転生したらフォルテだった件   作:雷影

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リムルとフォルテが皆に話す覚悟と自分の秘密。
これが今年最後の投稿となります。
来年からも頑張っていきます。


59話 全てを賭けて

希望を得たリムルとフォルテ。皆を集めた会議が始まった。

 

「まず会議を始める前に、お前達に伝えておくことが一点ある。」

 

「俺達は魔王になる。」

 

フォルテの言葉に知らない者達は目を見開く。特にギャルドは難しい顔をしていた。

 

「じゃあ始めようか。」

 

まずは人間に対する意見を聞いてみた。

 

「…私は人間を許せません。強き者に従うのは不服ではありません。だがあれは不意をついた侵略。卑怯者に払う敬意など持てません。」

 

「私も…人間に対しこれまでと同じように接することができる自信がありません。商人や冒険者の中にああいった者がまた潜んでいないとは限りませんもの…。」

 

リリナも人間に対する不信感が募ってるな。…まぁ当然だが。

 

「…オイラは、」

 

だがそんな空気の中、ゴブタが皆言った。

 

「ゴブゾウ達を殺したファルムス王国の騎士達はキライっすけど、ヨウムさんや部下の人達は同じ師匠の下で同じ釜の飯を食った仲間っす。あいつらとは違うって断言できるっす。」

 

「ゴブタ…。」

 

ゴブタの言葉にヨウムは嬉しそうにゴブタに目を向ける。

ゴブタの言葉に続いて、リグル達も声を上げ始めた。

 

「俺もゴブタに同意します。カバル殿達はここを案じて駆けつけて来てくれました。彼らは信頼できる友だと俺は思います。」

 

リグルの言葉にエレン達は笑みを浮かべる。

 

「襲撃の際に町の者達を守る為に駆けつけ、助けて下さった縁壱殿と杏寿郎殿。…そして迎撃に助力を申し出てくれたのはミョルマイル殿や人間の冒険者達でした。〝人間〟とひとくくりに話すべきではないのではないでしょうか?彼らの中には信頼できる者もいればそうでない者もいる。」

 

「しかし当面は人間との交流は全面禁止にするべきじゃないか?」

 

「いやそれでは、ブルムンドとこれまで築いてきた信頼も失いかねない。」

 

そう言って皆で人間との共存について真剣に話し合ってくれている。

それが嬉しかった。

 

「……皆の思いは分かった。人間との対応についてと、俺とリムルについて皆に伝えたいことがある。」

 

フォルテの言葉に皆がフォルテの方へと振り向く。

 

「だがその前に紫苑達の蘇生について話す。これはエレンから教えてもらった御伽話……いやミリムの過去についてだ。」

 

そう言ってフォルテは御伽話を……ミリムの過去を話した。

 

「…………と言う事で、これが俺達が魔王になる理由だ。」

 

ミリムの過去を話した後、リムルが続くようにそう言った。

リムルの言葉を聞いた後も、皆は俺達を見続ける。

 

「こちらに向かっているファルムス王国の軍隊…………俺とリムルで一万名以上を養分として魔王に進化する。」

 

「紫苑達が蘇生する確率は3%もある。」

 

「「「「「おお………!」」」」」

 

フォルテとリムルの言葉を聞いた皆がどよめく。

 

「そっそれは…リムル様、フォルテ様………。」

 

朱菜はリムルとフォルテが魔王になる為に人間の命を奪う……それを心配し声を上げた。あれだけ人間を思い交流を深めたリムルとフォルテだったから。

 

「まぁ待て。言いたい事、聞きたい事があるだろうがその前に、話を最後まで聞いてくれ。」

 

「はい。」

 

「……俺とリムルは元人間の転生者だ。所謂、異世界人と呼ばれる者と同じ世界の人間だ。」

 

リムルとフォルテは、嵐牙とゴスペルとトレイニーさん達とエレン達…そして、カーネル達と黒死牟達しか知らない俺達の真実を話した。

 

その事を知らなかったヨウムとミュウランは驚き目を見開いていた。

 

「向こうで死んで、この世界で生まれ変わったんだ。

スライムとしてな。…最初は寂しかった。目も見えず、音も聞こえず何をするべきなのかも分からず、ひたすら草や鉱石ばっか食って気を紛らわさせた。」

 

リムル…俺と出会う前の事は聞いたり思念伝達で見せてくれたことはあるが、そんな気持ちでこの世界を生きていたんだな。

スライムとなり目が見えず聞こえない……それがどれだけ辛かったことか。

それに比べたら、フォルテとして転生した俺は恵まれ過ぎている。

 

「期せずして、友と呼べる存在とフォルテに出会えた。もう一人は訳あってすぐ目の前から消えちまった。その後、俺達に仲間ができた。…お前達だ。」

 

そう言ってリムルは皆を見る。

 

「…嬉しかった。誰かから頼られるなんて久しぶりだった。何をするべきなのか目標を見つけた気がした。進化したお前達が人間に近くなったのは、もしかしたら俺の願望が影響したのかもしれない。」

 

「リムル…。」

 

「〝人間を襲わない〟というルールもそういう理由て作った。人間が好きだと言ったのも、元人間だからだ。今更後悔しても取り消す事は出来ない。でも、そのルールのせいでお前達が傷付くのは俺の本意じゃなかったんだ。…俺は魔物だけど心は人間だと思っていた。だから自分の思いを優先して人間の町に長居してしまった。」

 

リムルは自分がもっと早く帰っていたらと後悔していた。

 

「すまなかった。全ては俺の責任だ。」

 

リムルが皆に謝る…だがリムルのせいだけじゃない。

 

「いやリムルは悪くない。俺の責任だ。」

 

「…フォルテ。」

 

「俺のこのフォルテとしての姿は……俺達の世界で物語に登場する最凶の戦士の姿だ。」

 

今度はフォルテが皆に話し出す。

 

「死の間際、俺はこの姿…フォルテの事を思った。そしてこの世界でフォルテとして転生した。最初は驚いた。そしてリムル達と出会い守るべき仲間ができた。」

 

フォルテの言葉を皆は聞き続ける。

 

「人間だった頃…俺は虐められるような弱い奴だった。そんな俺がフォルテになってお前達に頼られ守ることができた。…お前達は俺とリムルにとって家族であり大切な者達だ。」

 

フォルテのその言葉に紅丸達は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「だから皆を守る為に更に力を磨いた。だが力を得ていく中で、俺はリーガルに対する警戒心を無意識のうちに薄れさせてしまった。」

 

フォルテは悔や拳を強く握り締める。

 

「そして俺の油断が今回の事態を引き起こした。すまない…。」

 

フォルテは悔みながら皆に謝る。

 

リムルとフォルテの謝罪の後しばしの間静寂が支配した。

 

「いいえ、それは違います。」

 

その静寂を破り声を上げたのは…朱菜だった。

 

「私達にも、いつでもリムル様とフォルテ様が守ってくださるのだという甘えがあったのです。その結果があの惨劇でした。断じてリムル様とフォルテ様のお二人で抱える問題ではございません。」

 

「シュナ…。」

 

「先に妹に言われてしまうとは、情けない限りだ。結界でリムル様とフォルテ様との繋がりを断たれた時、常にあった万能感が消え去り。胸中には寄る辺を失った動揺が広がった。留守を預かっていたというのに、心のどこかでリムル様とフォルテ様に頼っていた。フォルテ様から事前に対策を聞いていたのに実行が遅れ、惨事を未然に防げなかった原因は俺にあります。」

 

「待ってくれ紅丸さん!」

 

紅丸の言葉にリグルが立ち上がり声を上げた。

 

「それを言うなら警備責任者の俺の失態だ!原因なら俺にある。」

 

「いや……」

 

「…それも違う。」

 

「「ん?」」

 

リグルの言葉に今度は猪八戒とゲルドが声を出し、リムルとフォルテは二人に顔を向けた。

 

「初めて道を通る者には目を光らせておくべきだったのだ。」

 

「息子の言う通り。俺達にも心の中に力を得た驕りがあった故に見過ごしてしまった。」

 

「俺が入国時の審査をもっとくまなくやっていれば…。」

 

「いやそれなら私の法の整備が…。」

 

「私だって。」

 

「オイラ…相手を煽りすぎたかもしれないっす。」

 

「いやあれは仕方ない。」

 

何故か皆が後悔と反省するような流れとなり、話が段々と逸れていく。

 

「ちょっと待て皆‼︎元を正せば俺の身勝手が…!」

 

「そうだ!俺がもっとファルムス王国への対策をしていれば、リーガルへの油断があったから…俺がお前達に相談せずに町を離れてしまったから…!」

 

リムルとフォルテがそう声を上げる。そこに、今度は白老が立ち上がり口を開いた。

 

「リムル様。フォルテ様。お二人がご自分の思いを優先したからと言って何も問題はございませんぞ。今回の件はワシら全員の油断。そして弱さが原因じゃ。あのような不埒者に好き放題にされてしまったのはワシ等の怠慢であろう!違うか皆の衆‼︎

 

白老の叫びに皆は一斉に頷く。

 

「皆………。」

 

「お前達……。」

 

「リムル様。フォルテ様。」

 

「…リグルド。」

 

「身勝手、大いに結構ですとも。リムル様とフォルテ様は我らの唯一の主。人間と仲良くしようと魔王になろうと、お二人の身勝手が我らの進むべき道なのです。」

 

「…元人間が主とか嫌じゃないのか?」

 

リムルの言葉に首を傾げるゴブタ。

 

「リムル様はリムル様で、フォルテ様はフォルテ様っすよね?」

 

「それはそうだが…。」

 

「やはり…。」

 

「フッフフフフ…。」

 

リムルとフォルテが気にしていると、朱菜がくすくすと笑うのだった。

 

「魔物であれ人間であれ、物語の者の姿であろうと、私達がお慕いしているのはリムル様とフォルテ様です。前世がどうのと言われても関係ありません。」

 

「だな。」

 

「ハッハッハッハッ。」

 

「皆様気持ちは同じです。その様な事を気にする者など、誰もおりません。我らはただ従うのみですぞ。」

 

「そうか…。」

 

「皆…。」

 

皆の気持ちを聞いたリムルとフォルテは嬉しそうだった。

そんなリムルとフォルテ…そして皆の姿を見たギャルドも笑みを浮かべるのだった。

 

リムルとフォルテ…二人の告白を聞き、皆がより一丸となった所でカイジンが口を開く。

 

「それで聞きたいんだが、今後の人間への対応はどう考えてるんだ旦那方?」

 

「ああ。俺達が思うに、人間は善にも悪にもなれる。それは、そもそもの性根もあるだろうが、周囲の環境に大きく影響される。」

 

「リムルの言う通りだ。個人が善であっても、国が悪の道に進めば、いつしか同じ悪へと自然に染まる。……それはファルムスのやり方が証明している。入って来てくれ。」

 

フォルテがそう言うと、会議室の扉が開いた。そして一人の女の子が入って来た。

 

「あっ!その女は⁉︎」

 

ゴブタが立ち上がって声を上げる。

その女の子こそ、最初の襲撃者の内の一人でありゴブゾウに絡んで騒動の引き金になった希星(キララ)だった。

 

希星はビクビクしながら会議室に入りフォルテの隣に立った。

 

「彼女は水谷希星(ミズタニキララ)。ゴブタや朱菜が知っている通り、ファルムスの王国の最初の襲撃者の一人だ。」

 

フォルテの説明を聞きながら、皆睨むように希星を見る。…無理はない。

 

皆に睨まれ震える手でフォルテのマントを掴む希星。

そんな希星の肩にフォルテが手を置く。

 

「…フォルテ。」

 

希星がフォルテに振り向くと、フォルテは頷く。

 

それを見た希星は勇気を振り絞って頭を下げ謝罪する。

 

「あっ…あのごっ…ごめんなさい!

 

希星の謝る姿に皆は驚き目を丸くした。

ゴブタと朱菜から聞いた話と違い、今の希星の謝罪する姿は本当に自分達に対して真剣に謝っていたからだ。

 

「謝っても許されないのは分かっています。…でも、今のウチに出来るのはこう謝るしかないから……本当にごめんなさい!」

 

必死に謝る希星…その言葉と震えながら必死に謝罪する姿から、皆は希星が本心から反省し謝罪していると理解した。

 

紅丸が朱菜を見ると、朱菜は頷く。

 

朱菜が希星のユニークスキル狂言師(マドワスモノ)を無効にしているのか確認したのだ。

 

頭を下げ続ける希星。そんな希星の隣で、フォルテが皆に話し出す。

 

「希星はファルムス王国によってこの世界に召喚された召喚者だ。」

 

フォルテの言葉に皆が更に目を見開く。

 

「今から思念伝達で希星の過去を皆に見せる。」

 

そう言って皆に希星の過去を…ファルムス王国に召喚されてからの日々を見せる。

 

突然この世界に召喚され、ハズレスキルと判断され虐げられる毎日。

そして彼女の心が限界を迎え叫んだことで狂言師(マドワスモノ)の力を発揮し、その場にいた数十人が死んだ。

召喚主によってスキルを封印され呪言で支配され、今度は兵器として利用され続けた。

 

……希星の記憶を見た皆は、彼女への見方が変わり同情した。

 

普通の女の子が無理矢理別の世界に引き込まれ、使えないと判断されたら酷い仕打ちを受け、使える力と分かった途端に支配され利用され続ける。

 

こんな仕打ちを受ければ心が歪んでしまうのは当然だった。

 

同じ召喚者であるシズさんも、希星の気持ちが痛いほどよく分かった。

そしてシズさんは、頭を下げ続ける希星の元に歩み寄り頭を上げさせると、そのまま希星を抱きしめた。

 

「…辛かったよね。寂しかったよね。私も同じ召喚者だから貴女の気持ちは良く分かるよ。」

 

シズさんに抱きしめられた希星は、シズの優しさと温かさに涙しそのまま啜り泣くのだった。

 

その間に、フォルテが皆に言う。

 

「今知ってもらった通りだ。希星はファルムスのせいで人生を…家族と二度と会えなくされた上に酷い仕打ちを受け続けたんだ。彼女は襲撃者として魔国連邦(テンペスト)で騒動を起こした。……だが彼女はファルムスの……いやこの世界の被害者だ。すぐには許さないだろうが、彼女の気持ちは理解してやってくれ。」

 

フォルテの言葉に皆は頷いた。ゴブタにいったっては、同情のあまり涙ぐんでいた。

 

そして、希星にはファルムス王国との戦争に決着がついた後、この町で暮らしてもらう事を皆に話し、納得してくれた。

 

「希星のことで知ってもらったが、虐げられ心を歪ませてしまう者もいる。さっき皆も言ってくれたが、人間の全てを敵と断じる事はできない。」

 

「ヨウムやカバル等が証明してくれるように、知ってもらえれば良き隣人になれるのだと。俺達はその可能性を信じたい。」

 

「だから俺達は人間が学習できる環境を整えたいと思っている。俺達を知ってもらえばヨウム達のように良き隣人なれるのだと。そして、人間と魔物の垣根を取り払えると。」

 

「だが、それはあくまでも今後の希望としての話しだ。」

 

リムルとフォルテは皆に自分達の考えを話す。

 

「現状、俺達は諸外国にあまり知られていない。ドワルゴンやブルムンドの国交相手としての知名度はあっても、その在り方まで認知はされていないだろう。」

 

「故に、今の段階で人間と手を結ぶのは時期尚早だ。侵攻中の連合軍を退けたとしても、いずれ第二第三のファルムス王国が現れる。まず重要なのは、人類にとって無視できない存在としてその地位を築くことだ。」

 

リムルとフォルテの言葉を紅丸達はすぐ理解した。

 

「なるほど。その為に〝魔王〟の箔を利用するということですね。リムル様とフォルテ様が魔王として君臨することで、武力を用いた交渉は不利だと悟らせる為に。」

 

「同時に、他の魔王に対する牽制も行えば人類にとっての盾ともなり得る。」

 

「聡い者は敵対よりも共存を選ぶだろう。」

 

紅丸、猪八戒、ゲルドが言った通りだ。

 

「そうだ。友好的な者とは手を取り合い、害意ある接触を図る者には相応の報いを受けてもらう。」

 

「相手に対し鏡のように接するんだ。」

 

「そして、長い時間をかけてゆっくりと友好的な関係を築く事を目指す。」

 

「これが俺達の考えだ。」

 

「それはまた甘い理想論だな。これから魔王になろうって奴のセリフじゃねぇぞ。ったく…………だが嫌いじゃないぜ。旦那達らしくてな。」

 

カイジンが笑みを浮かべながらそう言ってくれた。

 

「理想論でも良いじゃないですか。」

 

「私も、リムルさんとフォルテなら実現できると信じている。」

 

朱菜とアイリスが笑顔で言ってくれた。

 

「難しく考える必要はない。」

 

「父王の言う通り。我らはリムル様とフォルテ様を信じるのみ。」

 

猪八戒とゲルドが迷いなく力強い言葉で言った。

 

「リムル様とフォルテ様が魔王になるなら、俺の役目もちゃんと用意してくださいよ。」

 

「当然私にも。」

 

紅丸とカーネルが俺達にそう言う。

 

『我々はリムル様とフォルテ様の忠実なる影。ご命令のままに動きます。』

 

『そして必ず任務を遂行してみせる。』

 

『御意のままに。』

 

『無論、我輩達も!』

 

蒼影、シャドーマン、蒼華、ガビルも封印の洞窟からの通信で答える。

 

「ありがとうな。」

 

「我が主達よ。我は貴方様方の忠実なる牙。立ち塞がる敵を噛み殺す者でございます。」

 

「嘗て言ったように我らが忠義はフォルテ様とリムル様と共にあります。」

 

嵐牙とフォルテの影から飛び出したゴスペルが以前に問うた時と変わらず俺達の為に戦ってくれると言ってくれた。

 

「嵐牙………。」

 

「ゴスペル………。」

 

皆が俺達の考えに賛同してくれる。

 

「やれやれ………。俺達にも新たな国を作って、意識改革を手伝ってくれって事なんだろ?」

 

ヨウムが頭を掻きながらそう言う。

 

「分かってるじゃないのヨウムちゃん♪」

 

「期待しているぞ。新たな新王。」

 

「えっ………言ってろよ。」

 

ヨウムがそう言ってミュウランとグルーシスが笑い、ヨウムは任せろと俺達に笑みを見せる。

 

「リムルさん、フォルテさん!今後もずっと仲良くしようね!」

 

エレンが俺達にそう言ってくれた。

 

「うん。」

 

「勿論だ。」

 

「皆、ありがとう!これからも俺達の我儘に付き合ってくれ!」

 

リムルのその言葉に皆が賛同してくれる。

 

俺は嬉しかった。こんな俺達の為に皆が協力してくれることに。

 

そして、俺は改めて思った。此処が…この素晴らしい仲間達が俺が守るべき者だと。

 

人間と魔物の垣根など、心が通じ合えば乗り越えられると確信もできた。

 

だからこそ、俺達は必ず紫苑達を蘇生させてみせる。

 

そんな俺達の姿を見ていたギャルドも、理解したように笑みを浮かべていた。

新たな魔王の誕生…それは西方聖教会の者としては見過ごせない。

だが、リムルとフォルテがヒナタと同じ元人間であったこと。こんな惨劇があったにも関わらず、人間との共存をまだ望んでいること。

そんな二人の考えに賛同する魔物と人間の姿にギャルドは、この二人なら信じられると改めて確信したのだった。

 

 

 

そして、次はファルムス王国への反撃作戦を立てる。

 

「さてと………。」

 

「敵軍の詳細は分かるか?」

 

フォルテの問いに紅丸とカーネルが答える。

 

「はい。蒼影からの情報によると、進行中の軍勢は今のペースでいくと………3日後には魔国連邦(テンペスト)に到着すると思われます。」

 

「シャドーマンからの報告により、ファルムス王国騎士団が3万。傭兵団1万3千。魔法使いが3千程度。これに、西方聖教会の神殿騎士団(テンプルナイツ)4千を加えた連合軍と判明しています。」

 

「総勢五万………ですか。」

 

「確かに数は多い。だが戦力としては大したことはない。」

 

「フォルテの言う通りだ。問題はない。」

 

「「「「「「「おおっ!」」」」」」」

 

「流石はリムル様とフォルテ様!」

 

総勢五万……俺とリムルが魔王に進化する為の養分としては十分足りるだろう。もし足りない場合には、この魂達を使う。

 

そう考えながらフォルテのエンブレムに収めてある二つのチップに意識を向ける。

 

お前達の無念を晴らす為にも、力を貸してくれ。

………そして、人間の魂を得た俺とリムルは真なる魔王へと進化するだろう。

 

「分担はどう行きますか?」

 

ゲルドがそう口を開く。

 

「やはり、正面は俺の部隊が受け持つ方がいいな。」

 

狼鬼部隊(ゴブリンライダー)にも先陣を任せて欲しいっす!」

 

「いや。連合軍は俺とリムルが相手する。」

 

フォルテの言葉に皆は驚いた表情を浮かべる。

そんな皆にリムルが続くように説明する。

 

「理由はある。殺された者達の蘇生に関わるんだが………これを成す為には、俺達が魔王になることが絶対条件だ。」

 

「その為には、侵略者を俺達二人で殲滅する事が、俺達が魔王になる為に絶対に必要な儀式(プロセス)だ。」

 

「はぁ………。」

 

リムルとフォルテの説明を聞いた紅丸は猪八戒とゲルドと見合わせ、リグルドが不安そうに俺達に言う。

 

「だとしても………お二人だけで出陣するのは危険すぎでは?」

 

「心配ない。油断もしないし、手加減もしない。」

 

「さっ左様ですか………。」

 

リムルの言葉に引き下がってくれたリグルド。

 

だが理由は他にある。今回の一件でリムルはやはり自分に責任を感じている。

だからこそ、今後一切の甘えを自身に許さない為にも己が覚悟で敵である人間を自身の手で始末する…そう決めたのだ。

 

そして、俺自身も二度と同じ過ちを……惨劇を起こさない為にも敵を殲滅する。

 

リムルとフォルテの決意のこもった表情を見た紅丸は頷いた。

 

「分かりました。今回はお二人に託します。」

 

「うん。」

 

「その代わり、お前達に任せたい任務がある。」

 

「はっ!」

 

「何なりと!」

 

フォルテの言葉に紅丸とリグルドが頷く。

 

リムルとフォルテは魔国連邦(テンペスト)周辺の地図を出し、敵を表すチェスのような黒い駒を四方に配置した。

 

「街の四方に結界を発生させる魔法装置が置かれている。それを守っているのは、中隊規模の騎士達だ。」

 

「お前達には、その部隊を四箇所同時に攻め落としてもらう。」

 

「ほう。」

 

「では各々に選抜部隊を決めませんと。」

 

「是非ともこのリグルに!」

 

「オイラも!今回は本気で怒ってるっすよ!」

 

「慌てるな。」

 

「人選は済んでいる。」

 

「えっ?」

 

フォルテは紅丸やガビル達を模した白い駒を黒い駒の周囲に配置していく。

 

「まずは東に紅丸、カーネル、黒死牟。」

 

「西に白老、リグル、ゴブタ、そして猪八戒とゲルド。」

 

「南をガビルとその配下達。」

 

「北には蒼影、シャドーマン、蒼華達。」

 

『我らにも機会を与えて下さり感謝します。』

 

『必ず成し遂げてみせましょう。』

 

『お任せあれ!』

 

「勝てるか?」

 

『容易いことです。』

 

「良し。」

 

通信で蒼影達にも上手く伝わったのを確認したフォルテが更に皆に言う。

 

「後、ガビルと白老達の元には俺から新たな仲間を送る。」

 

「新たな仲間とは?」

 

白老がそう聞くと、フォルテはその場で指を鳴らす。

 

それを合図に会議室の扉が開き、五人の謎の人物が入って来た。

 

「なっ⁉︎」

 

「あっ!」

 

「なんと⁉︎」

 

その人物達を見た紅丸達は驚き目を見開く。

 

入ってきたのはもう一人のガビルこと、電脳龍戈族(サイバートリシューラ)のランサーと紫色のゴブタ、黒緑のランガ、黒髪で目元に隈取りがあり新選組のような紺色の羽織を着用した白老。

そして……身体中に無数の目がある紫苑の姿だった。

 

「紫苑⁉︎」

 

「いえ……確かに紫苑とよく似た妖気(オーラ)ですが、こちらの方が紫苑より魔素量が多いようです。」

 

紅丸が驚き、朱菜が冷静に現れた者と紫苑の違いに気付く。

 

その中で、シンシヤとゴブタと猪八戒そしてガビルだけは現れた者達の事を知っている。

 

「この人達は…。」

 

「フォルテ様。」

 

「なるほどっす。」

 

「シンシヤ達が知っていると言う事は…この者達が前に話してくださった、紫苑達のもう一つの可能性の姿なのですねフォルテ様。」

 

「そうだ紅丸。」

 

そう、三日前。ファルムス王国との戦いに備え、今回再び彼らを創り出した。

ただ前回の訓練用と違い、しっかりと意思もある。更に彼らには、名付けもしたのだ。

 

「あれ?」

 

五人を見ていたシンシヤがある事に気付いて首を傾げる。

 

「どうしたシンシヤ?」

 

「私…白老さんの方は食べたことはなかったはずですが…。」

 

「ああ。この白老のもう一つ姿は、ある鏡の塔で生まれた存在らしいからな。」

 

シンシヤの中いたランサー達の情報を得たフォルテは、シンシヤがこちらの世界に来る際の時空の歪みを解析した時、向こう側の情報から夢幻鏡魔境(ループルーペ)と言う塔の情報も得ていた。

 

それから鏡に触れると、夢幻鏡魔境に接続(アクセス)出来るようになったそうだ。

そして、解析を繰り返していく中で、塔の内にいる白老など他の者達の別の可能性の情報を得ることが出来たそうだ。

 

「それで、もう一人の白老もいるのか。」

 

「左様。ワシはフォルテ様より無銘(ムメイ)の名を与えて頂いた。」

 

もう一人の白老こと、無銘(ムメイ)が皆に名を名乗る。

フォルテが最初にムメイを生み出した時は、大鬼族(オーガ)の頃の姿がベースだったが、名付けにより今の白老と変わらない鬼人の姿となった。

違いは黒髪以外に角の尖端が赤く染まり、額に罅割れのような模様があり目の周りの黒い隈取りが耳まで黒く染めている。

 

「我は雷牙(ライガ)!フォルテ様の名付けにより雷鳴弦狼(エレキギターウルフ)へと進化したものなり!」

 

このテンション高めの雷牙は本来、弦牙狼族(ギターウルフ)だったが名付けにより嵐牙のような姿へと進化した。

 

二本の角が生え身体の大きさも同じくらいだが、やはり体毛が黒緑で白い部分がまるで糸が絡み付いたもしくは稲妻が走ったような模様になっているのが特徴的。

 

「オイラは雷子鬼族(ヴァジュラ)雷蔵(ライゾウ)って名前っす。」

 

ゴブタの可能性の姿である雷蔵は自身は進化こそしなかったが、エクストラスキル黒雷と紫電を獲得していた。

 

「このランサー。必ずや皆の力になると誓いましょうぞ。」

 

電脳龍戈族(サイバートリシューラ)のランサーが力強い姿を皆に見せる。

やはりガビルと違い落ち着きがあり、礼儀あるその姿に皆のランサーへの評価が高かった。

 

そして最後に残ったのが…。

 

大鬼族(オーガ)の集合体…百目鬼(ドドメキ)。そして今は、フォルテ様より名を与えられた紫蘭(シラン)だ。」

 

紫苑の別の可能性の姿であった百目鬼…いや紫蘭は、フォルテの名付けにより紫苑と殆ど変わらない鬼人の姿へと進化した。

紫苑との違いは口から八重歯が見え、肌が大鬼族(オーガ)と百目鬼の時と同じ褐色で京紫色の髪と金色の瞳に目の周囲と頬に青紫の隈取りあり、胸元には青紫の目を模した紋様がある。

そして、着ている紺色のスーツから無数の目が開いている。

 

「……紫蘭か。フォルテはそこまで紫苑を思ってくれていたんだと分かるよ。」

 

「リムル様、それは一体?」

 

リムルはフォルテが名付けた紫蘭の名に秘められた意味を知っていた。

それを知らない紅丸がリムルに問う。

 

「俺達の世界に紫蘭って花があってな。花言葉に〝あなたを忘れない〟って意味があるんだ。」

 

その言葉の意味を…フォルテが紫苑を忘れない意味を込めているのだと、皆はすぐ理解した。

 

「ああ。それと、紫蘭を生み出す際に朱菜から渡された紫苑の折れた角…それを核に再構成した。」

 

「フォルテ様の言う通りだ。だから私にはオリジナルの…紫苑の記憶もある程度受け継いでいる。だからこそ、ファルムスの者達…特にあの男には私がケジメをつける!」

 

皆が紫蘭の強い決意の宿った瞳を見る。

 

「ランサーはガビルと共に南に、紫蘭達は白老達と共に西に向かってもらう。」

 

「分かりました。」

 

皆を代表して紅丸が答える。

 

「紅丸。今回は手加減の必要は一切ない。」

 

「無論そのつもりです。」

 

「カーネルと黒死牟もだ。」

 

「はっ!」

 

「奴らに情けなど……不要。」

 

紅丸、カーネル、黒死牟の三人ならば問題無く敵を殲滅出来る。

 

リムルとフォルテがそう確信していると、白老が口を開く。

 

「リムル様、フォルテ様。ワシも二度と不覚を取るつもりはござらん。しかし…ワシを西に配置し、更にもう一人のワシと呼べる無銘達をも加えると言う事は……奴ら(異世界人)が居る……という事ですかな?」

 

白老の言う通りだ。希星から教えて貰った奴らの作戦…それを知ったからこそ、俺は紫蘭達を白老の元に向かわせる事にした。

 

「ああ、その通りだ。希星から聞いた話によれば、ブルムンドへの逃げ道を塞いでブルムンドの商人や冒険者達を口封じするつもりだと分かったからな。」

 

「襲撃者である残り二人も俺達と同じ異世界人らしい。」

 

「だがその二人は元々性格の歪んだ者だと判明した。…その内の一人、田口 省吾(タグチ・ショウゴ)が召喚された時……その場で周囲にいた召喚士30人を惨殺したらしい。」

 

フォルテの言葉に皆、息を呑む。

 

「省吾の持つユニークスキル、乱暴者(アバレモノ)は肉体強度と身体能力を大幅に上昇させるものらしいが、更に恐ろしい事に人を殺す度に力を増幅させるそうだ。」

 

「じゃあ自分の力を上げる為に今回も!」

 

「ああ。商人達を血祭りにするつもりだろう。」

 

「そして最後の一人である橘 恭弥(キョウヤ・タチバナ)のユニークスキル、切断者(キリサクモノ)には空間属性の斬撃などを放てるそうだ。恐らくこいつが白老を斬った奴だろうが……いけるか?」

 

「ホッホッホッホッ。問題御座りませぬ。ワシの油断により、あの時は敗北しましたが奴の太刀筋は既に見切っておりますれば。」

 

「うん。」

 

「任せたぞ。」

 

「リムル様!フォルテ様!俺達も昔のように弱くありません!白老殿や無銘殿達に守られるだけでなく、戦う力を持っております!」

 

「そうっす!ゴブゾウの仇を取ってやるっす!」

 

「その意気っすよ!オイラもオリジナルと共に暴れてやるっす。」

 

「フォルテ様より頂いたこの電脳猪人帝(サイバーオークカイザー)の肉体と力を惜しみなく発揮してみせます。」

 

「俺もリムル様より授かった、この猪人王(オークキング)の力。存分に振るってみせましょう!」

 

皆がやる気を出し、この戦いに持てる力を解放する勢いだ。

 

「頼もしい限りだ。」

 

「ではこのメンバーで魔法装置を破壊し、弱体化を解消させるんだ!」

 

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」

 

リムルとフォルテの言葉に、全員が気合いを入れた返事をする。

 

そして、リムルは朱菜の方へと振り向く。

 

「朱菜。」

 

「はい。」

 

「この忌々しい結界こそが、紫苑達の魂を留めている可能が高い。分かるな?」

 

「はい。代わりになる結界を張れば良いのですね?」

 

「そう言う事だ。」

 

「お任せを。紫苑達の蘇生の確率を少しでも上げる為に全力で。」

 

「頼んだぞ。」

 

「そこでだ。ミュウラン。お前の力を貸して欲しい。朱菜を手伝ってやってくれ。」

 

「承知しました。せめてもの償いの為、必ずやご期待に応えてみせましょう。」

 

「よろしくお願いしますね。ミュウラン。」

 

「はい。こちらこそ。」

 

「アイリスにも朱菜達への協力を頼む。」

 

「もちろん。私も精一杯頑張るわ。」

 

アイリスもこの世界来てからただ過ごしていたわけじゃない。朱菜から色々と魔法等を教えてもらっていた。お陰で朱菜と同等の魔法を扱えるようになったのだ。

 

「じゃあ俺らはその護衛だな。」

 

「おう!」

 

「私達も、朱菜ちゃん達を守るから!」

 

「ああ!」

 

「任せるでやす!」

 

ヨウムとエレン達がそう声を上げてくれる。

 

「ヨウム…エレン。…頼んだぞ。」

 

「リグルド。皆の指揮は任せたぞ。」

 

「ははっ!」

 

皆が作戦を理解してくれた。……さぁ、ファルムスへの反撃開始だ!

 

フォルテが口を開く。

 

「連合軍は決戦が3日後だと思っているだろう。」

 

「だが、我々は今この瞬間をもって、敵の殲滅行動に移る!紫苑やゴブゾウ達を生き返らせるぞ!」

 

「「「「おお〜っ!」」」」

 

そして、皆準備の為に会議室から出て行く。

……その中で、紅丸とカーネル、そしてギャルドだけが残った。

 

「どうした?」

 

「俺達に言いたい事があるなら遠慮なく言ってくれ。」

 

リムルとフォルテの言葉に、紅丸が口を開く。

 

「…俺には前世の記憶なんてないですし、大鬼族(オーガ)から鬼人族(キジン)へと代わりましたが、戦闘種族以外のものになったこともない。己や仲間を守る為…或いは仇討ちの為に相手を屠る事に躊躇いはありません。」

 

そう言いながら紅丸は心配そうな眼差しでリムルとフォルテを見る。

 

「ですが貴方達は違うでしょうリムル様、フォルテ様。町が出来たばかりの頃、略奪目的の輩すら殺すなと命じていた。俺が心配なのは、好ましく思っている種族である人間を……それも五万近く自分の手で殺めることで、お二人の心に取り返しのつかない傷跡を残すかもしれないってことです。」

 

紅丸は俺達が元人間故に、これから敵とはいえ大勢の人間の命を奪う。それにより、俺達の心が壊れるのではと心配してくれていた。

 

「…私も同じです。」

 

「カーネル…。」

 

「フォルテ様は、今回のファルムスによる惨劇によって紫苑の死を知った貴方は怒りに囚われ超電脳獣に呑まれかけました。……ファルムスの者達を殺めることでフォルテ様の精神が不安定となったら……今度こそ超電脳獣に完全に呑まれしまう可能性があります。」

 

……カーネルが心配するのも仕方ない。あの時の俺は、紫苑を殺された怒りとファルムスへの憎しみに支配され超電脳獣と一体化しかけていた。

シズさん達のお陰で我を取り戻せたが……次はどうなるか分からない。

更に言えば、あれが原因で俺の中に新たな超電脳獣の魔核が生まれている。

一度分かれたグレイガとファルザーの魔核が再び重なり分離した際、グレイザーとしての力の全てが集まった。

新たなグレイザーの魔核は暴風大妖渦(カリュブディス)…もしくは、NARUTOに登場した十尾に近い状態。知恵…心がない力の塊そのものとなった。

 

もしカーネルの懸念通りになってしまったら、この世界の全てがグレイザーと化した俺に喰われるだろう。

 

……だからこそ、俺達はもう一つの覚悟を決めている。

 

「…お前達の懸念はもっともだ。」

 

「……そうなるかも知れないが、今回は俺達自身の手でけじめをつける必要がある。」

 

「リムル様…フォルテ様。」

 

「だからこそだ。紅丸、カーネル。」

 

「お前達に頼みたい。全てが片付いた後、もしも俺達が理性の無い化け物になっていたら…。」

 

「戦える者を指揮して速やかに俺達を処分してくれ。」

 

リムルとフォルテの言葉に紅丸達は目を見開いたが、二人の覚悟を決めた眼差しを見て断ることはできなかった。

 

紅丸とカーネルは自身の拳を強く握り締める。

 

「……わかりました。」

 

「やれやれ、とんだ貧乏くじですよ。」

 

「まぁそう言うな。」

 

「お前達にしか頼めないからな。それと、その時はギャルドも容赦なく俺達を葬ってくれ。」

 

フォルテはそう言ってギャルドの方へと顔を向ける。

 

「……わかった。もしそうなったら俺がきっちり始末してやる。だがな、俺はお前達が理性を無くすなんて思っていない。」

 

「ギャルド?」

 

「まさか魔物に転生した異世界人だったとはな。まぁ、それで色々と納得出来た。だからこそだ。私利私欲ではなく仲間の為…自分のケジメの為に覚悟を決めたあんた達なら魔王になっても理性を無くすなんて思えないからな。」

 

「ギャルド…ありがとう。」

 

ギャルドは俺達の事を真の意味で信じてくれたのだ。

そして、紅丸が俺達に話しかける。

 

「では一応魔王化の儀式が完了した後、理性の有無を確かめる質問をするのはどうでしょう?」

 

「合言葉だな。」

 

「構わないが…どんな合言葉にする?」

 

「そうですねぇ……。」

 

その時、紅丸がほくそ笑んだ。

 

「こうしましょう。合言葉はーーー。」

 

 

 

 

こうして、合言葉を決め紅丸達も準備へと向かった。

会議室に残るリムルとフォルテ。

 

「仲間、家族、友達。良いもんだなぁ……。」

 

「ああ。…じゃあ、俺達も準備を始めるぞ。」

 

フォルテがそう言うと、リムルも人間の姿となる。

すると、リムルが口を開いた。

 

「あっ、もしかして……。」

 

「どうしたリムル?」

 

「いや…クレイマンの狙いって人間一万人分の魂だったりしないか?」

 

「……気付いたか。奴がリーガルや倉田と手を組んでいるのは間違いない。ミュウランの話からクレイマンはリーガルと似たような奴だと分かった。そんな奴なら、自分の手を汚さずに俺達を利用して真なる魔王になろうと考えつくだろうからな。」

 

「…もしそうなら、クレイマンは俺達が手を下すまでもない小物って事だな。」

 

「そうだな。だが、俺達は奴を敵とみなした。」

 

「ああ。この一件が片付いたら次はクレイマンとリーガル達だ。」

 

リムルとフォルテは更に強い決意を固め、会議室を出るのだった。

俺達の為に……紫苑達の為に……その希望を、掴む為に。

 




遂にファルムスへの反撃が始まる。
希星(キララ)が皆に謝罪をし、これから彼女の新たな人生が始まる。
そしてファルムス戦に備えて紫苑達のもう一つの姿…鏡の存在も仲間入り。
彼らにも名付けを施し戦力強化。

そして、リムルとフォルテの覚悟を受け止める紅丸、カーネル、ギャルド。
彼らの信じる気持ちにも応える為にも二人は前に突き進む。
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