転生したらフォルテだった件   作:雷影

62 / 145
エレンの語る御伽話。それによりリムルとフォルテが希望を手にする。
そんな二人を上空から観察する巨大な彗星……タイトルで判明していますが、再びフォルテは神と対面する。


58話 デューオ再び

リムルとフォルテがエレンの話で希望を得た丁度そのタイミングだった。

蒼影とシャドーマンから報告の知らせがきた。

 

魔法不能領域(アンチマジックエリア)で魔法や思念伝達などの通信ができない状態だったが、リムルが粘鋼糸で有線を作り出し思念伝達を可能にしていた。

フォルテもリムルから粘鋼糸を繋いでもらっていたのでシャドーマンからの報告を聞くことができる。

 

『フォルテ様。』

 

『シャドーマンか。結界を張った者達を見つけたか?』

 

『はっ。町の四方に西方聖教会の騎士の集団が陣どっている。一ヶ所につき規模は中隊程度。それぞれ魔法装置と思われる物を守っている。その魔法装置が結界を作り出しているようだ。』

 

『無効化できるか?』

 

『不意を突けば可能。』

 

『そうか。だが今は無理をする必要はない。それより周囲の警戒を怠るな。』

 

『承知した。』

 

蒼影とシャドーマンからの報告を聞き終えたリムルとフォルテは互いに目を見合わせ頷く。

 

「それじゃあ聞かせてくれエレン。」

 

「その御伽話を。」

 

「うん。」

 

エレンが話を始まる…その前に、自身の両手を耳に当てると何かの魔法を解除する。すると、耳が変化し本来の姿へと戻った。

…エレンは耳長族(エルフ)だった。

 

驚くリムルとフォルテ。そして、エレンの行動にカバルとギドが声を上げる。

 

「「あっ………。」」

 

「良いの。……これは魔導王朝サリオンに伝わる御伽話。ある少女と(ドラゴン)の物語……。」

 

そうしてエレンはその御伽話を話していく。

 

この世に四体しかいない〝竜種(りゅうしゅ)〟。その最初の一体が大地にて人間と子を()した。

我が子に力の大半を譲渡することとなった最初の竜種は、残る全ての力を結晶化させ自分の分身ともいえる子竜を生み出した。

そして、その子竜を我が子…竜皇女(りゅうこうじょ)へと贈ったのである。

幼い竜皇女はすぐに子竜と仲良くなった。

平和な日々は永遠に続くかと思われたが、ある刻悲劇が起きる。

栄華を極めた魔法大国が竜皇女を支配しようと目論み、子竜を手にかけたのだ!竜皇女は嘆き悲しみそして怒り狂った。

父より受け継いだその力は凄まじく、一帯が焦土と化してもその怒りは治らなかった。

一柱(ひとり)の魔王と精霊女王の力でようやく正気を取り戻した頃、かつての大国は見る影もなく栄華は過去のものとなった。

望んだわけではなかったが、十数万の命が生け贄となり竜皇女は魔王へと開花した。

すると奇跡が起きた。子竜は竜皇女の魔王化に伴い、死して尚進化したのだ。

立ち上がろとするその姿に竜皇女は喜んだ。…しかし、奇跡は望む形ではなかった。

混沌竜(カオスドラゴン)。死と同時に魂を失った子竜は、意思の無い邪悪な(ドラゴン)へと変貌してしまったのだ。

他を顧みることなく破壊の限りを尽くすその様はまるで友を失った竜皇女自身のようだった。

恐れ逃げ惑う人々の中、ただ一人竜皇帝だけは理解した。

友はもうそこには居ないのだと。

そして自らの手で友の亡骸を封じた。

それが魔王になった竜皇女の最初の偉業となった。

 

 

「……物語はこれでおしまい。」

 

エレンが話してくれた御伽話…それは壮大な物語だった。そして、エレンが言った通りこの御伽話は史実を元にした話だと確信した。

最初の竜種……それはヴェルドラの兄であり、娘の竜皇女とはミリムに間違いない。

 

かつて…ミリムが寝言で俺に問うてきたあの言葉。大切な者を失う悲しみと怖さ…そして今のままではいられなくなる。

……それは過去に自分が経験したからだった。

 

そしてミリムが魔王となったこの話……一国を滅ぼし魔王に進化し、それに伴に絆ある子竜が復活した。

確かにこの世界の魔物達は驚異的な進化をする。名付けをしただけで老人だったリグルドは若返り筋骨隆々な肉体を得、紅丸や蒼華は人間に近い姿へと進化した。

 

確かに死者が進化による影響で蘇生できる可能はある……だがそこには問題があった。

リムルもそれが分かっていた。

 

「……しかし、意思の無い怪物になられても意味がない。」

 

「うん。問題は魂の有無だと思うの。」

 

そう…死した者達の魂だ。俺がシズさんや猪八戒を救えたのは、シズさんの魂が失われていなかったこと。猪八戒の場合は物質体(マテリアル・ボディー)が失われる前に、その魂を保護したからだ。

魂のある無いで全てが変わる。……転生した俺やリムルはそれを一番理解している。

 

…だが紫苑達は死と同時に魂を失ってしまった。

 

「竜皇女の子竜は魂が戻らなかったため、意思は無く思考もできなかったってことか。」

 

「だと思う。」

 

そう言ってエレンは空を…いや結界を指差した。

 

「この街は今、結界に覆われてるでしょう?」

 

エレンの言葉にフォルテとリムルがあっ!と結界を見上げる。

 

そうか、この二つの結界によって止まっている可能がある!

 

《絶命した者の魂は本来、拡散、消滅する。だが二種結界に阻まれ残存している可能はある。その可能性は3.14%だ。》

 

電脳之神(デューオ)が計算した通り円周率並みだが、紫苑達を蘇生できる可能が3%以上ある。

可能が0でないならそれに賭けるだけの価値はある。

 

フォルテはリムルに声を掛ける。

 

「リムル!」

 

「ああ。俺も同じ気持ちだフォルテ。」

 

リムルの瞳はその僅かな可能性に希望を光を宿していた。

リムルとフォルテ…二人は魔王になる決意をした瞬間である。

 

「エレン。話してくれてありがとう。」

 

「ううん。」

 

「だが良かったのか?俺達に魔王になるように言ったようなものだぞ?それにエレン。……ひょっとしてだが…。」

 

「うん。私ね、本名はエリューン・グリムワルトって言うの。魔導王朝サリオンの王家に連なる家系なんだぁ。」

 

「お嬢様…?」

 

「やはりな。」

 

さっき話してくれた御伽話は魔王になる方法を教えるようなものだ。そんな重要な話が一般の御伽話として語られている訳がない。それこそ国家機密の話だ。

 

エレンの正体を知ったリムルとフォルテの目線がカバルとギドに向けられる

 

「まさかお前達も王家の…?」

 

「お前達も本当は耳長族(エルフ)?」

 

「「いやいや」」

 

二人はすぐさま否定した。

 

「俺らは護衛ですよ。流石にお嬢様の一人旅は危険すぎますからね。」

 

「自由な冒険者に憧れてこの二人と国を出たの。」

 

「そうだったのかよ…。」

 

「黙ってて済いやせん。」

 

「だがむしろ危険な目にあっているようだが…。」

 

「そうね。むしろカバルのせいで、命の危険を感じることもあるのよね…。」

 

「ぐっ…だって魔物の巣があったら、とりあえず様子見で突っつくだろ⁉︎」

 

「それは様子見とは言わないでやす。」

 

…この三人を見るとなんだかホッとする。護衛と聞いたが、三人の関係は見た通り仲間だ。……まぁカバルのせいで危険な目にあっているようだし、全部が終わったらこっちからも礼をしないとな。

 

フォルテがエレン達を見てそう思っていると、エレンが再び話しかけてきた。

 

「ねぇリムルさん、フォルテさん。多分ね、リムルさんとフォルテさんが魔王になったら私が関与しているのは国にバレると思う。さっきの話はサリオンでも1部の人しか知らないから。国へ連れ戻されるのは時間の問題だから、それまではここに居させて欲しいの。」

 

「もちろんだ。」

 

「エレン達には見届けて欲しい。」

 

その後、エレン達は議事堂へと向かった。

 

紫苑達を見据えるリムルとフォルテ。

 

俺が…いやリムルが魔王に進化すれば…。

 

《リムル=テンペストとフォルテは既に魔王種を獲得している。》

 

電脳之神(デューオ)が俺達が既に魔王種となっていることを知らせてくれた。

 

魔王種についてはミリムから聞いていたがいつの間に…。

 

《リムル=テンペストは豚頭魔王(オークディザスター)を捕食した際に獲得。フォルテは我の本体に力の一部を授かった時に獲得している。》

 

そんな前から⁉︎

 

流石に予想外だったフォルテは内心驚いていた。

 

まぁ兎に角、魔王への…真なる魔王への進化は可能だと分かった。……そしてその条件が…。

 

《真なる魔王への進化には種を発芽させる為の養分が必要。御伽話から推測される養分…それは人間の魂だ。必要となる人間の魂その数一万名以上だ。》

 

やはりな。…なら答えは決まっている。

フォルテは既に覚悟は決まっている……それに新たな目的が生まれただけだ。

 

「…リムル。」

 

「大丈夫だフォルテ。今回は俺自身の手でもケジメをつける。」

 

リムルにも迷いはない。決意と覚悟を宿したその目を見れば分かる。

 

その時、蒼影とシャドーマンから新たな報告がきた。

 

『フォルテ様。』

 

『シャドーマン何かあったのか?』

 

『トレイニー殿からの連絡で、ファルムスと西方聖教会の連合軍が拙者らの領土へと侵攻中とのこと。その総数およそ五万…。』

 

『五万か……それは好都合だ。』

 

『?それはどう言う…?』

 

『大したことじゃない。リムルと俺に必要な数には十分足りるだろう。』

 

「ああ。安心しただけだ。」

 

リムルも蒼影からの知らせを聞いて薄い笑みを浮かべるのだった。

 

そして、シャドーマン達からの報告を聞き終えたフォルテとリムル。

 

「……覚悟はいいなリムル。」

 

「ああ。今後一切の甘えを捨てる為に…紫苑達を蘇生させる為にも迷いはない。」

 

リムルの覚悟のこもった言葉を聞いたフォルテは空を見上げる。

……そして空に浮かぶそれを見つけ目を見開く。

 

「まさか⁉︎」

 

「どうしたフォルテ?」

 

リムルも上空を見る……そこには青空の中に浮かぶ巨大な彗星があった。

 

「あれって…ひょっとして⁉︎」

 

リムルもその彗星を見て正体に気付いた。

そして次の瞬間、彗星から眩い光が放たれる。

リムルとフォルテは眼を瞑り、光が収まり眼を開けると……宇宙空間にいた。

 

「此処は…やっぱりそうなのか⁉︎」

 

「…二年ぶりだな。まさかまた呼ばれるとはな。」

 

「「「「フォルテ!」」」」

 

「「フォルテ様!」」

 

「リムルさん!フォルテ君!」

 

「パパ!」

 

……呼ばれたのは俺達だけではなかった。

シズさん、シンシヤ、カーネル、ゴスペル、トリル、D(ダーク)ロックマン、D(ダーク)ブルースそれにプロトまでもこの空間に呼び込まれていたのだ。

 

【久しいな。我が力の一端を与えし者。そして…その仲間達よ。】

 

そう言いながら俺達の前に姿を現す巨大な白きロボット……そうデューオだ。

 

「……確かに久しぶりだなデューオ。まさかたった二年で再び会うとは思わなかった。」

 

アニメだと、リーガルとゆりこをプローグにして15年観察していたからな。

 

【お前達の時間では確かに二年後であろう。だが我は時間を超越し様々な時空を探索し続けていた。】

 

そうだ。元々デューオには時間を超える力があった。そこに更に次元を越える力を得たのだから、もはやデューオは時間の概念すら超越したまさに神だったな。

 

そんなデューオをフォルテが話す中、リムルは本物のデューオとの対面に言葉が出ない様子だった。

 

「……本当にデューオだ。」

 

「まさかこの僕がこの空間に来れるなんてね…。」

 

「全くだな。」

 

「あれがデューオ…。」

 

「…本当に人智を超えた存在なのが見ただけで分かる。」

 

「…凄い。」

 

D(ダーク)ロックマンとD(ダーク)ブルースは自分達が直接デューオの電脳空間に呼ばれたことに驚き、トリルとアイリスそれにプロトはデューオから伝わるデータと力に圧感した。

 

【お前がスライムに転生した元人間か。お前も実に興味深い存在だ。そして、この場に呼んだ者達。お前達のこの世界での成長は我の予測を超えた。実に素晴らしい者達だ。】

 

そう言えば、俺の電脳之神(デューオ)とデューオは繋がっていたんだったな。それで俺達の成長を知ったのか。

 

デューオの話を聞いていると、シズさんからセレナードが姿を現した。

 

「デューオ。それで私達を呼んだ理由はなんでしょう?」

 

【お前達をこの場に呼んだのは、スライムに転生したリムルとフォルテについてだ。】

 

デューオがリムルとフォルテの名を言った瞬間、皆が一斉に二人を見る。

 

「……そうか。」

 

「俺達の覚悟を知ったからわざわざ来たんだな。」

 

【その通りだ。それに奴らの存在が確認できたこともある。】

 

「リムルさん?フォルテ君?」

 

「パパ?」

 

「フォルテ?」

 

リムルとフォルテの強い決意と覚悟を宿した目を見てシズさん、シンシヤ、アイリスは心配そうに見る。

 

「折角だしこの場にいる皆には先に言っておく。」

 

「俺とフォルテは……魔王になる。

 

 

リムルとフォルテは先ほどエレンが話してくれた御伽話を皆に話した。

 

「結界内には紫苑達の魂が残存している可能性が3%ある。」

 

「たった3%だと思うけど、それでも紫苑達を蘇生できる可能があるなら俺達はそれに賭ける。」

 

「リムルさん。フォルテ君。……分かったよ。私は二人を信じる。」

 

「私も紫苑さんが生き返るなら…パパ達を信じます!」

 

「フォルテならきっと大丈夫。」

 

リムルとフォルテの決意と覚悟にシズさん達も二人が賭けたその可能性を信じることにした。

 

 

そんな二人の覚悟を聞いたデューオ。

 

【お前達の覚悟しかとこのデューオが聞いた。ファルムスとやらの行いも決して罷り通らぬものだ。そして暗躍する我がプローグにしたリーガル…そして別世界の悪である倉田明宏。奴らの存在はこの世界の害悪になることは間違いない。故に、フォルテ=テンペストに我の更なる力を与える。】

 

そうデューオが言った瞬間、デューオから様々なデータがフォルテに流れ込む。

 

それはデジモンは勿論、様々な世界のデータ生命体や発展した技術など。

 

【我が観察してきた世界の力をフォルテに与えた。更に、その中からもっとも適合した力を与える。】

 

そう言うと、デューオの前に様々な物が出現。

 

巨大なロボットのようなコンピュータサーバー、中枢に青い輝きを放つ通信衛星、中枢に赤い輝きを放つ半壊した通信衛星、青い梟を模したマーク、赤いL字型の海竜を模したマーク、背に光輪を持つ金色の六体の巨人、巨大な骨でできた右手を模した杖…その端には六つの輝きを放つ六分儀のような物がある。

そして……七大罪を司る七大魔王の冠。

 

それは全てがデータ化しながらフォルテのエンブレムに流れ込む。

その中で、赤い中枢の半壊した通信衛星と巨大なロボット型のコンピュータサーバーのデータがプロトへ。

青い中枢の通信衛星と青い梟のマークのデータがアイリスへと流れ込んだ。

 

【ほう。フォルテ以外にもこの力に適した者がいたようだな。】

 

やがて全てのデータがフォルテ、アイリス、プロトにインストールされた。

 

【お前達に与えたその力を活かせるかはお前達次第だ。そして…。】

 

デューオの目が光ると、トリル、D(ダーク)ロックマン、D(ダーク)ブルース、ゴスペルから光の球体が分離しフォルテのエンブレムに吸収された。

 

【この者達の力を複製しフォルテに与えた。】

 

「デューオ…感謝する。」

 

【あの者達は必ずこの世界に災いをもたらす。フォルテよ。必ず奴らを倒すのだ。】

 

「ああ。必ず!」

 

【それと、この世界にも我を作り出した惑星の生き残りが降り立ち、その宇宙船が遺跡として残っていることが判明した。】

 

「なっ⁉︎」

 

それにはフォルテだけでなく皆も驚愕した。もしその遺跡をリーガル達が見つけ出したなら……

 

【その遺跡の確保をフォルテ…お前に任せる。】

 

「なるほど。先ほどの力の譲渡は報酬の先渡したと言うことか。分かった必ずリーガル達より先に確保する。」

 

【うむ。最後に我からフォルテに頼みたいことがある。】

 

えっ⁉︎神と呼べるデューオが個人的な頼み事……ある意味驚愕だな。

 

「デューオからの頼みとは?」

 

【この者達にお前達の世界に居させて欲しい。】

 

デューオの前に漆黒の竜人型デジモンと紫のロングコートを着た長髪の男性そして、黒、赤、緑、橙、水、黄の六色の小人の電脳生命体。

 

その者達全てをフォルテは知っていた。

 

「この者達は…!」

 

【我が観察した世界で命を落とした者達だ。その最後の瞬間に我がこの者達のデータを回収した。この者達は己の存在理由を求める者、亡くした友との約束を果たそうとした者、仲間達と平穏に暮らすことを求めた。この者達には生きる資格がある。故に、フォルテの世界で新たな生を与えて欲しい。】

 

「…分かった。ただ、……その黄色の奴は…。」

 

【無論この者のプログラムは書き換えた。緑の者も本来のプログラムに戻している。】

 

「なら大丈夫だな。」

 

デューオに託された者達を一旦チップにしてフォルテは預かった。

ファルムスとの決着が終わっていない故に、彼らを出すのはまだ先となるだろう。

 

デューオに頼みを聞き終えた後、今まで黙っていたリムルが口を開いた。

 

「なぁ。…俺が聞くのがおかしいのかもしれないが、なんでフォルテにここまでしてくれるんだ?俺が知ってるデューオよりかなり丸くなったって言うか…なんと言うか…。」

 

リムルの問いはD(ダーク)ロックマン達も思っていた事だった。

いくらリーガル達を倒す為とはいえ、デューオがここまでする必要は本来ないはず。

 

……リムルの問いにデューオは答える。

 

【我も最初はここまですることなど考えていなかった。だが、フォルテの一部となった我が分身と呼べるスキルからこれまでのフォルテについてを知った。】

 

電脳之神(デューオ)本物(オリジン)に伝えていたのか。

 

【お前達は小さいゴブリンの村を二年で町としジュラ・テンペスト連邦国と言う国を建国した。だが我が一番評価したのは、あらゆる魔物達が手を取り合う姿だ。魔物とはいえ、多種族が問題を起こす事なく助け合い発展していく光景は見事だった。そして人間とも手を取り合おうとしている。そんなお前達のこれからに我は期待しているのだ。】

 

「デューオ…。」

 

【次に会う時を期待している。】

 

デューオがそう言った瞬間、俺達は再び光に包まれた。

 

 

 

 

そして気がつくと紫苑達の元に戻っていた。空を見上げると、デューオの彗星が時空の歪みの中へと消えた。

 

 

「…デューオお前の期待に応えて見せる。」

 

「まさか…俺までデューオに会えるとはな。」

 

リムルはさっきまでデューオと対面したことに若干笑みを浮かべていた。

 

「…どうやら今回は時間を停止させていたようだな。俺達がいなくなってから殆ど時間が経過した様子はない。」

 

「ならやるべき事をするかフォルテ。」

 

「ああ。」

 

リムルとフォルテはその場で第三…第四の結界を張った。

紫苑達の魂がこれ以上拡散しない為に、念の為の措置だ。

 

「リムル様!フォルテ様!」

 

突然結界が更に張られた事に、リグルドと紅丸が慌てながら二人の元に駆け付ける。

 

「リムル様。フォルテ様。この結界は…。」

 

「安心しろ。俺達が張った結界だ。」

 

「リグルド。皆を議事堂に集めておいてくれ。」

 

「は…はい!」

 

「会議を行う。議題は今後の人間に対する振る舞いについてと、シオン達の蘇生についてだ。」

 

リムルの言葉に目を大きく開いたリグルド。

 

「……はいっ(ただ)ちに招集します‼︎」

 

リグルドは駆け足で行動を開始した。

 

「あんまり驚かれなかったな。おかしくなったと心配されるかと思ったのに。」

 

「まぁ予測はしていたんで。」

 

「予測?」

 

「俺達は皆〝リムル様とフォルテ様なら或いは〟と思っていましたからね。」

 

そう言って笑顔を見せる紅丸。

 

「…そっか。」

 

「なら次は…。」

 

リムルとフォルテは迎賓館に居るミュウランの元へ向かった。

 

「ミュウラン。リムルからの処罰が決まった。」

 

「お前には死んでもらう。」

 

リムルが鋭い眼差しでミュウランを見ながら言った。

 

「旦那!」

 

それは、ヨウム達が望む結果ではなかった。ヨウムはミュウランを救う為に弁明しようと声を上げる。

 

「待ってくれ!ミュウランは本当に……っ!」

 

「無駄だヨウム!」

 

「グルーシス⁉︎」

 

「あれは本気の目だ。」

 

グルーシスが狼男の姿に変身した。

 

「獣身化か。」

 

そのまま俺達に攻撃を仕掛けるが紅丸がそれを阻む。

 

「何してるヨウム!ミュウランを連れてさっさと逃げやがれ‼︎…この人達相手じゃそんなに長くは稼げねぇよ。」

 

「グルーシス…!」

 

グルーシスは身を挺してミュウランを逃す時間を稼ごうとしている。

 

「くそっ…ミュウラン行こう!はや……!」

 

ヨウムはミュウランを連れて逃げようとしたが、ミュウランはその場でヨウムに口付けをした。

 

「好きだったわヨウム。私が生きてきた中で初めて惚れた人。…さよなら。今度は悪い女に騙されないようにね。」

 

それはミュウランからヨウムへの告白であり別れの口付けだった。

 

そしてミュウランはリムルの元へと向かう。

 

「ミュウラン!」

 

ヨウムはミュウランを止めようとするが、フォルテがヨウムの背後回り込みその場で拘束し抑え込む!

 

「フォルテの旦那!」

 

「…ミュウランの思いを無駄にするな。」

 

グルーシスは紅丸に抑え込まれ、ミュウランはリムルの前で止まる。

 

「くっ!旦那‼︎リムルの旦那‼︎頼む‼︎やめてくれ‼︎俺も一緒に償う!何でも言う事を聞くよ!」

 

「いい覚悟だ。」

 

「一生をかけて償うよ‼︎だから!」

 

ヨウムは必死に叫ぶがリムルの気持ちは変わらない。右手に妖気(オーラ)を纏うリムル。

 

「ああっ!そんな!フォルテの旦那!頼む‼︎リムルの旦那を止めてくれ‼︎」

 

「……紫苑達の死は重いんだヨウム。」

 

フォルテの言葉にヨウムはもう何を言っても駄目だと理解するしかなかった。

 

「ミュウラン‼︎」

 

ヨウムが叫んだその瞬間!リムルの右手がミュウランの胸を貫いた。

 

「ぐっ…………!」

 

「あっああ……ああああああ!」

 

ミュウランが死んだ……結局ミュウランを守ることができなかった二人。ヨウムの嘆きと呻きが部屋中に響き渡る。

 

 

 

ミュウランは死んだ。………そう()()()()()のだ。

 

「良し!上手くいったようだな。」

 

「ああ。拒絶反応もない間違いなく成功だ。」

 

リムルとフォルテの明るい声にヨウムが目を開くと、死んだはずのミュウランが生きていた。

 

「あれ?なんで私生きて……?」

 

間違いなく死んだと思っていたミュウラン自身も、自分がまだ生きている事に混乱していた。

 

「3秒くらいは死んでたかな。まっ死んでもらうとは言ったが、殺すつもりはなかったし。」

 

「3秒…?」

 

《個体名ミュウランの擬似心臓は正常に作動している。》

 

電脳之神(デューオ)から、リムルがミュウランに新たに埋め込んだ擬似心臓が上手く機能していることが確認された。

そんな状況が全く理解できないヨウムとグルーシスは驚愕した表情を浮かべながら困惑していた。

 

「だ…旦那方⁉︎一体これはどう言うことなんだ⁉︎ミュウランは…っ。」

 

「わかったわかった。説明するから。」

 

「そんなに狼狽えるな。」

 

そう言いながらフォルテはヨウムの拘束を解いた。

そして、リムルとフォルテはヨウム達に説明する。

 

「フォルテから聞いて知ったんだが、クレイマンがミュウランに仕込んだこの仮初の心臓は盗聴に使われていたんだ。」

 

「盗聴…⁉︎」

 

自分に埋め込まれた仮初の心臓がまさか盗聴器になっているとは知らなかったミュウランは驚いていた。

 

「暗号化された電気信号を発生させクレイマンの元に届けられていた。魔法通信で定期的に報告を入れさせていたのはそれに気付かせないためだ。」

 

「信頼する仲間ではなく、聞いた通り〝道具〟なんだろうな。クレイマンを欺く為に、ミュウランは死んだと思わせたかったんだ。怖い思いをさせてすまんな。」

 

「いえ…いいえ。あの…ではこの胸の鼓動は…?」

 

「仮初の心臓を参考に俺とリムルが作った擬似心臓だ。無論、盗聴機能はない。支配の心臓(マリオネットハート)はなくなった。これでもうクレイマンはミュウランに何もできない。これで自由の身だ。」

 

リムルとフォルテの言葉に、ミュウランは嬉しさで涙を浮かべた。

 

「本当に…。」

 

これにはミュウラン以上にヨウムが喜んだ。

 

「やったじゃねぇかミュウラン!もうお前を縛るもんは何もなくなったってことだ!」

 

「…ええ。」

 

「旦那達も人が悪いぜ。俺にくらい教えておいてくれても良かったじゃねぇか。」

 

「…ヨウム。お前は人質だったんだぞ。」

 

「え?」

 

「俺はミュウランとクレイマンの通信を傍受していた。クレイマンはミュウランがお前に好意を抱いていること知っていた。だからお前の命を人質にしてミュウランが最後の命令を実行せざる負えないようにしていた。」

 

フォルテから明かされた事実にヨウムは戸惑いながらミュウランに問う。

 

「そ…そうなのかミュウラン。」

 

「…大切な人を守りたかっただけよ。あなたの告白にまだ応えてなかったわね。私せっかく自由になれたけど、人間の短い一生分くらいなら束縛されてもいいと思っているわ。」

 

それは、ヨウムの告白を受け入れたと言う事。それを理解したヨウムは頭を掻きながら照れ臭そうに頬を赤く染めていた。

 

 

こんな状況でなければ祝福してやるところだ。……グルーシスには気の毒だが。

 

グルーシスの気持ちを思ったのか、紅丸が優しくグルーシスの肩に手を置く。

獣身化は解除済み。

 

「慰めはいらねぇよ!いいんだよどうせヨウムは人間なんだし寿命なんて長くても百年かそこらだ。その後は俺の番ってことで。」

 

「何言ってやがる⁉︎そんなこと考えてやがったか!クソ狼が!」

 

そう言って歪み合うがはたから見れたらじゃれあっているように見える。

仲良いな本当に。

 

そんな二人をよそにミュウランが俺達に話しかける。

 

「リムルさん…いえリムル様それにフォルテ様。どんなに言葉を尽くしても感謝を伝えきれません。忠誠を誓えと言うなら私は従うわ。」

 

「いやそれはいい。」

 

「折角自由になったんだからな。」

 

「…では一つ伺ってもいいでしょうか?事情はどうあれ、私がこの町に被害をもたらした要因なのは事実。命を救ってもらえる理由はありません。なぜ…?」

 

「別に善意だけでそうした訳じゃない。貴女を助けた方がヨウムの助力を得やすくなるという打算もあった。…あいつには後々やってもらう役割りがあるからな。」

 

「それにミュウランの魔法の知識と技量も当てにしている。」

 

「それは勿論。協力は惜しみません。」

 

「あと一つ。正直俺の中ではこれが一番大きな理由かもしれない。」

 

「それは…?」

 

「死んで生き返るなんて良くある話だろ。ここらで一発事例を増やしておきたかった。…それだけだ。」

 

「それで早速だが、この後少し手伝って欲しいことがある。」

 

「なんでしょう?」

 

「今お前が死んで生き返ったように、紫苑達も生き返る可能性がある。」

 

「出来る……のですか?」

 

「あくまで可能性だが賭けるだけの価値はある。そこでだ、少しでも成功率を上げる為にお前の力を貸して欲しい。」

 

「はい。勿論です。」

 

リムルとフォルテからの頼みをミュウランは心良く快諾した。

 

「さてと、次はヨウム。お前にも頼みたい事がある。」

 

フォルテが声を掛けると、グルーシスの首を腕で締めながらヨウムはこちらに顔を向ける。

 

「あ……ああ!旦那達の頼みなら何でも……。」

 

「ファルムス王国の新しい国王になってくれ。」

 

「おう!任せろ…………ってえ?王?」

 

リムルの突然の頼みにヨウムとグルーシスは目を点にした。

 

フォルテとリムルはヨウムに説明する。

 

「今からこの町に向かって来ているファルムス王国の軍勢を、国王と幹部諸共を殲滅する。」

 

「すると残された国民が困るだろ?そこでお前の出番だ。新たな王としてファルムス王国を統治し、俺達と国交を結んでくれ。」

 

「簡単に言ってくれるな………俺が王だと?」

 

「良いだろう?俺達だって魔王になるんだ。お前も付き合えよ。」

 

「リムル様とフォルテ様は貴方だからお願いしてるのよ。私も応援するから、波乱万丈に生きてみたら?」

 

「う〜ん………。」

 

悩むヨウム。無理もないな。荒くれ者から英雄になったかと思えば、今度は一国の王になれだからな。

 

悩み続けるヨウム。すると、グルーシスがヨウムの肩に手を置き声を掛ける。

 

「俺も付き合ってやるぜ。側でお前が死ぬのを待ってやる。」

 

「何い⁉︎」

 

「ハハハッ!」

 

「………分かったやるよ。任せてくれ。」

 

「よし。」

 

そう言って握手を交わすリムルとヨウム。

 

その後、会議室に皆が集結。

 

「皆、待たせたな。これより会議を行う。」

 

「議題は今後の人間への対応と、紫苑達の蘇生に関してだ。」

 

 




電脳之神から色々知らされていたデューオ。リムルとフォルテが作る町に可能性を感じ期待してくれた。
そんなフォルテの為に今まで観察してきた世界のデータ生命体や人工知能に関するデータを得たフォルテ。
その中には皆さんが知るであろう様々なデータがあり。
更にトリル達の力を得たフォルテ……選ばれた者達とフォルテの共通点……それがフォルテの進化に大きな影響を与えるはず。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。