………時を遡り、
「
フォルテの連射光弾で次々と倒され地面に落下するプロトギズモン達。
負けじとPTレーザーを発射するが、フォルテは全て躱していく。
「この数は厄介だが……奴のおかげで処理が助かる。」
そう言いながらフォルテが見たのは、自身を狙うバイオラピッドモンだ。
「ラピッドファイア!」
背中に装備されたリボルバーと両手から放たれるホーミングミサイル
ホーミングの名の通り追尾機能でフォルテを逃さぬようにどこまでも追いかけてくる。だが、フォルテはそれを利用して逃げながらわざわざプロトギズモンが集まっている場所に飛び込んだ。
それにより、フォルテを追っていたミサイルはそのままプロトギズモン達に直撃し爆破
それを繰り返しながらプロトギズモン達を倒していき、プロトギズモン達を全て撃破。
倒されたプロトギズモン達は地面に落下して動かなくなった。
これでようやく、バイオラピッドモンとフォルテの一対一での戦いが始まる。
バイオラピッドモンは変わらずラピッドファイアでミサイルを撃ちまくる。
フォルテはそれを光弾で迎撃しながら全て撃ち落としていく。
何故かフォルテは攻めずに防戦一方だった。……それには理由があった。
(このデジモンが本当にバイオデジモンなら、人間とデジモンが強制的に融合させられた存在。なんとか分離してやらないとな。)
そう。バイオデジモンはデジモンと人間が融合した存在。アニメなら主人公達が倒せば分離してデジモンはデジタマに戻っていたが、この世界では違う。
故にフォルテは
《解析が完了した。これにより分離が可能となった。》
「よし!」
カチッ…カチッ…カチッ!
バイオラピッドモンの弾が尽きたようだ。
あれだけ撃ちまくれば当然だな。それに無理矢理バイオデジモンにした影響だろうが力を十分に発揮できていないようだ。
バイオラピッドモンのミサイルを喰らって倒されたプロトギズモン達が消滅していないのだから。
弾切れとなったラピッドモンは全身でTの文字を表すとラピッドモンを軸に金の線が繋がり逆三角形を作り出した。……ラピッドモン最大の必殺技を放つつもりだ。
それを見たフォルテも両手に
「ゴールデントライアングル!」
「
逆三角形の聖なる光線と闇の波動が同時に放たれぶつかり合う。
一時的に拮抗していたが、フォルテの闇の波動が聖なる光線を押し返しながら呑み込んだ。
そのままバイオラピッドモンに直撃し爆発
爆発によりバイオラピッドモンは後ろへと弾き飛ばされる。
なんとか持ち堪え体制を立て直したバイオラピッドモンだが、フォルテの姿が消えていた。
急いで辺りを見回し探すバイオラピッドモン。その次の瞬間、バイオラピッドモンの目の前にフォルテが現れた。
そしてそのまま拳を振るいバイオラピッドモンを殴り飛ばした。
殴り飛ばされたバイオラピッドモンは
その衝撃により、背中に突き刺さっていた試験管の様な器官が砕け散り前へと倒れそうになるバイオラピッドモン。……だがそれをフォルテが頭を掴み止めた。
「…やれ
《了解。分離を開始する。》
フォルテの手から分離させる為のエネルギーが流し込まれていく。
バイオラピッドモンはそのエネルギーによって光だし三つの光となって分離した。やがて光は形を成し本来の姿となった。
現れたのは赤髪の男性とやはりデジモンのテリアモン。しかもそれだけでなく、黄金の輝きを放つ台座の上に乗った羽の付いた玉……そう運命のデジメンタルだった。
「まさか…デジメンタルまであるとはな。」
あの奇跡のデジメンタルと並ぶ凄まじい力を秘めたデジメンタル…それが運命のデジメンタルだ。
とりあえずフォルテは運命のデジメンタルをチップ化して回収した。
そして男とテリアモンは地面へとゆっくりと倒れ落ちた。
「さてと、あとはこの二人だが……。」
フォルテは気を失っている赤髪の男とテリアモンを見る。
「無理矢理融合させられたうえに、意識を奪われていたからな。その影響でしばらくは目を覚さないだろうが……この男の服装…。」
フォルテが気になっていたのは赤髪の男が着ている服装だった。……その服装があのヒナタと同じ物だったからだ。
「……西方聖教会のしかもかなりの実力者だな。コイツには色々と聞きたいことがあるから連れて帰るか。後は……。」
そう言ってフォルテは手を真上に翳す。
「…
フォルテの能力により倒されたギズモン達全てが粒子かしてフォルテの手に収束されていく!そして全てのギズモンがフォルテの手に収まるとチップ化されていった。……ギズモンが描かれたチップと、デジタマが描かれたチップの二種類に。
「改造された部分は取り除いた。後は、彼らのデータを修復できれば正常なデジモンとして蘇られる。」
デジタマとギズモンのチップも回収したフォルテが次に向かったのは、自分を閉じ込めているこの
巨大なディメンショナルコンバーターに接近したフォルテはコンバーターに触れて解析を開始した。
「…もしやと思っていたが、リーガルの奴!この世界でも外道のままのようだな!」
《解析した結果、このコンバーターのエネルギー源は……人間の生命エネルギーだ。》
そう。……このディメンショナルコンバーターは人間の生命エネルギーで稼働していたのだ!しかも100や200じゃない……何千…何万人という数えきれない人々の生命エネルギーで稼働していたのだ。
「エネルギーシステムを調べてみれば……Dr.リーガルめ!」
アニメではネットナビの命をエネルギー源にしていたが、まさかこの世界では人間達を犠牲にしていたとは
フォルテは怒りに身を震わせならながら、妖刀
ホオオオオオオオオオオ!
今までより凄まじい全集中の呼吸……月の呼吸音が
「月の呼吸 拾肆ノ型 兇変・天満繊月!」
フォルテが抜刀した瞬間、周囲を埋め尽くす量の渦状の斬撃が折り重なって波状に放たれた。
広範囲広がる斬撃が全てのコンバーターを斬り裂き破壊した。それにより
その嘆きを聞いたフォルテは、全ての残留魂を一枚のチップにしてそのまま自分の中に納めた。
「……お前達の仇はいつか必ずとるからな。」
こうして、フォルテの方の決着はついた。
そしてカーネルの方は偶然にも、フォルテと同じ戦法を使っていた。
「タアァ!」
サーベルで液体兵を斬り倒しながら複製された偽フォルテ…
カーネルはFフォルテの放つ魔力弾の雨を躱しながら液体兵の元に向かって走り通過。
カーネルを追って放ったFフォルテの攻撃は液体兵を襲い倒していってしまう。
やがて液体兵が全滅し、距離を取っていたカーネルが戦車砲を構える。
「カーネル
カーネルが放った砲弾はFフォルテに命中し爆発
カーネルは冷静に爆煙を見ながら再びサーベルを構える。
「……やはりこの程度ではダメージを与えられないか。」
爆煙が晴れていくと、そこには
Fフォルテは
それにカーネルはサーベルで受けて立つ。
ぶつかり合うFフォルテのブレードとカーネルのサーベル!ぶつかる度に火花を散らせる。
「流石はフォルテ様の偽物だけはある。……力も技もフォルテ様と殆ど変わらない。」
それがファントムナビの厄介さ。
互いに斬り合い続けるが、途中で鍔迫り合いとなり…互いに背後へと飛び引き距離を取る。
距離を取ったカーネルは、今度はミサイルランチャーを腕に装備して構える。
「
ランチャーからミサイルが発射されFフォルテに向かっていく。
迫るミサイルに対しFフォルテは右腕をゴスペルの頭部に変化させ構える。
「
ゴスペルの頭部から顔を模したエネルギー弾が連射され、ゴスペルを象ったエネルギー弾がミサイルを全て粉砕した。
Fフォルテはそのまま次の攻撃を繰り出す。
「
四つの高速回転する黒紫の光輪がカーネルに襲い掛かる。
「ハァア!」
カーネルはサーベルで光輪を斬り裂いた。
「……だがやはりフォルテ様には及ばない。」
Fフォルテは確かに強い。
「あの戦いの後も、フォルテ様は私達と特訓を続けていた。そんなフォルテ様と共に私も力と技を鍛えて上げていた。」
そう言った瞬間、カーネルはFフォルテの間合いに一瞬で入った。
「タァア!」
再び斬り合い始めるが、…先ほどと違いカーネルが押している。
「…やはりな。力や技は完全再現されてはいるが、その仮初の身体がフォルテ様の力に耐えられていない。」
カーネルは戦いながらFフォルテの動きや力を見極めていた。そう…技や力を再現はされていたが、その器である仮初の身体がフォルテの力を受け止めきれずにいたのだ。
「あの時のフォルテ様の切り札でもあったXXの姿にならないのも、その力に体が耐えきれないのだろう。」
そして今、戦い続けていたFフォルテの身体が遂に限界近づき反応速度が低下してきたのだ。
「これで終わらせる!」
カーネルがサーベルでFフォルテの両腕を天へと斬りあげた。体制を崩したFフォルテはその一瞬だけ無防備となり、その僅かな隙をカーネルは逃さない。
「
カーネルがFフォルテの身体に三角形…デルタを一瞬のうちに刻み込むように斬り込んだ。
「がっ⁉︎」
Fフォルテは口から血を吐き、カーネルに刻み込まれたデルタの傷口から魔素が漏れ出しながら身体を維持できずにそのまま消滅した。
デルタレイエッジ。本来はブルースの技であるが、ゲームだとギガクラスチップで使える難易度高い切り札。
Fフォルテを倒したカーネルは、カーネル
コンバーターが破壊され消えていく
「これは……!」
カーネルはその嘆きでコンバーターのエネルギー源に気付いた。
そのすぐに、残留魂が上空に吸い上げられた。
カーネルが上空に顔を向けるとそこには、赤髪の男とテリアモンを担いだフォルテの姿があった。
「フォルテ様!」
残留魂をチップ化し回収したフォルテはカーネルの元に降り立った。
「そっちも終わったようだなカーネル。」
「はい。…フォルテ様その背の者達は?」
「リーガルの仲間によって利用された奴らだ。詳しくは戻ってから話すが、俺の偽物であるファントムナビを倒すとはな。やはりカーネルは強い。」
「いえ。私などまだまだ。ファントムも以前のフォルテ様の力を再現できてはいましたが、肉体が力に耐えきれてませんでした。」
「そうか。…ファントムの器の肉体はまだ未完成なのだろう。だからカーネルを利用して試したのか…。」
フォルテとカーネルが互いの戦闘に関する話をしていたその時
「っ⁉︎フォルテ様!」
「ああ急ぐぞ!」
フォルテは赤髪の男をカーネルに渡してから、急ぎ
その様子を監視用のジャミングマンの目を通して見ていたリーガル達。
「まさかあのバイオデジモンを圧倒しただけでなく分離まで可能にするとは…。」
「やはりフォルテはあれから更に力を得ていたようだ。それにコンバーターを破壊したあの剣技は…。」
「私の配下であった黒死牟の技……奴もこの世界にいるというのか。」
リーガルに倉田そして、白い帽子を被り小洒落た洋服を着た美青年……鬼舞辻無惨がこの戦いを見てそれぞれに口を開くのだった。
「だがこれで新たな情報を得ることができた。後はクレイマンに任せて我々は実験に戻るとしようか。」
「そうですね。ファルムスには十分な軍資金も与えていますからね。ファントムナビもバイオデジモンもまだ不安定であることが分かっただけでも良い収穫です。」
リーガルと倉田がそう言ってモニターを消して研究に戻ろうとした時、無惨が声を掛けた。
「ファントムナビ…あれはデータつまり記憶があればなんでも再現できるのか?」
「ええ。理論上は。」
「そうか。……なら私の記憶から再現して欲しい者達がいる。」
フォルテが黒死牟の技を使った。それが無惨に危機感を与え、無惨の計画にある変更が加えられるのだった。
リーガル達がそんな動きをしている時、フォルテとカーネルは
そして
「これは!」
「俺の分身がヒナタと戦っていた時の結界に似ている。(
《解析完了。内部で発動しているのは大魔法の
「つまり…今
かなり不味い状況だ。
《更に、先ほど交戦したジャミングマンの反応を30体確認した。》
「なんだと⁉︎」
「フォルテ様?」
「今
「なっ⁉︎」
ジャミングマンがいるから
《多重結界で抵抗可能だ。》
「カーネル!多重結界でこの結界を突破だ!」
「了解!」
フォルテとカーネルは自身に多重結界を張りそのまま
「これは…。」
「くそ!」
フォルテとカーネルが近場に降り立つと皆を避難させていたリグルが駆け寄って来た。
「フォルテ様!」
「リグル!状況を説明してくれ。」
「はい!謎の三人の男女が衛兵に絡み交戦に至った少し後に、町全体が突如結界に覆われ皆が弱まりました。そのすぐ後に虫のような魔物とファルムスの騎士達が攻めてきたのです。」
ファルムス…やはり動いたか。だがこうも早いとは…!
「カーネル!ジャミングマンを排除に向かえ!」
「はっ!」
「リグルは済まないがこの者達を頼む。」
「分かりました!」
フォルテはそう言ってテリアモンと赤髪の男をリグルに任せた。
そしてカーネルはすぐさまジャミングマンの排除に向かった。
フォルテは燃える町の中を飛びながら議事堂に向かった。
「皆は議事堂に避難している筈だ。……ん?あれは。」
その時、道の真ん中で泣く子供の姿を発見した。
フォルテはすぐさま降り子供の元に向かった。
「大丈夫か!」
「あっフォルテ様!…うっうわあああ!」
子供は泣きながらフォルテに抱きついた。
「もう大丈夫だ。安心しろ。」
フォルテは泣きつく子供を優しく撫でる。
「ひっく!しっ紫苑様が…紫苑様が私を庇って!」
子供のその言葉にフォルテは顔を上げて周りを見る……そして見つけたのは…。
………角が折れて横たわる紫苑の姿だった。
「……紫苑?」
フォルテは子供から離れて紫苑の元に向かった。
「…紫苑……何寝ているんだこんな時に…。」
フォルテは紫苑を抱き上げる。……いつもなら伝わる紫苑からの温もりがない……冷たい……それは死んだ者だからだ。
「嘘だろ……なぁ紫苑起きてくれ。……一緒に料理を頑張るんだろ?リムルに美味しいて言ってもらうんだろ?」
必死に話しかけるが紫苑が答えてくれることはない。
その時、フォルテの脳裏に過ぎるのは紫苑との思い出。
〝フォルテ様!不埒者を叩きのめしてやりました!〟
〝フォルテ様のおかげで包丁が上手く使えるようになりました。〟
〝見てくださいフォルテ様!この料理ならリムル様も喜んでくれると思います!〟
〝フォルテ様。今日もよろしくお願いします!〟
明るく無邪気な紫苑…いつもリムルの為に料理を頑張る紫苑……いつも俺達に元気に笑顔を見せてくれた紫苑。
………そんな紫苑が死んだ。フォルテの心の中は現実を受け止めきれずに荒れている。だがその悲しみは誤魔化せない。
フォルテの瞳から涙が溢れ出し紫苑の顔に落ちる。
「紫苑……シオーン!」
フォルテの哀しみの叫びが辺りに響く。
その叫びを聞いたであろう朱菜が走りながらフォルテの元に。
「フォルテ様!」
朱菜の目に映ったのは、紫苑を抱きしめながら涙するフォルテの姿だった。
朱菜に気付いたフォルテは紫苑をゆっくりと下ろし立ち上がる。
「フォルテ様…。」
朱菜はこちらに振り向かないフォルテに声をかける。
フォルテは朱菜に背を向けながら問う。
「朱菜……紫苑を斬った者が誰か分かるか……。」
フォルテの声が今までより遥かに冷たく重い。
「……ファルムスの騎士達を先導していた者おそらく団長と思われます。私も襲われていましたからはっきりとは……。」
「そうかすまない。……朱菜は大丈夫だったのか。」
「……私はなんとか……でもゴブゾウが私を庇って………。」
朱菜はそれ以上話さなかった……それだけでゴブゾウがどうなったのかフォルテは理解した。
「そうか………朱菜。紫苑とその子供を頼む。」
そう言って再び飛び上がるフォルテ
「あっフォルテ様!」
朱菜が声を上げるもフォルテは瞬く間に飛んでいってしまった。
飛び上がったフォルテの心は激しい怒りと憎しみに燃え上がっていた。
「
《了解した。………団長と思われる人間の
そして見えてきた場所にいたのが団長フォルゲンだった。そしてフォルテはフォルゲンの去り際の言葉を聞いた。
「この国は魔物に汚染されておる!我らは人類の法を守る者として、魔物の国など断じて認めぬ!故に西方聖教会とも協議し、この国への対応を考えるものなり!時は今日より一週間後!指揮官は英傑の誉れ高いエドマリス王その人である!降伏して恭順の意を示すならばよし!さもなくば……神の名の下に、貴様達を根絶やしにしてくれようぞ!」
……その言葉を聞いたフォルテの心が更に激しい怒りに支配される。
ふざけるな……何が認めないだ!何が恭順だ!自分達の利益が減ったから邪魔な俺達を…この町を襲っただけだろうが!
そんなこと為に……皆が……紫苑が‼︎
怒りに支配されていくフォルテの心と共鳴するように、フォルテの中の電脳獣が唸り声を上げた。
…グルルルルルルル。
そして、フォルテの心が怒りに支配されたままフォルゲンの前に落下
ドォオン!
落下の衝撃で辺りは土煙に覆われる。
「何事だ⁉︎」
戸惑うフォルゲン、そして土煙の中から緑の光の柱が立ち昇る。
そして、その光の柱から獅子の立髪を持つ巨大な魔狼……電脳獣グレイガの幻影がフォルゲン達を睨む。
グオアアアアア!
グレイガの幻影が咆哮を轟かせながら緑の光の柱へと吸い込まれる。
そしてフォルテの姿が変化していき光の柱が弾け飛び姿を現したのは……フォルテグレイガビースト
ゲームや漫画そしてアニメにも存在しないフォルテの獣化……野獣のような赤い鋭い眼がフォルゲンを睨む。
「なっなんだ貴様は⁉︎」
フォルゲンが声を上げた瞬間
ザッシュ!
何かが切り裂かれる音がしたと同時にフォルゲンの腕が…剣を握っていた右腕が宙を飛んだ。
「ガッアアア⁉︎」
突然右腕が飛んだ事と痛みに声を上げるフォルゲン。なんとか馬から落下することは耐えられた。
「フォルゲン様!」
「大丈夫ですか⁉︎」
「一体何が⁉︎」
ファルムス兵達も突然の事態に戸惑うも、フォルゲンの元に集まる。
痛みに耐えながらフォルゲンは前にいるフォルテを見ると……フォルテが腕を振るったような体制でいた。
………そう。フォルテがその場から腕を振るって爪撃を放ったのだ。
「馬鹿な…この距離で…。」
「己れ!貴様が団長の腕を!」
「魔物の分際で!」
フォルゲンの腕を切り飛ばしたのがフォルテと分かった兵達が一斉に剣を抜きフォルテに向かっていく。
「ッ!待てお前達!」
フォルゲンはフォルテの異様差に気付いて部下達を止めるが時すでに遅し。
「………
フォルテが一瞬のうちにファルムス兵達を通過した……その直後、ファルムス兵達は全身から血を噴き出した!彼らの身体は爪で引き裂かれ、それは鎧を紙のように引き裂いていた。
一瞬で兵が倒された事にフォルゲンは驚愕しながら恐怖した。結界で弱体化している筈の魔物が何故これだけ動けるのか……何故これほどに強いのかと。
フォルテの強さを見た兵達はフォルゲンを守る為に、彼の前に集まる……自分達の身を盾にする為に。
その様子を見ていたフォルテが勢いよく息を吸い込む。
「
そして口から凄まじい炎の息吹を放った。この技はゲームではプレイヤー側は使えず敵で登場したロックマングレイガビーストが使用した技。
アニメだと普通に使ったいたが…その威力は絶大。
似た技であるグレイトファイアをクロスビーストの一種であるヒートビーストで使用できた。
「「「ぎゃあああああ!」」」
ファルムス兵達はフォルテの放った息吹によって焼き焦がされる。
次々と倒れる中、恐怖から逃れるように一人の兵が無謀にもフォルテに再び斬りかかる。
「この魔物風情が!」
そんな兵に対してフォルテは容赦なく爪撃で両腕を切り裂き落とした。
「ガッああああ!」
両腕をなくし痛みから叫ぶファルムス兵。……そんな兵の頭をフォルテが掴む。頭からミシミシと音がし、自分がどうなるのか理解したファルムス兵が慌てて声を上げる。
「待っ…待て!」
グシャ!
ファルムス兵の言葉を無視してフォルテは……その頭を握り潰した。
何の躊躇もなく兵の頭を握り潰したフォルテ……その様子を見た他の兵がフォルテに恐怖し逃げ出そうと背を向けた。
「ひぃぃぃぃ!」
グサ!
……だがその兵が逃げられることはなかった。何故なら……フォルテの鋭い尾が伸びてその兵の胸を貫いたからだ。
尾がフォルテの元に戻ると、その尾には貫かれた兵がぶらさがっている。
フォルテが勢いよく尾を振るうと、尾から貫かれた兵がフォルゲン達の方へと飛び、その亡骸がフォルゲン達の前に落下した。
「ヒィ⁉︎」
「あっ悪魔だ…。」
ファルムス兵達はフォルテの容赦ない野獣の如き姿と戦い方に完全に恐怖してしまった。
そんなファルムス兵達を睨み続けるフォルテ……いや正確にはフォルゲンを睨んでいる。
貴様が紫苑を……町の皆を……許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…………………許さない‼︎
怒りと憎しみ……そしてグレイガの力に呑まれたフォルテは正常な判断ができるような意思が無かった。
ガァァァアアアア‼︎
怒りと憎しみ…そして哀しみが混じって咆哮を轟かせるフォルテ
そしてフォルテが腕をフォルゲン達に向かって突き出し瞬間、腕が変化していき、ゴスペルに似た大盾並の大きさの緑の狼の頭部と化した。
……それはグレイガの頭部だった。
本来ならフォルテが電脳獣を吸収した
グレイガの頭部の口に膨大な魔力が収束されていく。
…だがそれだけでは収まらなかった。
グレイガキャノンを放とうとしているフォルテの真後ろから更に巨大な不死鳥……電脳獣ファルザーの幻影が姿を現したのだ。
クルルキュアアアア!
ファルザーの幻影もフォルテの身体へと入っていく
それによりフォルテの背に翼が生え手脚の爪がより鋭利と化していき、色が赤紫へと変わっていく……その姿はまさに悪魔。
更に腕のグレイガの頭部も変化していった。
緑色だった頭部が赤紫へと変色し額のエンブレムが角と化し頬と立髪に鋭利な突起が加わった姿……超電脳獣グレイザーの頭部そのものと化したのだ。
フォルテの怒りにより分離していたグレイガとファルザーがフォルテを器として同調し始めてしまったのだ。
《フォルテ!落ち着くのだ!このまま怒りに任せて力を振るえば超電脳獣に完全に呑まれ復活してしまうぞ‼︎》
だが、今のフォルテには
「貴様達だけは絶対に許さない……跡形も無くこの世から消してやる‼︎」
グレイザーの口に超高密度の魔力の収束されていく。
その際、フォルテの身体から溢れ出る
グウオオオオオ!
グレイザーの幻影が咆哮を轟かせると、その余波が町全体に広がる。
弱体化している住民達はその広がる余波による
それと同時にフォルテがフォルゲン達目掛けてグレイガキャノン……いやグレイザーキャノンを放とうとする。
「紫苑達の仇だ‼︎」
放たれるその瞬間、フォルテを後ろから抱きしめる者が。
それにより発射を中断するフォルテ。
抱きしめてきた者それは……シズさんだった。
シズさんはフォルテを抱きしめながら必死に話しかける。
「フォルテ君駄目だよ!自分を見失わないで!紫苑や皆を殺されて悔しくて哀しいのは分かるよ……でも今のフォルテ君を見たら皆が哀しむよ。怒りに呑まれないで……いつもの皆を思う自分を忘れないで……。」
シズさんの言葉を聞いたフォルテの心からゆっくりとだが怒りが消えていく。
それに合わせるようにグレイザーの口に収束されていたフォルテの魔力が拡散していく。
更にシズからセレナードが分離しフォルテの前に立ちその頬に手を添える。
「フォルテ。貴方は言いました。皆を守る為に力を使うと。今の貴方は怒りに呑まれ本当の自分を見失っている。本当の自分を思い出すのです。……貴方なら大丈夫だと私は信じています。」
そう言ってセレナードは自分の頭をフォルテの頭に合わせる。
セレナードから伝わる優しい光と
そこにアイリスも駆け付ける。
「フォルテ!」
心配そうにフォルテを見つめていると、カーネルの活躍もありジャミングマンを全て倒したトリルがアイリスのとなりに降り立つ。
「お姉ちゃん!」
「トリル!」
「これって…フォルテが超電脳獣に⁉︎」
「トリル!貴方の力を貸して!」
「うん!」
アイリスがその場で祈りを始め、トリルはフォルテの元に向かいフォルテのエンブレムに手を当てる。
「フォルテ!超電脳獣なんかに負けるな!」
トリルが自身の力…シンクロナイザーの力を使い、エンブレムからシンクロナイザーの力で超電脳獣を抑制を開始した。
そんなトリルの力をアイリスが祈りながら制御し増幅している。
皆がフォルテを救う為に持てる力を使う
シズの思いにセレナードの力そして、アイリスの祈りとトリルのシンクロナイザーの力がフォルテの中の超電脳獣の力を鎮めていく。
フォルテの中では、目覚めかけた超電脳獣グレイザーが再びグレイガとファルザーに分離していった。………その際、グレイガのエンブレムとファルザーのエンブレムが合わさったようなグレイザーの魔核が新たに誕生していた。
それに伴い、フォルテの獣化が解け元に戻った。
「フォルテ君!」
「「「フォルテ!」」」
シズさん達の呼び掛けにフォルテがゆっくりと目を開ける。
「シズさん…皆……迷惑をかけた……すまない…。」
そう言って意識を失い倒れるフォルテをシズさん達が受け止める。
「フォルテ君⁉︎」
シズさんが心配そうに声を上げる中で、セレナードがフォルテに触れながら様子を見る。
「……大丈夫です。気を失っているだけのようです。」
「良かった…。」
「フォルテ…。」
アイリスもフォルテの元に近寄り無事だと分かりトリルと共に安堵した。
だがそんな空気をぶち壊す愚か者達がいた。
フォルテが倒れたと分かるとファルムス兵達が一斉に剣を向ける。
「脅かしやがってこの化け物!」
「フォルゲン様!この化け物は今のうちにとどめを刺すべきです!」
剣を手に迫るファルムス兵達……そんな彼らの前に立ちはだかったのは…シズさんだった。
「フォルテ君には……ううん、もうこの町の皆をこれ以上傷付けさせない!」
そう言って剣を引き抜くシズさん。それと同時に剣から炎が燃え上がる。
その姿を見たフォルゲンがシズさんの正体を知り声を上げる。
「まさか!爆炎の支配者シズエ・イザワか⁉︎」
その名を聞いた他の兵達も驚愕する
「馬鹿な⁉︎」
「五十年前に活躍した英雄⁉︎」
「何故魔物の町に⁉︎」
シズさんはフォルゲン様に燃える剣を向ける。
「これ以上私の大切な人達を傷付けるなら…私が相手よ!」
シズさんの声に答えるようにシズさんからサンが…
それを見たフォルゲンは分が悪いと判断した。
「くっ!全員撤収だ!」
「フォルゲン様⁉︎」
「あの魔物は力を使い果たしたようだ。…この結界の中にいる以上回復に相当な時間が掛かるはずだ。我々の今回の任務はすでに達成している!」
フォルゲンの言葉を聞いた兵達は剣を鞘に納め撤収していった。
こうしてファルムスによる惨劇を一時的にだが退けたのだった…。
……だが、…多くの犠牲者が出た現実は変わらない……。
怒りと憎しみに呑まれ超電脳獣化しかけたフォルテを救ったのは、フォルテを思う皆の想いと力だった。
惨劇より多くの犠牲と哀しみが
そしてフォルテ内部に新たに生まれた超電脳獣の魔核が意味するものは一体?