転生したらフォルテだった件   作:雷影

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遂にクレイマンとの対決が始まる。
数的に不利な筈のクレイマンだが…それを想定していない筈がなく。
またリーガルの手助けが…。


83話 魔王達の宴(ワルプルギス)(後編)

リムルとフォルテによるクレイマンへの戦いと言う名の裁きが始まろうとしていた。

 

その様子を笑みを浮かべて見ている魔王ギィ。

 

(…面白い。“十大魔王”など人間が勝手に決めた呼称だ。数などどうでもいい。)

 

ギィが見守る中、リムルが円卓に触れると暴食之王(ベルゼビュート)で取り込んだ。

 

円卓が消えると、子狐は躍び跳ねて着地し、ディーノはそのまま床で寝そべった。

 

「皆さん宜しいのですか?下等なスライムの暴挙を許して…これは我々魔王に対する侮辱ですよ‼︎」

 

往生際の悪く声を上げるクレイマン。

 

「別にいいじゃねぇか。」

 

そんなクレイマンの声に対してギィが口を開く。

 

「クレイマン。お前も魔王なら、自身の力でもってそいつらを倒してみせろ。(弱者に“魔王”の名は相応しくない。そろそろ、本物の魔王達による支配の時代が始まるべきだろう。)」

 

ギィがそう思う中、クレイマンとリムル、フォルテの戦いが始まろうとしていた。

 

「場所は作った。」

 

「さっさと始めようか。」

 

リムルとフォルテがそうクレイマンに向かって言う。それに対して、クレイマンは手で顔を覆う。

 

「クッ…クックック。やれやれです。」

 

クレイマンがそう言うと、子狐がクレイマンの元に駆け寄る。

 

「自分の手を汚すのを嫌ったばかりに、余計に面倒なことになってしまった。本当に失敗でした。策士策に溺れるとはこの事でしょう。」

 

そう言って、クレイマンは小狐を抱える。

 

「出番ですよ。ミリム。」

 

クレイマンの言葉にこの場にいる者全てが反応し、一斉にミリムを見る。

そして、……人形のように動かなかったミリムが立ち上がった。

 

「ああ…。お前さ、結局は他人頼りか?」

 

「くだらんな。勿論私も戦うさ。それに、ミリムは人の命令に従うような娘ではないでしょう。これは彼女自身の意思さ。ギィよ。文句はあるまいな?」

 

「ああ。構わないさ。ミリムが自分の意思で君に手伝うというのなら止めないとも。」

 

ギィもミリムの参加を認めた。それにより、リムルは不安そうにミリムを見る。

 

(……不味い。クレイマンは兎も角、ミリムはヤバい。)

 

ミリムの強さを知るリムル。ミリムが本当に操られているのなら、以前の訓練の時のような手加減はなく、ミリムの本気の攻撃が襲って来ると危機感を感じていた。

 

そんなリムルの前に、フォルテがミリムに立ち向かう様に前に出る。

 

「フォルテ……!」

 

「リムル。…ミリムは俺に任せろ。」

 

フォルテはそう言いながら、リムルに念話で話し掛ける。

 

『リムルがクレイマンと話している間に、ミリムを解析してみた。』

 

『それで?』

 

『やはり、ミリムは操られた振りをしているだけだ。』

 

フォルテの念話を聞いて、リムルは安堵の笑みを浮かべた。

 

『そうか。…良かった。』

 

『どうやら、ミリムの首に着いているあのペンダントから呪法が発動しているようだが、ミリムには一切効いていない。』

 

『成る程。じゃあミリムにもう操られた振りをしなくてもいいって言えば終わりだな。』

 

『……いや。多分無理だな。』

 

『えっ?なんでだよ。』

 

『ミリムの性格から考えたら分かるだろ?俺達と本気で戦えるこの状況を、ミリムが逃すと思うか?』

 

『あっ……。』

 

フォルテに言われ気付いたリムル。

 

リムルは目線をミリムに向ける。今もじっと人形の振りをして大人しくしているミリムの姿が見える。

 

『……戦わないと駄目か。』

 

『ああ。ミリムの相手は俺がするから、リムルはクレイマンを倒せ。』

 

『それはありがたいけど、ミリムを相手に大丈夫なのかフォルテ?』

 

『任せろ。俺自身も、真なる魔王となった力を試したかったからな。今の俺が何処までミリムと渡り合えるのか…心が激る。』

 

そう言ってミリムを見据えるフォルテ。

その表情は、戦闘狂の顔となっていた。

それを見たリムルは、苦笑いを浮かべていた。

 

『むっ、無理だけはするなよ。』

 

『分かっているさ。だから、リムルもミリムが操られたままだと思ってそのまま話を進めてくれ。』

 

『分かった。』

 

念話を終えた二人は互いに頷く。

 

「分かった。ミリムは任せたぞフォルテ。」

 

「ああ。」

 

フォルテはミリムを見据え、リムルはクレイマンを睨む。

 

「俺としても、ミリムは助けるつもりだし、俺は力ずくでお前の洗脳を解くとしよう。」

 

リムルの言葉を聞いたクレイマンは苛立ち、歯軋りしながら口を開く。

 

「ほざくなよ。スライムが…貴様は絶望して死ぬんだ‼︎」

 

「死ぬのはお前だよクレイマン。俺が出たんじゃ弱い者虐めになるからな。俺の部下くらいが丁度いい。」

 

リムルはそう言ってアイコンタクトを送る。

それに気付いていないクレイマンは更に苛立つ。

 

「ぬぅっ⁉︎なんだと!」

 

故に、簡単に背後を取られる。後ろから気配を感じクレイマンが振り返ったその瞬間、紫苑の拳による怒涛の連撃がクレイマンを襲う。

 

ドッガガガガガガガ!ドガ!バキ!ドガバキ!ドガバキ!

 

「ヌッアアアアア⁉︎グア!アアアアアアア!」

 

紫苑の怒涛のラッシュに、クレイマンは文字通りタコ殴り

 

「ハアァァァァアア!ふあ!」

 

最後に渾身の一撃をクレイマンの顔面に叩き込んだ。

 

「ぐぅええ!」

 

その一撃でクレイマンは殴り飛ばされ、リムルとフォルテの前に無様に転がり込んだ。

 

「リムル様、フォルテ様。宜しいのですか?」

 

殴り終えた紫苑は、何事もなかったかのようにリムルとフォルテに尋ねる。

その拳にはクレイマンの血がべっとりと付着しており、顔には返り血も付いていた。

 

「お前ね。そういうのは、普通殴る前に聞くんだぞ。」

 

「まぁ。紫苑らしいじゃないか。」

 

呆れるリムルと笑みを浮かべるフォルテ。

 

「グアッ……ヌゥゥ!」

 

殴れたクレイマンは、ズタボロのまま起き上がると、ミリムの隣にまで飛び跳ねる。

 

「きっきさっ…きさま…貴様ああああ!」

 

振り返りながら声を荒げるクレイマン!ズタボロだった身体が、瞬く間に回復していく。

 

「超速再生か…。」

 

「腐っても魔王。流石にタフだな。」

 

「望み通り、皆殺しにしてやる……!」

 

目を血走らせ、怒りに燃えるクレイマン

 

リムルとフォルテの元に紫苑、嵐牙、シズさんが集結!嵐牙はすぐさま本来の大きさまで巨大化

 

それを見たクレイマンは指を鳴らすと、小狐が嵐牙と同じくらいの姿に巨大化し、クレイマンの隣に並び立つと同時に咆哮する。

 

《ミュウランとピローネの記憶から解析した結果、クレイマン五本指の配下である母指の九頭獣(ナインヘッド)だと判明した。》

 

電脳之神(デューオ)がそうフォルテに報せる中、クレイマンの影から更に二体の何かが出現した。

 

黒いローブを纏った魔人形(ゴーレム)と、なんともう一体はレーザーマンだった。

 

そして、九頭獣(ナインヘッド)の二本の尾が分離し、棍棒を持った孫悟空のような魔獣と兎型の魔獣へと姿を変えた。

 

それに対抗して、嵐牙は星狼族(スターウルフ)を二体召喚

 

この状況をリムルは冷静に分析する。

 

(クレイマンに、ローブを纏った魔人形(ゴーレム)とレーザーマン。三頭の魔獣に…ミリム。人数ではこっちが一人多いし、ミリムの相手はフォルテがするからいけそうだな。)

 

そうリムルが思った時、ミリムの右腕に付いている水色の腕輪が光を放ち出した!すると、ミリムの隣にもう一人のミリムが現れた。

 

そう。ミリムに腕に装着されていたのは、鏡身の腕輪(ドッペルゲンガー)だった。

 

「………へっ?」

 

ミリムが増えた事に、リムルは間が抜けた様な声を上げた。

無理もない。あのミリムが増えたのだから。

 

《解析した結果、右腕に装着されている腕輪は魔宝道具(アーティファクト)だと判明した。その能力により、装着者と同一の分身体を作り出した様だ。》

 

電脳之神(デューオ)がフォルテに解析結果を報告。

 

成る程。おそらくクレイマンの仕業だな。

俺達の相手を、全てミリムに押し付けるつもりなのだろう。

 

ミリムが二人になった事で、リムルの余裕が無くなった。

 

「ベレッタ!」

 

リムルはベレッタに協力を求めようと声を上げるが、ギィがそれを認めないとばかりに指を鳴らすと、リムルとフォルテ達はクレイマン達ごと緑の結界に包まれる。

それにより、フォルテの席の側で様子を見ていたウルティマが結界の外側に

そして、この空間が拡張されフォルテ達から椅子ごと離れていく魔王達。

 

十分な距離まで離れると、ギィが手を翳し結界を拡大する。

 

「これは…。」

 

「なんだこれ、椅子が遠くに⁉︎」

 

突然の変化に戸惑うリムル。フォルテは冷静、電脳之神(デューオ)の解析結果を聞く。

 

《結界に空間拡張の影響を確認した。内側より障壁を破るのは困難と思われる。》

 

「そうか。」

 

「これはヤバい…。」

 

フォルテが納得するのに対し、リムルは危機感を感じていた。

 

クレイマン側には、クレイマン、魔人形(ゴーレム)、レーザーマン、

九頭獣(ナインヘッド)と魔獣二体、ミリムが二人の八。

 

こちら側は、リムル、フォルテ、紫苑、シズさん、嵐牙と星狼族(スターウルフ)の二体の七。(ウルティマは結界の外にいる。)

 

数が逆転したうえに、向こうにはミリムが二人もいる。

 

「ふん。ミリム!そいつらを殺せ!」

 

クレイマンが命令すると、ミリム達は俯くと次の瞬間

顔を上げ拳を構えて凄まじい速度で殴り掛かってくる。

 

それに対し、フォルテは同じ様に拳を構えてミリムに向かって突っ込み真正面から迎え打つ。

 

一方のリムルは、分身体のミリムの攻撃を何とか紙一重でギリギリ躱した。

 

(思考加速で時間を引き伸ばして、智慧之王(ラファエル)さんの性能をフル活用して、…それでギリギリか!)

 

躱わせたが、顔の頬の皮膚が抉れスライムの部分が露出してしまった。

 

フォルテは本体のミリムに迫ると、互いに振りかぶり拳を繰り出し激突

 

ドガアアアアン!

 

凄まじい衝撃波が結界全体的に拡散する。

 

その余波で皆の動きが止まり思わず振り向くと、…ミリムとフォルテの拳がぶつかり合いながら互いに動かない……そう拮抗しているのだ。

 

その光景に、クレイマンやリムルは勿論。他の魔王達も目を疑った。

あのミリムの拳を…手加減ではない本気の一撃と同等の威力の拳をフォルテが放った事になるのだから。

 

「ばっ…馬鹿な……!」

 

「おいおいマジかよ…。(フォルテの奴。進化してからは一度も力を発揮していなかったからどのくらい強くなったから分からなかったけど…まさか本気のミリムと互角の力を得たって事か⁉︎)」

 

リムルは苦笑いし、クレイマンは信じられないとばかりに目を見開いていた。

それは他の魔王達も同じで、ダグリュール、ロイ、ルミナス、レオン、フレイはじっとフォルテを鋭い眼差しで見ており、ディーノはありえねぇ〜と言わんばかりに眠そうだった目が開かれ、ラミリスは目を輝せていた。

 

それはそうだろう。生まれて二年ばかりの新種の魔人が、あのミリムに匹敵する力を持っているのだから。

 

「…ほう。」

 

その光景を見たギィは面白いとばかりに笑みを浮かべていた。

 

そして、拳をぶつけ合ったミリムとフォルテは…。

 

「……フッ、フフフ……。」

 

フォルテが笑った。……だが、その笑い声には若干狂気を感じる。

 

「この俺がミリムと互角……最高だ!さぁミリム‼︎今まで応えられなかった分、今の俺の力を楽しんでもらうぞ‼︎」

 

今まで抑えていたフォルテの闘争本能が解放され、漫画版フォルテの様な戦闘狂の笑みを浮かべながら声を上げる。

 

それに対して、ミリムも笑みを浮かべて答える。

 

そして、二人は同時に飛翔して空中で激しくぶつかり合う。

 

リムル達の真上でフォルテとミリムがぶつかり合う度に円形の衝撃波が広がる。

まるでドラゴンボールの様なバトルが繰り広げられている事に、リムルは開いた口が塞がらなかった。

 

だが、すぐ皆は戦闘を再開する。

紫苑がクレイマンと魔人形(ゴーレム)をまとめて相手を開始

 

「ちょこざいな!」

 

嵐牙が九頭獣(ナインヘッド)を牽制し、シズさんはレーザーマンの攻撃を躱しながら攻撃を仕掛けるも、バトルチップの能力を巧みに使うレーザーマンに中々攻撃が決まらない。

 

そして、リムルは分身ミリムの攻撃を躱し続ける。

 

(フォルテが本物のミリムを相手してくれているけど、この分身体のミリムもヤバすぎる!…なんとか攻略法を見つけないとやられる!)

 

 

こうして、結界内で激しい戦いが繰り広げられるのを、ギィ達は見物するのだった。

 

そして、リムルが分身体のミリムに苦戦している姿を見て、ラミリスが慌て出す。

 

「ちょっちょっとヤバくない?ヤバくない⁉︎リムルとフォルテの方が七人で、クレイマン側が八人⁉︎まず数で不利じゃん‼︎しかもミリムが二人になってるし⁉︎」

 

「わかってます。わかっていますからラミリス様。」

 

慌てふためくラミリスを落ち着かせるベレッタ。

 

「ですから……ラミリス様。我も戦いたく存じます。」

 

ベレッタの申し出に、ラミリスは笑顔で頷く。

 

「ちょっとギィ!アタシはリムルとフォルテにつくから、ウチのベレッタも参戦させたいんですげど!」

 

「駄目だ。」

 

ギィがそう言ったので、ラミリスは直様ギィの前に飛んでいき抗議する。

 

「何でさ⁉︎」

 

「ああん?あれはあのスライムとフォルテって魔人のクレイマンとの喧嘩だろ?お前が混ざる理由がねぇ。」

 

「何言ってんのさ!ミリムだって参戦してるじゃん!」

 

そう言ってギィの鼻を掴むラミリス。

 

「アイツはいいんだよ。」

 

「何よそれ⁉︎何でアタシは駄目なのさ⁉︎」

 

「うるせぇな。ミリムにはミリムなりの思惑があるだろうからさあ。」

 

「それじゃあ、アタシは何も考えてないみたいじゃん!」

 

「違うのかよ?それによ。……お前の従者は誰に忠誠を誓っているんだ?」

 

そう言ってギィはベレッタを見る。

 

「もう一人の従者である樹妖精(ドライアド)は、お前を守る事に全力を注いでいる様だが、ベレッタとやらは違うな。魔鋼製の人形に受肉した悪魔(デーモン)の様だが、召喚主(マスター)はお前じゃねえだろ。忠誠を誓っているようだが完全じゃないみたいだぜ。そんな怪しい奴を信用してもいいのかよ。」

 

ギィの言葉を聞いたベレッタは、ギィの方と歩みながら口を開く。

 

「…確かに、我は主を天秤にかけております。召喚主(マスター)及び造物主(クリエイター)としてのリムル様。そしてラミリス様。」

 

「…こいつは俺の古い友人でな。その従者が、主を天秤にかけるのは見過ごす訳にはいかねぇ。今この場で決めろベレッタ。お前の唯一の主は誰だ。

 

そうギィに圧をかけられても、ベレッタは臆する事なく歩むながら言う。

 

「…では、我のこの命続く限り、ラミリス様に忠誠を捧げると誓いましょう。なので、一度だけリムル様のお役に立つ事をお許し願いたい。」

 

「…それは、忠誠を誓うと言える行動か?」

 

「言えます。リムル様の願いが、我がラミリス様を守護する事。そして我もまた、ラミリス様に仕える事を良しとしています。ですから、矛盾は発生しておりません。我は、リムル様へ恩返しをしたいのです。我がそう望むのと同様、ラミリス様もまた、リムル様を救いたい願っておりますれば。」

 

そう言ってギィの元まで来たベレッタ。

 

「ほう。俺に対し、ここまで臆面も無く物申すか。ラミリス。コイツの言葉に間違いはないか?」

 

「勿論だよ!」

 

「ふーん。お前が望むから、コイツも動くか…良い従者を手に入れたじゃねぇかラミリス。」

 

「うんうん!手に入れたんじゃないよ。仲間になったんだよ!ベレッタも、トレイニーちゃんも。そして、リムルとフォルテもね。それにそれに、みーんないっぱい!」

 

そう笑顔で話すラミリスの姿を見たギィは笑みを浮かべた。

 

「…まぁいいけどよ。」

 

「感謝します。原初の赤…ルージュ。」

 

ベレッタはギィに頭を下げる。

 

「その呼び名はやめろ。貴様にも、ギィと呼ぶ事を許す。正しさっき言った通り、今後一切ラミリス以外の主は認めねぇがいいな。」

 

「勿論。ギィ。先ほど申した通り、我は今後は全力でラミリス様にのみ忠誠を誓います。」

 

「本当にいいのか?」

 

「はい。リムル様にはフォルテ様と同じように、我よりも強き悪魔族(デーモン)がお仕えしておりますゆえ。」

 

その言葉に、ギィは反応する。

 

「ふむ…。(悪魔族(デーモン)は普通強い主を望むし、自身の強さによって主に認められたいと願う。だが、こいつは戦う力とは別の物を重要視しているようだ。まるで()()()のように。)」

 

「それに、我は研究が好きなのです。ラミリス様との研究の日々はまさに夢のよう…おっと、失礼しました。」

 

「一つ聞く。お前の系統は?」

 

「ん……我は末端。上位悪魔(グレーターデーモン)でした。ですが、我と同系統は非常に少ないかと思います。」

 

「数が少ない系統か…そうかよ。道理で俺を恐れない訳だ。あの系統は、自分勝手で興味本位だからな。そんなお前が、自分より強いと認める者がいるのか?」

 

「我などまだまだです。あの方がリムル様にお仕えする以上、今を逃せば活躍の場など無くなりますので。」

 

ベレッタの話を聞いて、ギィはリムルに仕えているのが誰か分かり納得した。

 

「ふむ…なるほどな。お前の気持ちは理解した。行っていいぜ。」

 

そう言って、ギィが手を翳すと結界に人が一人通り潜れる穴が開いた。

 

「それでは失礼。」

 

ベレッタはその穴に飛び込む

 

「ベレッタ!しっかりね!」

 

ベレッタが穴を通過すると、穴はすぐに閉じた。

 

(そうか…そうかよ。お前も動くか。原初の黒…ノワール。(ノワール)が仕えるとなると、あのスライムはさぞかし面白い存在なのだろうな。リムルと言う名だったか…覚えておくとしよう。)

 

ギィがそう思っていると。

 

「へぇ〜ベレッタは面白いね。僕の配下に欲しいくらいだよ。」

 

いつの間にかギィの背後にウルティマが立っていた。

 

「ぬぅわ⁉︎ビックリした…。」

 

突然のウルティマの登場に驚くラミリス。

 

「…そういえば、お前もいたんだったな⋯⋯原初の(ヴィオレ)。」

 

ギィは何事もなかったかのようにそうウルティマに言う。

 

「……その呼び方はもうやめてよね。今の僕はウルティマだよ。」

 

ウルティマの言葉に、ギィは目を見開く。

 

「まさか、お前に名を与えた奴がいるとはな。気まぐれなお前が、あのフォルテって奴の従者として来た事には驚いたが……名を与えたのもフォルテって奴か?」

 

「そうだよ♪」

 

ウルティマは笑顔で答える。

 

「成る程な。お前に名を与えられる程の存在なら、ミリムと対等に戦えるのも当然か。」

 

そう言って、結界内で激しいぶつかり合いを続けるフォルテとミリムを見るギィ。そして、再びウルティマに目線を向けると、ウルティマの依代が普通でない事に気付いた。

 

「……まさかと思うがウルティマ。お前のその依代もフォルテがお前に与えたのか?」

 

「うん。フォルテ様が僕の為に用意してくれた最高の依代だからね。」

 

「それほどの依代を用意出来るとなると、フォルテって奴はとんでもない存在のようだな。……で、お前は助けにはいかないのか?お前なら俺の結界を破れるだろう。」

 

「う〜ん。本当ならそうしたいけど、フォルテ様からは指示があるまで待機しているように言われているからね。」

 

そう言いながら、ウルティマは魔王達の宴(ワルプルギス)に向かう前、フォルテからの命令を思い出していた。

 

 

 

Dザウラー・S……デスザウラーを回収しにいく前、

フォルテはウルティマに命じていた。

 

「ウルティマ。俺達がクレイマンと戦闘になった時、悪いがウルティマは俺が呼ぶまで待機してくれ。」

 

「うん。分かった。でも、理由は教えてくれるよね?フォルテ様。」

 

「勿論だ。ウルティマは他の魔王とは何人か顔見知りなんだろ。」

 

「うん。」

 

魔王達の宴(ワルプルギス)でその魔王達と会うんだ。敵対する可能性もある以上、こちらの手の内はなるべく隠したい。」

 

ウルティマは俺の名付けとリリスモンの身体を得て進化した。

その力は並の覚醒魔王を超えている。故に、本当の危機的状況となるまで待機してもらうのだ。

 

 

 

(…フォルテ様は、あれだけ強大な力を持っていながら驕らず、常に警戒しているからね。実際あのミリムといい勝負してるし、あんな楽しそうなフォルテ様の姿も、もっと見ていたいからね。)

 

ウルティマは、フォルテの用心深さに感心しながらフォルテの戦いを見守るのだった。

 

「ほう。気まぐれなお前が命令を守るとはな。……フォルテか。俺も興味が湧いてきた。」

 

そう言って、ギィはミリムとぶつかり合うフォルテの姿を見据えるのだった。

 

 

そんなミリムとフォルテの真下では、リムルがミリムの分身体の攻撃を人間体とスライムの姿を巧みに扱いながら必死に躱し続けていた。

 

(マジでやべぇ!智慧之王(ラファエル)さんがいなかったら、とっくに死んでるわこれ!)

 

リムルがそう心の中で思っていると、横から爆発音が聞こえ振り向く。

そして目に映ったのは、クレイマンの魔人形(ゴーレム)の攻撃を躱し続ける紫苑の姿だった。

 

「フッフッフッフ。この私の最高傑作であるビオーラはどうです?」

 

クレイマンの魔人形(ゴーレム)であるビオーラは、四本の腕を巧みに扱い炎と雷で紫苑を翻弄する。

 

「フッフッ!美しいでしょう。」

 

クレイマンがそう自慢する中、ビオーラは更に氷槍を放って紫苑の動きを止めてその隙に合掌し、振動波を放って紫苑の動きを完全に封じ込めた。

 

 

(確かに強いが、言うほど美しいか?)

 

リムルは、クレイマンのずれた美的センスに疑問に思ったが、ミリムが蹴りと拳を放ってきたので、即座に回避する。

 

なんとか躱したリムルは、紫苑に目線を向ける。

剛力丸を盾に振動波に耐える紫苑は、鋭い眼差しでクレイマンを睨んでいる。

 

(怒ってる……あれが爆発すると怖いぞ…。)

 

リムルが紫苑の怒りが爆発する心配をしていると、ベレッタがリムルの元に辿り着いた。

 

「お待たせして申し訳ありません。リムル様。我の力もお役立てくださいませ。」

 

ベレッタが来た事に、笑顔で喜ぶリムル。

 

「待ってたよベレッタ!紫苑に手を貸してやってくれ!」

 

「ははっ!」

 

「ベレッタ!遠慮は要らん!叩き潰せ‼︎」

 

リムルの命に従い、紫苑を助ける為にビオーラに立ち向かうベレッタ。

 

(これで紫苑は大丈夫。後は……。)

 

リムルが次に目線を向けたのは、レーザーマンと戦うシズさんだった。

 

レーザーマンがシズ目掛けて魔力光線(レーザー)を連射し、シズさんはそれを躱しながら接近

 

「はぁ!」

 

シズさんが蒼炎を纏った剣で斬り掛かる。

 

「ふん!」

 

それをレーザーマンは障壁(バリア)を展開し、シズさんの剣を弾く。

 

シズさんが距離を取ると、レーザーマンは地面に手を叩きつける。

 

「津波!」

 

その瞬間、レーザーマンの手から水が噴き出し、大津波となってシズさんに迫る。

 

だが、シズさんは慌てる事なく剣を振るい蒼炎を津波に向かって放った。

シズさんの放った蒼炎が津波に激突した瞬間、津波が蒸発し辺りが水蒸気に包まれた。

 

水蒸気が晴れると、シズさんとレーザーマンは油断なく構えていた。

 

「……やはり侮れん相手だ。シズエ・イザワ。」

 

今まで殆ど喋らなかったレーザーマンが突然口を開いた。

その声色と喋り方は、……やはりアニメと同様リーガルと同じだった。

 

「君……喋れたんだね。」

 

「当然だ。偉大なる魔王クレイマン様の脅威となる者は排除する。」

 

そう言って、レーザーマンはシズさん目掛けて再び

魔力光線(レーザー)を放つ。

 

 

そして、その様子見ていたリムルは。

 

(…やっぱりレーザーマンは侮れない相手だな。だけど、シズさんなら大丈夫な筈だ。)

 

リムルは視線を分身体のミリムへと戻す。

 

(俺はこの分身体をなんとかするから……本物のミリムを満足させてくれよフォルテ…。)

 

リムルはそう願う。そして、真上で本物のミリムとぶつかり合っているフォルテは

 

ドゴォン!ドゴォン!バゴォン‼︎

 

今なお、互角の殴り合いを続けていた。

 

「はぁ!」

 

再びぶつかる拳と拳。その衝撃を利用し、互いに一度距離を取る。

 

「…楽しい。実に楽しいな!本気で殴り合える相手がいることがこれほど嬉しく心が満たされるとは!今ならミリムの気持ちが良く分かる!」

 

自分が本気を出してぶつあり合える。それがフォルテの中に燻っていた闘争心を満たしていた。

フォルテの言葉を聞いたミリムは、操られたふりの為、生気の無い目をしているが、表情がもう隠せていない。

自分の気持ちを理解し、本気でぶつかってくれるフォルテに、ミリムは嬉しく笑顔を浮かべている。

 

「ミリム…。今から放つ俺の攻撃を受けてみろ!」

 

そう言って、フォルテは右手に青い光の剣を出現させ握り締める。

 

夢之剣(ドリームソード)!」

 

フォルテが光の剣を振るうと、巨大な斬撃波がミリムに向かって放たれた。

迫る斬撃に、ミリムは笑顔を浮かべたまま、なんと手刀で夢之剣(ドリームソード)の斬撃を斬り裂いた。

 

斬撃を斬り裂いたミリムがフォルテを見ると、今度は左手に赤・青・黄・緑の四色の輝いを放つ光の剣を握っていた。

 

元素之剣(エレメントソード)!」

 

フォルテがその光の剣を振るうと、今度は炎、水、雷、風の四属性の斬撃波を放った。

 

迫る四属性の斬撃も、ミリムは手刀で全て斬り裂いた。

 

だが、この四属性の斬撃は囮だった。

ミリムが再びフォルテを見ると、右腕に五つの砲口がついた連装砲を構え、左腕には四つの砲身がドリルの様に螺旋状に混ざり合ったガトリング砲を構えている。

 

連装砲撃(ゼータ・キャノン)無限機関砲(ムゲンバルカン)!」

 

連装砲から五連射される魔力弾と、超高速回転から放たれる超連射魔力弾がミリムに迫る。

 

ミリムは咄嗟に両腕を交差させて自身を守る。

凄まじい魔力弾の連射が、止まることなく撃ち続けられミリムを襲う。

 

放たれ続ける魔力弾の嵐……一向に止まる気配が無い。

 

フォルテが使用しているのは、エクストラスキルと化したP.A(プログラムアドバイス)だ。

トリルやD(ダーク)ロックマンでもP.A(プログラムアドバイス)の使用には両腕を使うが、覚醒魔王に進化したフォルテは片腕で使える。

よって、P.A(プログラムアドバイス)を二つ同時に使用可能なのだ。

 

更に、連装砲撃(ゼータ・キャノン)無限機関砲(ムゲンバルカン)は連射型の攻撃であり、ゲームと違い使用者の魔素を消費して撃ち続ける。

他の者が使えばあっという間に魔素が無くなってしまってもおかしくない。

だが、フォルテは無限供給(インフィニットレイヤー)によって文字通り無限に最大威力で撃ち続ける事が可能。

 

凄まじい魔力弾の連射に、他の魔王達も見入っていた。

 

やがて、フォルテが撃つのやめる。…ミリムの周囲は爆煙に包まれている。

爆煙が晴れていくと、やはり無傷のミリムの姿があった。

 

「まぁ。この程度の攻撃じゃ効くわけもないな。」

 

互いに笑みを浮かべるミリムとフォルテ。

 

(ミリムも楽しんでいるな。……さてリムルの方は大丈夫か?)

 

フォルテが視線をリムルの方に向けると、リムルが分身ミリムの拳をスライムの姿に戻って躱しながら暴食之王(ベルゼビュート)で分身ミリムの魔素(エネルギー)を吸収していた。

 

(成る程。少しずつでもダメージを与えいく作戦か。)

 

暴食之王(ベルゼビュート)によって魔素(エネルギー)を吸われ宙に浮かんだ分身ミリム。

 

それを見たリムルはチャンスとばかり接近し、分身ミリムの腕を掴んで一本背負いで投げ飛ばそうとする。

 

「いかん!」

 

だが、それは分身ミリムの仕掛けた罠であり、投げ飛ばされる前にリムルに拳を放とうする。

 

それに気付いたリムルは分身ミリムを投げ飛ばすと同時に後退

フォルテも分身を作り出しリムルの元に向かわせる。

 

だが、投げ飛ばされた分身ミリムはその勢いを利用して反転しそのままリムルに拳を突き出し殴り掛かる。

 

あまりにも一瞬の出来事で、リムルも回避できずフォルテの分身体も間に合わない。

 

(間に合わん!)

 

(これは…死ぬ!)

 

迫る分身ミリムの拳が激突して結界内が衝撃と光に包まれる。

 

 

 

やがて、光が収まると……。分身ミリムの攻撃を受けたのはリムルではなかった。

 

「ほう。」

 

その姿を見たダグリュールが呟き、メイドに扮したルミナスは目を見開いた。

 

「まぁ!」

 

今まで関心が無かったヴェルザードが、嬉しそうに笑顔となっていた。

 

それもそのはず。リムルの身代わりとなって殴られたのは……。

 

「ぐわー⁉︎いきなり何をする‼︎酷いではないか‼︎」

 

「ヴェッヴェルドラー⁉︎」

 

そう。ヴェルドラだった。




鏡身の腕輪でミリムを増やし、レーザーマンを加えて立ち向かうクレイマン!
クレイマンの魔人形(ゴーレム)ビオーラは、漫画では瞬殺でしたが、アニメでは紫苑に善戦するくらいの強さがありましたよね。
リベンジでは新生ビオラが登場していましたが、ビオラだったら紫苑やベレッタでも敵わなかったかも。

レーザーマンと戦うシズさん。バトルチップの能力を組み合わせて対抗するレーザーマンに、シズさんはどう勝利する?

そして、手加減ではなく本気のミリムと互角に殴り合うフォルテ!
進化したフォルテの力はまだまだこんなものではないが、……手の内を他の魔王達の前で曝け出すのはまだしないのであった。
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