自分の正体を明かしたミュウランは話す。何故自分がクレイマンは配下となったのかを。
「魔王クレイマンは、
「そうか。……一つ聞きたい。何故クレイマンの配下となった。聞いた話だと従うメリットはないが。」
フォルテの問いにミュウランはゆっくりと答える。
「…あの時の私もそう気づくことが出来れば良かったのですが、私は元々人間の魔女でした。人々から迫害を受け逃げ延びた森で幾百年。家族もなく友もなく魔法の研究に没頭する日々でした。そんな永劫のような日々が終焉に近づいた頃…あの男が現れたのです。」
そしてミュウランにこう言ったそうだ。
「貴女に永遠の時と老いることのない若き肉体を差し上げましょう。その代わり、私に忠誠を誓い仕えなさい。」
そう言ったクレイマンの手には仮初の心臓があったそうだ。
「応じたのか?」
「森に引きこもる世間知らずなど、笑えるほど御し易い相手だったのでしょうね。クレイマンが私に施した秘術は
「なるほど…文字通り生殺与奪権を握られてるってことか。それで、クレイマンがうちにちょっかいを出す理由はなんだ?」
リムルがミュウランにそう問う。
「…クレイマンはごく限られた者にしか心の内を見せません。ですから、これはあの男の言動から考えうる…私の予想になります。クレイマン自身がファルムス王国を焚きつけたかどうかまでは分からない。けれど、
「被害の拡大を目論んだ…とかか?」
「それもあると思います。ですが、それ以上に外部の連絡を封じ、他国への援軍要請をさせないためかと。もしもドワーフ王国やブルムンド王国が
「確かに。」
「
ミュウランの話にリグルド達がどよめく。
町の外にあるベスターの研究室なら、
それにミュウランは
クレイマン
自分の手を汚す事なく他人を手駒のように扱う……リーガルや倉田と気が合う者だと確信した。
「…ただ戦争を起こして何を得ようとしているのか分かりません。」
「…分かった、十分だ。」
リムルがそう言った瞬間、ヨウムとグルーシスが叫ぶ。
「リムルの旦那!フォルテの旦那!ミュウランを許してやってくれ!」
「俺からもお願いします!彼女は魔王クレイマンに逆らえなかっただけなんですよ!」
必死に叫ぶヨウムとグルーシス。
それに対してリムルとフォルテは互いに顔を見合わせ頷く。
「ミュウランの処遇についてはひとまず保留だ。それまで迎賓館で軟禁させてもらう。」
「分かりました。見張りをつけておきます。」
リグルドがそう言う。
「旦那方……。」
「すまんなヨウム。リムルもまだ混乱している。心配なら一緒に居るといい許可する。」
フォルテの言葉に少しだけ安堵したヨウムはミュウランとグルーシスと共に迎賓館へと向かった。
その後、リムルは他に報告がないか紅丸に聞いた。
「ひとまず報告は以上か?」
「はい。」
「なら次は商人達の転移だな。」
議事堂を出たリムルとフォルテは結界の外で待機していた商人と冒険者達をブルムンド王国まで転移させていく。
「最後はミョルマイルだな。」
「頼んだぞ。」
「はい。もし何かあれば必ず証言しますぞ。」
そう言ってミョルマイルも無事にブルムンド王国付近に転移した。
「次は怪我人の見舞いに行こう。案内してくれ。」
「はっ。」
「俺は最初の襲撃者に会ってくる。聞いた特徴だと異世界人…日本人の可能性が高い。……召喚者かもしれない。」
フォルテの言葉にリムルも目を見開いた。
「そうか…召喚者か。ならそっちは頼んだぞフォルテ。」
「ああ。」
こうしてフォルテはリムルと別れ迎賓館に向かった。
ハルナを連れて襲撃者のいる部屋と向かうフォルテ。…その扉の前で見張りをしているのはゼロとゼロワン。
「変わりはないか?」
「フォルテ様。」
「問題は無い。」
ジャミングマンの妨害電波がなくなったので、ヤマトマン達には町の警護と住民達の治療を任せている。そして、捕えた者は女性らしくやはり強力なユニークスキルを使うそうだ。
「朱菜から聞いた話だと声で人や魔物を自在に操れるスキルを使うそうだが、朱菜からもらった
「わかった。」
ゼロが扉を開けフォルテが中に入る。すぐにゼロが扉を閉める。
部屋の中では、ベッドの上で蹲る18歳くらいの少女がいた。
少女は部屋に誰かが入って来た事に気づいて顔を上げた。
「……誰あんた?」
「この町の主の一人、フォルテ=テンペストだ。」
「主?主はスライムじゃないの?」
「俺とリムル。二人でこの森の盟主だ。」
「そう……それでウチに何か用?もうどうでもいい……殺すならさっさとやって。」
少女の目はすでに絶望していた。自分のスキルが通じなかったことがよほどショックだったのだろう。
「単刀直入に聞く。お前は異世界人……いや日本人だな。」
フォルテの言葉に少女は目を見開いて驚いた
「…やはりそうか。なら無理矢理召喚された召喚者か。」
「…あんた、なんで分かったの?」
「説明する前に少し失礼するぞ。」
そう言ってフォルテは少女の頭に手を乗せる。
「ちょっ⁉︎何⁉︎」
(
《了解。解析開始……完了。召喚者による支配の呪言を確認した。解除を実行……解除が完了した。》
(よし。)
フォルテの手から温かい魔力が少女に流れ込んだ。そしてフォルテはその手を離した。
「お前を縛っていた支配の呪言は解除した。これでお前は自由だ。」
フォルテの言葉に呆気に取られる少女、すぐに我に戻るとフォルテにすぐさま問う
「本当……本当に解除できたの⁉︎あのジジイの支配を!」
「ああ。」
解放されたと知って喜びの笑みを浮かべる少女。
「でもどうして。どうしてウチの為にこんなことを……ウチはこの町を…。」
「まぁお前は朱菜に無力化されて、結果的に誰も傷付けず殺めてもいないからな。それに、元日本人として放っておけなかったこともあるな。」
「えっ?……じゃああんたは…まさか⁉︎」
「俺はラノベでよくある展開の一つ。転生してこの世界に生まれた存在…転生者だ。ちなみに、スライムのリムルも転生者だ。」
「えええー⁉︎」
これには少女も驚いた。やがて少女は落ち着き名を教えてくれた。
「
「うん。……皆と話したり、遊びに行ったり……それにお母さんと買い物行ったりお父さんと話したり……うぅ。」
元の世界を思い出し涙する希星。そんな彼女の頭を優しく撫でるフォルテ。
18歳……人生これからって時に無理矢理召喚されて辛かっただろう。
フォルテは
召喚された後、最初はスキルの力を理解できていなかった希星は使えない存在として酷い扱いにあい虐げられていた。
そんな地獄のような日々が続き彼女の精神が限界を迎え「死んじまえ」と叫んだ。
それによりその場にいた数十人が死亡。
希星の能力を知った召喚者は、彼女を呪言で縛り今度はその力を利用され続ける日々となった。
………そんな日々を過ごせば心が荒れてしまうのも当然だ。
「お腹すいただろう?少し待っていろ。ハルナ。」
フォルテの呼び掛けに答えるように扉が開き夕食を持ったハルナが入って来た。
「どうぞ。」
ハルナはテーブルに夕食を置いて戻って行った。
「…これって。」
「懐かしいだろう。」
置かれた夕食は味噌汁と焼き魚……そして白米だ。
ちなみに、この白米はフォルテが魔黒米をデータ化して白米へと変換した物だ。
まだ白米への品種改良は研究中の為、ある意味裏技を使った。
品種改良はプラントマンとウッドマンが頑張ってくれている。
希星はゆっくりと味噌汁を手に取り口に含む。
……懐かしい味噌の味が口に広がる。そのまま焼き魚と白米を一緒に食べる希星。
「……美味しい。」
懐かしい日本の…故郷の味に再び涙する希星だった。
この世界に来てからずっと虐げられ自由を奪われて支配され続ける日々。
そんな世界で久しぶりの故郷の味と他人からの優しさ……希星の荒れた心が癒されるには充分だった。
夕食を食べ終えた希星はある程度元気を取り戻した。その姿は記憶や話に聞いていた不満を漏らしたりする横暴性は無く、本来の彼女の姿に戻っていた。
「ウチを助けてくれてありがとう。……でも、これからどうしたらいいのかな……。」
ずっと支配され続けた彼女。できれば元の世界に帰してやりたいが……帰還方法はまだ見つかっていない。
途方に暮れる希星にフォルテはある提案を持ち掛ける。
「ならしばらくこの町で暮らしてみるか。」
「えっ?」
「この先一人で旅をしたり、何処かに住んで暮らすにしてもまずは経験が必要だ。ファルムス王国との戦争が終わったら、この
「…いいの?」
「その代わり、しっかり学んで働くことが条件だ。この町は、皆がそうやって努力してきたからこそできたからな。」
フォルテはそう言って、希星に思念伝達で
小さく弱かったゴブリンだったリグルド達。リムルからの名付けによりボブゴブリンとゴブリナへと進化したが、建築技術が全くないのでボロ屋くらいしか作れず衣服も殆どない原始時代のような暮らしだった。
そんなリグルド達はカイジン達の指導を受けながらしっかりと学んでいき、村は発展していった。そこら紅丸達と出会い…
「……皆頑張ってこの町を……本当、ウチは何も知らずに…。」
その事実を知った希星は町に来たばかりでの自分の行動と発言を恥じた。
「こんなウチがこの町で暮らすなんて……許されることなのかな…。」
いろんな事を知った希星は自分が
そんな希星にフォルテは言う。
「自分の行いを悔やみ反省している希星なら大丈夫だ。色々落ち着いたら皆に謝罪すればいいさ。その機会は必ず用意する。……それまではこの部屋で大人しくしているといい。」
そう言って部屋を出て行くフォルテ。
フォルテが出て行き扉が閉まると、希星は扉の方を見ながら呟いた。
「……ありがとう。」
迎賓館を出てリムルと合流する為に病院へと向かうフォルテ。
病院が見えて来た辺りで、紅丸に案内されながら病院から出てくるリムルの姿があった。
「……リムル。」
フォルテは心配しながら後ろからついて行った。………紫苑の死をまだ……リムルは知らないから。
夜空に星々が輝く中、進み続けるリムル。再び死亡した者達が安置されている広場へと来た。
この場所まで来れば紫苑がどうなったかは……リムルでも、嫌でも分かってしまう。
広場の奥へと進み……布を被せられた遺体の前で紅丸が歩みを止めた。
その際、ゴブゾウの死を知らなかったゴブタが……ゴブゾウの遺体を見つけた。
「あ………ゴブゾウ?ゴブゾウ!」
ゴブゾウの遺体まで駆け出したゴブタ。ゴブゾウの遺体の側まで近寄りゴブゾウの死を理解したゴブタは、目に涙を浮かべ泣き出した。
「うわあああああっ‼︎」
悲しみの絶叫を上げるゴブタ。……ゴブタとゴブゾウはいつも一緒で親友と呼べる関係だった……そんなゴブゾウの死を知ったゴブタの悲しみは痛いほど分かる。
ゴブタの絶叫が響く中、紅丸がリムルの目の前にある遺体を覆っていた布を取る。……リムルの目の前に紫苑の遺体が顕になる。
紫苑の姿を再び見たフォルテはまた怒りが込み上がる!それは…ファルムスに対してでなく……己に対して。
「………紫苑は襲撃者が狙った子供を庇って……。結界による弱体化で思うように動けず……。」
「ゴブゾウは私を守ってくださいました。……それを襲撃者は笑いながら……。」
「紫苑さん…。」
紅丸と朱菜は悔しそうにそう言い、シンシヤは涙を浮かべながら紫苑の死を心から悲しんでいた。
紫苑の死……それを知ったリムルはただ呆然と立ち尽くしていたが、リムルの抑えきれない感情を表すようにリムルの身体から荒ぶる
凄まじい
紅丸達が必死に耐える中、リグルドとフォルテそしてシンシヤが声を上げる。
「リムル様!」
「リムル!」
「パパ!」
フォルテ達の声が聞こえたリムルはすぐに
……しばしの間、静寂が支配し……リムルが渦巻く感情を抑えながら声を絞り出す。
「……………すまん。しばらく一人にしてくれ。」
「…………分かりました。」
リムルの言葉にリグルドが頷き、白老は泣き続けるゴブタを連れて行く。
皆がリムルの言葉に従い離れて行く中、朱菜とシンシヤがリムルを優しく抱き締める。
「……………いつでもお呼び下さい。すぐに参ります。」
「パパ……。」
二人はリムルを心配しながらその場を去って行く。フォルテも今のリムルの気持ちを考え離れる。シンシヤはリムルの哀しい背後姿を見て泣き始め、そんなシンシヤを朱菜とシズさんが宥める。
離れて行く中でフォルテは拳を強く握り締める……。
俺があの時町を離れなければ……俺がもっとしっかりしていたら……俺にもっと力があれば…。
悔やみ続けるフォルテ。そんなフォルテにシンシヤを宥めていた朱菜が近寄り声をかける。
「…フォルテ様。ご自身を責めないでください。」
「……今なら紅丸の気持ちがよく分かる。」
里を蹂躙され皆を守れなかった紅丸の気持ちが…。
「…俺が町から離れなければ……もっと力があったなら…。」
「違います!フォルテ様はいつも私達の為に戦ってくれています!」
悔やみ続けるフォルテに朱菜はそう声を上げた。
「朱菜…。」
「フォルテ様これを…。」
朱菜がフォルテに布に包まったあるものを渡す。
受け取ったフォルテが布を捲る。
「これは…!」
それは折れた紫苑の角だった。
「フォルテ様はいつも紫苑の為に料理や作法など教えてくれていました。紫苑はそんなフォルテ様に応える為にいつも頑張っていました。」
「朱菜…。」
「そうだよフォルテ君。」
朱菜の隣にシズさんと泣き止んだシンシヤも来た。
「フォルテ君は皆の為にずっと頑張っていたよ。だから自分で全部背負い込まないで。」
「そうです!フォルテさんは何も悪くないです!」
「シズさん…シンシヤ…。………ありがとう。」
三人に励まされたフォルテは少しだけ救われた気がした。朱菜から受け取った紫苑の角を握るフォルテは今から町の警戒に当たる準備を始めるのだった。
ある事をした後、リグルド、紅丸、カーネル達に指示を出して結界周囲の警戒を強化した。
それからフォルテは上空から町を見張り続けた。
リーガルがまた仕掛けて来るかもしれない……ファルムスの奇襲が来るかもしれないとずっと見張りを続けた。
……休むこともせずに空中でずっと見張り続ける。日が昇り、日が落ち…また日が昇る……そうして三日経過した。
その間ずっと見張りを続けながらフォルテはファルムスへの裁きを考えていた。
俺の攻撃なら跡形も無く奴らを消すこともできる……だがそんな一瞬で死ぬ慈悲など与えない……紫苑達の命を奪ったその罪に合う苦しみを必ず与えてやる。
冷静にかつ静かに燃える怒りを心に宿しながらずっと考え続けるフォルテ。
……そんな時、
ファルムスの兵かリーガルの刺客かと急いで向かうと、見えてきたのは…馬車を走らせるカバルだった。
結界を通過し
そこには警備にあたっていたリグルがいた。
「カバル殿!」
馬車から降りるカバルに駆け寄るリグル。
「商人達から事情は聞いた。」
ブルムンド王国に避難してもらった商人達から
「何と言っていいかわからねぇが…俺達で力になれることがあれば言って欲しい。」
「お心遣いに感謝を…。」
「リムルさん!リムルさんはどこぉ⁉︎」
「エレン殿!」
「リムルは広場だ。」
上空からフォルテがエレン達の前に降り立った。
「フォルテさん!」
「エレン、折角来てくれたのに悪い。リムルは一人になりたいと言ってずっと広場にいるんだ。」
「リムルの旦那がそう言ったのか?」
「ええ。フォルテ様を含めて、皆今はお側を離れています。」
皆だけでなく、フォルテもリムルから離れている……それだけで今のリムルの気持ちを理解したエレン達。
「…わかった。しばらく町の外で野宿してるから、人手が入り用ならいつでも声を掛けてくれ。」
「ありがとうございます。」
「すまない。」
リムルの気持ちを考えたカバルがそう俺達に言う中、エレンが強い決意を宿した目でフォルテに頼み込む。
「お願いフォルテさん。今すぐリムルさん会わせて欲しいの。どうしても伝えたいことがあるから。」
そのエレンの頼みにギドとカバルは止めに入る。
「
「そうだぜエレン。フォルテの旦那だって遠慮してるってのに…。」
二人はエレンの真剣な眼差しを見た…それだけエレンの決意が固いと言うことはその目を見れば分かった。
それは頼まれているフォルテからも伝わっている。
あのエレンがこんなに真剣な表情で頼んでくる……それだけ今のリムルに伝えたいことなんだな。
エレンの目を見たカバルとギドも、エレンを後押しする事に決め二人はフォルテに頭を下げて頼みだす。
「フォルテの旦那。俺からも頼む。」
「あっしからもお頼みしやす。」
「無理言ってごめんなさい。でも、今のリムルさんにはきっと必要な話だから…。」
「……分かった。」
「フォルテ様…。」
「リムルには俺から説明する。リグルは引き続き警備にあたってくれ。」
「…わかりました。」
「行こうエレン。」
「フォルテさん…ありがとう。」
フォルテはエレン達を連れてリムルの元へと向かう。
広場に着くと、リムルが
「リムルさん!」
エレンの声にリムルは動きを止める。
「……来てくれたのか…ありがとう。」
そう言うリムルの声はとても悲しいものに聞こえた。
「だけど少し待ってくれ。…そろそろ皆を眠らせてやらないと。」
リムルは紫苑達を自分の中で眠らせてやろうとしていた。このままにしても、やがて遺体は朽ちて魔素に変換される。……ならば自分の中でとリムルは考えたのだろう。…その気持ちは痛いほど分かる。
エレン達も広場の被害者の皆の姿……特に紫苑の死を知ってショックでエレンは口を手を当て、カバルとギドは何も言えず俯いた。
それでも……エレンはリムルに向かって声上げ伝える……リムルやフォルテにとって希望となりし事を!
「あっ、あのね……可能性は低いけど、ううん…殆ど無いかもしれないんだけど、でもあるの!死者が蘇生したと言う御伽話が!」
「なっ⁉︎」
エレン言葉にフォルテは目を見開いて驚愕した。
死者の蘇る…それは前世含めて不可能と呼べる話。奇跡的に蘇生した者達がいたらしいが、それはあくまで死んですぐだった者だ。
だがあのエレンが必死になってリムルに伝えようとする話……御伽話だと言ってはいるが、この世界での御伽話だ……本当にあった話かもしれない。
フォルテがそう思った時、エレンが更にリムルに続けて話す。
「所詮は作り話だと思うけど、でもこれは史実に基づいた……!」
「ハハハハッ!」
その時、リムルが笑い声を上げた。…可笑しくなったとかではない。それは希望を得たからだ。
「リムルさん?」
「いや悪いな。つい嬉しくて。死者の蘇生か………。まるで夢物語だな。可能性がゼロでないなら十分だ。詳しく聞かせてくれエレン。」
そう言って抗魔の仮面を外しながら振り返るリムル。その顔は俺が知るいつもリムルの顔だ。
リムルが希望を得たように、俺もエレンの話で希望を得た。
そんな俺達の心を表すかのように、夜が明け…
………その上空には巨大な彗星がフォルテ達を観察するように飛んでいた。
絶望から希望の光を得たリムルとフォルテ。
そして、救われる召喚者
襲撃の際、彼女だけは人的被害を出さずに済んでいたこと彼女が召喚されてからの仕打ちなどを考え救済しました。
そして空に浮かぶ彗星……それが意味するものは……!