これからも投稿していけるように頑張っていきます。
黒死牟達が仲間となって更に一月が経過した。
フォルテは黒死牟の月の呼吸を修得して今試そうとしている。
「ホオオオオ!」
フォルテの呼吸音が響く中、刃を抜刀
「月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮!」
居合斬りによる一閃。異次元レベルの速度と月輪の斬撃によって、設置した
斬られた断面はまるで鏡のような綺麗な状態で切断されていた。
フォルテは
「ようやくものにできたか。……どうだ黒死牟。」
「……見事だ。」
指導していた黒死牟はフォルテが両断した断面を見ていた。
「角度と速度それに力。…全てが一体となった一撃だった。……流石フォルテ様。」
「黒死牟の指導のお陰だ。流石は何百年も己を鍛えた男だ。」
この一月で黒死牟は縁壱とより向き合い、互いに何度も手合わせをしている。
……鬼殺隊にいた頃より充実しているようだ。
猗窩座の方も道場で皆を鍛えてくれている。門下生として励むボブゴブリン達の中に……リグルドもいつの間にかいた。
どうやらフォビオの一撃からフォルテに助けられた事を気にしていたようで、
自分でも戦える力を身につけようと日々鍛錬に励んでいるそうだ。
そして恋雪は朱菜の元で絹織りなどを教わり、今では
今は妻として猗窩座を立派に支えてくれている。
因みに、三人とも名付けによって人間だった頃の姿に自在に変化できるようになっている。
それから更に数日が過ぎた頃。町に関する資料整理が終えた時だった。突然リムルの気配を感知した。
「リムル…急にどうしたんだ?」
俺は急ぎ
魔法陣からランガに背に乗ったスライム姿のリムルが転移して帰って来た。
「ん?」
「「「「お帰りなさい!リムル様!」」」」
リムルの姿を見た瞬間皆が声を上げる
「リムル様!」
「お帰りなさ〜い!」
「ようやく帰ってらしたんですね!」
「パパ!お帰りなさい!」
「今夜は宴会じゃあ〜!」
そして皆一斉にリムルを胴上げする。
わっしょい!わっしょい!わっしょい!
「わっ!おいおい!皆落ち着け!落ち着けって!えへへへ!あははは!」
胴上げされるリムルを空中でフォルテがキャッチ
「元気そうだなリムル。何か用事があるんだろ?」
「流石だなフォルテ。実は……。」
リムルの話によれば、自由学園ではこの時期に子供達の野外訓練を行っているそうだ。リムルが担当する子供達…Sクラスはいつもは免除されているのだが、Aクラスの担任であるジョフと呼ばれる教師の嫌味な言い方と挑発に乗ってしまいリムルのSクラスも参加することになったそうだ。
「それで子供達の装備を準備しに来たのか。」
「ああ。てな訳だ皆。」
フォルテに説明するので皆にも聞いてもらっていた。
「帰ってこられた訳ではないのですね……。」
「すぐに戻られてしまうとは……。」
「寂しいです……。」
リグルド、朱菜、紫苑…そして皆が落ち込む。
「そうガッカリするな。引き継ぎなどの準備ができればリムルも戻ってこれる。」
「フォルテの言う通り。後少しすれば帰ってこれるよ。」
「本当ですか⁉︎」
「もう少しでパパが帰ってきます!」
朱菜とシンシヤは元気を取り戻した。
「では朱菜。アイリス達と一緒に
「はい。お安い御用です。」
「ガルム〜?」
「ここだ旦那。」
「魔鋼製の
「おう!任せてくれ!」
「黒衛兵。カイジン。」
「なんか艶々してるな。よっぽど向こうが楽しいみてぇだ。」
「元気そうで何よりだべ。」
「子供達用の武器を頼む。」
こうして子供達の野外訓練の為の装備の準備が開始される。
「後、リムルに紹介したい者達がいる。」
「ん?」
リムルを抱えて彼らの元へと向かう。
「新しく仲間となった
「…初めまして。」
「よろしくお願いする。」
「それと、巌勝・黒死牟と狛治・猗窩座とその妻の恋雪だ。」
「……お初にお目に掛かるリムル様。」
「これからよろしく願う。」
「よろしくお願いします。」
リムルに頭を下げる皆……そして肝心のリムルはスライム姿で唖然としていた。
「……ええええ⁉︎」
リムルに彼らが仲間になった経緯を説明。
「……ゼロとゼロワンは分かるけど、あの黒死牟達までいたのが一番驚いたわ。」
「そうだろな。黒死牟には訓練所でのゴブタ達の模擬戦相手をしてもらい、猗窩座には町に作った道場で多くの門下生を鍛えてもらっている。」
「いいな道場。猗窩座と恋雪の二人には幸せなってもらいたいな。」
「ああ。」
「にしても、俺が帰ってくる度にフォルテに仲間が増えて驚かされるな。……もうこれ以上いないよな?」
「……いや。あと1人いる。」
フォルテがそう言うと、フォルテのエンブレムから青白い人魂が飛び出して人型へと姿を変える。
「シンシヤの中いた
「ネビュラグレイです。リムル様よろしくお願いします。」
礼儀良く頭を下げるネビュラグレイ。
「…そうか……フォルテも上位精霊を得たんだな……って!なんでネビュラグレイ⁉︎」
帰ってきてから驚き続けるリムルだった。
そうしているうちに、子供達の武器が準備できた。
「こんな感じでどうだべか?」
「うん!良いねぇ!これなら十分だ。アイツらも喜ぶだろう。流石だな黒衛兵!カイジン!」
リムルが言う通り流石だ。ケンヤ用の剣に、ゲイル用の槍と盾。リョウタ用の弓と矢に、アリス用の忍者の武器である苦無。そして、クロエ用にシズさんと同じレイピア。どれも見事な出来である。
「本来なら、所有者に合わせて調整するもんだがな。そうじゃなきゃ、バランスが取れねぇだろ?」
「んだ。マジックウェポンなら魔法で調整されるだが、ここにあるのはそこまで期待できないだよ。」
「大丈夫だろう。まだ子供なんだ。これからの成長に合わせる必要もある。今は練習用として使う方がいいだろ。そうだろリムル。」
「フォルテの言う通りだ。さてと、あとは……。」
「まだ必要な物があるのか?」
「ああ。旅用の馬車をどうしようかと思ってね。子供五人に大人1人が寝泊まりできるようなのがあれば良いんだが……。」
「あるぜ。」
「あるのかよ⁉︎」
まさかあるとは思わなかったリムルは思わず声を上げた。
「旦那が前に言ってただろ?豪華な馬車で確か……キャンピングカーって言うんだっけか?」
「実はフォルテ様にも相談して、試しに作ってみたんだべ。」
「3台あるから好きの選んでみてくれ。」
「マジか!黒衛兵、カイジン、フォルテ!グッジョブ!」
リムルはそう言ってスライム姿のままサムズアップ。俺達も答えるようにサムズアップした。
こうしてリムルは必要なものを全て準備できたのでイングラシアに戻る準備をしていた。
「これで良しと。」
「確認は出来たか。」
「おう!バッチリだ。」
「そういえば、野外訓練はどんな風な訓練なんだ?」
「それは……。」
リムルの説明によれば野外訓練の内容は二つあり、最初は護衛訓練。学園から南にあるグラトルの町まで5日から7日かけて各チームが教師を守って旅をするそうだ。教師は採点役も兼ねており、道中での対応力を評価する。訓練中には教師が手助けするのは禁止。
もう一つが、グラトルの町の郊外に作られた洞窟での探索訓練。
洞窟の奥にある攻略書を持ち帰ればクリア。
洞窟内での魔物への対処やかかった時間などと総合的に評価される。
………優勝したチームの担任にはボーナスとして金貨10枚が貰えるそうだ。
「……リムル。まさか金目当てでは無いよな?」
「あっ当たり前だ!」
今一瞬反応したな……まぁしょうがない奴だ。
そして、リムルを見送る為に皆が再び集まる。
「リムル様。お気をつけて。」
「早く帰って来てくださいね。」
「パパ!私待ってます!」
「宴会の準備はお任せください!」
「皆ありがとう。じゃあ行ってきまーす!」
「アオーン!」
ランガが遠吠えをすると同時に転移するリムル。
「リムル様ー!」
リグルドが声を上げた後…リムルは帰って行った。
「野外訓練か……よし。」
その夜。フォルテはシズさんと話をしていた。
「…と言う訳だ。折角だし子供達の成長を密かに見守るのはどうだろう。」
「そうだね。リムルさんの元で皆がどう学んで成長したか私も気に入っていたから。」
「なら明日行ってみよう。」
「うん。」
フォルテは皆に思念伝達で説明し、明日にシズさんと子供達を見守る為にイングラシアへと向かうことに。
翌日。
準備を終えたシズさんとフォルテ。……フォルテの姿はゴスペル首領になっていた。
「フォルテ君その姿って。」
「一応は人の町に行くからな。他の人達に見られてもいいように、この仮の姿を試すのにも今回はうってつけだからな。」
スペルに
このスーツは誰でも纏える使用でスーツに記録されている姿に擬装できる。
「じゃあ行くかシズさん。」
「うん。」
フォルテは空間移動でイングラシアまで飛んだ。
イグラシアを一望出来る丘の上に降り立ったフォルテとシズさん。
「さてと…入り口から出て来ている馬車……あれが野外訓練に出ている生徒達か。」
「そうだね。」
「なら…Sクラスの皆はすぐ見つけられるな。」
なんたってうち特製のキャンピングカーだから。
続々と出かけていく馬車の中にキャンピングカーが出て来た。……ゴリラのような精霊が引っ張って。
「あれは精霊…
「うん。きっとそうだよ。」
俺とシズさんは
………見守り続けて3日経過。
子供達は最短距離であるルートを進み見事な動きと連携で危なげなく魔物を次々と倒して行った。
「見事だな。上位精霊のお陰で魔素も制御され無駄なく力を発揮出来ている。」
「皆…本当に良かった。」
子供達の成長を確認できてシズさんも喜んでいる。
その夜。子供達がキャンピングカーで寝ている中、焚き火の前で何やらメモする金髪の女性の姿が。
「あれは護衛対処役の教師か。」
「…ティス先生。」
「シズさん知り合いなのか?」
「うん。学院で色々とお世話になったの。」
森の中から気配を消して見守る中、ティス先生の声が聞こえてくる。
「本当に優秀な子達。精霊を使役し、魔物を簡単に倒してしまう。…ちょっと危なかっしいところはあるけど、…歴代最高の得点を記録しそう。」
そういいながら夜空を見上げるティス先生。
「あなたの生徒達。とても素晴らしい子達です。私もいつか…あなたのような先生に…。」
それはリムルに対してか、それともシズさんに対してなのかそれを知るのは言った本人のみ。
その翌日の昼頃。Sクラスの皆はグラトルの町にたどり着いた。
「これで第一の訓練はクリアだな。」
「良かった。」
「……折角だから例の洞窟を見に行くか。」
「私が案内するね。」
シズさんの案内で洞窟のまで来たフォルテ。
「……この洞窟から魔物の気配がしない。やはり訓練用だな。」
「そうだよフォルテ君。ティス先生から教えてもらった話だとね。教師達が召喚した下級の魔物を相手するんだって。」
「なるほど。……だが何か妙な気配を感じるな。」
魔物とは違う…何か得たいの知れない気配が。フォルテが洞窟を見ていると、キャンピングカーがこちらに向かって来た。
「皆?」
「多分洞窟の下見だな。……ちょっと一緒について行くか。」
フォルテ達は再び
「ゲスダーさーん!いらっしゃいますかー!」
「おーい!ゲスダーさーん!どこだー!」
どうやら誰かを探しているようだ。
そのまま密かに話を聞いてみると、グラトル伯爵の妻であるウラムスさんが学院に支援してくれているそうだが、前にリムルから聞いたジェフ先生の妹さんらしい。
ティス先生と子供達が奥の広間につくと、食事や酒が置かれたテーブルがあった。……おかしい。何故こんな場所に。すると奥から妙な男が現れた。
それに続くように更に4人の男達が出て来る。
「おいおい。聞いてた話より随分と早いじゃねぇか。さぁて、どうしたもんかね?」
そう言って肉を喰らう男。……こいつら間違いなく盗賊だな。
「あなた達は誰?此処で何をしているのかしら。」
「ブッ!ふっはははは!何をしているのかしらだってよ!ねぇ?頭。」
「ぎゃっははは!頭はこの中で俺だけだぜ!」
ぎゃっははは!あははは!
頭につられるように他の盗賊達も笑い出す。
「来たのはこいつらだけか?」
「どうやらそのようですぜ。」
「このまま殺したほうが良くないですか頭?」
「そいつは不味いな。此処で騒ぎを起こせば計画が台無しになっちまう。あの男はどうした?」
「さぁ?奥にいたと思いますが?」
「話が違うって文句言って此奴らをどうするか聞いてこい!」
「へい!」
頭の指示に従い魔法使いらしい男は奥へ誰かを呼び行った。
その様子を密かに見守っているフォルテとシズさん。
「なるほど。あの盗賊共は学園の生徒達を攫って身代金を要求するつもりだな。」
「皆…。」
シズさんは少し心配になる。
「シズさん。ここはあの子達に任せよう。リムルに鍛えられ、精霊を宿したあの子達なら大丈夫だ。」
フォルテがそうシズさんに言っている間に、ケンヤ達はティス先生を守るように前に出て武器を構える!
「お前達。盗賊か何かか?」
「えっ!ええ⁉︎」
「先生は下がってな。」
「ちょっと貴方達⁉︎これは訓練じゃないのよ!」
「まぁまぁ。護衛対象は大人しく守られなって!俺達が此奴らをぶちのめすから!」
「ぶちのめす?生意気な餓鬼共だな。」
頭の言葉の後、盗賊達も武器を手に取る。
「先生。ここは僕たちに任せてください。」
「加点してくれると嬉しいです。」
「ええ…。」
「皆。頑張ろう!」
「
ゲイルの指示に従い肩の上の小鳥サイズだった
「精霊使いか⁉︎餓鬼だと思ってなめてかかると痛い目を見るぞ!端から殺す気でやれ!」
武器を構える盗賊達。
「かかれぇ!」
頭の声を合図に一斉に襲い掛かる。
「
ゲイルの叫びに応えた
リョウタは弓で通常の矢と風属性の矢を連射。それを左頭部に何故かネジが刺さっている盗賊が身軽な動きで躱す。
「当たるかよ!なっ⁉︎」
だが、アリスが操る苦無が縦横無尽に宙を舞いながら襲い掛かる。
リムルから聞いた
やがて苦無が男の足に刺さり怯んだ隙に残りが服を壁へと突き刺し動きを封じた。
アリスは残りの苦無を手の上で操りながら盗賊に言う。
「まだ踊り足りない…〝かしら〟?」
「へっへへ。もう良い……かしら?」
「じゃあ止めですね。」
そう言って弓を構え狙いを定めるリョウタ。それに気付いて慌てる盗賊
そのまま通常の矢と共に風の矢が放たれ男の頭部のネジへと当て、その勢いでネジを高速回転させて頭を締めて気絶させた。
クロエが相手をしている鎧の男は斧を振るい、更にもう1人がメイスを振り回して襲い掛かるが、クロエには当たらない。その大振りを躱し土煙を利用したクロエは自分の前方の地面を液状化させて2人の動きを封じた。
泥濘で動けない2人に
「「ぎゃあああ!」」
叩き潰されたかに見えたが、拳は開いていたので潰してはいないが、盗賊2人は泡を吹いて気絶していた。
「良し!いいぞ
盗賊達を次々と倒していく子供達の姿に、ティス先生は口を開いて唖然としていた。
残る盗賊の頭はケンヤの剣技に押されていた。
「この餓鬼!」
力任せに振り下ろした斬撃でケンヤを後ろへと飛ばし肩に傷を負わせた。
「おっ。へぇー思ってたより強いじゃん。」
「ケンちゃん油断しないで!」
「任せろって!」
「舐めるなよ餓鬼が!伊達に盗賊の頭やってる訳じゃないんだぜ!」
盗賊の頭は強烈な一撃でケンヤの剣を弾き、ガラ空きとなった腹に斬撃を入れる
腹に傷を負ったケンヤ
「ああ!」
「
だがクロエがすかさず回復魔法で傷を癒した。
「なぁ⁉︎」
「サンキュークロッち!」
「かっ回復魔法だと⁉︎おっお前ら手を………⁉︎」
だが仲間達は既に捕縛されていた。
「情け無い奴らめぇ!」
「私達は英雄…
子供達の成長とクロエの言葉を聞いたシズさんは嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「よく言ったぜクロッち!後はお前だけだ!」
ケンヤは一気に決めようと猛攻を仕掛ける!盗賊の頭は剣でなんとか防御するが、ケンヤの怒涛の猛攻に耐えきれず徐々に負傷していく。そして、頭の右腕を斬り落とした。
右腕を失い…悔しげな表情を浮かべる盗賊の頭。
「この餓鬼が……いいだろう。負けを認めようじゃねぇか。」
盗賊の頭が負けを認め皆が喜びの声を上げる。
頭は膝をつき諦めたように見せながら……残った左手で懐から何かを取り出す。
「なんてな!」
頭が取り出した物は…なんとフルポーションだった。
「何⁉︎フルポーションだと!」
何故盗賊があれを持っている。
頭がフルポーションを斬られた腕にかけると、斬られた腕がみるみる生えるように再生した。
「グハハハハ!油断したな……あれ?」
回復した腕で再び剣を取りそう言う頭だが、ケンヤの姿はなく代わりに他の皆からジト目で見られていた。
実はケンヤは既に頭の背後に回り込んでいた。そして、そのまま剣の腹で頭部をぶっ叩いて気絶させた。
「大人はよく汚いな手を使うってリムル先生に教え込まれてるんだよ!」
「シズ先生と違って、リムル先生はちょっと卑怯な所があるもんね。」
「ちょっと所じゃないわよ。」
「「「あはははは……!」」」
……リムルは一体どんな教育をしていたんだ。
盗賊達を捕まえ事件解決……とはいかなかった。
奥から盗賊の魔法使いとモノクルをつけた執事らしき男がやって来た。
「これはこれはどういう状況ですか。」
「ゲスダーさん!無事だったんですね!」
ティス先生はゲスダーに近寄ろうとしたが、子供達がそれを止めた。
「えっ?」
「違う……。」
「…あれは執事じゃない。」
ケンヤとリョウタの言葉に捕まっている盗賊の頭も困惑していた。
「執事どころか…人間じゃない。」
そう……俺も解析したから分かる。あれは…人間に化けた妖魔だ。
ケンヤもそれが分かったようでゲスダーに化けた妖魔に指差す。
「お前は妖魔だな!」
「フフフ。まさか私の正体を見破る者がいるとはね。」
ゲスダーに化けていた妖魔は少し正体を現す。耳が尖り目が赤く染まり両手に鋭利な爪が伸びる。
ケンヤ達は再び武器を手に取り構える。
「どうやらやる気満々のようですね。では…参りますよ。」
まさかの執事が妖魔だった事に盗賊達も驚いていた。
「妖魔だと⁉︎」
「なんってこった!」
「ひぃぃ!おっかけねぇ!頭!此処からとっとと離れましょうぜ!」
無事だった魔法使いが頭達の縄を解く。
「ああ!執事の癖にやたら態度がでかいと思ったら…。」
妖魔が盗賊達をひと睨みする。
ヒイイイイイ!
盗賊達はすぐさま逃げ出した……だが逃げた先が悪かった。何故なら俺達がいたからだ。
「なっ⁉︎なんだてめぇ…がっ⁉︎」
「ぎゃあ!」
「ぐっは!」
フォルテは盗賊達の前に立ち、盗賊達がフォルテに気を取られている隙にシズさんが手刀で盗賊達の意識を刈り取った。
「…逃げられると思ったか?」
こうして盗賊達はフォルテとシズさんの手によって再び捕まったのだった。
その間に、妖魔と子供達の闘いが始まった。
「フン。さて、では始めますか。」
「やあ!」
ケンヤが妖魔に斬りかかるが、妖魔は右腕でケンヤの斬撃を軽く弾き殴り掛かる
「させない!」
ゲイルが盾でケンヤを守り妖魔の拳を防ぐ。
「ほぉ。中々優れた盾ですね。」
「レア物だからね。」
そして皆で仕掛けるも妖魔は次々と防いでいく。
「甘い甘い。教えてやろう。どうあがいても無駄だとわかる。圧倒的な力の差を!」
妖魔は次の瞬間!ケンヤとアリスの前に瞬時に移動して殴り飛ばした。
吹き飛ばされるケンヤにぶつかる形でゲイルも岩壁に激突!
3人は気を失ってしまった。
「ケンヤ君!ゲイル君!アリスちゃん!」
ティス先生が声を上げる中、妖魔は執事の姿から本来の姿へと完全に変化する。
その様子を密かに見ていたシズさんが助けに行こうとしたが、フォルテがシズさんの肩を掴んで止める。
「フォルテ君どうして⁉︎このままじゃ皆が…!」
「落ち着いてくれシズさん。あの妖魔を解析したんだが、奴の中から人間の生命反応を感知した。」
「それって…。」
「おそらく奴が化けていたゲスダー…と呼ばれていた執事を取り込んでいるのだろう。」
だからあの妖魔はゲスダーに化けていた。
「このまま奴を倒せば、その執事まで倒してしまう。……今は奴の隙を伺って、取り込まれた執事を助けだす。…だから今は耐えてくれ。」
「フォルテ君……分かった。」
本当ならすぐに助けに行きたいが、妖魔の中に執事がいる以上下手な攻撃はできない。それに、最悪の場合…俺達が出たら子供達まで人質にされる可能性がある。
フォルテとシズさんが耐えながら子供達を見守る。
………そしてクロエとリョウタも倒され、ゲイルの
何も出来ず立ち尽くしたままのティス先生。
「さぁて、残りは貴方だけです。ティス先生と言ったね。どのように扱うか迷いますね。今、西方聖教会に目をつけられるのは困るのだ。我ら妖魔軍先見部隊は、まだ少数でしか活動できていない。」
先見部隊…コイツは異世界からの侵略を目的に活動していると言うことか。
「一体何を?」
「おっと、関係の無い話でした。…では、一人選んでもらいましょう。」
「どういう意味?」
「そのままの意味です。」
ティス先生がそう問うと妖魔は指を鳴らした瞬間、不気味な眼が付いた首輪が妖魔の手に…あれは隷属の首輪
「ここに隷属の首輪があります。生きながらえる代わりに我らに隷属する子を1人選ぶのです。…貴方が!」
「えっ⁉︎」
「そして選ばれなかった子は、その手で殺してください。」
「…そっそんなこと…!」
「拒否すれば全員死にますよ。」
此奴…俺は怒りを振るわせながら今を必死に耐える。此奴は子供達を助ける気はさらさら無い。ティス先生が悩み苦しむ様を楽しんでいやがる。
「さぁ、誰を助けて誰を殺します?この子?それともこの子?はたまたこの子か?この子?この子かな⁉︎」
「…私は……。」
子供達を助けたいティス先生に選べるはずがない。
「この際選んだあなたも助けてあげますよ。」
それでも妖魔は選択を強要する、シズさんも今を必死に耐える……あの妖魔から執事を助け出せれば容赦なく倒せる……そのチャンスを。
「さあ決めなさい!誰を助けて誰を殺しますか!」
「私は……教師です!」
「はぁ?」
「私が憧れた人は、全身全霊をかけて子供たちを守ろうとした。そんなのあの人に…少しでも近づきたい!たとえ1秒であったとしても、あの人がそうしたように私もこの子たちを全力で守って見てます!」
ティス先生はケンヤの剣を拾い構える。
「私はこの子たちを一度見捨ててしまいました。どうしようもない。救う手立てがないのだからと……向き合うのを避けていた……私はもう二度と見捨てたりはしない!」
ティス先生は子供達を見捨てたことをずっと後悔していた。だからこそ、今自分の命を賭けてでも子供達を守る決意をしたのだ。
「……ティス先生。」
そんなティス先生の覚悟を見たシズさん。
「ちぃ!偽善者め…もうすっかり萎えてしまいましたよ。」
妖魔は隷属の首輪を投げ捨てる。
「あなたにはできる限りの苦痛を与え、楽しませてもらいましょう。泣いて助けてくださいと叫ばせてやる!」
妖魔は妖気を放ちながらティス先生に飛びかがる。今からしかない。俺とシズさんは飛び出し妖魔を捕らえようとしたその時、凄まじい気配を感じた。
「召喚!」
ティス先生がそう叫んだ瞬間、妖魔もその気配を感じたのか攻撃を中断した。
「なっなんだ⁉︎」
ティス先生と妖魔の間に召喚の魔法陣が出現
「召喚だと⁉︎馬鹿め!貴様如きが……!」
だがその召喚魔法陣は俺とリムルが使った悪魔召喚の魔法陣へと変わった。
「クフフフフフ………!」
魔法陣から現れたのは黒い翼を生やした黒髪の悪魔。
「あの悪魔は!」
悪魔の登場にシズさんが驚く中、フォルテは悪魔を見て違和感に気付いた。
あの悪魔、擬態で自分の強さを隠しているが凄まじい
あの妖魔など足元にも及ばないくらいに……この俺でも勝てるか分からない。
フォルテは現れた悪魔を解析する。
《解析が完了した。あの悪魔は原初の悪魔の1人
原初だと⁉︎前にシズさんから聞いたことがある。数十年間にフィルトウット王国で依頼された悪魔退治で出会った別の悪魔がその原初の
なんでそんな悪魔をティス先生は召喚できた……いや違う。あの
俺が原初の悪魔の登場に驚く中、妖魔も悪魔の登場に驚いていた。
「
「御名答。
「舐めるな!その女が呼び出せる程度なら、この私が負けるはずもない!」
妖魔は更に
「ほう。その根拠が知りたくもありますが………。」
「なっ⁉︎」
「時間がありません。」
「簡単に背中が取れましたよ。お強い筈では?」
「ひッヒィィィィ!」
妖魔もようやく
「ヒィヤァァァァァア!」
妖魔の叫びと共に両腕の切断面から青紫の血吹雪が上がる。
その光景にティス先生は恐怖し、
そのまま両脚をも切断!妖魔が何か叫んでいるが聞く耳持たずそのまま掴んでいる首から締め上げる!それにより脚の切断面から血が搾り出され妖魔はそのまま絞め殺された。……まさに悪魔だな。
そして、何事もなかったかのように
「フン。……さて。」
「ヒィイ⁉︎」
怯えるティス先生…無理はないな。
「長々と話をする暇はありません。召喚主である貴方に負担をかけないよう、これでも気を遣っているのですよ。それよりも、報酬を頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
「………覚悟は出来てるわ。」
……やはり魂を持っていくのだろうか。
「それでは要求を告げます。私の事は一切秘密にする事。」
「……………え?」
「この約定を違えた時、貴方の魂を頂く事になるのでご注意を。」
「そっそれだけ?」
「ええ。今回の件はシズへの借りを返したいだけなので、その他の事はどうでもいいのです。」
意外な報酬にティス先生だけでなくフォルテも驚いた。
「あっありがとう……。でも、この状況をどう説明すれば……。」
「下らない。妖魔はそこの少年を守護する光の精霊と、先ほどから様子を伺っているシズ達が倒した事にすればよろしいでしょう。」
「精霊って……それにシズ先生?」
ケンヤの身体から光の精霊が姿を現す。
「やっぱりバレてたのかよ。」
「あっ!あっ貴方が光の……⁉︎」
「あっどうも〜。」
「やはり俺達にも気付いていたか。」
盗賊達が逃げた方からフォルテとシズさんが姿を現す。
「シズ先生⁉︎」
「久しぶりティス先生。……それにクロ。子供達を助けてくれてありがとう。」
「構いません。これであの頃の借りは返しましたよシズ。……それと。」
「なんだ?」
「いえ。あの方と共にいる貴方とこうして会う事になるとは思わなかったものでして。」
「あの方?」
「それでは、私はこれで失礼致します。」
「…彼奴丸くなったな。」
「え?今の方と知り合いなんですか?」
「知り合いって言うか、こっちが一方的に知ってるだけなんだけど。」
「まぁ原初の悪魔だからな。」
「えっ?……ええええ⁉︎」
こうして洞窟での騒動が解決し、子供達と執事はティス先生に任せフォルテとシズさんは盗賊達を町の警備隊に引き渡した。
翌日。詳しい話をするためにフォルテとシズさんもグラトル伯爵の屋敷へ向かい、リムルとジェフという教師を含めて説明した。…無論ティス先生の為に
「なんと!昨日そんな事が⁉︎」
「本当に大変だったんだぜ。」
「うむ。
「聞いた事がないな。いや、西方聖教会ならば何か知っているかも知れんが……その魔族をシズ殿が倒してくれたですね。」
「うん。」
「流石シズ先生!」
ケンヤ達は尊敬の眼差しでシズさんを見る。
だが、伯爵の妻を治す為の秘薬が盗賊に使われてしまい治療が困難となってしまったのだ。妹の危機に不安なジェフ先生の姿にクロエがリムルに尋ねる。
「ねぇリムル先生、フォルテさん。フルポーションを持ってないの?」
「ん?持ってるけど。」
「俺もあるぞ。」
フォルテ達の答えに伯爵とジェフ先生は驚きながらフォルテとリムルを見る。
「リッリムル殿、フォルテ殿!ほっ本当にフルポーションをお持ちで⁉︎」
「いっ今ここにあるのか⁉︎あの秘薬が⁉︎」
「ええ。非常用に持っている。」
「秘薬ってフルポーションの事だったんですね。」
ジェフ先生の話によれば、失った手脚さえ再生するフルポーションならば病気も治せるらしいが、伯爵によると服用して死亡してしまった事例もあるそうだ。だが、可能性かあるならそれに賭けたい気持ちは分かる。
フォルテとリムルは一旦部屋から出て廊下で話し合う。
「まさかフルポーションが病気にも効果があるとはな。」
「けど死亡した事例もあるって…。」
俺達は互いに頷き部屋に戻りフルポーションを取り出した。
「たっ…確かに本物のようだ。それも10本も。」
「リムル殿!フォルテ殿!是非譲っていただきたい!」
「良いですよ。」
「ですが一つ条件があります。」
「条件?金ならいくらでも払おう!」
「それなら、今回の勝負はリムル先生に勝ちを譲ろう!」
「はい?譲って貰わなくても、俺の勝ちでしょう!」
リムルがそう言ったのを皮切りにリムルとジェフの口喧嘩始めてしまう。
その子供のような喧嘩に、子供達まで呆れる始末。
「大人って、どんな手段を使っても勝ちにこだわるんだから。」
「まだまだ認識が甘かったみたい。」
「…これは悪い見本だからね。」
「皆真似しちゃ駄目よ。」
「「「「「は〜い。」」」」」
子供達が返事する中でも、まだ口喧嘩を続ける二人に対してフォルテが圧をかける。
「…リムル!ジェフ先生!」
「「はっはい⁉︎」」
フォルテからの圧に二人は思わず声を上げて返事する。
「今そんな下らないことを言い争っている場合か?ウラムスさんを助けるのが最優先なんじゃないないのか!」
「…はい仰る通りです。」
「…申し訳ない。」
「伯爵うちのリムルが申し訳ない。」
「いや。それよりリムル殿、条件とは。」
「奥様の治癒は私とフォルテで行います。それが条件です。」
「「「「「ええっ⁉︎」」」」」
こうして、リムルとフォルテが奥様の治療をする事になった。二人とも、主導権を大賢者と
手術後。伯爵に付き添えてもらいながらも、奥方様は元気に歩けるまでに回復した。その様子を見守る俺達。
「良かったです。」
「ええ。元気なって本当に良かった。」
「はい。本当に……!」
奥方様の元気な姿にティス先生とシズさんは喜び、執事のゲスダーも嬉しさのあまり涙していた。
これで一件落着だな。…その時、
《演算が完了した。アピトの蜂蜜の成分には悪性細胞を死滅させる効果があると判明。》
(何?じゃあアピトの蜂蜜を摂取させれば、手術する必要が無かったということか?)
《…その通りだ。》
マジか…。アピトの蜂蜜は万能薬にもなるとはな。これからの治療などにも使えるな。
「リムル先生、フォルテ殿。」
「ああ、はい。」
「何か?」
「その………何だ………本当にありがとうございました!この御恩は一生忘れません。」
そう感謝の言葉を告げながら、ジェフ先生は俺達に頭を下げた。
こう感謝されるとより救えて良かったと思う。
余談だが、グラトル伯爵は俺達が妻であるウラムスに行った治療方法を学会に報告。この世界の医療技術が飛躍的に進歩するのだが、それは別の話だ。
こうして、自由学園での野外訓練は終わった。
だがこの時の俺達はまだ知らなかった……遠くない未来、俺達の
野外訓練で出会ったあの妖魔……またアニメOVAや映画などで登場する可能性もあるのか気になりますね。