転生したらフォルテだった件   作:雷影

56 / 145
フォルテ分身体とヒナタの戦いが遂に始まってしまう。
そしてタイトル通りの罠がフォルテ達を待ち受ける。


52話 動きだした麗人と電脳領域(ディメンショナルエリア)の罠

ゴブタ達が白老に一矢報いる為に作戦を実行しようと準備を進めている頃。

 

イングラシアでリムルを見守り続けていたフォルテの分身体は、今は草原に立っている。

 

最近自分を監視する者がいることに気づいたフォルテ分身体は、監視する者を引き摺り出す為に見晴らしの良いこの場所に移動したのだ。

 

しばらく立ったままでいるとようやく動き始めた。

 

《広範囲結界が展開された。結界外への空間干渉系の能力が封じられた。》

 

まずはこちらの逃げ道を封じてきたか。まぁ電脳之神(デューオ)なら簡単に解除できるが……ここはあえて捕まったフリをするか。

 

「さてお次はなんだ?」

 

《別種の広範囲結界が展開された。結界内でのスキル使用を封印するものだ。》

 

抵抗(レジスト)はできるな。」

 

《無論だ。既に完了している。本来なら一部魔法系統のスキルは一部制限が掛かるが問題無く使用可能だ。》

 

「流石だな。」

 

ここまで徹底した結界を張る者といえば…西方聖教会だな。念の為に蒼影とシャドーマンの分身体にはリムルの側を離れないように言っておいて正解だな。

 

分身体の俺よりも本体のリムルが狙われこの結界に囚われるとまずいからな。

 

フォルテが慎重に自分を狙う者から情報を得ようとしていると、背後から自分へと向けられる殺気が近づいていることに気づいた。

 

フォルテが殺気が放たれる方へと振り向くと、剣を手に持ちこちらに近づく黒髪黒眼の麗人だった。

 

「初めましてかな。もうすぐさよならだけど。」

 

「あんただったか…坂口日向(ヒナタ・サカグチ)

 

そう…シズさんの教え子であった坂口日向(ヒナタ・サカグチ)だった。

 

「私のことを知ってるんだ。」

 

「あんたの事はシズさんから聞いているからな。」

 

シズさんの名を出すとさっきよりも鋭い眼差しで俺を睨んでくる。

 

「それで、こんな結界を張ったんだ。俺のことも知っているんだろう?」

 

「ええ。魔物の国の盟主フォルテ=テンペスト。君たちの国がね邪魔なのよ。だから潰すことにしたの。」

 

そう言いながら鞘から剣を…レイピアを抜き出すヒナタ。

 

「そういうわけで、今君に帰れるのは都合が悪いのよ。」

 

どうやら俺を本体だと思っているようだな……ならこのままヒナタの力を確かめさせてもらうか。

 

互いに構えをとるなか、無駄だと思うが一応フォルテはヒナタに問う。

 

「こちらの話を聞く気はないか?」

 

「話す?私とあなたが?……魔物の言葉に興味は無い。」

 

そう言ってヒナタがレイピアを突き出す。

フォルテは紙一重でその攻撃を躱す。

 

「へぇよく躱せたわね。この中で思うように動けないでしょうに。」

 

「確かに厄介な結界だな。」

 

「西方聖教会が誇る究極の対魔結界。この聖浄化結界内では魔素が浄化されるの。魔素を活動源とする魔物は存在維持に力の大半を使わざるを得ない。」

 

そう言いながらヒナタは鋭い連撃を繰り出す。

 

「下位の魔物なら消滅するわね。」

 

「そのようだな。」

 

フォルテは全てを躱す。

 

「この結界内でこれだけ私の攻撃を躱し続けるなんて少し驚いた。さすがはシズ先生を殺した魔物。敵は取らせてもらうわよ。」

 

「殺した?何を言っている?シズさんは生きている。」

 

「そんな嘘を私が信じるとでも?密告があったの。貴方達がシズ先生を殺したってね。」

 

「密告?」

 

なるほど…ヒナタはその嘘の情報を信じ込んでいるようだな。

 

「どこの誰が言ったか知らないが、シズさんが生きている事は本当だ。」

 

「さっきも言ったけど、魔物の言葉に興味はない!」

 

再びフォルテに斬りかかるヒナタ、フォルテはチップ化していた侍之刀(サムライソード)を出現させ受け止める。

 

「魔物だからと話すら聞かないとは…人種差別か人間絶対主義のようだな。」

 

フォルテの言葉にヒナタを眉を動かした。

 

「なんだ?魔物の話には興味がないんだろう!」

 

そう言いながらフォルテはヒナタごと刀で斬り払う

 

「なら元日本人としてなら話くらいは聞くのか?」

 

「日本人?」

 

「車に轢かれて死んだら、この世界でこのフォルテの姿に生まれ変わっていたんだよ。まぁゲームとかやらなさそうなあんたに言っても分からないだろうがな。」

 

「……情報通り日本人って言い張るのね。それ以上の演技は無駄よ。」

 

……どうやら俺が元日本人であることも改竄されているようだな。

 

全くこちらの話を聞かないヒナタが再び斬りかかってくる。

 

「本当はね、聖騎士団長の私が出るまでない仕事なの。」

 

「なら何故来た。」

 

「私が出向いた理由は一つ。」

 

ヒナタの突きが迫る中わフォルテは躱しながら左手でその剣を掴んだ。

 

「自分の手で君を殺したかったから。」

 

剣を掴まれたヒナタはすぐさまフォルテに向かって蹴りを放った。

 

それに対してフォルテは即座に剣を離してヒナタの蹴りを躱しながらその足を掴んだ。

 

「オラァ!」

 

そして、そのままヒナタを投げ飛ばす。

 

「くっ!」

 

投げ飛ばされたヒナタは空中で体勢を整えながら着地した。

 

「それにしても、中々厄介な細剣(レイピア)だな。物質体(マテリアル・ボディー)でなく精神体(スピリチュアル・ボディー)を直接攻撃できる代物とはな。」

 

「へぇ。分かるんだ。……この細剣(レイピア)の特殊能力を用いた七彩終焉突撃(デッド・エンド・レインボー)は、七回の攻撃で確実に相手を死に至らしめる。それが例え精神生命体であってもね。……それにしても、この結界内で私の攻撃を全て躱しながらそれに気付くなんて正直思わなかったわ。」

 

まぁレイピアを掴んだあの瞬間に電脳之神(デューオ)が解析したからな。……もちろんヒナタの能力についても。

 

「でも躱すのが精一杯のようね。君は良く頑張ったけどもう良いでしょう。」

 

そう言いながら一歩一歩フォルテに迫るヒナタ。

 

確かにヒナタは強い。この結界がなくても分身体の俺では勝てないかもしれない。……こんな強い奴がいるとはな。

 

その時、フォルテは笑みを浮かべた。

 

フォルテが笑ったことに気づいたヒナタは歩みを止める。

 

「何を笑っているの?」

 

「…嬉しいんだよ。お前のような強い奴がいる事に……今戦っていることが嬉しくて仕方ない!俺自身が嬉しくて心が激ってきてしょうがない!」

 

先ほどとは違うフォルテの変化に少し戸惑うも、ヒナタはすぐに落ち着いた表情に戻った。

 

「この状況でそんな事が言えるなんてね。でも、貴方に勝ち目がないことに変わりはない。さぁ終わらせてあげる。」

 

ヒナタは再びフォルテに向かって歩み出す。

 

ヒナタとあの剣の情報は得た……このままやられてやってもいいが、せっかく激ってきたんだ。もう少しだけ戦うとしよう……こちらから攻めるほうで。

 

フォルテは結界を抵抗(レジスト)しているのでスキルは使えるし、技術(アーツ)も使える。……だがここはあえて、あの呼吸での実戦をすることにしたのだ。

 

スキルなどを封じられた時に備え戦えるように身に付けたあの呼吸を。

 

ゴオオオオオオオオ!

 

凄まじい音が響きだし、ヒナタは再び足を止めた。

 

「…何この音……呼吸?」

 

フォルテの呼吸が変わったことに妙だと感じたヒナタ。

 

フォルテの様子を見極めようとした次の瞬間、赫い炎を纏いながらフォルテが一瞬のうちにヒナタの前に現れた。

 

「ッ⁉︎」

 

ヒナタの咄嗟に剣で防御しフォルテは繰り出す斬撃を防いだ。

 

(急に動きが変わった⁉︎……結界の効果が効いていない……いやそれとは違う何かが。)

 

突然過ぎる変化に流石のヒナタも顔歪める。

そう隙を逃さないとばかりにフォルテは攻め手を緩めない!そのまま連撃を放ってヒナタを攻め続ける。

 

対するヒナタは、先程と立場が逆転し防戦一方となる。

 

(なんて猛攻……一撃一撃が重い!……けど、剣技のはずなのにまるで舞のような動きね……。)

 

フォルテは型を使ってはいない。だがそれでも繰り出される斬撃が繋がりまるで赫い炎を纏いながら舞っているようにヒナタには見えていた。

 

繰り出される斬撃の速度が徐々に加速していき、その速度に流石のヒナタも捌ききれなくなる。

 

「くっ!」

 

ガギーン!

 

ヒナタの剣が遂に弾かれ宙を舞いながら地面に突き刺さった。

 

「……魔物でこれほどの剣技を。一体誰からも教わったのかしら。」

 

「この世界には、優れた剣士や侍がいるんでね。」

 

その言うフォルテの背後に白老、カーネル、縁壱、黒死牟の幻影が並び立っているように見えた。

 

ヒナタの剣の実力は確かに優れている。…白老と並ぶだろう。

だが、軍司ナビとして戦ってきたカーネルや縁壱や黒死牟のような戦国の世を生きてきた侍達の経験や技をも身に付けたフォルテには敵わなかったのだ。

 

「……この結界内で逆に私を剣技で打ち負かすなんて。……君のことを見くびり過ぎていたようね。」

 

そう言ってヒナタは後ろに向かって飛び引き、懐から札を取り出した。

 

「ならこれからどうかしら……星幽束縛術(アストラルバインド)!」

 

取り出した札をフォルテ目掛けて投げ飛ばす。

 

無数の札がフォルテの周囲を取り囲むと同時に、光の結界となってフォルテの動きを封じようとする。

 

《魂を覆う星幽体(アストラルボディ)を縛る結界だ。》

 

「そうか…だが!」

 

フォルテが力を込め闘気(オーラ)を放ち結界を破壊した。

 

「やはりこれぐらいじゃ止められないわね。」

 

その言ってヒナタはすぐ次の手を打つ。

 

「精霊召喚!」

 

ヒナタの前に水、風、火、地、空の5属性の精霊が召喚される。

ヒナタの名に従い精霊達がフォルテを攻撃する。

 

フォルテが精霊を相手している間に、ヒナタは祈るように手を合わせ詠唱を始める。

 

「神へ祈りを捧げ奉る。我が望み、精霊の御力を欲する。」

 

なるほど。この精霊達は詠唱の為の時間稼ぎか。

 

フォルテが精霊の相手をしながらヒナタの行動を観察し続ける。

やがて精霊達が勝手に消え、フォルテの足元に魔法陣が展開される。

 

「我が願い、聞き届け給え。」

 

更に魔法陣がフォルテの上空へと次々と展開しながら登っていく。

 

《この神聖魔法を解析完了。物質だけでなく魂までも完全消滅させる。》

 

なるほど…これが奥の手って訳だな。

 

「万物よ尽きよ!霊子崩壊(ディスインテグレーション)‼︎

 

両手を前に翳しながら叫ぶヒナタ

 

魔法が発動し俺は宙に浮かび上がる。これは逃れなれないと理解した俺はヒナタに顔を向ける。

 

「…ここまでのようだな。次は本体でなヒナタ。」

 

フォルテの言葉にヒナタは目を見開く。

 

そして、フォルテは光の柱に呑み込まれ消滅した。

 

 

やがて残ったのは霊子崩壊によってできた破壊の跡だった。

 

フォルテが立っていた場所を見るヒナタは、フォルテの最後の言葉を思い返していた。

 

「次は本体で……まさか分身体だった………。」

 

 

 

 

 

そして現在

 

倒された分身体からの情報を得た本体であるフォルテがカーネルとシズさんにヒナタとの会話と戦闘を説明した。

 

「ヒナタ……それほどの強さの人間とは。」

 

「ヒナタ…どうして……。」

 

「どうやら俺やリムルに関しての情報が何者かによって改竄されてヒナタに伝わっているようだ。」

 

一体何者がヒナタにシズさんが死んだなどと嘘の情報を流したのか気になるが、今はリムルが心配だ。

 

 

「ヒナタは間違いなくリムルも狙っている。すぐに知らせないと危険だ。」

 

あの結界に囚われヒナタを相手するのはリムルとて勝てるか分からない⋯…下手をすれば殺されてしまう。

 

フォルテは直ぐにリムルに繋げようとしたが、………リムルと連絡が取れない⁉︎

 

「リムルと連絡が取れないだと?電脳之神(デューオ)!」

 

《何者かによる妨害電波が放たれている。それによりリムルとの連絡及び電脳世界(サイバーワールド)への転移が不可能となっている。》

 

「妨害電波だと⁉︎発生地点は何処だ!」

 

《この町の西と東の地点から二箇所で発生している。》

 

「そうか。カーネル!お前は東に向かい妨害電波を放っている者を倒せ!西には俺が向かう!」

 

「了解しました!」

 

「シズさんはこのまま町に残って紅丸達にこの事を知らせてくれ。」

 

「うん!」

 

こうしてフォルテ達は動き出したが、……それが暗躍する者達による罠だったのだ。

 

電波の発信源に向かって移動するフォルテとカーネル。

 

互いに目的地に到着すると、二人は目を見開いた。

 

電波を発信していたのは四足歩行の虫のような青いネットナビだった。

 

「ジャミングマンだと⁉︎」

 

そう。ファントムオブネットワークに登場した妨害電波を発するネットナビでありアニメでもその能力に熱斗達は危機に追い込まれていた。

 

「何故ジャミングマンが……やはり奴がこの世界にいるのか。兎に角さっさと片付けるのみ!」

 

フォルテは闇之武装刃(ダークアームブレード)をカーネルはサーベルを構えジャミングマンに向かう。

 

ジャミングマンは目から光線や電撃で攻撃してくるが、妨害目的のナビゆえに戦闘力は殆どない。

 

そんなジャミングマンの攻撃を易々と躱し2人は急接近

 

「タァ!」

 

「ハァ!」

 

ジャミングマンは一刀両断され断末魔を上げながら消滅した。

 

………簡単過ぎる。本当に通信妨害が目的ならもっと必死に守るはず………まさか!

 

フォルテとカーネルが同じ答えに辿り着いた時、フォルテ、カーネルの立つ場所……ジャミングマンがいた場所を中心に四方の端に巨大な柱のようなものが突き出てきた。

 

「なっ⁉︎ディメンショナルコンバーターだと‼︎」

 

コンバーターが起動し、無数の六角形のエネルギーが繋がっていき七色の巨大なドームとなってフォルテとカーネルを閉じ込めてしまった。

 

「くっ!やはり罠か。」

 

「このような物を作り出せる存在……やはり…。」

 

ディメンショナルエリアに閉じ込めれた二人はコンバーターを見て作り出した者が誰か確信した。

 

「「Dr.リーガル!」」

 

二人がそれぞれ電脳領域(ディメンショナルエリア)に閉じ込めれた様子を隠れ家のモニターから眺めるリーガルと倉田。

 

「まさかこうも簡単に捕まえられるとは思いませんでしたね。」

 

「だがこれで奴らの足止めは成功だ。」

 

「では私の実験体を試してもよろしいでしょうか?」

 

「勿論だとも。」

 

リーガルの言葉に倉田は邪悪な笑みを浮かべながら手元のスイッチを押した。

 

 

その瞬間、フォルテのエリアに無数の紫の球体が出現。

 

紫の本体の中心に黄色と赤のカメラアイがあり、左右に虫の足のような刃と下半身に当たる部分から無数の配線が垂れ下がっている。

 

「馬鹿な…プロトギズモンだと⁉︎」

 

ギズモンの登場には流石のフォルテも驚愕した。プロトギズモンとは外道な科学者がデジモンを無理矢理改造して創り出した人工デジモン。

そしてその改造を行なった者は…。

 

「倉田明宏……奴までこの世界にいるのか!」

 

そして、ギズモンだけではなかった。地面から更に一体のデジモンが現れた。

 

金色の鎧を纏い、両脚に聖なる輪(ホーリーリング)を装着した兎型のデジモン……アーマー体デジモンのラピッドモンだ。

だが、このラピッドモンは普通ではなかった。

 

顔が赤く染まり、背に培養液が満たされた試験管のような器官が突き刺さっていた。

 

「バイオデジモンまでいるのか⁉︎」

 

バイオデジモンとは倉田が人間にデジモンのデータを融合させたハイブリッド体だ。

 

「バイオデジモンなら人間がなっているはずだが……。」

 

よく見るとバイオラピッドモンの目が赤く光って意思を感じられない。

 

「……意識すら奪ったのか!」

 

モニターでこの様子見ているリーガルと倉田。

 

「あれが貴方の研究成果ですか素晴らしいですね。」

 

「この世界に流れ着いた事で手に入れた私のユニークスキル合成者によって私が今まで改造合成したものを再現することができました。」

 

「確か今回のバイオデジモンは偶然捉えたあの者を使ったのでしたね。」

 

「ええ。もっとも、こちらとの取引を拒んだので意識を奪ってやりました。今では私に忠実な存在。あのデジモンのデータを試すにはあの人間でしかできませんでしたからね。」

 

「……聖なる力。運命のデジメタルでしたか。フォルテの相手には相応しいですね。さてでは私の実験にはカーネルに付き合ってもらいましょうか。」

 

リーガルのそう言って椅子に備えたスイッチを押した。

 

カーネルが囚われいる電脳領域(ディメンショナルエリア)からは地面から銀の液体が無数に染み出し、更にあるナビが出現した。

 

「これは!」

 

 

プロトギズモンに囲まれバイオラピッドモンと対峙するフォルテ。

 

「コイツらを倒さないといけないようだが……俺がこうならカーネルも何かあった筈だな。」

 

フォルテは直ぐにカーネルに思念伝達で連絡を取る。

 

「カーネル無事か。」

 

『フォルテ様……敵の罠に嵌りディメンショナルエリアに囚われました。』

 

「カーネルもか…俺もだ。そして敵が出現した。カーネルの方も現れているか?」

 

『はい。……リーガルの液体兵とフォルテ様が。』

 

カーネルの前にはリーガルが従えていた銀の液体金属のような存在がカーネルを取り囲み、何故かフォルテまでいるのだ。

 

「俺がだと?」

 

『はい間違いありません!強さは暴風大妖渦(カリュブディス)戦の時くらいだと思われます。』

 

ジャミングマンがいる時点で可能性があったが……奴を手に入れたのかリーガルは……キャッシュを。

 

 

自分の用意した配下達に囲まれるカーネルの光景を見るリーガルは笑みを浮かべる。

 

「さぁカーネルよ。今の自分の主人に勝てるかな。」

 

「しかし見事に複製されていますね。あれがファントムナビとやらですか。」

 

「全ては彼らのおかげですよ。」

 

リーガルの背後の巨大なサーバーに蓄えられているデータから人型が浮かび上がる。その存在こそがキャッシュだ!

 

「おっ…己れ……人間が……。」

 

「おや?まだ抗う意識が残っていましたか。たかがデータ生命体が私達に逆らうなど身の程を知らずなところはシェードマンと同じか。」

 

「だがその意思もまもなく消えるでしょう。」

 

リーガル、倉田はそう言って再びモニターに映るフォルテとカーネルを見るのだった。

 

「カーネル。そいつが俺が思っているファントムナビなら擦り傷を負わせられれば勝てる筈だ。……できるか。」

 

『無論です。フォルテ様の偽物などに負ける訳にはいきません!』

 

「フッ。言ってくれるな。だが気を付けろ。キャッシュから作られた俺の偽物だからな。カーネルの感じた通りなら、暴風大妖渦(カリュブディス)戦時点までの俺の力…能力を完全再現されている筈だ。」

 

『分かりました。』

 

こうして俺達は思念伝達を切り互いに自分の相手に集中する。

 

「…まさか人工やバイオとはいえデジモンと戦うことになるとはな。」

 

ネットナビ対デジモンなど普通はできない戦いだ。本当に異世界だと何が起こるかわからないものだ。

そして…相手がバイオラピッドモンだ。完全体のラピッドモンと違いアーマー体のこのラピッドモンは運命のデジメンタルで進化した個体だ。

運命のデジメンタルは奇跡のデジメンタルと並ぶ強力なデジメンタルだ。

その力によってバイオラピッドモンは究極体レベルまで力を昇華できる。

 

「こんなデジモン達を用意して俺を足止めするとは……とっとと片付けて魔国連邦(テンペスト)に急ぎ戻らないとな!」

 

 

カーネルの方も油断無く構える。

 

「リーガルの液体兵はある程度の再生能力はあるが問題ない。だが…フォルテ様のファントムナビは違う。」

 

今現在のフォルテほどの力は無くとも、あの暴風大妖渦(カリュブディス)と戦える力ほどの力を持った偽物だ。戦い方を間違えればカーネルも無事では済まない。

 

「だが、私とてあの頃の私ではない。必ず勝利してみせる!」

 

二人それぞれ対峙する敵に立ち向かう

 

 

 

その頃。魔国連邦(テンペスト)では、ファルムス王国から先遣隊として町へと到着した異世界人……省吾達が町の光景に激怒していた。

 

「おい…おいおいおい!この町の方がファルムスよりも発展してるじゃねぇか⁉︎ちきしょうふざけやがって!なんで魔物如きが俺達よりいい暮らしをしてやがるんだ。」

 

「ちょっと可笑しくねぇ⁉︎なんでうちらより贅沢してる訳?超気分悪いんですけど。」

 

「まぁまぁ希星さん。でも…確かに……。」

 

笑顔の魔物の姿を見て恭弥は鋭い眼差しとなる。

 

「…面白くありませんね。」

 

「スライムが親玉なんだろ?ソイツをぶっ殺せば俺達が此処の主になれるんじゃね。」

 

「いいねぇ省吾!その案に賛成!」

 

「僕も賛成だけど、勝手な行動は不味いよ。」

 

「大丈夫だって。俺達で騒動を起こせって話だっただろ?丁度いいじゃねぇか。」

 

「そうそう!ウチら善良な市民を魔物が襲ったって実績が欲しいんじゃん。」

 

「確かに、ラーゼン様からはそう命じられてますけどね。」

 

「ちぃ!あんなじじいに様なんて付けんなよ。」

 

「本当だし!あの爺い早く死んで欲しい訳。そしたらうちらも自由になれるっしょ!」

 

「あっははは。癖になってるんだよ。本人の前についポロッと素が出たから不味いだろ?」

 

「それじゃあ。さっささて始めようぜ!」

 

 




ディメンショナルエリアに囚われたフォルテとカーネル。
その間に起こるファルムスの侵攻!……果たしてフォルテ達は間に合うのか⁉︎
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。