいだろう。お前が名付け親ってことになってくれたらいいじゃんか。」
「あっ!それがいいです!」
シンシヤは俺の前に立つ。
「パパとママと暮らせるようになるのは、フォルテさんのお陰ですから是非名付け親になって欲しいです!」
「ほら。シンシヤがそう言っているぞ。」
「まぁ本人の意思が大事だからな。シンシヤは今の名前に不満はあるか?」
「ないです!この名前は前のママに付けてもらった大切な名前なんです。」
「じゃあそのままシンシヤでいいか?」
「はい!」
「ならよろしくなシンシヤ。」
名付けをした途端に魔素がごっそりと抜けた!やっぱりリムルと同等のシンシヤの名付けの魔素消費は半端ない。
思わず膝をついた。
「フォルテ君!」
「フォルテ様!」
「大丈夫……やはりリムル並のシンシヤへの名付けは魔素消費も凄い。リムルがいつも名付けに苦労する気持ちがよく分かる。」
「だろ。」
シンシヤの名付けの後、元の…俺達の街に戻った後リグルド達にもシンシヤの紹介と説明をした。
「なんと!リムル様の娘⁉︎」
「え⁉︎マジっすかリムル様……遂に間違いを…。」
「なんもしてねぇよ!なんだ〝ついに〟って!」
「ゴブタ…話を聞いていたか?」
「冗談っすよ。しかし別世界でのリムル様の娘的な存在っすか……本当の娘みたいですね。」
「はい!私はパパの娘です!」
シンシヤは笑顔でリムルに抱き着く。
「シンシヤ。今はリムル様の歩行の邪魔になりますから後にしなさい。」
「はーいママ。」
朱菜の言うことを素直に聞くシンシヤ……本当の家族のようだ。
翌日、俺の名付けによりシンシヤはプロトと同じ
そして今日はリグルド、ゴブタ、リグルを連れてインターネットシティに来た。
「おぉ‼︎なんと言う街なのでしょうか!」
「これ程までに発展した街は見たことありません。」
「凄いっすフォルテ様!」
「わかっていると思うがこの街についてはまだ秘密だからな。」
「「「はい!」」」
そしてリグルド達を案内し、最後にコロシアムに向かった。
そこでは、シンシヤが俺が召喚したウィルス達と戦っていた。ウィルスの攻撃を巧みに躱しながら粘鋼糸でウィルスの動きを封じ黒雷や黒炎で倒していく。
「ほぇー。」
「素晴らしい動きですな。」
「流石はリムル様の娘。」
「俺的には複雑なんだがな。」
シンシヤの戦い振りにリグルド達が感心していると、いつの間にかリムルが隣にいた。
「なんだリムル来ていたのか。」
「シンシヤがここでスキルの確認の為に戦闘訓練してるって朱菜から聞いたから見に来たんだが……俺よりスキルとかの扱いが上手いんだよな…。」
そう。シンシヤはリムル以上に自分のスキルの扱いに長けているのだ。
「まぁ元人間の俺達と違ってシンシヤは純粋なスライムとして生まれてきたからな。その差があるんだろう。」
「そうだなぁ…。」
俺達そう話している間にシンシヤが更なる技を披露する。鋼糸を編み込んで作られた巨大な手がウィルス達を細切れにして取り込んでいく。
「なっなんすかあれ…?」
「シンシヤが向こうのリムルを捕まえるのに編み出した技だそうだ。名は確か
「いや……捕まえる前に手に刻まれて喰われているように見えるが。」
「手状に編み込んだ鋼糸一本一本を高速振動させ多重結果と身体装甲に対する耐性を与えているらしい。後あの鋼糸全てがシンシヤの一部だから暴食者と超速再生が備わっているからな。ようは、下手に抵抗すれば喰われるが抵抗しなければただ捕まるだけで済むということだな。」
それを聞いたリムルはどこかで見たような漫画の表情となっていた。
「シンシヤ!恐ろしい子!」
ウィルス相手の訓練を終えたシンシヤがリムルに手を振る。
「あっパパ!見てくれましたか!」
「おっおう。」
リムルは苦笑いしながら手を振り返す。
「……向こうの俺、シンシヤが敵側で苦労したんだろうな。」
「したろうな。リムルはしっかりとシンシヤと向き合えよ。」
「うん。」
俺とリムルがそんな話をしている頃、ドワルゴンではガゼル王が暗部からの報告の紙を読んでいた。
「王よ。暗部はなんと?」
「…新勢力の介入により
「なんですって⁉︎一体どこの国の部隊が…。」
「国と呼べるかはまだわからんな。確認出来たのはボブゴブリンに牙狼族の変異種、それに鬼人と思しき魔人が4名。」
「鬼人⁉︎」
「更に何故かその戦場に爆炎の支配者のシズと謎の黒い狼らしき魔物がいたが、その全てが例のスライムと共にいた子供らしき魔人の配下だと思われる…という報告だ。」
「鬼人にあの爆炎の支配者を従えるスライムと魔人だって?豚頭帝よりよっぽど捨て置けないじゃないか。」
「更に12万のオークは暴走することなく各地に散ったらしい。しかもハイオークに進化してな。」
「そのような事が。」
「どうなさるおつもりですか王よ。」
ガゼルは思う。複数の上位魔人を従え、更に未知なる魔物と爆炎の支配者さえ従わせ魔物に進化をもたらす存在。此度の件、対応を誤れば国が滅ぶやもしれん。
ガゼル王は笑みを浮かべながら言う。
「決まっておろう。あのスライムと魔人が正体、余自らが見極めてやろうではないか。」
「では
リムルとフォルテ達は更なる者…ガゼル王がやって来ることを今は知るよしもなかった。
シンシヤを生み出したのはイジスの力だが、きっかけを願ったのは朱菜。
故に朱菜がこれからシンシヤの母親になってもらいました。
朱菜とリムルとシンシヤ…普通に見ても家族に見えますよね。