この世界について拓人は知り、ヴェルドラに名をもらう時。
竜に気付かれていた俺は素直に前に出るか考えていた。
「そこにいる者よ。安心せよ別に我はお前を襲うつもりはない。此処にいるスライムと同じで我と話をするだけでよいのだ」
竜の言葉から嘘は感じない。此処は素直に竜の前まで行くとするか。
俺は岩陰から出て竜とスライムの前に向かった。すると俺の姿を見たスライムが驚いているような反応をする。
『え⁉︎フォルテ!なんでロックマンエグゼのゲームキャラがいるんだ⁉︎』
え?このスライムなんでフォルテのこと知ってるんだ……てか⁉︎なんで頭に声が聞こえる⁉︎
《このスライムの思念を受信してます。これにより会話が可能にしました。》
おぉ!解答者ナイスだ!なるほど、だから竜もスライムと会話できてたのか。
なら俺もこのスライムに聞かなければならない。
「お前、スライムなのになんでフォルテを知っている?」
『それは子供の頃やっていたゲームに出てきたキャラだし漫画やアニメでも出てきてるから知ってるよ』
その言葉で俺は確信した。
「お前…ひょっとして俺と同じ転生者?」
『え⁉︎じゃあお前も転生者なのか?』
「あぁ。俺は黒石 拓人って名の元は日本人だった。」
『俺は
「おい!何お前達だけで自己紹介を始めている!」
スライムこと三上 悟さんとお互い自己紹介していると竜が怒鳴り声を上げた。
「あっ!すみません。このスライムが同郷の者だとわかったのでついそのまま自己紹介を始めてしまいました」
俺は竜に頭を下げる。
「ほぅ…お前は礼儀があるようだなぁ。我の姿を見た者は殆ど逃げ出しておった。」
まぁ普通はそうだろなぁ。俺も人間のままなら逃げ出していただろう。
「では改めて自己紹介しよう。我が名は暴風竜ヴェルドラ!この世に四体のみ存在する竜種が一体である。フフフハハハ!フハハハハ‼︎」
ヴェルドラの高笑いが洞窟内に響く。てかヴェルドラが竜種の一体⁉︎電脳獣と同等の強さと解答者が言っていたが、確かにヴェルドラから感じる妖気と威圧感が証明している。
「おい約束は覚えているな。」
『もっ勿論すよ!怯えてなどいません!じゃあまた話に来ますんで‼︎』
と言ってこの場から去ろうとするスライムこと悟さん。
「悟さん。落ち着いてください。ヴェルドラは悟さんの目を見えるようにしてくれたんだ。悪い竜ってわけじゃないようだし話を聞いてみよう」
「お前中々見所があるようだ。それに初めて見る種族のようだが、貴様の中から我以上の存在を感じる。そしてスライムのほうだが、本来スライムは思考もしない低位モンスター……それなのに自我があるユニークか」
ヴェルドラは俺の中の超電脳獣の存在すら気付いている。
「ユニークと言いますと?」
「異常な能力を持つ個体の事だ」
『ちょっとよく解らないっす。その自分さっき話してた通り人間だったんですけど、刺されて死んで気が付いたらこんな姿になってて…。』
「俺は車に轢かれてもうじき死ぬと思った時、最後にゲームのキャラのことを考えながら死んだらそのキャラになってしまっていたので。」
「なるほどやはりお前達は転生者か」
『転生…やっぱりスライムは生まれ変わったんですね』
「俺もまさかフォルテになるなんてな…」
「お前達、凄く稀な生まれ方をしたな。」
『えっ稀?』
「異世界からやって来る者は偶にいるが、転生者は我が知る限り初めてだ。魂だけで世界を渡ると普通は耐えられないからな。ましてや望んだ姿になるなど更に珍しい」
「てことは、異世界からこっちに渡ってきた人はいるんですね」
「うむ。異世界人と呼ばれている。そういう者達は世界を渡る際に特殊な能力を獲得するらしい」
「成る程。では俺がこの体になったのも元の世界からこの世界に渡って来たからなんですね」
「そうなるな。お前は我に近い何かを感じる。お前の存在自体もだがお前の中に居る存在が特にな」
やっぱりヴェルドラは俺の中の超電脳獣の存在に反応している。
『あのすみません。俺ちょっとその異世界人を探して会ってみようと思います。』
「なんだもう行ってしまうのか?」
『「しょんぼりしてる⁉︎」』
ヴェルドラが頭を下げ翼を畳んで見事にしょんぼりしている。まぁ300年ぶりに出会えた話相手がもう行ってしまうとなると落ち込むよな。
『えっえ〜ともう少し居ようかな?どうせ暇ですし』
「俺もヴェルドラの事やこの世界についてもっと教えてほしいのでまだ此処にいます」
「そうか!ゆっくりしていくがよい!」
まだ此処に居ると聞いてヴェルドラは元気になった。そんなヴェルドラを見て悟さんはホッとしている。
『えーと、ヴェルドラさん、さっき封印されてたって言ってましたよね』
「よくぞ聞いてくれた!300年前の事だ……ちょっとうっかり街を一つ灰にしちゃってな。」
『しちゃってなって…』
「てかうっかり街を灰にするとか…」
ヴェルドラの話だとそんなヴェルドラを討伐しようと加護を受けた人間の勇者が現れユニークスキル
街破壊に封印……電脳獣も似た感じだったな。
『その光っているのが無限牢獄なのか?』
「ああ。その勇者は自分のことを召喚者だと言っておったなぁ」
『召喚者?異世界人とは違うのですか』
「召喚と言うからにこの世界の人間に呼び出された存在ってところですかね」
「その通りだ。30人以上の魔法使いで何日もかけて儀式を行い異世界から呼び出すのだ」
『おぉ魔法使いがいる世界なのか⁉︎ますますゲームぽい‼︎』
「いや此処にゲームのキャラその者になっている俺がいますが…」
「強力な兵器としての役割も期待されておる」
『兵器?』
「召喚主にな。召喚者は召喚主に逆らえないように魔法で魂に呪いを刻まれる」
ラノベで言う所のあかんタイプの異世界召喚ってことか。
『なんじゃそりゃ⁉︎酷い話ですね‼︎』
「酷いか…元の世界ではどうだったか知らぬが、この世界では弱肉強食こそが絶対なる真理だ」
てかこの世界ではそれでいいが勝手に召喚される者はたまったものじゃない。
『で、その勇者に封印されてずっと此処で?』
「そういうことだ。もう暇で暇で………」
300年もの間こんな暗い洞窟の中でずっと1人……寂しいなんて言葉で収まるような状態じゃないな…。
『よし!じゃあ俺と友達にならないか!』
悟さん!ヴェルドラの事を想って友達になろうと⁉︎スライムに転生して大変だったはずなのになんて勇敢な事を。
「ん⁉︎なんだと⁉︎スライムの分際で暴風竜と恐れられる我と友達だと‼︎」
『いっ嫌ならいいんだけど…』
「ばっバカ!誰も嫌だと言っておらぬだろうが」
『えっ?そう…じゃあどうする?』
「そうだなぁ。どうしてもっと言うなら……考えてやってもいいんだからね」
『「ツンデレか⁉︎」』
まさか竜のツンデレ姿を見ることになるとは……300年封印されたのが余程こたえたらしいなこれ。
『うん。どうしてもっだ!決定な。嫌なら絶交、二度と来ない』
「しっ仕方ないな。お前の友達になってやるわ、感謝せよ!」
『素直じゃないね』
「なら俺も友達になってもらえないか?考えてみると竜と友達になれるなど一生に一度あるか分からない。それに俺自身ヴェルドラと友達になりたい」
「お前!……ふっフン!良かろう、お前とも友達になってやろう。感謝せよ」
「あぁ。ありがとうヴェルドラ」
『それじゃあ俺達三人友達ってことでよろしく』
「あっあぁ」
「よろしく」
悟さんはスライムボディの一部を伸ばしヴェルドラはその爪に先端を合わせて握手のようにする。なら俺はと二人が触れ合っている先端に拳を合わせる。
暴風竜とスライム…そしてフォルテが友達になるなんか凄い場面ができた。
友達になったので悟さんと俺はヴェルドラに自分のスキルについて説明し俺の中に居る超電脳獣についてもヴェルドラと悟さんに説明した。
「成る程。我が感じるその気配が超電脳獣と言う存在か。しかも我や姉上達よりも強いとは是非会ってみたいものよ」
『いやいや⁉︎マジ復活したらこの世界取り込まれるかもしれないんだぞ‼︎』
「まぁ今の段階では目覚める可能性はないらしいが、もしなんらかの形で復活してしまったら大変だ。だからこそ!俺はこの世界で強くなる!悟さんやヴェルドラに迷惑をかける訳にはいかないし」
「お前は…本当に良い奴だ。流石我が盟友よ」
『なら俺も友達のために何かできないかな?勇者が掛けた無限牢獄の封印、友達が300年も封印されたままなんて可哀想だからなぁ』
「お前……」
ヴェルドラは感動したのかうるうると悟さんを見つめる。竜がうるうるするってなんかまた凄い場面を見た。
「脱出方法があるならありがたいが…じっ実はな、後百年も待たずに我の魔力は底をつくところだったのだ。魔素は漏れ続けておるし」
成る程。だからこそこの洞窟内には貴重な薬草や鉱石で満ち溢れていたのか。
『魔力が尽きるとどうなる?』
「大したことはない。」
『大したことないの?』
「フン。朽ち果てるだけのことよ。」
「いや大したことだろう⁈」
このままではヴェルドラが朽ち果てる。それを聞いて悟さんが動いた。
無限牢獄に触れて何かを試している。おそらくさっき聞いた捕食者と言うスキルだろう。俺の
しばらく無限牢獄に触れていた悟さんだがうまくいかなかったようだ。
「無理であろう」
「なら今度は俺が!」
そう言って俺は能力吸収を発動して無限牢獄を殴るが壊れる様子がない。
「やはりダメか」
俺は拳を開いて無限牢獄に触れる…すると!無限牢獄の結界から何かが流れ込んでくる!それは無限牢獄の
《無限牢獄の写し取りに成功しました。これによりユニークスキル無限牢獄を獲得しました。》
違った!解除はできなかったが吸収した情報からこのスキルを獲得してしまった。
てかヴェルドラを300年も封印した勇者のスキルを獲得していいのか?
今のところ使い道が思いつかない。
「すまない。解除じゃなくて無限牢獄の複製ができてしまった」
「ほう。この勇者のスキルを獲得するとはお前のスキルは中々優秀だなぁ。だがやはり解除はできぬか…」
『ん〜どうにかならないか?』
悟さんは自分のスキルになんとか無限牢獄を破るすべがないか聞いてるようだ。
「おい!自分のスキルとばかり話するでない!」
『おっさん…。』
「落ち着けヴェルドラ。今悟さんがなんとか無限牢獄の解除をスキルに聞いてるから少し待ってくれ」
しばらくして悟さんのスキル確か大賢者だったか…可能性の検討結果が出た。
『ふむふむ成る程成る程。あくまで可能性だが、無限牢獄の内側と外側から解析できれば解除できるかもってさ』
「ほぉ!いやっしかし内側からと言っても我のスキルは我と共に封印されて使えぬぞ」
『情報だけ寄越してくれれば解析はこっちでやるから。それに拓人の解答者ともリンクして解析に協力してもらえるしな』
「あぁ友のためなら協力は惜しまない。頼むぞ解答者」
《分かりました。》
「しかしそれには時間が掛かろう。お前だってずっと此処にいていいのか?まっまぁ我は別に構わんが!」
『そうだなぁ。俺もせっかくだから拓人以外の他の同郷の者を探したりしたい』
「そうか……」
『それで提案だ』
「ん!提案とな⁉︎」
『俺の胃袋に入らないか?』
チーーーーーーン
悟さんの言葉に辺りは静寂となった。友達を食うなどと普通は何を言ってるんだ⁉︎っと思うが、これが今無限牢獄の解除にもっとも最適な方法だと言うことは解答者から俺もさっき教えてもらった。
『俺のスキル大賢者と捕食者、そして拓人の解答者で無限牢獄の外側から解析を行い、内側からはヴェルドラが破壊を試みる。胃袋の中では隔離されるので消滅する恐れもない。どうだ?』
しばらく沈黙していたヴェルドラが震え出す。やはり怒ってしまったか?
「フフフ。フハハハ!ハーハハハハハ‼︎」
と思ったが盛大に笑いだした⁉︎
「それは面白い!是非やってくれ。お前達に我の全てを委ねる‼︎」
『そんなに簡単に信じていいのか?』
「信頼してくれているのは有難いが」
「無論だ。此処でお前達が帰ってくるのを待つよりも三人で無限牢獄を破るほうが面白そうだ」
『そうか。一人じゃなく三人か』
「いいじゃないか」
「うむ」
『じゃあ今から捕食者で「ちょっちょっと待て!」ん?』
「その前にお前達に名前をつけてやろう。お前達も我に名をつけよ」
「はぁ?」
「名前ですか?」
「そうだ同格と言うことを魂に刻むのだ。人間で言うファミリーネームみたいなものだが、我がお前達に名付けるのは加護になる。お前達は先程から前の世界の名前で呼び合っておったがこの世界ではまだ名無しだから名持ちの魔物の仲間入りができるぞ」
『むむ!名持ちの魔物か』
「確かに転生した今の自分達にはこちらの世界での名前があるほうがいいな」
「良いだろう。カッコいい名を頼むぞ!」
『そっちもな』
「じゃあどんな名前がいいだろう?」
『カッコいい…暴風竜ヴェルドラ…暴風は英語だと…』
「
『どれもイマイチだな………あっ!
「成る程!俺もいいと思う。」
「何ぃー!テンペストだと‼︎」
『だっ駄目か〜?』
「素晴らしい響きだ!今日から我はヴェルドラ=テンペストだ‼︎」
「気に入ったようだなヴェルドラ」
「うむ!そしてお前にはリムルの名を与える」
そう言ってヴェルドラは
『リムル…悪くないな』
「そしてお前のその身体、前の世界ではフォルテと呼ばれているならフォルテの名をそのまま与えよう」
「成る程。俺としてもそのほうが良い」
「ではお前達はリムル=テンペスト、フォルテ=テンペストを名乗るがいい」
その瞬間!俺の中で何かが変わった。フォルテ=テンペスト その名が魂の奥底に刻み込まれた。
『俺はリムル=テンペスト』
「フォルテ=テンペスト」
「リムル、フォルテ」
『「ヴェルドラ=テンペスト」』
俺達三人互いに名を言う。
『それじゃあ今から食うけどさっさと無限牢獄から脱出しろよ』
「フフフフ任せておけ。そんなに待たせずお前達に会い見えようぞ」
「信じてるぞヴェルドラ」
『よし!ユニークスキル捕食者‼︎』
悟さん…いやリムルのスライムボディが液状となりヴェルドラを覆う無限牢獄の結界ごと包み込む!そして徐々に縮小していき其処にはリムルのみがいた。
周囲は無限牢獄の結界跡が残りまるでクレーターのようになっていた。
俺はゆっくりとリムルに元に歩みよる。
『実に呆気なかった。今まで喋っていたのに』
「でもいつかまた会えると俺は信じているよ」
《個体名リムル=テンペストのユニークスキル大賢者によるユニークスキル無限牢獄の解析が行われます。リンクして解析の協力を行います。》
この日世界に激震が走った。天災級モンスターである暴風竜ヴェルドラの消滅が確認され世界各国が大騒ぎになっていることをリムルとフォルテは知るよしもなかった。
ヴェルドラのこの名付けが、リムルに大きな力を与えていたんだと後に分かるんですよね。