転生したらフォルテだった件   作:雷影

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お待たせしました。
色々忙しくて投稿に時間が掛かりました。
クレイマンとリーガルによって出現した暴風大妖渦(カリュブディス)四体!
どうなるのかどうぞ。




80話 因縁の地で(後編)

ミッドレイと戦闘を繰り広げていたスフィア、ガビル、

ランサーの三人。

だが、突如巨大な魔力反応を感知した。

 

「がっ…これは!?」

 

「この気配はまさか⁉︎」

 

それはミッドレイ達も同じですぐに皆に指示を飛ばす。

 

「一時休戦だ‼︎ 総員、回復魔法の使用を許可する!立て!立ってこの場にいる者全員を叩き起こせ!」

 

「不味いっすよミッドレイ様。こいつは…この反応は大物ですぜ。」

 

「分かっておるわ。」

 

ミッドレイとヘルメスは龍眼で魔力発生元を確認する。そして二人の眼に映ったのは、今まさに飛び上がろうとする四体の暴風大妖渦(カリュブディス)の姿だった。

 

「これは…つい先日、ミリム様が仕留めた暴風大妖渦(カリュブディス)だな。しかも四体いるとは…。」

 

ミッドレイの言葉にスフィアは驚く。

 

「フォビオの馬鹿を依代にして復活したって化け物か⁉︎ 魔王ミリムが滅ぼしたんじゃなかったのかよ!」

 

「ああ。間違いなくミリム様が。」

 

「だが何故四体も?」

 

ランサーの疑問に、ミッドレイが答えるように口を開く。

 

「落ち着け、本物ではない!おそらくだが、その力の断片の様な物に何か別の力を与えたのだろう。」

 

「そうっすね。まだ力が馴染んでいないから不安定みたいですけど…馴染んでしまったら本格的に動き出しますねこれ。」

 

「ああ。更にここは戦場。下手をすれば意外な進化を遂げる可能性もある。あの様な化け物共には、なるべく餌を与えねばよかろうて。」

 

ミッドレイ達が話を進める中、他の竜を祀る民達は皆の回復に専念する。

 

「え、俺達にも?」

 

「なんだと⁉︎」

 

「かたじけない。」

 

スケロウ達も一緒に回復してもらっていた。

 

 

その一方、飛翔走で暴風大妖渦(カリュブディス)の真上から雷で攻撃を続けるアルビスだが、全く効果が無い。

 

「この化け物めが!(駄目だ…再生能力が高すぎる、致命傷を与えられない!転移で逃げられる者はいいでしょうが、そうでない者達は…全員死ぬ!)」

 

アルビスの言う通り、暴風大妖渦(カリュブディス)の前では殆どの者達は死から逃れられない。更に、ヤムザの鏡身の腕輪(ドッペルゲンガー)を依代にした際、複製された氷結魔剣(アイスブレード)も取り込んだ影響で、この暴風大妖渦(カリュブディス)は周囲に猛烈な吹雪を発生させている。

 

「忌々しい!クソっタレのクレイマンめ!」

 

アルビスはそう叫びながら暴風大妖渦(カリュブディス)への攻撃を続ける。

 

 

その様子を龍眼で見ていたミッドレイとヘルメス。

 

「これは…どうやら、ヤムザを核の代用品にしたようだぞ。他の個体はある程度の強さを持つ魔人を代用したようだな。」

 

「それで間違いなさそうっすね。ヤムザのクソ野朗は、俺が殺そうと思っていたんですけど、既に魂も喰われちまってますわ。」

 

正確にはヤムザの分身体なのだが、二人は知るはずもなかった。

 

「ああなった以上、被害を抑えつつ皆を逃がす他ないっすね。」

 

「聞いたな。全員武装を許可する。欲張るなよ。時間を稼ぐだけなら、何とでもなろう。」

 

「ミッドレイ殿。」

 

皆に指示を出すミッドレイに、ガビルが声を掛ける。

 

「我輩達も役立ってみせよう。一度戦った事がある。あの鱗の攻撃に気を付ければ、怪我などすまいよ。」

 

「然り。」

 

「俺も撤退の手助けをする。」

 

「では我輩は、部下達と合流し他の個体を相手しよう。」

 

「よし、では行くぞ!」

 

「「「「おう!」」」」

 

こうして、スフィアとガビル達はミッドレイ達と協力して、皆の撤退の手助けに向かう。

 

その一方、なんとか暴風大妖渦(カリュブディス)を止めようと攻撃し続けていたアルビス。だが、やはり止める事は出来ず遂に動き出した。

 

「くそ!逃げられる者達だけでも逃すしか…」

 

『命令違反だぞアルビス。勝てぬと思ったら引けと言っておいただろう。』

 

「あっ!」

 

アルビスに紅丸からの念話が届く。それと同時に暴風大妖渦(カリュブディス)が発生させていた吹雪が突然止んだ。そして、紅丸の一撃が暴風大妖渦(カリュブディス)の尾を斬った。

 

「紅丸様!」

 

アルビスは、紅丸に気付いて彼の背後に降り立った。

そして、斬られた暴風大妖渦(カリュブディス)を見て目を疑う。

 

「え?(斬った!その上、黒炎で再生を防いでいる⁉︎)」

 

そう。斬っただけでなく、断面から黒炎の炎が燃え上がり再生を阻害していた。

 

暴風大妖渦(カリュブディス)。今の俺の力を試すのに丁度いいんだが、そんな場合じゃあないし、さっさと終わらせよう。」

 

そう言って暴風大妖渦(カリュブディス)に向かって手を翳す紅丸。

 

「悪いな。完全体になってから遊んでやりたかったが時間もないんでな。」

 

暴風大妖渦(カリュブディス)が透明な球体(ドーム)に包まれる。

 

「消えろ!黒炎獄(ヘルフレア)‼︎

 

紅丸の黒炎が球体(ドーム)内の暴風大妖渦(カリュブディス)を燃やし尽くして球体は消滅し、暴風大妖渦(カリュブディス)も跡形も無く消滅した。

 

「終わりだ。」

 

アルビスの方に振り返りながらそう言う紅丸。

 

「……嘘でしょう?」

 

アルビスは、あの暴風大妖渦(カリュブディス)をたったの一撃で燃やし尽くした紅丸の力に唖然となっていた。

 

「アルビス、俺にも所用ができた。現時点を持って副官として全軍の指揮にあたれ。」

 

「しょっ承知ですわ。紅丸様。」

 

こうして、一体は紅丸によって倒された。

 

紅丸が一体仕留めた頃、部下達を連れて別個体の暴風大妖渦(カリュブディス)の元に向かうランサー。

 

「なんとしても喰い止める!」

 

ランサー達が気合いを入れて戦闘態勢に入ろうとした丁度その時

 

『ランサー。そこで待機していてくれ。』

 

「ッ⁉︎ カーネル殿!」

 

カーネルから念話がきたのだ。

 

『この暴風大妖渦(カリュブディス)は私が仕留める。』

 

ランサーが暴風大妖渦(カリュブディス)をよく見ると、背の上にカーネルが立っていた。

 

カーネルはそのままサーベルを真上に掲げると、サーベルに黒雷を纏わせる。

 

真・雷撃破斬(ネオ・スクリーンディバイド)‼︎」

 

カーネルが勢い良くサーベルを振り下ろす。

サーベルから黒緑の雷撃斬が放たれ、暴風大妖渦(カリュブディス)の背中を破壊していく。

 

グウオオオオオオオ!

 

背中を破壊されていき、悲鳴の叫びを上げる暴風大妖渦(カリュブディス)

 

すぐさま再生しようとするが、再生出来ず寧ろ破壊が内部に進んでいく。

カーネルはフォルテからの能力授与(スキルギフト)切断者(キリサクモノ)を取得していた。

その力で真・雷撃破斬(ネオ・スクリーンディバイド)に空間属性を付与し、暴風大妖渦(カリュブディス)の再生能力を阻害しているのだ。

更に、祝福(ギフト)で得たもう一つのユニークスキル破壊者(コワスモノ)の力で、暴風大妖渦(カリュブディス)を破壊していく。

 

破壊者(コワスモノ)は使用者のあらゆる攻撃に破壊効果を付与し、攻撃を受けた対象の全ての耐性などを無視して、物質体(マテリアルボディ)精神体(スピリチュアルボディ)の全てを破壊し尽くす事ができる。

 

その二つの力を合わせた真・雷撃破斬(ネオ・スクリーンディバイド)により、

暴風大妖渦(カリュブディス)は破壊されていき、遂に雷撃が核に到達し破壊した

 

暴風大妖渦(カリュブディス)は粉々となって崩れ散った。

 

その様子を見ていたランサー達は唖然としていた。

 

「なんと、たった一撃であの暴風大妖渦(カリュブディス)を…流石はカーネル殿であるな。」

 

二体目もカーネルによって倒された。

 

少し時間を遡って、突如出現した暴風大妖渦(カリュブディス)の姿を目撃したフォス達。

 

「何よあれ‼︎」

 

「…つ!」

 

「あれはもしかして…。」

 

突如現れた暴風大妖渦(カリュブディス)に驚くステラ達。それは他の者達も同じだった。

 

「やばいねあれは。」

 

「しかも一体だけでなく四体もか…。」

 

「退くぞ!動けない者には手を貸せ‼︎」

 

「戦闘中止っ‼︎」

 

「直ちにこの場から撤退‼︎」

 

「撤退しつつ負傷者を回収しろ!」

 

「できるだけ回復して回るぞ!」

 

「はい!」

 

アルヴァロ達に獣王戦士団そして竜を祀る民達が皆の避難の為に一斉に動き出す。

 

「私達も手伝うです!」

 

「っあんなのあたしがぶっ飛ばしてやるわ‼︎」

 

「無茶ですステラ‼︎あれは恐らくフォビオ様が言っていたカリュビュビュ……っ。」

 

ステラを止めながら舌を噛んでしまったフォス。

 

「名前なんてどうでもいいの。あれは危険過ぎるから早く逃げるの!」

 

ネムがそう言ったその直後

 

暴風大妖渦(カリュブディス)の一体が黒炎の球体(ドーム)に包まれ一瞬のうちに焼き尽くされ消滅した。

更に、もう一体の方に黒緑の落雷が堕ち、雷によって破壊尽くされ崩れ散った。

 

暴風大妖渦(カリュブディス)がほぼ二体同時に倒された事に、フォス達は驚愕し唖然となった。

 

「なっ…何が起きたのよ!?」

 

「燃え尽きて、崩れ散ったの……。」

 

「あの炎と雷は、おそらく紅丸様とカーネル様です。」

 

フォスは、先ほどの一撃が紅丸とカーネルだとすぐに気付いた。

これで、暴風大妖渦(カリュブディス)は二体消滅したが、まだ二体残っている。

 

その二体がフォス達の方に向かって移動を開始した。

 

「まずいです!」

 

フォスは再び皆を避難させようとした時、フォス達の前に黒いライダースーツにボマージャケットを身に付けた妖鬼(オニ)が突如現れた。

 

「誰⁉︎」

 

突然現れた妖鬼(オニ)にステラが声を上げるが、フォスはすぐにその者が誰か分かった。

 

哭陽(コクヨウ)様!」

 

そう。哭陽(コクヨウ)だった。

 

「お前達はそこでじっとしていろ。」

 

そう言って、哭陽(コクヨウ)は右手を突き出し、中指と人差し指伸ばした指鉄砲で暴風大妖渦(カリュブディス)を狙う。

 

すると、哭陽(コクヨウ)は魔鋼の塊を取り出し、黒兵衛(クロベエ)のユニークスキル神職人(オヤカタ)の物質変換で魔鋼を螺旋状の弾丸へと変えた。

 

黒炎獄(ヘルフレア)発動。同時に結界展開。」

 

哭陽(コクヨウ)は弾丸に黒炎獄(ヘルフレア)の爆炎を圧縮して宿した。

 

「これで火薬は充填完了。後は……天空眼!」

 

哭陽(コクヨウ)は額の第三の眼を開眼してその瞳で、暴風大妖渦(カリュブディス)の核の位置を確認した。

 

「核確認完了。最後に、料理人(サバクモノ)起動。」

 

弾丸に、料理人(サバクモノ)の確定結果を効果を加えた。

 

「一撃で撃ち抜く。鬼角狙撃銃(ヘッドショット)

 

バキュン!

 

哭陽(コクヨウ)の指先から弾丸が放たれた。

 

弾丸は音速を超え、遠く離れた暴風大妖渦(カリュブディス)に命中する。

そのまま貫通し、内部の核を撃ち砕いた。

そして、弾丸に込められた黒炎獄(ヘルフレア)が解放され……。

 

 

ドッガアアアアアアン‼︎

 

 

暴風大妖渦(カリュブディス)は内部から大爆発して砕け散った。

その光景を間近で見たフォス達は唖然となっていた。

 

「ここから撃ったです?」

 

「ありえないんだけど……。」

 

「…この人、とんでもなく強いの。」

 

爆煙が空を覆う中、最後の一体が煙を突き破って接近してくる。

 

バキュン!

 

……が、出て来たと同時に哭陽(コクヨウ)が第二射を撃ち、最後の一体を撃ち抜いた。

 

ドッガアアアアアアン‼︎

 

最後の一体も爆発して砕け散った。そして、哭陽(コクヨウ)

吸喰之王(ドレイン)によって、その残骸は魔粒子となって哭陽(コクヨウ)に吸収された。

 

「……あっさり二体目も倒したです。」

 

「…出鱈目すぎよ。」

 

「やっぱりとんでもなく強いの。」

 

遠距離狙撃で暴風大妖渦(カリュブディス)を二体倒した哭陽(コクヨウ)の強さに、フォス達はもう言葉が出なかった。

それはアルヴァロ達も同じだった。

 

「おいおい。とんでもねーな。あれを二体共この距離から一瞬で……。俺達は最初っから優しく優しく手加減されてたってわけかい。」

 

「抵抗する気など、とっくに失せていたが……これほどの力の差を見せられては、誰もが諦めるだろう。」

 

「そうだな…。」

 

アルヴァロ達は武器を捨て、両手を上げて降伏した。

 

「我々は投降する。」

 

「…ああ。捕虜として、その身の安全を保証する。」

 

こうして、四体の暴風大妖渦(カリュブディス)は倒された。

それをいち早く知ったフットマンとティアは、フォビオ達の相手をしながら互いに話し合う。

 

「おほっほっほ。驚きましたねぇ。ヤムザの裏切りは予想通りでしたが、まさか……あの暴風大妖渦(カリュブディス)達がこんなにあっさりと。」

 

「だねぇ。アタイ達にもアレは倒せないっていうのにさ。」

 

「クレイマンの軍勢は壊滅。作戦は失敗…この損失は余りにも大きく、あの方の言う通り大人しくしておくべきだったと言う事ですね。」

 

「だっよねぇ〜。ラプラスも忠告してたし、今回はクレイマンが悪いよねぇ。」

 

「という事で、あの方に報告しなければなりませんので、私達は帰らせていただきますね。」

 

「逃すわけないだろが!」

 

そう言って、フォビオは暴風之乱鱗雨(テンペストスケイル)を放つ。

迫る鱗をなんとか紙一重で躱すティア

 

「いい加減しつこいよ蒼猫(アオネコ)!」

 

「本当に暴風大妖渦(カリュブディス)の力をモノにするとは想像しませんでしたよ。…貴方達の力も想定以上です。」

 

フットマンはそう言いながら猪八戒とゲルドを相手をする。

自身の身体を高速回転させながら体当たりするもゲルドの盾に防がれ、猪八戒の拳に殴り飛ばされる。

 

傷だらけのフットマンとティア。フォビオ達の力は二人より上だった。

 

「このまま貴方達の相手をするのは、私達には得策ではありませんので、此処で失礼します。」

 

そう言って、両手を真上に広げるように上げるフットマン。

それを見た猪八戒とゲルドはすぐに気付いた。

 

「「伏せろ!」」

 

二人がフォビオの元に駆け寄り、ゲルドは上に向かった盾を掲げ、猪八戒は両腕を真上に上げて組む。

その直後、三人目掛けて上空から無数の魔力弾が降り注ぐ。

 

魔力弾の雨が止むと土煙が辺りを包み込み、……フットマンとティアで気配はもう無かった。

 

「…逃げたか。」

 

「紅丸殿に報告します。」

 

フットマンとティアが逃走した事を、ゲルドはすぐに紅丸に思念伝達で報告する。

 

『紅丸殿聞こえるか?道化は逃走した。』

 

『ああ。戦闘記録は取れた。十分だろう。猪八戒とゲルドは指揮に戻ってくれ。もう一人残っている厄介な奴の所へは俺が行く。』

 

『『承知した。』』

 

二人は紅丸の指示に従う。同時に、二人は紅丸の気持ちを考える。

 

(フットマンは大鬼族(オーガ)の里の襲撃を先導していた者。)

 

「(本当なら、真っ先に自分の手で決着をつけたかっただろう。)血気に逸るだけの将ではないか…。」

 

猪八戒が呟いていると、フォビオが話しかけて来た。

 

「悪いな。猪八戒さん、ゲルドさん。俺が足を引っ張っちまった。」

 

フォビオは確かに力を得た。……だが、その力をまだ上手く使い熟せていない。無理もない。あの暴風大妖渦(カリュブディス)の巨大な力だ。馴染むまで特訓した訳でもなくぶっつけ本番でここまで力を使えただけでも上出来だったが、自分が力を使い熟せずにいた事で、フットマン達を逃がしてしまったとフォビオは思っていた。

 

「そんな事はない。フォビオ殿がいたからこそ、奴らをあそこまで追い詰める事が出来た。」

 

「父王に言う通りだ。次に勝てば問題なかろう。」

 

こうして、猪八戒達とフットマン達の戦いは終わった。

 

 

 

そして、暴風大妖渦(カリュブディス)が倒される様子を、龍眼で確認したミッドレイ達はその場で足を止めた。

 

「なんだと!あ奴ら、信じ難い事を平然と行いおったぞ。」

 

「なんすかあれ?魔王すか?ミリム様なら兎も角、ただの魔人にあんな真似ができるっすか。間違いなく化け物っすよね。」

 

「あれは、紅丸殿とカーネル殿の……。」

 

先ほどの攻撃が誰が放ったのか、ガビルはすぐに気付いた。

 

「おいどうなってんだ。俺にも教えろよ。」

 

「そうっすね。…そうしたいのは山々すっげと……。」

 

「ふむ。その必要はなさそうだ。」

 

ミッドレイの言う通りだった。何故なら、彼らの前には此方に向かって歩んでくる紅丸、カーネル、哭陽(コクヨウ)がいたからだ。

 

三人はミッドレイ達の前で歩みを止める。

 

「よう。ウチの者が世話になったみてぇだな。」

 

「こっ、コイツらは……。」

 

ヘルメスは、一眼見ただけで紅丸達の強さを知った。

 

互いに睨み合う紅丸とミッドレイ。そんな二人の間に、スフィアとガビルが割って入る。

 

「お待ちを!紅丸殿!」

 

「こちらの方々は、ミリム様の配下!竜を祀る民の神官戦士団の皆様にございます!」

 

「うんうん!」

 

ガビルの言葉に頷くスフィア。

 

「何?ミリム様の…。それじゃあ。」

 

「はい!我らの怪我も、この方々が回復魔法にて治癒してくださいました。」

 

「皆無事です!」

 

「心配御無用!」

 

ガビルの言葉に続くように、スケロウとカクシンもそう伝える。

 

「成る程。どうやら私達の勘違いだったようだな紅丸。」

 

「そうだなカーネル。アンタがこの戦場で一番厄介そうだったんで、つい警戒しちまったぜ。」

 

「フッハッハッハッハ!早とちりでもなかろうさ。怪我治癒させたのは、より大きな災厄へ備えようと思ったからじゃい。」

 

「そうか。それでどうする?俺達とやり合うか?」

 

哭陽(コクヨウ)がそうミッドレイに問う。

 

「そうさのう。……どうしたものかな?」

 

「俺達としちゃ、ミリム様の配下と事を構えたくないんだが…。」

 

そう言って、刀を鞘に納める紅丸。

 

「そうよな。戦争を続けるかと問われれば否だが、戦う意思と問われたのならあると答えるな。正確には戦ってみたいだが。」

 

「なるほど。気が合いそうだ。」

 

ミッドレイの言葉を聞いて笑顔を浮かべる紅丸。

それを見たガビルとスフィアそれにヘルメスはヤバい!と顔を青くしながら二人の前に割って入った。

 

「ちょおーーい!それは不味いですって‼︎」

 

「そうであるぞ紅丸殿!彼らと戦ったら確実にミリム様も「ワタシも混ぜるのだ!」とか言って魔国連邦(テンペスト)に災厄が……‼︎」

 

「リムル殿とフォルテ殿はミリム様の御友人なんっすから、間違いなく大惨事になるっすよ!」

 

必死に二人を止めるガビルとヘルメス。

 

「わかってるっての。確かに此処で戦う意味は無いしな。それに、戦うなら殺す気で挑まなきゃ負けるのは俺だろうしな。」

 

「どうかな?あの暴風大妖渦(カリュブディス)を屠った攻撃は、流石のワシも耐えられそうにないがのぅ。」

 

ミッドレイも、この場で紅丸と戦うつもりは無かった。

 

「まぁ使わせる前に倒す自身はあるがな。」

 

「ほう。言ってくれるじゃないか。」

 

「「だからやめーーって‼︎」」

 

それが分かっていないガビルとヘルメスは、二人の不穏な会話に声を上げるのだった。

 

カーネルと哭陽(コクヨウ)は当然分かっているので、心配すること無く二人を見ていた。

 

なんとか不穏な会話を終わらせ安堵するヘルメス。するとある事を思い出し、紅丸達に問いかける。

 

「あっそうだ。魔国軍(テンペストぐん)の人に聞きたかったんすけど、一体どうやって援軍に来たんです?空間移動系の魔法でも使わない限り間に合わないと思うんすけど。」

 

何も知らないヘルメスからすれば当然の疑問である。

 

「……それね。」

 

紅丸は話した。リムルとフォルテが開発した完全転送術式で皆を転送した事を。

 

話を聞いたヘルメスは驚き過ぎて呆然となってしまった。

 

「驚くのは当然だな。」

 

「配下の俺達ですら驚いた。」

 

「…マジすか。今までの常識を覆す軍団魔法(レギオンマジック)をその場で開発と改良⁉︎アリですかそんなん……。」

 

ヘルメスの言葉に、紅丸達は互いに目を見て頷いた。

 

「なんでもアリなんだよ。ウチの大将達は。」

 

こうして、戦いは終わった。そう皆が思ったが、この戦いをジャミングマンを通して見ていた者……リーガルが黙っていたなかった。

 

「本当の恐怖はこれからだよ。」

 

そう言って、自身が座る玉座に備え付けている何かの起動スイッチを押した。

 

その直後、ジャミングマンから電波が発生し、この戦場に隠れ潜んでいた他のジャミングマンに伝わる。

電波を受けたジャミングマン達の前に魔法陣が展開される。

それは………転送の魔法陣。

転送されたのは、輝く基盤の様な物が組み込まれた巨大な柱。……電脳変換機(ディメンショナルコンバーター)だ。

 

全ての変換機(コンバーター)が起動し、戦場が無数の六角形のエネルギーが繋がった七色の巨大なエネルギー球体(ドーム)に皆が閉じ込められる。

 

「なっ⁉︎なんだこれ?」

 

「これは⁉︎」

 

「なんすかこれ⁉︎……結界ですよね。」

 

突然、謎の結界に閉じ込められ戸惑うスフィア、ミッドレイ、ヘルメス。

それに対して、この結界を見た紅丸達はすぐに分かった。

 

「この結界…フォルテ様が言っていた。」

 

「ああ。お前の思っている通りだ紅丸。」

 

「これは電脳領域(ディメンショナルエリア)だ。」

 

電脳領域(ディメンショナルエリア)が展開されたと同時に、戦場の前後に20メートルはあろう巨人が二体出現した。

 

「なんすかあれ⁉︎」

 

「ぬぅ!」

 

突然の巨人の出現に驚くヘルメスとミッドレイ。

それは、カーネルも同じで目を見開いていた。…理由は別だが。

 

カーネルの驚きように、紅丸はカーネルは何か知っていると察した。

 

「カーネル。あの巨人が何か知っているのか?…何処となくお前やトリル達に近いような存在だと俺は思うが。」

 

「…流石は紅丸。その通りだ。」

 

現れた巨人は、黒い身体に水色のラインが浮かび上がり、両肩に圧倒的な威圧感を与える発生器(ジェネレーター)を備えた存在。

 

「あれは、Dr.リーガルの電脳人(ネットナビ)レーザーマンだ。」

 

そう。リーガルの電脳人(ネットナビ)であるレーザーマンだ。

巨大レーザーマンがゆっくりと歩み出した。

 

「まさかあんなデカブツが現れるとはな。」

 

「おそらくリーガルは、クレイマンの軍勢諸共、私達を始末するつもりだろう。」

 

「フォルテ様から聞いてはいたが、ここまでするとはな。」

 

紅丸、カーネル、哭陽(コクヨウ)がそう言う中、ミッドレイとヘルメスは龍眼で巨大レーザーマンを見ていた。

 

「なんかあの巨人おかしいっすよミッドレイ様。」

 

「お前も気付いたかヘルメス。あの巨人…物質体(マテリアルボディ)に魂が無い。…まるで幻影のようだがこれはいったい……。」

 

ミッドレイの言葉に、カーネルはあの巨大レーザーマンの正体を察した。

 

「やはり、立体映像を擬似物質化させたか。」

 

「立体映像?なんすっかそれ?」

 

聞き慣れない単語に首を傾げるヘルメス。

 

「簡単に言えば、幻…幻影に物質体(マテリアルボディ)を与える技術だ。」

 

カーネルの言葉に目を見開き驚くヘルメスとミッドレイ

 

「幻影に物質体(マテリアルボディ)を⁉︎そんな事が可能なんすか!」

 

「普通は不可能だ。だが、この電脳領域(ディメンショナルエリア)の中でなら可能となる。もっとも、遥かに高度に複雑な技術が必要だがな。」

 

「なるほど。その為に戦場をこの結界で覆った訳だな。にしても、これだけの事を起こせるとは、そのリーガルとやらは、とんでもない技術を持った者のようじゃな。」

 

カーネルの話を聞いたミッドレイは、リーガルの技術の高さに驚くしかなかった。

そんな中、迫る巨大レーザーマン二体に動きが

 

前方から迫るレーザーマンが手を翳し、掌から魔力光線(レーザー)を放ち魔力光線(レーザー)が岩山を粉砕

 

後方のレーザーマンが腹部のエンブレムから魔力光線(レーザー)を掃射。地面を破壊しながら、射線上にいたフォス達に迫る

 

「不味いです!皆逃げるです‼︎」

 

フォスがそう叫ぶが間に合わない。迫る魔力光線(レーザー)がフォス達を襲う…その時、ドリームウィルスのダーク達がフォス達の前に現れ一斉に夢之闘気(ドリームオーラ)の障壁を展開

レーザーマンの魔力光線(レーザー)を弾き防いだ。

 

「たっ…助かったのか?」

 

獣人の一人がそう呟いた。すると、ゼロとゼロワンがフォス達の元に現れた。

 

「此処は、俺達に任せて皆を避難させろ。」

 

「急げ。」

 

「わっわかったです!」

 

「一応礼は言っておくわ!」

 

「ありがとうなの。」

 

ゼロとゼロワンに言われ、直ぐに皆の避難を再開するフォス達

 

 

巨大レーザーマンの攻撃を見た紅丸達。

 

「不味いな。あんな威力の攻撃は避けきれない。」

 

「しかも奴はまだ技を使っていない。」

 

「あの魔力光線(レーザー)の攻撃自体も連射可能な筈だ。」

 

「ヤバいっすよあれ!あんなの暴風大妖渦(カリュブディス)以上の脅威じゃあないっすか。」

 

「ふむ。これは皆を避難させる時間も稼ぐのも難しいだろうな。」

 

巨大レーザーマンの力を見た紅丸達は、どうする考える。

すると、紅丸、カーネルに念話で語り掛ける者が。

 

『紅丸!カーネル!』

 

『聞こえているかい?』

 

『その声は…トリルとD(ダーク)ロックマンか。』

 

二人に念話で連絡してきたのはトリルとD(ダーク)ロックマンだった。

 

『後方から来る巨大レーザーマンは、僕とD(ダーク)ロックマンがなんとかするよ。』

 

『なに?お前達二人だけでか…。』

 

『僕達なら問題ない。今の僕とトリルならあんな奴倒せる。』

 

トリルとD(ダーク)ロックマンの言葉を聞いた紅丸とカーネル。今までの二人の成長は知っていた。…その驚異的な力も。

 

『…分かった。後方のあのデカブツはお前達に任せる。』

 

『フォルテ様が認めるお前達の力で奴を倒せ。』

 

『ありがとう!紅丸。カーネル。』

 

『必ず倒してみせるから安心してよ。その代わり、前方の方は任せるからね。』

 

そう言って念話を切るD(ダーク)ロックマン。

 

「…さて。後方は二人に任せるとして、俺達は前方の奴を片付けるとするか。」

 

「ああ。」

 

そう言って紅丸と哭陽(コクヨウ)が前に出ようとした…その時。

 

「待て紅丸。哭陽(コクヨウ)。」

 

カーネルが声を掛け二人を止めた。

 

「カーネル?」

 

「どうした?」

 

「フォルテ様から、もしこの様な事態が起きた場合、これを試すように命じられいた。」

 

そう言って、カーネルが取り出したのは、紫色の琥珀の様な物の中に、クワガタ、トンボ、カマキリ、ハチ、

パピオンなどの昆虫を模した機械が埋め込まれていた。

 

「それは?」

 

「フォルテ様が用意した巨大魔人形(ゴーレム)の核だ。フォルテ様が魔素を注ぎ、一時的に実体化できるようにしたそうだ。」

 

「なるほど。それで奴に対抗するのだな。」

 

紅丸と哭陽(コクヨウ)は納得した。

 

「だが、あくまで試験的な実体化故に、実体化できるのは三分が限界だそうだ。」

 

カーネルは二人の前に出て琥珀を掲げる。

 

「フォルテ様の言っていた起動の言葉は確か………降臨せよ!キングオージャーZERO‼︎

 

カーネルのその言葉に反応し、琥珀が光を放ちながら宙へと上がり姿を変える。そうして姿を現したのは、黒と金の機械的な身体を持つ巨大なシュゴッドZERO達だった。

 

「マジっすかこれ⁉︎」

 

姿を現したシュゴッドZERO達を見てヘルメスは驚愕する。

シュゴッドZERO達はそのまま巨大レーザーマンに向かって行き、攻撃を開始。

迫るジュゴッドZERO達に対し、巨大レーザーマンは両腕から魔力光線(レーザー)を掃射

だが、シュゴッドZERO達は散開して回避、そこから、ゴッドトンボZERO、ゴッドパピオンZERO、ゴッドカマキリZERO、ゴッドハチZEROが巨大レーザーマンを囲んで四方から攻撃する。

巨大レーザーマンは腕を振り払いながら魔力光線(レーザー)を撃ち続けるが、全て躱される。

そして、ゴッドクワガタZEROの突進をもろに受け、大地に倒れる。

その隙に、シュゴッドZERO達は合体体制に移行

ゴッドクワガタZEROが胴体となり、右脚にゴッドカマキリZERO、左脚にゴッドハチZEROがドッキング

そこから、背にゴッドトンボZERO、胸と腹に二体のゴッドクモZEROがドッキング

両腕に二体のゴッドテントウZERO、頭部にゴッドパピオンがドッキング

更に、ゴッドトンボZEROの尻尾とゴッドパピオンZEROの胴体に、ゴッドアントZEROが合体しシュゴッドソードZEROが完成

 

ZERO!ZERO!キングオージャーZERO‼︎

 

シュゴッドソードZEROを右手で掴み降臨したのは、十体のシュゴッドZEROが合体した漆黒の守護神

キングオージャーZEROだ。

 

「あれがフォルテ様が言っていた漆黒の守護神…!」

 

「キングオージャーZERO!」

 

紅丸と哭陽(コクヨウ)は、真の姿となったキングオージャーZEROに驚愕した。……ミッドレイは目を見開き、ヘルメスは開いた口が塞がらなかった。

 

キングオージャーZEROが降臨した丁度その時、巨大レーザーマンが起き上がった。

その瞬間、キングオージャーZEROがシュゴッドソードZEROで斬り掛かる。

キングオージャーZEROの袈裟斬りが巨大レーザーマンに決まる。

凄まじい斬撃により、巨大レーザーマンは後ろに斬り飛ばされる。

 

飛ばされた巨大レーザーマンは、何とか体制を立て直し、キングオージャーZEROに向かって両腕を突き出し、両掌と腹部から魔力光線(レーザー)を一斉掃射

 

キングオージャーZEROは、シュゴッドソードZEROで魔力光線(レーザー)を受け止め弾いた。

弾かれた魔力光線(レーザー)は、キングオージャーZEROの背後に分散して着弾!爆炎が起こり、その爆炎を背に、キングオージャーZEROが巨大レーザーマンへと迫る。

巨大レーザーマンは、魔力光線(レーザー)を撃ち続ける!

キングオージャーZEROは、その魔力光線(レーザー)をシュゴッドソードZEROで再び弾く。レーザーマンが撃ち続ける中、幾つかの魔力光線(レーザー)がキングオージャーZEROに命中するが、装甲を傷をつけることは出来ず弾かれる。

 

十分に距離を詰めると、シュゴッドソードZEROによる連続斬りで巨大レーザーマンを斬り裂き、更にその場で回転しながら連続回し蹴りを喰らわした。

 

連続回し蹴りによって、巨大レーザーマンは蹴り飛ばされ大地に転がる。

 

トドメとばかりに、キングオージャーZEROがその場から飛翔

シュゴッドソードZEROの刀身に魔素(エネルギー)を集約!刀身が紫の魔素(エネルギー)を纏う

 

それと同時に、ゴッドテントウZERO、ゴッドクモZEROが分離、一斉に巨大レーザーマンに向かって襲い掛かる!それに続くように、キングオージャーZEROもシュゴッドソードZEROを構えながら巨大レーザーマンへと突っ込む。

 

迫るゴッドテントウZEROとゴッドクモZEROに注意が向いているその隙に、キングオージャーZEROの右薙一閃が巨大レーザーマンの胴を切り裂いた。

 

キングオージャーZEROが巨大レーザーマンを切り裂きながら通り過ぎると、巨大レーザーマンの切り裂かれた胴からデータが崩壊し始め、そのまま爆発して消滅

 

分離していたゴッドテントウZEROとゴッドクモZEROは再びキングオージャーZEROと合体。

 

その戦いを見ていた紅丸、スフィア、ヘルメス達は唖然となっていた。

 

「あれがフォルテ様が完成させようとしていた魔人形(ゴーレム)……漆黒の神の力…。」

 

「マジで半端ねぇ強さだ…。」

 

「てか、…あれはもはや魔人形(ゴーレム)とは別の物っすよ。」

 

紅丸達がそう呟く中、キングオージャーZEROが紅丸達…正確にはカーネルの前に降り立った。

その瞬間、キングオージャーZEROの身体が帯電、目から光が消えると、その身体は半透明化しながら消滅した。

そして、核となっていた紫の琥珀…ZERO達のシュゴッドソウルがカーネルの元へと戻った。

 

「時間切れとなって戻ったようだ。」

 

「あれほどの力のある巨大魔人形(ゴーレム)…。確かに並の依代では力に耐えられないな。」

 

哭陽(コクヨウ)の言葉に紅丸達は頷いた。シュゴッドソウルを手に、カーネルは皆に向かって口を開く。

 

「先ほどの戦いを見て、あのレーザーマンは能力を完全再現しきれていないと分かった。」

 

「えっ⁉︎あれで!」

 

「リーガルの事だ。あの段階で、どこまでできるのか試したのだろう。」

 

「そうか。……なら向こうを任せた二人なら問題ないな。」

 

紅丸はそう言いながら、後方を任せたトリルとD(ダーク)ロックマンの方へと顔を向けるのだった。

 

 

 

 

その後方では、ドリームウィルスのダーク達が巨大レーザーマンの魔力光線(レーザー)を防いでいる中、ゼロとゼロワンが左右から幻夢零(ファントムゼロ)を放って攻撃を続けていた。

 

「やはり巨大な分、こちらの攻撃が通じない。」

 

「防御力は暴風大妖渦(カリュブディス)と以上と言ったところか。」

 

ゼロとゼロワンの攻撃を受けても傷一つ付かない。

攻撃を受け続けていた巨大レーザーマンが、両手を二人へと向け魔力光線(レーザー)を放とうと構える。

魔力光線(レーザー)が放たれるその瞬間

赤と緑の閃光が巨大レーザーマンの顔面に激突。その衝撃で巨大レーザーマンが倒れ、魔力光線(レーザー)は不発となった。

 

巨大レーザーに激突した緑と赤の閃光は、ゼロとゼロワンの前に降り立ちその姿を現す。

ゼロの前に、強靭な手脚に鋭い尾を持ち、頭部にグレイガの頭を被った獣化ロックマンであるG(グレイガ)ビースト

ゼロワンの前には、赤い鋭利な翼を背に生やし、頭部にファルザーの頭を被った獣化ロックマンである

F(ファルザー)ビースト。

二人の獣化ロックマンが、ゼロとゼロワンを守るように構えていた。

 

ゼロとゼロワンは、二人から感じる気配で二人が誰なのかすぐに気付いた。

 

「…トリル。」

 

D(ダーク)ロックマン。」

 

二人の声に答え振り返るトリルとD(ダーク)ロックマン。

F(ファルザー)ビーストのD(ダーク)ロックマンの瞳は、D(ダーク)ロックマン本来の赤い瞳なので、ゲーム版やアニメの暴走状態と同じようになった。

G(グレイガ)ビーストのトリルの瞳も、トリル本来の緑の瞳なので、アニメ版の制御状態の獣化となっている。

 

「間に合って良かった。」

 

「このデカブツは、僕達に任せてお前達も避難しなよ。」

 

「分かった。」

 

「気を付けろ。」

 

二人の言葉に従い、その場から離脱するゼロとゼロワン。

そのすぐ後、巨大レーザーマンが起き上がった。

 

「さぁ。後はコイツを倒すだけ!」

 

獣化(ビーストアウト)の力。お前で試させてもらうよ!」

 

トリルとD(ダーク)ロックマンは、同時に巨大レーザーマンに攻撃を仕掛ける。

 

獣化の驚異的な身体能力による素早い動きで巨大レーザーマンを翻弄。

そのままトリルが巨大レーザーマンの溝打ちに拳を叩き込む。

トリルの拳の一撃で、巨大レーザーマンはくの字となり後ずさる。

その怯んでいる間に、D(ダーク)ロックマンが空から風を纏って突進し、巨大レーザーマンの右肩の発生器(ジェネレーター)を粉砕。

 

蹌踉めく巨大レーザーマン。だが二人が手を緩める筈もなくトリルは跳躍し、D(ダーク)ロックマンは飛翔し巨大レーザーマンの左右の肩の前に

 

鳳爪斬撃(ファルザークロー)!」

 

狼爪斬撃(グレイガクロー)!」

 

二人がほぼ同時に、腕を振り下ろし爪撃で巨大レーザーマンの両腕を切り裂き両断。

 

両腕を失った巨大レーザーマンは二人に恐怖したのか後退る。

トリルとD(ダーク)ロックマンはこのまま油断せず、一気にトドメの一撃を放つ。

 

鷹之暴風(ホークストーム)!」

 

獣之息吹(ビーストブレス)!」

 

D(ダーク)ロックマンF(ファルザー)ビーストの口から荒れ狂う暴風が、

トリルG(グレイガ)ビーストの口から炎の息吹が同時に放たれた。

 

このF(ファルザー)ビーストの技もゲームの獣化ロックマンが敵側で使用した技であり、アニメでは未登場だった。

 

二人の放った暴風と息吹が一つとなり、巨大な荒れ狂う業火の暴風となって巨大レーザーマンを呑み込んだ。

灼熱の業火による暴風に巨大レーザーマンはなす術なく塵も残さず燃やし尽くされた。

 

「やったねD(ダーク)ロックマン!」

 

「まぁ。僕達の敵じゃなかったって事だね。」

 

やはり、獣化した二人の力は凄まじいものだった。元々獣化はロックマンの力故に、ロックマンと融合し獣化していたトリルと、ロックマンから分離して生まれたD(ダーク)ロックマンとは適合していたのだろう。

 

 

トリルとD(ダーク)ロックマンの業火の暴風によって巨大レーザーマンが倒されるのを、紅丸達も離れた距離であったが確認した。

 

「二人共やったようだな。」

 

「あの業火…二人であの力を合わせたようだな。」

 

「実に見事な炎だ。」

 

紅丸、カーネル、哭陽(コクヨウ)の三人は、トリルとD(ダーク)ロックマンがどう倒したのかある程度予想でき、二人に感心しながら笑みを浮かべていた。

 

「あの巨人を倒すとは、やはりミリム様が認めた者達の配下だけはあるな。」

 

「いやミッドレイ様!普通に可笑しいですよ!」

 

ミッドレイがそう言うと、ヘルメスが声を上げるのだった。

 

 

 

 

巨大レーザーマン二体が倒されるのを、ジャミングマンの目を通して見ていたリーガル。

 

「ほう。私の他にあの昆虫型の機械を扱う者がいたか。どうやらまだ不完全のようだが、良い情報(データ)を得られた。それに、もう一人のロックマンとD(ダーク)ロックマンの獣化も見ることが出来た。今回はここまでにしておくとしよう。」

 

リーガルがそう言い終えると、電脳変換機(デュメンショナルコンバーター)はジャミングマン達によって転送され回収された。ジャミングマン達も転移して去った。

 

それにより、電脳領域(デュメンショナルエリア)も解除された。

 

「これは。」

 

「リーガルが手を引いたようだな。おそらく、必要な情報(データ)を得たというところか。」

 

「フォルテ様とカーネルの言っていた通り、無駄な事はしない奴のようだな。」

 

「捕虜を乱暴に扱うではないぞ!傷を負った者は治療するのだ。」

 

紅丸、カーネル、哭陽(コクヨウ)が話し合う中、ガビルが皆に指示を飛ばし降伏したクレイマン軍の魔人達の治療を開始した。

 

こうして、本当の意味でクレイマン軍との戦いは終わった。

 




暴風大妖渦(カリュブディス)を倒した後でリーガルの更なる策略。
巨大レーザーマン!だがフォルテはそれを予測していたので無事に撃破。
キングオージャーZEROを出すならこの場合かと思い出しました。

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