転生したらフォルテだった件   作:雷影

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やはりフォルテとも戦ってもらいました。


28話 ミリム対フォルテ

リムルの機転で魔王ミリムとの対決を引き分けに持ち込めた。

その後、大人しくなったミリムは美味しそうに蜂蜜を食べていた。

 

「ん〜、美味しい~! 美味しいのだ~♪」

 

「それは良かった。」

 

「本当に美味しそうに食べるな。」

 

この様子だとミリムもご機嫌のまま帰るだろうと思っていたが、突然ミリムは俺達に問うて来た。

 

「なぁなぁ、お前達は魔王になろうとしたりしないのか?」

 

「なんでそんな面倒なことしないといけないんだ。」

 

「え⁉︎ だって魔王だぞ!? カッコイイだろ!? 憧れたりとかするだろ!?」

 

「そうだな……確かに憧れたりするが、ミリムとの実力差を考えると魔王になろうとするのはまだ先だな。」

 

「そんなことはないぞ! お前は私から見ても魔王を名乗ってもいいくらい強いのだ。」

 

「てか魔王になったら何かいい事があるのか?」

 

「強い奴が向こうから喧嘩を売ってくるのだ。楽しいぞ。」

 

「ほう…。」

 

強い奴が……いいかもしれない。

 

「そういうのは間に合ってるし興味も無い。」

 

まぁリムルはそうだろうな。

 

「え〜!? じゃ何を楽しみに生きているのだ⁉︎」

 

「色々だよ。やる事が多すぎて大変なんだぞ。魔王の楽しみは喧嘩以外に何かあるのか?」

 

「無いけど……魔人や人間に威張れるのだぞ。」

 

「……退屈なんじゃないかそれ?」

 

「うおぉぉぉお⁉︎」

 

ズバリ当たっていたようだな。

 

「んじゃそろそろ…気を付けて帰れよ。」

 

「待て!」

 

去ろうとしたリムルをミリムが鷲掴みにして止めた。

 

「お前、魔王になるより面白いことしてるだろ!」

 

「ええ⁉︎」

 

「ずるいぞ! ずるいずるい! もう怒った!」

 

ミリムはそのままリムルを縦に揺さ振り回す。

 

「怒ったって言われても…!」

 

「ワタシも仲間に入れるのだ! 街に連れてけぇ‼︎」

 

……駄々っ子のパターンだ。これは連れて行くまで駄々を捏ね続けるだろう。

 

そんなミリムからなんとか脱出したリムルが観念したように答えた。

 

「わかったわかった。俺達の町を案内してやるから。」

 

「本当だな⁉︎」

 

「ただし条件がある。今度から俺のことはリムルさんと呼べよ。」

 

「ふざけるな逆なのだ! お前がワタシをミリム様と呼べ。」

 

「えー…じゃあお前のことはミリムと呼ぶからお前も俺達のことはリムルとフォルテと呼んだらいい。」

 

「むっ! いいけど…特別なのだぞ? ワタシをミリムと呼んでいいのは仲間の魔王達だけなのだから。」

 

「はいはいありがとうよ。じゃあ今日から俺達も友達だな。」

 

友達と言われて嬉しそうにするミリム。そんなミリムにフォルテは笑みを浮かべながら言う。

 

「よろしくなミリム。」

 

「うむ! わかったのだフォルテ。」

 

そんな俺達の姿にシズさん達は感心していた。

 

「フォルテ君とリムルさん凄いね。あの魔王ミリム・ナーヴァと友達になるなんて。」

 

「リムル様なら当然です!」

 

こうしてミリムを連れて街に戻ることになった俺達。リムルがランガに、俺がゴスペルに乗っているのだが……何故かミリムが一緒に乗ってきて、俺の後ろで蜂蜜を食べていた。

 

そして町が見えてきた。

 

「ホラ着いたぞ。」

 

町を見たミリムの目は好奇心で輝いていた。

 

「「ようこそ魔国連邦(テンペスト)へ。」」

 

無事にテンペストに戻ってきた俺達その中で、リムルはミリムに言う。

 

「とりあえずこれだけは約束してくれ。まず勝手にウロチョロしないこと、それから俺達の許可なく暴れないこと。」

 

「うむ!」

 

ミリムは頷くとすぐ走り出そうとしたが、俺がミリムの前に立つ。

 

「さっき言ったばかりだろ? 勝手に行かないでくれミリム。俺達がちゃんと案内するから。」

 

 

なんとかミリムと行動を共にしながら町を案内する俺とリムル。

そこに俺とリムルに話を聞こうとガビルが現れた。

 

「リムル様、フォルテ様、丁度良かった。回復薬についてお話が…。」

 

そんなガビルを珍しそうにミリムが見ながら近づく。

 

「おお、龍人族(ドラゴニュート)ではないか! 珍しいな!」

 

この時リムルは思った。ガビルが余計なことを言ってしまうのではと。

だが、フォルテがガビルに初めての相手に対しては正しい礼儀をするように言っていたのでそれはならなかった。

 

「これはこれは初めましてお嬢さん。我輩はガビルと申す。」

 

「そうかそうか。」

 

「この町は初めてですかな?」

 

「うむ。今リムルとフォルテに案内してもらっているのだ。」

 

「成る程。リムル様フォルテ様が案内されるとは、こちらのお嬢様は一体?」

 

「ああ、こいつはミリム。なんでも魔王らしいぞ。」

 

「魔王ですと!」

 

ガビルは驚愕の表情でミリムを見た。

 

「その通りなのだ。」

 

その後ある程度町を案内し、町の中央で皆が集まるのを待っている。

その間に、ミリムに町では誰かを殴らないように説明をした。

 

「いいかミリム。怒ってもすぐに殴ったりしたら駄目だぞ?」

 

「ええ〜? でも最初にガツンといかないと舐められるのだ。」

 

「ミリムは手加減して殴っているつもりなんだろ。」

 

「そうだぞフォルテ。」

 

「でもここの魔物達や建物はミリムの力に耐えられるほど強い身体ではない。例えば、ミリムが何か一生懸命作ったとしよう。」

 

「ふむふむ。」

 

「知らない者が軽く力を入れて壊してしまったらミリムは許せるか?」

 

「許せる訳ないだろう!」

 

「ミリムの殴る行為も同じなんだ。」

 

俺にそう言われあっと気づいた表情をするミリム。

 

「人の振り見て我が振り直せと言う言葉がある。」

 

「どういう意味だそれ?」

 

「他の者のやっていることを見て良い面は真似して悪い面は自分でやらないようにするってことだ。魔王ならこのくらい簡単に出来るだろう。」

 

「当然なのだ。」

 

「じゃあすぐ殴ろとしないようにしてくれ。」

 

「わかったのだ。」

 

 

「フォルテ…ナイス!」

 

やがて皆が集まり改めてミリムを皆に紹介する。

 

「ええと、今日から新しい仲間を紹介する。客人という扱いなのでくれぐれも失礼のないように。」

 

「ミリム・ナーヴァだ!」

 

「なんと⁉︎ 魔王ミリム様!」

 

「おぉ、御尊顔を初めて拝覧できましたぞ!」

 

「流石リムル様とフォルテ様っす!」

 

「あの暴君とああも親しげに…これでこのテンペストも安泰というものだ。」

 

やはりミリムは魔王として有名だったのか、皆友好的で何よりだ。……リグルドは泣いて歓喜の涙を流している。

 

「今日から此処に住むことになった、よろしくな!」

 

「え⁉︎」

 

「ん?」

 

ミリム住むのこの町に…マジ?

 

「おい待て、そりゃどういう意味だ⁉︎」

 

「そのままの意味だぞ? ワタシもここに住むことにしたのだ。」

 

「ミリムは魔王なんだろ。配下の者達とか心配しないか?」

 

「大丈夫だ! たまに帰れば問題ない!」

 

「それなら…まぁ別にいいか。」

 

「そうだな、…ということで、本人がそう言っているからそのつもりで対応してくれ。」

 

リムルの言葉に皆が声を上げてミリムを迎え入れる。ミリムは相当な人気者のようだ。

 

「うむ ワタシとリムルとフォルテは友達だから、何かあったら頼ってもいいのだ!」

 

「…魔王と友達か。」

 

「なんか凄いと改めて思ってくるな。」

 

「そうだな…友達は変だな。えっえ〜と友達と言うより…親友(マブダチ)だな‼︎」

 

ミリムはスライムの姿に戻っていたリムルを掲げて皆に宣言する。

 

「「親友(マブダチ)⁉︎」」

 

え、いいの!? 出会って間もないのに一気に距離が縮まったぞ⁉︎

 

「違うのか⁉︎」

 

あっちょ⁉︎ ミリム泣きそうになってる!

 

「親友! 親友! 皆! 俺達は親友(マブダチ)‼︎」

 

いえええ! マッブダチ! マッブダチ! マッブダチ!

 

リムルの親友宣言に皆大喜び

 

「だろう? お前も人を驚かすのが上手いな。」

 

こうして、あらゆる兵器より危険な魔王ミリムがテンペストの仲間入りしたのだった。

 

その後、リムルの娘であるシンシアを紹介した際にミリムは驚くも、すぐにシンシアと打ち解け仲良くなった。

そしてミリムがシンシア、シオン、シュナ、リムル、シズさんと共に露天風呂を楽しんでいる間に俺達はミリムの滞在に着いて話し合うことになったが、ようやくシズさんとリムルが女湯から戻って来た。

 

「…今はスライムだが、前世の人間…男性としていいのかリムル?」

 

「…今の俺、性別とか無いから。」

 

「私はリムルさんと入れて嬉しいよ。」

 

…それを言うか。まぁシズさんも気にしてないようだからいいか。これで会議が始められる。

 

会議に参加するのは俺とリムルにシズさん、そしてリグルド、カイジン、ベニマル、ソウエイ、ハクロウでの8人である。

 

「まさか魔王自らやってくるとは思いませんでした。」

 

「リグルドさんの言う通りね。私も予想してなかった。」

 

「でもまぁ、許可なく暴れないと約束してくれているし。」

 

「あの様子なら大丈夫だと思うが。」

 

「いやしかし…気になるのは他の魔王達の出方じゃねぇか?」

 

カイジンの言葉にベニマル達は頷く。

 

「どういう意味だ?」

 

「魔王は何人かいるんだが、仲間同士ってわけじゃないんだよ。互いに牽制し合ってるんだ。今回、旦那達がミリム様と友達だと宣言したからこの町も庇護下に入ることを意味する。本来ならそれは喜ばしいことだが…。」

 

「リムル様とフォルテ様は相等と言う立場におりますのじゃ。つまりこのジュラの大森林が魔王ミリム様と同盟を結んだ…そういう風に他の魔王達の目には映るでしょうな。」

 

「同盟が事実なら、今まで配下を持つ事すらなかった魔王ミリムの勢力が一気に増すことになり、魔王間の力の均衡が崩れる。そして…それを面白く思わない魔王もいるかもしれない。」

 

カイジン、ハクロウ、ベニマルがそう説明する。

 

「なるほど…。」

 

「確かに…そうなると他の魔王達は黙っていないだろうな。」

 

「しかしですよ。実際にお帰り頂こうとしても無理なのでは…言って聞いて下さるとは思えません。」

 

「…だろうな。」

 

「飽きて去ってくれるのを待つしかないか…。」

 

「それしかないと私も思う。」

 

「シズ殿の言う通り。」

 

「仮に敵対するなら他の魔王を相手にする方がマシです。魔王ミリムは正しく天災ですので。」

 

そうなんだよなぁ。尋常じゃない力と子供の無邪気さを合わせたまさに生きる天災…魔王ミリム…ある意味1番厄介なのかもしれない。

 

考え込む俺達……その中でリグルドが声を上げる。

 

「という訳で、ミリム様のお相手は親友であるリムル様とフォルテ様に一任するとうことで!」

 

「「「「異議なし‼︎」」」」

 

「「丸投げ⁉︎」」

 

「いやだってめちゃくちゃ懐かれてましたし。」

 

「うむ。リムル様とフォルテ様以外に適任はおりませなんだ。」

 

「頑張ってリムルさん、フォルテ君。」

 

こうして…俺とリムルが魔王ミリムの担当をする暗黙のルールが成立してしまった。

 

 

 

翌日

俺はミリムを連れて電脳世界(サイバーワールド)を案内していた。

 

「うおぉぉ! なんなのだこの街は⁉︎ 見たことない物がいっぱいあるのだ‼︎」

 

電脳世界の街並みに目を輝かせるミリム。…何故こうなったかといえば、ミリムと仲良くなったシンシヤが楽しく話しているうちにうっかりとこの電脳世界のことも話してしまい、それを聞いたミリムに見たいと頼まれ今に至る。

 

最先端の街にミリムは興味全開だった。

 

「フォルテ、早く案内するのだ!」

 

「わかったから引っ張るなミリム。」

 

ミリムに引っ張られる形で俺はシティを案内して行った。

ミリムはそれはそれは楽しそうにシティを周り、やがてインターネットコロシアムに辿り着いた。

 

「おぉ! なんなのだこの場所は!?」

 

「インターネットコロシアム。この場所で色んな地形を再現して戦える場所だ。」

 

「なんと!……ならちょうどいいのだ。」

 

ん?ミリムさんや…その笑みはなんだ…何故俺の腕を掴む…って理由は一つしかないな。

 

「フォルテ、あそこで私と遊ぶのだ!」

 

その声を上げてミリムは俺を引っ張りながらコロシアムに向かって走っていった。

 

 

 

コロシアム荒野ステージ。

 

「おお!? 本当に場所が変わったのだ!」

 

見渡す限り広がる荒野のフィールドにミリムは更に興味津々だ。

 

「それで…本当にやるのかミリム?」

 

「もちろんなのだ! リムルとは一応引き分けとなっているのだが、フォルテとはまだ戦っていなかったのだからな!」

 

リムルの場合は蜂蜜による勝利だったがな…。

 

「それに、フォルテの強さを改めて確認したいのだ。だからフォルテ、まずは全力でワタシに殴りかかってくるのだ!」

 

「ええ⁉︎」

 

「大丈夫なのだ! まずはフォルテの全力の力を知りたいのだ。その後はワタシがフォルテの特訓をつけてあげるのだ。」

 

「…それはありがたいが…いいのか?」

 

「もちろんなのだ! ワタシ達は親友(マブダチ)だからな!」

 

「……わかった。なら遠慮なくいくぞミリム!」

 

俺は構えて右拳に俺の全魔素を集約させる。

 

「ハァア!」

 

そしてミリムに向かってその拳をおもいっきり振り下ろした。

 

凄まじい衝撃が辺りに広がり、それにより発生した土煙によって辺りが包まれる。

 

……やがて土煙が晴れていき、最初にフォルテの姿が見えてくる。

 

「………やはり通じないよなぁ。」

 

フォルテが拳を振り下ろした先…ミリムの立っていた場所の土煙も晴れると、フォルテの放った全力の拳を右手で軽々受け止めているミリムの姿が現れた。

 

「ふっ、ふはははっ!」

 

俺の全力の拳を受け止めたミリムは笑い出す。

 

「凄いのだ! 右腕が痺れたのは久しぶりなのだ! フォルテ、お前はやっぱり強いのだ!」

 

「…ミリムにそう言われたなら光栄だ。」

 

だが、もしミリムが本気なら俺は確実に死んでいただろう。

 

《ミリムが攻撃を受けた瞬間に、左の拳によるカウンターによって粉砕される可能性が100%だ。》

 

だろうね…電脳之神(デューオ)の言う通りになっていただろう。

 

「さて、フォルテの今の力も分かったし、約束どおりにワタシがフォルテに合わせて特訓をするのだ!」

 

そして、しばらくの間この荒野のフィールドで手加減してくれているミリムを相手とした特訓を開始したのだった。

 

凄まじい光弾の雨をミリムは笑いながら躱し続ける。

 

「あははは! 凄い、凄いのだ!」

 

そんなミリムに俺は連射光弾(エクスプロージョン)を放ち続ける中、乱射光弾(シューティングバスター)に切り替え全体攻撃を仕掛ける。

 

ミリムの周りに降り注ぐ光弾

 

「おおっ⁉︎」

 

それによりミリムは思わず急停止

 

その隙を逃すまいと俺はミリムに急接近して 右手に闇之武装刃(ダークアームブレード)を創り出しそのまま紫の刃でミリムに斬りかかる。

 

迫る刃だが、ミリムは笑みを浮かべながら右腕で刃を受け止める。

 

「ほぉ〜、魔素で作った刃とは面白い発想なのだ!」

 

俺の刃はミリムの腕に弾かれる。

 

俺はすぐに体勢を立て直して、もう片方の手にも闇之武装刃(ダークアームブレード)を手に持ち二刀流でミリムに斬りかかる。

 

「おお、中々いい太刀筋なのだ! 私でなければ間違いなく斬られているのだ!」

 

そう言いながら両腕で俺の刃をことごとく弾くミリム。

 

ならばと弾かれる反動を利用してミリムの真上に飛び上がる。

 

空中で右腕にエネルギーを貯めてそのままミリムに叩きつける

 

大地破砕(アースブレイカー)!」

 

破砕のエネルギーが地面を抉りながらクレーターを作る。

 

衝撃と爆煙に包まれ晴れていくと、無傷のミリムが立っていた。

 

「……やっぱり通じないか。」

 

「わっははは! 中々の大技なのだ! なぁなぁフォルテ、やっぱり魔王にならないか!?」

 

「ありがたいお誘いだが、この特訓で自分の力がまだまだだと知ったからなぁ。自分が納得できるくらい強くなったらその誘いを受けたいと思う。」

 

「ん〜お前は変に頑固だなぁ。 まぁいいのだ、それなら私がこれからたくさん特訓してやるのだ。」

 

「ありがとう、ミリム。」

 

こうして俺は日々ミリムに特訓してもらえるようになり、格上との戦闘の経験を多く学んでいった。

 

それから数日が経過。

 

ミリムには物を壊さないように力加減を教えたことで扉などが壊れる被害を最小限に抑えられるようになった。

 

そんなある日……ランガとゴスペルがミリムに撫でられて気持ち良さそうな顔している姿を目撃した。

 

「随分と手慣れているなミリム。」

 

「おおフォルテ!」

 

ミリムの言葉にランガは何かまずいところを見られたような表情をし、ゴスペルは今もミリムの手捌きの気持ち良さに目を瞑っていた。

 

「……流石ミリム様ですな。」

 

「親父殿!」

 

「ランガ、別に構わない。お前もたまには気を落ち着かせるのはいいことだぞ。」

 

「フォルテの言う通りなのだ。それに、お前達を撫でてるとなんだか懐かしい気持ちになるのだ。」

 

その時見せるミリムの顔はどこか哀しくも優しい表情をしていた。

 

「ミリムにもゴスペル達みたいな仲間がいたのか?」

 

「うむ…よく思い出せないのだ。」

 

「そうか……まぁ今はゴスペルの触り心地とランガの毛並みを堪能すればいいさ。」

 

「うむそうだな。」

 

その後思う存分ランガの毛並みを堪能し、ゴスペルの背で遊んだミリム。

 

俺が街を案内し、少し目を離したらゴブタがまた余計なことを言って殴られガビルをミリムが何か妙に気に入っていたりする中、猪八戒とゲルドの姿を見たミリムは走り出した。

 

「おっ!彼奴はクレイマンの!」

 

「おいミリム!」

 

ミリムは猪八戒とゲルドの仕事の様子をしばらく見ていた。

 

「おい!お前…豚頭魔王(オーク・ディザスター)だったものだな。その隣にいるのは息子か…お前も豚頭帝(オークロード)に近いものだ。」

 

そう言いながら猪人族(ハイオーク)達が集めた資材などを見るミリム。

 

「それだけの力も持っていながら武功を上げようとは思わないのか? 石塊を運ぶのがそんなに楽しいのか?」

 

ミリムの言葉を聞いた猪八戒とゲルドは真剣ない眼差しで答える。

 

「俺達の求めていたものはリムル様とフォルテ様が叶えてくださいました。」

 

「そして、何かを作りだし残すのはやり甲斐がある。」

 

そう言って二人が見たのは、同胞達の…子供達の笑顔だった。

 

「これが今の私達に与えられた仕事です。」

 

「ふーん…よくわからないのだ。もうちょっと見てていいか?」

 

「どうぞ。」

 

そして建設作業をする猪八戒とゲルドの姿を見続けるミリム。

そんなミリムの隣にフォルテが立つ。

 

「戦い…勝って自分を強さを証明するのもいいが、何かを作り誰かの役に立ち、皆が笑顔になるのを見るのもまた良いことだ。」

 

俺の言葉を聞きながら、ミリムは一生懸命に家を建てる二人の姿を見続けた。

 

「……何となくわかった気がするのだ。」

 

「……戻ったらまた菓子でも食べるか。」

 

それから、ミリムが誤ってスナック樹羅の看板を壊してしまい俺とミリムが治してた。

その後は、はしゃぎ疲れて眠ってしまったミリムを背負って俺はミリムを客間へと運ぶのだった。

 

「…本当に無邪気な魔王様だ。」

 

初めはヤバイ魔王様だと思ったが、ただ力が強いだけの子供と変わらないと今は思える……まぁその力が天災級なんだが。

 

しばらく背負いながら歩いていると、寝言なのかミリムが俺に話しかけて来た。

 

「フォルテはそんなにこの国が大切なのか?」

 

「ああ。リムルやシズさん…トリルや皆がいる大切な場所だ。」

 

「…怖くはないか? そんな沢山の大切なものを…繋がりが一つでも無くなると考えると、私は怖いのだ。」

 

そう言いながらミリムは俺に強く抱きつく。

 

「ミリム…。」

 

「大切なものは…いつだって小さくて呆気ないほど脆い。きっと後悔する…作った事を後悔するのだ。その時お前は……今のままではいられなくなる。」

 

「……だろうな。それでも俺は…リムルはきっと前に進む。例え…己が変わったとしても。」

 

……多分これはミリムの内に隠された本心。それが今寝言として呟かれたのだろう。

 

そんなミリムを客間に運んだ翌日、目を覚ましたミリムはやはり昨日のあの寝言のことは覚えていなかった。

 

ミリム…彼女が何故魔王になったのか…あの寝言の意味は。

 

それを俺とリムルが知るのはまだ先のことであるということは…この時の俺は知るよしもなかった。




ミリムの寝言…それは自身の悲しき過去故に。
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