転生したらフォルテだった件   作:雷影

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真なる魔王となったリムルとフォルテ。
目覚めた二人を待っていたのは、紫苑達と……新たな問題だった。

フォルテが得た新たなスキルに関しても、ある程度説明させていただきます。


63話 獣王国、滅びの日

反魂の秘術が行われた後、エドマリス王達を連行し終えたエレンとヨウム達が、ミュウランから話を聞いていた。

 

「進化の眠りぃ⁉︎」

 

「ええ。リムル様とフォルテ様は見事に魔王へと進化なされたわ。皆は祝福(ギフト)……そうね。主の進化のお裾分けとでも言うのがわかりやすいかしら。リムル様とフォルテ様の系譜に連なる者達は祝福(ギフト)を得て進化の眠りについたのだと思う。」

 

「な…なるほど…。それでこの状況か……。」

 

ヨウムはミュウランの説明で納得した。

 

「それでシズさんも眠っているんだ。」

 

エレンは眠っているシズさんを見てそう呟き、カバル達と一緒にミュウランに本題を聞く。

 

「…ってそれより死んじまった皆は⁉︎」

 

「紫苑さん達は生き返ったでやすか⁉︎」

 

「魂はちゃんと戻せたのぅ⁉︎」

 

「…無事に蘇生出来たわよ。魔王となったリムル様とフォルテ様の秘儀でね。でも安心するのはまだ早いでしょう。一度死んだのは間違いないのだから。記憶も無事であるという保証はないわ。」

 

ミュウランの言葉に皆黙り込む。そして、エレンが手を叩いて、口を開いた。

 

「と、とにかくぅ!皆さんを屋根の下に運びましょうか!」

 

「そうだな!」

 

「…………多分、大丈夫でしょうけど。」

 

ミュウランの脳裏には先ほどまでの智慧之王(ラファエル)電脳之神(デューオ)による反魂の秘術の光景が浮かんでいた。

 

「(長い生の中で、あれほどの偉業は、初めて見た。)………クレイマンが霞んで見えるわね………。」

 

究極の魂の秘術を目の当たりにしたミュウランはそう呟いた。

 

一方のグルーシスは。

獣王国(ユーラザニア)も、魔国連邦(テンペスト)には手を出さねぇよう俺が啓蒙しねぇとな…。)

 

そう思っていた。

 

 

それからしばらくすると、祝福(ギフト)を得た皆が目を覚まし、亡くなった者達も無事に目を覚ました。

ミュウランはその様子を見て回っていると、フォスが皆が生き返った事を喜び泣いてる姿を見つけた。

 

「ちゃんと生き返っているです…‼︎ファルムス軍に殺された他の住民の皆さんも、リムル様とフォルテ様の死者蘇生で皆生き返っているです。」

 

本当に良かったとフォスが皆を見ていると、知り合いの子が成長していることに混乱し始めた。

蘇った者達にも、エレンが語ってくれた物語通り祝福(ギフト)が与えられ、その影響で成長したり進化している者がいたのだ。

 

なんとか落ち着いたフォスは、知り合いの家族に話しかける。

 

「あっあの、お二人は体に異変とかないです?」

 

フォスの問いに、女の子が笑顔で答える。

 

「大丈夫だよ!だってリムル様とフォルテ様が助けてくれたんだもん‼︎」

 

女の子の言葉にフォスは目を丸くした。

 

「リムル様とフォルテ様が助けてくれたってわかるですか?」

 

「うん!」

 

そして、女の子は死んだ後、自分の身に起きた事を話し出した。

 

「胸を刺された後ね。気付いたら真っ暗だったの。……全然動けないし、なんにも感じないし……自分っていうのもなんかだんだんわかんなくなっちゃってね。」

 

それはまさに…自分と言う存在が消えてしまう直前であった。

 

「それでね、ばらばらになってふわーって消えちゃいそうになった時、急にあったかくなって守られてる感じがして、すっごく安心したの。」

 

それは、朱菜達の結界と皆の祈りが伝わったのだろう。

 

「そのままふわふわしてたら、自分の形がわかってきて、手を引っぱられたの。」

 

その時、女の子の目に映ったのがリムルとフォルテの姿をした光だったそうだ。

 

「そしたらどんどん明るくなって、目を開けたらお姉ちゃんが見えたんだ。あの時引っぱってくれたのは、絶対リムル様とフォルテ様なの。」

 

その話を聞いたフォスは、開いた口が塞がらなかった。

 

「あ!リムル様とフォルテ様にお礼にいかなくちゃ‼︎じゃーねお姉ちゃんまた!」

 

そう言って、女の子は母親と共にリムルとフォルテの元に向かうのだった。

 

「興味深い話ね。」

 

その話を聞いていたミュウランはそう言った。

 

「ミュウラン様。」

 

「一度死んだ者達がどうやって蘇ったかなんて、そうそう聞けるものじゃないわ。」

 

貴重な話を聞けて同時に、皆の記憶なども無事だと知ることができた。

そうして、フォスとミュウランは皆が生き返った者達と喜び合う姿を見続けた。

 

「みんな生き返って良かったです。」

 

「……ええ。本当に……。」

 

ミュウランも心の底から喜び、笑みを浮かべながら安堵した。

そんな皆の様子を、希星(キララ)も離れたところで見守りながら涙し、良かったと何度も呟いた。

 

ギャルドも、リムルとフォルテの魔王への進化と反魂の秘術を目の当たりにして驚愕したが、住民達の喜び合う姿を見て笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

その一方、進化の眠り就いているフォルテは。

 

(………これは…。)

 

朦朧する意識の中で、様々な情報(データ)が流れ込んでいた。

仮面ライダー……戦隊……デジモンなど、前世で見た特撮やアニメなど様々だが、放送されていた内容より現実味があった。

それは全て、デューオから授かった情報(データ)…つまりデューオが時空を超えて観察してきた世界の情報(データ)だとわかった。

 

特に、昔見た懐かしのロボットアニメである、GEAR戦士電童……その世界で登場した電子の聖獣に関する詳細な情報(データ)がフォルテの中により深く流れ込んだ。能力や技など全てがフォルテと一体化する。

 

そして、次に流れ込んでくるのは、キングオージャーZEROと呼ばれる戦隊ロボの情報(データ)だった。

王様戦隊キングオージャーに登場した守護神ロボの色違い……前世で最初の2話くらいしか見れずよく知らなかったが、デューオが実在する世界で全てを見届けていた。

キングオージャーZEROとは、守護神キングオージャーを模して作られた言わば人造の守護神。

本家キングオージャーを凌駕する性能を持ち、真の敵と戦う為の切り札となるはずだった。

民を守る為…汚名を被り血に塗れ邪智暴虐と成り下がった王が、弟に全てを託す為に弟の敵となって立ちはだかる為に出撃し、本家キングオージャーの更なる力に敗れた。

そのキングオージャーZEROを構成する10体のシュゴッドZEROの情報が事細かにインプットされるのだった。………後四体のシュゴッドの情報も追加されて。

 

 

最後に流れ込んできた情報(データ)は…デジモンであり、死を司る賢者と呼ばれるバグラモンだった。

 

アニメデジモンクロスウォーズでラスボスの一人であった皇帝バグラモン。

その強さと能力はラスボスに相応しいものだった。

公式では元々は死を司る高位の天使型デジモンだったが、理不尽な世界の理に絶望し神に謀反したが、敵わず神罰により片目と半身を失った。

それから彷徨っていた彼が見つけたのが、彼の世界のもう一つの神だった情報樹イグドラシルだった。

イグドラシルの姿はデジタルワールドによっては様々。ある世界では水晶玉であったり、ロボット型だったり、システムそのものと化したものもあった。

彼の世界では巨大な情報樹…大樹と化していた。

そして、彼はその大樹から霊木を削り出し、自身の失った半身を補った。

それにより、イグドラシルの膨大な情報と強大な力を得た。

それが俺が知るバグラモンの姿。

 

そんなバグラモンの能力と力がフォルテにインプットされ、一体化するのだった。

 

 

 

 

 

そうして、全ての情報(データ)をインプットし終えると、フォルテの意識は目覚めた。

 

「あ!お目覚めになられたのですね!おはようございます!リムル様!フォルテ様!」

 

「良かった……。」

 

目覚めたフォルテの耳に入った声はアイリスと………紫苑の声だった。

 

フォルテの目がはっきり見えるようになると、目に映ったのはフォルテを膝枕で寝かせてくれていたアイリスの姿だった。

 

「アイリス…おはよう。」

 

「おはよう……フォルテ。」

 

フォルテが目覚めた事を改めて確認したアイリスは優しい笑みを浮かべていた。

 

フォルテはゆっくりと起き上がり紫苑の声がした方に顔を向けた。

フォルテの目に映ったのは、いつものようにリムルを抱える紫苑の姿だった。

 

「紫苑……良かった。」

 

「無事に生き返ったようで何よりだ。」

 

「はい!お二人のお陰で!」

 

リムルとフォルテが目覚め、見守っていた皆が笑顔をで二人を見ていた。

 

「いいか。もう二度と心配させるなよ。」

 

「命令だ。」

 

「分かりました。…もう二度と。」

 

目覚めたリムルとフォルテは無事に生き返った紫苑の姿を見て、心から安堵した。だからこその命令だった。

それは、紫苑も分かっていた。

 

「リムル様!」

 

「フォルテ様!」

 

「お目覚めになられた!」

 

リムルとフォルテが目覚めたと知って街の皆が集まり、二人に対し跪いた。

その中央の者達こそ、紫苑と共に生き返った者達だ。

 

そして、紫苑はそのままリムルを掲げながら声を上げる。

 

「リムル様!フォルテ様!こうして無事に、我ら一同、生き返る事が出来ました!」

 

我ら一同、一名も欠落も無く、無事に生還致しました!

 

生き返った皆が一斉に声を上げる。

 

「そうか……。」

 

「……皆…よく戻った。」

 

皆が無事に生き返った事を知って、リムルとフォルテは喜んだ。

そして、皆が少し変わっている事に気付いた。

 

(皆の姿が少し変わった?……よく見ると進化したり成長している者が多い…。)

 

蘇った者達のうち100人ぐらいが、雷蔵と同じ雷子鬼族(ヴァジュラ)に進化していたり、憎珀天なんて子供の姿から積怒(せきど)と同じ青年へと成長していた。

 

《魂の系譜に連なる者達に祝福(ギフト)が配られ、それにより進化が発生した。》

 

フォルテの疑問に電脳之神(デューオ)が答える。

 

(そうか。…ところで、俺が眠っている時に頭…というか魂に様々な情報(データ)が流れ込こんできたがあれは…。)

 

《オリジナル……超越神デューオから得た情報をフォルテにインストールした。魔王に進化した事で、フォルテの器が拡張された。それに合わせ、フォルテの強化に必要な力と、反魂の秘術を行使する為に必要な力を選別し、インプットした。それにより、新たなスキルを獲得した。フォルテが目覚めた事で、全ての情報(データ)インストールが可能となった。これより更なるスキルの獲得と統合を実行する。》

 

成る程。あのデューオから貰った情報(データ)電脳之神(デューオ)がスキルとして調整してくれたのか。オリジナルを超越神呼びとは……間違っていない…寧ろ納得だ。

 

 

 

実は、フォルテは電脳之神(デューオ)の力を使い熟せていなかった。

フォルテの力もそうだが、アルティメットスキルである電脳之神(デューオ)の力はフォルテの器…魂を超えていた。故に、電脳之神(デューオ)が自らに制限を掛けてフォルテに負担が掛からぬようにしていた。

 

 

以前は一割までしか能力を発揮出来なかったが、それが真なる魔王への進化により、フォルテの力が増大し器が拡張された事で制限をある程度解除された。

今の電脳之神(デューオ)は本来の七割まで力を解放した。

 

真なる魔王になっても七割までとは……やはり超越神デューオの分身とも呼べる電脳之神(デューオ)の能力は計り知れない。

それでも、七割まで解放されたの事実。

これにより、今まで以上の能力を発揮してくれる。

 

フォルテが電脳之神(デューオ)との会話を終えた時、紅丸が声を掛けてきた。

 

「所でリムル様、フォルテ様。」

 

「ん?」

 

「なんだ?」

 

「念の為ですが、魔王となったリムル様とフォルテ様にちゃんと理性が残っているか、確かめてさせてください。」

 

「「えっ?」」

 

「紫苑の料理は!」

 

「ええ⁉︎」

 

「……紅丸。」

 

そう。リムルとフォルテは、理性が残っているか確かめる為の合言葉を紅丸から決められていた。

 

あの時決めた合言葉…それは……。

 

「…ではもう一度確認します。俺が〝紫苑の料理は?〟と問うので…。」

 

「その答えが〝クソ不味い〟と…何だこの合言葉…。」

 

「紫苑は間違い無く嫌がる…。」

 

「紅丸…。」

 

流石にこの合言葉はと、カーネルも思った。

ギャルドは紫苑の料理の恐ろしさを知らない為、意味が分からず首を傾げていた。

 

「だからいいんですよ。」

 

「いい?」

 

「怒って文句を言いに目覚めてくれれば…そう言う願いを込めているんです。」

 

そして現在、紅丸がその合言葉の確認をしてるが…。

 

「え?私の料理がどうしましたか?」

 

本人の目の前で言える訳がないだろ!

 

フォルテはすぐにカーネルとギャルドに手招きで呼び寄せて、二人に小声で伝えた。

 

「…確かに。」

 

「紅丸。フォルテ様は間違い無く理性が残っている。」

 

カーネルが紅丸にそう伝えくれた。

 

「分かった。ではリムル様、さあお答えを!理性が残っているのなら!」

 

スライムボディのリムルは憎らしい目を象って見て、すぐに祈るしぐさをしながら大賢者と相談しだす。

 

「大賢者なら、上手く誤魔化せるかもな。」

 

フォルテがそう呟くと、電脳之神(デューオ)がある事を教えてくれた。

 

《リムル=テンペストのユニークスキル大賢者は、アルティメットスキル智慧之王(ラファエル)に進化している。》

 

おお!リムルの大賢者もアルティメットスキルへと進化したか。

リムルの相棒もますます頼りになったな。

 

フォルテがそう思っているなか、紫苑が再びリムルに問いかける。

 

「私は料理がどうしましたか?」

 

「えっいや…その…。」

 

中々答えないリムル……アルティメットスキルの智慧之王(ラファエル)でも困難なのだろうか?

 

リムルが中々答えない姿にくすくすと微笑する紅丸。

 

「久々に食べてみたいのだろう。お前が倒れてから、食べられなくて残念がっていたからな。」

 

あっ…紅丸の奴これ嵌めたな。リムルもそれに気づいた。

 

「そうだったのですね!喜んでお作り致します!」

 

そんな事知らない紫苑が嬉し涙で笑顔を浮かべながらリムルに頬擦りする。

 

……これは少し助けてやるか。

 

《その心配は無用。》

 

フォルテが助けに出ようとしたが、電脳之神(デューオ)がそれを止めた。

 

「リムル様の為の料理だからな。無論、俺は遠慮す……「待ちたまえ紅丸君。」!」

 

紅丸が念にはと遠慮の言葉を言おうとした時、リムルが割って入った。

 

「合言葉だったね。勿論覚えているとも。()()()()()()()()()()は確かこうだった。俺が紫苑の料理はと聞いたら、()()()()()と答えるようにと。」

 

「なっ⁉︎」

 

リムルの返答に流石の紅丸も予想できていなかったのか、雷に打たれかのような驚愕の表情を浮かべていた。

 

「てっお前がそう言って決めたんだよな。お・ま・え・が!

 

「リムル様!」

 

「ちゃんと覚えていただろ?〝お前が決めた〟合言葉。俺にちゃんと理性が残っていると分かってくれたかな?」

 

確かに…決めたのは紅丸。嘘は言っていない事実。

そして、…紫苑の空気が変わるのを感じた。

 

紅丸の方へと振り向く紫苑。

 

「まっ待て紫苑!リムル様は目覚めたばかりで混乱されておられるのだ。」

 

後退りながら言い訳する紅丸。そんな紅丸から逃げるように離れる朱菜達。

 

「いや。確かにその合言葉だったが?」

 

「リムル様とフォルテ様に〝二度も〟確認して決めていた。」

 

「ちょっ⁉︎」

 

ギャルドとカーネルも証人となって暴露した。

もはや…紅丸に言い逃れはできない。

 

そして、紫苑によって引き伸ばされるリムル……紫苑から発せられるドス黒い怒りの波動を感じ取っているので何も言わない。

 

「紅丸様………いえ、紅丸。私はリムル様の直属なので、敬称は不用でしょう。」

 

そう言って顔を上げる紫苑は笑顔だが………笑っていないのが見ているだけで伝わってくる。

 

「私の料理、その腹がはち切れるまで堪能させて差し上げましょう……。」

 

紫苑の言葉を聞いた紅丸は、絶望の表情を浮かべた。

そんな紅丸に、紫苑はリムルを渡して何処に向かった。……もの凄くヤバイ笑みを浮かべて。

 

 

紫苑が去った後、紅丸はリムルに話しかけた。

 

「どうしてくれるんです⁉︎」

 

「死なないように頑張ってくれ。」

 

「頑張ってくれって…………!まぁ、ずっと試食をしているからか、最近では〝毒耐性〟が身につきましたが………。」

 

「毒耐性……⁉︎」

 

そういえば、ゴブタもリムルの身代わりで食べて毒耐性を得ていたな。

カーネルもそうだったし……まぁ今までの努力の成果もあり、食感と歯触りはまともになった。見た目も原型はその料理なのだが、どうしても紫色に変色し怨念の声が聞こえてしまう。

もはや呪いかとも思ったが、最初に比べたら凄まじい進歩だ。

 

だからこれからも紅丸には頑張ってもらわないといけない。

 

フォルテがそんな事を思っている中、紅丸は空を見上げて全てを諦めたような表情を浮かべていた。

 

「……今度こそ、死ぬかも。」

 

「えーと、自業自得って事で。」

 

「身から出た錆だ紅丸。」

 

フォルテはそう言って紅丸の肩に手を乗せる。

 

「あっそうでした。こんな事を知っている場合ではなく、まだ、問題がありまして。」

 

「問題?」

 

「何があった?」

 

「リムル様とフォルテ様が眠っていらっしゃった三日の間に…。」

 

「俺達三日も寝ていたの⁉︎」

 

「はい。獣王国ユーラザニアで、大変な事態が。」

 

そう言って紅丸が手で指し示した方に顔を向けると、黒豹牙フォビオと白虎爪スフィアそして黄蛇角アルビス。獣王国の三獣士達がいた。

 

フォルテは、スフィアとアルビスに合うのは今日が初めてとなる。

 

「お初にお目に掛けます。ジュラ・テンペスト連邦国のもう一人の盟主フォルテ=テンペスト様。」

 

三獣士筆頭であるアルビスがフォルテに頭を下げる。

 

「ああ。黄蛇角アルビスそして白虎爪スフィア。初めましてだな。」

 

「はい。」

 

「おう。」

 

互いに挨拶を交わすフォルテ達。

 

「魔王への進化。誠におめでとうございます。」

 

「ありがとう。その様子からして、ユーラザニアに何があったか聞かないといけないな。……リムル。皆の挨拶は俺が引き受ける。アルビスの話を先に聞いてやってくれ。」

 

「分かった。」

 

こうして、リムルはアルビス達を連れて議事堂に向かった。

フォルテは変わりに生き返った皆の挨拶を聞いていった。

 

生き返った者達は、全員が生前と変わらぬ知識と人格で蘇り、エクストラスキル完全記憶を獲得していた。

 

「これで何度死んでも復活してみせますよ。」

 

「そんな事を簡単に言うな。」

 

皆の挨拶を聞き終えたフォルテも議事堂に向かう。

その道中で、進化直後に得たスキルを確認した。

 

ユニークスキル電脳聖獣(データウェポン)は名の通り、GEAR戦士電童に登場した電子の聖獣達を武器として装備しその能力を発揮する。

そして、必殺の一撃であるFA(ファイナルアタック)は凄まじい威力だが、魔素をかなり消費する。

 

だが、その問題をアルティメットスキルとして得た虹之鳳翼(フェニックスエール)が解消する。

虹之鳳翼(フェニックスエール)の最大能力である無限供給(インフィニットレイヤー)で常時魔素が無限に供給される。

究極形態(サイトスタイル)と違ってその形態(スタイル)にならずとも、常に供給され続けるので、魔素の消費問題が全部解決された。

 

デューオは電子の聖獣達…データ生命体の彼らに興味を持ち、その情報(データ)を採集したのだろう。

 

次はアルティメットスキル漆黒之神(キングオージャーZERO)

漆黒之神(キングオージャーZERO)は文字通り、キングオージャーZEROを降臨させる能力。キングオージャーZEROを構成する十体のシュゴッドZEROをそれぞれ呼び出すことも可能だが、巨大なキングオージャーZEROを降臨させるには莫大な魔素が必要な為、普通は簡単には呼び出せない。

しかも、魔素で作った仮初の物質体(マテリアルボディ)では長時間の活動は不可能であり能力も十分には発揮されない。

電脳創造(サイバークリエイト)で作り出す手もあるが、その巨体故に時間がかかる。それに、作り出した物質体(マテリアルボディ)自体がキングオージャーZEROの力に耐えられない可能性が高い。

故に、後ほどシュゴッドZERO達を電脳世界(サイバーワールド)で、電脳体(サイバーボディ)電子体(デジタルボディ)で活動してもらい、ベスター達に協力してもらいながら最高の依代を作り出すことにした。

……まずは金属をどうするかだな。

 

デューオが何故キングオージャーZEROの情報(データ)を持っていたかは、この情報(データ)をインプットした際に分かった。

デューオはチキューの一国……ンコソパを観察していた。

前世で2話まで見ていたからこそ分かる。ンコソパのあの超ハイテク国家にデューオが観察対象に選ばない訳がなかった。国内の施設や文化の殆どを電子制御化した国。そんな国家だからこそ、誤ったネットワーク文明を進むかどうかを見極める必要がデューオにはあった。

そして、デューオが観察した情報(データ)からキングオージャーの世界の戦いを知ることができた。

その中で、デューオは工業が盛んなシュゴッタムで極秘に開発されたキングオージャーZEROに興味を持ち、その情報(データ)や他のシュゴッドやデミシュゴッドの情報(データ)を採集した。

そして、キングオージャーの戦いを見届けたデューオは密かに去って行った。

……また別の情報(データ)も採集されていて、受け取ってはいるがそれをどうするか……。

 

そして、反魂の秘術を成功させる為に超吸収之神(ゴッドアビリティプログラム)だけでなく、魂を確実に保護する為に得たアルティメットスキル死之賢者(バグラモン)

 

その名の通りデジモンのバグラモンの力を使えるスキル。

次元を操り、魂を掌握できる。技も使えるのでこのスキルの力は計り知れない。

 

デューオがデジモンやデジタルワールドの存在を知り、非常に興味を持ち、あらゆる時空のデジタルワールドを観察し、デジモン全ての情報(データ)を採集したのだ。

 

その中でもバグラモンの力は絶大。……ただ、彼は他の悪党やラスボスと違い、ただの独裁者や暴君ではなく自らが信じる強い理想と信念を持っていた。

そして、弟であるダークナイトモンに対する家族愛も彼なりにあった。

漫画世界でも、居場所の無い悪と運命づけられたデジモン達の拠り所になるなど、誰よりもデジモン達を思っていた。

 

 

そんなバグラモンの力を得たフォルテは、バグラモンの様な強い理想と信念を持って、この魔国連邦(テンペスト)の皆を守っていこうと決めた。

 

 

 

議事堂に着いたフォルテは、そのままリムル達が居る職務室に向かった。

 

「遅くなった。」

 

そう言って扉を開けて入ると、リムルがリグルドから話を聞き終えた辺りだった。

 

「…フォルテ。来てくれたか。」

 

「…話を聞き終えた様だな。」

 

「…ああ。かなり深刻な問題だ。」

 

リムルの態度から、ユーラザニアがどうなったか大体想像がついた。

 

「……俺も知っておく必要があるが、今からもう一度話してもらうのも、申し訳ないな。」

 

そう言って、フォルテはフォビオの元に向かった。

 

「すまないがフォビオ、お前の記憶を直接見せてくれ。」

 

「…分かりました。」

 

フォビオの承認を得たフォルテは、彼の頭に手を乗せ記憶を解析した。

 

解析されたフォビオの記憶から見える光景は……カリオンの宮殿の上空から凄まじい妖気(オーラ)を纏いながら高笑いするミリムの姿だった。

 

「ワ〜ハッハッハッハッ!ワタシはミリム・ナーヴァ!魔王なのだ!ワタシはここに、魔王間で取り交わされた全ての協定を破棄し、獅子王(ビーストマスター)カリオンに対し、宣戦を布告する!」

 

「戦だと…!」

 

「「「うっ………!」」」

 

それは、余りにも突然過ぎる宣戦布告だった。

 

「開戦は1週間後!せいぜい頑張って準備しおくのだ!ワ〜ハッハッハッハッ!ジュワ!」

 

そう言い残して、ミリムはユーラザニアから飛び去っていった。

 

「待てミリム!てめぇ何考えてやがる⁉︎」

 

カリオンは叫ぶが、ミリムは既に遥か彼方まで飛び去っていた。

 

「戦争か!大将。一番手は俺に譲ってもらうぜ。」

 

戦が始まると分かり、気合い入れる様に拳を合わせるスフィア。

 

「待て、スフィア!お前は魔王ミリムの強さを知らない!獣王戦士団が全員でかかったとしても、一瞬で皆殺しにされるだけだぜ!」

 

ミリムの強さを知るフォビオが、スフィアを止める。

それを聞いたカリオンは、フォビオに問う。

 

「フォビオ。実際にミリムの強さを見たお前がそう言うなら、そうなんだろう。……で、俺とミリムではどっちが強い?」

 

「うっ………⁉︎」

 

カリオンの問いに、フォビオはすぐに答えられなかった。

ミリムのあの圧倒的な強さを身をもって知ったフォビオだからこそ分かっていた。……ミリムの強さはカリオン以上であることは。

だが、自分の大将にそんな事は口が裂けても言えるものではなかった。

 

フォビオを見るアルビスとスフィア。………フォビオは一息入れてから、口を開いた。

 

「………一言だけ申し上げるならば………魔王ミリムは破壊の暴君(デストロイ)。破壊の暴君の名に恥じぬ……とだけ。」

 

フォビオのその言葉だけで、カリオンはすぐに理解した。

 

「フッそうか。俺様より強いってか。」

 

「あっ!いっいえ!そうは………。」

 

「敵が強いからといって逃げたんじゃあ、魔王はやってられんだろう?それに、伝説の魔王と戦えるなんて、こんな面白そうな話を逃す手はねえぜ。」

 

カリオンも分かっていた。ミリムは自分より強い最古の魔王であることは。

だからこそ、そんな伝説の魔王の一人であるミリムと戦える事は寧ろ、カリオンにとっては嬉しい事だった。

 

カリオンは移動しながら、三獣士達に命じた。

 

「あのスライムとフォルテを頼って、民をジュラの大森林へと避難させろ。俺とミリムの戦いに巻き込まれたら、無事では済まんからな。それから、ミリムは俺様だけが相手する。」

 

カリオンの言葉に三獣士達は驚きながら、加勢すると声を上げる!

 

「え?しかし………。」

 

「俺も一緒に!」

 

「カリオン様、我らは………!」

 

だが、カリオンは妖気(オーラ)を放ちながら三獣士達を止める。

 

「黙れ!魔王ミリム・ナーヴァを相手にできるのは、この俺様だけよ!………貴様達は民を守る事を優先するのだ。我らの戦いに参入する事は許さん!」

 

「「「はっ!」」」

 

カリオンの強き言葉に三獣士達は従うのだった。

 

「信じろ。俺様が勝つ!(嫌いじゃなかったぜミリム………。良いダチになれたかもしれねえのに、残念だぜ………アイツのようにな。)」

 

カリオンの脳裏に浮かんだのは、手合わせをしたフォルテの姿だった。

 

そんなカリオンの気持ちを、フォルテは見ながら感じとっていた。

 

「……カリオン。」

 

これが十日前の出来事………そして三日前、カリオンのミリムの戦いが始まろうとしていた。どうやら、フォビオは残って戦いを見届けていたようだな。

 

「ようミリム。まさか、魔王達の宴(ワルプルギス)にも諮らずに協定を破棄しちまうとはな。」

 

そう言って、上空にいるミリムに向かってカリオンも飛翔し、ミリムの前に立つカリオン。

 

「お前さんは見た目より、ずっと思慮深いやつかと思ってたんだが……な!」

 

カリオンは先制で槍をミリムに向かって突き出す。

 

だが、ミリムに当たらず逸れた。

 

「うおおおおおおおお‼︎」

 

カリオンはそのまま連撃をミリムに叩き込むが、全ての攻撃がミリムに当たらず逸れる。

 

(ちぃっ多重結界のせいで斬撃が滑る。……ならば!)

 

カリオンは左腕に巻き付けていた尾を模した物で、ミリムの左腕に巻き付け動きを止める。

 

その一瞬を逃さずカリオンが槍の一撃を叩き込むが、ミリムには届かなかった。

 

「っ⁉︎」

 

何故なら、ミリムの手には剣が握られており、カリオンの槍の一撃を受け止めていたからだ。

 

その剣を見たカリオンは、ミリムから少し距離を取り呟いた。

 

「……光栄だな。その剣をこの目で見られるとは。(数多の魔人や魔王を屠った魔剣〝天魔〟。)」

 

ミリムの愛刀であるその魔剣は、フォルテもミリムから聞いたことがあったが、フォビオの記憶の中とはいえ見ることができたのだ。

 

(ガキの頃、親から聞かされたことがある。魔剣を操る竜の姫君…その暴虐の御伽話をな。)

 

ミリムが魔剣を手にしたことに、どこか嬉しさを感じたカリオンは、ミリムに話しかける。

 

「ようミリム。なんでこんな真似をするんだ?」

 

カリオンの問いに答えないミリム……無言を貫くその姿を見たカリオンは、何処かおかしいと感じながら頭を掻いた。

 

「へっ。もしかして操られてでもいるのかい?だとしたら少し残念だな。本気のお前を倒して、この俺が最強であると証明したかったんだがな!」

 

そう言って、カリオンはユニークスキル百獣化をした。

 

「見ろ!これが俺様のユニークスキル〝百獣化〟だ!俺様は獣魔の王、獅子王(ビーストマスター)カリオン!」

 

フォルテとの手合わせの時とは違うカリオンの本当が、身体から溢れ出る妖気(オーラ)が表している。

 

カリオンの本気を見たミリムは笑顔を浮かべたままだった。

 

「さてミリムよ。残念だがこの姿を見せた以上、お前には退場してもらうぜ。手加減はしない!これで終わりだ!」

 

そう言ってカリオンは槍を投げるような構えを取ると、先端に妖気(オーラ)が集まり、獅子を模した顔となり咆哮を轟かす。

 

「この世から消えるがいい!獣魔粒子咆(ビースト・ロア)‼︎

 

カリオンの一撃が放たれた!獅子を模した顔がミリムに迫りそのまま呑み込んだ!

 

カリオンの槍の先端はなくなり焦げてしまったが、勝利を確信するカリオン。…後は爆発するだけだが、なんとカリオンの放った妖気(オーラ)が弾けミリムが飛び出しそのままカリオンに攻撃

 

カリオンはなんとか槍で受け止めた。

 

「……冗談じゃねぇ。まさか無傷とはな。」

 

カリオンの視線の先には、漆黒の鎧状の服装に、竜の意匠である紫の翼そして、額に紅色の一本の角が生えているミリムの姿だった。

 

その姿こそ、ミリムが戦闘特化した姿であるヘルモード。

 

破壊の暴君(デストロイ)、ミリム・ナーヴァ。それが本来のお前の、戦闘形態ってわけかい。」

 

「アハハハハハハハハハハ!」

 

突然高笑いをするミリムの姿に、カリオンは訝しげな表情を浮かべる。

 

「左手が痺れたのは、フォルテ以来なのだ。お礼に、とっておきを見せてやる。」

 

そうミリムが言った瞬間、周囲の魔素がミリムに集約されていく。

その集束密度は、先ほどのカリオンの技以上

十分に魔素が溜まったと同時に、ミリムが叫びながらその魔法を放った。

 

竜星爆炎覇(ドラゴ・ノヴァ)‼︎」

 

まるで息吹き(ブレス)を放つかのように放たれるミリムの究極最強魔法

 

放出された膨大な魔素の一撃を、カリオンは紙一重で躱すが余波で吹き飛ばされる。

放たれた竜星爆炎覇(ドラゴ・ノヴァ)の射線上にあったユーラザニアの都市が一瞬で消滅した。

 

吹き飛ばされたカリオンが体勢を立て直し、見た光景は……。

 

「次元が……違う。…ありえねーだろうが………!都市が跡形もねぇ…………!」

 

先程まであった都市部がミリムの一撃で更地と化し、カリオンの宮殿があった場所は大きく抉られ、射線上にあった山々もまとめて消し飛んでいた。

 

カリオンは決して弱くない。魔王を名乗るだけの強さはあった。だが、最古の魔王であるミリムの力はそれを凌駕するほど圧倒的だった。

 

この時、ミリムの一撃にフォビオは巻き込まれたが、以前、フォルテから貰った障壁(バリア)のバトルチップによりなんとかダメージを抑えられ助かったのだ。

 

都市消滅という光景を目の当たりにしたカリオンは、そのままミリムの方へと視線を移す。

 

(破壊の暴君、ミリム・ナーヴァ………!なるほど。御伽話にしてでも、語り継ぐべき脅威だな……!)

 

カリオン最古の魔王であるミリムの力を改めて理解した。

 

「よう、理由を聞かせちゃくれねぇか?何故、獣王国(ユーラザニア)を滅ぼそうと思った?」

 

カリオンの問いにミリムは答えない。

 

「(……なんだ?さっきからどうも様子がおかしい。)おい、なんとか言えよ。人様の国を消滅させておいて黙りか?」

 

訝しげになりながら再度ミリムに問うカリオンだが、…ミリムは答えない。

……まるで人形のように。

 

その姿から、カリオンはある可能性に思い至った。

 

「あいつ……ひょっとして。」

 

カリオンがそう呟いた瞬間!背後から何者かが近づき、カリオンの首元にナイフを突きつける。

 

「ひょっとして?私にも教えて欲しいわね。」

 

カリオンにナイフを突きつけているのは、天使のような羽を背中から生やした美しい女性だった。

 

天空女王(スカイクイーン)フレイ………!」

 

「御名答。」

 

その女性は、魔王の一人である天空女王(スカイクイーン)の異名を持つ、有翼族(ハーピィ)のフレイだった。

 

 

「チッ!お前もかよ。」

 

フレイを見て舌打ちするカリオン。

 

「あら?私も何なのかしら?ゆっくりと聞かせて欲しいわね………!」

 

フレイはそう言いながら、カリオンの首元を斬り裂いた!

 

その様子を、傷だらけになりながらフォビオは見届ける事しかできなかった。

 

そして、フレイはカリオンを抱えて飛び去った。

 

フォビオの記憶を解析しながら見たフォルテ…電脳之神(デューオ)によってカリオン達の会話も見事に聞こえるように調整されたので、より正確に状況を理解する事ができた。

 

フォビオの記憶を見終えたフォルテは、フォビオから手を離し目を開ける。

 

「…これが事の顛末か。フォビオ、良くミリムの攻撃に巻き込まれながらも、最後まで見届けた。」

 

「いえ、フォルテ様から貰っていたあのチップの障壁(バリア)が無ければ死にかけていました。それでも重症でしたが、拠点移動(ワープポータル)でどうにか此処まで来て、回復薬で完治させてもらいました。」

 

「そうか。それでリムル、避難民の寝泊まりする場所や食事は準備はどうした?」

 

「ああ。俺達が眠っている間に、リグルドが全てやってくれていたよ。」

 

「流石だなリグルド。良くやった。」

 

「はっ!」

 

改めて、こういう時のリグルドの対応力は見事だ。

 

「それにしても………ミリムの奴、なんでユーラザニアを滅ぼす事にしたんだ?」

 

「それに、ミリムの性格上、横槍を入れられることは嫌がる筈だ。」

 

リムルとフォルテはミリムの不可解な行動にそう言うと、スフィアもある事に気付いた。

 

「らしくねぇと言やあ、俺はフレイがフォビオを見逃したのも腑に落ちない。」

 

「というと?」

 

有翼族(ハーピィ)は高高度より獲物を狙撃する視力をもってる。天空女王(スカイクイーン)と呼ばれる有翼族(ハーピィ)の女王がフォビオに気が付かなかったとは思えねぇんだよな。」

 

「なるほど。」

 

スフィアの話を聞いて考えるリムル。

その隣でフォルテが口を開く。

 

「さっきフォビオの記憶を解析して気付いた事がもう一つある。」

 

「それは?」

 

「ミリムの事だ。」

 

フォルテの言葉に皆の視線が集まる。

 

「カリオンが話しかけても無言を貫いて、まるで人形のような振る舞いをしていたが、カリオンへの宣戦布告の時と、カリオンの一撃を受けた後の高笑いからは間違いなくミリムの意思があった。」

 

「つまり…それは。」

 

「ミリムは何者かに操られている振りをしているんじゃないか。」

 

フォルテの言葉に皆は目を見開く。

 

「それで、ミリムを操ろうとしている者がカリオンの元にミリムを嗾けた。そして、操られる振りをする前に、ミリムはフレイに芝居をする為の協力を頼んだんじゃないか。……まぁこれはあくまで俺の憶測だが、最古の魔王であるミリムが簡単に操られるとは考え難い。それに、ミリムはああ見えて頭が回るからな。」

 

「なるほど……フォルテの話通りなら、ある程度は説明がつくな。」

 

「では!カリオン様は⁉︎」

 

アルビスが声を上げる。

 

「俺の憶測通りなら生きている。おそらくフレイは、その操る者…黒幕を欺く為にカリオンを殺した風に見せかけたのだろう。」

 

カリオンが生きている可能性が高まり、アルビスは安堵する。

 

「じゃあ……都市を消滅させたのは……。」

 

フォビオは恐る恐るフォルテに尋ねる。

 

「………記憶での様子から察するに、演技に夢中になり過ぎた上に、カリオンの本気の一撃を受けて、はしゃぎ過ぎて思わずやっちゃた感じだな…多分。」

 

「確かに……ミリムならありえるな。」

 

フォルテの予想に、リムルもミリムならと納得した。

 

(……ミリムにあったら注意しないとな。)

 

フォルテがそう思っていると、アルビスがフォルテに話しかける。

 

「では、フォルテ様の憶測通りだったと仮定して、その黒幕と言うのは……。」

 

「大体察しはついているが、念の為に確認する必要がある。」

 

「だな。紫苑、ミュウランを連れて来てくれ。後、地図も頼む。」

 

「はい!」

 

 

そして、ミュウランに来てもらい話を聞いてみた。

 

「ーーええ。それは確かです。クレイマンは魔王ミリムに接触を図っていました。」

 

やはりか。ミリム、カリオン、フレイ…そしてクレイマン。ミリムから聞いた傀儡の魔王を誕生させる計画に加担していたメンバーだったからな。

 

「私の印象になりますが、ミリム様の宣戦布告は想定外のようで苛立っていたように思えました。」

 

「やはりか…ミリムの宣戦布告は、獣王国の民を逃がす為の時間を作る為だったってことだな。」

 

フォルテはそう言って、地図を広げてフォビオに尋ねる。

 

「フォビオ。魔王フレイがカリオンを抱えて飛び去った方角を教えてくれ。」

 

「はい。獣王国(ユーラザニア)の北東…おそらく魔王ミリム様の支配領域、忘れられた竜の都へ向かったのかと。」

 

フォビオはそう言って地図に描かれたミリムの支配領域を指差した。

 

「北東か…。」

 

フォルテは地図上の獣王国(ユーラザニア)の北東から指でミリムの支配領域である忘れられた竜の都までなぞる。

 

確かにこの方角ならそう思うが……その先にあるのは……。

 

フォルテ更に指でなぞって行き、忘れられた竜の都の先にある領域で指を止める。

 

フォルテの指先に描かれた場所を見た皆は、一斉にミュウランへと視線を向ける。

 

「傀儡国ジスターヴ。魔王クレイマンの支配領域です。」

 

「やはりな。」

 

これで、クレイマンが黒幕であることが確定した。

 

「俺…ちょっと行ってくる。」

 

クレイマンが黒幕であると確定した瞬間、スフィアはそのままクレイマンを倒しに向かおうとする。

 

「待ちなさいスフィア!」

 

それをアルビスが声を上げて止める。

 

「行くなら全員で攻め込みますよ。」

 

だが、それはスフィアだけに行かせるのではなく、全員で行く為だった。

無理もない、クレイマンのせいで都市が消滅し、カリオンが攫われてしまったのだから。

 

アルビスは冷静ではあるが、怒りの感情が抑えきれずに半獣身化してしまい、頭から黄角生え出していた。

 

「まぁ待て。」

 

「落ち着け。」

 

そんな彼らをリムルとフォルテが止める。

 

「感情に任せて、無策で敵の本拠地に向かうのは無謀だ。」

 

「フォルテの言う通りだ。俺達がクレイマン側だったら、間違いなく罠を張っている。」

 

リムルとフォルテの言葉を聞いてアルビス達は我に返り、落ち着きを取り戻した。

 

「それに、俺の憶測が外れている場合もある。本当にミリムがクレイマンに操られているなら厄介だ。」

 

クレイマンは、リーガルと倉田に繋がっているのは間違いない。

二人が何かしらの協力をしていたら、ミリムを操ることが可能かもしれない。

 

「兎に角、今は体勢を整えてからだ。」

 

「ああ。カリオンを助けに行くのも、クレイマンを倒しに行くのもそれからだ。」

 

リムルとフォルテにそう言われ、頷く三獣士達。

 

………魔王クレイマン。お前は俺達を更に怒らせた。

 

 




フォルテの進化によって電脳之神(デューオ)の力がある程度解放されました。
それにより、記憶の解析などもより正確に詳細な事などが分かり、フォルテは憶測ではあるが、ミリムの考えに辿り着く。

更に様々データやスキルを統廃合され、フォルテは更なる力を得る事になる。

次回は、遂にリムルとフォルテの中にいる者達が解放される時。
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