転生したらフォルテだった件   作:雷影

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お待たせしました!
仕事がまた忙しくなり、休みの日にさえ呼ばれる事が多くなり、書く時間が中々できませんでした。
これからも、遅くはなりますが投稿できるように頑張っていきます。


71話 ラミリスの報せ

サリオンとの国交樹立が決まり、会議は終わった。

そして、フォルテはヴェルドラ達に預けていたラミリスの方へと振り向く。

 

フォルテの目に映ったのは、ヴェルドラ達と一緒に仲良く漫画を読むラミリスの姿だった。

 

すると、ラミリスの隣に飲み物とお菓子を置く者達がいた。

リムルが壊した魔人形(ゴーレム)の代わりに用意したベレッタとスペルだ。

 

二人はリムルとフォルテに気付くと、会釈をする。

フォルテはリムルに視線を送ると、リムルは頷く。

そして、リムルとフォルテが近寄ると、ベレッタとスペルは喋り出す。

 

「リムル様、フォルテ様。この度は魔王への進化、おめでとう御座います。」

 

「ああ。元気そうで何よりだ。」

 

「はは。有難きお言葉です。」

 

「これからも、ラミリスの事を頼んだぞ。」

 

「お任せ下さい。ご期待に応えてご覧に入れましょう。」

 

「それで、ラミリスがわざわざここまで来た理由を教えてくれないか。」

 

「「あっ…………。」」

 

フォルテの言葉に、すぐにベレッタとスペルはラミリスに声をかける。

 

「ラミリス様。この様な事をしている場合ではございません。早くリムル様とフォルテ様にあの事をお知らせしないと。」

 

「うるさいわね。私は今、とっても忙しいの。」

 

「ここに来た目的を思い出してください!」

 

ベレッタとスペルが必死にラミリスに言うが、ラミリスはすっかり漫画の虜となっており、そのまま読み続ける。

 

俺とリムルがヴェルドラ達の方を見ると、ヴェルドラがやれやれといったリアクションを取り、アゲンストは済まんと片手でこちらに謝る仕草をし、ヴェルキオンは頭を抱えてため息を吐いた。

 

……まぁ相手をしてもらうように頼んだのは俺だからな。ヴェルドラ達なりに頑張ってくれたようだし…。

 

フォルテがそう思っていると、ラミリスが叫んだ。

 

「だから!私はね、運命の出会いをした訳よ!この漫画という素晴らしい書物の中で、この色男達の中から、ヒロインが一体誰を選ぶのか、それを見届けるまでアタシは………………!」

 

「おいラミリス。そのヒロインが誰とくっ付くかばらされたくなかったらさっさと来た目的を言え。」

 

「はい!」

 

リムルは、俺がヴェルドラにネタバレをしたように、ラミリスに向かってそう言った。

 

ラミリスはすぐさま起立し、そのまま俺達の前まで浮かび上がった。

 

「えへん!…………ではもう一度言うわ!この国、魔国連邦(テンペスト)は滅亡する‼︎」

 

「それはもういいよ。」

 

「まあでも、私も魔国連邦(テンペスト)の滅亡なんて望んでないわけ。それでわざわざ知らせに来てあげたのよ!感謝しなさいよね!」

 

「そうか。…ありがとうラミリス。それで、何故俺達の国が滅亡するんだ?」

 

「慌てないで!落ち着いて!良い?話には順番があるのよ。」

 

「いや。…別に慌てないはいないぞ。」

 

「クレイマンの提案でね。」

 

「クレイマンだと?」

 

魔王達の宴(ワルプルギス)が発動されたのよ!」

 

「ワルプルギス?」

 

聞いた事ない単語にフォルテが首を傾げると、ラミリスとエラルド公が説明を始めた。

 

「魔王達の宴の事よ。全ての魔王が集う特別な会合!それが、魔王達の宴(ワルプルギス)。」

 

「古い文献には、こう記されておりました。〝魔王が集い、大戦が起きた〟と。」

 

「大戦?」

 

「魔王が集いしその日を、西方聖教会が〝魔王達の宴(ワルプルギス)〟と命名したそうです。」

 

「なるほど。…つまり、魔王達は戦争を始める為に集結するのか?」

 

「違うわよ。私だって暇じゃないし、戦争なんて面倒な真似したくないじゃん?」

 

確かに、ラミリスは戦争とかに興味はないからな。

リムルは、ラミリスは暇そうだなと顔に出ているな。

 

「あのね。魔王達の宴(ワルプルギス)ってちょいちょい開催されてるのよ。」

 

「ん?」

 

「そうなのか?」

 

「魔王が集まってお茶を飲みながら、近況報告や面白い話題を話し合う場ってわけ。だから、戦争とかそんな大袈裟な物じゃ無いんだよ。」

 

「つまり、魔王達のお茶会と言う訳か。」

 

「お茶会で、どうして魔国連邦(テンペスト)が滅亡するんだ?」

 

「だから違うって。問題は魔王達の宴(ワルプルギス)その物じゃなくて、今回の議題なのよ。」

 

「議題?」

 

「良い?魔王達の宴(ワルプルギス)って、魔王三人の賛同があれば開催出来るの。今回、クレイマンに賛同したのは、フレイ。それからミリム。」

 

「…ミリム。」

 

「フレイ………。」

 

ミリムなら普通に考えて、本来ならクレイマンに賛同しないだろう。…やはり操られているか、操られた振りをしてクレイマンの欺いているかなだろうな。

 

三獣士達は、フォルテからある程度予測を聞いてはいたが、まだ確証が無い故に、フレイの名を聞いて顔を顰めるのだった。

 

「議題は……………『ジュラの大森林に新たな勢力が誕生!その盟主二人が魔王を騙った』…………よ。アンタ達、本当に魔王を名乗っちゃた訳?」

 

「後悔も反省もしてないぞ。」

 

「因みに、ラミリスには教えておくが、俺達二人は覚醒した。」

 

「ふ〜ん………え?覚醒したの⁉︎」

 

驚くラミリス!

 

「でもまぁ、アンタ達なら不思議じゃないわよね。色々と面倒事が起きると思うけど、それだけの実力があるなら大丈夫じゃない?」

 

「「「うん。」」」

 

ラミリスの言葉を聞き、紅丸達が頷く。

そして、リムルがラミリスに問う。

 

「クレイマンの目的は、やっぱり俺達に対する制裁か?」

 

「〝制裁するならご自由に〟ってのが、我々の業界での暗黙のルールなの。」

 

「業界って…。」

 

「今回、わざわざ魔王達の宴(ワルプルギス)を提案した理由っていうのがね……………魔王カリオンの裏切りなんだってさ。」

 

ラミリスの言葉に、三獣士達が反応する。

 

「「「はっ⁉︎」」」

 

「どう言う事だ?」

 

「誰よ?アンタ達。」

 

「カリオン配下の三獣士の皆さんだ。」

 

リムルがラミリスに三獣士を説明する中、三獣士達はラミリス睨む。

 

「ふ〜ん…………。だけど、私に怒ってもしょうがないじゃない。」

 

「…………カリオン様が何を裏切ったと言うのですか?」

 

「ジュラの大森林の不可侵条約を破り、ミュウランとか言う魔人が、クレイマンの配下だって事をアンタ達にバラしたんでしょう?」

 

「…なるほど。それで、俺達がミュウランを殺したと言うのか。」

 

フォルテはそう言って、チラリとミュウランを見ると、皆の視線がミュウランへと向いた。

 

そして、リムルが口を開く。

 

「ふむ。クレイマンは、ジュラの森を制圧するつもりか?」

 

「アンタね…………!そんなに落ち着いているけど、これって一大事なのよ!カリオンはミリムに倒されちゃったらしいし、アンタの所に届いた知らせの時点で、クレイマンは既に軍事行動を起こしてるのよ!アンタ達全員を始末する気満々なのよ!もう制裁どころじゃなくて、これは先手を取られた戦争なのよ‼︎」

 

そうか…そう言うことか。

 

ラミリスの報せを聞いたフォルテは笑みを浮かべた。

 

「ちょっ⁉︎フォルテ!何笑っているのよ⁉︎」

 

「いや…つい嬉しくてな。裏で暗躍していたクレイマンをどう引き摺り出してやろうかと考えていたが、まさか自分から出てきてくれるとはな。そっちから仕掛けてくるなら、こちらも全力を持って叩き潰す!覚悟しろよ……魔王クレイマン!」

 

フォルテはそう言いながら、腕を突き出し拳を強く握り締める。

その際、フォルテから禍々しい妖気(オーラ)が滲み出るように溢れ出した。

 

その姿を見た周囲の皆は、思わず息を呑んだ。

 

「……ねぇ。もしかして、クレイマンって怒らせちゃいけない奴を怒らせたんじゃない?」

 

「…ああ。……間違いなく。まぁ、俺もクレイマンを潰せる機会が来たと思っているけどな。」

 

フォルテの迫力にラミリスはリムルに問い、リムルがそう答えるのだった。

 

「まあそもそも、俺達はミュウランを殺してないんだから。」

 

「どういう意味?」

 

「クレイマンは出鱈目を言っているって事さ。」

 

「その証拠はある訳?」

 

「ああ。その殺されたとされる人物が其処にいるからな。」

 

そう言ってフォルテがミュウランを指差すと、皆がミュウランへと視線を向ける。

 

「ん?」

 

瞬きするラミリス。

そんなラミリスの前にミュウランが出る。

 

「あの…………魔王ラミリス様。殺された魔人というのは、私なのです。」

 

「え?」

 

「私がミュウランです。」

 

ミュウランの言葉を聞いたラミリスは、考えながら表情を色々と変える。

まぁ…無理もないか。

 

「は?ん〜…………ああっ!んん?ん〜?いい〜…………あっ!分かったわ!犯人はクレイマンで決まりね!」

 

「へへへっ………。」

 

「うんうん……。」

 

「クレイマン。私を騙そうとして…………だけど、この名探偵ラミリスは騙されたりしないわよ!精霊女王のこう見えても年を重ねて賢い私!ばっちゃんの名にかけて。………………ツッコミなさいよ!誰がばっちゃんよ!失礼ね!」

 

「いや自分で言ってるからな……。」

 

金田一少年の決め台詞を、真似ながら言うラミリスだった。

 

「なあラミリス。一つ聞きたい事がある。」

 

「ん?なにさ。この名探偵ラミリスになんでも言ってごらん。」

 

「ミュウランが殺されたと思い込んだクレイマンは動き出したが、他の魔王達がどう動くか分かるか?」

 

「え?知らないわよ。これこれこういう理由で魔王達の宴(ワルプルギス)やるから、参加してねって言われただけだし?」

 

「……………魔王達の宴(ワルプルギス)はいつだ?」

 

「正確な日時が知りたい。」

 

「えっとね…………1、2…………3日後の新月の夜だね。」

 

「3日後が…。」

 

比較的すぐじゃないか。

流石に、3日でクレイマンを叩き潰すのは難しいか…。

そうなると、勝負を仕掛けてくるのは、魔王達の宴(ワルプルギス)の後になるだろうな。

 

「ところで、ラミリスはどうして知らせに来てくれたんだ?ラミリスからすれば、魔国連邦(テンペスト)が滅んだところで、なんの影響もない筈だが?」

 

「アンタ達がやられたら……………私のベレッタとスペルがどうなるか不安じゃん?」

 

「心配していただきありがとうございます。」

 

「大変嬉しく思います。」

 

なるほど。ベレッタとスペルは、俺とリムルが召喚した悪魔を魔人形(ゴーレム)に憑依させた存在だからな。

 

「だから、私はアンタ達に味方する事に決めたから、来てあげたって訳よ。だから、この街に迷宮への入り口を作るけど、良いわよね?」

 

「良いわけないだろ。」

 

「ええ〜…………!良いじゃん!細かい事は気にしない、気にしない!」

 

「いや。決して細かい事ではないんだが。」

 

「じゃあ、続き読もっと。」

 

「おい!」

 

「やれやれだな…。」

 

ラミリスからの知らせにより、会議はまだまだ続きそうなので、俺達は一度休憩を取る事にした。

 

 

 

 

リムルとフォルテ達が休憩に入ったその後、地下室にある牢獄に囚われているファルムスの王…エドマリスは震えていた。

 

リムルとフォルテによって切断された両腕は、完全回復薬(フルポーション)によって新たに生え、今は手枷を装着されている。

 

エドマリスが震えているのは、ウルティマに連れて行かれたラーゼンの悲鳴を聞いたから。

 

ラーゼンの身に何が起きたのか…自分も同じ目にあってしまうのかと、恐怖で震えるエドマリス。

そんなエドマリスの牢獄に近づく足音。

 

エドマリスは牢の外へと顔を向けると、現れたのは紫苑だった。

 

「お待たせしました。」

 

そう紫苑はエドマリスに声をかけると、エドマリスは恐怖を振り払うように声を上げる。

 

「ヌッヌシは誰じゃ⁉︎余が誰かわかっておるのか⁉︎余は大国ファルムスが王エドマリス「知っています。」⁉︎」

 

エドマリスの声を遮り、紫苑は話し出す。

 

「此処は、ジュラ・テンペスト連邦国の地下牢の一つです。私は盟主リムル様の第一秘書シオン。捕虜の尋問を仰せつかりました。」

 

「っ⁉︎……じっ……尋問!」

 

尋問と聞いてエドマリスの顔は真っ青になる。

そんなエドマリスをよそに、紫苑は牢の中へと入り、エドマリスの前に立つ。

 

「貴方には、ファルムス王国の内情について全てを話してもらいます。殺さなければ何をしてもいいと、お許しはいただいておりますので。」

 

紫苑の言葉を聞いて再び震え出すエドマリス。

 

「リムル様とフォルテ様は、私に仕返しの機会をくださったのだと思います。…ですが、私個人としては正直な話、殺された事に対する怒りはあまり無いのです。負けたのは私の弱さ故ですし、その上こうして蘇らせて頂きました。」

 

「なっ……蘇え?」

 

エドマリスは紫苑の言っていることに理解出来ずに困惑する。無理もないだろう。死者が蘇ったなどと聞かされたら。

 

「ところでご存知ですか?リムル様とフォルテ様は人間がお好きです。私達配下の魔物が、むやみに人間を傷つける事を良しとはしないでしょう。」

 

「そっそうか!では穏便に話そうぞ!余もヌシらに協力するのはやぶさかではないぞ!」

 

エドマリスはなんとか助かるかもしれないと、僅かな希望に縋り付くように紫苑に話しかける。………無駄だと知らずに。

 

「……とはいえ、やはり許せないこともあるのです。」

 

………紫苑の気配が変わる。

 

「貴方の決断が、リムル様とフォルテ様に人間を殺させた。

 

その時、エドマリスは紫苑の顔を見て一気に青ざめた。

 

「リムル様とフォルテ様の綺麗な手を、お前は人間の血で汚させた‼︎」

 

紫苑の顔は、怒りに満ちたいた。人間と仲良くしようと手を差し伸べいつも笑顔だったリムルと、そんなリムルや自分達を支えてくれていたフォルテに対してエドマリスが行ったあの惨劇。

それにより、リムルとフォルテがどれだけ悲しみ心に傷を負った事か。

それを止められなかった自身の力の無さに紫苑も悔やんでいた。

その結果、リムルとフォルテが自らの手で五万の人間を殺させてしまった事にも。

 

その怒りが元凶であるエドマリスに今向けられている。

 

紫苑の怒りの表情を見たエドマリスは、涙を浮かべながら改めて後悔した。

自分の愚かな選択と、決して触れてはいけない者達の逆鱗に触れてしまったと。

 

「千に刻んでもなお足りない。この世に生を受けた事を、未来永劫後悔させて差し上げましょう‼︎」

 

そう言って、紫苑は剛力丸を手に持ち掲げる。

 

 

ぎゃあああああああああああああ‼︎

 

その直後、地下牢全体にエドマリスの断末魔の様な悲鳴が響き渡った。

 

その悲鳴を聞いたレイヒムは身を縮めながら恐怖で震えていた。

そんなレイヒムに対して、ミュウランが声を掛ける。

 

「貴方も教会について話すことがあるなら、早く話したほうが身のためよ?王を助けようとした……あの魔法使い(ラーゼン)のようになりたいのなら別だけれど。」

 

そう言うミュウランの目線の先には、ウルティマによって様々な拷問を受けた後、紫苑によって切り刻まれ人の姿では無くなった肉塊のラーゼンの姿があった。

 

「ヒイイイイ!」

 

そんならラーゼンの姿を目の当たりにしたレイヒムは悲鳴をあげるしかなかった。

 

「う〜ん。紫苑は張り切っているみたいだね♪」

 

そこに様子を見にウルティマが現れた。

 

「ッ⁉︎ウルティマ様!」

 

ウルティマの姿を見たミュウランはすぐに頭を下げる。

 

「あっ気にしないで。紫苑の様子を見に来ただけだから。頭上げていいよ。」

 

「はっはい。」

 

ウルティマに言われ頭を上げるミュウラン。

 

「ファルムスの王様も、本当はぼくが尋問したかったけど、一番の被害者の紫苑に譲ったのは正解だったね。」

 

そう言ってレイヒムの方へと振り向くウルティマ。

 

「だ・か・ら、僕はこのレイヒムの尋問をするね♪」

 

狂気の笑みを浮かべながらウルティマはレイヒムの牢の中へと入った。

 

「ラーゼンはスキルのお陰ですぐに回復したけど、君にはそんなスキルがないから、フォルテ様がくれた完全回復薬(フルポーション)を使ってあげるから、フォルテ様と僕に感謝してね♪」

 

「ひいいいいいい!」

 

こうして、レイヒムもウルティマによって尋問され最後に紫苑によって裁きを受けるのだった。

その様子を見てしまったヨウムが、堪えきれず地下牢から出て嘔吐してしまいその姿を見たグルーシスに心配されていた。

 

そんな紫苑とウルティマの尋問か行われている間、リムルとフォルテはガゼル王達と共に温泉に浸かっていた。

 

女湯ではシズさん達がエレン達と共にゆっくりと湯に浸かっている中、トレイニーさんとトライアさんがラミリスの体を洗っていた。

 

「アハ〜っ!アハハハ………!くすぐったい…………!コラ〜!アハッ………アハハハッ!自分で出来るって!」

 

「ラミリス様。遠慮なさらず。」

 

「ええ!是非とも、私達に洗わせてください。」

 

その微笑ましい光景をシズさん達は笑顔で見ていた。

 

そんな楽しそうな声を男湯から聞いていたリムルが、女湯と隔てた壁を見ていた。

 

「……リムル。」

 

「はい!」

 

フォルテの冷たい視線にリムルは咄嗟に返事をした。

 

フォルテがやれやれと思いながら男湯の面子の方に振り向く。

 

「ああ〜。気持ちが良いものですな。」

 

「ああ。沁みるなぁ。」

 

「気に入ってもらえた様だな。」

 

エラルドとガゼル王も、すっかり温泉の虜になったようだ。

フューズも変わらず気持ち良さそうにしている。

 

「というか、人造人間(ホムンクルス)の体でも感じるのか?」

 

「フッ。」

 

ガゼル王がエラルドにそう問うと、エラルドは笑みを浮かべる。

すると、エラルドは女湯のある壁の方へと向かい声を上げる。

 

「エレンちゃん!湯加減はどうかな?」

 

エレンは答えず変わりに桶が降ってきてエラルドの頭にぶつかる。

 

「「「あ………。」」」

 

「うう………。」

 

「もう照れちゃって。」

 

絶対に違うぞエラルド公。

 

「ああ。ところでリムル殿、フォルテ殿。」

 

「ん?」

 

「何でしょう?」

 

「我が国と魔国連邦(テンペスト)の間に街道を作って直線で結べば、行き来がしやすくなるかと思いますが、如何ですか?」

 

そう提案するエラルド。

要するに、俺達に街道の整備を頼んでいる訳だ。

エラルドの提案を聞いたガゼル王が口を開く。

 

「エラルドよ。それは虫が良すぎるという物だぞ。」

 

いや、ガゼル王よ。

 

ドワーフ王国までの街道を全て整備したのは俺達だった訳だから人の事言えないと思うぞ。

 

「リムル殿やフォルテ殿に言われるのならまだしも、貴様だけには言われたくないわ!」

 

全くもってその通りだな。

そして、リムルとフォルテは互いにアイコンタクトを送り互いに頷いた後、エラルドに返答する。

 

「そうだな。エラルド公の言い分は分かった。街道整備の件は、こちらで引き受けても構わない。ただし。」

 

「ただし?」

 

「街道上の警備及び、宿屋の運営も任せて貰いたい。当然だが、それにかかる費用を乗せた通行税もいただく事になる。」

 

「なるほど。それは当然の要求でしょう。ただし、その通行税に関しては、何年かに一度の交渉権は認めてほしい物です。」

 

「承知した。」

 

こうして、街道整備の件についてはこの場で話が整った。

 

「軽っ。」

 

「全く。虫のいい奴だ。」

 

「貴様には言われたくないと言っとるだろう!では、決まりですな。」

 

「ああ。」

 

そう言ってフォルテとエラルド公は、おちょこに入れた酒を飲むのだった。

 

「…あっそういえば、エラルド公はエレン達の冒険の話などは聞いているのですか?」

 

「ん?一応報告は聞いておりますよ。何の問題無くエレンちゃんを守っていると。」

 

「「「えっ?」」」

 

エラルド公の言葉に、リムルとフォルテそしてフューズが思わず声を出した。

 

………カバルとギド。ちゃんと報告してなかったのか。

 

まあ今までのエラルド公を見れば、素直に報告すればどうなるかは想像がつくな。

 

だが、俺達が思わず声を出した事を、エラルド公が見逃すはずがなかった。

 

「おや?何やら報告と違う様ですな。……リムル殿、フォルテ殿。詳しく説明をお願いします。」

 

「あっ…はい。」

 

エラルド公の鋭い眼差しにリムルは答えるしかなかった。

そして、リムルがイングラシアまでの旅での出来事を話した。

話を聞き終えたエラルド公が額に青筋が浮かび上がる!

 

「…あの二人。私に嘘の報告をするとは。しかし何よりも、エレンちゃんを危険な目に合わせるとは許せん!

 

最初に会った時よりも凄まじい闘気(オーラ)を纏い怒りに燃えるエラルド公

 

「まっまあ!旅に危険はつきものだから!」

 

「どうしても心配なら、俺がエレン達の旅に同行する仲間を一人用意する。」

 

フォルテの言葉を聞いたエラルド公は、鋭い眼差しでフォルテを見る。

 

「…それは優秀な者でしょうね?」

 

「当然。旅の仲間としても馴染む人材だ。」

 

フォルテの真剣な眼差しを見たエラルド公は、怒りを治めた。

 

「そうですね。フォルテ殿なら素晴らしい人材を選んでくれでしょう。よろしくお願いしますね。」

 

「勿論。」

 

この時のエラルド公の笑顔からは、凄まじい圧を感じたのは言うまでもない。

 

一方の女湯では。

 

ラミリスが桶に溜まったお湯の中で寛いでいた。

 

「ふぅ…………ん?」

 

すると目の前に、湯に浸かる人影が見えた。

そこに居たのは………ベレッタとスペルだった。

 

「ん?」

 

「ラミリス様?」

 

「アンタ達…………錆びないの?」

 

 




紫苑によって地獄を見るエドマリス王。
でも、ウルティマに尋問されたラーゼンとレイヒムに比べたらまだマシだったことでしょうね。

そして、フォルテのさりげなく言った一言によってカバルのせいでエレンが大変な目にあっていると知ってしまったエラルド公。
………カバルの運命はいかに。
そして、フォルテがエレン達の為に用意するナビは果たして誰かな?
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