そして、更なる者達がフォルテの手により解き放たれる。
遂にヴェルドラを解放することに成功したリムルとフォルテ。
久しぶりに感じるヴェルドラの威圧感に、二人は懐かしんでいた。
そして、フォルテとリムルは復活したヴェルドラに話しかける。
「いよぅ、久しぶり。」
「ヴェルドラ……復活おめでとう。」
「……せっかく復活したのに、リムルの我への扱い軽くない?フォルテはしっかり祝いの言葉をかけてくれておるのに。」
「ハハハ。ヴェルドラは相変わらずだな。」
復活しても変わらないヴェルドラの姿に、フォルテは笑みを浮かべた。
「しかし、思ったよりも早く出られた。我を封じたあの無限牢獄ゆえに、解放はまだまだ先だと思っておったぞ。」
「リムルの中から見ていて知ってると思うが、俺とリムルは魔王になったからな。」
「ユニークスキルが
「そうであったな。しかし、2年やそこらで覚醒魔王か。…お前達の成長ぶりは、見ていて驚かされるものばかりであったわ。」
覚醒魔王とは、
「ま、何て言うの?ほら、俺達って天才っぽかったじゃん?仲間にも名前をつけると、一気に進化してたしね。」
リムルがそう言うと、ヴェルドラは呆れながらリムルに言う。
「この阿保め。お前がホイホイ名付けても無事だったのは、足りない分の魔素を我から奪っておったからなのだぞ。」
「あっ…やっぱり。フォルテから話は聞いていたけど……ごめん。」
「まったく。それで効率が落ちるから、解放はまだ先だと思っておったわ。あれ、結構しんどいのだぞ。」
そう言ってリムルを爪で軽く弾くヴェルドラだった。
俺も超電脳獣グレイザーから魔素を使って色々やっていたからな。
リムルの名付けについて、ヴェルドラに聞いた時は本当にしんどそうな表情を浮かべいた。
「まあ、今更だ。こうして、〝無限牢獄〟も破れた訳だし、許してくれよ。」
「後で美味い料理やデザートをご馳走するよ。」
リムルが軽く謝罪をした後、フォルテが美味い料理をご馳走すると聞いて、ヴェルドラは期待の眼差しでフォルテを見る。
「それには…あれもあるか?」
「あれ?」
「そう…シュークリムル。」
「ああ。シュークリームか。勿論あるから楽しみにしていてくれ。」
「おお!流石はフォルテ。我への復活の祝福もバッチリだな。」
「あっ祝福と言えば…お前にも
リムルがそう聞くと、待ってましたと言わんばかりにヴェルドラは目を輝かせて声を上げる。
「よくぞ聞いてくれた!リムルのお陰で、我のユニークスキル
「おお。やはりヴェルドラも
「これはな。我の飽くなき探究心から生み出された、究極の真理へ至る力なのだ‼︎」
「良かったじゃないかヴェルドラ。」
「なら、そろそろ弟達も解放するか。」
フォルテはそう言って掌から2枚のチップを取り出す。
それは……
俺達がなぜ封印の洞窟でなく、この無人エリアを解放する場所に選んだ理由の一つがこれだ。
ヴェルドラの復活だけでも皆が騒ぎになるはずなのに、それが三つに増えたなら更にパニックを起こすのは間違いない。
フォルテの手に浮かぶ自身の複製…弟達を見てヴェルドラが声を上げる。
「おお!我の弟達よ。そうだな、我が復活したのだからお前達も解放せねばな。……フォルテよ。電脳竜となった弟の名は決まっているのか?」
「勿論だ。」
ヴェルドラに弟の一人である電脳竜の名前を考えるのを頼まれていたフォルテ。
フォルテも、新たな竜種への名付けができると言う名誉に、真剣に名前を考え続けていた。
そして、電脳竜の見た目からあるカードの名前がどうしても浮かぶことから、その名前を元にして名前を決めていた。
「ヴェルキオン…電脳竜ヴェルキオン=テンペスト。……どうだ?」
「うん!良いんじゃないか。」
「おお!流石はフォルテよ。中々に良い名を考えてくれた。ではやるぞ。」
「ああ。」
リムルとヴェルドラも気に入ってくれたので、フォルテはチップを掲げる。
そして、解放と同時にヴェルドラと共に名を叫ぶ。
「「いでよ!ヴェルドラ=アゲンスト!そして…ヴェルキオン=テンペストよ‼︎」」
ヴェルキオンの方は力強くその名を叫び名付けを行なった。
ヴェルドラとフォルテの魔素がヴェルキオンのチップへと流れ込む。
(ぐっ!ヴェルドラの助けがあるが、やはり竜種への名付けは半端ないな。)
大半の魔素を奪われたフォルテ。グレイザーの魔核から足りない分を補い、失った魔素は
ヴェルドラとフォルテの魔素を吸収したヴェルキオンのチップが輝き、それに共鳴するようにアゲンストのチップも輝き出した。
二つのチップは輝きながら竜巻を発生させる。
フォルテはすぐさまチップを手放し距離を取る
荒れ狂う赤と紫の竜巻、その中心で輝き続けるチップから魔素が溢れ出し形を成していく。
そして、竜巻が弾け中から姿を現したのは、ヴェルドラと瓜二つの姿だが、その身が真紅に輝き、金の角に胸には何かの紋様がある逆風竜。
そう、ヴェルドラ=アゲンストだ。
もう一体は
基本ベースはヴェルドラだが、鋭角的で機械的なフォルムであり、右肩に赤の菱形の宝石があり、左肩には青の菱形の宝石が輝きを放っていた。
胸にも紫の菱形の宝石が埋め込まれており、翼の膜は電子機器の基盤の様なモールドが入った光輝くエネルギーの膜となっている。
全身の基盤のようなラインには、
その姿はやはり、銀河を宿した瞳を持つ時空竜と酷似している。
だが、頭部の角が鋭い刃の如く鋭角で、顔の左右から前面に向かって伸び、手脚の爪が鋭利な鉤爪状となっている。
例えるなら……闇竜族の爪だ。
そして、名付けによる影響か、以前見た黒紫の身体が極めて黒に近い、深い赤紫となった至極色となっていた。
これが最適化を終えた、ヴェルキオン=テンペストの完成した姿だ。
解放されたアゲンストが笑い声を上げる。
「クァーッハッハッハ‼︎我、ヴェルドラ=アゲンスト!今、ここに解放されたり!複製された我を解放してくれたこと、心より感謝するぞフォルテ=テンペスト!そして……兄者。」
「おお!我を兄と認めてくれるか…弟よ。」
「当然のことよ。複製として生まれ、完全に消されてもおかしくなかった我を、弟としてこの世に生を与えてくれたのだからな。」
「ならば、これからよろしく頼むぞ弟よ。」
「無論だ。兄者。」
解放されたアゲンストは……まんまヴェルドラと変わらない性格のようだ。
こうしてみると、双子と言われたら信じてしまうだろう。
一方のヴェルキオンの方は、アゲンストが話し終えるのを律儀に待っていた。
アゲンストがヴェルドラと話し出したのを確認すると、フォルテに話しかける。
「フォルテ=テンペスト。我はお前に感謝する。」
「感謝?」
「ヴェルドラ=テンペスト…兄者の複製で過ぎなかった我に、力を与えこの世界で新たな竜種として生まれ変わらせてくれた。それだけでなく、我にヴェルキオン=テンペストと言う素晴らしい名まで与えてくれたのだ。
これで感謝しない訳がなかろう。」
「そう言ってくると、こちらもありがたい。」
ヴェルキオンもヴェルドラに近い自我を持っているようだが、ヴェルドラとアゲンストと違い、落ち着きがあり、冷静な性格となっているようだ。
「我、ヴェルキオン=テンペストの名に誓い、我はフォルテ=テンペストの守る者…守護竜となることを此処に誓おう。」
「守護竜?」
「そうだ。今の我があるのはフォルテのお陰だ。我はお前の中でずっと見ていた。……ファルムスによる惨劇で悲しむお前の姿を。」
「……ヴェルキオン。」
「故に、もう二度とお前があのような悲しみを味合わぬように、我が
ヴェルキオンの輝く瞳から、本当にそう思っていることが伝わってくる。
「…ありがとう。これから宜しく頼む。」
「無論だ。」
「それと、今日からお前も俺の大事な仲間であり、…友達だ。」
フォルテの言葉にヴェルキオンは目を見開く。
「……ああ。今日より我はお前の友だ。」
フォルテとヴェルキオンが互いに信頼関係を築いた。
「こら!ヴェルキオンよ!兄である我等を置いて話を進めるでない!」
「我、アゲンストもフォルテに名付けられたようなもの!我も当然、リムルとフォルテの友として
「ヴェルドラ……アゲンスト。」
「流石はヴェルドラの弟達だな。じゃあこれから宜しくな。」
リムルのそう言って人の姿となり、拳をヴェルドラ達に向かって突き出す。
フォルテもリムルの隣に立ち、拳を突き出す。
それに答えるように、ヴェルドラとアゲンストそして、ヴェルキオンが爪を突き出し、二人の拳に合わせる。
今此処に、竜種三体と魔王二人の友情が改めて結ばれた。
そして、アゲンストとヴェルキオンもヴェルドラ同様に、
「やっぱり、ヴェルドラの複製だったから同じユニークスキルを獲得していたんだな。」
「しかも、同じ
リムルとフォルテがそう言うと、ヴェルドラが含み笑いを浮かべる。
「フッフッフッ。我の得た力はそれだけではない。」
「「え?」」
「無限牢獄の解析に協力してくれていたフォルテの
「そんなことをしていたのかよ……。」
「それにより!我は新たなユニークスキル
……サイファーってあの
確かにリムルの記憶から漫画や玩具を再現していたが、まさか
「おっ兄者も似たスキルを得て進化していたか!」
「これは驚きだな。」
ヴェルドラの言葉にアゲンストとヴェルキオンがそう言った。
「おお!ではお前達もか!」
「うむ!我もフォルテの記憶から得た情報で、ユニークスキル
「我も、ユニークスキル
アゲンストが
……
フォルテとリムルは、ヴェルドラ達が得たスキルに驚くしかなかった。
ヴェルドラ達はそのまま自分達が得たスキルの自慢話を始めそうになったが、リムルが割って入った。
「自慢話をするのはいいけど、せっかく復活したわけだし、そろそろ外に出ないか?」
「リムルの言う通りだ。ここで互いに自慢話をするより、皆に聞いてもらった方が良い。」
「……そうだな。」
「ようやく解放されたのだからな。」
「だが、我らの肉体はどうする?」
「ああ。それは何とかなると思う。」
「既に、リムルと話して決めている。」
今のヴェルドラ達は思念体…言わば魂だけの存在だ。
精神生命体が
そうなったら、たとえ復活しても記憶はまばらとなり俺達の知るヴェルドラ達ではなくなる。
この
「そういえば、リムルに捕食される前にヴェルドラが持っていたあの
「うむ。あれは魔素で作り出した体だ。リムルの胃袋の中では不要故、魔素に還元したのだ。」
膨大な魔素の塊でもあるヴェルドラだからできたことだな。
ヴェルドラ達の依代を用意する前に、リムルがヴェルドラ達に頼み事を言う。
「……ひとつ約束してくれないか?」
「ほう、なんだ?」
「お前達のでが過ぎる
「…なるほど。分かったぞ、約束しよう。」
「よし、ありがとうな。」
「助かる。」
リムルとフォルテを見つめるヴェルドラ。
「リムル、フォルテよ。お前達は本当に王になったんだな。」
「…まぁね。」
「ああ。」
リムルは両手を、フォルテは片手を前に翳す。
「待ってろ。」
「お前達の依代を、今から用意する。」
リムルとフォルテの手から魔素が放たれ人型へとなっていく。
「おお…っ、リムルが二人出てきたぞ!フォルテの方は、フォルテの擬態していた人間態だな!」
そう、リムルは自身の分身体を作り出した。フォルテも進化した事で、人間態…ゴスペル首領の姿の分身体を作り出せるようになったのだ。
「俺達の分身体だ。」
「ヴェルドラとアゲンストはリムルの方を、ヴェルキオンは俺の分身体を使ってくれ。」
「ふむ。進化して強化分身になってるな。」
「お、わかる?じゃあお前達の依代にしてくれ。」
「ほほぅ……。」
ヴェルドラ達はリムルとフォルテの分身体をまじまじと見る。……そして、フッと笑みを浮かべた。
「「クアハハハハ!」」
突然に笑い出すヴェルドラとアゲンスト。
「良い依代だ。有り難く使わせてもらうぞ。」
ヴェルキオンがそう言った瞬間、ヴェルドラ達が一斉に分身体に乗り移る。
それだけで、凄まじい衝撃がリムルとフォルテを襲い、二人は腕で顔を防ぎながら衝撃に耐える!
その時、
《重要な報告が発生した。》
(重要な報告?)
《フォルテと個体名ヴェルドラと個体名アゲンストそして、個体名ヴェルキオンとの〝魂の回廊〟の確立を確認。更に、ヴェルドラ、アゲンスト、ヴェルキオンの残滓を解析鑑定した結果、
「なっ…なんだと?」
ヴェルドラ達を
一体どう言う意味だと思っていると、リムルも同じように
「「クアハハハハハ!我ら完全復活‼︎」」
リムルとフォルテか振り返ると、人型の姿となったヴェルドラ達の姿があった。
ヴェルドラとアゲンストは、リムルの人型をマッシブ&マニッシュにした感じの野生味ある姿となっていた。肌は褐色で、ヴェルドラは金髪てアゲンストが銀髪となっている。
ヴェルキオンは、ゴスペル首領の長髪が至極色となり、着ている黒のロングコートが紫檀色変わり、胸のゴスペルのマークが
能面だった顔は、フォルテを青年に成長させたらこうなるだろうなと思う様なクールでイケメンな顔となった。……その落ち着きある姿から、まるで科学者の様にも見える。
そして、ヴェルドラとアゲンストがそのまま勢いよく声を上げる。
「「究極の力を手に入れたぞ!逆らう者は皆殺しだ‼︎」」
何やら物騒なセリフを吐いているが……いやそのセリフは…ドラゴンボールのあれだな。
フォルテがそう思っていると、リムルがヴェルドラに問う。
「おいおっさん?なんでそのセリフを知ってるんだ?」
「うむ、実はな。退屈だったんでな、お前の記憶にあった漫画とやらを読み込んでおったのだ!」
「我も、フォルテの記憶から存分に読ませてもらったのだ!」
やっぱりリムルの記憶から漫画を読んで知ったんだな。
「あ〜そう。フォルテから聞いていた通り、胃袋生活を満喫していた様だな。」
「……まさかチップになった状態で俺の記憶を解析していたとはな。ヴェルキオンもそうなのか?」
フォルテがヴェルキオンにそう聞くと、ヴェルキオンは頷いてから答える。
「無論だ。我もフォルテの記憶からその漫画やアニメ更に特撮などを見せて貰った。どれも面白かったが、我はその話に出てくる様々なアイテムに興味を持ったのだ。」
「ああ。確かに、その気持ちは分かる。」
俺も子供の頃は欲しくて良く玩具を買って貰ったな。………特に変身アニメやカードゲームの腕につけるディスクとか。……変身アイテムの一つはスキル化してしまったが。
「そうであろう!故に、我は
「……えっ?」
「我は己がこの手で、これまで見たアイテムなどをこの世界で再現してみせるのだ‼︎」
まさかヴェルキオンがそんな事を考えていたとは……だがそれはまさに男の夢の一つだ。
俺のスキルで再現することもできるが、量産なども考えると皆の手でそういった物を作れるようになる方がこの先の
「ヴェルキオン…期待しているぞ。」
「うむ!」
「あっ俺も期待しているから!」
「「無論我らもだ!」」
ヴェルキオンの男の夢……ロマンを再現することにはヴェルドラとアゲンストは勿論、リムルも期待するのだった。……ベスターに会わせて、この世界の技術を学べればより可能性があるからな。
「じゃあ、ヴェルドラ達は
「えっ?フォルテ…お前はどうするんだ?」
「………俺の中の電脳獣達に用がある。」
フォルテの言葉にリムルは目を見開く
「フォルテ……まさか。」
「ああ。……電脳獣グレイガとファルザーが自我を得た。」
元々、一つだったグレイザーから元のグレイガとファルザーに分離させていたが、ファルムスの惨劇で怒りに支配されたフォルテと共鳴し再び一つとなったが、シズさんやセレナードのおかげで自分を取り戻し、アイリスの願いにより強化されたトリルのシンクロナイザーの力で再び分離したグレイガとファルザー。
その際に、グレイガとファルザーの力の残滓が融合し、グレイザーの魔核が新たに生まれた。そして、グレイガとファルザーは自我に目覚めていたのだ。
「グレイガとファルザーも俺の魔王への進化で
「まじか……。」
「リムルはヴェルドラ達の特訓に付き合ってくれ。……俺は電脳獣と向き合ってくる。」
「フォルテ……気を付けろよ。」
「ああ。」
そうして、フォルテは別の無人エリアに転移した。
転移したフォルテは気合いを入れる。ヴェルドラ達と違ってずっとフォルテの中に封印されていたグレイガとファルザーの解放だ。
どんな自我を得ているかも不明……下手したら昔のヴェルドラのように暴れ回る可能性すらあった。
「だが…いつまでも封印し続ける訳にはいかないからな!
《分かった。電脳獣グレイガとファルザーを解放する。》
フォルテの身体が朱色と碧色の炎に包まれる⁉︎
そして、二つの炎がフォルテの体から飛び出し更に巨大な炎となって燃え盛りながら形を成していく。
グオアアアアア!
クルルキュアアアア!
そして2体の咆哮が無人エリア全体に響き渡る。
碧色の炎から、獅子の立髪を持った狼が、朱色の炎からは炎を纏いし不死鳥のような鳳凰が、その姿を現した。
フォルテの目の前に、電脳獣グレイガと電脳獣ファルザーが解放されたのだ。
今のグレイガとファルザーの姿は、ゲームでの復活したばかりのような状態……つまりヴェルドラ達と同じ思念体…魂だけの存在だ。
それでも、2体から感じるその力は計り知れない!やはり、ヴェルドラ達に匹敵する。
そんなグレイガとファルザーを前に、フォルテは油断なくいつでも対処できるようにしている。
そんなフォルテに対して、グレイガとファルザーはフォルテを見据える。
………そして、グレイガとファルザーがフォルテに話しかけてきた。
「…フォルテよ。こうして会うのは初めてだな。」
「私達を解放したこと…感謝する。」
グレイガとファルザーは意外にも、落ち着きのあるようだった。
自我を得たとはいえ、出たら魂のままでも暴れ出すかとフォルテは思っていた。
フォルテが少し戸惑っている中、グレイガとファルザーは話を続ける。
「我らはグレイザーとしてお前の中にいる間、お前の感じていきた感情や思いを受け続けた。」
「それにより、僅かながら自我が生まれつつあった。そして、フォルテの私達の分離によって、本来の私達としての自我を得ることが出来た。」
「そして、我らがどのような存在なのかを、フォルテの記憶を読み取り理解出来たのだ。」
「私達は本来なら本能のままに互いに戦い続ける存在…世界を滅ぼす電脳獣。」
「別世界でも我らは戦わせれ利用された。」
…グレイガとファルザーはどうやら、フォルテの心の影響で自我を得ていたようだ。そして、己がどういう存在かも知った。
「……そうか。(おそらくゲーム、漫画、アニメの自分達の存在から情報を得て知ったようだな。)」
フォルテはそのままグレイガとファルザーの話を聞き続ける。……2体からは敵意を感じないからだ。
「本来の我らがやっていたことはただの破壊……全てを破壊するだけだ。」
「私達が暴れるだけで…他の者達に悲劇と悲しみを与えれるだけだった。」
「そんな我らを宿したフォルテ…お前の力の使い方は見事だった。」
「仲間を守る為…相手と分かり合う為にフォルテは力を使った。」
「我らはフォルテ、お前という存在に興味を持った。」
「私の力の一部さえ扱ってみせたお前に。」
グレイガとファルザーは自我を得たことで学んでいた。ただ暴れて破壊することに意味が無いことを、力をどの様にして使うべきかをフォルテを見て学んでいたのだ。
「そんな時に、…あの悲劇が起きた。」
「あの時感じたフォルテの嘆きと悲しみ…そして、怒りと憎しみは凄まじかった。」
「その気持ちを理解した時、我らの中にあった本能が呼び起こされた。」
「それによって、私達は再び一つに…グレイザーとなった。」
「我らの自我もそのまま本能に呑まれそうになったが、フォルテの仲間達によって我らも救われた。」
「……あの時、シズさんとセレナードが俺を止めてくれた時、トリルのシンクロナイザーの力でお前達が再び分離した時だな。」
「そうだ。」
「そのシンクロナイザーの力による分離によって、私達の中にあった本能も分離され、二つの本能が一つとなって新たなグレイザーとして確立したのだ。」
「なるほど…。(つまり、グレイガとファルザーにあった本能……本来の部分が分離してグレイザーとなったのか。今、俺の中にあるグレイザーの魔核は
グレイザーの新たな魔核は
今の俺の力なら、完全に吸収することが可能らしい。
……まぁそれはまだまだ先の事だがな。
「その後は、希望を得て覚悟を決めたフォルテの強い心を感じた。」
「そして、フォルテに期待するデューオから私達にも力が与えられたのだ。」
……やっぱりか。デューオから受け取った力が電脳獣にも注がれている様な感じはしていた。
「そうして、フォルテ…お前達は魔王となり奇跡を起こした。」
「私達は感服した。」
そう言ってフォルテに対して平伏するように頭を下げる。
「解放された今、我らはここに宣言する!」
「私達は、フォルテの力となりこの街と世界を守る守護獣となると。」
「……本気か?」
「無論だ。」
「私達の力…この世界で正しく導いてくれるのはフォルテだと確信した。」
グレイガとファルザーの眼差しを見るフォルテ。
「(あの目……嘘ではないな。)分かった。お前達を信じよう。」
「フォルテ。」
「感謝する。」
まさか、あの電脳獣がここまで理性的になるなど誰が想像出来ただろう。
フォルテがグレイガとファルザーを受け入れ、2体は頭を上げる。
「なら、お前達への信頼の証としてこれを与える。」
フォルテはそう言って両手を前に翳すと、掌から魔素が放たれ2体の人型が形成される。
「…これは。」
「ロックマン?」
そう。グレイガとファルザーの前に出現したのは、2体のロックマンEXE。
「お前達の依代だ。遠慮なく使ってくれ。」
……やはり電脳獣である2体の依代にはこれが一番だと思ったのだ。
グレイガとファルザーは、フォルテが作った器のロックマンEXEをじっと見つめた。
「……これは、素晴らしき依代だ。」
「フォルテ=テンペスト……感謝する。」
そう言って、グレイガとファルザーは依代のロックマンEXEの中に自ら入って行った。
グレイガとファルザーが完全に乗り移ると、ロックマンEXEの身体に変化が起こる。
グレイガの方は、手脚が獣の様な鋭い爪となり、頭部にグレイガの頭を被り、グレイガに酷似した強靭な手脚と鋭い尾を生やした姿。
ファルザーの方は、同じ様に頭部にファルザーの頭を被り、手が鋭い爪となり脚が鳥類の様な鋭い鉤爪となった。背には、赤い鋭利なファルザーの翼を生やした姿。
ロックマンEXEが電脳獣を取り込んだ姿である獣化ロックマンである
グレイガ、ファルザーの頭を被った状態から、ロックマンEXEの両目の露出部分が完全に消失し、頭部がグレイガとファルザーそのものと化した姿に。
グレイガとファルザーの擬人化と呼べるその姿は、ゲームでのグレイガとファルザーが完全にロックマンの身体を乗っ取った暴走形態……
フォルテの予想通り、グレイガとファルザーは擬人化形態と呼べる
依代に意識がない以上、グレイガとファルザーを縛る者はない故にこの姿になるだろうと予測していたのだ。
《確認しました。個体名グレイガと個体名ファルザーが依代に定着したことで、新たな種族、〝電脳獣〟が誕生しました。それに伴い、個体名ゴスペルが電脳黒獣から電脳獣に進化しました。》
突如、世界の言葉が俺達に聞こえた。
グレイガとファルザーは、フォルテの中にいる時から存在が確立していた。
それにより、既に名持ちの存在となっていた。
ずっとフォルテの中にいた故に、まだ誕生した訳ではなかった。それが今、依代を得て顕現したことで、新たな種として誕生した。
この世界での電脳獣は、やはり竜種と同等の力を持った種として誕生した。
竜と同じ聖属性と魔属性を合わせ持つ精神生命体の最上位種であり
更に、竜と違い心核を破壊され消滅しても、記憶と自我が変わることなく復活することができる。
そんな存在に、ゴスペルもグレイガとファルザーに共鳴して進化したようだ。
EXEのゴスペルもグレイガと同じように生まれた存在故なのかもしれない…。
そうして、この世界に依代を得て顕現したグレイガとファルザーは、擬人となった自身の体を確認していた。
「…不思議と、この身体は良く馴染む。」
「まるで、最初から自分の身体だったかのようだ。」
「やはりな。お前達とロックマンの適合率は非常に高かったからな。」
なにしろ、ゲーム、アニメではロックマンEXEは何度も獣化しその力を奮っていた。グレイガとファルザーにとってこれ以上ない最高の依代なのだ。
そして、グレイガとファルザーの顕現時にフォルテとの魂の回廊が確立し、残滓を解析したことで、
《グレイガ、ファルザーの残滓解析と、魂の回廊が確立した事により、
「やはりか…。」
ヴェルドラ達の時にも、彼らの名のスキルを獲得したからもしかしてとは思っていた。
フォルテがスキル獲得に納得していると、確認し終えたグレイガとファルザーが、フォルテの前に来て跪いた。
「フォルテよ。この素晴らしき依代を与えてくれて感謝する。」
「改めて、私達はフォルテ達の為にこの力を奮おう。」
「…ああ。これから宜しく頼むぞグレイガ、ファルザー。」
こうして、ヴェルドラ達を無事に解放し、フォルテの中にいたグレイガとファルザーが仲間になった。
アゲンスト、ヴェルキオン…そしてグレイガとファルザーも解放!
ヴェルドラ達が更なる力を得て電脳獣達は、フォルテの感情……心に触れて理性的な自我を得た。
グレイガとファルザーの擬人化かは、やはり
次回……フォルテは自身のスキルを整理し、新たな力を得る。