転生したらフォルテだった件   作:雷影

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惨劇の悲しき現実……この襲撃により失った命は…。
そしてフォルテが助けた赤髪の男……分かる人達はいるかも。


56話 絶望…遂に判明する暗躍する者達

気を失っていたフォルテが目を覚ました。

 

「……此処は…病院か…。」

 

「フォルテ君!」

 

フォルテが目を覚ましたことに、見守っていたシズさんが声を上げた。

 

「シズさん……俺は……っ⁉︎」

 

ベットから起き上がった瞬間、フォルテが頭を押さえながら何故気を失っていたか思い出した。

 

「そうか……俺は紫苑の死で怒りに囚われて……あの団長の言葉で完全にキレて暴走してしまったんだった…。」

 

「フォルテ君…。」

 

自分が暴走してしまった事を後悔するフォルテ。

 

そんなフォルテを心配するシズさん。そんな空気の中、フォルテを心配していたトリルとアイリスそしてカーネルが病室に入って来た。

 

「フォルテ目が覚めたんだね!」

 

「フォルテ様!」

 

「フォルテ…良かった。」

 

「アイリス…トリル……カーネル。……俺のせいで迷惑をかけたな。本当にすまない。」

 

フォルテが皆に頭を下げて謝る。

 

「ううん。フォルテの気持ちは痛い程よく分かっているから。」

 

「そうだよ!フォルテが悪いんじゃない!」

 

「二人の言う通りだよ。」

 

「シズさん…皆……」

 

皆が慰める中、シズさんから再びセレナードが姿を現す。

 

「セレナード…」

 

「フォルテ、今回の状況は仕方ありません。大切な町の皆を私利私欲の為に殺されたのですから……それに紫苑も。」

 

「ああ…。」

 

フォルテは紫苑の事を思い出しシーツを強く握り締めた。

 

「…フォルテ様。」

 

「カーネル…町の被害状況は。」

 

フォルテがそう聞くと、カーネルは重苦しい表情を浮かべながら町の状況を説明してくれた。

 

「ファルムス兵を確認したのちに、紅丸達が迅速に住民達の避難を開始しました。ですが、あの二重の結界が張られた直後に町に潜んでいた100体のジャミングが町を攻撃し出したことで皆がパニックに陥ったそうです。そのような状況によるファルムス兵500人よる襲撃……更に商人に扮した者による襲撃もあり町全体が混乱に陥りました。それにより300人の死者が出ました。」

 

「300人もか……。」

 

それだけの犠牲者が出てしまったのか…。

 

「ですが、本来ならより多くの死者が出ていました。憎珀天達や縁壱達が襲撃して来たファルムス兵を半数…250人を撃破しました。ジャミングマンに関しては、トリルとシンシヤそしてD(ダーク)ロックマンとD(ダーク)ブルースが大半を撃破してくれました。」

 

「そうか。憎珀天達や縁壱達それとD(ダーク)ロックマン達には礼を言わないとな。」

 

「更に梅が最初に襲撃して来たうちの一人を捕えました。今は迎賓館に軟禁しております。」

 

「…分かった。」

 

カーネルの報告を聞き終えたフォルテはベットから降りて立ち上がる。

 

「フォルテ君無理しないで…。」

 

「大丈夫だシズさん…今は町の様子を改めてこの目で見たいんだ。」

 

そう言って病室から出ていくフォルテ。そんなフォルテを心配し、シズさん達が後を追う。

 

病室を出ると、ジャミングマンを全滅したので電脳世界(サイバーワールド)からメディ達が駆けつ住民達の治療に専念してくれていた。

 

病院を出て中央広場に向かうフォルテ。

そこに広がるのは今回の襲撃によって亡くなった者達が並んでいた。

 

老若男女とはすぐファルムス兵に殺された者達……その中には親子連れの者達もいた。

 

「……くそ!」

 

守れなかった…リムルと約束したのに……俺は皆を守ることが出来なかった。

その悔しさと哀しみ…そして自分に対する怒りがフォルテの中から込み上がる。

 

「ああああっ!」

 

自分の息子や娘を失った者達がその亡骸を抱えながら泣き叫ぶ。

その声を聞くことしかできないフォルテの自身の拳を強く握り締める。

 

無事だった者達も悲しみにくれ涙していた……そんな中、フォルテはある者を見つけた。路地からこちらの様子を見る赤髪の男……フォルテの足止めに利用されバイオラピッドモンにされていた男だった。

 

男はそのまま路地裏の奥へと向かい、フォルテは後を追った。

 

男は路地裏で立ち尽くしていた。そんな男にフォルテは話しかける。

 

「目が覚めていたんだな。」

 

「…あんたは。」

 

「この町の盟主の一人フォルテ=テンペストだ。」

 

「そうか…あんたが……。」

 

男は振り返りフォルテに自分の名を告げる。

 

「俺は西方聖教会聖騎士団(クルセイダーズ)の一人。聖騎士(ホーリーナイト)火のギャルドだ。」

 

「やはりか。ヒナタと同じ服装だったからもしやと思っていた。」

 

ヒナタの名を聞いてギャルドが目を見開く。

 

「ヒナタ様を知っているのか?」

 

「分身体が戦ったからな。…向こうは本体だと思い込んでいたがな。……それでギャルドと言ったな。少し聞きたいことがある。」

 

「……なんだ。」

 

「お前に何があった?お前のような強い奴がバイオデジモンにされていた事が気になってな。」

 

「バイオデジモン……俺がなっていた魔物の姿か?……もしかして、あんたが俺を助けてくれたのか?」

 

「まぁな。」

 

「そうか…魔物に助けられるとはな。……礼を言っておくぜ。」

 

そう言ってギャルドがフォルテに頭を下げる。

 

「気にするな。無理矢理あの姿にされて操られていた者をほおっておくことなどできないからな。」

 

「…魔物の国の主は人格者って話は本当だったんだな。じゃあさっきの質問に答えてやる。」

 

ギャルドが自分に起きた事をゆっくりと話し出した。

 

「あれは七曜からある任務を頼まれたことが始まりだった。」

 

「七曜?」

 

「西方聖教会最高顧問と言われる七人の老師だ。」

 

「どんな任務を受けたんだ…。」

 

「謎の洞窟の調査だ。わざわざ七曜からの命じられた任務だ。何かあると警戒しながら調べていたんだが、奥にあったのは破棄された研究施設だった。」

 

ギャルドの話を聞くと、洞窟内にあった研究施設は自分達が見たことないような設備があり無数の試験管のような巨大なバイオカプセルが並んでいた。

 

「破棄されてまだそんなに時間が経過してなかったな。」

 

施設の奥へと進んでいき、最深部には門のような巨大な装置があったそうだ。

その門を調べようとしたその時、背後から何者に攻撃されて背に何かが突き刺さった瞬間、体中に電気が走りそこで気を失った。

 

「……テーザー銃か。」

 

「知っているのか?」

 

「簡単に言えば電気を流す矢だ。それでその後どうなったんだ?」

 

「……目を覚ませば俺はさっきのカプセルの中だった。」

 

武器を取られ全裸にされて紫色の培養液が満たされたカプセルに閉じ込められていたギャルド。……不思議ことにその培養液内では、呼吸ができ喋ることさえできた。

 

自分の今の状況に戸惑っていた時、ギャルドの前に白衣の男二人が現れた。

 

「二人の男…それはこの二人か?」

 

フォルテは倉田とリーガル二人の似顔絵をギャルドに見せる。リーガルのエグゼ4の頃の姿。

 

「っ!ああコイツらだ……ただ、このモノクロをつけてる奴は口髭があった。」

 

「そうか…。」

 

やはりこの世界にリーガルと倉田がいたことが判明した。……リーガルに口髭が生えていたなら…漫画か…アニメの世界から来た奴だろう。

 

「お前はこの二人を知っているのか…?」

 

「…とんでもない悪の科学者だ。それで、二人が現れた後は?」

 

「ああ。……奴らは捕えた俺に話しかけてきやがった。」

 

 

 

 

 

培養液が満たされたカプセルないでリーガル達に叫ぶギャルド

 

「おい!お前ら誰だ⁉︎俺をどうするつもりだ!」

 

「おやおや。これは威勢の良い実験体ですね。」

 

「先ほどデータを撮ったが、肉体に魔力…どれも素晴らしい数値だった。流石は西方聖教会が誇る聖騎士(ホーリーナイト)の一人だ。」

 

「なっ⁉︎お前ら俺の事を知っているのか。」

 

「もちろんですとも。実験をするにはまずその対象を調べるのは当然ですよ。これから貴方には私の実験に協力してもらいます。」

 

「ふざけるな!こんな訳の分からないことに誰が協力するか‼︎」

 

「当然の反応だな。」

 

「まぁ貴方に拒否権などありませんがね。」

 

「では私はこの施設のデータを回収したので先に新しい拠点に戻らせてもらう。」

 

「ええ。分かりました。」

 

そうして、リーガルは部屋から出ていった。

リーガルが出ていくのを見届けた倉田は装置の起動に取り掛かる。

 

「おい何してやがる⁉︎やめろ!」

 

叫ぶギャルドを無視して準備を進める倉田。

やがて、ギャルドの前の方に別のカプセル二つが起動した。

中にはあるのは、テリアモンと運命のデジメンタルだった。

 

「以前は遺伝子データだけでしだが、今回はデジモンとの直接融合進化を試して見ましょう。進化に必要なデジメンタルなるアイテムも手に入りましたからねぇ。」

 

そう言って邪悪な笑みを浮かべながら倉田は起動スイッチに手を乗せる。

 

「さぁ!私の僕となるのです!」

 

倉田はそう声を上げながらスイッチを押しマシーンを起動させた。

動きだしたマシーンによりテリアモンはデータに変換され、運命のデジメンタルと一緒にギャルドのカプセルに転送された。

 

ギャルドのいるカプセルにテリアモンのデータが転送されそのままギャルドの体の中へと入った。

 

「がっ⁉︎ぐああああああ!」

 

自分の身体が作り変えられる痛みがギャルドを襲う。

 

更に運命のデジメンタルも、ギャルドの胸の中へと入り融合してしまう。

 

「がああああああ‼︎」

 

更なる激痛がギャルドを襲い……そこで気を失った。

 

「…で目を覚ませばこの町のベットの上だったわけだ。」

 

「そうか…。」

 

意識を失っても作業は続けられ…バイオラピッドモンにされたと言う訳か……だが、捨てるはずの施設の装置だけでそんな高度な作業ができるものなのか?

 

《倉田の所有するユニークスキルだと推測される。》

 

フォルテの疑問に電脳之神(デューオ)がそう答える。

 

なるほど…施設は自分のスキルを隠す為のカモフラージュにしたのか。

 

「話してくれて感謝する。……お前はこの後どうする?」

 

フォルテの問いにギャルドは真剣な表情でフォルテを見ながら答える。

 

「……この戦争を見届けるつもりだ。」

 

「それは西方聖教会としてか…。」

 

「それもあるが……俺個人としてもだ。ファルムスのやり方には俺も納得できねぇからな。それに、……あの惨状を見ちまったからな。」

 

ギャルドは広場での殺害された者達や悲しむ者達の姿を見たのだ。

 

「……ルミナス教の教えに従い俺はずっと魔物を倒してきた。だがこの町の魔物達が違うってことは理解できる。」

 

「こんな被害の中でも他者を……他の人間達を気遣い助け合う姿……ルミナス教徒に反するだろうがこの町の魔物達は信用できる。」

 

ギャルドの言葉に偽りが無いとフォルテは思った。……その透き通った目を見たからだ。

 

「そうか。ならしばらくはこの町で休んでいくといい。まだ身体が治りきっていないからな。」

 

分離の影響で身体が完全でないことは知っているからな。

 

フォルテがギャルドにそう言った後、突然ギャルドの頭に何かが飛び乗った。

 

「こんなところにいたんだ!」

 

「なっ⁉︎お前!」

 

慌てるギャルドの頭にいるのは、長い垂れ耳に頭に角を生やした可愛らしいぬいぐるみのような生き物……そうデジモンであるテリアモンだった。

 

「お前!離れろ!」

 

「良いんじゃん!気にしない気にしない。」

 

「気になるんだよ!」

 

「……お前も目が覚めていたんだなテリアモン。」

 

フォルテの声に振り向くテリアモン。

 

「あっ!君だよね?僕を助けてくれたのは。ありがとう!」

 

ギャルドの頭に乗りながら可愛らしく手を振るテリアモン。

 

「ああ…ところでテリアモン。どうしてお前はこの世界にいるんだ?」

 

本来デジモンはデジタルワールドに存在するもの。この世界でフォルテは電脳世界(サイバーワールド)を創造したが、デジタルワールドと似て違う世界だからデジモンは誕生していない。

 

……一番高い可能は…。

 

「う〜ん。僕も分からないんだ。僕変なデジモンの攻撃を受けた記憶がぼんやりあるんだけど……よく思い出せないんだ。」

 

やはりセイバーズの世界からの倉田の被害者か…。デジモンは死ぬとデジタマに戻り生前の記憶もなくなり生まれ変わり何度でも転生する。

だがギズモンに殺された者は転生できずに生命エネルギーに変換されていた。

このテリアモンがその一体だとすれば……倉田は人間でなくなっている可能が高いな。

 

電脳之神(デューオ)がテリアモンを解析した結果。

電子魔物(デジタルモンスター)としてこの世界の種となり、種族名が電子魔(デジモン)族となっていた。

 

「そうか。………ところ、何故ギャルドの頭に乗っているんだ?」

 

「俺も聞きたいくらいだ!」

 

俺の問いにギャルドも便乗して叫ぶ。

 

「ん〜〜なんでか分からないけど、ギャルドの頭にいると落ち着くんだ。だから僕これからギャルドと一緒にいることにしたんだ。」

 

……無理矢理融合した影響か?それとも……ギャルドに惹かれているかもな。

 

「ギャルドはいいのか?」

 

「…まぁコイツは俺の知る魔物とも違うようだし、あの変な野朗の同じ被害者だからなぁ。だが頭に乗るのはやめろ!」

 

ギャルドもテリアモンのことは嫌っていないようだな。

ギャルドに言われテリアモンは肩へと移動した。

 

そしてギャルドにはこの後の会議に参加してもらう事にした。

 

ギャルドと共に裏路地を出たその時、リムルの気配を感じた。

 

「リムル!……無事だったか。」

 

ヒナタを相手にしていたであろうリムルの無事を知り安堵した。

その後、リムルと合流する為にリムルの気配を辿って行く。

 

………そして俺が見たのは、広場で立ち尽くすリムルの姿だった。

 

「どういうことだ?………一体、何が……これ全員……死んでいるのか…。」

 

目の前の現実を受け入れきれず……リムルはそう言うしかなかった。

 

「人間達が…容赦なく…。」

 

ルグルドがリムルにそう話出す。

 

「人間達……」

 

「襲撃者達は商人に扮しておりました。われわれはご命令通り、人間に対して丁重に接していましたので……。まさか悪意ある人間がそのように紛れ込むなど……「黙れ」

 

ルグルドの言葉をリグルドが遮る。

 

「……黙れ。」

 

リグルドの言葉にルグルドは言ってはならない言葉だと気付いた。

 

「もっ申し訳ございません!そのようなつもりは…っ。」

 

だが時すでに遅く、リムルは自分が皆に命じた命令のせいだと自分を責めてしまった。

 

自身の拳を強く握り締めるリムル……そんなリムルにミュウランが言う。

 

「私が大魔法を使用しなければ、こんなことにはならなかったでしょう。」

 

その言葉を聞いた瞬間、リムルがミュウランを見る……静かな殺意を宿して。

 

リムルが更に拳を強く握り締める……少しでもきっかけがあればこの場でミュウランをリムルは殺すと察したフォルテはリムルに瞬時に近寄り肩に手を乗せる。

 

「……フォルテ。」

 

「リムル気持ちは分かる……だがミュウランの大魔法だけではない。」

 

フォルテの言葉を聞いたその後、リムルは我に返った。

おそらく大賢者から解析結果を聞いて原因がミュウランの結界でなくファルムスが張った結界だと理解したのだろう。

 

リムルは握っていた拳をゆっくりと開いた。

 

「……済まないフォルテ。」

 

「いや…皆を守れなかった俺の責任だからな。」

 

「はぁ……ふぅ。ミュウランだったな。詳しく話を聞きたい。会議室に来てもらおうか。」

 

「リムル様、フォルテ様。」

 

リムルがミュウランにそう言う中で、俺達に声をかける者がいた。

そこにいたのは小太りの商人であり、リムルとフォルテが信用している男。

 

「来ていたのか…ミョルマイル。」

 

「よろしければ、わしも会議に参加させてもらえませんか?今回の件について、外の者の視点でお話できるかと。」

 

「ああ、助かるよ。」

 

リムルはミュウランとミョルマイルを連れて議事堂に向かう。

フォルテも向かおうとした時、ヨウムとグルーシスがフォルテに話しかけてきた。

 

「…フォルテの旦那。」

 

「フォルテ様…。」

 

「ヨウム、グルーシス…どうした。」

 

二人はフォルテに頭を下げる。

 

D(ダーク)ロックマンから話を聞いた!ミュウランのことを紅丸に説明しておいてくれたって…。」

 

「そのおかげでミュウランは紅丸に連行されずにすんだ……冷静さを欠いた紅丸にミュウランを引き渡したらどうなっていたかわからなかった…。」

 

……そう。黒死牟達にファルムスに対して行動を頼んだ後、俺は紅丸にはミュウランのことを説明しておいた。

クレイマンの密偵であり心臓とヨウムを人質にされていることを…。そしてもしミュウランが何かしら行動を起こした後、直接町の者達に危害を与えていなければ拘束するだけにしておくようにと。

 

カーネルから聞いた話によれば、紅丸は当然怒っていた。ヨウム達から見ればとても冷静な状態ではなかった故にミュウランを守ろうとしたと。

 

「待ってくれ紅丸!」

 

「ミュウランにはこうしなきゃならねぇ理由が…!」

 

「……分かっている。」

 

紅丸の言葉に二人はえっ?と声を上げた。

 

「フォルテ様が教えてくださった。知らなければ容赦なく捕えていたが、フォルテ様の命によりリムル様とフォルテ様が戻られるまでこの場にいてもらうぞ。」

 

そして、戻ってきたD(ダーク)ロックマンがヨウム達に説明した。……ミュウランの心臓については伏せて。

 

「フォルテの旦那には感謝しかねぇ…。」

 

「その言葉は受け取っておく。……だが最終判断はリムルがするから色々と覚悟だけはしておくんだぞ。」

 

そうして、議事堂にはフォルテとリムルそして紅丸達とミョルマイルを含んだ商人達や冒険者が集まり会議室にて紅丸からの報告を受ける。

 

謎の襲撃者の事…そこから始まったファルムスの攻撃について。

 

「ーまず最初の襲撃者は三人の男女でした。衛兵の一人が絡まれそこから交戦に至ったそうです。」

 

「シュナや……ゴブタ少し後にはハクロウも応援に加わったのですが、戦闘が始まって直ぐに町は二種の結界に覆われました。ひとつは魔法不能領域(アンチマジックエリア)。もうひとつは魔物を弱体化させるもの。それと同時に町の中に無数の虫……いやフォルテ様から聞いた名でジャミングマンと呼ばれる存在が出現しました。」

 

「ジャミングマン……そいつらを町に送り込んだのは……フォルテ。」

 

「ああ。Dr.リーガルだ。」

 

フォルテからこの世界にいるかもしれないと聞かされていたが……動き出したってことか。

 

リムルがそう思っている中、紅丸が悔しさで自分の膝を握りながら報告を続ける。

 

「弱体化が無ければ、白老が負ける事は無かったんだ……⁉︎」

 

「白老が負けた⁉︎」

 

紅丸の言葉にリムルは信じられないとばかりに声を上げる。

無理もない…白老の強さは皆知っている。そんな白老が弱体化しているとはいえ負けたのだから。

 

リムルが驚く中、リグルドが咳払いをしながら白老の容態を説明する。

 

「重傷ですが、命に別状はありません。同じく重傷のゴブタと共に、病院で朱菜様達が治療に当たっております。」

 

「そうか………。」

 

「ファルムスの騎士は去り際に………!」

 

リグルドが苛立ちながら言おうとした時、フォルテがそれを止めた。

 

「フォルテ様……。」

 

「そこからは俺が言おう。……奴らが去り際こう言いやがった…。」

 

フォルテがフォルゲンに去り際の言葉を皆に言った。

……その言葉を聞いたリムルは。

 

「茶番だな。」

 

「ええ。仰る通りだと。」

 

「最初っから西方聖教会とファルムス王国はグルだな。」

 

「…そう言うことになる。この結界を張ったのは枢機卿の一人でファルムス王国の最高司祭レイヒムだろうな。」

 

リムルの言葉に続くようにギャルドがそう言う。

 

「…その服装ヒナタと同じ……あんたは?」

 

「…西方聖教会聖騎士団(クルセイダーズ)の一人聖騎士(ホーリーナイト)火のギャルドだ。」

 

西方聖教会の者でしかも聖騎士と知り皆が騒つき出した。

 

「落ち着け!」

 

フォルテが声を上げて皆を鎮める。

 

「…フォルテ様。」

 

「ギャルドは今回のファルムス王国とは関係ない。……寧ろ被害者だ。」

 

「それはどういう意味だフォルテ?」

 

フォルテの言葉にリムルが問う。

 

「ギャルドは…リーガル達によってある実験体にされていた。」

 

フォルテはリムル達にギャルドに身に起きたことを説明した。

 

「……まさかリーガルだけでなく倉田明宏までいるとはな。」

 

リムルは倉田がこの世界にいると知り頭を押さえる。

リムルもセイバーズでの倉田の悪行の数々を知っている。そんな倉田がDr.リーガルと手を組んでいる……最悪すぎる組み合わせだ。

 

「…それで操られていた俺はフォルテに助けられた。目覚めて見れば噂の魔国連邦(テンペスト)にいて少し戸惑ったが、……ファルムスの所業にこの惨状だ。どちらに非があるかは一目瞭然。」

 

ギャルドの言葉を皆は静かに聞いている。

 

「だから俺からは手出しはしない。だが協力もできねぇ。俺はこの戦争を見届けるつもりだ。」

 

「そうか……分かった。」

 

リムルもギャルドの言葉を信じた。

 

「それで教会が俺達を目の敵にする理由は、魔物の存在を認めないという教義による物であっているかギャルド。」

 

「ああ。」

 

「じゃあファルムス王国は何だ?」

 

「その答えは交易だ。ガゼル王から話は聞いていたからな。詳しくはミョルマイルとコビーから皆に説明してくれ。」

 

フォルテが二人にそう言うと、ミョルマイルとコビーは前に出て皆に説明を始める。

 

「フォルテ様は言ってくださったように、現在この町魔国連邦(テンペスト)を中心に、新たな交易路が生まれ流通に大きな改革が起き始めております。」

 

「それで?」

 

「交易路は重要です。関税を掛けるだけでも、かなりの利益が見込まれますからな。」

 

「ファルムス王国は、西側諸国の玄関口とも呼ばれる程に交易で潤っている国なのですよ。」

 

「つまりだ。魔国連邦(テンペスト)が繁栄すればするほど、ファルムス王国にとっては損失になる。」

 

「はい。」

 

「それもとても大きな。」

 

「なるほどな。俺達は、知らず知らずのうちに虎の尾を踏んだのか。」

 

リムルが自分の方針だと思い悔やんでいるのが見て分かる。

 

「リムル様。どうか誤解しないで頂きたい。」

 

「え?」

 

「わし達はファルムスの動機を語りましたが、その対応が然るべきものだと言っとるのではありません。まず評議会も通していないのがおかしい。」

 

「ミョルマイルの言う通りだ。」

 

ミョルマイルの言葉にギャルドも同意する。

 

「最初の三人は、魔物が先に手を出してきたからと正当性を主張するための工作要員でしょう。わしはこの町に留まる商人の代表としてこの場におります。聖教会を恐れる声もありますが、意見は概ね一致しとります。」

 

ミョルマイルの言葉に商人達は頷く。

 

「ファルムスを迎え撃つなら助力は惜しみません。武器、食料と必要とあらばコネというコネを使い集めましょう。」

 

ミョルマイルの言葉を聞いていた冒険者達も声をあげる。

 

「オレぁブルムンドの冒険者だ。最近はずっとこの町を活動拠点にさせてもらってた。戦力が必要なら手を貸すぜ?」

 

「わっ私も力になります!」

 

「俺も!」

 

「俺もだ!」

 

「私も!」

 

こんな事態になっても、これだけ多くの人達が俺達に為に声を上げてくれる。

その様子を見守るギャルドも感心していた。

 

皆の申し出はありがたい。……だが皆を巻き込む訳にはいかない。この人達に()()()の事があった場合、それを俺達の凶行だと触れ回されるだろうし、ファルムス王国が自分達の正当性を押し通す為に口封じに出る可能もある。

 

リムルとフォルテは互いに頷く。

 

「ありがとうございます。ですが、この問題は俺達だけで片付けます。皆さんはどうか帰還の準備をなさってください。」

 

リムルはそう言って頭を下げる。

 

「そのかわり、ミョルマイルに頼みたいことがある。」

 

「はいなんなりと。」

 

魔国連邦(テンペスト)の現状をブルムンド王国に伝えて欲しい。皆さんは結界の外で俺とリムルが転移させる。皆さんの帰還をファルムス王国が黙っているとは考えにくいからな。」

 

「勿論です。魔国連邦(テンペスト)の正当性を訴えましょう。」

 

「頼む。」

 

「あ〜では早速支度を。さぁ皆も急いで。」

 

ミョルマイルに言われ会議室から出ていく商人と冒険者達。

ミョルマイル達が出て行った後、俺達はミュウランを見る。

 

「さて、ミュウランさんとやら。どういう経緯で俺たちにちょっかい出すことになったのか詳しく聞かせてもらおうか。」

 

リムルはそう言ってミュウランを見据える。

 

「ミュウラン………。」

 

「良いのよ。何も隠す事は無いわ。それに…フォルテ様達にもうバレているのだから。」

 

ミュウランを心配するヨウムとグルーシス。そしてミュウランはリムルに自分の正体を話す。

 

「私はミュウラン。魔王クレイマンの配下です。」

 

「「ええっ⁉︎」」

 

「魔王だと⁉︎」

 

ミュウランの正体を知らなかったリグルドやコビー達が驚愕する。

 

「そうか……クレイマンが糸を引いていたんだな。…なぁフォルテ。」

 

「ああ。……クレイマンそしてDr.リーガル。貴様達の所業は絶対に許さん!」

 

フォルテが鋭い眼光を放っている頃、傀儡国ジスターヴの自分の城でクレイマンは、窓際に立ち月を眺めながら優雅にワインを飲んでいた。

 

そしてほくそ笑むクレイマンの姿は、自信の計画通りに事が進んでいることを証明していた。

 

同じ頃、別の隠れ家で研究を進めるリーガルもまた邪悪な笑みを浮かべていた。

 

……この世界に新たな戦慄と恐怖を与える為に。




遂に暗躍するクレイマン、リーガル、倉田達の存在が判明した。
真の敵に対し怒りを燃やすフォルテ。
そしてフォルテに助けられた男はギャルドでした。原作だと本人行方不明のままなので、倉田に捕まり利用されていたことにしました。魔国連邦(テンペスト)の惨劇を見た彼が見守る先にあるものは…。
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