転生したらフォルテだった件   作:雷影

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遂にガゼル王が見極めにテンペスト来る。


26話 ガゼル王の見極め

やっと街が安定してきて平和になってきた。この3ヶ月色々あったが、やはり電脳世界(サイバーワールド)と平行世界での別空間の干渉により現れたシンシヤの存在が一番大きかった。街の皆が驚きまくるし皆に説明するのが本当に大変だった。

 

そのシンシヤは最初は街の生活に驚いたり戸惑っていたが、今はすっかり馴染んでいる。最近はトリルと一緒に仲良く遊んだり特訓することが多くなった。

でもやはりリムルとシュナに甘える姿がよく見られる。

 

リムルもシンシヤを本当の娘のように可愛がるようになっていた。

 

「……やはりいいな、平和は。」

 

そう思いながら街を歩いていると、俺の側にシャドーマンが現れ緊急の知らせを伝える。

 

「フォルテ様、緊急事態です。」

 

「シャドーマン、どうした?」

 

「北の空からペガサスに乗った武装集団がこちらに向かっています。その数およそ500。」

 

「何? リムル達に報告は。」

 

「既にソウエイが知らせ向かっています。」

 

『フォルテ!』

 

リムルから念話がきた。

 

『リムルか。今シャドーマンから聞いたところだ。』

 

『ならすぐに街の入り口まで来てくれ。』

 

『わかった。統率された武装集団だからな、下手したら20万のオークより脅威だ。』

 

『ああ。』

 

俺は急いでリムル達の元に向かった。

 

「フォルテ君!」

 

そこにシズさんもこちらに向かって来た。

 

「シズさん。」

 

「ペガサスの集団。たぶんそれはドワルゴンの極秘部隊天翔騎士団(ペガサスナイツ)だよ。」

 

「ドワルゴン…カイジン達の件からかなり経ったが、一体なんの用だ?」

 

俺が着く頃にはリムルとカイジンにベニマル達、それにカーネルとトリルも既に来ていた。

リムルの前に他のペガサスより装飾が施されたペガサスが降り立ち、それに続くように他のペガサス達も降り立つ。そしてカイジンがその場で跪く。

 

「…お久しぶりでございますガゼル王よ。」

 

「久しいなカイジン。それにスライムよ、余…いや俺を覚えているか?」

 

リムル達が忘れるはずはないな。それにしても、俺は初めて見るがガゼル王…その強さが見ただけでも分かる。王を名乗るだけの強さがあるとひしひしと伝わってくる。

 

「王よ、本日は何かご用があるのでしょうか。」

 

「なに、そこのスライムと小僧の魔人の本性を見極めてやろうと思ってな。今日は王ではなく一私人として来た。物ものしいのは許せ。こうでもせぬと出歩けぬのでな。」

 

まぁ王だから仕方ないだろな。…ただ、ベニマル達がリムルが貶されたと思ったようでかなりお怒りだな。カーネル達は理解しているらしく冷静だが油断なくいつでも動けるようにしている。

 

そんな中、リムルがガゼル王に聞く。

 

「あー今は裁判中でもないし、こちらから話しかけてもいいんだよな?」

 

「当然だ。」

 

「ならまず名乗ろうか。俺の名はリムル、スライムなのはその通りだが見下すのはやめてもらおう。」

 

そう言ってリムルは人化する。その姿にガゼル王の騎士達は驚いた。

 

「これでも一応ジュラの森の盟主の1人なんでな。この姿が本性って訳でもないんだが、こっちの方が話しやすいだろ?」

 

「ほう…人の姿となれるのか。」

 

「それで、なんの用だ?」

 

「単刀直入に言おう。リムルよ、貴様達を見極めに来たのだ。」

 

「見極め…。」

 

「俺の剣で、貴様の本性を見抜いてくれるわ。この森の盟主となったなどとホラを吹く貴様には分と言うものを教えてやらねばなるまい。」

 

ガゼル王がそう言って直後、風が吹きトレイニーさんが現れた。

 

「我らが森の盟主に対し傲岸不遜ですよドワーフ王。」

 

「なんだって…?樹妖精(ドライアド)⁉︎」

 

トレイニーさんの登場で騎士達が騒つく。

 

「ふはっ…ふはははは! 森の管理者が言うのであれば真実なのであろう。法螺吹き呼ばわりは謝罪するぞ、リムルよ。だが、貴様の人なりを知るのは別の話。得物を抜けい!」

 

「よし、その申し出を受けよう。俺が無害で愛くるしいスライムだってことを(こいつ)で証明するしかなさそうだ。」

 

そう言ってリムルは剣を抜く……まぁ見た目は愛くるしいよな。

 

「……分かりました。では立会人はわたくしが行います。」

 

トレイニーさんが立会人となり両者構える。

 

「俺の一連の攻撃を防ぎったならお前の勝ちでいい。ただし、この俺ガゼル・ドワルゴの剣を甘く見ないことだ。」

 

「わかった。」

 

「では…始め!」

 

先手必勝で小手調という感じにリムルが動いた。スキルなどの力ではリムルは強い…だが純粋な剣術の勝負となると難しい。

実際にリムルがどんな角度から攻めスピードを上げても、受け流されているしかもガゼル王はその場から一歩も動いていない。

 

「貴様の力はそんなものか? リムルよ。」

 

「五月蝿い!まだ本気出してないだけだし慌てんな!」

 

 

今度はガゼル王がリムルに斬り掛かる。リムルはなんとか受け止めたが押し飛ばされた。

更にガゼル王はエクストラスキル英雄覇気でリムルの動きを封じてくるが、リムルはなんとか気合いで覇気を解いた。

 

「ガゼル王の動き…やはり似ているな。」

 

俺はガゼル王の受け流す動きがどうしても気になった。何故なら、その動きがある人物とあまりにもよく似ているのだ。

 

そしてガゼル王がとある構えをとった時、その疑問の答えが分かった。

 

「あの構えは!」

 

「いくぞリムル!朧・地天轟雷(おぼろちてんごうらい)!」

 

ガゼル王がその場から消えた。やはりそうか…見覚えがあるはずだ、なにせその技は訓練で何度も受けてきたからな。つまり、彼は俺達の兄弟子ってことになる。

 

リムルもそれを理解したようで、最初の一撃を躱し二撃目の上からの攻撃を受け止めた。

 

それを見たガゼル王は笑い出した。

 

「ふっ…ふははははははッ! こやつめ、俺の剣を受け止めおったわ‼︎」

 

「それまで! 勝者、リムル=テンペスト!」

 

ガゼル王は剣を収める。

 

「剣を交えてわかった。お前は邪悪な存在ではない。」

 

どうやらガゼル王はリムルの事を剣を通じて知ったようだ。

 

「それにしてもよくぞ俺の朧・地天轟雷(おぼろちてんごうらい)を見切ったものよ。見事だったぞリムル。」

 

「いや偶然だよ。その技は師匠が使っていてね、よく訓練で打ちのめされた。それだけの話だ。」

 

「なんだと? まさかその師匠というのは…。」

 

リムルの隣にハクロウが近寄る。やはりな。

 

「むほっほっほ、お見事でしたなリムル様。」

 

「おお! 剣鬼殿。」

 

「森で迷っていた小僧が見違えましたぞ。いやこれは失礼、ワシ以上の剣士へと成長したようで何よりですじゃ。」

 

「剣鬼殿にそう言ってもらえるとは。」

 

「ですがフォルテ様も中々の剣士となっております。ゆえに手合わせしてみると良いですぞ。」

 

おい、ハクロウ…。まあ、俺もそのつもりだったからいいんだけど。

 

「ほう。剣鬼殿がそこまで言うとは…。お前がフォルテか。」

 

「ああ、お初にお目にかかるガゼル王。俺はフォルテ=テンペスト。リムルと共にトレイニーさんからジュラの森の盟主を任された貴方の弟弟子となるものだ。」

 

「なるほど。リムルと比べると戦いが得意な方と見る。」

 

流石ガゼル王だ、一目見ただけでそう察するとは…。

 

「面白い。フォルテよ、お前とも手合わせ願おうか。」

 

「ああ、喜んで。」

 

俺とガゼル王のこのまま手合わせをすることになった。

 

対峙する俺とガゼル王。

 

「お前も剣鬼殿の弟子ならば剣も使えるのだろう?」

 

「ああ。」

 

俺は手から紫の刃闇之武装刃(ダークアームブレード)を作り出し手に取る。

 

「ほう…魔素を具現化して刃とするか。面白い。」

 

互いに構える中、トレイニーさんの開始宣言を待つ。

 

「それでは……始め!」

 

開始宣言と共に俺が先に動いた。

 

「はぁ!」

 

「ぬぅ⁉︎」

 

俺の斬撃をガゼル王は剣で防いだが、その力を受け止めきれずに後方へと押し出された。

 

「王が!」

 

「まさか⁉︎」

 

ガゼル王が押されたことに騎士達が驚愕する。

俺はそのまま攻撃の手を緩めない。何度も斬りかかる俺の攻撃を耐えるガゼル王。

 

「まさか俺がここまで押されるとは。」

 

「そう言ってはいるが、全て巧みに受け流しているじゃないか。さすがガゼル王だ。」

 

剣術でここまで戦ったのはハクロウとカーネルくらいだ。

流石はドワルゴンの王…なら俺もあの技で応えよう。

 

俺は先ほどのガゼル王と同じ技の構えをとる。

 

「ほう。」

 

「いくぜガゼル王。朧・地天轟雷(おぼろちてんごうらい)!」

 

俺はその場から姿を消す。

 

ガゼル王は目を閉じ意識を集中……そして俺の気配を察知し一撃目を躱し二撃目を剣で受け止める。

 

ガキィィン!

 

見事に受け止めたガゼル王だが、立っていた場所は衝撃に耐え切れずに陥没した。

 

先程のガゼル王とリムルの一騎打ちとは真逆の展開に皆は声もでずに驚いている。そして俺の剣を受け止めていたガゼル王は笑みを浮かべていた。

 

「ふふふ…ふははははははは! まさかこれほどとは思わんだぞ。」

 

「そこまで! 勝者フォルテ=テンペスト!」

 

俺とガゼル王は剣を納める。

 

「お前は確かに強い。だが剣からは邪悪は感じなんだ。」

 

「ガゼル王も実に素晴らしい剣術だった。流石は兄弟子だ。」

 

「ははは、言いおる。」

 

剣を交えて互いを理解し合えたガゼル王と俺。

 

「さぁ早く街案内してくれリムル、フォルテ。上空から見たかぎりじゃ美しい街並みだったぞ? 美味い酒くらいあるだろう?」

 

「…まぁあるけど、裁判の時と比べて軽すぎないか?」

 

「なぁに、こっちが素よ。」

 

「国を治める王となると色々大変だろうからな。」

 

「その通りだ。フォルテは分かっておるわ。」

 

ガゼル王達を街に案内しようとした時、シンシヤがリムルに抱き付いた。

 

「パパー!」

 

「シンシヤ⁉︎」

 

「さっきの見てたよパパ。カッコよかったよ。」

 

突然のシンシヤの登場とパパ発言にガゼル王達は目を丸くしていた。

 

「ほう。リムルよ、スライムのお前に娘とは…分裂か?」

 

「ちげぇよ⁉︎ てかなんだその発想は!」

 

誤解を解く為に俺とリムルはガゼル王に事細かく説明した。

それによりガゼル王達も電脳世界(サイバーワールド)に招待することになった。

 

 

「おお! なんと発展した街なのだ。」

 

「まさか、異空間にこのような街を作っていようとは…。」

 

ガゼル王達はインターネットシティの高度な文明や技術に驚いていた。

 

「まぁ、アイリスとトリル達の記憶から再現した街だがな。」

 

「その2人も異世界人と変わらぬ状況下でこの世界に来たのであったな。」

 

「別世界の技術の発展は凄まじいものですね。」

 

「あくまでこの街は試験的に創った街だからまだ表に出すつもりはない。」

 

「それが良かろう。このような街の存在が知れ渡れば他国のものどもが欲しがるのは必然だ。」

 

「この街の技術を狙って戦が起こりますね。」

 

「戦とかもうごめんだ。ガゼル王、このことは内密に。」

 

「分かっておる。」

 

そうしてシティを見回った後、街に戻ってガゼル王達を旅館へと連れて行った。

その道中で魔物の危険度についてガゼル王が話してくれた。

 

「魔物の危険度か。」

 

「大まかな区分だがな。災害級(バザード)災厄級(カラミティ)災禍級(ディザスター)と上がっていく。例えば豚頭帝(オークロード)災害級(バザード)だ。群勢は別だがな。」

 

「魔王はどこに区分されるんだ?」

 

「魔王ならば災禍級(ディザスター)だな。だが一部の魔王は天災級(カタストロフ)が存在する。」

 

「もう一段上があったのか。」

 

「文字通り天災だ。怒らせれば世界の崩壊が起こりかねん。」

 

「恐ろしいな。」

 

「暴風竜ヴェルドラも天災級(カタストロフ)よ。」

 

ヴェルドラが…うっかり街を灰にするらしいからな。

 

「まぁ会うことなど普通にしていればない存在だ。」

 

「ちなみに俺達はどの階級に当たるんだ?」

 

「街を造る魔物は前代未聞。その知性の高さと集団から見ても災禍級(ディザスター)となるだろう。」

 

「人間側から考えたらそうだろうな。」

 

「お主1人でも災禍級(ディザスター)の力はあるだろうな。」

 

「ほう。俺に魔王並の力があると。」

 

「お主はまだ成長途中。この先の事を考えればそうなる。」

 

流石ガゼル王。俺がまだ強くなれると見抜いているな。

 

旅館に着いた後はガゼル王達をもてなしながら今回の事について話を聞いた。

 

「成る程、豚頭帝(オークロード)を倒した謎の魔物集団の調査だったと。」

 

「それが敵となるか味方となるか見極めにな。……リムルよ。聞きたいことがある。」

 

「おう。」

 

「俺と盟約を結ぶつもりはないか?……「何言ってんだこのオッサン」みたいな顔するでない。」

 

ガゼル王はやはり良い目と判断力を持っているようだな。

 

「この街は素晴らしい造りをしていた。ここはいずれ交易路の中心都市となるだろう。後ろ盾となる国があれば便利だぞ。」

 

「…いいのかよ。それは俺達魔物の集団を国として認めるということだぞ?」

 

「無論だ、これは王として言っておる。当然だが善意だけではない、双方の国に利のある話だ。」

 

「ホントにぃー? 俺騙されてない?」

 

「ふははははっ、恩師や樹妖精(ドライアド)を前にその主達を謀ろうなどとはせん。条件はとりあえず二つだ。一つ 国家の危機に際しての相互協力。一つ 相互技術提供の確約。なに、答えは急がずともよい。よく考えるがいい。」

 

 

「いや…この話、喜んで受けたいと思う。」

 

リムルや俺にとっては願ってもない話だ。本来なら魔物の街が人間や亜人に受け入れられるのには数十年かそれ以上の時間がかかるはずだった。その時が予想よりも早く訪れるというのなら、この提案を受けない理由が無かった。

 

「よし。で、お前達の国の名はなんというのだ?」

 

………あっ、そういえば名前無かったな。リムルもその事に気づいたようで俺に念話で話しかけてきた。

 

『なぁフォルテ、国の名前どうする⁉︎ 考えてなかった!』

 

『落ち着けリムル、名付けの時と同じだ。今からでも名を考えればいい。』

 

『そ、そうだな…。えーと、ジュラの森と俺達のテンペストから名をとって…。』

 

「「ジュラ・テンペスト連邦国だ!」」

 

「ジュラ・テンペスト連邦国…。」

 

「ほぉ!」

 

「流石リムル様とフォルテです!」

 

「では、国の名前はジュラ・テンペスト連邦国。この街の名前はリムルにいたしましょう!」

 

「ええ⁉︎」

 

「中央都市リムルです!更に、フォルテ様の異空間に創りし街はフォルテシティとしましょう!」

 

「なに⁉︎」

 

「おいおい、それはちょっと恥ずかしいぞ…。」

 

「中央都市リムルにフォルテシティ…それ以外にありません!」

 

「そうだな、我らの街に相応しい名だ。」

 

「え、えぇ~…?」

 

「…リムル、お互い諦めよう。」

 

「決まりのようだな。」

 

「…ああ。」

 

互いに握手を交わすリムルとガゼル王。こうして、俺達魔物の国ジュラ・テンペスト連邦国と中央都市リムルに電脳世界(サイバーワールド)のインターネットシティがフォルテシティとして歴史に刻まれた。

 

 

 

そんな中、俺達はまだ知らなかった。豚頭帝(オークロード)を倒したことで俺達に興味を示す者達がいたことを…。

 




インターネットシティの新たな名はフォルテシティとなりました。
次回…遂にあの魔王が登場。
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