転生したらフォルテだった件   作:雷影

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それぞれの戦闘が始まり、皆がそれぞれの思いで戦う中、クレイマンとリーガルの仕掛けが戦場でその姿を現す!

ハーメルンがサイバー攻撃を受けた影響で、筆記中のデータが無効になってしまい再筆記に時間がかかりました。
投稿により掛かるかもしれませんが、頑張って投稿していきます。


79話 因縁の地で(中編)

アルビスがヤムザと戦闘を始めた頃、竜を祀る民と戦闘を開始したスフィアとガビル達。

 

スケロウ達は他の者達と共に相打ちとなって倒れていた。

 

そんな中、ガビルはヘルメスと戦っている。

ヘルメスの蹴りを片手で受け止め、槍の連撃で攻める。

その様子を見守るカクシン、ヤシチ、スケロウ。

 

「ガッガビル様…。」

 

「ふっははははは!あの者も中々やるではないか。流石は竜の血を引く末裔である。」

 

ヘルメスと互角に戦うガビルを賞賛するミッドレイ。

そんなミッドレイと戦っているスフィアは、傷だらけで息も上がっていた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…俺を…………無視してんじゃねーよ‼︎」

 

スフィアはそう叫びながら、半人半獣化した状態でミッドレイに殴り掛かる。

だが、ミッドレイはスフィアの攻撃を躱して腕を掴んだ。

 

「ほっ!」

 

そして、そのまま一本背負いでスフィアを投げた。

 

「ぐわ!かは!」

 

投げられたスフィアは地面に叩きつけられた。

 

「無視した訳ではないぞ。魔物が相手では、投げ技は使う機会が少ないから楽しんでおるのだ。貴様の様に、投げがいのある相手は久々だしのう。」

 

「くっ…クッソ!俺を……俺をこんなに……!」

 

スフィアは立ち上がろとするが、今までのダメージによりすぐに立ち上がれずにいた。

 

「どうしたヘルメス?押されているぞ。」

 

「ちょ⁉︎話し掛けないでくださいよ!」

 

ガビルの猛攻を必死に防ぎながらそう叫ぶヘルメス。

 

「ふっははは!」

 

「(クッソ!完全に格下扱いかよ!)テメーみたいな奴がクレイマンの部下に居たとはね………。」

 

「ん?」

 

「てっきりヤムザとかいう野郎が1番なのかと思っていたが、やはり俺の感は正しかったみたいだ。」

 

スフィアがそう言うと、ミッドレイは顎に手を当てながら口を開いた。

 

「ヤムザ…………ヤムザ殿ね。あの御仁もそれなりではあったが、比べられては釈然とせぬな。こう見えてワシ、ミリム様の組手(あそび)相手になれるんじゃからのう。」

 

「ミリム⁉︎魔王ミリム様か!じゃあお前達は竜を祀る民だったのか!」

 

「ああ。そうだが。」

 

「どうりで、クレイマンの配下にしては毛色が違い過ぎると思ったぜ。」

 

スフィアがミッドレイ達が竜を祀る民と知った丁度その時、ガビルがヘルメスに勝利した。

 

「我輩の…勝ちである!」

 

「うわっ!」

 

「おっほ!あの龍人族(ドラゴニュート)、ヘルメスを倒したぞ。」

 

「やれば出来んじゃねぇか。流石俺達の大将だぜ。」

 

「ガビル様かっこいい…。」

 

「当然至極。」

 

スケロウ達がいつも通りガビルを讃称する。

 

「ふっはははは!中々やるのう。」

 

「ちょっミッドレイ様!笑ってないで助けて下さいよ⁉︎」

 

「馬鹿め。ヘルメス、お前の負けじゃい。そこで大人しく反省しておれ。その龍人族(ドラゴニュート)も、トドメを指す気は無いと見れるしな。」

 

ミッドレイの言う通り、ガビルはヘルメスの首を水渦槍(ボルテクススピア)で固定していた。

 

そんな中、向こうでの戦闘を任せていたランサーが飛んで来て、ガビルの隣に降り立った。

 

「見事。流石はガビルだな。」

 

「ランサー。向こうの敵は片付いたようであるな。」

 

「ああ。飛行能力のある魔人は全て落とした。後は部下達に任せて助太刀にまいったが……来て正解だったようだ。」

 

そう言って、ミッドレイを見据えるランサー。

 

(半人半獣身化しているスフィア殿を相手に無傷とは。…しかも無駄な動きを一切していないようであるな。)

 

ランサーがミッドレイの強さを冷静に分析していると、ミッドレイは顎に手を当てながらランサーを見据える。

 

「ほう。そこの龍人族(ドラゴニュート)と同じ顔とは、兄弟がおったか?」

 

「ああ。似た様なものではあるな。」

 

「ふむ。お主は、龍人族(ドラゴニュート)とは違う進化を果たしているようだが、竜の血を引く末裔には変わらないようだの。」

 

「ほう。分かるであるか。」

 

「はははははっ!当然よ。さて、今この場に残ったのは、ワシを含めて四名か。ワシの部下達と互角とは、お主の部下達も素晴らしい戦士だぞ。スキルの頼るのではなく、きちんと肉体と精神を鍛えておる証拠よな。」

 

「これは褒められて喜ぶべきであろうなぁ。我輩、ガビルと申す。」

 

「我輩は電脳龍戈族(サイバートリシューラ)のランサーと申す。…貴殿はミリム様の…。」

 

「うん。龍を祀る民の神官長ミッドレイとはワシの事よ。」

 

「いや、それは知らんでしょ。みんなご存知みたいに言われても。」

 

ミッドレイが自己紹介しているとその背後にヘルメスが立って突っ込んだ。

 

「はっ⁉︎(いつの間に……。)」

 

いつの間にか、ヘルメスはガビルから逃れていた。やはり侮れない者のようだ。

 

そんな中、最後に残ったスフィアはミッドレイに名乗る。

 

「スフィアだ!三獣士、白虎爪スフィア。クレイマンの部下に名乗る名など無いが、ミリム様の部下なら話は別だぜ。」

 

「うむ。ガビル殿にランサー殿それにスフィア殿か。覚えておこう。でどうするかね?何なら、三人同時に相手をしてやるが。」

 

「その前によ、…1つ聞いてもいいか。」

 

「おお、何か?」

 

「いやよ…ただの人間が、なんでそんなに強いんだ?というか、竜を祀る民って人間じゃねぇよな。何か…違和感があるんだ。」

 

スフィアの言葉にガビルとランサーも、ミッドレイ達から感じていた親しい気配の正体に気付いたようで口を開いた。

 

「竜を祀る民……戦う前から感じていたのであるが、貴殿達はもしや………。」

 

「気付いていたか。流石は同族よな。」

 

「ではやはり、貴殿達は……。」

 

「我らは、ガビル殿と同じ龍人族(ドラゴニュート)だ。」

 

「「えっ⁉︎」」

 

「ガビル様……。」

 

ミッドレイの言葉に、カクシンとヤシチは驚いた。………スケロウは眠ってしまい寝言を呟いていた。

 

「違うのは、蜥蜴人族(リザードマン)からの進化ではなく、(ドラゴン)が人化し、人と交わったその末裔という点だろうな。だがその本質は同じだぞ。」

 

「道理で親しい気配はするわけであるな。」

 

「我輩の妹の蒼華も、人間に近い進化をしておった。」

 

「人間にしては強すぎる訳だぜ。」

 

ランサー、ガビル、スフィアはミッドレイ達の正体を知って納得した。

そんな三人に対して、ヘルメスが続く様に口を開く。

 

「まあ、本来の姿に戻れる者なんて、殆どいないし、ほぼ人間と変わらないすけどね。竜体変化とか、竜戦士化とか、殆どの者は獲得しないし。」

 

「なんと……。」

 

「そうであったか…。」

 

「…………ほぼ人間か。確かに、アンタの強さは魔素の多さってより、鍛え上げられた技って感じだ。」

 

「ほう………よく見ておる。その通り。多くの魔物や魔人は兎に角、魔素の大小で、その“格”を測りたがる。確かに、目安にはなるだろう。だが、生来の強さに頼り切った強さなど、たかが知れている。真の強さとは、目に見えぬものなり‼︎技量(レベル)こそが、唯一無二の確かなる指標よ。人間であろうと、魔人であろうとな。」

 

ミッドレイは力強い眼力でスフィアを見ながらそう熱弁した。

ミッドレイの言葉を聞いたスフィアは笑みを浮かべる。

 

「………成る程な。勉強になったぜ。つまり、俺はもっと強くなれるって事だ。」

 

「そうとも。実に将来有望。さて、中々に気の合う相手と分かったものの、此処は戦場、ワシらとお主らは取り敢えず敵同士。どうするかね?」

 

「決まっているだろう。続きだ。」

 

そう言って再び構えるスフィア。ガビルとランサーもミッドレイを左右から挟むように構える。

 

こうして、スフィア達の戦闘は続行される。

 

 

 

一方、フォスとステラの真剣勝負は、互いに一歩も引かない互角の攻防を繰り広げていた。

 

「あ!ステラ用の新しい装備、預かってるですよ‼︎」

 

「そう!勝って受け取るわ‼︎」

 

戦いながら、楽しく話すフォスとステラ。

そんな二人の戦いを見ていたアルヴァロ達は、二人の実力に感心していた。

 

「はーあのステラって子、強いんだな。」

 

「相手の獣人族(ライカンスロープ)の娘もだ。」

 

「粗削りだが、だからこそ逆に見入ってしまうな。」

 

サイラスの言う通り、クレイマン側の兵士も、獣王戦士団の皆も、フォスとステラの戦いに見入っていた。

 

フォスの連撃を受け流すステラ

 

「こんなもの‼︎」

 

フォスは前屈みでステラをしたから切り上げようとする。その時、ステラの目の前で何かが弾けた。

 

「なるほど、闘気を目眩しに使ったのか。」

 

そう。フォスは白老達の厳しい修行で、遂に気闘法を身に付けたのだ。

 

迫るフォスの刃だが、ステラはその場でバク転して回避してそのままバク転の勢いを入れた蹴りを放つ。

その蹴りを、フォスは紙一重で躱した。

 

「おっ!あの嬢ちゃんもやるなぁ!」

 

「うむ。フォスの動きも見事だが…。」

 

「それに負けてねぇ。」

 

「フォスめ。ライバルを得て活き活きとしてやがる。」

 

二人の戦いに、獣王戦士団の皆は感心した。

 

(まだまだ行くで………!)

 

フォスが次の攻撃に入るその前に、目の前のステラが消え、背後からステラの気配を察した。

 

「後ろ⁉︎」

 

フォスはすぐさま背後のステラに攻撃するが、そこにステラの姿は無く、フォスの攻撃は空を切っただけだった。

 

「いないです⁉︎」

 

「甘いわね!」

 

フォスは周りを、無数のステラが消えたり現れたりしている。

 

「これは⁉︎前にフォルテ様が使っていた!」

 

そう。フォルテがステラとの手合わせで使用した、隠形法と瞬動法を組み合わせた残像戦法だ。

ステラもフォルテとの特訓でしっかりと学んでいたのだ。

 

「速い!」

 

「ステラの奴。模擬戦の時は全力じゃなかったのか⁉︎ここまで気闘法を使い熟すとは。」

 

竜を祀る民の別部隊の仲間達は、気闘法を使い熟すステラの姿に驚愕していた。

 

一方、ステラの残像に惑わされ、本当のステラの位置が分からないフォスは苦戦する。

 

「くっ!」

 

「もらったわ‼︎」

 

戸惑うフォスの隙を着いたらステラが、フェスの右腕を掴んで投げ飛ばそうと力を入れる。

 

「はぁ!」

 

「ここです!」

 

だが、投げ飛ばされる瞬間、フォスが自分から飛び跳ねた。

 

(っタイミングがずれ……!)

 

投げられる瞬間に、自分から飛び跳ねることで勢いを殺し、ステラの一本背負いを躱したフォス!

 

その絶妙なタイミングに、周囲の者達は一斉に歓声を上げた!

 

うおおおおおおおおおおおお!

 

戦場の筈が、この場所だけまるで、武道大会やプロレスの試合ような熱気に包まれていた。それだけ、フォスとステラの戦いは多くの者達を心を掴んでいた。

 

「やるじゃないフォス。」

 

「これで終わりです?ステラ。」

 

「まだまだ‼︎」

 

 

再びぶつかり合う二人。そんな二人の戦いに見守るアルヴァロ達と獣王戦士団。

 

「どちらも子供なのに大したものだ。」

 

「部隊が撤退する時間を稼げたら、降伏するつもりだったんだがな。」

 

「そうそう。抵抗しなきゃ命までは取られねーみたいだし。……でもさ。」

 

そう言って隣の獣人達に向かって構えるアルヴァロ、

サイラス、ジョイスの三人

 

「こんな戦いを見せられてはな。」

 

「ちっ。当てられたか?まぁ、血が滾る気持ちはわかるぜ。」

 

「付き合ってやろう。」

 

「おうよ!」

 

戦士団の者達も、アルヴァロ達の気持ちを理解し、彼らの勝負が始まった。

 

互いに持てる力と技をぶつけ合うフォスとステラ。

互いに息が上がってきていた。……そして、互いに笑みを浮かべた。

 

「「はああああああ!」」

 

 

二人が同時に声を張り上げる。すると、フォスの束ねていた後髪が、獅子の如き逆立つ長髪となり、手の爪が伸び鋭くなる。

ステラの方は、頭と背に竜の角と翼が生え手の爪がフォスと同じように鋭く伸びる。

 

フォスの獣身化とステラの竜戦士化(ドラゴンボディ)

 

「おい嘘だろ!ステラの奴、完全じゃないとはいえ竜戦士化(ドラゴンボディ)をっ⁉︎」

 

「ミッドレイ様のお気に入りだったが、ここまで成長してるとは…。神官団で竜戦士化(ドラゴンボディ)を使えるのって、ミッドレイ様とヘルメス様だけなんだよな?」

 

「報告どうする…?」

 

ステラの竜戦士化(ドラゴンボディ)を見た他の竜を祀る民達は驚愕した。

 

そして、互いに見つめ合うフォスとステラ。

 

「やっとその姿になったですね。」

 

「あんたもね。」

 

お互いに、今持てる力の全てを解放した。

 

「ここまで互角だとは思わなかったわ。」

 

「同感です。」

 

二人は再び構える。

 

「次で決めるです。」

 

「そうね。次で終わりにしましょ。」

 

そう言った瞬間、同時に駆け出し、渾身の一撃を放つ。

 

ガシ!

 

だが、その一撃は空から現れた者によって止められた。

自分達の腕を掴む脚に気付いた二人は、顔を上に向けた。…その先に居たのは。

 

「「ネム⁉︎」」

 

そう。二人の親友である有翼族(ハーピィ)のネムだった。

 

「二人共、喧嘩してる場合じゃないのぉ。」

 

「ふぁっ⁉︎ケッケンカ⁇」

 

「あーっっ‼︎竜戦士化(ドラゴンボディ)が解けるじゃない‼︎」

 

「私もです。」

 

そう。ネムが二人を掴んだ瞬間、二人の獣身化と竜戦士化(ドラゴンボディ)は解除されていたのだ。

 

「ネム!あんたの仕業ね‼︎邪魔しないでよ……痛っ!」

 

ステラが声を上げるが、ネムはステラを顔を足で掴む。

 

「はぁ。魔法でこっちに送ってもらって良かったの。」

 

そう言いながら、ステラの顔から足を離すネム。

そんなネムにフォスが口を開く。

 

「えっとネム。これは喧嘩じゃなくて……。」

 

「そうよ!これは勝負よ!真剣勝負‼︎」

 

フォスに続くように、ステラも再び声を上げる。

 

「だから邪魔を……!」

 

だが、再びネムに顔を掴まれる。

 

「〜っその爪痛いのよ‼︎」

 

「どっちでもいいの。カリオン様は無事だし、大事な会議が始まってるの。」

 

ネムの言葉にフォスが反応する!

 

「カリオン様はご無事なんです⁉︎」

 

「そうなの。カリオン様は今………っ!」

 

ネムがフォス達に説明しようとしたその時、凄まじい魔力の気配を感じた。

皆が魔力の発生元の方に振り向くと、そこには………巨大な異業の魔物が四体空に出現していた。

 

 

 

 

時は少し遡り、ヤムザとアルビスの一騎討ちによる戦闘は続いていた。

クレイマン軍の魔人達、獣王戦士団の者達、ゴブタと雷蔵達は、二人の戦いを見ていた。

 

ヤムザの氷結魔剣(アイスブレード)により、周囲に冷気が漂っていく。

激しい攻防を繰り広げるヤムザとアルビスは、互いに一度離れて距離を取ると、ヤムザが口を開いた。

 

「はははっ!流石は三獣士。この私と互角とは恐れ入ります。だが、これで私の勝利は確定した!」

 

「何ですって?」

 

「ふん。切り札がこの魔剣だけだと思ったか?貴女は確かに強い。この私と互角なのだ。それは認めよう。しかし、私が二人いればどうかな?」

 

そう言って笑みを浮かべるヤムザ。すると、ヤムザの右腕に付いた水色の腕輪が光り出した。

 

ヤムザがそのまま右腕を掲げると、ヤムザに隣にもう一人のヤムザが出現した。

…その様子を黙って見ているアルビス。

 

「「魔宝道具(アーティファクト)鏡身の腕輪(ドッペルゲンガー)だよ。」」

 

そう。ヤムザは魔宝道具(アーティファクト)で同一体の分身を作り出したのだ。

 

「そんなのアリっすか⁉︎」

 

驚くゴブタ。確かに、分身系のスキルが無くても自身の分身を生み出せる魔宝道具(アーティファクト)は強力だ。分身スキルを獲得できない種族でも、一体は自身と全く同じ分身を生み出せるのだから。

 

「「どうだ?私の軍門に下るのならば、命は助けてやっても………。」」

 

「それで?」

 

「「なに……………⁉︎」」

 

ヤムザは自分の勝利を確信し、アルビスに降伏を促すが、アルビスは一蹴した。

 

「所詮はクレイマン如きに仕える魔人ね。お粗末な切り札です事。」

 

「「ぬぅぅぅ………!」

 

アルビスの言葉に、ヤムザ達は怒りながら唸った。

 

「ならば………!」

 

「死ね!」

 

そして、二人のヤムザがアルビスに攻撃を仕掛けようとした時、アルビスは慌てること無く、手に持つ錫杖を空に掲げる。

 

そして次の瞬間、アルビスに向かって落雷が落ちる。

 

「「ぬわっ⁉︎ぐぅぅ…………!」」

 

落雷の衝撃にヤムザ達は怯み、腕で顔を覆い隠した。

 

そして、次に二人の目に映ったのは、龍の様な黄金の角が後頭部から一対で生えている状態から更に額にも立派な角が生え、全身が金色の龍麟の鎧に覆われた半人半龍のような姿となったアルビス…そう、アルビスの獣身化二段階目の姿だ。

 

 

その姿となったアルビスの周囲には旋風が巻き起こり、雷が帯電し荒れ狂う旋風と共に味方のゴブタ達や獣王戦士団にも被害が出そうになっている。

 

「ちょっ!アルビスさん!電気漏れてるっすよ⁉︎味方も居るっす!見えてるっすか⁉︎」

 

「許可は出すので、さっさと撤退しなさいな。こうなると手加減出来ませんの。」

 

「言われなくてもそうするっすよ!」

 

「総員撤退‼︎」

 

アルビスの許可を得て、ゴブタと雷蔵は皆を連れてこの場から撤退

 

残るのは、アルビスとヤムザとクレイマン軍の魔人達だけとなった。

 

「馬鹿め!たった一人で我ら全員と相手をするだと⁉︎」

 

「舐められたものだ!うおおおぉ!」

 

そう言って魔人達が一斉にアルビスに攻撃を仕掛ける。

だが、アルビスの角から凄まじい電撃が放たれ、魔人達を襲う

 

ぐおあああああああ!

 

アルビスの雷撃を受けた魔人達は、ある者は消し炭となり、またある者は石化し粉々となり、また別者は毒により原型がなくなるまでドロドロに溶けた。

 

「ハハハハハハハ!死ね!愚か者共よ!」

 

アルビスが笑い声を上げながら雷撃を放ち続けた結果、クレイマンの魔人達はあっという間に全滅した。

 

「「きっ貴様ぁぁぁぁぁ‼︎」」

 

配下の魔人達を倒され声を上げるヤムザ。そんなヤムザにアルビスが口を開く。

 

「降伏せよ。さすれば捕虜として、命だけは保証して差し上げましょう。」

 

「「誰が…!」」

 

ヤムザが拒否しようとした瞬間、アルビスは目を開き、天蛇眼(ヘビノメ)で、ヤムザの左腕と分身を一瞬で石化させる。

 

「っ!鏡身の腕輪(ドッペルゲンガー)が⁉︎」

 

更に追い撃ちとばかりにアルビスは雷を放つ

 

「ぐあああああああ!」

 

アルビスの雷をもろに受けたヤムザは、その場に座り込んでしまった。

 

(手脚が完全に麻痺して動かない。これでは戦闘継続は困難。…三獣士筆頭、黄蛇角アルビス。主に指揮を担い、後方支援を得意とすると聞いていたが…………完全に見誤った。これほどとは………。)

 

もはや勝つ事は不可能と理解したヤムザは、アルビスに降伏しようとした。

 

「こっ降伏する。貴様の申し出を…………。」

 

私がそれを許すはずがないだろう?

 

その時、ヤムザの脳裏にクレイマンの声が響きその直後、動かない筈のヤムザに右腕が勝手に動き出した。

 

(麻痺して動かぬ筈の右腕が勝手に………⁉︎)

 

困惑するヤムザ。そして、右手が開かれるとその掌に禍々しい黒紫の宝珠があった。

 

「(なんだこの宝珠は。こんな物を持って来た覚えは……。)っ⁉︎まっまさか⁉︎」

 

見覚えのない宝珠に、ヤムザはすぐに察した。これは……クレイマンが用意したものだと。

そして、宝珠を持つ右手がヤムザの口へと向かう。

 

「やっやめろ!お止め下さい!クレイマン様ぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ヤムザの叫びも虚しく、宝珠がヤムザの口に入る…………その時

 

ズバッ!

 

直前にヤムザとアルビスの間に何者かが割って入り、ヤムザの右手を斬り飛ばした。

 

「あっ貴方は⁉︎」

 

アルビスはその者にすぐ気付いた。

 

無銘(ムメイ)殿!」

 

そう。もう一人の白老である無銘(ムメイ)だ。

 

「間一髪のようじゃったのう。」

 

「何故貴方が……。」

 

「なぁに。フォルテ様から命じられていたんじゃよ。」

 

「フォルテ様から?」

 

「左様。ミュウランを捨て駒にするクレイマンならば、五本指筆頭のヤムザですら使い捨ての道具として、何か仕掛ける可能性が高いと言ってワシにその阻止を命じられたのじゃ。」

 

 

そう。フォルテは、クレイマンがまた自分の配下を捨て駒にする事を読んでいた。だから、無銘(ムメイ)にヤムザの監視を命じ、動きがあれば阻止するように命じていたのだ。

 

「そういう事だったのですね。」

 

無銘(ムメイ)の話に、アルビスも納得した。…それはヤムザもだった。

 

「そうか。……信頼などされていなかった。所詮私も、あの方の傀儡の一つに過ぎなかった訳だ。」

 

麻痺しているので、痛みを感じずに済んでいるようだ。

 

「答えなさいヤムザ!貴方が先程飲み込もうとした宝珠はなんだったのです!」

 

アルビスはヤムザに詰め寄る。

 

「分からない。あんな宝珠を持って来てはいなかった。…クレイマンが密かに仕込んでいたのだろう。」

 

そう言ってヤムザは、斬られて飛んだ右手の方に顔を向けるが、右手の周囲には銀色の謎の液体か集まっていた。

 

「なんだあれは⁉︎」

 

ヤムザの声に反応し、皆も振り向く。

 

「あれは一体?」

 

「まさか!」

 

無銘(ムメイ)はすぐに気付いた。あれは…リーガルの液体兵だと。

 

「こやつら一体何処から………⁉︎」

 

無銘(ムメイ)はそう言って周囲を見ると、倒された魔人の武器や道具から液体兵が出現していた。

 

「まさか、兵士達の武具に擬態しておったのか。」

 

そう。液体兵はクレイマン軍全ての者達の武具に擬態していたのだ。

つまり、液体兵は三万体この戦場にいる。

 

無数の液体兵は、ヤムザの右手の宝珠に集まりそのまま宝珠を取り込むと、今度は石化したヤムザの鏡身の腕輪(ドッペルゲンガー)の分身体に纏わり付いた。

銀の液体に包まれるヤムザの分身体!すると、液体兵の中から一枚のチップが飛び出した。

 

「あれは!」

 

飛び出したチップに、無銘(ムメイ)は目を見開く。それは………ダークチップだ。

 

ダークチップから闇の妖気(ダークオーラ)が解き放たれ宝珠に吸収される。

そして、闇の妖気(ダークオーラ)による禍々しい顔の妖気(オーラ)が浮かび上がると、ヤムザの分身体を包み込んだ銀の液体が、不気味な青い肉塊へと変わった。

 

肉塊から無数の触手が伸び、周囲のクレイマン軍の兵達の死体を次々に取り込んでいく

 

「いかん!」

 

無銘(ムメイ)はヤムザの服の襟を掴み、氷結魔剣(アイスブレード)を持ってこの場から跳び退く。

アルビスも同時に退いた直後、死体を取り込んだ肉塊か巨大化しながら姿を変えていく。

 

その現象は此処だけでなく、三箇所で同じように、魔人の死体に液体兵達が纏わり付いて宝珠にダークチップの闇の妖気(ダークオーラ)を注いで青い肉塊となって周囲の死体を全て取り込んでいき、巨大化しながら姿を変えていく。

 

それに共鳴したのか、フォビオとシャークマン……そしてゼロワンがその気配を感じ取った。

 

やがて、形を成した肉塊のその姿は、竜と鮫が融合したような巨大な単眼とグライダーのような翼を持った大怪魚!かつて、リムルとフォルテが魔国連邦(テンペスト)の総力を上げて戦った災厄級魔物(カラミティモンスター)……

 

「やはりこやつじゃったか!」

 

「こっこれは………⁉︎暴風大妖渦(カリュブディス)‼︎」

 

そう、暴風大妖渦(カリュブディス)。しかも四体出現し咆哮を轟かす

 

 

グウオオオオオオオオ‼︎

 




クレイマンの行動を予測し、ヤムザの暴風大妖渦(カリュブディス)化を阻止した無銘(ムメイ)
だが、リーガルが軍全員に潜ませていた液体兵により暴風大妖渦(カリュブディス)が出現!しかも一体だけでなく四体‼︎

リーガルは、残骸の一部を培養複製していた。闇の妖気(ダークオーラ)の力で強化された暴風大妖渦(カリュブディス)達をどうするのか、次回お楽しみに。
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