転生したらフォルテだった件   作:雷影

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フォルテとカーネルがリーガルの罠に囚われている頃。…魔国連邦(テンペスト)に遂に惨劇の序章が始まる。


53話 災厄の前奏曲

フォルテ達が妨害電波の発生源を確認しに向かった後、シズさんは議事堂に向かい紅丸達に事を説明した。

 

「フォルテ様とカーネルが直接向かったのですか⁉︎」

 

「うん。…何か嫌な予感を感じてたから。」

 

「…そのフォルテ様の予感は当たっているやもしれん。」

 

「どういうこと紅丸さん?」

 

「……先ほど蒼影とシャドーマンからの知らせで、完全武装したファルムス王国の騎士がこの国に向かっているそうだ。」

 

「ファルムス王国が⁉︎」

 

「その数およそ五百…ファルムス王国で戦争の準備が開始されているそうだ。」

 

それは……フォルテの予測が当たっていたことを証明していた。

 

「それだけではない。ユーラザニアでも非常事態が起こった。」

 

「えっ?」

 

「先ほどアルビス殿から連絡がありまして、ユーラザニアが1週間後にミリム様と交戦状態に入ると。」

 

「そんな⁉︎」

 

「それでユーラザニアの民を避難民として受け入れて欲しいと。」

 

「……ミリムちゃんが何故………。」

 

「分からない。だが今分かっている事は、フォルテ様の予測が当たってしまったと言う事だ。」

 

前々からファルムス王国を警戒していたフォルテが、もしもの時の対応を紅丸達に指示していたのが役に立つ時がきてしまったのだ。

 

「ユーラザニアの避難民を受け入れる前に、まず町の住人達を直ぐに避難させるんだ。」

 

「了解しました!」

 

リグルドが会議室から駆け出して行った。

 

「俺とシャドーマンと蒼華は引き続きファルムス王国の騎士達の動きを見張っておく。」

 

「頼んだぞ蒼影。」

 

蒼影、シャドーマン、蒼華もすぐに行動を開始しこの場から消えるのだった。

 

「……フォルテ君。」

 

ユーラザニアに起きた事態と魔国連邦(テンペスト)に迫るファルムス王国の騎士。何かが起きる…そうシズさんも感じ始め、妨害電波を調べに行ったフォルテの身を心配するのだった。

 

 

その一方では、ミュウランがクレイマンから最後の命令を伝えられていた。

 

『ミュウラン最後の命令です。中央都市リムルを魔法不能領域(アンチマジックエリア)に変えるのです。ミリムの暴走で時間がありません。今すぐに取り掛かりなさい。』

 

「ミリム?魔王ミリムに何か……。」

 

『質問を許してはいません。』

 

「…っ申し訳ありません。」

 

『目的は外部との通信の途絶です急ぎなさい。』

 

「一点確認を、この魔法は術者を基点に発動します。つまり、ここを魔法不能領域(アンチマジックエリア)に変えたあと、魔導師(ウィザード)である私自身何も出来なくなります。クレイマン様への連絡手段も……。」

 

『構いません。もう用はありませんので。』

 

その言葉にミュウランも自分はもう捨て駒になったと理解するしかなかった。

 

「…そうですか。」

 

ミュウランがクレイマンからの最後の命令を受けているその一方で、希星(キララ)が騒動を起こした。

 

きゃあああっ‼︎

 

女性の叫び声に魔物も人間も一斉に声のする方へと顔を振り向いた。

そこには、警備隊のゴブゾウと希星が揉めていた。……もっとも希星がゴブゾウに言い掛かりをつけているのだが。

 

「ちょっとアンタ!今 ウチのお尻を触ったっしょ!もしかして襲おうとでも考えたワケ⁉︎」

 

「えっ?え?おっオラ何もしてないですよ⁉︎」

 

「ちょっとしらばっくれないでほしいわけ!どういう目的でウチを襲ったのかちゃんと説明してほしいって言ってるの!」

 

ゴブゾウに詰め寄る希星は、ゴブゾウの手に触れた瞬間。

 

「きゃあ!」

 

わざとらしくゴブゾウに突き飛ばされたような演技をしたのだ。

 

「痛ーい‼︎」

 

普通なら演技だと分かりやす過ぎる行動だが……周りの人達は希星の言葉を鵜呑みにしだした。

 

「なに?なんの騒ぎ?」

 

「触られたとかなんとか…。」

 

「誰か見てないのか?」

 

「あのボブゴブリンが女の子を襲ったってよ。」

 

「この町の衛兵が…。」

 

「マジかよ。」

 

「ここの魔物は大人しいと聞いていたが、やっぱり魔物は魔物か。」

 

周りの者達の話を聞いて希星は周りに見えないように笑みを浮かべていた。

 

「希星のユニークスキルはやっぱ怖えな。」

 

「うん。狂言師(マドワスモノ)は相手の意識に働き掛けるからね。希星の言葉を信じ言われた通りになる。」

 

省吾(ショウゴ)恭弥(キョウヤ)は互いに笑みを浮かべる。そしてゴブゾウを更に追い詰める。

 

「おいおい!この町じゃ客人に暴行をはたらくのかよ!」

 

「そう言う汚いまねをするのが魔物達の目的だったのか!」

 

二人の言葉で周りの者達は更にゴブゾウを疑う。

 

「…よく見たらいやらしい顔してんな。」

 

「やってんなありゃ。」

 

「おい、衛兵呼んだ方がいいんじゃないか?」

 

周りの声を聞いてゴブゾウが必死になって声を上げる。

 

「ちっ違うダス⁉︎オラは何もしてないダスよ!どうして誰も信じてくれないダスか?」

 

だが周囲からの疑いの視線は変わらない。その間に恭弥が希星に手を差し伸べる。

 

「うーわ可哀想。」

 

「社会的に死んだアイツ。」

 

自分達の思惑通りに進んでいくことに三人は笑みを浮かべる。

 

(ファルムスの連中が欲しいのは侵略するための大義名分。つまり魔物が人間を害したという事実!あの間抜けヅラがキレて手を出してくればもっとインパクトあるんだが。)

 

省吾がそう思っていると横から誰かがやって来た。

 

「なんすかこの騒ぎ。」

 

それはゴブタだった。

 

「あっちゃあ。またゴブゾウっすか?本当お前は何かしらしでかすっすね。」

 

「ゴブタさん!」

 

「どうもスミマセン。よく教育しとくっすよ。」

 

そう言いながらゴブゾウと一緒に希星の頭を下げて謝罪するゴブタ。

 

「でっでもオラ…。」

 

「やってないんすよね?でも、そんなの関係ないんす。疑われた時点で負けなんす。」

 

ゴブタはゴブゾウがそんな事をする奴でないことは勿論知っている。だがこの場合の対処をリムルとフォルテから聞いていた。

 

「リムル様とフォルテ様も痴漢冤罪は恐ろしいと言ってたっすからね。」

 

「ゴブタさんはオラを信じてくれるダスか?」

 

「そんなの聞かれるまでもないっすよ。お前にそんな度胸はないっす。」

 

ゴブタの言葉にゴブゾウは泣きながらゴブタに抱き付いた。

 

「わあああ!一生ついて行く出す‼︎」

 

「うわ!もう暑苦しいっすね。」

 

ゴブタとゴブゾウのやり取りに呆気に取られていた希星だが、すぐハッ!と我に戻った。

 

「ちょっちょっとなんなワケ?ウチが嘘を吐いてるっての⁉︎」

 

「……そうなるっすね。」

 

ゴブタの言葉に希星は更に怒り出す

 

「ふざっけんじゃねーぞクソが!見てないのになんでソイツの言う事信じんだよ⁉︎」

 

「そんなの簡単な話っすよ。」

 

当たり前のようにゴブタを皆の前でゴブゾウのある気持ちを暴露する。

 

「このゴブゾウは紫苑さん狙いなんす。」

 

「えっ⁉︎」

 

「ああ。紫苑さんってのはウチの幹部の人なんすけど。こう……凄いんす。」

 

ゴブタはいやらしい手付きでシオンのスタイルを説明する。

 

「シオン?」

 

「あっオレこの前見かけた!」

 

「あのクールそうな人か。」

 

周囲の人々も紫苑のことを知ったいた。

 

「と言うワケで、コイツがアンタみたいな小娘を触ろうとするわけがないんすよ。」

 

「ゴブタさん酷いダス‼︎オラの秘めた淡い恋心を‼︎」

 

「えっ?秘めてたんすか?」

 

「当たり前ダス!箱入り恋心ダス‼︎」

 

「みんな知ってるっすよ?少なくとも警備隊は。」

 

「わーっ‼︎」

 

ゴブタとゴブゾウのやり取りを見ていた希星が唖然とし、周囲の人々はそのやり取りに堪らす笑い出した。

 

わははははははははは!

 

その笑い声で我に戻った希星。もはや希星によって作られたでっちあげなど皆忘れて笑っていた。

 

「なっ……。」

 

「一生ついていこうと思ったダスが止めるダス‼︎」

 

せっかくの芝居を完全に台無しにされた希星はもう完全にキレた。

 

「ふつ…ざけんなよクソ共がぁ…。ウチを舐めんじゃねーぞ!お前らみんな〝死んじまえ〟‼︎

 

希星はそう叫んでユニークスキル狂言師を発揮

 

「あ〜あ。」

 

「やっちゃいましたか…。」

 

省吾と恭弥もこれで皆死んだと思った。……だが誰一人死んでいない。

 

これには省吾と恭弥はもちろん、狂言師を使った希星は驚き戸惑う。

 

「ウソ⁉︎なんで死なないの?ウチの狂言師(マドワスモノ)ならこんなヤツら…。」

 

「なるほど。これは声を波長に変換して、脳波に干渉するスキルなのですね。」

 

希星の狂言師の力を理解し歩んできたのは朱菜と紫苑。

 

二人の存在に気づいた希星達は二人の方へと振り向く。

 

「とても恐ろしい力ですので、我が国での使用禁止させていただきます。」

 

「な…なにアンタ。今何したの?ウチのスキルが発動しなかったのってアンタのせいなワケ?」

 

「はい。私のスキルで相殺いたしました。わが国を好んで、おいでくださった皆様を殺そうとするお力でしたので。」

 

朱菜はそう言って希星達に頭を下げる。

 

「どうぞお引き取りを。貴方様とお連れ様はこの国に相応しくないようです。」

 

「うそ…信じられない。」

 

希星は力無くその場に座り込んだ。自分の狂言師が無効かされるなど思わなかった故に。

 

そんな希星に変わって省吾と恭弥が前に出る。

 

「へーえ。アンタここの偉い人?そういう態度とるんだ。ってか魔物って美人いるんじゃん教えとけよあのジジィ。(俺の奴隷にしてやる。泣いて許しをこうまでいたぶってやるぜ。)」

 

朱菜を見ながら省吾がそんなことを考えていると、省吾のその表情から察した紫苑が朱菜を守るように前に出る。

 

「下種め。下卑た考えが顔に出ているぞ。このまま素直に町から出るならよし。さもなくばその命ないものと思うがいい。」

 

「面白ぇ実力差を体に教えてやるよ。」

 

「やれやれ。どっちが先に手を出したか微妙なカンジになっちゃったな。まっいいか。僕も自分の能力を試してみたかったんだ。」

 

そう言って荷物を下ろし構える省吾と武器を手に取る恭弥。

 

「叩きのめさなければ理解できないようですね。」

 

そう言って、紫苑は背に背負っていた剛力丸を手に取り……地面に突き刺した。

 

「では相手になってあげましょう。」

 

そんな紫苑に朱菜は注意するように言う。

 

「紫苑。あの者達からただならぬ気配を感じます。大太刀…剛力丸を置いて戦うのは危険かと。」

 

「…ええ。しかし朱菜様、相手は人間です。侮っているわけではありません。ですが、リムル様とフォルテ様は魔物と人間の共存共栄を望んでおります。ならばこそ、なるべく穏便にこの身一つで事を収めるべきだと思うのです!」

 

そう紫苑は答えながら構える。

 

「面白ぇ。邪魔するなら潰してやる!」

 

こうして予定とは違うが、省吾達によって騒動が起こってしまった。

 

 

その一方。クレイマンの命により魔法不能領域(アンチマジックエリア)を展開する為に町の中心辺りに移動していたミュウラン。

 

その時、周囲の人々が騒いでいた。

 

「おい衛兵呼んだ方がいいんじゃねぇか?」

 

「もう行ってるだろ。」

 

「入り口の方だって。」

 

「シオンさんが相手しているらしい。」

 

(何かあったみたいね…。そっちに注目してくれるのは好都合だわ。)

 

ミュウランは急ぎ中心部を目指す。

 

(……範囲魔法の基点が私だと知られれば、私はこの町の幹部達に捕らえられるだろう。少なくともハクロウ殿…それに盟主の一人であるフォルテには、私の正体はバレているようだった。……でも、逃げる事はもっと出来ない……。)

 

ミュウランの脳裏に浮かぶのは自分を見てくれるヨウムの姿だった。

 

中心部にたどり着いたミュウランは路地裏へと入り魔法を発動しようとした時、背後から声を掛けられた。

 

「どこ行くんだミュウラン。」

 

「グルーシス……。」

 

声を掛けて来たのはグルーシスだった。

 

「(急いでいるというのに…)なぁに?何か用?」

 

「いや用っつーほどじゃねぇんだけどな。例の話を知ってるかと思ってさ。」

 

「例の話?(まさか何か気付いて…。)」

 

「食堂に新作の菓子が出るようになったって話だよ。シュークリムルとか言う名前ですげぇ美味いらしい。暇なら今から食べに行かねぇか?」

 

何か気付かれたかと思えばまさかの菓子の話にミュウランは少し呆気にとられた。

 

「?どうした?」

 

「………いえ。せっかくだけど昨日貰ったばかりなの。それに今は急いでいるから…。」

 

「もしかしてヨウムか?」

 

「えっええ。」

 

「あの野朗また抜け駆けかよ。」

 

そう言いながら舌打ちするグルーシスだった。

 

「ともかく私は用事があるからまた後で…。」

 

「後で?本当に後で会えるのか?」

 

グルーシスが次に話した内容を聞いたミュウランは、目を見開き足を止める。

 

「さっき俺に不思議な連絡がきたんだよ。獣王国ユーラザニアが魔王ミリムから宣戦布告を受けたってな。」

 

「魔王ミリムが?」

 

「ああ。なんでも1週間後に攻めに来るとかなんとか。」

 

「大変じゃない!あなたは帰らなくていいの?」

 

この時、ミュウランはクレイマンが言ったミリムの暴走と言う言葉を理解した。

 

(ああそういう事、クレイマンは魔王ミリムと接触を図っていた。彼女に何かをさせるつもりだったのは明白だけれど、恐らくこの宣戦布告は計算外だったんだわ。)

 

「……らしくねぇと思わねぇか?」

 

「え?」

 

「魔王ミリムだよ。破壊の暴君(デストロイ)と呼ばれちゃいるが、道理のわからない方じゃない。かつて魔王カリオン様は魔王ミリムをそう評していた。」

 

「……あなたの主魔王カリオンが魔王ミリムの逆鱗に触れたのかもしれないわ。」

 

「まぁ、それは無いとは言えねぇけどな。お二人の性格を考えると、第三者の意思が介在してるって方が余程自然だ。」

 

「おかしなことを考えるのね。第三者だなんて根拠はあるの?」

 

「獣の勘と言われちゃそれまでだけどな。ユーラザニアの友好国魔国連邦(テンペスト)で出自のはっきりしない魔人が宣戦布告のあったまさにその日に人目を忍んで何か成そうとしている。」

 

「っ⁉︎」

 

「答えくれミュウラン。お前誰の命令でここにいるんだ?」

 

グルーシスはミュウランが魔人であると気付いていた。

 

「…そう。私が魔人だと気づいていたの。」

 

「普段は鈍いくせに、こういう時は鋭いのね。」

 

「誰の命令で何をするつもりなのかは聞かねぇ。でも今はやめておけ。この国の上層部は今ピリピリしてるんだ。俺はユーラザニアの客だから教えてもらった。数日前から人間の武装集団が接近しているらしい。」

 

「…それは知らなかったわ。(何かが起きているそれもクレイマンの思惑の埒外で。)」

 

「余所者が怪しい動きをすれば捕らえられちまう。だから今は大人しくしてろ。」

 

(これ以上計画を乱されればクレイマンは何をするかわからない。早く魔法を発動させなければ…。)

 

ミュウランを心配するグルーシスだが、今のミュウランは止まる訳にはいかない…。

 

「おいっミュウラン!」

 

「やるしかないのよグルーシス。私はあなたの事も好きよ。友達としてだけどね…。私に他の選択肢はないの。邪魔をすると言うのなら…あなただって殺すわ。」

 

そう言いながらミュウランは額に第三の目を持つ本来の姿…魔人の姿となる!

 

「ミュウランお前…どうしてそこまで…‼︎」

 

その時、グルーシスはミュウランの瞳を見て理解した……ミュウランの覚悟を。

 

「お前その覚悟…死ぬ気なのか…何故だ⁉︎命がけでやらなきゃならねぇほどのことなのかよ⁉︎お前の主は一体何を企んでいやがる⁉︎」

 

グルーシスの問い黙秘するミュウラン。

 

「魔王クレイマンは手下を使い捨てにするって有名だったな。ひょっとして!」

 

「黙りなさい!それ以上喋ったら!」

 

「やっぱりそうなんだな。お前が死を覚悟してまで従うって事は…。」

 

「その話、詳しく聞かせろよ。」

 

二人の会話に入って来たのは真剣な表情のヨウムだった。

 

「ヨウム…。」

 

ヨウムはミュウランに歩み寄る。

 

「ミュウラン何か事情があるなら話せ。俺が守ってやる。」

 

「馬鹿なの⁉︎この姿を見たらわかるでしょ?私は魔人なのよ⁉︎」

 

「それがなんだってんだ。種族がなんだなんてのは本人の魅力とは全く関係のない話だ。この国の主がスライムや知らねぇ種族だと知った時、俺はそれを通過したんだよ。」

 

種族が違えどその者の本質が大事であるとヨウムはリムルとフォルテと出会った理解した。そんなヨウムだからこそ、魔人であるミュウランを心の底から愛せたのだ。

 

「お前が好きだミュウラン。惚れた相手を守りたいってのは自然な感情だろ。」

 

魔人と分かっても…自分を好きだと言ってくれるヨウムにミュウランは心の中では嬉しくて堪らなかった……でも自分はヨウムに好かれる存在じゃないと言わんばかりにミュウランは声を上げる!

 

「…いっ今までの私はあなたを騙すために作り上げた虚像に過ぎないのよ!あなたが惚れた相手は実際には存在しないわ!」

 

だがヨウムはそんな事気にしないと言わんばかりに、ミュウランの手を掴み自分の元に引き寄せそのままミュウランを抱き締めた。

 

「安心しろミュウラン。俺は死ぬまでお前に騙されてやる。最後まで信じればそれは真実と変わらんからな。」

 

ヨウムの変わらない気持ちにミュウランは心は満たされていった……そして本当の意味での覚悟が決まった。

 

「……離して。」

 

「あっすまん!」

 

ヨウムがミュウランを離すと同時にグルーシスがヨウムに掴み掛かる。

 

「何どさくさ紛れに抱きしめてるんだよ!」

 

「いやこの流れなら許されるかと思って。」

 

「許さねぇよ俺が‼︎」

 

「なにぃ⁉︎お前は関係ないだろ‼︎」

 

歪み合う二人の姿を見ながらミュウランは静かに呟く。

 

「……ありがとうヨウム。」

 

ミュウランはそう言った瞬間に大魔法を発動!その余波でヨウムとグルーシスは左右にそれぞれ弾き飛ばされた!

 

「ミュウラン‼︎」

 

(貴方を守るためならば私はー…。)

 

「ミュウラン!」

 

グルーシスはミュウランを止めようとしたが出来ない…その時!グルーシスとヨウムの前にD(ダーク)ロックマンとD(ダーク)ブルースが現れた。

 

「なっ⁉︎」

 

「あんた達⁉︎」

 

「悪いがフォルテからの命令だ!」

 

「止めさせもらうよ!」

 

二人がミュウランを捕らえようとした瞬間、ミュウランの足元から銀の液体が飛び出し人型となって二人を阻んだ。

 

「コイツは⁉︎」

 

「リーガルの!」

 

そうDr.リーガルは、ミュウランの影にこの液体兵を忍ばせいた。

 

二人が液体兵に阻まれた僅かな時間……その時間だけで十分だった。

 

ミュウランの大魔法…魔法不能領域(アンチマジックエリア)魔国連邦(テンペスト)全体を覆っていく。

 

それにより紅丸達はリムルとの魔法通信が遮断され魔法自体が使用不可能に

 

その影響にいち早く感じたのは朱菜だった。

 

「っ!これは結界…魔法の効果が消えている⁉︎」

 

その一方、紫苑は省吾を圧倒していた。

 

「どうしたのですか?威勢が良かった割には口ほどにもないのですね。」

 

「…ちっ足癖の悪ぃ女だ。おいまだか恭弥!」

 

「うーん。騒ぎを起こしたらすぐにって話だったけど、まだ効果が出ないみたいだね。」

 

話ながらゴブタに斬りかかる恭弥。

 

「効果?何のことすか?」

 

そんな恭弥の攻撃を躱し続けるゴブタ。

 

「内緒。別に今すぐ本気出してもいいんだけどさ、どうせなら圧倒した方が楽しいと思って。」

 

恭弥がそう言った直後。魔国連邦(テンペスト)の四方に設置された装置からレイヒム達が秘術を発動した。

 

四方印封結界(プリズンフィールド)‼︎

 

魔国連邦(テンペスト)全体がさらに巨大なピラミッド型の結界に覆われた。

 

そう恭弥達が待っているのは、この四方印封魔結界(プリズンフィールド)

 

「あっ!更なる結界が…!」

 

この四方印封魔結界(プリズンフィールド)聖浄化結界(ホーリーフィールド)の劣化版だが魔物達にとって効果は絶大に発揮される。

 

結界内の魔素が浄化され皆が弱っていく。

 

「…ああ。やっと始まったみたいだよ。」

 

その影響は力の強い者……紫苑にもあり、弱体化によって膝をついてしまった。

 

(なんだ⁉︎……体から力が……。)

 

「…へっどうしたんだ姉ちゃんよぉ。随分と辛そうじゃねぇか。」

 

そして……この二重結界が張られたタイミング待っていたかのように、魔国連邦(テンペスト)内で更に無数のジャミングマンが出現。透明化(インビブル)で姿を消しながら潜んでいたのだ。

 

ジャミングマン達が一斉に結界内で妨害電波を発生させる。

 

これによって……魔国連邦(テンペスト)は魔法の無効化され外界と遮断され、四方印封魔結界(プリズンフィールド)で弱体化し、ジャミングマンによって電脳空間(サイバーワールド)からの電脳魔人(サイバーノイド)達の援軍すら呼べない状況へと追い込まれたのだった。

 

 

 

 

 




遂に惨劇が始まる。魔法不能領域(マジックアンチエリア)四方印封魔結界(プリズンフィールド)だけでなく、リーガルが密かに忍ばせていた無数のジャミングマン!
魔国連邦(テンペスト)が血と悲しみに染まる……。
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