少し長くなりましたが続きをどうぞ。
リムルがヴェルドラを捕食してから約三週間は経過したと思われる。俺とリムルはついに洞窟の出口らしき扉を発見した。
この三週間色々あった。まずはリムルに今どんなスキルがあるか聞いて、自分には耐性がないことに気付きリムルに頼んで耐性系だけ写させてもらった。その後は、出口を探して洞窟内をリムルと2人で彷徨う中で前世でどんな仕事をしていたかとか、どんな漫画やアニメを見ていたかとか話しながら目につく薬草や鉱石をリムルは取り込み俺は粒子変化してからチップとして保存していった。
そうして歩き続けているとリムルが『なぁ。お前の身体がフォルテ其の者なら浮いて移動できないか?』と言われ、固有スキルに
その間に俺はフォルテとしての力をどれだけ使えるか試した。まずは腕をバスターに変え光弾を撃ってみた。光弾1発で近くの岩を粉砕!その後両腕による連射や乱射を試していると辺り一面消し飛ばしていた。
《ユニークスキル
と解答者から知らせがきた。どうやら技をうまくイメージしてやるとスキルとして解放されて技も発展技術として解放されるようだ。
最後にフォルテのあの技を試すことにした。
腕に
《新たな
フォルテの大技の一つを解放することができたが魔素を消費しすぎたのでしばらく休息した。その後は、他の技も試すがなかなかイメージ通り出来ず失敗が続いた。どうやら今の俺ができるのはここまでのようだ。
その後は魔物どもを倒し続けて自身の魔素を増幅しながらスキルを増やした。
それと新たに魔物を倒すとチップ化することもできるようになった。
5日後に合流地点に戻るとすでにリムルがいた。
「リムル済まない待たせたか?」
「いや大丈夫だ。俺もついさっき戻ったばかりだ。」
ん?今頭からではなく実際に声が聞こえてきたような……。
「リムルお前ひょっとして話せるようになったのか?」
「フフフその通りだ!フォルテと別れた後、俺も新しいスキルを獲得したんだ。最初は色々試してスキルを獲得してたんだが、その最中に魔物に襲われたけど、返り討ちにしてそのまま捕食者で捕食してその魔物のスキルを獲得しその姿に擬態できるようになったんだ。」
なんとも凄いな捕食者……ヴェルドラを捕食した時からそう思っていたが、俺の
リムルの話だとその後も甲殻トカゲやムカデに蜘蛛などの魔物を倒して捕食していったらしい。その後に
「よく魔物達を倒せたな。リムルは攻撃系のスキルはなかったよな。」
「フォルテと分かれた後にこのスキルを獲得したんだ。水刃‼︎」
その言ってリムルは水の刃を放ち近くの岩を切断した。
「凄いな。何も知らない奴がスライムだとリムルを侮ったらもう終わりだな」
「それでフォルテはどうだ、出口は見つかったか?」
「出口は見つからなかったが俺のフォルテとしての力はだいぶ解放された。」
俺はリムルに
「エグゼの2から3辺りの力が使えるようになったわけだな。それだけでも充分な強さだな」
「この世界で自分の実力はどのくらいなのかはよくわからないがここまで力を解放できれば大丈夫だと俺も思う。」
そして2人で再び出口を探して今に至る。
「さてどうしよう…水刃で切り刻めるかな?」
「それか俺の光弾で撃ち抜くか?」
リムルと俺がどう扉を開けよか悩んでいると外側から扉が開いて光が差し込んできた⁉︎誰かが洞窟に入ってくる!俺はリムルを抱えて咄嗟に岩陰に隠れた。
扉が完全に開くと扉の向こう側から男2人と女性1人の三人組が入ってきた。
「はぁ。やっと開きやしたぜ。錆び付いてしまって鍵穴もボロボロでやす。」
「仕方ないさぁ。300年誰も入ったことないんだろう。」
「いきなり襲われたりしないですよね?まぁいざとなったら
『始めて見るこの世界の人間。』
『何しに来たかはわからないが異世界だから冒険者ってところか。』
『多分な。てか言葉がわかるけど?』
『あっ確かにヴェルドラとかの会話は思念だったから思ったことが伝わったが今の人間の会話はこの世界の言語のはず。』
俺とリムルの疑問に大賢者と解答者が答える。
《解。意思が込められている音波は魔力感知の応用で理解できる言葉に変換されます。》
『なるほど。良かった俺英語苦手だったんだよね。』
『いやこの世界に英語は……いや異世界人の中には外国人がいるかもしれないから助かるな本当に。』
《逆に思念をのせて発声すれば会話も可能です。》
『おぉ!でも…俺今スライムだしなぁ。話し掛けていきなり攻撃されても困るしなぁ。フォルテ、お前ならちょっと変わった格好の人間だと思われるけど会話できるんじゃないか?』
『いや…さっき300年間誰も入ったことないって言っていたから俺のような妙な格好の奴が洞窟の中から出てきたら警戒される。』
『そうか。』
ここはあの冒険者達が洞窟の中に入っていくのを待つしかない。
「じゃあっしの隠密
そう左側の男が言うと冒険者三人の姿が消えた⁉︎
地面に足跡ができ洞窟の内に向かって進む。どうやら姿を消す技術のようだ。
『あの技術隠密って言ってたな。覗き見し放題だな。けしからん奴だ!後で友達になる必要があるな!』
『リムル…何考えてるんだ。』
『……冗談。』
やがて足跡が洞窟の奥まで行くと足音も聞こえなくなった。
『行ったようだな。それじゃあフォルテ。』
『あぁ。』
俺はリムルを抱えたまま浮遊移動で足音をたてないように洞窟の外に出た。
「はっ⁉︎」
「どうしやした?」
「なんか魔物の気配を感じたんだけど気のせいかなぁ?」
気のせいではなかったりする。
ついに洞窟を出た俺達は青空広がる森の中を歩いていた。転生して初めて見る外の景色はとても良かった。自然あふれる森……前世だと中々こんな景色の良い山とか森に来る暇もなかったし行く気がなかったが、こうして立っているだけでも心が安らぐ。リムルは何をしてるかというと、隣でスキルの練習で木の枝に糸を垂らしてぶら下がっていた。するとリムルの前に狼が3匹現れるがリムルを見た途端に慌てて逃げ出した。
理由はわかる、リムルから放たれる凄まじい
俺は洞窟内の魔物との戦いで魔物達がある程度の妖気を放っているのを理解した。
その中でもリムルの放つ妖気は凄まじく、とてもスライムが放つ妖気ではなかった。だからこそあの狼達は逃げ出したのだ。リムルも自分がスライムだからこそ魔物に襲われないように妖気を出しているのだろう。
リムルは糸を離して降りると今度はゴブリン達が現れた。俺はリムルの側によってゴブリン達を見る。
そのゴブリン達は怯えながらも武器を構えているが貧相な体に武器は錆びてボロボロだった。
「グガ!つっ強き者達よ。この先に何か用事がお有りですか?」
おっ!ゴブリンってゲームや他のラノベとかだと知性がないがこの世界だとかなり理性的なようだ。
強き者達と言われリムルは周りを見るどうやら自分がその1人だと思ってないようだ。そして挨拶しようと思念をのせて声を発するが。
「えーと初めまして!俺はスライムのリムルと言う!」
「ちょっ!リムル思念が強すぎる‼︎ゴブリン達が余計に怯えているぞ!」
リムルの思念が強すぎてゴブリン達はその場に倒れ立ち直ると平伏していた。
「貴方様の力は十分に分かりました!どうか声を静めてください!」
「お前達も落ち着け。俺達は別にお前達を攻撃するつもりはない。それで俺達に何か用があるんじゃないか?」
「はっはい!強力な魔物の気配がしたので警戒に来た次第です。」
「そんなもの俺には感じられないけど?」
「ご冗談を!そのようなお姿をされていても我々は騙されませんぞ!」
まぁスライムがこれだけの妖気を放っていればそうだよな。
「強き者達よ貴方達を見込んでお願いがあるのですが。」
ゴブリン達に連れられ村に案内された。村といっても原式的な作りのお粗末な村でそこにはメスのゴブリン達もいた。何処か子供らしい可愛い感じでゴブリンとは思えない。
俺達は村長の家に案内されそこにさっきの赤いバンダナのゴブリンと杖を持ったご高齢のゴブリンが入って来た。
「ようこそお客人。私はこの村の村長をさせていただいております。」
「はい。どうぞよろしく。」
「それで俺達に頼みとは?」
「実は最近魔物の動きが活発になっているのはご存知でしょうか。」
「いや。」
「我らの神が一月前にお姿をお隠しになられたのです。そのため近隣の魔物がこの地にちょっかいをかけ始めまして。」
俺は何気に家の中に飾られている壁画を見るとそこにはヴェルドラらしき竜が描かれていた。一月前とはちょうどリムルがヴェルドラを捕食した時期だな……なるほど魔物避けになっていたヴェルドラが消えたのが原因か。
「我々も応戦したのですが戦力的に厳しく。」
「そっそこで貴方様達に!」
「力を貸して欲しいと…けどフォルテは兎も角、自分スライムですし期待されているような働きはできないと思うのですが?」
「ハハハ。ご謙遜を。」
「ご謙遜を。」
「リムル……まさか気付いてないのか?」
「ただのスライムにそこまでの妖気は出せませぬよ。相当に名を馳せる魔物なのでしょう。」
その言われたリムルはしばらくするとスライムなのに汗を流しているようなリアクションをしていた。俺はリムルに念話で話し掛ける。
『リムル。マジでその妖気出してる事に気付いてなかったのか⁉︎』
『恥ずかしながら……フォルテは俺の妖気が出てるの知ってたんだろ。教えてくれてもいいじゃないか!』
『俺はリムルがスライムだから他の魔物に襲われ難いようにあえて妖気を出していんだと。』
『ぐ!たっ確かに普通はそう思うな。』
リムルは俺との念話を終えると村長ゴブリンに話しかける。
「フフフ流石は村長分かるか。」
「もちろんでございます。漂う風格までは隠せてはおりません。そちらの方も妖気こそ隠していますが強者の気配を感じます。」
「そうか分かってしまったかお前達は中々見所があるな。」
そう言ってリムルは妖気を抑える。
「ほぉ我々を試されていたのですね。その妖気に怯える者も多かったので助かります。」
「そっそうだな。怯えずに話しかけて来るとは見所があるぞ!」
なんとか誤魔化したリムルだが、言っていることは妙に合っているのがまた凄い。スライムだと侮らず、妖気に怯えず話しかけるのは中々できないことだ本当に。
「それで俺達に頼みとは。」
「はっはい。それでお願いと言いますのが……。」
村長の話だと東の地から狼の魔物である牙狼族が押し寄せてきて戦いとなり多くのゴブリンの戦士達が討ち死にしたらしい。本来牙狼族1匹に対してゴブリン10匹で掛かっても勝てるかわからない戦力差があり、その中に名持ちの守護者の役割をしていた者もいたがその戦士も討ち死にして村は危機に瀕していると。
牙狼族は全部で100匹ほどいるらしくこの村のメスのゴブリン合わせも60匹で絶望的戦力差がある。そしてこの牙狼族の情報はその名持ちのゴブリンが命がけで入手したものでそのゴブリンは村長の息子で赤いバンダナのゴブリンの兄だったと。
そう話す村長達の顔はとても辛く悲しい表情だった。無理もない、息子が村の為にその命をかけて亡くなったのだから。
村長の後ろからこちらを見るゴブリン達の表情も不安になっているのが分かる。
「村長、少し確認したい。」
同じく様子を見ていたリムルが村長に聞く。
「俺達がこの村を助けるならその見返りはなんだ。お前達は俺達に何を差し出せる?」
その言葉に村長と息子はさらに不安な表情となる。
『…リムル。』
『大丈夫。別に見返りなんか求めてないただちょっと体裁を整えたいだけだ。』
確かに無償で助けるのも普通はないからな。
そして意を決して村長はこう言った。
「わっ我々の忠誠を捧げます!我々に守護をお与えください!さすれば我々はリムル様とフォルテ様に忠誠を誓いましょう‼︎」
「誓いましょう‼︎」
その言って必死に頭を下げる村長と息子。
村を仲間を守りたい一心で覚悟の上でまだ出会ってばかりの俺達に忠誠を誓うとは、この村長と息子の想いは本物だ。
今は人間だった前世と違い、ゲームで圧倒的な存在だったフォルテの力がある。だからこそ俺は村長のその願いを聞き入れようと思った時!狼の遠吠えが聞こえた。
ウオォーーン‼︎
その遠吠えにゴブリン達は怯え慌てふためく!
「リムル。」
「あぁフォルテ。言わなくても分かる。」
俺とリムルは家から出てゴブリン達の元に向かう。 村長は怯えるゴブリン達を宥めようと頑張っている。
「おっお前達落ち着きなさい……。」
「怯える必要はない。これから倒す相手だ。」
「!そっそれでは。」
リムルと俺は改めてゴブリン達を見る。
「お前達の願い、暴風竜ヴェルドラに代わってこのリムル=テンペストと!」
「フォルテ=テンペストが聞き届けよう。」
俺達の言葉に村長は涙を流し村のゴブリン全員が俺達に平伏する。
「ありがとうございます!我々はリムル様とフォルテ様の忠実な僕にございます。」
こうして俺達はゴブリン達の主。守護者となったのだ。
その後は村長に頼み怪我人の元に向かう。
「できるだけの手当はしたのですが……。」
そこには牙狼族の爪や牙で引き裂かれ苦しんでいるゴブリン達がいた。
リムルはそんなゴブリンの1人を捕食した。
「りっリムル様何を⁉︎」
突然のリムルの行動に村長は声を上げるが次の瞬間、リムルは捕食したゴブリンを吐き出すと、吐き出されたゴブリンは先程までの痛みがなくなっていることに気がつき立ち上がる。それに村長はさらに驚愕する。
「おっおぉ!きっ傷が⁉︎」
「治っている!」
そうリムルは傷ついたゴブリンを一旦捕食し自分の体の中に蓄えていたヒポクテ草から作った回復薬をかけて治したのだ。
「それでは俺も始めるか。」
俺は深傷のゴブリンに手を翳す。
《ユニークスキル
解答者のその言葉に合わせて、俺の手から緑色の波動が発せられその波動がゴブリンの傷をみるみる癒していき、さっきまでの深傷が完全に治った。
これには村長や他のゴブリン達も更に驚く!
俺とリムルはそのまま他の怪我人達の治療を続ける。
「さっ流石はリムル様にフォルテ様!」
そう言って村長とゴブリン達は再びその場で平伏する。
怪我人全ての治療が終わりリムルはゴブリン達に指示をだす。
「柵を作る!村の防備を固めるぞ!」
「後は使える武器を確認し戦う準備だ!」
俺達は牙狼族の襲撃に備えて行動を開始した!
その夜。夜空に満月が輝くジュラの森の大森林。東の平原に百匹以上の牙狼族の群がいた。その中で右眼に傷があるボスは同胞に言う。
「いい夜だ。この森からヴェルドラの加護は失われた。恐れる者は何もない。今夜!あのゴブリンの村を滅ぼしジュラの森への足掛かりを作ろうぞ!」
ウオォーーン!
「我らはこの森の支配者となるのだ!」
ワオォーーン!
「我らの爪は如何なる魔物を引き裂き!牙は如何なる魔物を食い破る!」
「「「ウオォーーン‼︎」」」
牙狼族の皆が遠吠えを上げ一斉に走り出す!目指すはゴブリンの村。先頭を走るボス、やがてゴブリンの村が見えてきたが村の様子がおかしい事に気付き足を止める。村をよく見ると村の周りを木で作った柵で防備していた。そして村の入り口には何故か下等なスライムがいた。
「フン!あんな貧弱な柵何の意味がある!」
我ら牙狼族の前ではあんな柵など簡単に薙ぎ倒せる。ゴブリンどもの悪足掻きだと思っていると額に星形の模様があり毛色に白が混じった息子が隣に寄ってきた。
「親父殿、あの者です。例の……」
「お前が言っていた異様な妖気を放つ魔物か?……くだらん!ただのスライムではないか。」
息子は昼間に言っていた魔物がまさかスライムだとは、少し警戒していたがその必要もなかったようだ。そう思っていた時にスライムが前に出て来る。
「一度しか言わない。このまま引き返すなら何もしないさっさと立ち去るがいい!」
スライムが喋ったことに驚きはしたが、下等な魔物風情が我らに命令するとは許せん!
「小賢しい!スライムごどきが我ら牙狼に命令するな‼︎あの柵を薙ぎ倒せ!ゴブリン共を血祭りに上げろ‼︎」
ボスの命令で前衛の牙狼達が一斉にゴブリン達に向かって襲い掛かる!だが柵に近づいた瞬間に見えない何かに阻まれ傷付く者、ゴブリン達の矢に射抜かれる者などボスにとって予想外の光景が目に映る。そして柵の前をよく見ると牙狼達の血が何か細い物に垂れているのが見える。そう柵の前に糸が張り巡らされていた。
「スキル鋼糸だ。」
「貴様の仕業か⁉︎」
「そうだ!」
だが2匹の牙狼が矢と糸を突破して柵ごとゴブリン達に飛び掛かろうとする!ゴブリン達は迫る牙狼に恐怖して動けないなか、ゴブリン達の背後から何者かが飛び上がり牙狼に迫る!そして2匹の牙狼はその者によって首を斬り落とされた!リムルの左右に牙狼の遺体が落ち、リムルの側に降り立ったのはマントを纏い腕をソードに変えたフォルテだった。
牙狼達が攻めてくる少し前、柵を完成させ武器を確認していたゴブリン達とフォルテ。その中に、冒険者の物であろう布のマントを見つけた。
「このマントは?」
「はい。恐らく人間の冒険者達の持ち物でしょうが、ボロボロになって捨てられていた物を拾った後、洗って何かに使えないかとここに片付けておりました」
「そうか……試しに羽織ってもいいか?」
「はいもちろんです。」
俺はマント纏うとなんだかしっくりくる感じがした。
「リムルどうだ。」
「あぁ!マントを纏ったら完全にゲームのフォルテと同じになったな。」
やはりマントを纏う姿こそフォルテだと俺もリムルも思っていた。
武器の確認をすると、やはりどれも刃こぼれや錆び付いていてボロボロ。よくこんな武器で今まで戦えていたと思う。他にまともな武器はないか見ていると、一本だけ刃こぼれもなく錆び付いてない剣があった。
「この剣は?」
「はい。息子の為に用意した物です。しかしこれを渡す前に牙狼族との戦いとなりそのまま……。」
「そうか。」
そこにバンダナのゴブリンがその剣を持って俺の前に立ち剣を差し出す。
「フォルテ様、どうかこの剣をお使い下さい!」
「いいのか。この剣はお前の兄が使うはずだったのならお前が使うべきではないか?」
「悔しいですが名持ちの兄と違い自分には力はありません。だからこそフォルテ様に使ってもらいたいのです!」
「……わかった。」
俺は剣を受け取る。そして
《剣の
俺は解答者からの報せを聞き腕をソードに変える。俺の腕の変化にゴブリン達は驚く。俺はソードとなった腕を見ながらバンダナのゴブリンに言う。
「お前の想い、しかと受け取った!」
突然のフォルテの登場に牙狼達は戸惑うなか、牙狼族のボスはフォルテを見ていた。
この者から感じる強者の波動……並ではない。何故このような者がゴブリン共の味方をしている…。
ボスはフォルテの強さを肌で感じていた。だが今はフォルテのことより誇り高い牙狼族である自分達がゴブリンやスライムなどの下等な魔物に翻弄されていることを認められずにいた。
「矮小なる魔物の分際で!捻り潰してくれる‼︎」
「親父殿⁉︎」
牙狼族のボスはリムルに向かって襲い掛かる!張り巡らされた糸は仲間達の血で場所を特定し、ボスは爪と牙で切断してそのままリムルに飛び掛かる!
「リムル様…っ。」
村長を含むゴブリン達の声を上げるなか、フォルテは動かない。何故ならリムルに飛び掛かかろうとしたボスは今宙にぶら下がりっていたからだ。
「粘糸さぁ。」
「これしき!」
ボスは粘糸の糸から抜け出そうともがくが、そんなボスの前にフォルテが飛び上がり腕のソードを振るう!ボスは死を覚悟したがソードはボスの首元で寸止めされていた。
「もうこの時点で分かるだろう。お前の負けだ、素直に認められるなら命まではとらん。」
「く!なっ何故だ。貴様程の者が何故ゴブリンやスライムような下等な魔物の味方をしている⁉︎」
「ゴブリン達は俺達に忠誠を誓った仲間だ。それにお前が下等と見下しているスライム…リムルはな。ハッキリ言ってお前より強い。」
「馬鹿な!我がスライムなどより弱いだと‼︎」
「なら証明しようか?リムルあの近くの木を切り倒してくれ。」
「わかった。スキル水刃‼︎」
リムルは水の刃で木を切断。その光景を目の当たりにしたボスや牙狼達は驚愕する。
「馬鹿な……。」
「これで分かるな。何故俺がお前の元に来ているのかを…この時点でお前はリムルにその首を斬り落とされていた。まだ納得いかないならリムル!抑えている妖気を見せてやれ。」
「そうだなぁ。」
その言ってリムルは抑えていた妖気を解放。リムルから放たれる凄まじい妖気にボスは唖然としてた。
「馬鹿なぁ…何故スライムがあれほどの妖気を……。」
ボスはリムルから放たれる凄まじい妖気に信じられずいたが、昼間に息子が言っていたことが事実だったと今理解した。
「お前達牙狼族はこの辺りでは中々強いだろう。仲間との連携にボスであるお前の統率力は本物だ。だが、お前達の敗因は相手を下等と見下し侮ったことだ」
ボスは言い返せなかった。フォルテの言うことはその通りだったからだ。
「わかった…我の負けだ……。」
牙狼族のボスが敗北を認めたのを確認した俺はソードを首元から下ろし腕に戻した。そしてリムルが粘糸の糸を解きボスが地面に降りる。
そしてリムルはゆっくりと前に進み牙狼族に向かって叫ぶ。
「聞け 牙狼族よ!お前達のボスは敗北を認めた!選択をさせてやる。服従か死か!」
リムルの言葉に俺は少し驚き念話で話しかける。
『リムル。 何故二択なんだ?このまま立ち去るようにすれば良かったはず?』
『すまん。ついノリで二択で迫ってしまった。』
『どうする?服従するなら誇り高く死をと一斉に向かってくる可能性があるぞ。そうなったらもはや一掃するが…。』
『待て待て‼︎今考えてるから!ん〜〜〜、お!そうだ捕食!』
何か思い付いたリムルは俺が倒した牙狼の1匹を捕食した!
何を思いついたのか気になるので俺はもう1匹の方を吸収する。その光景にボスと牙狼達は目を見開く。
《牙狼の
俺が吸収し終え牙狼のスキルを獲得した頃、リムルも捕食が終えるとリムルが黒い霧に包まれ霧が晴れるとそこには牙狼の姿があった。しかも此処にいるボスより大きい姿。
リムルには擬態のスキルがある。牙狼を捕食したから牙狼の擬態が可能になったようだがその再現度が凄い!マジで本物と変わらない姿にボスと牙狼達、更にゴブリン達も驚愕する。そして牙狼のスキルを得た俺はリムルが何をするかが分かったので、リムルの後ろに移動し片手をかざしスキルを発動する。
スキル
俺の手から村全体を覆う紫の障壁が展開される。牙狼のボスも障壁の内側に入ってしまったがまぁいいだろう。
「ククク、聞け!今回だけは見逃してやろう。我に従えぬと言うならばこの場から立ち去る事を許そう‼︎」
アオオォーーーン‼︎
リムルのそう言い放ちながらスキル威圧を込めた咆哮を轟かせる!
その凄まじい威圧に牙狼達は吹き飛ばされそうになる。ゴブリン達は俺の障壁により守られており大丈夫だ。
牙狼達は威圧に抗いリムルに向かって突き進む!やはり戦うのかと俺は思った。やがてリムルの前まで集まった牙狼達は一斉に平伏した⁉︎
「「「我ら一同 貴方様達に従います!」」」
どうやら服従の方を選択したようだ。これにはリムルも予想外だったらしく少し唖然としていた。
俺は障壁を解除すると、村長がリムルに問う。
「かっ勝ったのですか?」
「ん〜そうみたいだなぁ。争う必要が無くなったのはいいことだ。うんうん 平和が一番。」
「確かにな。」
こうしてゴブリン村の戦いは実にあっさりと終決した。ゴブリン達は喜び合う中、牙狼族のボスはフォルテをジッと見つめていた。
牙狼のボス生存。どの作品でも必ず死んでいるボスを生かしてみました。