転生したらフォルテだった件   作:雷影

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ドワルゴンに向かったリムルとフォルテ達。
この国で自分の運命の人を知ることに。


5話 ドワーフ王国

俺達はアメルド大河に沿って北上していた。村で服や家を作る為の技術者を探す為にドワーフの王国ドワルゴンに向かっていた。

同行者はリグルとほか2名に一度ドワルゴンに行ったことのあるゴブタが道案内。牙狼族から嵐牙狼族に進化したランガ達の移動速度は風のように速い。

だが。その中で一際早い黒い狼の姿がある。

そうゴスペルである。

牙狼から電脳黒獣に新生したが、体の動かし方は変わっていないからか走る速度がどんどん上がる。ゴスペルとランガは体の大きさをある程度は変えられるので、今は他の嵐牙狼と同じ大きさに合わせてある。

 

「ゴスペル。今の体には慣れてきたか?」

 

「はい!フォルテ様!自分でも信じられないぐらいに馴染んでおります。今も力が漲っており、まだまだ走れます!」

 

「そうか。だが新生したばかりだから無理はするな。」

 

「はい!」

 

その言って更に加速するゴスペル。人の話を聞いているのか⁉︎隣を見るとランガが必死にゴスペルの隣を走り、背のリムルが飛ばされないように必死にしがみついているように見えた。

 

日がかけてきたので川の近くで休む事にし、その中でリムルがリグルにリグルの兄は誰に名をもらったか聞いていた。リグルに寄れば、リグルの兄は通りすがりの魔王軍の幹部である魔族のゲルミュッドに名を貰ったらしい。

この世界にはやはり魔王がいるようだ。ヴェルドラから勇者がいたのは聞いていたので魔王もいるのではと思っていたがその通りだった。

 

リグル達は食料調達と薪になる枝を探しに行った。

その間に俺はリムルと一緒にゴスペルとランガの前に立っている。

 

「主よ、話とはなんでしょうか?」

 

「フォルテ様。」

 

「ゴスペル。お前が新生する時に、俺がいたある記憶を見たと言っていたな。」

 

「はい。その記憶のフォルテ様はさまざまに行動しておりました。」

 

「これから話すのはその記憶に関わると同時に俺とリムルについてだ。」

 

「リムル様とフォルテ様の?」

 

「ああ。ランガ……俺達な元は人間だったんだ。」

 

その言葉にゴスペルとランガは驚く。リムルと俺は自分達が元は異世界の人間であったことリムルが刺されて死んだ事、俺が車と言う乗り物に轢かれて死んだ事を話した。

 

「そうして俺はスライムにフォルテは今の姿に転生したんだ。」

 

「普通に驚くよなぁ。…ゴスペル。ランガ。それでどうする。」

 

「どうするとは?」

 

「元人間の俺達とこのままいることに不満はないか?」

 

リムルがそう聞く。

 

「何を言いますか!我が主は主です!」

 

「リムル様とフォルテ様の魔物にしては人間に近い考えだと思っていましたが、先程の話で理解はしました。ですが!元人間であろうがフォルテ様はフォルテ様です!フォルテ様に出会わなければ今の我はありません!」

 

「「我らの忠義はリムル様とフォルテ様と共にあります!」」

 

「そうか。ならこれからもよろしくなランガ!ゴスペル!」

 

「「はい!」」

 

「お前達の気持ちが知れてよかった。」

 

その後にゴスペルにフォルテの存在が俺の世界のある物語の存在だったと説明し、その物語が複数存在するためにゴスペルは複数の記憶を見たのだろうと言うと〝成る程!〟とゴスペルは納得した。

流石にゲームとか漫画、アニメと言っても伝わないからなぁ。

 

 

その夜、リムルはゴブタにドワルゴンについて聞いてみる。

 

「ゴブタ。俺達が向かっているドワルゴンってのはどんなところなんだ?」

 

「えーとすね、正式には武装国家ドワルゴンって名称す。天然の大洞窟を改造した美しい都っすよ。ドワーフだけでなくエルフとか人間もいっぱいいるっす。」

 

「エルフ‼︎」

 

ほう。やはりエルフもいるのか……ってリムルがエルフと聞いてからなんかそわそわしてるが目的忘れてないか。

 

「ドワーフ王のガゼル・ドワルゴは英雄王と呼ばれる人物で国民に物凄く慕われてるっす。」

 

ゴブタの説明を続けているが、今のリムルはなんかエルフのことしか考えてないようだ。

 

「リムル今回の目的は職人探しだぞ。」

 

「⁉︎わっわかってるって!そのドワルゴンには俺達みたいな魔物が入っても大丈夫なのか?」

 

その問いにリグルが答える。

 

「心配いりません。ドワルゴンは中立の自由貿易都市、国内での争いは王の名において禁じられております。」

 

「ほうなら大丈夫そうだな。」

 

「それを可能にするのは武装国家ドワルゴンの強大軍事力です。この千年ドワーフ軍は不敗を誇るのだとか。」

 

「千年⁉︎」

 

「それは凄いな。」

 

千年不敗の国家か。そんなドワーフの王に喧嘩を仕掛ける者はそういないか。

 

「…前行った時は門の前で絡まれたすっけど。」

 

「トラブルなんて起こりませんよ。」

 

「「……ん?」」

 

なんか今 盛大にフラグが立ったような気がしたが……まぁ大丈夫だろう…多分。

 

ゴブリンの村からカナート大山脈を越えて武装国家ドワルゴンについた。本来ならゴブリンの足で2か月かかる距離をゴスペルとランガ達の頑張りでなんと3日で走破した。

 

そしてドワルゴンにはリムルと案内役とゴブタが行く事に。

 

「本当にリムル様とゴブタだけで行かれるのですか。」

 

「あぁ。あんまり大勢で行って目立たない方がいいだろう。」

 

「しかし!」

 

「落ち着けリグル。トラブルが起こらないと言ったのはお前だろ。」

 

「……はい。」

 

「我が主…。」

 

「それじゃあ行ってくる。フォルテ皆のことを頼む。」

 

「あぁ気をつけて行ってこい。」

 

「お気をつけて。」

 

こうしてリムルとゴブタはドワルゴンに向かった。正直言えば俺も行きたかったが、確かに大勢で行くのもなんだしスライムとゴブリンなら入れても大丈夫だと思うだろう。

だが、この時俺はフラグのようなものが前に立っていたことを忘れていた。

 

 

リムルを見送ってからしばらくするとドワルゴンの方から森へと逃げてくる者達がいた。その者達は逃げながら〝スライムがでかい魔物になった‼︎〟など〝恐ろしい咆哮だった〟とか食われると言って去っていく。

 

…………フラグが回収されてしまったようだなぁ……。

 

「フォルテ様!リムル様は大丈夫でしょうか⁉︎」

 

「落ち着け。リムルが無駄に騒ぎを起こすはずがないが確かに確認した方が良い。ただリグル達が行ったなら一緒に行ったゴブタの仲間とすぐに分かる。それで余計に話がややこしくなるかも知れない。」

 

俺の言葉に確かにといった表情でリグル達は俺をみる。

 

「此処は俺が様子を見に行く。」

 

「⁉︎しかしフォルテ様にまでもしもの事があれば‼︎」

 

「リムル達の様子を見に行くだけだ。それに何があったか知らないと対処ができない。俺がリムル達と共に戻るまで皆を頼むぞリグル。」

 

「フォルテ様……はい!どうかお気をつけて‼︎」

 

「あぁ。ゴスペル。ランガと共にリグルに協力してくれ。」

 

「心得ました。」

 

 

このして俺はリムル達の様子を見にドワルゴンに向かった。

入り口前には商人や他の人々が並んでいるがなんか話し合っている者や倒れている者達がいた。やがて門番の前まで進み持ち物検査をされる中で門番に話を聞いてみた。

 

「何かあったんですか?」

 

「あぁあれか、実は少し前にならず者の冒険者がゴブリンとスライムにちょっかいかけたらしいんだが、そのスライムが突然大きな牙狼になって咆哮して追っ払おうとしたらしいんだがこの有様だ。今そのスライムとゴブリンは取り調べを受けてるって訳だ。」

 

「成る程。ちょっかいを出した冒険者は?」

 

「帰ってもらったよ。国の前でこんな騒ぎを起こしたんだ入れるわけがない。」

 

「確かに。」

 

俺は検査を終えてドワルゴンに入るとそこに広がるのは、様々な店が並びかなりの文明的な街並みだった。

 

「さすがはドワーフの国だ。」

 

俺がドワルゴンの街並みに見惚れていると、俺の前を樽を抱えたドワーフの警備員らしい人物が走っていった。

 

「…何かあったのか。」

 

俺は気になり後をつけて行くと、そこは鉱山で警備員の人が三人の重傷者に樽の薬と思われる液体をかけていた。

 

「あれは…リムルの回復薬じゃ。」

 

リムルの回復薬らしい薬を浴びた三人の傷は瞬く間に癒えた。

その回復力にかけた警備員の人も驚く。どうやら薬の効き目は知らなかったようだ。三人が立ち上がり喜びあっていたその時

反対側から以前洞窟で倒した個体より体が一回りほど大きい甲殻トカゲが現れた。

どうやらこの鉱山で暴れているようで討伐隊とおもしき部隊が必死に戦っていた。その戦いのなかで甲殻トカゲの尻尾に弾かれた岩や瓦礫が警備員の人達に

俺は危ない!とすぐ警備員の人達の前に出る。

 

連射光弾(エクスプロージョン)!」

 

俺は光弾を連射して岩や瓦礫を全て撃ち砕いた。

突然の俺の登場に警備員の人達が驚くが、俺は気にせずに甲殻トカゲに向かい走りながら腕に魔力(エネルギー)を集めるが洞窟の時よりは抑える。

前みたい使ったら周りに被害が出る。

ある程度集まったところで飛び上がり、甲殻トカゲに向かって叩き込む。

 

大地破砕(アースブレイカー)!」

 

俺の一撃を受けた甲殻トカゲの装甲を砕かれその場で倒れた。

それを見た討伐隊や周りの人達が喜びの声を上げる。

 

討伐隊の人達が俺に集まり礼を言ってくるなか、さっきの警備員の人も俺の方に近づいて来た。

 

「助けてくれてありがとう。お前さんのおかげで俺達は助かったよ。」 

 

「あの状況なら誰だって助けに動くだろう。だが無事でなりよりだ。」

 

俺が助けた相手は警備隊隊長のカイドウと言う人物だった。

カイドウさんの話だとスライムの事情聴取中に兄弟同然の仲間が重傷した知らせを聞き、その時に取り調べしていたスライムからさっきの回復薬を貰ったと。

 

「……そのスライム多分俺の知り合いだな。」

 

「え!本当か⁉︎」

 

俺はカイドウさんに案内されそのスライムがいる牢屋に向かった。

牢屋に着くと、牢のなかにやはりリムルがいた。何故かぐるぐる巻きにされ逆さに吊るされて寝ているゴブタ。

 

「フォルテ⁉︎」

 

「リムル大丈夫そうだな、森から逃げて行く人達からお前だと思われるスライム事件が聞こえてな。心配になって見に来たが、飛んだ災難だな。」

 

「まったくだよ。それでフォルテの後ろにいる三人は?」

 

「お前の回復薬で助かった人達だよ。お礼が言いたいそうだ。」

 

俺は少し下がると三人にはリムルに礼を言い始める。

 

「あんたが薬をくれたんだってな!ありがとうよ!」

 

「いえいえ。」

 

「今でも信じられんが、腕が千切れかけてて生き残れても仕事が無くなるとこだった。ありがとう。」

 

「どういたしまして。」

 

「うんうん……うんうん。」

 

「なんか言えよ⁉︎」

 

最後の人は無口だった。

 

礼を言った後三人は去っていき、カイドウさんは牢の扉を開ける。

 

「釈放すか。」

 

「もちろんだ。」

 

この騒動でカイドウさんはリムルを信用してくれた。

そしてすでに夜なので一晩泊めてもらえる事に。

 

「いやホントにあんな凄い薬は初めて見たぜ。礼と言っちゃなんだが、俺にできることならなんでも言ってくれ。」

 

「それは助かる。」

 

「なら頼みたい事が。」

 

俺とリムルはこの国に来た目的をカイドウさんに話した。

 

「成る程な。それなら腕の良い鍛治師を紹介しよう。」

 

「ありがとうございます。」

 

「礼など不要だ。任せておけ。」

 

翌日、カイドウさんの案内のもと、その鍛治師のいる鍛治屋に向かう。

 

「…凄いな。」

 

「ああ。改めて見なおすとやはり凄い。」

 

リムルは来てすぐ牢屋に直行だったから街をみるのは今日が初めて。

そのなかである武器やの剣が目に止まった。

 

「なんだあの剣薄ら光ってる⁉︎魔力か!」

 

「あぁ。あれあれ、あれを作った奴だよ。」

 

「え?」

 

「これから会う鍛治師。」

 

「それは会うのが楽しみだ。」

 

遠くで見ても分かるあの剣の良さが。

そしてその鍛治師の居る店に着いた。

 

「おい兄貴いるかい!」

 

「兄貴?」

 

「カイドウか、少し待ってくれ。」

 

店に入ると、丁度その鍛治師が剣を打っていた。見た目からして頑固一徹の職人って感じだ。

 

 

「「「あ!」」」

 

そこには昨日リムルの薬で助かった三人がいた。此処で働いていたのか、こんな偶然あるんだな。

 

「あ?スライム…お前達知り合いか?」

 

「カイジンさん、このスライムとそこの坊主ですよ。」

 

「昨日大怪我した俺達を助けて甲殻トカゲを倒したのは。」

 

「うんうん!」

 

「おお!そうなのか。ありがとう感謝する。」

 

カイジンはそう言って頭を下げる。

 

「気にするな。あの状況見捨てる奴の方がおかしい。それに三人が助かったのはリムルのおかげだしな。」

 

「まぁな。」

 

「そうか。それで何か用事か?」

 

俺達はカイジンに此処来た目的を説明した。

 

「成る程な……話は分かった、だがすまん!今ちょっと立て込んでてな。何処ぞの馬鹿大臣が無茶な注文してきてな。」

 

「無茶な注文?」

 

カイジンの話だと、戦争があるかもしれないからと長剣(ロングソード)を今週中に20本打たないといけないが材料である魔鉱石が足りないとのこと。

カイジンは無理だと言ったが、ベクターと言う大臣がカイジンを挑発するようなに言い、それにカイジンが乗ってしまったと。

それで昨日の三人が鉱山で材料を掘りに行ったが甲殻トカゲが現れたと。しかもあの鉱山は殆ど掘り尽くしていて残ってないようで、たとえ材料があったとしても後5日で王に届けなければならないと。

 

「国で受けよい各職人に割り当てが行われた仕事だ。できなければ職人の資格の剥奪もありえる。」

 

確かに困ったことだ………ん?魔鉱石って……俺達持ってるぞ!

俺が魔鉱石の事を思い出した時、リムルが笑い始めた。

 

「フフフ。ファハハハハハハ!」

 

突然のリムルの笑い声に皆がリムルを見る。どうやらリムルも思い出したようだ。

 

「親父。これ使えるかい?」

 

リムルはそう言いながら魔鉱石を……いやリムルの体内で加工された魔鋼塊を出した。

 

魔鋼塊を見たカイジンを驚くが、ゴーグル越しで見ているせいか魔鉱石と勘違いしている。

 

「おいおい親父。あんたの眼は節穴かい?」

 

「え?………どあぁ⁉︎魔鉱石じゃない!既に加工された魔鋼塊だ‼︎」

 

ゴーグルを外して改めて見たカイジンはさらに驚愕していた。

 

「正解!」

 

「足りないならこれも使うか?」

 

俺はそう言いながら自分の胸にしまっていたチップ化していた魔鉱石を取り出しチップ化を解除。すると、チップから量子化してリムルが出した魔鋼塊の隣に同じく魔鋼塊として出現。しかも俺のほうはインゴットとなっていた。

 

「おぉ!こっちはインゴットになっている⁉︎さらに強力な剣を打つ事ができる。そんなこのインゴットと塊が全て…はっ!こっこれを譲ってくれるのか⁉︎金は言い値で払うぞ!」

 

「さてどうしたもんかね?」

 

そう言いながら口笛を吹くリムル。

 

「くぅ!何が望みだ⁉︎俺にできることならなんでもする!」

 

「その言葉が聞きたかった。」

 

そう言った後カイジンの前に移動するリムル。辺りが沈黙するなか、リムルがカイジンに望みを言う。

 

「誰か親父さんの知り合いで俺達の村まで技術指導しに来てくれる人を探して欲しい。」

 

それを聞いたカイジンは目を瞬きした。

 

「そんなことでいいのか?」

 

「俺達にとって最優先は衣食住の衣と住なんだよ。」

 

「ああ。最初に住む場所などをしっかりしないと何も始まらないからな。」

 

「まぁそれと、今後の衣類の調達や武具なんかも頼みたい。」

 

カイジンは優しい笑みを浮かべる。

 

「お安い御用さ。」

 

「でも今から剣を打って。」

 

「間に合うかどうか…。」

 

「うん。うん。」

 

そういえば20本のうちまだ1本しかまだ出来てなかったから後19本を5日で打たないといけないのか……果たして間に合うのか?

いっそ複製できればいいが…。

 

能力吸収(ゲットアビリティプログラム)により吸収して情報(データ)を得れば所持している魔鋼塊から複製できます。》

 

悩んでいたら解答者(オペレーター)が答えてくれた。マジでなんでもありなだと思っていると、リムルが親父さんに完成している剣を見せて欲しいと言っていた。

 

どうやらリムルは大賢者と捕食者で俺と同じ事を思いついたようだ。

完成している剣を見せてもらったが、素人の俺が見てもカイジンの腕の良さが剣から伝わる。そして魔鋼を芯に使っているこの剣は使用者のイメージに添って成長するらしい。実に凄い剣だ。

 

その剣をリムルが突然取り込んで皆が驚く。

 

「リムルの旦那⁉︎」

 

「待て。此処はリムルに任せてくれ。」

 

俺がそう言って皆を落ち着かせいる間にリムルの解析が完了し、次々と長剣(ロングソード)が出てきてその光景に皆は目を見開く。

 

「魔鋼塊の長剣(ロングソード)20本完成だ。」

 

「「「「ええぇぇぇぇ⁉︎」」」」

 

こうして納品を終えカイジンの職人資格剥奪の危機は去った。

その夜、カイジンがお祝いにと夜の店に誘われた。

 

「別にそんなことしなくても。」

 

「まぁまぁ、エルフの綺麗なお姉ちゃんもいっぱいいるから!」

 

「エルフ⁉︎」

 

「そそ、夜の蝶って店で若い子から熟女まで!」

 

「うんうん!」

 

「おいおい。リムルの旦那が来ないと始まらないぜ。」

 

「まっまぁそこまで言うならしょうがないな。」

 

そうは言っているがリムルが楽しみにしているのは見ていて分かる。

そして俺達はエルフの店 夜の蝶に来た。

 

 

「あら。カイジンさんいらっしゃい。」

 

「「「「いらっしゃいませ〜♡」」」」

 

そこには薄い服装のエルフの美女達がいた。本物のエルフの美女に俺が内心感動しているとエルフの1人がリムルに向かって駆け出した。

 

「うぁー!可愛い〜♡」

 

そう言いながらリムルを抱きしめるとリムルのスライムスマイルが緩んだ表情になっているように見える。

その後も店のエルフ達にもみくちゃにされながら幸せそうな顔をしていた。

まぁ前世でこんな体験なかったんだろうからしかないか。

そうゆう俺もこんなお店に来るのは前世も含めて初めてだ。リムルとカイジン達がエルフの美女とテーブル席に座り俺が座るスペースがなかったのでカウンターの端でお酒を飲んでいる。

するとテーブルに座るエルフ達が俺に声をかける。

 

「ねぇねぇ、君だよね鉱山に出た甲殻トカゲを倒したの?」

 

「噂になってたよ。鉱山の人を助けて一撃で倒したって。」

 

「あぁそうだが…。」

 

「やっぱり、凄い!」

 

その話に三兄弟の1人ガルムとドルドが話に入る。

 

「あぁ間違いないよ。リムルの旦那の薬で助かったその後に現れた甲殻トカゲをそこの旦那が倒してくれたんだ。」

 

「見た目から坊主だと思ったら、リムルの旦那から大人だと聞いて驚いたよ。いやぁすまない。」

 

「気にするな。この見た目なら間違われても仕方ない。」

 

「なんかクールでカッコいいね。」

 

そう言いながら俺に抱きつくエルフさん。

前世でもこんな美女に抱きつかれることなどなかった俺はどう反応すればいいか分からずそっぽを向いてしまう。

 

「あれ?ひょっとして照れてるの?顔が赤いよ。」

 

「クールな感じだけど可愛いところもあるんだ。」

 

そんなこんなで皆で楽しく飲んでいると1人のエルフさんが水晶玉を取り出して俺とリムルの運命の人を占ってくれる事になった。

運命の人……戦う相手とかもしくは嫁さんってところか?しかしフォルテの俺に嫁とかできるかわからない…てかいるかもわからない。

リムルなら嫁さんいるかもなスライムの

 

「おいフォルテ。今何想像した?」

 

「いや別に……。」

 

「あ!なんか見えてきた。」

 

水晶に映ったのは5人の子供達と1人の女性だった。その女性は日本人ようだ。

すると女性の背後に何やら光の人物が薄ら見える。まるでその女性を守るように。

 

「綺麗な人だったなぁ。赤くなってるぞ。」

 

「え⁉︎って色変わんないって。」

 

「スライムさん達運命の人が気になるんだ。」

 

「ずるーい。浮気者〜。」

 

「いや。気になることは気になるんだが……。」

 

あの運命の人が日本人ならいつか会ってみたいが、その女性の背後にいた光の存在。羽衣を背に持つ姿に俺は何処知っている気がする。

俺の記憶もそうだが、この体がそう言っている気がした。

 

「いいんですか?こんなところでのんびりしててカイジン殿。」

 

突然に聞こえる男性の声に皆が声の方を見ると、俺が座っていたカウンター席の奥側に随分と偉そうな人物がいた。

 

「大臣のベスターだ。」

 

あの男がカイジンに無茶な注文をしたベスターか。見た感じから大臣としての権力を振りかざしている感じだ。

 

「遊んでる場合なのですかな?確か長剣(ロングソード)の納品の期限は…」

 

「さっき納めて来た。」

 

「期限に間に合わなければ……え⁉︎納めて来た⁉︎」

 

「ああきっちり20本。」

 

「そっそんな…。」

 

どうやらこのベスターと言う大臣は間に合わないと分かって発注したようだな。

話している様子からカイジンに一方的に突っかかっているようだし。

 

「それよりそれですよそれ!」

 

その言ってベスターはリムルに指を指す。

 

「いけませんな。この上品の店に下等な魔物などを連れ込んでは、気分が悪くなる。」

 

その言って魔物(スライム)であるリムルを見ながら言い、なんとかベスターを宥めようエルフのママさんがお酒を渡すが、なんとその酒をリムルにぶっかけた。

 

「魔物にはこうするのがお似合いだ。」

 

その時俺はこのベスターとか言う奴を殴ってやろうかと思ったが、相手はこの国の大臣だ。下手に問題を起こせばカイジンやこの店のエルフさん達に迷惑がかかる。リムルもそれが分かっているようで心配させないように皆に話かけていた。

 

その中でカイジンがベスターの顔面を思いっきり殴った。

 

「ベスター!俺の客に舐めた態度とって覚悟はできてるだろうな‼︎」

 

「きっ貴様!私に対してそのような口を!」

 

「黙れ‼︎」

 

「おい!カイジン‼︎」

 

「カイジンさん。」

 

「程々にね。」

 

「顔はヤバいよ!ボディだよ‼︎」

 

リムルはそう言うがカイジンは容赦なくもう1発顔面に叩き込んだ。

ベスターは付き人共々倒れる。

俺は一応、カイジンの店に行く時に近くの店で買ったポーションを付き人とベスターに飲ませる。

 

「いいの?其奴大臣なんだろ。面倒なことにならない?」

 

「………リムルの旦那それにフォルテの旦那は腕のいい職人を探してたよな。俺じゃ駄目かい?」

 

「え!いいの⁉︎駄目どころかむしろ大歓迎だよ‼︎こちらこそ宜しく頼むカイジン!」

 

「あぁカイジンが来てくれるならありがたい。」

 

俺達の言葉に笑み浮かべるカイジン。だが世の中そうはうまくはいかない。

一国の大臣を殴ったのは流石に見逃されず、カイジン達とリムルは捕まり牢屋に戻ってしまった。

俺は、皆とは別にカウンターで1人でいたからカイジンの連れと思われなかったようだ。むしろベスター達にポーションを使ったのが良い方に見られて何故か感謝されて金貨を10枚貰った。恐らく口止め料だと思う。

 

 

俺はリムル達のいる牢の前にいる。中には吊るされたゴブタがまだ寝ている。どんだけ寝るんだこいつは⁉︎

 

 

「ふぅ…俺が短気を起こしたばかりに皆を巻き込んじまった。済まん!」

 

そう言って頭を下げるカイジンに皆で気にするなとカイジンに笑って言った。

 

「むしろカイジンがあのベスターとか言う大臣を殴ってくれた時スカッとした。本当ならリムルにあんなことしたんだから俺が殴ってやろうかと思った。」

 

「いやいや!お前が殴ったら間違いなくあの大臣は大怪我だぞ!」

 

「わかっているよ。それにしても俺だけ牢屋の外にいるのがなんか罪悪感を感じるな。」

 

「なぁに言ってるんだよ。俺はフォルテの旦那だけでも巻き込まなくてホッとしてるぜ。」

 

「そうだよフォルテの旦那。」

 

「フォルテの旦那気にしないでください。」

 

「うんうん。」

 

カイジンにガルム達はそう言ってくれた。その中リムルがカイジンに問う。

 

「俺達は裁判を受けるのか?」

 

「あぁ。だが死刑にはならんだろうおそらく罰金ぐらいで済むだろう。」

 

「だといいんだが…。それにしてもあのベスターとか言う大臣はカイジンを目の敵にしているようだ、二人には何かあるのか。」

 

俺がそう聞くとカイジンはゆっくりと話しだした。カイジンとベスターは元々はこの国の王ガゼル・ドワルゴに仕えていたらしい。王宮の工作部隊の団長がカイジンでその副官がベスターだった。庶民の出のカイジンが侯爵家の出である自分より上であり、カイジンに従うのが面白くなくカイジンとはよく衝突していたらしい。そんな時に功を焦ったベスターの計画の一つである魔装兵計画がポシャってしまったらしく、ベスターは他の軍の幹部を抱き込み偽の証言まで作り全ての責任をカイジンになすりつけたと。

 

「で俺は責任をとって軍を辞めたってわけだ。あいつは今でも俺を目の敵にして何かと無理難題を吹っかけてくる。」

 

「しょうもない奴だな。」

 

「そうだな。だが彼奴は別に悪人って訳じゃないんだ。俺とは馬が合わなかったが元々研究熱心で努力家だ。功を焦ったのも王の期待に応えようとした結果だしな。俺がこの国を出ていけば少しはマシになるだろうな。」

 

「そんなもんかねぇ?」

 

「リムルの旦那、フォルテの旦那世話になるぜ。」

 

「ああ。」

 

「宜しくな。」

 

「それなんですが、俺達もカイジンさんについて行きます。」

 

「そうす!カイジンさんと一緒に働けるなら何処にでも行きます。」

 

「うんうん!」

 

「お前達。」

 

「リムルの旦那、フォルテの旦那、俺達が追って行ったら迷惑かい?」

 

「皆纏めて面倒みてやるさ!こき使うから覚悟しとけよ!」

 

「むしろこれだけの職人が来てくれるんだ頑張ってくれ。」

 

「「「おう‼︎」」」

 

 

その3日後に裁判が行われた。ドワルゴンでの裁判は王の許しなく発言ができないらしく、弁護には代理人が当たるらしいがその代理人は買収されカイジン達が一方的にベスターに暴行したことにされ、ベスターは俺がポーションで治療したのに大袈裟を装っていた。そしてカイジン達は危うく鉱山での強制労働を20年やらされそうになったがこの国の王であるガゼル・ドワルゴがカイジンに自分の元に戻らないかと言ってきた。それに対してカイジンは俺達の元に行く約束を選んでくれた。これによりカイジン達は国外追放に変わった。

と国を出てからリムルから聞いた。

 

「なんかえらい大変な裁判だったな。」

 

「ああでも国外追放で済んで良かったよ。」

 

「ベスターはおそらく大臣の地位をなくしたな。」

 

「え?なんでだ?」

 

「代理人しか話せない裁判だろ。今回みたいに買収されたら無実を証明さえできない。そんなの裁判にならないだろ?王がわざわざ裁判に来てるんだ、おそらくこの国の王ガゼル・ドワルゴには嘘を見破るようなスキルがあるんだろと思う。」

 

「なるほど……だからあの時、カイジン達を自分の元に戻らないかと聞いたのか。」

 

「だと思う。まぁ身から出た錆だし、因果応報だ。」

 

 

「そうだな。このことはカイジン達には言わないでおこう。」

 

「ああ。これはあくまで俺の予想だしな。」

 

そしてリグル達と合流し、カイジン達がランガ達嵐牙狼とゴスペルに驚いている中で村に帰ろうとした時に背後から声が聞こえて振り返る。

 

「酷いっすよ〜‼︎」

 

嵐牙狼に乗ってこちら向かって来るゴブタの姿が見えた。

そういえばすっかり忘れてた。

 

 

俺達がドワルゴンを去った後、ドワルゴンの王ガゼル・ドワルゴが配下の隠密に指示を出していた。

 

「代理人は捕らえたな、厳罰にせよ。そしてあのスライムの動向を監視せよ。いいな、決して気取られるなよ。決してだ!」

 

「はは!」

 

そうして隠密が去った後、ガゼル・ドワルゴが前を見据える。

 

「あのような魔物が解き放たれていたとは。……あれは化け物だ。まるで暴風竜ヴェルドラのごとし。そしてスライムと行動するあの者……あれもとてつもなき存在。」

 

ガゼル・ドワルゴはリムルとフォルテの存在を強く警戒していた。




ドワルゴンでのベスターがこの後に真っ当な科学者に戻って活躍するとはあの頃は本当に思いもしませんでしたね。

フォルテの運命の相手…皆さんはわかりました?
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