……その一団にはフォルテも同行することに。
別世界のガビルである
フォルテは現在、
「
《問題なく完了した。現在は安定化と解析を行っている。》
「そうか。…それなら、少しは俺の気も楽になるな。この作業に入ってしばらく経過した頃に新たなユニークスキルを得たりもしたが、本来の目的の一つが遂に終わったな。」
《そうだな。だが油断は禁物であることに変わりはない。》
「ああ。そのまま安定化と解析を頼んだぞ。」
《了解した。》
フォルテの中である作業が一つ完了した後、フォルテは空間移動で帰って来たリムルの元へ向かった。
そんな中、魔王カリオンから使節団に派遣を提案された。俺達もいい機会だと了承し、ジュラ・テンペスト連邦国と獣王国ユーラザニアから互いに使節団を派遣することなった。
団長は紅丸で、その補佐としてリグルが同行する。後、国の主の一人としてフォルテも同行することになっている。
獣王国ユーラザニアがどのような国なのかこの目で見る為に。
フォルテの護衛として黒死牟とカーネルが同行する事になっている。
今日はその使節団が出発する記念すべき日。
リムルは使節団を見送る為に
そんなリムルは、廬で朱菜達が選んでくれた式典用の衣装を試し着している。
「リムル様、お待たせしました。」
「式典用のお召し物を幾つか見繕ってきました。」
「おお!では早速試着してみよう。」
そう言ってリムルは朱菜達が持って来た衣装を取り込み人間化。
まず最初の服装は…
「これはちょっと違うんじゃ無いかな?」
「寧ろ良く十二単なんか思いついたな。」
「それでは、こちらはどうでしょうか?」
そう言って朱菜が次を服を用意する。
……今度は西洋のお嬢様が着るようなドレス姿となった。
「えっ⁉︎これもどうなんだ?」
「…リムルは相変わらず女物の服装が合うな。……それでいくか?」
「嫌だからな⁉︎」
「リムル様。私はこちらをお勧めします!」
シオンの勧めた衣装は……甲冑だった。
「リムル様素敵です!」
「とてもお似合いです!」
「……これだといつもの着せ替えと変わらないな。」
「あのなぁ、朱菜、紫苑…。」
リムルのスライムの姿に戻る。
「今日はもっときちんと畏まった衣装の方がいいんじゃないかな。」
「きちんと畏まった衣装ですか?」
「リムルの言う通りだ。
「なるほど。」
「ありますよ。きちんと畏まった衣装ですね。」
こうして、リムルはようやくきちんとした衣装を着ることができた。
フォルテも、アイリスとシズさんが選んできた衣装を身に付ける。
その中で、フォルテが選んで着たのは黒い軍服だった。
そして、使節団を見送る為に町の皆がリムルとフォルテが立つ為の台へと集まっていた。
「おい!始まるぞ!」
使節団を見送る為に台を上りリムルとフォルテが皆の前に姿を見せる。
リムルの正装とフォルテの軍服姿に、周囲から歓声が上がる。
「さっすが!リムル様とフォルテ様っす!なぁゴブゾウ!」
「うんうん。」
「カッコいい!」
「実に素晴らしいお姿だ。」
「ガビル様とランサー様もカッコいいですよ!」
「然り。」
「まあまあだな。」
「我が主達よ!イケております!」
「リムル様とフォルテ様に相応しい!」
「皆の者!鎮まれ!」
シオンの声に皆一斉に静まる。
そしてリムルが手を上げながら口を開く。
「諸君!是非とも頑張ってきてくれたまえ。」
そう言って終わるリムル……おいそれだけとかいくらなんでも短過ぎだろ⁉︎
「………それだけですか?」
ほら、朱菜もそう言ってきたぞ。仕方ない此処は俺が言うか。
少し後ろにいたフォルテは、リムルの隣へと並び立つ。
「……
フォルテがそう言った後に続き、リムルも話し出す。
「ただし、ユーラザニアを治めている魔王カリオンは
そうリムルが言った後に再びフォルテが声を上げる。
「…リムルはこう言ってはいるが、力試し程度なら俺はいいと思っている。向こうを知るには向こうの流儀に合わせることも大事だ。模擬試合程度までならばいいが、争いになるようなら
そう言い終え、リムルと目を合わせ互いに頷く。
「頼んだぞ。」
「「「「「はっ!」」」」」
リムルがそう言って締めくくると周囲から、先ほどよりも大きな歓声が上がった。
そして、出発前に紅丸とフォルテがリムルと話しをしていた。
「本当なら安全が確認できるまでは、フォルテ様も魔王の領地に行くのは控えてもらいたかったのですが…。」
「ミリムから魔王カリオンがどんな人物なのかは聞いていた。基本的には素直で洞察力にも優れていると。だからこそ、自分の目で確かめたくなったからな。」
「フォルテ様がそう決めたなら仕方ありませんね。」
「……後、紅丸の方が喧嘩を売りそうな気がするしな。」
「いや!しませんよ!」
…どうだろうな。まあ今は信じているぞ紅丸。
「リグル達も頑張ってくれ。」
「はい。見聞きを広めて参ります。」
やはりこう言う時、リグルは頼りになる。そして、出発の時が来た。
「じゃあ行ってくる!」
「頼んだぞフォルテ!」
俺が手を振れば、リムルも手を振り返す。こうして、記念すべき第一回目の使節団はフォルテと共にユーラザニアへと出発した。
「楽しんでって下さいっす〜!」
「いってらっしゃ〜い!」
「良き友好を!」
「「「頑張れ〜!」」」
「お兄様!お気をつけて!」
「フォルテ君頑張ってね!」
「兄さん!フォルテ!行ってらっしゃい!」
ゴブタ、ガビル、ランサー、ヤシチ達、朱菜、シズさん、アイリスが手を振りながら見送ってくれるのだった。
こうしてユーラザニアへと旅立ったフォルテ達。
フォルテ達の乗る馬車は、リムルが野外訓練に使ったキャンピングカーの豪華版。野外訓練で使用したキャンピングカーより二回り大きく、キッチンにソファーに広々としたダイニング。
更にトイレと足が伸ばせる風呂があり、ベッドも完備されている。
「……少し盛り込み過ぎたが、今回は
このキャンピングカーを引っ張るのは勿論ゴスペル。
……キャンピングカーを引っ張るゴスペルの姿…ロックマン達がみたらどんな反応を見せるのだろうか。
そうして
最初は周辺の住民が暮らす家が見える程度。家はみな質素な作りだがそれより目に入るのは、広大な畑と果樹園だ。
作物の育ちが
しばらく進み続けると、巨大な山から大滝が流れるその前方に巨大な王宮らしき建物が見える。あれは間違いなく魔王カリオンの宮殿だと分かった。やがて王国の入り口に近いて行くと、出迎えの獣人達が見えて来た。その中には、フォビオと魔王カリオンもいた。
ゴスペルが彼らの前で停車。フォルテがゆっくりとキャンピングカーから出る。
「久しぶりだな。魔王カリオン。」
「ああそうだな。まさか最初の使節団で盟主の一人が来るとはな。」
「ミリムから貴方がどう言う人物かは聞いていたからな。改めて直接見極める為にやって来た。」
「そうか。……流石はあの
「ん?やはりあの戦いを見ていたのか?」
「ほんの少し前だ。その馬車を引っ張っている黒い狼とお前の連携攻撃には俺も驚いたものだ。」
「それに…連れている奴らもかなりの強者なのが見て分かる。そこの鬼人とホブゴブリンに黒い魔人はあの場で見知っているが、その六眼の男は初めて会うな。」
カリオンはそう言って黒死牟を見る。
「ああ。少し前に仲間になったからな。紅丸が団長で補佐がリグル。カーネルと黒死牟は俺の護衛として来ている。」
「……巌勝・黒死牟と申す。」
「……ふっそうか。護衛までしっかりしているとは抜かりがないな。さぁてと、それじゃあ案内するぜ。獣王国ユーラザニアを!」
カリオンとフォビオの案内でユーラザニアの中心部まで来たフォルテ達。
「フォビオは今回使節団と行かなかったのか?」
「いや…俺は今謹慎中で。今回はフォルテ様達の案内を命じられいます。」
「あの時は本当に済まなかったな。」
言い難きそうに話すフォビオに変わって謝罪するカリオン。
「いや、もう済んだ事だ。それに黒幕は別にいるからな。」
「…中庸道化連だったか、フォビオから報告は受けている。俺の配下達にも注意を促している。」
そんな会話を続けながら歩き続けていくと、立派な王宮が近づくにつれその大きさがより分かるものとなった。改めてあれがカリオンの宮殿だと理解した。
更に進んでいくと、訓練所に到着。そこでは獣人達が切羽琢磨していた。
「流石だな。一人一人が見事に鍛えられている。」
「ええ。そうですね。」
「一兵卒に至るまで徹底しているようです。」
フォルテと紅丸とカーネルが感心していると、カリオンの存在に気付いた者達が一斉に集まった!
「「「「「カリオン様!」」」」」
皆、カリオンの前で整列する。
「お前達。今日もしっかり鍛えているな。」
「「「「「はい‼︎」」」」」
戦士団の者を含め兵達は大きな声で答える。その中、一兵がフォルテ達の存在に気付いた。
「カリオン様その子供は?」
フォルテを子供呼ばわりしたことに紅丸が少し殺気立つがフォルテが手を上げそれを宥める。
「コイツは
カリオンの説明に兵達は皆は、怪訝な面持ちでフォルテを見ている。
その中で大柄の牛の獣人が声を上げた。
「こんな餓鬼が盟主⁉︎
「おい⁉︎お前‼︎」
その言葉にフォビオが声を上げる。だが既に紅丸達の怒り限界寸前だ。フォルテだけでなくリムルまで馬鹿にされたのだから仕方ないが。
「それはどうだろうな。……フォルテ済まないが少し彼奴と軽く手合わせしてくれないか?」
そのカリオンがフォルテに言う。
……成る程。そう言う事か。
「分かった。」
向かい合うフォルテと牛の獣人。
「へっ!カリオン様が認めたって強さが本当にあるのか見せてもらうぜ!」
やる気満々とばかりに拳をぶつけ合う牛の獣人。……その姿を見ているカリオンはフォルテを見据え、フォビオは溜息を吐きながらその獣人に向けて憐れみの眼差しで見ていた。
「さぁいくぞ!」
牛獣人はその巨大に似合わぬ跳躍力でフォルテとの距離を一気に詰め目前に
「ウラァァ!」
その剛腕の右腕をフォルテ目掛けて振り下ろす。右腕から繰り出された一撃がフォルテの顔面に直撃
獣人達が牛獣人の勝ちだと思った……だが。牛獣人の拳はフォルテの顔面目前で止まっていた。
「何ぃ⁉︎」
これには牛獣人も驚く。
「…成る程。その巨大に似合わぬ身の熟しにこの一撃……己の力に自信を持つだけはあるな。だが、俺の
フォルテは白老に気闘法を徹底的に学び教えられた結果、ユニークスキルの
何らかの手段でスキルを封じられたり今回の様にスキルを使わずに済むからだ。
「次はこちらの番だな。……ハァア!」
フォルテは抑えていた
「ぬああああー!……ガバァ⁉︎」
吹き飛ばした牛獣人は壁に叩きつけられ気絶。それを見たフォルテは
それを見た獣人戦士達は唖然となる中、カリオンが笑みを浮かべながら声を上げる。
「勝負ありだ。」
カリオンの声に我に戻る獣人戦士達
「まさか……
「なんて凄まじい
「しかも…あれほどの
獣人戦士達は、まさか
「これで分かったろ!このフォルテは俺達と友好を結ぶに値する者だと!まだ納得いかない者がいるならば自分の力で確かめてみろ!」
カリオンの言葉に戦士達は黙り込むのだった。そんな中、フォルテがカリオンに問う。
「…これでいいんだろ?」
「ああ。わざわざ済まなかったな。」
「フォルテ様どう言う意味でしょうか?」
フォルテとカリオンの話が分からずリグルがフォルテに問う。
「カリオンは俺達の力を自分の戦士団に理解させる為にあえてこの場所に俺達を案内したんだ。」
フォルテの言葉に紅丸、カーネル、黒死牟はすぐ理解した。
「成る程。獣王国は強者に従うルールがある以上、納得のいかない者達も当然いる。」
「今倒れているあの者のように。」
「……故に、フォルテ様と敢えて戦わせその力を示させたと言う訳だ。」
「そう言う事だ。」
まぁ確かに早めに戦士団の者達に納得してもらうにはこれが一番だな。
そして、フォビオが戦士団の者達に向かって声を上げる!
「お前達!今見た通りだ!盟主の一人であるフォルテ様の強さは本物だ!我らとは友誼を結ぶに相応しい相手だ!フォルテ様とその配下を軽んじることはカリオン様に対する不敬と思え!分かったな‼︎」
「「「「「ははッ‼︎」」」」」
こうして俺達は獣王戦士団達に認められた。これで一件落着……かと思ったのだが。
フォルテの肩に手を置くカリオン。
「折角だ!このまま俺様とも一戦やらねぇか?」
「何?」
カリオンの言葉にこの場にいた者達全員が一斉に顔を向ける。
「あの凄まじい
魔王カリオンとの手合わせ……フォルテは無意識に笑みを浮かべた。
「願ってもないな。ミリムが俺達の特訓に付き合ってもらってから、他の魔王とも手合わせしたいと思っていた。」
「なら決まりだな!」
こうして、カリオンとフォルテによる模擬試合が行われるというとんでもない事態に
カリオンの模擬試合が行われると知った者達の中で、思念伝達が使える者達が他の者達にも知らせ、今訓練所に多くの獣人達が集まった。
「まさか…こんなに集まるとはな。」
「まぁ丁度いいじゃねぇか?お前の力を戦士団以外の奴らにも知らしめられるだろう。」
「まぁ…そうだな。」
「じゃあルールはさっき言った通りでいいな。」
「武器及び魔力弾系スキル以外の攻撃系スキルの使用の禁止に、広範囲に被害が出る大技なども使用を禁止だな。」
「ただし、空中戦であればある程度のスキルや技は使用可能だ。」
そう言って構えるカリオンに対しフォルテも構える。
しばらくの間辺りが静寂となる中で、牛獣人がぶつかった壁の外壁の一部が崩れ落ちた。
それを合図にカリオンとフォルテが同時に動いた
「オラァ!」
「ハアァ!」
互いに接近し拳をを振るい激突、その瞬間凄まじい衝撃波が広がる。
「うわぁ!」
「何と凄まじい衝撃!」
そして皆が衝撃波から身を守っている間にも、カリオンとフォルテは激しい攻撃の応酬を繰り広げていた。
二人の拳と蹴りがぶつけ合う度に衝撃波が辺りを襲う。
「このままじゃ周りの連中が耐えられないな!」
「ならやはり空中戦だな!」
その言って二人は同時に飛び上がる。
上空へと飛び上がった二人は距離を取って魔力弾を同時に放つ。
フォルテの方は
…そのうち変化球のような
空中でも激しい戦いを繰り広げるカリオンとフォルテ。
紅丸達と獣人達が空を見上げると、空で二人がぶつかり合う度に円形の衝撃波は広がっている。
何度もぶつかり合うカリオンとフォルテ、一旦距離を取り離れるも隙の無い構えをとる両者。
「やるじゃねぇか!ミリムが気に入るだけはある。」
「そちらこそ、流石は
ミリム以外の魔王とここまで戦っている……フォルテは自分が強くなった事を今自分で確かめる事が出来た事を心から喜んでいた。
「本当ならここまでにして終わるつもりだったが、俺を此処までたぎらせたんだ……俺様の取っておきを見せてやる!」
カリオンがそう叫んだ次の瞬間、光に包まれ姿が変わった。
「見ろ!これが俺様のユニークスキル百獣化だ!」
百獣化…おそらく獣人達の持つ固有スキル獣身化が進化したスキルなのだろう。
獣身化が獣人達が本人が持つ動物の形質が顕われる。完全な獣の姿になっても人語は話せるそうだ。
カリオンの百獣化した姿は、逆立つ獅子のようしなやか髪に胴は象のような強靭な皮膚となり、背中鷲の翼が生え腕はヒグマとゴリラの剛力が合わさったような力を感じる。数多の獣の力を宿した姿……百獣の名に相応しい能力だ。
その姿もさることながら、発せられる魔素も先程より比べものにならないくらい増大している。
「この俺にそこまで本気になってくれるとは…嬉しいねぇ!」
フォルテはカリオンのあの姿を見て畏怖するのではなく歓喜の笑みを浮かべた。
「なら俺もとっておきを見せるとしよう!」
「ほう。
やはりあの姿も見ていたか。
「いや。獣には……やはり獣の力だ!」
「何?」
「
フォルテがそう叫んだ瞬間、赤い光の柱がフォルテの包み込んだ。
「ヌゥ⁉︎」
突然の事にカリオンが驚く中、光の柱からあるものを見た。
「なんだ…あれは⁉︎」
それは鳳凰……不死鳥のような巨大な鳥型の魔物の幻影⁉︎
クルルキュアアアア!
幻影の不死鳥が凄まじい咆哮を轟かせると、赤い光の中へと吸い込まれた。
そして光の中でフォルテの姿が変わっていき、光の柱が弾ける。
そうして姿を現したのは、身を包んでいたマントが短いスカーフへと変化し、鋭利な赤い鳥の翼を背に生やし腕と脚が獣の鋭い爪と鉤爪と変化したフォルテの姿だった。……頭部の十字の星マークも翼を広げた鳥を模したマークへと変わっていた。
その姿こそ、漫画、アーケードゲームに登場した
その姿は獣人達の獣身化とあまりにも酷似していた。そのフォルテの姿に地上から見ていた獣人達が驚き困惑する。それは…対峙しているカリオンも同じだった。
「お前…その姿はいったいなんだ⁉︎」
「…
そう…あれは
複製魔核を使って超電脳獣……グレイザーを本来の姿であるグレイガとファルザーに分離する事を。
無論簡単にいくことではない。俺の中の超電脳獣の核は完全に融合していた。だからこそ、徹底的かつ精密な解析をしながら分離と魔核への移植を行わなけばならなかった。
その解析分離の作業で得たファルザーの
だが、獣化を得たとはいえまだ完全にファルザーの力を扱えるわけではない。解析できたデータから現在再現し発揮できる力は精々二割。
それでも、あのファルザーの…電脳獣の力を使えるのだから強力
フォルテは密かに何度か試したが、二割でもその強大な力を制御するのには苦労した。
そんな獣化を最近ようやく制御できるようになり、カリオンとのこの模擬試合でお披露目したのだ。
「新たな力か……いいじゃねぇか。まさか獣人じゃない種族が似たようなスキルを得るとは面白い!その力を確かめさせてもらうぞ!」
「ああ!最初からそのつもりだ!」
百獣化したカリオンと
そして、両者の拳が激突すると先ほどよりも凄まじい衝撃波が発生した。
地上の獣人達や紅丸達があまりの衝撃に腕を交差させ防ぐ。
そこから繰り広げられる戦いは先ほどよりも速く、ぶつかり合う衝撃の余波だけで二人の戦いの凄さが獣人達には充分伝わっていた。
攻防を繰り広げるカリオンとフォルテ
フォルテの攻撃に獣化したことで引っ掻きや引き裂くが加わっている為、カリオンはそれに対処する。
「なるほどな!獣化と言うだけはあるな!パワーはほぼ互角だが、俊敏さ……素速さが俺様を超えているな!」
「カリオンの百獣化の力も凄まじいな!ならこの攻撃はどうだ!」
フォルテはそう言ってカリオンから一旦距離を取ると、疾風の如き素速さでカリオン目掛けて突進
「ぬぉ⁉︎」
カリオンは紙一重で躱すが、凄まじい疾風の如きフォルテの突進による風圧で弾き飛ばされた。
「おいおい!こりゃあまともに喰らったら終わりだな。」
弾き飛ばされながら体勢を立て直したカリオンがそう言う。
フォルテはそのまま更に速度を上げてカリオンに向かっていく。
カリオンはフォルテの連続突進を躱し続ける。
「……動きが読めてきた。次の一撃で決める!」
カリオンは己の右腕に力を集中させる。それを感知したフォルテは己の周囲に風を纏いながらカリオン目掛けて突進
迫るフォルテに対してカリオンは構える。
(彼奴の突進を躱しながらこの拳を叩き込む!)
待ち構えるカリオンと迫るフォルテ……その時、突進中のフォルテが右腕を前方へ突き出した。
「なに⁉︎」
突き出した右腕にフォルテは力を集める。そして、突進の加速を加えた一撃をカリオンに叩き込む。
「
「うおおおお!」
繰り出されるカリオンの拳とフォルテの爪撃、互いの一撃が交差し、フォルテがカリオンの真横を通り抜ける。
互いに、一撃を放ったまま動かないフォルテとカリオン。
「……やっぱり強いな。」
フォルテがそう言った瞬間、腕のアーマーに亀裂が入った。
「フォルテ様!」
その様子を見ていた紅丸が、思わず声を上げる!そして…カリオンの方は。
「……テメェも充分強かったぜ。」
そう言ったカリオンの腕は、フォルテの爪撃によって引き裂かれていた。
互いに
ゆっくりと降り立つとカリオンはフォルテに歩み寄り肩に手を乗せる。
「まったくお前は本当に大した野朗だ!俺様とここまで戦えるとは思ってもいなかったが、久しぶりにいい勝負ができた!」
「俺もだ。ミリムに訓練相手をしてもらってはいたが、いつも加減されていたから実際に強くなれたか実感が掴めなかった。だが今回、カリオンと戦って強く慣れたと確信できた。
良き勝負ができたと互いを称えていると、紅丸、カーネル、黒死牟、フォビオ、そして戦士団の者達が二人の元へ駆け寄ってきた。
「フォルテ様!実に素晴らしい戦いでした!」
「まさか
「実に良い動きであった。」
「カリオン様!すぐ傷の手当てを!」
「このくらい大した傷じゃねぇ!それよりお前ら!」
カリオンは戦士団に向かって声を上げる!
「この俺様とここまで戦えるフォルテの強さ!もはや疑う余地は無い!真の強者だ!」
カリオンの言葉に戦士団は〝はい!〟と返事をした。
こうして、カリオンと互角に戦ったフォルテの強さを目の当たりにしたことで、獣人達はフォルテ達を受け入れたのだった。
その夜、フォルテ達はカリオンの宮殿に歓迎されおもてなしされる。
その中で、フォルテ達が一番興味を示したのは……果実の盛り合わせ。
「美味い!なんて瑞々しさと甘さだ。」
「こんな美味しい果実は初めてです!」
「ええ…本当にそうですね。」
「これほど、糖度の高い果物は中々ないですね。」
「……実に美味。」
紅丸、リグル、カーネル、黒死牟もこの果実の美味しさに驚いてる。……甘党の紅丸なんて頬が自然と緩んでいた。
その様子を見ていたカリオンは笑みを浮かべながらこちらが用意した酒を飲んでいた。
「はっはっはっは!そうだろうよ!うちの奴らが丹精込めて作った果実だからな!だがフォルテ!お前達が持って来てくれたこの酒も実に美味い!」
「ブランデーと言う林檎で作った蒸留酒だ。気に入ったか?」
「ああ!これ程美味い酒ならアルビスとスフィアも気に入っているだろう。」
アルビスとスフィア。フォビオと同じ三獣士の二人で今は使節団として
「アルビスなら酒樽ごと飲んでいるだろう。」
「……随分と豪快だな。相当な酒豪なんだろが……そうなると、向こうのブランデーはあるだけ飲まれているだろうな。」
フォルテの言葉にカリオンは反応する。
「あるだけ?…なんだ?あまり作れないのかこの酒?」
「まぁな。果物は試験的にしか作ってなくてな。森の恵みに頼っているからあまり量が取れないんだ。酒は嗜好品だしまだ皆には行き渡っていない。」
「そうか……ならうちの果物はどうだ。」
「ん?」
「ユーラザニアの果物の品質はお前が味わった通りだ。うちの果物を
それはありがたい!この品質の果実からならより美味い酒だって作れる。
「ありがたい。……それで酒をそちらに渡す割合はどうする?」
「はっはっは!分かっているじゃねぇか!細かいことはそちらに任せる。まぁアルビス辺りが向こうで同じようリムルに話している筈だ。」
となると……リムルは
「そうなると、うちの商人である
「なら許可書を発行しておいてやる。こんな美味い酒の為なら安いものだ。」
こうして……酒によって獣王国と様々な取引ができるようになった。
皆が寝静まった頃、宮殿の中庭でフォルテは月を眺めていた。
「悪い待たせたな。」
「いや。俺もさっき来たばかりだ。」
フォルテはカリオンに呼び出されていた。
「それで、話とはなんだカリオン?」
「なぁに、大したことじゃねぇんだが…実は使節団とは別に密かに
「……ほぉつまり偵察ってことか。」
「ああ。だがそれは建前で本当は送る奴が
「そうか。……でなんでその偵察の話をわざわざ俺にバラしたんだ。」
「お前と戦って一つ分かった。小細工なんてせずに堂々と頼んだほうがいいってな。これから送る奴の面倒を頼む。」
「…流石はカリオン。良い目と素直な判断だな。分かった。魔王からの頼みなんて滅多にないからな。……引き受ける。」
フォルテはカリオンに手を差し出す。
「フッ。感謝するフォルテ=テンペスト。」
カリオンは差し出された手を取り、月明かりのしたでフォルテとカリオンは固い握手を交わすのだった。
その頃。
魔王クレイマンは配下の者から
「なるほど……。」
水晶の映像が終わると同時に、クレイマンは配下の女性に話しかける。
「ご苦労様。とても興味深い報告でしたありがとう。貴方の心臓…そろそろ返して差し上げても良いのですが……。」
クレイマンの言葉に、女性は胸元の服を掴む。
「後もう少しだけ働いていただけると、こちらとしても助かるんですよ。」
「………何をすればよろしいのでしょう?クレイマン様。」
「何、簡単な事ですよ。とても簡単な………ね。ミュウラン。」
クレイマンは配下の女性……ミュウランに新たな命令を指示した。
ミュウランが去った後、再び水晶に映るリムルとフォルテを見るクレイマン。
「……まさかここまでの力を持っているとは。」
『まったくだよクレイマン。』
クレイマンの背後に今回は映像としてあの人物が姿を見せる。
『まさか…このフォルテがここまでの力を持っていたとは。しかもカーネルなどのナビを従えているとは…。』
「貴方にとって想定外でしたか……ではこの後の、あの計画は困難でしょうか?」
クレイマンの問いに男は邪悪な笑みを浮かべる。
『問題は無い、むしろ嬉しい誤算だよクレイマン。あのフォルテの
そう言いながら、男は自身の背後にあるものをクレイマンに見せる。
クレイマンの目に入ったのは、無数のケーブルに繋がれた巨大なコンピュータのサーバーのような機械だった。
機械の画面には無数の0と1の
『充分なデータが揃った。いよいよコイツを使った実験を考えていた。あのフォルテならば良い実験相手になるだろう。』
「それは良かった。貴方の計画には私も期待していますよ……Dr.リーガル。」
そしてクレイマンに助力する謎の男……Dr.リーガルが遂に動き出す!
巨大なサーバーに潜む存在……皆さんは分かりますか?