転生したらフォルテだった件   作:雷影

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遂にテンペストが正式な国となった。
そんな時に最強の魔王が現れてどうなる!


27話 建国そして…魔王来襲

「ではこれより、ドワルゴンとジュラ・テンペスト連邦国における協定の証として両国の代表による調印を行います。」

 

翌日、ガゼル王とリムルが調印を行い、俺達の国の名が初めて世に知られる事になった。

 

そしてガゼル王一行はテンペストを去った。

 

…………それから二日後、ガゼル王が来た。

 

「来てやったぞリムル!フォルテよ!」

 

「今度はなんのようだよ?」

 

「もしや…また手合わせを。」

 

俺的にはそれなら嬉しい。兄弟子であるガゼル王からも色々と学べそうだからな。

 

「ははは!兄弟子が来てフォルテは素直に喜んでくれているな。残念だが手合わせでなく、お前達に土産を持ってきた。」

 

「「土産?」」

 

ガゼル王が頷くと兵が簀巻きにされた何かを掘り投げる。

 

……簀巻きの中身は目を回し泡を拭いているベスターだった。

 

「「えええっ⁉︎」」

 

「ベスターじゃねぇか⁉︎」

 

「うううぅぅぅ…。」

 

「こりゃあ回復しないとな。」

 

俺がベスターの回復をしている中、ガゼル王は話しだす。

 

「有能な此奴を遊ばせておくのは勿体無いのでな。とはいえ、俺に仕えるのを許すわけにはいかん。好きに使え。」

 

確か…ベスターは優秀な研究者だったよな。俺達の一件でやはり大臣から免職されていたようだが、それでも優秀な人材をわざわざくれるって…。

 

俺がそう考えていると、カイジンも同じ考えだったようでガゼル王に進言する。

 

「王よ。それではベスター殿の知識が我等に流出することになりますぞ!」

 

「流出していった本人が今更なにを言う。」

 

「それは…っ。」

 

「その為の盟約よ。ここでの成果はきっちり我が国でも享受させてもらう。お前達のいるこの地を、フォルテの異空間に創りし街のように最先端の技術で満たしてみせよ!」

 

成る程。流石ガゼル王、良く考えている。

 

「ベスターよ。」

 

「はっはい!」

 

回復したベスターは起き上がる。

 

「貴様の本分を生かし腐る事なくここで思う存分研究に励むが良い。」

 

「はは!王よ、今度こそ…今度こそ期待に応えてご覧に入れます。」

 

ベスターはそのままリムルとガゼルの方に振り向き土下座する。

 

「リムル殿、カイジン殿…申し訳無かった。許されるなら、此処で働かせてもらえないだろうか。」

 

今のベスターからは前にあった大臣としての権力を振りかざしていた頃の悪意は無くなっていた。どうやら自分の中で、本当に失っていたものを取り戻したようだな。

 

そんなベスターを優しい眼差しで見ているカイジン。

 

「……優秀な研究者が増えて助かるってもんです。リムルの旦那、何かっあったら俺が責任を取ります。ここは俺を信じて此奴を許してやってください。」

 

ベスターの為に頭を下げるカイジン。そんなカイジンの姿と器の広さにベスターは涙する。

 

「カイジン殿…。」

 

「カイジンがそれでいいなら、俺に文句はないよ。ベスターよろしくな。」

 

「はは!不詳ながら精一杯勤めさせていただきます!」

 

「存分に励め。ではさらばだ。」

 

その様子を見届けガゼル王達は去っていった。

 

こうしてベスターを研究者として迎れた俺達、俺の電脳世界(サイバーワールド)の街を見た時のベスターの興奮した様子と眼の輝きは凄まじかった。

俺自身ベスターには色々と相談したいことがあったが、まずベスターにはヒポクテ草を使った回復薬の作製に取り組んでもらう事にした。

 

ヴェルドラのいた封印の洞窟に研究部屋を作りそこで日夜研究に励んでいる。

リムルの回復薬や俺のスキルによる完全回復(フルリカバリー)に匹敵する回復薬が量産できれば色々と助かる。

 

俺達の国が世に知られるようになってから時が経ち、テンペストの首都リムルには今まで以上に毎日千客万来となった。多くは友好的な魔物やドワーフ達で、俺達への挨拶や街の見学が目的のようだった。

 

あるいは庇護を求めての来訪もあった。その中の蜂の魔物とコーカサスオオカブトの魔物がリムルの配下となり名を与えられた。蜂はアピト、コーカサスオオカブトにはゼギオンと。名付けの後、ゼギオンとアピトはアークと共に樹人族(トレント)の集落の護衛と希少花から蜜を集める仕事を任せている。

 

……時にはこんな者達が来ることも。

 

「ひゃっはー‼︎良さそうな街じゃねぇか!」

 

「今日から贔屓にしてやるぜぇ!」

 

何処ぞの世紀末の奴らかと思ってしまう魔物達だったが、シオンやカーネル達によってきつい仕置きしてもらっている。……なかにはより酷い目にあう奴らも。

 

 

俺とリムルが休日に散歩している時、木の影から俺達の様子を見ている世紀末達。

 

「スライムとあんな餓鬼が王だと調子に乗りやがって…。」

 

「しかも襲ってきた相手を殺しもしないお人好しらしい。」

 

「じゃあその座も笑顔で譲ってくれんじゃねぇ……が⁉︎」

 

突然、世紀末の1人が首を細い糸で締め上げられながら吊るし上げられる。

 

「なっ…誰だ⁉︎」

 

仲間が吊り上げられ木の上を見ると、そこには蒼影とシャドーマンがいた。

 

「確かにあの方達はお優しい。お前らのような輩すら殺すなと命じられているくらいだ。…だが。」

 

蒼影とシャドーマンは刀を抜く。

 

「甚振るなとは命じられていない。」

 

「程々にするようフォルテ様は言っていたがな。」

 

「「ぎゃあぁああああ‼︎」」

 

 

 

「ん?いまなんか悲鳴が聞こえなかったか?」

 

「恐らく、蒼影とシャドーマンがまた悪党共を裁いているんだろう。」

 

「ああ成る程……死んでない?」

 

「殺すなとリムルと俺で命じたから殺してはいないだろう……殺しては。」

 

今はまだ俺達は新興勢力として試されている。とりあえず来る者拒まずにゆっくりと俺達の存在を認知させるつもりだったが、俺達が思っているよりも…俺達の存在はある者達に興味をもたれていた。

 

 

 

時は少し遡り、リムルと俺がガゼル王と手合わせしていた頃、傀儡国ジスターヴ……その城にで3人のある者達が最後の1人の到着を待っていた。

 

「…来ましたか。」

 

傀儡国の魔王クレイマンが到着したその者にことを説明する。

 

「ーーー何だと⁉︎では豚頭帝(オークロード)を魔王化させるという話はどうなるのだ?」

 

「ですからミリム。豚頭帝(オークロード)が倒された以上この計画は白紙に戻すしかないでしょう。」

 

「久々に新しい魔王(オモチャ)が生まれると思ったのに!つまらぬのだ!」

 

その者はワナワナと震えて子供のように怒りながらグラスを投げ付ける。

 

「どこのどいつなのだ⁉︎豚頭帝(オークロード)を倒したのはっ!」

 

その中に最古の魔王の一柱である天災級(カタストロフ)にも興味をもたれてしまった事に…。

 

この国に今、4人の魔王が集まっていた。

 

この国の魔王であるクレイマン。獣王国ユーラザニアの獅子王カリオン。

天翼国フルブロジアの天空女王フレイ。災禍級(ディザスター)の3人に天災級(カタストロフ)で忘れられた竜の都の破壊の暴君(デストロイ)である魔王ミリム・ナーヴァ…この四名の魔王会談がおこなわれていた。

 

「ゲルミュッドの野朗は急ぎすぎたな。計画の言い出しっぺが出張って返り討ちに遭うなんざ世話のねぇこった。」

 

カリオンがそう言うと、ミリムがプンプン!と怒りながら同意する。

 

「カリオンの言う通りなのだ!フレイもそう思うだろ?」

 

「あのねぇミリム、私が貴方達の計画とやらを知るわけがないでしょう?」

 

「む?そうか。」

 

「つーかよ、なんでここにいるんだフレイ?」

 

「それは私が聞きたいくらいだわ。面白いから来いってミリムに無理矢理連れて来られたのよ。私は忙しいと断ったのだけどね。」

 

フレイはミリムに連れてこられただけだった。

 

「いいのかよクレイマン。」

 

ミリムの自由すぎる行動にクレイマンも頭を悩ます。

 

「…まぁいいでしょう今更です。」

 

クレイマンが指を鳴らすと、テーブルに五つの水晶玉が現れる。

 

「ひとまず計画は頓挫したわけですが…少々軌道を修正してやればまだチャンスはあります。まずはこれをご覧下さい。」

 

クレイマンが水晶玉に手をかざすと何かが映し出される。

 

「なんだこりゃ?」

 

「ゲルミュッドの置き土産です。」

 

「む?なんなのだこいつら…鬼人?」

 

そこに映し出されていたのは、湿地帯でのリムルとフォルテ達の戦いの様子だった。

 

「ジュラの大森林から湿地帯にかけての戦いの記録です。豚頭帝(オークロード)以外にも面白い者どもが映っているでしょう?」

 

「おお…っ」

 

その中でミリムの目に止まったのはリムルとフォルテの姿だった。そして映像が途絶える。

 

「ゲルミュッドが死んだせいでこれ以降の展開は不明ですが、これほどの者達が相手となると豚頭帝(オークロード)は倒されたと見るべきでしょうね。」

 

「もしも生き残っていた場合、彼らを餌に豚頭帝(オークロード)は魔王へと進化している……。そうでなかったとしても、彼らの中には魔王に相当する力をつけている者がいるかもしれない。なるほどね…つまり貴方達の計画というのは新たな魔王の擁立…といったところかしら。」

 

「さすがフレイ。ワタシ達の目論見を見事に看破するとは!」

 

「呆れた。随分大胆なことを考えたものね。あの森が不可侵条約に守られていることをお忘れかしら?」

 

野良の魔人(ゲルミュッド)が私に持ち込んだ計画です。魔王(我々)が直接動くわけではないので条約に抵触はしませんよ。」

 

クレイマンは笑顔でそう言う。

 

「どうだが…。」

 

「いいじゃねぇか。別に大軍率いて攻め込もうってワケじゃねぇし、強者を引き入れるチャンスだっつーから俺も乗ったんだ。」

 

カリオンはそう言って再度再生されている水晶玉を手に取る。

 

「見た限りじゃあ豚頭帝(オークロード)よりこいつらのほうが美味い。」

 

(……まぁカリオンとミリムはそんなところでしょう。問題は飛び入りのフレイですが…来訪時から何か別のことに心を囚われている様子。その内容によっては恩を売ることが可能でしょう。)

 

魔王間の条約において、その可否を決める時に提案した魔王の他二名の魔王の賛同が必要となる。自分の意見に追従する魔王の存在は、他の魔王に対し大きく優位性を得ることになるのだ。

 

(…悪くない。豚頭帝(オークロード)を失ったのは痛手ですが、むしろこの展開は理想的だ。魔王二人上手くいけば三人に貸しを作ることが出来るのなら十分にお釣りが来る。あの魔人どもにはミリム達を釣る餌になってもらいましょうか。まずは森の調査を……)

 

「よし!では今から生き残った者へ挨拶に行くとするか!」

 

「「「…は?」」」

 

思考を巡らせているクレイマンを含めた三人は口を開けた。

 

「いやいやいや落ち着けよミリム。ジュラの大森林には不可侵条約があるっつってんだろ。」

 

「そうですよミリム。堂々と侵入しては他の魔王達が黙ってはいません。まずは私が内密に調査を…。」

 

「何を言っているのだ。不可侵条約など今この場で撤廃してしまえばいいではないか。ここには魔王が四人もいるのだぞ。」

 

「「「え⁉︎…あっ!」」」

 

確かにそうだ。

 

「あの条約はそもそも暴風竜ヴェルドラの封印が解けないように締結されたものなのだ。暴風竜は消えたというウワサだしな。もう必要なかろう?数百年前の話だしお前達は若い魔王だから知らないのも無理はないのだ。」

 

「そういうことなら条約破棄に反対する者もいないだろう。俺は賛成だ。」

 

「私も賛成ですわね。元々私の領土はあの森に接しているし不可侵と言われても面倒だったのよね。」

 

カリオンとフレイが賛成する中、クレイマンは溜め息を吐いた。

 

(…もっとも単純に見えて最も老獪な魔王……やはり侮れませんね。)

 

「…いいでしょう。私も条約の撤廃に賛成します。今すぐ他の魔王達へ通達しましょう。」

 

そしてミリムのジュラの大森林の不可侵条約破棄クレイマン、カリオン、フレイが賛同したことにより条約破棄が成立した。

 

「受理が確認され次第行動を始めることになります。無難なのはまず人をやって調査することかと思いますが…。」

 

「おいおいこりゃ新しい戦力を手に入れようって話だろ。まさか協力しようってのか?」

 

「そうね…どうせなら競争した方が潔いのではなくて?それで遺恨を残すほど器の小さい者はここにはいないでしょう?」

 

「いいなそれ!恨みっこなしで早い者勝ちなのだ!互いに手出し厳禁。約束なのだぞ?」

 

「ええわかったわ。」

 

獅子王(ビーストマスター)の名にかけて俺様も約束しよう。」

 

「そうなるだろうと思いました。では今後は各々の自己責任ということで。」

 

「ワタシはもう行くのだ!またな‼︎」

 

そう言ってミリムは飛び出して行った。

 

「俺様ももう行くぜ。配下から調査に向かうヤツを選ばにゃならねぇ。」

 

「私も失礼するわ。」

 

カリオンとフレイが立ち去ろうとした時、クレイマンさんフレイに声をかける。

 

「フレイ。何かお困りでしたら相談に乗りますよ。いつでも頼ってください。」

 

「……そ。ありがとう。」

 

フレイはそう言って部屋から出て行った。一人になったクレイマンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「ミリム。カリオン。そしてフレイ。さてさて、また森が騒がしくなりそうですね…。」

 

 

『確かにそうだな。』

 

そんなクレイマンは背後にあの半透明の人物が現れる。

 

「おや貴方もそう思いますか?」

 

『最古の魔王ミリム・ナーヴァと彼奴が会えば戦闘は避けられない筈だからな。』

 

「彼奴とは…貴方が気にしていたこの者ですね。」

 

クレイマンは水晶に映るフォルテの姿を見ながら言う。

 

『ああ。奴が私の知るフォルテなら力を得ようと挑む筈だからなぁ。だが…もし中身が違えばどうかは分からん。』

 

「中身ですか…。」

 

『奴がこの世界に来たにしては世界が静かすぎる。』

 

「ほう…それほどの存在なのですか貴方が知るフォルテなら。」

 

『ああ…間違いなくな。』

 

半透明の人物は窓から空を見上げて言った。

 

『フォルテ……貴様が何者かをゆっくりと見極めさせてもらおう。』

 

 

 

 

 

そして現在。街の中を歩いていた俺達は、ある気配を感知した。

 

「「っ!」」

 

「リムル!」

 

「ああ!」

 

俺はリムルを抱えて街から飛び上がり森へと急ぎ移動する。

 

「なんて魔力だ…とんでもなく巨大な魔力を感じる!」

 

「しかも速度がとんでもなく速い!」

 

充分街から離れた事を確認し振り返りながら空を見上げる。すると俺達目掛けてその存在が急降下して咄嗟に避けると落下地点から凄まじい衝撃と突風が吹き荒れる。

 

俺達が落下した存在を確認しようと身構えていると砂埃のなかから現れたのは、桜金色(プラチナピンク)の髪でツインテールの女の子?が現れた……何故か露出度が高い服装で…。

 

「初めまして。ワタシはただ一人の竜魔人(ドラゴノイド)にして破壊の暴君(デストロイ)の二つ名を持つ魔王ミリム・ナーヴァだぞ。」

 

((いきなり魔王かよ!))

 

「お前達がこの街で一番強そうだったから挨拶にきてやったのだ!」

 

まさかいきなり魔王がここに来るとは……見た目に反してその身体から発せられる覇気……ヴェルドラに匹敵する。凄まじい力に俺は震えていたが……怖いとかでなく、血が騒ぐような感覚……戦ってみたいと本能が叫んでいるようだった。

 

だがいきなり魔王と戦うのは危険過ぎる!俺は自分の心を落ち着かせる。そんな中、魔王ミリムはスライム状態のリムルを指で突いていた。

 

「はっ初めまして、この街の主の一人リムルと申します。」

 

「同じくフォルテというものだ。」

 

「フォルテは兎も角、よくスライムである私が一番強いと分かりましたね?」

 

「ふっふ〜んその程度ワタシにとっては簡単なことなのだ。この竜眼(ミリムアイ)は相手の隠している魔素量まで測定できるのだ。まぁワタシの前では弱者の振りなど出来ぬと思うがいい!……それによく見るとそのマントで身を包んでいるお前の方がこのスライムより魔素量が多いようだな。」

 

そんなことまで見抜けるとは…やはり魔王は侮れない存在だな。

 

「ところでスライムのほうはこの姿が本性なのか?ゲルミュッドの残した水晶では銀髪の人型は変化したものなのか?」

 

ゲルミュッド…彼奴も確か監視されていたとシャドーマンから報告を受けていたな。

 

「全部知ってるってわけね。」

 

リムルは人型に変化する。

 

「この姿のことですかね。」

 

「おおっやはりお前だったのだな。」

 

ミリムはまじまじとリムルを見回してあることに気付く。

 

「…ん?水晶ではもう少しちまかった気がするのだ。」

 

そうリムルの身長が少し伸びているのだ。その理由はわかっているが。

 

「さてはお前…豚頭帝(オークロード)を喰ったか?」

 

「…ええまぁ。」

 

「ん?あのミリム様少しよろしいでしょうか。」

 

「ん?なんだ言ってみよ。」

 

「先程豚頭帝(オークロード)と申してましたが、もしや豚頭帝(オークロード)の進化を存じてなかったのでは…。」

 

「なんと⁉︎豚頭帝(オークロード)が進化⁉︎もしや魔王になっていたのか!」

 

「ええ。ゲルミュッドを喰らって豚頭魔王(オークディザスター)に進化しておりました。」

 

「おお!豚頭魔王(オークディザスター)とな⁉︎ではお前はその豚頭魔王(オークディザスター)を倒し喰ったのだな!」

 

「ええ…はい。」

 

「それは凄いのだ!」

 

ミリムは目を輝かせながらリムルを更に見回す。

 

「それで今日はどんな御用でのお越しでしょうか?」

 

「む?最初に言ったではないか。挨拶だぞ?」

 

((それだけかよ⁉︎))

 

まぁ…挨拶だけで済むなら良いと思うべきだな。俺も心が落ち着いたことでよりミリムの強さを把握できた。

 

《測定可能な下限段階の時点で魔素量が10倍以上ある。》

 

電脳之神(デューオ)からもそう測定結果を言われた。ならこのまま挨拶を済ませて帰ってもらうのが最善だろうと考えていた時

 

俺達の背後からミリムに攻撃を仕掛ける者が!

 

「へ?」

 

「おい!」

 

「覚悟!」

 

それは紫苑だった。まずい!紫苑達はどうやらミリムの覇気に当てられ冷静な判断を失っている!

 

「ランガ!ゴスペル!リムル様とフォルテ様を連れて逃げなさい!早く‼︎」

 

「「心得た!」」

 

紫苑に言われランガとゴスペルが俺達を背に乗せ退避する。

 

「おっおい待て!ランガ!」

 

「ゴスペル!」

 

「待てません!お許しをリムル様!」

 

「今は避難を!」

 

ランガとゴスペルが俺達を乗せ避難させている頃、紫苑の一撃を片手で受け止めていたミリムが不気味に笑う。

 

「ウッフフ…なんだ?ワタシと遊びたいのか?」

 

「待てって‼︎」

 

「落ち着け!」

 

俺とリムルがランガとゴスペルを止めている間に、ミリムがシオンを投げ飛ばすが、その隙にソウエイが操糸妖縛陣でミリムを捕える!

 

「おっおおおお⁉︎」

 

「いかに魔王といえども、この糸の束縛より逃れることは簡単には出来まい……少なくとも数秒はな。」

 

「数秒あれば十分だ。」

 

そこにベニマルまで駆けつけていた。

 

「燃え尽きるがいい黒炎獄(ヘルフレア)!」

 

ベニマルの黒炎に包まれるミリム。

 

「火傷くらいしてくれると嬉しいが……。」

 

ベニマル達もミリムに自分達の攻撃が通用するとは思っていない。ただ、リムルとフォルテの逃げる時間を稼ごうとしていた。

 

黒炎の中からミリムの笑い声が聞こえくる。

 

「わはははは!凄いのだ。」

 

黒炎の中から無傷のミリムが平然と出てきた。

 

「これ程の攻撃、ワタシ以外の魔王なら無傷では受けられなかったかもしれんのだ。」

 

降り立つミリム。

 

「だがワタシには通用しないのだ!」

 

そう声を上げながら魔力を放出するミリム!その巨大な魔力の放出に紅丸達は吹き飛ばされミリムを中心に巨大なクレーターができた。

 

ミリムの魔力を感知した俺は咄嗟に障壁を展開し難を逃れた。 

そして衝撃が収まった後、ランガとゴスペルは現状を見て唖然した。

 

「…なんと凄まじい…。」

 

「これが…最古の魔王の力…。」

 

俺とリムルはシオン達の元に向かい回復を行なう。

 

「大丈夫かシオン。今回復してやる。」

 

「…リムル様。フォルテ様!」

 

「リムル様…フォルテ様なにしてんだ。早く逃げてくれ。」

 

「しばらく安静にしていろ。」

 

「フォルテの言う通りだ。後は俺がやる。」

 

「どうした。まだ遊び足りぬのか?…いいだろうもっと遊んでやるのだ。」

 

リムルはミリムも元に歩む。

 

「諦めたらそこで終了だから、やるだけやってみるさ。期待はするなよ。」

 

「リムル。俺が出てもいいんだが。」

 

「いやここは俺に任せてくれ。」

 

「…わかった。」

 

リムルには何か考えがあるんだろう。

 

そんなリムルとの会話を聞いていたミリムは興味を示す。

 

「ほう?お前はワタシに通用しそうな攻撃手段を持っているのか?」

 

「あぁ…一つだけな。」

 

「わはははは!いいだろう受けてやる!面白そうなのだ。ただし、それが通用しなかったらお前達はワタシの部下になると約束するのだぞ?」

 

「分かった。」

 

「部下か…まぁそれも悪くないかもしれないな。」

 

これだけ強いミリムの傘下に入ったとなれば、この街を迂闊に攻めようと考える馬鹿はいないだろう。

 

さてとリムルがどんな攻撃を仕掛けるのか…。

 

《リムルの捕食や攻撃はミリムには通じない。全ての攻撃を反射されるだろう。》

 

電脳之神(デューオ)が俺にそう知らせる。もちろん俺の攻撃も通じないことは理解している。だが、リムルは変則技を使うようだ。…掌に黄色の液体を集める。

 

そしてミリムに向かって走りながらそれをミリムの口に叩き込む。

 

「喰らえぇ!」

 

成る程…そうきたか。後はミリムの反応次第だな。俺達が見守るなか、黄色い液体を口の中に入れられたミリムは…。

 

「なっ!なんなのだこれは⁉︎こんな美味しいもの今まで食べた事がないのだ‼︎」

 

目を輝かせながら感激し口の周りのそれを夢中に舐めていた。

 

「やはり見た目通りに子供のような性格だったようだな。」

 

力は圧倒的だが、話をしていて純粋な子供の性格だと分かったからこそ甘いものには興味を示すと思っていた。

そう…リムルがミリムに食べさせたのはアピトとゼギオンが集めた蜂蜜だった。

 

しかし…蜂蜜であれだけ感激するとは……普段はいったいどんな食事をしているんだ?

 

必死に舐めているミリムに対してリムルが笑みを浮かべて言う。

 

「どうした魔王ミリム。ここで俺の勝ちだと認めるならば、更にこれをくれてやってもいいんだが。」

 

蜂蜜をミリムに見せるリムル。そして蜂蜜を食べたいミリムはもう蜂蜜から目が離せない状態。

 

「ほっ欲しい〜!だが…しかし、負けを認めるなど…。」

 

負けを認めたくないミリム……そんな中でリムルが美味しそうに蜂蜜を食べる。

 

「うーん美味しい♡」

 

「ああぁ‼︎」

 

「おぉっと!そろそろ残りが少なくなってきたぞ?」

 

まさかの手段で魔王ミリムを翻弄するリムルの姿に紅丸達は呆然と見ていた。

まぁ無理ないか。

 

そんな中でミリムがリムルに言う。

 

「まっ待て待て!提案がある。引き分け!今回は引き分けでどうだ⁉︎今回の件全て不問にするのだ。」

 

「ほほう?」

 

「もっ勿論それだけではないのだ。今後、私がお前達に手出しをしないと誓おうではないか!」

 

それを聞いたリムルの顔は悪い大人の笑みを浮かべていた。

 

「いいだろう。その条件を受けよう。では今回は引き分けと言うことで。」

 

リムルはミリムに蜂蜜の入った瓶を渡し、ミリムは笑顔で受け取りその場で飛び跳ねる。

 

そんな中、シズさん達も駆けつけミリムの姿に驚いた。

 

「フォルテ君?あそこにいるのは魔王ミリムだよね⁉︎」

 

「シズさん……俺達は未曾有の天災を乗り切ったようだ。」

 

 

 

 

 




蜂蜜で引き分けに。
ミリムの食生活を知らなかった時は何故蜂蜜でここまで感動したのだろと思いましたが、知ったら納得。
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