転生したらフォルテだった件   作:雷影

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リムルとフォルテによるファルムス王国への裁きが開始!
タイトルで分かると思いますが、やはり苦しますにはこれが一番かと。


61話 神之怒(メギド)猛毒之裁(ヴェノム)

紅丸達による魔法装置破壊が行われる少し前。

リムルとフォルテは、敵の本陣上空にいた。

 

そうとも知らないファルムス王国の兵達は昼食をとりながら、これから戦争を仕掛ける魔国連邦(テンペスト)について話し合っていた。

 

「魔物にも、凄い美人がいるらしいな。」

 

「ああ。早い者勝ちだぜ。」

 

「女も良いが、財宝もかなりのものらしいぞ。」

 

「なんだと⁉︎」「本当か⁉︎」

 

「楽しみだな。」

 

「全くだぜ。」

 

自分達が勝利すると完全に信じ、これから手に入るであろうものにたいして、待ち切れないとばかりに欲望に満ちた笑みを浮かべながら舌舐めずりをしていた。

 

「貴様ら。」

 

そんな兵達に。紫苑を殺したフォルゲンが声を掛ける。

ファルムスの腕は完全回復薬(フルポーション)によって元通りとなっている。

 

「士気を高めるのは結構だが、今のうちに体を休めておけ。食事を済ませたら、再び進軍を開始するぞ!」

 

「…へいへい。」

 

フォルゲンの言葉に空返事で答える兵達。そんな兵達の姿にフォルゲンは溜息を吐くのだった。

 

そんな兵達のやり取りが、フォルテの分身体によって全て聞かれいるとは誰も気が付いていない。

 

上空からフォルテの分身体を通して兵達の会話を聞いたリムルとフォルテ。

 

「こいつらが、紫苑達を……。」

 

「会話の内容を聞いただけでもう分かった。コイツらに情けを掛ける必要はない。」

 

「ああ。お前達には餌になってもらう。」

 

フォルテとリムルが会話を終えると、リムルが静かに抗魔の仮面を被る。

この抗魔の仮面は複製した物らしく、本物はイングラシアで救った子供達の一人であるクロエ・オベールにあげたそうだ。

リムルが今被っている複製版の抗魔の仮面には、まるで涙のような亀裂が入っている。

それは……リムルの感情を表しているようだった。

 

「さて…始めるか。」

 

「ああ。」

 

リムルとフォルテは、ファルムスの者達に裁きを下す術式の構築を開始した。

 

 

 

そこから時は戻り、猪八戒達から転移魔法で逃れたラーゼンと省吾が戻ってきた。

 

「戻ったかラーゼン殿。」

 

「フォルゲン。」

 

ラーゼンの帰還に気付いたフォルゲンが声を掛ける。

 

「無事で安心したぞ友よ。」

 

「なに、これだけ周到に準備しておるのだ。そうそうやられはせん。」

 

フォルゲンがラーゼンの無事に安堵していると、猪八戒に徹底的にやられ、震える省吾の姿が目に入った。

 

「そいつはもう駄目だな。怯えきって使いものにならん。」

 

フォルゲンの言葉に省吾は反応する。

 

「なんだとてめぇ…。」

 

「落ち着け省吾。どれ見せてみぃ。」

 

ラーゼンは省吾の体の状態を確認する。

 

「…ふむ。身体の怪我はもう完治しておるようだな。新しく手に入れたスキルのお陰か、でかしたぞ省吾。」

 

「ラ…ラーゼンさん。俺は……。」

 

ふらつきながら立ち上がる省吾。

 

「ふん、哀れなものだな。その程度の実力で、本当に自分が最強だと思っていたのか。」

 

「たっ⁉︎たまたま相性の悪い奴に当たっただけだ!本来の俺の実力なら…!」

 

「ああ。わかったわかった。」

 

荒れる省吾を宥めるラーゼン。あれだけの力の差を味わってもまだ理解していない省吾だった。

 

「煽ってやるなフォルゲン。省吾はまだ謙虚な方よ。恭弥に至っては、本気であの坂口日向(ヒナタ・サカグチ)に勝てると思い込んでいたようじゃぞ。」

 

「クッハハハッ!笑わせるな。」

 

ラーゼンの言葉に笑い出すフォルゲン。

 

「このオレですらあの魔女には及ばぬというのに、余程めでたい時代を生きていたのだろうよ。」

 

「しかし、残念じゃったな。恭弥の切断者(キリサクモノ)は、主に渡る前に失われてしもうた。恐らく希星の狂言師(マドワスモノ)もじゃ。」

 

「構わんさ。次に期待するとしよう。」

 

「なんだ…なんの話だよ⁉︎あいつらのスキルがあんたに渡るとかって……。」

 

ラーゼンとフォルゲンの会話を理解できない省吾が問う。

そして、フォルゲンの口からとんでもない事実が語られた。

 

「ああ。オレも貴様らと同じ異世界人でな、界渡りで得たユニークスキルは統率者(ヒキイルモノ)。目の前で死んだ部下の能力を獲得できるんだよ。獲得数に制限があるのが忌々しいがな。」

 

なんと、フォルゲンも省吾と同じ異世界人だった。しかも条件があるものの、リムルやフォルテのように他人のスキルを獲得できるユニークスキルを持っていた。

 

ファルムスの団長を務めていて、自由に発言したり、行動していることから省吾達のような召喚者ではなく、この世界に転移してきたようだ。

 

「つまりお前らは〝素材〟。我らに力を捧げる生け贄なのさ。」

 

「ふっ…ざけんな‼︎」

 

フォルゲンから明かされた真実を聞いた省吾がキレる……無理もない。

 

「俺はそっちの都合で勝手にこの世界に呼ばれたんだぞ⁉︎テメェー等じゃ魔物に勝てねぇから、俺らに縋りついたんだろうが‼︎」

 

省吾のこの言葉は、召喚された全ての異世界人達が思っているであろう叫びだった。

 

「弱ぇヤツはみんな俺の顔色窺ってビクビクしてやがった!そうとも俺は、ここの奴らよりずっと強い!利用することはあっても、されることはあっちゃならねぇんだよ!」

 

怒りのまま、自分の思っていることを叫びながら言い放つ省吾に対して、ラーゼンは年長者らしく冷静に省吾の言葉を聞き続けた。

 

「…力なき者は力ある者から搾取される。お前の考えは正しいとも省吾。」

 

「だったら…⁉︎」

 

ラーゼンに掴みかかろうとした省吾だが、フォルゲンに背後から羽交締めされ動きを封じられた

 

お前は搾取される側だったということだ。

 

そう言って、省吾の顔に手を翳すラーゼン。

ラーゼンの雰囲気から何か危険を感じ冷や汗を流す省吾。

 

「は…?何言ってんだラーゼンさん…。」

 

精神体(スピリチュアル・ボディー)がかなり損傷しているな。あの妙な物を使った影響もあるようじゃが好都合。今なら抵抗(レジスト)もできまい。」

 

「おい待てって…何する気だよ⁉︎やめっ…。」

 

精神破壊(メンタルクラッシュ)

 

省吾の言葉など無視して、ラーゼンは省吾の精神を……心を破壊した。

 

フォルゲンが拘束を解くと、心を破壊され廃人と化した省吾は力無くその場に倒れた。

 

「儂らも善とは言えぬが貴様も正当性を主張できる程、善良な人間ではなかろう?」

 

「やれやれ、最後まで自己中心的な奴だったな。」

 

「そうじゃな。我の強い者の方がより強い能力を得るのは周知のことだが、そういう条件付けをして喚んだ者はいかんせん我が儘になりがちじゃ。まぁ力を奪う生け贄にすぎんのだし、性格などどうでもいいがな。」

 

「違いない。」

 

確かに省吾は自己中心的だったし許せる人間ではなかった。だがそれ以上に、ファルムス王国のやり方は許せるものではない。

なんの関係のない異世界の住人達を利用するだけ利用して、力を奪う生け贄…素材や消耗品扱いするその姿を、上空から見ていたフォルテの分身体。

 

その目には怒りが宿り、鋭い眼差しでフォルゲンとラーゼンを睨んでいた。

それに気付いていないフォルゲンがラーゼンに問いかける。

 

「それは兎も角、失敗したりせんのだろうな?」

 

「安心せい。これが初めてという訳ではない。」

 

そう言って省吾の隣に座り込むラーゼン。

 

「我が師の輪廻転生(リインカーネイション)に比べれば、憑依転生(ポゼッション)など児戯にも等しい技よ。」

 

ラーゼンと省吾を中心に魔法陣が展開され何かの魔法が発動した。

発動後、ラーゼンがまるで魂が抜けたかのようにその場に力無く倒れた。

 

「おっおい!」

 

フォルゲンは心配し、倒れたラーゼンを起こして揺さぶる。

 

「捨ておけフォルゲン。そりゃあもう抜け殻じゃ。」

 

別の方からラーゼンの声が聞こえフォルゲンが顔を向けると、心を破壊された筈の省吾が起き上がっていた。

 

「おお…久しぶりの若い肉体はいいのう。」

 

そう。ラーゼンの魂が省吾の肉体に宿り身体を乗っ取ったのだ。

 

「ラ……ラーゼン殿なのか?」

 

「フフッ。それ以外の誰に見えると言うのじゃ?」

 

「あっ……。」

 

「儂がどれだけの年月、ファルムス王国に仕えていると思う。これで儂は、不屈の精神と強靭なる肉体を併せ持つ……ファルムス王国史上、最強の魔人となったのじゃ。」

 

そう言いながらラーゼンは、新たに得た省吾の肉体を馴染ませるように動かした。省吾の肉体を得たことで声まで若々しくなったが、それだけじゃない。

魔法使いであるラーゼンは接近戦には弱く、老いた肉体では体力もなかったはず。それが今、省吾の肉体を得た事で…省吾のユニークスキル乱暴者(アバレモノ)生存者(イキルモノ)を得たのだ。

身体強化と各種耐性と超速再生を持った魔法使い……確かにファルムス王国では、最強の魔人となったに違いない。

 

「ハハ………。省吾の姿でその調子だと、違和感があるな」

 

ファルムスは苦笑いしながらそう言った。

そして、ラーゼンは元の身体から服を取り着替え杖を手にする。

 

「さて。では、エドマリス王に報告と……生まれ変わった挨拶に向かうとしようぞ。」

 

「うむ。」

 

「今の儂なら、魔王すら倒せるかもしれぬぞ。」

 

そう言って王の元に向かうラーゼン達。

 

 

 

 

分身体からその様子を見ていたフォルテは静かに怒りを燃やした。

異世界人をまるで消耗品としか思ってもいない行為……許せはしない。

異世界で生きる皆にも家族があり友達がいて…夢に向かって生きている。

それを自分達の都合で使い捨ての道具のように扱うなど人間のする事ではない。

 

 

フォルテがラーゼン達の行いに怒りを燃やしていると、紅丸から任務完了の報告が届いた。

 

『リムル様、フォルテ様。街の四方の魔法装置を破壊しました。』

 

「分かった。」

 

「良くやった。街に戻って、警戒を続けてくれ。」

 

『はっ。』

 

紅丸達がやってくれた丁度その時、電脳之神(デューオ)から準備が完了したと報告がきた。

 

《敵陣への配置箇所の把握完了。いつでも転送可能だ。》

 

「そうか…これで準備は整った。」

 

リムルとフォルテの脳裏に紫苑達の姿が思い浮かぶ。

その瞬間、リムルからは黒の、フォルテからは紫の妖気(オーラ)が荒れ狂うように放たれる。

 

そして、二人は敵陣へと顔を向ける。

 

「せめて……俺達の進化の役に立てることを…。」

 

「光栄に思うがいい。」

 

 

二人がいよいよ動き出す…その時だった。

 

ラーゼンの脳裏に先程の白老の言葉がよぎったのは。

思わず足を止めたラーゼン。

 

「どうした?」

 

「いや……なんでもない。(坂口日向(ヒナタ・サカグチ)がしくじるとも思えん。奴らの主とやらは、既に死んでいるはず。もう片方も力を使い果たして動けぬはずだ。……まぁもしも生き延びたのだとしたら、その時はその時。儂が直々に相手をしてやろう。)」

 

そうラーゼンは考えていたが、二人はラーゼンが考えているような存在ではない。

 

リムルとフォルテが手を翳すと、ファルムス王国の軍は二種の巨大な結界に閉じ込められた。

 

《リムル=テンペストの魔法不能領域(アンチマジックエリア)の展開が完了した。それに続けて、こちらも電脳領域(ディメンショナルエリア)の展開が完了した。これにより、敵軍は魔法の使用が不可能となり、逃げることも不可能となった。》

 

そう…フォルテはリーガルが使った電脳領域(ディメンショナルエリア)を解析して、使用可能にしたのだ。リーガルの使ったものより改良し、エネルギー消費も大幅に減少している。

そして、この領域内なら一斉に電脳世界に用意していた物を転送してくることが可能。

 

「「誰一人…逃がさない!」」

 

リムルが手を掲げると、太陽を背に無数の水でできた巨大な凸レンズが出来上がり、そのレンズから水玉が作り出されファルムス王国の兵士達の元に出現。

 

「ふぅ……ん?」

 

「何だこれ?」

 

「水……玉?」

 

突如現れた水玉に、ファルムスの兵士達は首を傾げる。

そして、フォルテが翳した手を開くと、結界の端から突然無数のファラオマンを模した紫の像とアヌビスを模った像が突然出現した。

 

「何だこの像⁉︎」

 

「どこから現れた⁉︎」

 

突然の像の出現に兵士達が戸惑うが時既に遅し

 

「死ね。神の怒りに焼き貫かれて…。」

 

「己が罪をその身に味わえ…。」

 

リムルが手を振り下ろし、フォルテが開いていた手を握り締める。

 

神之怒(メギド)!」

 

猛毒之裁(ヴェノム)!」

 

その瞬間、リムルが生み出した水の凸レンズから光が放たれ水玉を通してファルムス兵の頭や胴を貫いた。

 

フォルテの方は設置された毒之王(ポイズンファラオ)冥界之毒(ポイズンアヌビス)から毒ガスが一斉に放たれその周囲が一瞬のうちに毒の空間となった。

 

リムルが放った技神之怒(メギド)は、精霊魔法で下位から中位の精霊に単純な命令を命じて行っている。

凸レンズと化した水の精霊に太陽光を収束させてから水玉に向かって放つように。

そう…これは巨大な虫眼鏡だ。

ただその光を収束力が尋常ではない。高密度の熱線とも呼べる光がファルムス兵付近に浮く鏡面丈の水玉によって変幻自在の光の光線となってファルムス兵達を貫いているのだ。

 

その熱量に水玉は耐えきれず蒸発するが、それもまた新たな水玉を作り出すように精霊に命じている。

 

水玉が消える度に新たな水玉が作られ、光の裁きがファルムス兵達を次々と一撃で即死させる。

まさに神之怒と呼ぶに相応しい技。そしてリムルのファルムス兵に対する僅かな情けでもある。苦痛なき死を与えているのだから。

 

だが、フォルテの方は違う。

 

「ぎゃああああ!」「くっ苦しい!」「息が…っ⁉︎」

 

「身体が溶ける!」「痛え!痛えよー!」「だっ誰か…解毒を!」

 

フォルテが設置した像から放たれる毒ガスは、電脳之神(デューオ)と協力して開発した新型の毒…ウィルスとも呼べる電脳の毒だ。

 

コンピュータウィルスのように侵入しなら細胞を破壊して多種多様の毒の効果がランダムで蝕んでいく。

 

故にすぐに対処は不可能。毒による被害が兵士ごとに違う為解毒も出来ず、抗体などもできない。毒を除去しようにも、魔法も使えない。

ポーションで傷や体力などを回復してもこの毒からは逃れられない。

 

ファルムスの兵士達は、踠き苦しみながらじわじわと毒に侵され死んでいく。

 

フォルテが結界の端から設置した為、中央にいるであろうファルムスの王にはこの毒は届かないことも計算済みだ。

 

毒ガスから逃れるために中央部に向かえば、リムルの神之怒(メギド)ですぐ死ねる。

ファルムスの兵士達には、二つの道しかない。

 

毒で踠き苦しみながら死ぬか。光に貫かれて一瞬で死ぬか。

 

リムルとフォルテは、そんなファルムスの兵士達が死んでいく様を上空から見続けるのだった。

 

 

 

 

その一方。中央の丘の天幕の中では、レイヒムと大司教とエドマリス王が突然の大虐殺と兵達の悲鳴と嘆き苦しむ声に、恐慌状態となり怯えながら抱き合っていた。

 

「レレレレイヒム……!何だこれは……⁉︎どうする⁉︎どうすれば良い⁉︎」

 

「落ち着きましょうぞ!落ち着きましょうぞ!」

 

そんな状況の中、ラーゼンとフォルゲンがエドマリス王の元に向かって走って来た。

 

「エドマリス王はご無事か⁉︎」

 

「何をしている⁉︎早く王をお守りしろ!」

 

「はっはい!」

 

フォルゲンの指示により、兵士二人が天幕から出るが神之怒の光線にすぐ貫かれ絶命した。

 

それを見たフォルゲンは驚愕し唖然となるも、エドマリス王の言葉ですぐに我を取り戻した。

 

「フォ……フォルゲン!はよ………早くこの場から逃げようぞ!国に戻り、体制を立て直すのじゃ!」

 

「左様ですぞ。何が起きているのか分からん。早く去らねば、我らも巻き添えになってしまいまする。」

 

エドマリス王の言葉に賛同するラーゼン。

そんなラーゼンは、今は省吾の身体の為エドマリス王は省吾と一瞬、間違いかけた。

 

「省吾?いや、そちは……。」

 

「ラーゼンでございます王よ。」

 

「おお!ラーゼン!よくぞ!よくぞ戻った!さあ早う、早う帰ろうぞ!お主の転移魔法で………!」

 

「残念ながら、魔法不能領域(アンチマジックエリア)のせいで魔法が使えませぬ。」

 

「え⁉︎な…………何と⁉︎」

 

「そっそれでは……⁉︎」

 

ラーゼンに希望を見出していたエドマリス王とレイヒムは、ラーゼンから伝えられた事実に絶望しかける。

 

「ご安心召され。王、レイヒム大司教よ。」

 

「「え?」」

 

「この私のユニークスキル統率者(ヒキイルモノ)によって、生き残っている者を強制的に集めます。その者どもを肉の盾として、お二人を守ってご覧に入れましょう。」

 

「おっおお!流石、流石じゃフォルゲン!」

 

「頼もしきはフォルゲン殿よ!」

 

フォルゲンの言葉に再度希望を見出した二人だが、電脳領域(ディメンショナルエリア)によって逃げ場を失っていることを知らない。それに毒ガスが充満しているので結界に近づくことさえできない。

 

「騎士共を集めて参ります。皆様方は撤退の準備を。」

 

「承知した!」

 

「ふぅ………。」

 

フォルゲンはそのまま天幕から出て騎士を集めようとしたが、天幕から出た瞬間、光線に頭を貫かれ即死した。

 

「ひいいい!ひぃぃ…………!死ぬっ………!皆、死んでしまう……‼︎」

 

「そっそんな馬鹿な………!一体、何が起きておるというのだ!」

 

フォルゲンさえも死んでしまう様を目の前で見てしまったエドマリス王は恐怖で後退り、レイヒムは涙目となり訳が分からず困惑した。

 

「あっ…………!ん?」

 

ラーゼンも、フォルゲンが目の前で一瞬のうちに死んでしまったことに唖然となるが、上空から二つの気配を感知し天幕から顔を出し上空を見る。

 

目を凝らしていると、太陽から二つの影が降りて来て姿を現す。

悪魔の翼を生やした仮面をつけた子供と、マントで身を包んだ鋭い眼差しの子供だ。

 

その特徴的な姿に、ラーゼンは二人の正体にすぐ気付いた。

 

「あれは……まさか……⁉︎魔物の国の主達………なのか?」

 

「その顔立ちは日本人だな。街を襲撃した異世界人か?」

 

リムルは今の姿のラーゼンを見てそう問う。

 

「ガワだけな。中身は違う。」

 

「ああ。知っている。」

 

「まあ、敵には違いないな。」

 

フォルテがそう答えた後、リムルが手の上に水玉を作り出し神之怒でラーゼンの額を貫き即死させた。

 

フォルゲンとラーゼンは本来ならもっと苦しめから殺すべきだが、今はこの二人を相手する時間が勿体なかった。

 

「ひぃぃ〜〜!そんな、ラーゼンまでも!」

 

最後の頼みの綱だったラーゼンまでも、あっさり殺されたことに悲鳴をあげるエドマリス王。

 

(魔物の国になど、手を出したのが間違いだった!どうする………?どうすれば生き残れる?………いっいや、寧ろこれはチャンスかもしれんぞ。ブルムンド如き小国と交渉して、喜んでいる様な奴らじゃ。大国であるファルムスの王たる余が声をかければ、平伏して歓喜するに違いあるまいて…………!)

 

後悔していた筈のエドマリス王は、この状況で何故か自分の都合の良い考えに至って、涙目で鼻水を垂らしながら歪んだ笑みを浮かべていた。

 

その一方で、リムルがラーゼンすらあっさり殺した姿を目の当たりにした兵士達が恐怖で動けずにいた。

 

「ひっ、ひぃぃぃ!たったす、助けて………!」

 

恐怖で命乞いを口にしていたが、リムルは再び水玉を、フォルテは掌に収まるサイズの地獄光輪(ヘルズローリング)を作り出し、兵士達へと放った。

 

「「「ぎゃあ!」」」

 

兵士二人はリムルのメギドに貫かれ、残っていた一人はフォルテの地獄光輪(ヘルズローリング)で首を両断された。 

 

その直後、世界の言葉が聞こえた。

 

《確認しました。ユニークスキル剥奪者(ハギトルモノ)を獲得。成功しました。》

 

「剥奪者?どんなスキルだ?」

 

「フォルテも新しいスキルを得たのか。俺のは心無者(ムジヒナルモノ)ってスキルだ。」

 

互いに、新たなユニークスキルを得たことをリムルと話し合うフォルテ。

そんな中、二人に声を掛けてくる者がいた。

 

「き………貴様らが魔物の国の主だな!余はエドマリス!ファルムス王国の王である!伏して控えよ!貴様らに話があるのだ!」

 

エドマリス王とレイヒムが天幕から顔を出して、エドマリス王がリムルとフォルテに向かって声を上げていた。

 

どう見ても俺達を見下した態度にリムルとフォルテは軽く溜息を吐いた。

 

「ハァ……影武者か何かか?」

 

「安心しろ。本物の王にはまだ用があるから殺しはしない。」

 

そう言ってリムルは水玉を、フォルテは掌サイズの地獄光輪(ヘルズローリング)を作り出し二人を攻撃しようとするが、エドマリス王の隣にいたレイヒムが叫ぶ。

 

「影武者などではありませんぞ!西方聖教会大司教である私、レイヒムの名に於いて、証明いたしましょう‼︎」

 

エドマリス王は隣で頷いていた。

 

「あっそう。」

 

「なら丁度いい。王以外は皆殺しだ。」

 

「ええ⁉︎」

 

「みっ……皆殺しじゃと⁉︎」

 

フォルテの言葉にエドマリス王が叫び、レイヒムは命乞いを始めた。

 

「ひいっ!待って、待ってください!私も、私だけでもお助け下さい!私ならば、聖教会内部でも大きな発言力を持っております!あなた様方が決して人間の敵ではないと、証言も致しましょう!」

 

レイヒムの命乞いを聞いたフォルテは。

 

「……そうか。なら教会について情報が得られる訳だな。」

 

フォルテはこいつは生かしておこうと思った。

だが、リムルは気にせずに神之怒を放とうとする。

それを見たエドマリス王が叫ぶ。

 

「ま………待て!話があると言ったであろうが!」

 

「何だ?聞くだけ聞いてやる。」

 

「さっさと話せ。」

 

「ぶ………無礼な!余は大国であるファルムス王国の王なのだぞ!貴様らなど、本来であれば口も利けぬ存在なのだ!それを………!ああ………!」

 

偉そうに喚き散らすエドマリス王に対し、リムルとフォルテは妖気(オーラ)を放出した。

 

リムルとフォルテから放たれる荒れ狂う妖気(オーラ)にエドマリス王は恐怖で黙り込んだ。

 

「良いか?相手を見て物を言えよ。」

 

「発言は許したが、お前の言葉次第で俺達はお前を殺すことだってあるからな。」

 

リムルとフォルテはそう言って妖気(オーラ)を抑えた。

そして、エドマリス王が再び口を開く。

 

「ごご…………誤解なのじゃよ!」

 

「何が?」

 

「よ………余は、友誼を結びに来ただけなのじゃ!」

 

エドマリス王のふざけた言葉にフォルテは怒り、再び妖気(オーラ)を放出

 

「ふざけるな。異世界人達を使った工作要員に、襲撃部隊まで様子しておいて何が友誼だ!結界を張り、弱体化した住民を嘲笑いながら蹂躙し更に、そこで死んでいる団長が堂々と宣戦布告までしたのを俺は聞いたぞ。」

 

「フォルテの言う通りだ。俺達の仲間に犠牲者が出た以上、お前ら敵だよ。」

 

「西方聖教会が魔物を敵視しておったので、本当に友誼を結ぶに値するのか、確かめようとしただけなのじゃよ!宣戦布告も、異世界人達が勝手に暴走しただけじゃ!わ………分かった!余の国と国交を結んでやろうぞ!良い話であろう?光栄であろうが!その方達も鼻が高いであろう?まっまずは、今回の我が軍の損害については………!」

 

(こいつの頭はどうなっている?これだけのことをしておいて、何故こんな馬鹿げた話が出来る……。)

 

戦争を仕掛けておいて、それを異世界人のせいにして何が国交だ!それで何が損害だ……!エドマリス王の話を聞いたフォルテは更に怒りを燃やした。

 

それはリムルも同じだったようで、二人は同時に動き、リムルの神之怒がエドマリス王の左腕を吹き飛ばし、フォルテの地獄光輪(ヘルズローリング)が右腕を切り飛ばした。

切断面は黒炎と紫炎によって止血したので死ぬことはない。

 

「うっ………うわ、あがっ!ぎゃああああああ!」

 

「あっ、はああ…………!」

 

両腕を一瞬で失ったエドマリス王は、激痛に耐え切れずに叫びながら蹲り、レイヒムは恐怖し後退る。

 

その時、電脳之神(デューオ)から新たに獲得したスキルの解析結果が知らされる。

 

剥奪者(ハギトルモノ)の解析が完了した。能力は対象者の魂を強制的に物質体(マテリアル・ボディー)から剥ぎ取る力だ。》

 

「……成る程。つまり俺が選んだ相手の魂を無理矢理剥ぎ取り奪うスキルか。中々にエグいが、今は丁度いいかもな。…魂はどれだけ集まった?」

 

《必要量の45.666%を獲得している。》

 

「まだ足りないか。」

 

「フォルテもまだ足りないようだな。」

 

「ああ。だがさっき得たスキルが使える。」

 

そう言ってフォルテはファルムス軍を見渡せる高さまで上昇しリムルも後に続く。

 

「先に必要な魂分だけ剥ぎ取るがいいかリムル?」

 

「ああ。俺もすぐ後に心無者(ムジヒナルモノ)を使う。」

 

リムルの許可も出たのでフォルテは、ファルムス軍の現在の生き残っている人数を調べる。

 

《敵軍の生存数は現在3万6千を確認した。ユニークスキル剥奪者(ハギトルモノ)の対象に1万8千人設定し、エドマリス王とレイヒムを対象外として設定した。》

 

良しこれでリムルの必要な魂も残せる。…後は。

 

フォルテはある二つのチップを取り出す。

それは……リーガルによってコンバーターのエネルギー源にされていた人々の残留魂だ。

 

「……お前達の無念を使わせて貰う。」

 

この残留魂達も人間の魂であることに変わりない。これからさき、リーガルと戦う為にも力を求めるフォルテは、この残留魂達も使うと決めていた。

 

《残留魂の吸収及び、剥奪者(ハギトルモノ)を使用する。》

 

電脳之神(デューオ)に合わせて、フォルテは残留魂の入ったチップを握り締めながら吸収

 

それと同時に、フォルテから黒紫の波導が結界内全体に放たれた。

迫る波導に対し、ファルムスの兵達は抵抗する術も無く浴びるしかなかった。

 

そして、ファルムスの兵達が波導を浴びた瞬間

 

「「「「ぎゃあああああああああああああああああーー‼︎」」」」

 

兵士達の悲鳴が響き渡る。

 

兵士達は血の涙を流しながら、ある者は首を掻き毟り、ある者は頭を抱えながら悶え苦しみながら死んでいった。

 

……フォルテの目には映っていた。対象に選んだ兵士達が波導を浴びた瞬間に、生きたまま魂を剥ぎ取られていく姿が。

 

生きたまま魂を剥ぎ取れる痛みなど、想像すらできないほどの激痛になることは分かっていたが………まさに魂の剥奪だった。

 

突然隣りに立っていた仲間達の悍ましい死に様を目の当たりにした他の兵士達が恐怖に支配されていく中、リムルが心無者(ムジヒナル)を使用した瞬間

 

結界内に残存していた全ての兵士は死に絶えた。

……これで、進化に必要な魂は得られた筈だ。

 

フォルテとリムルはエドマリス王の元へと戻る。

 

「うう………!」

 

「うっ………!」

 

エドマリス王とレイヒムは、兵士達の悲鳴と死に様を目の当たりにしたことで再び恐怖に呑まれていた。

 

「なっなななな何が起こった⁉︎」

 

「うう…………!」

 

兵士達の異常な死に様に何が起きたか分からず混乱しているエドマリス王。

その時だった。リムルとフォルテに世界の言葉が聞こえた。

 

《告。進化条件、種の発芽に必要な養分、人間の魂を確認します。…………認識しました。規定条件が満たされました。これより、魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始されます。》

 

世界の言葉を聞いた後、リムルとフォルテは強烈な眠気に襲われた。

 

「やばい………なんか滅茶苦茶眠い。」

 

「この眠気は何だ…⁉︎」

 

眠気のせいで宙に浮くことが困難となり、地面に着地するリムルとフォルテ。

すると、電脳之神(デューオ)から報告がくる。

 

《魔力感知で生存者1名を確認した。》

 

「何⁉︎(俺とリムルのスキルから逃れた奴がいるだと⁉︎)」

 

眠気に耐えながらエドマリス王達の方に顔を上げると………ラーゼンの遺体がなかった。

 

(まさか⁉︎脳を貫かれて生き残ったとでもいうのか⁉︎…そういえば、ラーゼンが省吾の肉体に移る前に、省吾は新たなスキルを得たとか言っていたが……そのスキルの力か!)

 

フォルテは省吾の得た生存者(イキルモノ)のスキルをまだ知らなかった。

それ故に、ラーゼンは死んだと思い剥奪者(ハギトルモノ)の対象に選んでいなかった。

 

(ちぃ!あの魔法使いをそのまま残しておくのは厄介だ。何とかこの眠気をどうにかしなければ…。)

 

《告。魔王への進化(ハーベストフェスティバル)は、途中で停止不可能です。》

 

世界の言葉が俺にそう告げる。

 

(っ⁉︎…なら!)

 

止められないと分かったフォルテは代わりの者に任せることにした。

 

「嵐牙!」

 

「ゴスペル!」

 

リムルも同じこと考えたようで、二人は同時に声を上げ嵐牙とゴスペルを呼ぶ。

 

二人の声に応えて、影から嵐牙とゴスペルが飛び出す。

 

「はっ!我が主達よ!」

 

「只今参りました!」

 

「最重要命令だ。俺達を守って、街まで連れ戻れ。」

 

「「はっ!」」

 

「後、其処の二人を捕虜だ。」

 

フォルテがエドマリス王達を指差すと、嵐牙とゴスペルが同時にフォルテが指差す方へと振り向きエドマリス王達を睨む。

 

「「ひいっ………!」」

 

嵐牙とゴスペルに睨まれ怯える二人。

 

「承知。」

 

「ですが、生き残っている敵の気配を感じますが、如何いたしましょう?」

 

「それは別の者に任せる……。」

 

「うっ……。」

 

リムルとフォルテは限界が近づき、フォルテは座り込み、リムルは人間への擬態が維持できずスライムの姿に戻ってしまう。

 

「リムル様!」

 

「フォルテ様!」

 

嵐牙は慌ててリムルを自分の頭の上に乗せ、ゴスペルもフォルテを自身の背に乗せる。

 

眠りにつく前に、リムルとフォルテは最後の力を振り絞る。

 

魔法不能領域(アンチマジックエリア)…解除。」

 

電脳領域(ディメンショナルエリア)…解除。」

 

この一帯を覆っていた二種の結界が解除される。

そして二人は召喚魔法を発動する。

 

「召喚魔法、悪魔召喚を発動。供物は此処に転がっている死体、半数だ。」

 

「俺も悪魔召喚を発動。供物はリムルと同じ兵士達が死体半数と更に、この辺り一帯を漂う俺の魔素だ。」

 

二人の前に魔法陣が出現し、この辺り一帯に転がるファルムス兵の死体が次々と消滅していく中、フォルゲンの遺体も老化しながら消滅した。

 

更にフォルテの方の魔法陣には、ファルムス兵に地獄を与えた毒ガスがフォルテの魔素に変換され魔法陣に吸い込まれていく。それだけでなく、電脳領域(ディメンショナルエリア)の展開に使用していた魔素と、ファルムス陣営に無数に設置されていた毒之王(ポイズンファラオ)冥界之毒(ポイズンアヌビス)がフォルテの魔素として変換されながら消滅し、魔法陣に吸い込まれる。

 

「餌を用意してやったぞ!俺達の役に立ちやがれ!」

 

「来い!悪魔!」

 

二人の呼び掛けに応え悪魔が召喚されようとした時、何か強大な力を持つ存在が割り込んできたような気配を感じた。

 

そして召喚された悪魔は、リムルの方は3体で、中央の悪魔は……なんと、子供達の野外訓練での妖魔事件で現れたあの原初の悪魔の一人である(ノワール)だった。

 

フォルテの方の魔法陣から召喚されたのは四体。紅丸達のような角を生やした悪魔が2体と何処か蝙蝠に…というか吸血鬼のような姿をした悪魔が中央の悪魔に仕えるように跪いて現れた。そして…中央に召喚された悪魔は、フードマントを被った紫の髪の少女だった。

 

その少女を見たフォルテは思わず目を見開くが、すぐに眠気によってもとの眠そうな目に戻ってしまう。

 

「…お前は…コリウス王国で…。」

 

フォルテは呟く。そう。フォルテは一度の悪魔の少女を見たことがあった。

だが、今はラーゼンのことが優先故に黙っておくことにした。

 

「あ………悪魔⁉︎」

 

「ひぃぃぃ………!」

 

悪魔の登場に、嵐牙に咥えられたレイヒムが声を上げ、ゴスペルに咥えられているエドマリス王は怯えるのだった。

 

「おいお前ら。死んだふりして隠れている奴が一人いる。」

 

「そいつを生かして捕えろ。」

 

リムルとフォルテがそう命じると、(ノワール)がクフフフと含み笑いを始めた。

 

「クフフフフフ………!懐かしき気配。新たな二人の魔王の誕生………実に素晴らしい。大量の供物に初仕事………光栄の極みで、少々張り切ってしまいそうです。この日を、心待ちにしておりました………!」

 

(ノワール)はそう言って翼で身を包みながら、光が吸収されるような感じに翼を、収納した。

 

そして、フードマントを被っている方はフードを脱いで素顔を見せる。

コリウス王国では良く見えなかったその顔は、肩にもつかない短めの紫の髪をサイドテールにした、金色の瞳の悪魔とは思えないような可愛らしい少女だった。

 

「フフフッ。まさかこんな大事な時に呼んで貰えるなんて思わなかったな。こんなに沢山の供物と膨大な魔素……僕も予想してなかった。やっぱり僕の主に相応しかったね。」

 

そう言って紫の髪の少女……(ヴィオレ)は嬉しそうにその場でくるりと一回転する。

 

「今後とも、お仕えしても宜しいでしょうか?」

 

「僕もいいかな?」

 

(ノワール)がそう言うと、(ヴィオレ)も続くようにそう言った。

 

「…すまないが、その話は後だ。」

 

「先ずは役に立つと証明してみせろ。行け。」

 

フォルテとリムルは進化の眠気に耐えながらそう言うのが精一杯だった。

 

「容易い事でございます。御安心ください、召喚主(マスター)。」

 

「僕達に任せてね。」

 

(ノワール)(ヴィオレ)の言葉を聞いたあと、リムルとフォルテは遂に限界を迎え意識を喪失した。

 

二人が眠りについたのを確認した(ノワール)(ヴィオレ)は嵐牙とゴスペルに二人を任せる。

 

「大切にお運びしてください。この上なく尊いお方ですので。」

 

「お願いね。」

 

「承知している。」

 

「任せろ。」

 

嵐牙とゴスペルは、この場を(ノワール)(ヴィオレ)に任せて街へと急ぎ向かう。

 

嵐牙とゴスペルが走り去るのを見送った後、(ノワール)(ヴィオレ)に声を掛ける。

 

「まさか貴女がこの場に現れるとは思いませんでしたよ(ヴィオレ)。」

 

「それはこっちのセリフだよ(ノワール)。」

 

(ノワール)に対して先程までの明るい少女から打って変わって、冷酷な眼差しで見ながら答える(ヴィオレ)

 

「ですが、今は召喚主(マスター)の命令を遂行するのが優先ですよ。」

 

「言われなくても分かっているよそんなこと、召喚主(マスター)の為にさっさと捕まえるよ。」

 

「ええ。……おや?(ヴィオレ)貴女、召喚主(マスター)の魔素だけ頂いたのですか?あの供物を配下達に譲るとは…意外ですね。」

 

「あのねぇ……僕達の勝負(ゲーム)の事、知ってるくせにそんなこといちいち言わないでよね。」

 

「フフフッ。そうでしたね。だからこそ、貴女は召喚主(マスター)に役に立つと証明したいのでしょう。」

 

「…そうだよ。召喚主(マスター)なら僕にピッタリの依代を用意してくれるはずだからね。それに、召喚主(マスター)の紫の色と感情は僕好みだったしね。」

 

「確かに、あの方なら可能ですね。では……そろそろ始めましょうか。初仕事…完璧にこなしてお褒め頂かなくては。」

 

こうして、(ノワール)(ヴィオレ)が動き出し、リムルとフォルテは嵐牙とゴスペルに運ばれながら魔国連邦(テンペスト)に戻る。

………真なる魔王への進化の眠りに就て。




遂に魔王への進化(ハーベストフェスティバル)が開始される。
無防備なところを襲われないように悪魔召喚を行い遂に原初の二人が現れる!

フォルテの得た剥奪者(ハギトルモノ)はまさに死を超えた激痛をファルムス兵に与えた。……このスキルもあるデータに統合され新たなスキルへと進化する。

フォルテがどのような進化を遂げるのか……次回をお待ちください。
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