転生したらフォルテだった件   作:雷影

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今回は秋の話。春に植えたものを今日は収穫します。
皆さんにとっての秋はスポーツ、読書、食欲…どれでしょう?


30話 収穫…そして食欲の秋

季節は移り変わり今は秋。今日は皆で野菜の収穫だ。

畑に皆が集まったのでリムルが開始の挨拶をする。

 

「昔から、衣食足りて礼節を知るとある。腹が満ちれば心に余裕が生まれ、余計な諍いもなく良い国となる。内も是非そうありたい。」

 

「リムルの言う通りだ。秋は実りの季節だが、同時に冬に備える大事な時期だ。今日は皆で力を合わせ収穫をするぞ。」

 

「「「「はい!」」」」

 

俺の言葉に皆良い返事をする。

 

「えー続いて特別ゲストの…。」

 

「…春からずっと待っていました。芋です!今日は芋を沢山掘りましょう!」

 

…前回のこともあり、トレイニーさん気合いが入っているな。

 

「芋以外にも掘る物はある。後は…」

 

「皆の者!私にうまーな物を食べさせるのだ!」

 

「「「おー!」」」

 

俺が言う前に元気良く皆に言うミリムとトレイニーさん。

 

「芋!」

 

「「「「芋!」」」」

 

「うまーなのだ!」

 

「「「「うまー!」」」」

 

「…自由だなゲスト人。」

 

「本当だな。」

 

こうして始まった収穫。リリナが皆に指示を出している。

 

「本当にリリナがいて助かるな。」

 

そんな中、リリナの話を聞かずに笑い合うゴブタ達。それを見たリリナの表情が変わった。

 

ほらほらほらほら!そこばんつくども‼︎(ほらほら、そこの怠け者たち!)

 

リリナがスケバン……女番長化した⁉︎

 

怠けているゴブタ達の鼻や頭を掴んで持ち上げながら説教をかました。

それに恐怖したゴブタ達は怯えながら急いで仕事に入った。

 

「作業は順調です。」

 

「あっはい。」

 

何事もなかったかのように元の口調に戻るリリナ。

 

「相変わらずですなぁ…昔から。」

 

昔馴染みのリグルドでさえ、リリナのあの変貌にはちょっと引いていた。

 

「有能だなリリナは。これからもゴブタ達がサボるようなら頼む。」

 

「はい任せてください。」

 

皆それぞれの区間で収穫を始める。

 

その中でミリムと紫苑が何やら凄まじい雰囲気を出していた。

 

「ワタシの腕は十大魔王随一と言われているのだぞ…芋掘りの!」

 

「ああ?ジュラの森の知れ渡る伝説の鬼神とは私のことです…芋掘りの!」

 

「いざ!」

 

「勝負‼︎」

 

「十大魔王随一のワタシに敗北はないのだ!」

 

「見せてあげましょう!私の伝説たる由縁を!」

 

「「うおおおー‼︎」」

 

凄まじい勢いで薩摩芋を収穫していくミリムと紫苑

 

「……君達それでいいの?」

 

「まぁ捗るからいいだろう。」

 

リムルと別れじゃがいも畑に来た俺は、トレイニーさんがじゃがいもを収穫している姿を発見。それを見ていたリグルドが慌ててトレイニーさんの元に

 

「どっ⁉︎樹妖精(ドライアド)様に芋掘りをさせるなんて‼︎」

 

「いいのですよ。樹妖精(ドライアド)は元々じゃがいもから生まれるのです。」

 

「えっ?そうなの?」

 

トレイニーさんの言葉に俺は少し驚いた。

 

その後、プラントマンとウッドマンも皆に適切な指示をしてくれたことで収穫が順調に進んでいった。

 

「2人とも見事な指示だ。」

 

「フォルテ様。ありがとうございます。」

 

「この調子で私達も収穫に取り掛からせていただきます。」

 

「ああ。頼りにしている。」

 

収穫が進む中、森で食糧調達に向かっていたリグル達が戻って来た。

 

「散策隊、食糧調達から戻りました。」

 

「おっ!ご苦労様。」

 

そこには山葡萄や栗に柿など秋の果実がカゴいっぱいに詰まっていた。……良く考えると異世界なのに元いた世界と殆ど同じ果物とかあるんだな。

 

俺がそう考えていると。

 

「おお!この色…この型そしてこの香り…滅多に食べられない松茸様だ!」

 

松茸を見て喜ぶリムル。気持ちは分かる。俺達の世界では殆ど手が届かない高級品……だがこの世界では違った。

 

「そんなのそこらじゅうに生えってるっすよ?」

 

「えっ?」

 

そうそこらじゅうに生えているらしい……皆に不思議そうに見られたリムルはいじけてしまう。

 

「リムル…此処は異世界だから気にするな。」

 

「元気出してリムルさん。」

 

俺とシズさんが左右から優しくリムルの肩に手を置く。

 

「……うん。」

 

それから、紫苑とミリムの芋掘り対決に決着が遂にた。……どんな基準か知らないが、ミリムがリムルに酷似した芋を掘り起こしたからだった。

てか本当に似すぎだなあの芋。

 

そして殆どの収穫が終わった頃合いにゴブタが俺達に言う。

 

「リムル様!フォルテ様!早く焼き芋にしましょうよ!」

 

「そうだな。」

 

「焼き芋?」

 

「ミリム?……もしかして焼き芋を知らないのか?」

 

「うむ。焼き芋とはなんなのだ?」

 

「焼き芋は、落ち葉や焼いた石でこの薩摩芋をじっくりと焼くことだ。」

 

「…なんだ、ただ焼いた芋ということか。」

 

つまらないとばかりに言うミリムにリムルが笑みを浮かべる。

 

「フフフ。ただ焼いた芋だと思ったら大間違いだぞミリム。」

 

「リムルの言う通り。焼き芋にすることでこの薩摩芋の持つ甘味を引き出して美味しい芋になるぞ。」

 

「何ぃ⁉︎本当か!」

 

「ああ。」

 

「ならさっそく始めるのだ!」

 

美味しくなると聞いたミリムは元気に声を上げる。

 

落ち葉を集め火をつけて芋を落ち葉の中でじっくりと焼いていく。

 

「焼き芋〜焼き芋〜焼き芋〜♪」

 

焼けるまでの間、楽しみにしながらなんか歌い出したゴブタ。それにつられるようにミリム、シンシヤもリズムに合わせて歌いだす。

 

「「「焼き芋〜焼き芋〜焼き芋〜焼き芋〜♪」」」

 

「楽しそうだな。」

 

「ええ本当に。」

 

「見ていると私達もなんだか楽しくなるね。」

 

「シズさんの言う通りだな。」

 

楽しく歌う三人の姿を俺とリムル、アイリスとシズさんは見ていた。

やがて芋が焼けてミリム達は食べ始める。

 

「おお!ハフハフ…うあ〜本当に甘くなっているのだ!」

 

「すっごく美味しい!」

 

焼き芋の美味さに感動するミリムとシンシヤ。

 

「うむ。やっぱり焼き芋はいいな。」

 

「そうだな。」

 

俺とリムルは焼き芋を食べながらその味が懐かしく感じていると、ミリムが何か思い込んだまま焼き芋を食べ続けている。

 

「ぬぬぬ…あんなに固くて土臭いものが、こんなにも甘くてホクホクに……。」

 

「お前…一体どういう食生活をしてたんだ?」

 

「きっと愛の無い環境で育ったんですね…わかります。」

 

「…ミリムちゃんまだお芋あるからいっぱい食べてね。」

 

リムルと紫苑そしてシズさんがミリムの今までの食生活について気になっている頃、ミリムの領土のミリム像の首が落ちた事を俺達は知ることはなかった。

 

「ミリムの芋焼けたぞ。」

 

「待ち侘びたのだ!」

 

ミリムは喜びながらリムル型の芋を頬張っていく。

 

「……なんかリムルが喰われてる見たいだな。」

 

「怖いこと言うなよ!」

 

焼き芋を堪能した後、俺は白老の様子を見に行った。

秋になってから白老の様子が少しおかしい。……紅葉の葉を眺めて何か思い出を思い出しているような感じだった。

 

そんな白老を背後から見ていたゴブタ達……あっ隙ありとばかりに鍬を持って襲いかかった。

 

だが、そんな攻撃が白老に通じる訳もなく見事なまでに返り討ちにあった。

 

「いや〜ボケちゃったのかなと思って。」

 

「おかげで充実しておるよ。……もう一手合わせいくかの。」

 

その瞬間、ゴブタ達は怯えながら逃げていった。

 

「相変わらずだなゴブタの奴は。」

 

「おぉ。これはフォルテ様。」

 

「白老。ゴブタ達の相手ご苦労。」

 

「なぁにどうということもありません。むしろめげずにワシに挑んでくるあたりは中々見どころがありますので。」

 

「まぁある意味ゴブタはタフだな。」

 

何度も白老に叩きのめされても相変わらずに白老に挑むんだからな。

ゴブタは本当にそういうところが凄いと思う。

 

「…それで、白老は何かこの葉に思うところがあるのか?」

 

俺はそういいながら紅葉の葉を手に取る。

 

「……いえそのようなことは。」

 

「まぁ言いたくないなら別に言わなくていい。…ただ、何か大切なものなら後悔しないようにだけしろ。」

 

「フォルテ様……感謝しますじゃ。」

 

そう言って俺と白老はただ紅葉の葉を眺めるのだった。

 

白老と別れた後、建設現場で働く猪八戒達の様子を見に行った。

ちょうどリリナさんが猪人達(ハイオーク)に焼き芋を届けてくれていた。

 

「皆さ〜ん。リムル様とフォルテ様から差し入れです。」

 

「「「「「おおおお!」」」」」

 

猪人達(ハイオーク)は喜びながら焼き芋を食べ始める。

 

「こんな我らにまでありがたいことだ。」

 

「美味い!」

 

「こんな美味いものが毎日。」

 

「素晴らしいな。」

 

「ああ大切にしなくては。」

 

「子供達にはもう分けてありますから遠慮しないでくださいね。」

 

焼き芋を食べなら笑い合う猪人達(ハイオーク)。そんな皆の様子を猪八戒とゲルドは見つめていた。

 

「皆美味しそうに食ってるな。」

 

「フォルテ様…。」

 

「ええ。」

 

「…良かったな。」

 

「これもリムル様とフォルテ様のおかげです。」

 

「フォルテ様のおかげで俺達はこのずっと見たかったこの光景を見ることができました。」

 

同胞達が皆笑顔で笑い合いながら食事する姿…猪八戒とゲルドにとってそれは何よりも嬉しいことなのだ。

 

「…あの時にフォルテ様の手をとったことは間違いではなかった。俺達の願いが叶った…それを見ることができたのだから。」

 

大飢饉によって同胞達が飢えていき、幼い命が消えていく……それを見てきた猪八戒とゲルドだからこそ、テンペストでの皆が笑い合う姿を見ることが本当に嬉しいのだ。

 

「これからも皆が笑っていける為にも頑張っていくぞ。」

 

「はい!」

 

「もちろんです!」

 

俺と猪八戒達がそう決意していると、他の猪人達(ハイオーク)達が声をかけてくる。

 

「フォルテ様!猪八戒様!」

 

「ゲルド様!皆で食べましょう!」

 

焼き芋を手に皆が笑顔で俺達を呼ぶ。

 

「フッ。行こうか。」

 

「「はい。」」

 

こうして秋の収穫は豊作となって無事完了した。

 

 

 

翌日、早朝に俺は厨房である物を作った。

 

「…よし。味もある程度再現できたな。リムルが喜んでくれるといいんだが。」

 

俺がリムルのいる事務室に向かった。

 

「リムルちょっと味見を……何事だこれは?」

 

其処にはシズさん、紫苑、朱菜、ミリムが何か冷たく暗い雰囲気を放ちながら立っていた。

 

そんな女性人達に謝りながら機嫌をとるリムル。

 

「ああ!フォルテ頼む!お前からもシズさん達の機嫌なおすの手伝って!」

 

「いや…状況が分からないから説明……ん?」

 

俺がリムルの前にいるドルドが何か計量器のような道具を持っていた……見事なまでに破壊されているその道具に俺は察した。

 

……あれは体重計だったものだと。

 

「大体わかったが、残念だがリムル。……皆の機嫌が自然に戻るのを待つしかない。」

 

「そんな〜。」

 

本当、女性に対してそれは難しいからな。

 

そんな中、ミリムは突然クンクンと鼻である匂いを感じとった。そして、匂いの元がフォルテの手に持つ木の桶からだとすぐに気付いた。

 

「なぁなぁフォルテ!その桶から美味しそうな匂いがするのだ!」

 

「確かに良い匂いです。」

 

「本当に…。」

 

「この匂いは…もしかして。」

 

ミリムに続くようにシズさん達も俺の側に集まってきた。

 

「シズさんの予想通り、リムルに食べてもらおうと作った。」

 

俺はそう言いながら桶の蓋を開ける。

開けた瞬間、立ち上がる湯気と共に広がるキノコの香り。

 

「松茸ご飯モドキだ。」

 

ふっくらと炊き上がった稲科の植物を品種改良をして作った米モドキに、この世界では沢山生えていた松茸モドキを加えて炊き上げた松茸ご飯モドキ。

 

見た目は前世で知った松茸ご飯そのものだ。

 

「おお!すげぇ!」

 

「松茸モドキの時にリムルがいじけてから、せめて美味しく食えるようにと再現したんだ。」

 

「フォルテ…ありがとうな。」

 

「これがあのキノコなのか?」

 

「ああ。せっかくだし皆で食べるか。」

 

「いいのですか!」

 

「ありがとうございますフォルテ様!」

 

こんなこともあろうかと、多めに用意していた茶碗に松茸ご飯モドキを注いで皆に配った。

 

「じゃあ食べてくれ。」

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

皆一斉に松茸ご飯モドキを食べ始める。

 

「ん〜美味しいのだ!」

 

「このキノコの食感と歯応えがいいです!」

 

「あのキノコでもこんな美味しい料理になるんですね。」

 

「…まさかこっちで松茸ご飯を食べられるなんて思わなかったよ。」

 

皆は美味しそうに食べてくれた。気に入ってもらえて良かった。

 

「うん!美味い‼︎フォルテ見事に再現出来てる!」

 

「それは良かった。皆がこれだけ喜んでくれたなら作ったかいがある。」

 

その後は朱菜とゴブイチに作り方を教えてテンペストの秋の名物料理の一つとなった。……後ついでにシズさん達の機嫌も良くなった。やっぱり秋は食欲の秋だった。

 

 

 




やはり秋の食欲には誰も抗えない。松茸ご飯モドキで異世界の松茸の価値も上がるかも。
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