転生したらフォルテだった件   作:雷影

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遂に精霊の棲家に向かいます。


41話 精霊の棲家

あれから1ヶ月が過ぎた。木刀を手に構えるフォルテ。そんなフォルテを縁壱は真剣な表情で見守る。

 

息を吸いある呼吸を始めた瞬間、フォルテが木刀を振るい出した。

 

「日の呼吸 壱ノ型! 円舞!」

 

木刀を円を描くように振るう!その際木刀から炎陽の如き赫い炎が纏わってみえる。

 

「弐ノ型!碧羅の天!」

 

腰を回す要領で空に円を描くように木刀を振るう。

 

「参ノ型!烈日紅鏡!」

 

肩を左右に素早く振るい迎撃に向いた広範囲の水面斬りでの2連撃。

 

「肆ノ型!灼骨炎陽!」

 

太陽を描くようにぐるりと振るい前方中距離まで広範囲に薙ぎ払う。

 

「伍ノ型!陽華突!」

 

右手に木刀を持ち左掌で柄尻を押し込む刺突技。

 

「陸ノ型!日暈の龍・頭舞い!」

 

円を繋いて龍を象るように駆け巡りながら木刀を振るう!

 

「漆ノ型!斜陽転身!」

 

我が身を天に捧げるが如く飛び跳ね宙で身体の天地を入れ替えながら水平に木刀を振るう。

 

「捌ノ型!飛輪陽炎!」

 

木刀を両腕で振りかぶり、揺らぎを加えた独特な振り方で降ろす技。

 

「玖ノ型!輝輝恩光!」

 

木刀を両手で握り体ごと渦巻くように回転しながら跳躍。或いは前方に突進する。

 

「拾ノ型!火車!」

 

木刀を両手で握り跳躍し身体ごと垂直方向に回転して背後から斬りつける。

 

「拾壱ノ型!幻日虹!」

 

高速の捻りと回転による回避技。残像による撹乱効果あり。

 

「拾弐ノ型!炎舞!」

 

木刀を両手で握り振り下ろし後に素早く振り上げる高速ニ連撃。

 

日の呼吸…壱から拾弐までの型を見事に繰り出したフォルテ。

 

「ふぅ〜どうだ縁壱。」

 

「ああ。見事に全ての型を繰り出せていた。流石はフォルテ殿だ。一月で私の呼吸を修得するとは。」

 

「まぁ俺はユニークスキルの能力で修得しているからな。」

 

能力吸収(ゲットアビリティプログラム)で手合わせした縁壱の戦闘経験と技術をそのまま吸収したので、本来ならもっと修練が必要のはずだ。

 

「実際に、トリル達はまだ肆ノ型までしか使えないしな。」

 

「いやできることが凄いのだ。」

 

「そういえば、縁壱以外に日の呼吸を使える者はいなかったんだったな。」

 

それで基本となる五つの呼吸が編み出された。炭治郎も先祖の炭吉からヒノカミ神楽として繋いできたからこそ使えたのだ。

 

「後は壱から拾弐を繋いで繰り返し続けるのが拾参ノ型になるんだな。」

 

「そうだ。フォルテ殿ならそれもすぐにできるだろう。」

 

技を確認してもらえたので、一度休憩することにした。

おむすびを食べお茶を飲むフォルテと縁壱。

 

「この町の者達は凄いな。次々に呼吸を修得するのだがら。」

 

「それも自分に適性がある呼吸が分かったからだな。」

 

皆の修行が始まった頃。縁壱と一緒にカイジンと黒衛兵にある刀を頼んでおいた。日輪刀のように手にした者の適性のある呼吸の色が判別できる刀を。

 

カイジンと黒衛兵はその刀を完成させてくれた。だがらこそ、皆の呼吸の適性が分かった。

 

紅丸が赤の炎の呼吸で、蒼影、シャドーマン、蒼華達が白の霞の呼吸。ハクロウはなんと基本の五つの呼吸!猪八戒、ゲルドが灰色の岩の呼吸。ガビルとゴブタは青の水の呼吸。

カーネルとD(ダーク)ブルースが黄と緑の雷と風の呼吸の二呼吸。

トリルとD(ダーク)ロックマンは黒で日の呼吸だが、基本の五つの呼吸にも適性があった。

シズさんは黒と赤で日と炎の呼吸に適性があった。

そしてフォルテの適性が黒紫で日と月の呼吸だった。

 

「まさか呼吸の適性が複数の者達が現れたのには驚いた。」

 

「まぁこの世界なら不思議じゃないさ。」

 

「それにシズがフォルテ殿より先に日の呼吸を全て繰り出せるようになったことにも驚かされた。」

 

「シズさんはこの世界でずっと戦ってきたからな。俺達よりも戦闘経験が遥かに多い。だがらこそ俺なんかより早くに日の呼吸を修得したんだ。」

 

「なるほど。…言われて見れば当然だったな。その後は炎の呼吸も修得し、今はハクロウ殿と一緒に指導する側となってくれた。」

 

縁壱がシズさん達の方に顔を向ければ、見えるのは死に掛けのような姿で倒れるゴブタ達だった。

 

「どうしたゴブタ君?そんなことでは全集中の呼吸は修得できない!」

 

「ほほほ。煉獄殿の鍛練は実に素晴らしいのう。」

 

「いや、ハクロウ殿の鍛錬も素晴らしい!ゴブタ君達の動きを見ればそれが良く分かります。」

 

「じゃがまだまだ鍛えが足りないようですじゃ。これより更に修行を厳しいものへと考えておったが、煉獄殿に出会えたのは良かった。鍛錬の仕方など色々と相談する相手ができましたからのう。」

 

「俺もハクロウ殿に出会えたことが喜ばしい。これからの鍛錬などの相手をお願いしたい。」

 

互いの剣技、実力を認め合い意気投合したハクロウと杏寿郎。

そんな中で、笑顔でゴブタ達に声を掛けるシズさん。

 

「みんな頑張って!後は素振り千回だよ。」

 

(((……無理!)))

 

ゴブタ達は心の中で叫んだ。

因みにケンドーマンとヤマトマンはいつも通りゴブタ達の特訓相手もしてもらってはいるが、キラーマンとエレメントマンの特訓相手を主にしてもらっている。

 

そんなキラーマンにも皆の訓練の相手をしてもらったり、妓夫太郎と共に盗賊、野盗、荒くれ者達の相手してもらっている。……盗賊達で積み上げた山の上で鎌と大鎌を持つ二人の姿は死神に見えた。

 

エレメントマンには魔国連邦(テンペスト)上空の気象状況を調べてもらい毎日の天気を予測してもらっている。

 

「…ゴブタ達は本当に大丈夫なのか?」

 

「いつものことだがら大丈夫だ。もし本当に駄目だと思ったらゴブタは逃げる。だがああやって頑張っているなら大丈夫だ。」

 

「そうか。」

 

「ゴブタ達には、早く全集中の呼吸を覚えてもらわないとな。カーネル達の訓練相手もしてもらいたいからな。」

 

カーネルとD(ダーク)ブルースは何度も模擬戦をして呼吸の技の精度を上げている。その中で、D(ダーク)ブルースは新たな形態として漫画版ブルースの村正形態(ムラマサスタイル)をユニークスキルとして取得した。この形態だと剣…刀系統の武器や技の威力が強化され呼吸による剣技もより扱えるそうだ。

 

「後驚いたことは……妓夫太郎が使えたことか。」

 

「そうだな。」

 

試しにと妓夫太郎にも刀を持たせたら、なんと緑色となり風の呼吸の適性があることが分かった。

 

「元鬼でもこの世界では血鬼人。適性があってもおかしくないんだろう。」

 

妓夫太郎は縁壱とハクロウの指導を受け風の呼吸を見事に修得。

刀の代わりに鎌から繰り出す様はまるで鎌鼬にも見えた。

 

「…妓夫太郎や鬼の話をしていると、縁壱と杏寿郎のユニークスキルはまさに鬼殺しのスキルだったな。」

 

「ああ。鬼殺隊として戦っていた私達だがらこそだろうな。」

 

縁壱と杏寿郎が得たユニークスキルそれは悪鬼滅殺。

 

文字通り悪行を起こった者達…特に鬼を滅殺するスキルだ。二人が妓夫太郎と梅を認められたのも俺の話だけでなく、悪鬼滅殺で悪意などを感知しなかったからだ。憎珀天の場合元々憎しみの塊に近い存在だったからか僅かな悪の気配を感知したそうだ。

このスキルを保持者が悪意ある敵を攻撃した場合は回復を阻害でき、首を斬れば対象を消滅させられるそうだ。……実に恐ろしい。

因みに、強力なスキルであるのは間違いないので能力吸収(ゲットアビリティプログラム)で手に入れた。

 

「さてと。そろそろ再開するとするか。」

 

「そうだな。」

 

立ち上がり木刀を手に取り互いに構える。

 

「今度は手合わせを頼む。」

 

「分かった。」

 

そして仕掛けるフォルテの木刀と縁壱の木刀がぶつかり合うのだった。

 

 

 

……それから一週間が過ぎ遂に念願の情報を手に入れた。

 

「ウルグレイシア共和国のウルグ自然公園。…この場所に精霊の棲家がある。」

 

この情報をくれたのはなんとスナック樹羅でいつの間にか働いていたドワーフの国で出会ったエルフの占いお姉さんだった。

 

彼女は旅人でこの町の噂を聞いてやってきたそうだ。

 

「まさかこんな再会をするとは思わなかった。」

 

「ふふ。驚いた?トレイニーさんが森の管理者の仕事でいない間臨時で働くことになったの。」

 

「だがら最近トレイニーさんを見かけないのか。」

 

「それにしても、こんな町を作るなんてやっぱり凄いねフォルテ君。」

 

「リムルや皆の頑張りがあってこそだ。……そうだ!お姉さん一つまた占って欲しいことがあるんだがいいか。」

 

「あら何かしら?」

 

「精霊の棲家って場所を探しているんだ。」

 

「え?精霊の棲家…ってあそこかなぁ?」

 

「知っているのか⁉︎」

 

「うん…入り口が移動してなければ多分。」

 

「ありがたい。いくら探しても情報が中々集まらないから困っていたんだ。」

 

「フォルテ君が知らなかったのは仕方ないわよ。ウルグレイシアはサリオン以外と国交を結んでいないからよその国で調べてもよくわからないと思う。」

 

「ウルグレイシアにあるのか?精霊の棲家は。」

 

「そ。精霊信仰の盛んな国でね。私の占いも精霊魔法の応用なのよ。国民は皆十歳で精霊と契約する決まりなの。」

 

「なるほど。」

 

これで子供達を救う為の場所がようやく判明する。

 

「……あのねフォルテ君。どんな事情があるのか私にはわからないけど、フォルテ君にとってきっととても大切なことなんだって声色でわかる。…でもね、精霊の棲家へ向かって帰ってきた者はいないの。」

 

真剣な表情で俺にそう言う占いエルフさん。

 

「どうしても行くなら見せてあげるでも……必ず帰ってきてね。」

 

そうして占いエルフさんが水晶に映し出してくれたのは巨大な大樹の中にある扉だった。

 

 

こうして情報を得た俺はカーネル達に説明してから一人でウルグレイシアに飛んで向かった。

 

ミリム程速くは飛べないがやはり何の障害物ない空を飛んでいくのはあっという間だった。

 

ウルグレイシアの森へと着いた俺は上空から入り口らしい場所を探し遂に発見した。

 

「あそこか。」

 

ゆっくりと降り立ち見上げると水晶に映し出された扉があった。

 

「此処が精霊の棲家…その入り口か。」

 

「フォルテ⁉︎」

 

背後から俺の名を呼ぶ声がし振り返るとリムルがいた。

 

「リムル!リムルもこの場所の情報を得たんだな。」

 

「此処にいるならフォルテもだな。」

 

「ああ。町にあの占いエルフさんが来て教えてくれたんだ。」

 

「えっ⁉︎あのエルフさんが!」

 

「リムルはどうやってこの場所を知ったんだ。」

 

「ああ。俺はな、イングラシアに現れた天空竜(スカイドラゴン)を倒した時に知り合ったミョルマイルのおかげだ。」

 

「ミョルマイル?…それは町でポーションを買った商人の名だよな。」 

 

「その通り。」

 

話を聞くに、ミョルマイルを結果として助けたリムルに恩を返す為に自分が経営する高級店に食事に招待したそうだ。リムルは子供達と共にそのお誘いを受けて皆で食事を食べたそうだ。その中で、互いに良い取引相手となった。

その帰りの際にお店の女性かなんと精霊の棲家の近くに住む村の出身者だったそうだ。

 

「それでリムルも確認しに来たのか。」

 

「ああ。」

 

俺達はそれぞれ拠点移動(ワープポータル)の魔法陣を設置した。

 

「なら明日此処に集合でいいな。」

 

「ああ。シズさんも子供達と早く合わせたいからな。」

 

こうして俺達はそれぞれに町に帰った。

 

「本当に見つけたのフォルテ君!」

 

話を聞いたシズさんは思わず前のめりになって俺に問う。

 

「シズさん落ち着いてくれ。」

 

「あっ!ごめんなさいつい…。」

 

「気持ちは良く分かるからいい。それで明日リムルが子供達を連れて来る。シズさんも子供達と久々に会った方がいい。」

 

「フォルテ君…うんありがとう。」

 

翌日。俺達は準備を済ませた後、今日丁度出掛ける者達がいるので見送ることにした。

 

「では餓鬼討伐に向かう。」

 

「行ってくる!」

 

「縁壱。杏寿郎。気をつけて行けよ。」

 

そう。鬼の目撃とそれらしい被害の情報を得たので縁壱達が向かうのだ。

縁壱達から得た情報で鬼達はこの世界で餓鬼と言う種族となっていることが最近判明した。

 

電脳之神(デューオ)の解析によると餓鬼はその名の通り飢えに支配され血肉を常に求める鬼だそうだ。特に人肉を求め食えば力を増大する。

固有スキルに自己再生があり、更に魔素が増大し続けると異形鬼へと進化する者が現れる。

 

そのことを縁壱達に説明し、縁壱達も餓鬼と呼ぶようにしたのだ。

 

「餓鬼以外にも異業鬼がいるかもしれない。気を付けろ。」

 

「ああ。」

 

「もちろん!では!」

 

そう言って縁壱と杏寿郎は駆け出して行った。あの二人なら大丈夫か。

 

縁壱達を見送り、俺達も転移し精霊の棲家へと向かった。

 

無事に転移したフォルテ達の前に巨大な扉が待っていた。

 

「ここが精霊の棲家の入り口なんだね。」

 

「ああ。」

 

フォルテとシズさんが扉を見上げていると、リムルの方の魔法陣が光り出しリムルと子供達が転移して来た。

 

「フォルテ。先に来ていたか。」

 

「来たなリムル。その子達がシズさんの教え子達か。」

 

リムルと共にいる男子三人と女子二人の五人の子供達。そんな子供達の目に入ったのはやはりシズさんだった。黒髪の少女が声を出す。

 

「…シズ先生?」

 

「うん。皆久しぶりだね。」

 

シズさんが笑顔で答える。その声を聞いた子供達は涙目になりながら一斉にシズさんへと走り出す。

 

「「「「「シズ先生!」」」」」

 

シズさんへと抱き付く女の子二人を、シズさんは優しく抱き止める。

 

「もう!今までどこいってたのよ!」

 

「良かったシズ先生にまた会えた…良かった。」

 

「皆…ごめんね。」

 

子供達とシズさんの再会。その様子をフォルテとリムルは笑みを浮かべて見守っていた。

 

シズさんと再会を喜ぶ子供達が落ち着いた頃、男子の一人がフォルテの存在に気が付いた。

 

「シズ先生。先生と一緒にいる此奴は誰だよ?」

 

「この人はフォルテ君って言って私を助けてくれた恩人だよ。」

 

シズさんの言葉に子供達は、目を見開いてフォルテを見た。

 

「そうだぞ。それにフォルテは俺より強いからな。」

 

「ええ⁉︎リムル先生よりも!」

 

「俺達と変わらない子供だろ!」

 

……まぁフォルテの姿だとそう思われるのも仕方ない。

 

シズさんと再会した子供達。

 

オレンジの髪の男子 ケンヤ・ミサキ 10歳

 

黒髪の落ち着いた男子 リョウタ・セキグチ 10歳

 

子供達の中で一番歳上の男子 ゲイル・ギブスン 11歳

 

金髪の女の子 アリス・ロンド 9歳

 

そして黒髪の長髪の女の子 クロエ・オベール 10歳

 

まだ小学3から5年生の子供達……シズさんが助けたい気持ちが会ってより理解できる。この子達を必ず救わなければ。

 

クロエを見た瞬間、一瞬だけチップ化した逆風竜と電脳竜が何か反応したような気がするが……気のせいだろう。

 

そして、いよいよ精霊の棲家に入る時がきた。

見上げるほどにでかい扉の前に立つ俺達。

 

「さぁ、この奥に精霊の棲家があるはずだ。」

 

「覚悟は出来ているか?入ったら最後、2度と戻ってこられないかもしれない。」

 

「「「「「ああ……。」」」」」

 

リムルの言葉に不安になる子供達。そんな子供達にシズさんが笑顔を見せ安心させる。

 

シズさんの笑顔を見た子供達は頷き合い口を開く。

 

「もっ…勿論だぜ!」

 

「はい!」

 

「大丈夫です。」

 

「こっ…怖くなんてないんだからね!」

 

「はあ…。」

 

クロエはまだ不安があったのか、リムルの腕を掴む。

 

「え?」

 

リムルに触れて落ち着いたクロエが頷く。

 

「うん。フォルテ、シズさん、ランガ。何かあったら頼む。」

 

「任せろ。」

 

「皆は守るよ。」

 

「主の生徒は我の生徒も同じ!この命に懸けて必ず守り抜いてみせます。」

 

俺達の言葉にリムルが頷く。それに俺の相棒もいるのだからな。

 

「ゴスペル!」

 

フォルテの呼び掛けに答えて、影からゴスペルが姿を現す。

 

突然のゴスペルの登場に子供達は驚く。

 

「わぁ!」

 

「黒い狼⁉︎」

 

「でも普通の狼じゃないよね。」

 

「あんな狼こっ怖くなんかないんだからね。」

 

「…大っきい。」

 

「ゴスペル。お前も子供達を守ってくれ。」

 

「畏まりましたフォルテ様。」

 

「親父殿!」

 

「ランガよ共に子供達を守るぞ!」

 

「えっ?親子⁉︎」

 

「全然似てねぇ!」

 

「ははは。…さてと、じゃあ行くぞ。」

 

リムルが扉に触れると、勝手に扉が開いた。まるで俺達を誘い込むように。

 

 

 

……中に入ったフォルテ達は先の見えない一本道を歩き続けていた。

 

「……ずっと一本道だな。」

 

「何よ……迷宮って言っても大したことないわね。」

 

「でっ…でも何か変な感じ…。」

 

「ん……。」

 

「絶対に逸れるなよ。」

 

「「「「「はっ…はい。」」」」」

 

リムルが子供達にそう呼び掛ける。無理もない。一見ただの一本道に見えるが、あちこちに方向感覚を狂わせる罠が仕掛けられているのだから。

 

人間の感覚だけでは進むことも戻ることも叶わない。…占いエルフさんが言っていた意味が分かった。俺は電脳之神(デューオ)によって脳内に広大なマップを作成しているので大丈夫だがな。

 

迷宮を進み続けていると、どこからか声が聞こえてくる。

 

…フフフフ。

 

突然聞こえてくる無数の笑い声にフォルテとゴスペルとシズさんが子供達を守るように前に出て構える。

 

「何だ⁉︎この声どっから…。」

 

「頭に直接響いているみたいだ。」

 

「強力な念話…。」

 

「いや。テレパシーのようだな。」

 

「皆気をつけて。」

 

俺達は周囲を警戒していると、笑い声の主らしき者が話しかけてきた。

 

「つまらぬぞ。客人よもっと怖がれ。もっと怯えよ。」

 

突然の事態にアリスとクロエが怯える。

 

「良いね良いね。もっと怖がってくれないと。」

 

上機嫌で話す声にリムルとフォルテが尋ねる。

 

「なぁ此処に住んでる精霊さんかな?」

 

「俺達は上位精霊にようがある。邪魔しないで案内してくれないか。」

 

俺とリムルの言葉に声の主は更に笑い声を上げる。

 

「アハハハハ!面白いこと言うね。良いよ良いよ!教えてあげる。」

 

「おっ?案外あっさり。」

 

「意外だな。」

 

「で・も・ね。その前に……。」

 

「やはり何か条件があるのか…。」

 

「あっ!先生、フォルテさんあれ……。」

 

クロエが前に指差すと前方から光が出てきて周囲を照らす!俺達が目を保護していると光が収まり、光の一本道が出現した。

 

「どうやらお誘いのようだな。」

 

「そうだな。シズさん子供達を頼む。」

 

「うん。皆、私達から離れないでね。」

 

俺達は出現した光の道を歩いて行く。……しばらく歩き続けていると、途中で道が途切れていた。

 

「ん?行き止まりだぞ。」

 

「次はどうするんだ?」

 

「慌てない慌てない。迷宮創造(ちいさなせかい)。」

 

声の主が何かのスキルを使ったようだ。周囲が光に照らされると、ドーム状の広い部屋へと変化した。

 

突然の変化に子供達は周囲を見渡す。

 

「フフフフフ……どう?凄いでしょ?」

 

「すっげ〜。」

 

ケンヤが感嘆の声を上げていると、フォルテが目の前の存在に気付く。

 

「リムル前を見ろ。」

 

「ん?」

 

フォルテに言われ前を見たリムル。そこには頭を下げて跪くロボットのような存在…魔人形(ゴーレム)が二体いた。

 

「さあ。試練の開始だよ。」

 

その声に従うように魔人形(ゴーレム)が起動。こちらに向ける単眼(モノアイ)が不気味な赤い光を放っている。

 

「おい。試練ってこいつを倒せば良いのか?」

 

「ピンポ〜ン!その通り。」

 

成る程。実に分かりやすい試練だ。

 

「我が行きましょうか?」

 

「我も出ますが…?」

 

ランガとゴスペルがそう言って前に出る。

 

「いや。お前達はこいつらを守っててくれ。俺に何かあったらこいつらを連れて逃げろ。シズさんも頼む。」

 

「任せてリムルさん。」

 

シズさんが答えてくれる。ランガとゴスペルが巨大し、子供達はランガ達の足元に移動。

 

「先生…。」

 

「大丈夫だ。先生は強いんだから。」

 

「それじゃあ行くかフォルテ。」

 

「ああ。」

 

リムルとフォルテがそれぞれ魔人形(ゴーレム)の前に立つ。

 

「おやおや〜?おやややや〜?二人でやるの?自信過剰は危ないよ」

 

声の主が煽るように言ってくる。

 

(よほどあの魔人形(ゴーレム)に自信があるようだな。解析してみるか。)

 

フォルテは魔人形(ゴーレム)を見据えながら解析する。

 

………成る程。全身が魔鋼で作られた魔人形(ゴーレム)とはな。

魔素エネルギー量も凄まじいな。……こいつはいい魔人形(ゴーレム)だな。

 

フォルテがそんなことを考えているなか、魔人形(ゴーレム)達が仕掛けて来る。

 

「わっ!」

 

「ふっ。」

 

リムルとフォルテは魔人形(ゴーレム)の繰り出した拳を躱したが、躱した拳が地面を砕いた。

 

「おいおい!殺しにかかってるじゃねぇか!どこが試練だよ!」

 

「中々の威力だな。」

 

「その通り。油断してると死んじゃうよ。勝ってるっかな?勝ってるっかな?」

 

明らかに人を馬鹿にしたような言い方だな。

 

二発目の拳を躱しながら対処法を考える。……まぁ俺の力なら破壊できるが、こんな出来の良い魔人形(ゴーレム)を壊すのは勿体無い。

 

俺は破壊せずに魔人形(ゴーレム)を倒すことを決めた時、リムルが精霊らしき声に話しかけた。

 

「おい。今のうちに謝るなら許してやる。だがそうしないならこいつを壊すけど良いんだな?」

 

リムルは壊す気満々のようだ。

 

「アハハハハ……!面白い!良いよ。良いともさ!やってごらんよ。」

 

「後悔するなよ。いくぞフォルテ!」

 

「ああ!」

 

リムルとフォルテが魔人形(ゴーレム)目掛けて駆け出す。

 

魔人形(ゴーレム)は再び拳を繰り出す。その攻撃をリムルは飛んで躱しながら指先から粘鋼糸を出して魔人形(ゴーレム)を絡め取った。

 

「操糸妖縛陣!」

 

リムルによって絡め取られた魔人形(ゴーレム)は動きを封じらた。

フォルテの方は片手で軽々と受け止めてみせ、そのまま掴んで動きを抑え込んだ。

 

「なっ⁉︎……あたしの精霊の守護像(エレメンタルコロッサス)達が!」

 

「お別れの挨拶を言っときな。」

 

そう言ってリムルは小さな黒炎を生み出す。そうこれは…ベニマルの必殺技だ。

 

黒炎獄(ヘルフレア)!」

 

放たれた黒炎がドーム状となって魔人形(ゴーレム)を焼き尽くしていく。

 

「凄い!」

 

「たっ大したことないけど……凄い。」

 

リムルの黒炎獄(ヘルフレア)にゲイルとアリスが思わず声に出してそう言った。

 

その一方でドーム内の魔人形(ゴーレム)が焼き尽くされ消滅した。

 

「ウ……嘘だ!そんな……たった一撃で?」

 

自慢の魔人形(ゴーレム)が消し炭にされたことに精霊はよほどショックだったようだ。

 

その一方でフォルテは掴んだ拳から自身の魔素を流し込みながら魔人形(ゴーレム)を解析し続けた。

 

(…成る程。地の精霊で重量を操作し、水の精霊で関節を動かして火の精霊で動力を発生させ風の精霊で熱を調整しているとは凄いな。)

 

解析した魔人形(ゴーレム)の性能に改めて感心した。

 

(この基本フレーム……ベスターから聞いた精霊工学……魔装兵じゃないのか?……そして精霊魔導核…此奴を解析すれば。)

 

《精霊魔導核の解析が完了した。この魔人形(ゴーレム)の主導権を掌握した。》

 

電脳之神(デューオ)により魔人形(ゴーレム)の主導権を得た。それにより、魔人形(ゴーレム)単眼(モノアイ)が赤から青色に変化した。

 

そして、拳を下げて俺に跪いた。

 

「え?……ちょアンタ!一体何をしたの⁉︎」

 

「この魔人形(ゴーレム)の主導権を頂いた。今からこいつは俺の魔人形(ゴーレム)となった。」

 

「そっそんな〜!」

 

こうして魔人形(ゴーレム)の試練は終わった。

 

「まさかその魔人形(ゴーレム)を奪うとは…悪だねぇ〜フォルテ。」

 

「ふっリムルほどではないさ。」

 

リムルとフォルテが話していると、二人の元に子供達が集まってきた。

 

「リムル先生とフォルテさんすっげ〜!」

 

「うん!うん!」

 

「リムル先生とフォルテさんってシズさんと同じくらい強いんだね!」

 

「あのくらい当然よ!」

 

「なんでアリスが威張ってるの?」

 

「リムルさん。フォルテ君。お疲れ様。」

 

「皆も怪我とかないようだな。」

 

「さてと……。」

 

「「「「「ん?」」」」」

 

魔人形(ゴーレム)みたいに焼き尽くされたくなければささっと出てこいよ。隠れている場所はお見通しなんだぜ。」

 

リムルはそういいながら振り返り、掌に黒炎を生み出す。

 

「それか御自慢の魔人形(ゴーレム)の拳をいれようか?」

 

フォルテがそう言えば、魔人形(ゴーレム)が再び立ち上がる。それにヤバイと感じた精霊がすぐに返事する。

 

「はい!はいはいはいはい……!」

 

リムルとフォルテの目線の先で空間が歪んで小さな黄色い光が現れ、高速で移動しながらリムルとフォルテの前で止まった。

 

「たった今!恥ずかしながら呼ばれてやって参りました!」

 

光の正体は……小さな可愛らしい妖精だった。

 

「………妖精?」

 

「可愛い。」

 

「お前は?」

 

「ジャジャ〜ン!我こそは偉大なるじゅっ………げっ!」

 

あっ舌噛んだ。

 

「噛んだ。」

 

「痛そう。」

 

「テレパシーばっかりで、久しぶりに喋ったんじゃない?」

 

「おい大丈夫か?」

 

「らいじょうぶ。らいじょうぶ。」

 

フォルテが声をかけると妖精は大丈夫だと言った。そして改めて名乗りを言う。

 

「我こそは偉大なる十大魔王が一人、迷宮妖精のラミリスである!」

 

「あっ?」

 

「魔王?」

 

「ラミリスだと!」

 

フォルテはその名を聞いて目を見開いた。その名はミリムが話してくれた最古の魔王の一人だったからだ。

 

「頭が高いぞ!跪くがい…うっぴょっ⁉︎」

 

リムルがいきなりラミリスにチョップをくらわした。

 

「なっ……何するのよさ⁉︎」

 

「チョップ?」

 

「じゃなくて!」

 

「大体何が魔王だ。吐くならもっとマシな嘘を言え。お前みたいなガキが魔王になれる訳ないだろう。」

 

……リムルはどうやら信じてないようだ。

 

「ガキ言うなよ!ほんま失礼な奴!私が魔王以外の何だって言うのさ!」

 

ラミリスはリムルの周囲を飛び回りながら怒声を上げる。

 

「……阿保な子?」

 

「誰が阿保な子や!」

 

「お馬鹿さん?」

 

「そうそうお馬鹿さんやで……って!丁寧に言えば良いってもんやないわい!」

 

何気にそんなことを言うゲイルだった。ラミリスは怒ったままずっと飛び回っていた。そんな中、フォルテがリムルに話しかける。

 

「リムル…お前はラミリスに対して態度が悪いぞ。」

 

「フォルテ?…だって魔王なんて言うんだぞ。ミリムと比べようが無いほど弱そうだぞ。」

 

「……そのミリムと同じ最古の魔王がラミリスなんだが。」

 

「……えっ?」

 

「……お前話を聞いてなかったのか。」

 

暴風大妖渦(カリュブディス)戦後。しばらく俺達の特訓に付き合ってくれたミリムが昼食時に少しずつ話してくれた魔王達について。その中でラミリスについても軽くだが話してくれた。

 

「特徴も一致する。だからこの妖精は間違いなく魔王だ。」

 

フォルテの言葉を聞いたラミリスは満面の笑顔を見せながらフォルテの肩に止まった。

 

「そうよそうよ!私は本当に魔王何だからね!」

 

「あっ…はい。」

 

リムルはまだ信じきれていないようだ。

 

「ところでさ。アンタ達はなんでミリムの事を知ってるのよ?」

 

「つい最近友達になった。」

 

「俺の訓練相手にもなってくれた。」

 

「ふ〜ん。」

 

俺達の言葉を聞いたラミリス。次の瞬間ある事を思い出し俺達に聞いてくる。

 

「…ちょっと待って。あんた達もしかして、ジュラの大森林で新しく盟主になったっていうスライムと電脳魔人(サイバーノイド)なんじゃ?」

 

「そうだけど。」

 

「その通りだ。」

 

「ああっ……やっぱり!」

 

「先生?」

 

「スライムって?」

 

「ん?…ああ。」

 

そう言えば子供達はまだリムルの正体を知らないんだったな。それで、丁度良いからとリムルは本来のスライムの姿となってクロエの手に収まった。

 

「せっ先生が…!」

 

「スライム⁉︎」

 

「てわけだ。」

 

「可愛い…。」

 

リムルの正体を知った子供達は驚くも愛くるしい姿にアリスとクロエは笑みを浮かべる。

子供達に正体を見せた後、すぐに人間態に戻った。

 

「驚かして悪かったな。」

 

「スッゲー!」

 

「スライムなのに強い。」

 

「たっ大したこと無いんだからね!」

 

「なんでもあり!先生流石です!」

 

「まぁ詳しい話はまた今度な。」

 

「ちょっと!アタシの事忘れてない⁉︎」

 

盛り上がっていたリムルと子供達の姿に忘れられたと思ったラミリスが声を上げる。

 

「悪い悪い。」

 

「俺達のことを知っているのはミリムから聞いたからか?」

 

「そうよ。ミリムの奴がちょ〜久々にやって来て、マブダチが出来たって自慢しやがったの!鼻で笑ってやったのに本当だったなんて!」

 

(やはりな。ミリムが来たならやはりこの妖精が迷宮妖精のラミリスなのは間違いない。…だがリムルはまだ疑っているような眼差しでラミリスを見ているな。…そんな目で見ているとラミリスに気づかれるぞ。)

 

「ちょっとアンタ!その疑いの眼差しは何?アタシが魔王だって信じなさいよね!」

 

(…ほら。)

 

こうして魔王ラミリスと俺達は出会った。ラミリスから話を聞く為に、休憩がてらお茶会を開いた。

 

子供達は他の妖精達と楽しく追いかけっこしながら駆け回り、そんな子供達をシズさんが笑みを浮かべながら見守っていた。

 

その間、ラミリスはフォルテが用意したチョコチップクッキーを食べていた。

 

「あむ。美味しい!うん!美味し〜い!」

 

よく食べるな。もう6枚目なんだが、あの身体の何処に入るんだ?食べた瞬間に魔素に還元されているのだろうか?

 

フォルテはそう思いながらお茶の準備をし、その間にラミリスが話し始める。

 

「殺すつもりも、怪我させるつもりもなかったのよさ。」

 

「本当かよ?」

 

「本当だって。ビビらせて、ちょっと楽しんだ後で颯爽と助けて尊敬される予定だったの。」

 

「なんだよそれ?」

 

「自作自演ってやつ?」

 

「まんまだな。紅茶が入ったぞ。」

 

「ありがとう。」

 

紅茶を飲むラミリス。

 

「はぁ〜これも美味しい。にしても、精霊の守護像(エレメンタルコロッサス)を壊したり取っちゃうなんて。拾ってきたオモチャ弄ってやっと完成させたのに!」

 

怒りながらまたクッキーを食べ始めるラミリス。

 

「仕方ないだろ。やらなきゃやられると思ったんだから。」

 

「奪った魔人形(ゴーレム)の主導権は戻して返す。あれほど高性能の魔人形(ゴーレム)を壊すのは惜しかったからな。」

 

フォルテの言葉にラミリスは笑みを浮かべた。

 

「アンタ分かってるじゃない!」

 

「確かに…この魔人形(ゴーレム)は凄い出来だよな。」

 

リムルもそれは理解しているので、フォルテが奪った魔人形(ゴーレム)を見ながらそう呟いた。

 

「でしょ!でしょ!なんたってこの精霊の守護像(エレメンタルコロッサス)は、地の精霊で重量を操作して、水の精霊で関節を動かし、火の精霊で動力を発生させ、風の精霊で熱を調整する元素の集大成!精霊工学の粋を集めて作ったんだから!」

 

「精霊工学?それって…。」

 

「ベスターがかつてドワルゴンでエルフ達と共同開発をしていた魔装兵だ。」

 

「ん……ピンポンピンポ〜ン!よく知ってるね。あの計画は、精霊魔導核って言う心臓部を作れなくって失敗したんだよ。そもそもね、通常の鋼材で作ったって精霊力に耐えられるはずないのにね。暴走して壊れちゃった外殻が捨ててあったから持って帰って復元したの!もしかして私って天才?凄くない?凄くな〜い?」

 

ドヤ顔でそう言うラミリスだった。

 

(あのベスター達が失敗した計画を自己流で完成させるとは…流石魔王の一人なだけはある。)

 

フォルテが感心していると、リムルがラミリスに話しかける。

 

「よし!凄いのは分かった。そんな凄いキミを見込んで頼みがある。」

 

「はぁ?…頼み?なんで私がアンタ達なんかの言うことを……。」

 

リムルは無言で掌の上に黒炎獄(ヘルフレア)を発動する。

 

「聞く聞く!聞いてあげても良い気がしてきたのでありま〜す‼︎」

 

ラミリスは必死に敬礼しながら話を聞くと声を上げる。

 

「素直なのは良い事だ。」

 

「なにやってんだ。」

 

リムルの脅迫にフォルテは思わずリムルの頭にチョップをくらわした。

 

「リムル…人を脅迫するんじゃない。済まないなラミリス。詫びにケーキを食べてくれ。」

 

「はぁ!アンタ本当にいい奴よね。」

 

ラミリスは嬉しそうにケーキを食べる。そんなラミリスに頭を摩りながらリムルは言う。

 

「もちろんタダでとは言わないさ。」

 

「あ?」

 

「協力してくれたら、俺とフォルテが新しい魔人形(ゴーレム)を用意しようじゃないか。」

 

「おいさりげに俺まで入れるな。……まぁ丁度同じことを考えていたからいいが。」

 

「………早く話しなさいよ。」

 

ラミリスは目を輝かせていた。

 

リムルとフォルテはラミリスに、子供達の事情を隠すこと無く全てを説明した。体内のエネルギーを制御する為に上位精霊を宿らせたいこと、その為に精霊の棲家に行きたいのだと。

 

「なるほどね。……皆苦労してるんだね。」

 

「だから、精霊女王に紹介して欲しいんだが出来るか。」

 

フォルテがそう言うとラミリスがとんでもない発言をした。

 

「んあ〜言ってなかったっけ?私だよ。」

 

「何が?」

 

「だから、精霊女王は私のことだよ。」

 

一瞬静寂が支配した。まさかラミリスが精霊女王だったとは。俺が内心驚いていると、リムルが声を上げる。

 

「おい冗談言ってる場合じゃ……!」

 

「ブブ〜!冗談じゃありません!本当のことです〜!」

 

「あのな…君。なんで魔王が精霊女王をやってるんだよ。」

 

「またブブ〜!逆で〜す!」

 

「「逆?」」

 

フォルテとリムルが首を傾げる。

 

「精霊女王が堕落して魔王になっちゃったんです。」

 

「自分で堕落したって言うか?」

 

「だって堕落しちゃったんだもん。堕ちるのって……簡単よね。ふっ。」

 

「…まぁそうだな。真っ当な奴ほど大切な何かを失ったら……自分を見失って堕ちるだろう。」

 

「なんかリアルなこと言うなよ!」

 

「あっそういえば、アイツも堕落したんだった。」

 

「彼奴?」

 

「誰だ?」

 

「レオンちゃん。」

 

ラミリスから出た名に俺達は目を見開いた。

 

「彼奴さ、なんか調べ事があったみたいでさ大昔の上位精霊呼び寄せてさ、契約結んだんだよね。びっくりだよね。で、仕方ないから精霊女王の私がレオンちゃんを勇者として認定して精霊の加護を授けたって訳。」

 

「ちょっとまて。なんで勇者に認定した奴が魔王になってんだ?」

 

「だから堕落したんじゃないの?もしかして私を真似たのかもよ?」

 

「魔王って堕落してなるものなのかよ。」

 

「まぁ私ならワンパンで倒せるけどね。余裕余裕。ワンパンワンパン!」

 

そう言いながらシャドーボクシングをするラミリス。

……今はどうか知らないが、昔は強かったのだろうな。なんせミリムと同じ最古の魔王の一人なのだから。

 

「……そういやレオンちゃん無茶な事も言ってたな。」

 

「ん?」

 

「無茶な事?」

 

「異世界から特定の人間を召喚してくれって。」

 

「そんなことできるのか?」

 

「無理に決まってるのにね!バッカじゃん!泣きそうな顔してたね。いや、あれはきっと泣いてた。そう……泣いてたと言っても過言ではない!泣き虫のくせに生意気なんだよ!バ〜カ!ワンパンだよワンパン‼︎」

 

そう言いながら再びシャドーボクシングをするラミリス。

 

魔王レオン……勇者であり魔王とか、俺達が考えているより厄介かもな。

フォルテはそう思いながら子供達と一緒に眠っているシズさんを見る。

 

……だが必ずシズさんを苦しめた罪は償ってもらう。

 

俺がそう決意している間にリムルがラミリスに改めて聞いていた。

 

「……で、精霊の棲家に案内してくれるのか。」

 

「ん……ああ……。」

 

すると、ラミリスは宙へと浮かびだし、さっきまでの子供のような態度から打って変わり、大人のような真面目な表情となって語り出した。

 

「……私はね、魔王であると同時に聖なる者の導き手。迷宮妖精でもあり、精霊女王でもあったの。レオンちゃんにそうしたように、勇者に精霊の加護を授ける役目もになっているんだよ。だから安心するがいいさ。公平だからね。私は。私が…私こそが世界のバランスを保つ者なのだよ。」

 

ラミリスから放たれる聖なる光に引き寄せられるように妖精達が集まり笑い声が辺りに響く。

 

……今のラミリスは正真正銘の精霊女王だとフォルテは改めて理解した。

 

「いいよ。召喚に協力してあげる。せいぜいすごい精霊を呼び出すといいさ。」

 

こうして俺達は精霊女王であり、迷宮妖精のラミリスの協力を得ることができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ラミリスの作った魔人形(ゴーレム)…精霊の守護像《エレメンタルコロッサス》は本当に良い出来でしたよね。その情報(データ)を手に入れたフォルテ。…いつか、何か新しい物を開発するかもしれません。
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