この出会いはフォルテにとっての運命も引き寄せる。
ブルムンド王国。そこにある自由組合ブルムンド支部では、ギルドマスターであるフューズにボロボロの姿になっている三人の冒険者が何か報告していた。
「東の帝国がジュラの大森林を越える動きはない…今のところはな。では報告を聞こう。ジュラの大森林はどうだった?」
「大変だったんだぜ!よく無事に戻ってきたの一言はないのかよ⁉︎」
「……報告を聞こう。」
「帰ってきたばっかりなのによ。」
「早くお風呂に入りたい…。」
「大変だったのは旦那とあねさんの口喧嘩を止めていたあっしのほうだと思いますがね。」
「ん?」
「いや⁉︎えっ…と、洞窟内ではヴェルドラの消滅を確認。その後内部を調査したが魔物同士が争ったような痕跡があったが他には何も確認できなかった。」
「何も?」
「何もです。」
「うーん…洞窟に関してはわかった。」
「じゃああっしらはこれで…。」
「三日間の休暇をやろう。」
「「「え?」」」
「次は洞窟ではなく森の周辺の調査だ。」
「「「え⁉︎」」」
「ヴェルドラの消滅により魔物の活性化が予想される。さっき言った洞窟内の魔物同士の争いのような変化を見逃すな隈なく丁寧にな。行っていいぞ。」
「行っていいぞじゃねえぞ!」
「三日ってなんですか⁉︎帰って来たばっかりなんですよ!もっとお休みくださいよ‼︎」
「……その言葉ギルマスに直接言って欲しかったすよ。」
荒れる冒険者達、そんな彼らに仮面を付けた女性が話しかける。
「失礼。もしかしてジュラの大森林に向かうのではないだろうか。」
「そうだと言ったら?」
「森を抜けるまで同行させてもらえないだろうか。」
「いいわよ。」
「ちょ⁉︎お前!リーダーの俺が許可出す前になんなの⁉︎」
「いいじゃない、旅は道連れ世は情けってね。私はエレン。こっちがリーダーのカバルでこっちがギド。貴方は?」
「シズ。」
こうしてこの冒険者達とシズと言う女性がジュラの大森林に向かうことになった。
ジュラの大森林その中にある川の前にリムルとフォルテそしてランガとゴスペルがいた。
「いいかランガ、よく見てろよ。」
「は!」
「リムル!変〜身‼︎」
そう言ってリムルが黒い霧に包まれるとランガより2回りほど巨大な嵐牙狼となった。その姿はランガをベースに角が2本ある更なる進化をした姿である
「からの〜
黒嵐星狼となったリムルはその2本の角から黒い雷を放ち川の中央にある巨大な岩を粉砕して川の水が中央の爆破により辺りに飛び散る。
「黒稲妻…流石は我が主!」
「リムル様にはいつも驚かされます!」
ランガとゴスペルはリムルの黒稲妻に感激していた。今日はリムルが新しいスキルを試す為に此処に来たが黒稲妻の威力には本当に驚いた。これは使い所を見極めないといけないが充分な戦力になる。
「じゃあ次は俺だな。」
そう言って俺は川の前に立ち両腕を上げて集中する。すると手の平に光が集まり青く輝く光の剣が出現!
「
俺がその剣を振るうとその斬撃が川を割り川底さえ切り裂いた。
夢之剣……まさか本当に使えるとは思わなかった。
カイジン達とドワルゴンから出て村に戻ってきてから数週間、カイジンが村のボブゴブリン達に鍛治などを教える為に手本で打ち終えた鋼の剣を
《ワイドソード、ロングソードが
「え?マジで…。」
ゲームでは特定のチップを揃えて使える技プログラムアドバンスがこの世界ではエクストラスキルとして使えるようだった。しかもゲームと違い一度獲得すればいつでも使えるんだからまた凄い。
そして今日、リムルが新しく獲得したスキルを試すと聞いて俺も試しに来たが、やはりいいよね夢之剣!ゲームでも最初からよく使う技をまさか現実で使える日がくるとは。
「夢之剣……本当に使えるようになったんだなぁ!くぅー!羨ましい‼︎」
「流石はフォルテ様!」
「素晴らしい威力です!」
リムルはゲームの技が実際使える姿に羨ましそうな表情をする。
村に戻って数週間。俺達の村作りが始まり、仮テントを作りようやく本格的な家作りが始まろうとしていた。
村に戻ってきたときは驚いた。俺達の噂を聞きつけ近隣のゴブリン達が集まっていたから…その数500。
最初は帰ってもらおうかとリムルと念話で相談するが大賢者と解答者から他の種族に淘汰されると言われ、受け入れることにして500人のゴブリン達に名付けをおこなった。もちろん俺は最初からリムルに魔力供給していたから今度は
カイジン達を連れてきてからはボブゴブリンやゴブリナ達はその技術をしっかりと学んでいる。
超一流の腕を持つ鍛治職人カイジン。
ドワーフ三兄弟 長男のガルム防具職人。次男のドルドは細工の腕はドワーフ随一。三男のミルドは器用で建築や芸術にも精通している。
本当にこの四人が来てくれてよかった。
建設中の村に帰ると、ゴブタが仲間達に嵐牙狼の召喚を教えていた。
ドワルゴンで置き去りになりかけた時、ゴブタは自分の影から嵐牙狼を召喚できるようになった。名付けで姿がほとんど変わらなかったが、どうやらその分能力が向上しているようだ。だが、ゴブタは体で感じ覚えるタイプなようで仲間達に召喚をうまく教えられてないようだ。
「リムル様!フォルテ様!」
ゴブタの様子を見ているとリグルドがこちらに走って来る。リグルドはゴブリンロードからゴブリンキングに昇格させ、集まってきた他のゴブリンの村長達のリーダーとして皆をまとめてくれている。
「どうした、何かあったのか?」
「はっ!リグルら警備班から連絡がありました。森で不審な者達を発見したそうです。」
「魔物か?」
「いえ。人間です。」
「人間⁉︎」
「領土拡大を狙った何処かの国の調査隊やもしれません。」
リムルとフォルテがリグルドからの報告を受けている頃。
「うおおおぉぉぉぉぉおお‼︎」
ジュラの大森林。その森の中、カバル一行が
「カバルの旦那が悪いんでやすよ!いきなり
「うっうるせぇ!リーダーに口答えするな!」
「リーダーのくせに迂闊すぎよ‼︎死んだら枕元に化けて出てやるんだから〜‼︎」
「ふははははは!そりゃ無理ってもんだ!何故なら俺も一緒に死ぬからな‼︎」
「イヤーーーーーーっ‼︎」
逃げるカバル達。その中でジュラの大森林を抜けるまでの間、臨時でメンバーとなったシズが足を止め巨大妖蟻に振り向きながら剣を抜く。
「私が足止めをしよう。」
「シズさん⁉︎」
「おいよせ!」
迫る巨大妖蟻!だがシズの剣から炎が燃え上がり、剣を前にかざすと凄まじい炎が巨大妖蟻を焼き払う‼︎そしてシズはそのまま炎を纏し剣で巨大妖蟻を次々と斬り倒した。
しばらくすると巨大妖蟻の群は全滅しシズはその中央に立っていた。
「………凄い。」
あまりの出来事にカバル達が呆然としていると、シズの背後に倒れていた巨大妖蟻が3体起き上がる。
「⁉︎シズさん後ろにまだ‼︎」
エレンの声に振り返りながら構えるシズだが突然シズが頭を押さえて体制を崩した。
それを好機とばかりに巨大妖蟻が一斉にシズに襲い掛かる。
「シズさん‼︎」
エレンが叫んだその直後、青い斬撃が巨大妖蟻2体の首を切断‼︎更に黒い雷が残った1体に落ち粉砕。その爆風によりシズの仮面が飛ばされた。
それを見たカバル達はすぐにシズの元に向かう。
「シズさん大丈夫?」
「…ええ。」
「なんでやす今のは?」
「青い斬撃と黒い雷みたいだったが……。」
辺りを警戒するカバル達。すると煙の中から話声が聞こえる。
「黒稲妻やはり強力過ぎるな、これも封印だなぁ。」
「もう少し威力を下げれば大丈夫じゃないか?俺の夢之剣がうまくできたし可能だと思うが?」
カバル達は警戒し構える。やがて煙が晴れるとそこにはボロボロになってマントを纏った少年のような者とシズさんの仮面を被ったスライムがいた。
「「「スライム?」」」
「スライムで悪いか?」
「えっ?いや……スライムが喋れるなんて…。」
「信じられない。」
「あっしは其処の人のほうも気になりやす。」
カバル達は突然現れた喋るスライムのリムルとフォルテに戸惑うなか、リムルは仮面の持ち主であるシズに近づき仮面を渡す。
「ほら、其処のお姉さんのだろ。すまんなぁ怪我しなかったか?」
仮面を受け取るシズの顔を見てリムルとフォルテは内心驚きながら念話で会話をする。
『思ったより早く会えたな。』
『ああ。もっと先だとばかり思っていた。』
そうシズはドワルゴンの占いで水晶玉に映し出された女性だった。
「えぇ大丈夫。助かったよありがとう。」
俺とリムルはリグルドの報告にあった人間達がどの様な奴らか確認しようと見に来たが、まさか魔物に襲われていたとはな。助けた人間達は疲れていたようなので建設中の村に案内して仮テントの中で休んでもらう事にした。
しばらくして様子を見に行くと中から何やら揉めてるような声が聞こえる。
「ちょ⁉︎お前‼︎それは俺が狙ってた肉!」
「酷くないですか!それ私が育ててた肉なんですけど!」
「旦那方!事食事に関しては譲れないでやんすよ!」
俺とリムルはリグルドの方に顔を向けると、リグルドは申し訳ないような表情で説明してくれた。
「すみません。腹ペコだと言うので食事を。」
「おぉ!いいじゃないか!困っている人に親切するのはいい事だぞ。」
「リグルドいい判断だ。」
「はは!ありがとうございます!これからも精進したいと存じます。」
「リムル様。フォルテ様どうぞ。」
リグルがテントの入り口を開けると中では、鉄板の上で焼かれている肉を必死になって食っている人間達。特に女性の方はしてはいけないような形相で肉を食べている。
この三人の人間は何処かで見た様な気がするが…………。
《洞窟の入り口で遭遇した冒険者達です。》
「お客人。大したもてなしはできんがくつろいでくれておりますか。改めて紹介しよう。こちら我等が主!リムル様!フォルテ様であーる‼︎」
「「「主⁉︎」」」
リムルと俺が主としり驚く人間達。まぁスライムが主だとは思わないよな。
「主で悪いか?」
「いっいや……。」
「ただのスライムではないと思ってたけどまさか。」
「あっしもまさかスライムだけでなく其処の少年が主とは思わなかったでやす。」
困惑している人間達にどう説明しようかと悩んでいると、リムルがあのゲームのセリフを言い出した。
「初めまして。俺はスライムのリムル!悪いスライムじゃないよ♪」
「「ぶっ!」」
俺は思わず吹いてしまう。運命の人も同じく吹いたからやはり日本人の可能性が高い……正座もしているし。
その後、冒険者達はカバル、エレン、ギドと自己紹介をし、運命の人ことシズさんはジュラの大森林を抜けるまでの間だけ臨時でメンバーに入ったそうだ。
カバル達はブルムンド王国のギルドマスターの依頼でジュラの大森林を調査に来たらしい。暴風竜ヴェルドラの消滅で魔物の活発化が予想されてのこと。
成る程。ヴェルドラがリムルの中に入った影響が各国にもあったようだな。
まぁ300年封印されていた存在が突然消えたらそうだよな。
「俺達見ての通り今街を作っている最中なだけでギルド的には問題ある?」
「いや…別に大丈夫だろ。」
「ギルドが口出す問題じゃないしね。国はどうだろう?」
「あっしはよくわかりません。」
「そうか。まぁ今日は此処でゆっくりと休んでくれ。」
「「「ありがとうございます。」」」
カバル達を泊めることにした後、他の国からも調査隊が来てる可能性があり俺は村の周りの偵察に出た。しばらく偵察して他の調査隊らしい人間達がいないのを確認し村に戻ると近くの丘の上でシズに抱っこされているリムルがいた。
「リムル。こんなところで何してるんだ?」
「フォルテ。シズさんとちょっと話をだな。」
「フォルテ君って言ってたよね。君も転生者なんだよね。スライムさんから聞いたよ。」
君⁉︎まぁこの姿だと君呼びされても仕方ないが転生前は三十過ぎのおっさんだから君呼びされると違和感あるな。
「ああ。俺は車に轢かれて亡くなってしまったんだが、死ぬ間際にゲームのキャラのこと思っていたらその姿になっていたんだ。」
「そうなんだ。スライムさんとは転生した場所で会えたんだよね。」
「そうだ。」
「一人じゃなくてよかったね。」
「ああ。シズさんは転生者じゃないようだし異世界人としてこの世界にきたのか?」
そう聞くとシズさんはどこか悲しげな表情で答える。
「ううん。私は召喚者だから…。」
召喚者。それはこの世界の人間に兵器として召喚された者。確か召喚者は召喚主に逆らえぬように魂に呪いを刻まれるとヴェルドラが言っていたが……今は聞かないほうがいいだろう。
そう決めるとリムルがシズさんに問う。
「シズさんはいつ頃召喚されたの?」
「ずっと昔。街が燃えて炎に包まれて…。」
「戦争か。」
「空から爆弾が降ってきて。」
空襲があったってことは……東京大空襲辺りだろう。
「お母さんと一緒に逃げていてその時に。」
「お母さんは。」
そう聞かれるとシズさんは目を閉じた。それだけでどうなったかは理解した。
「……済まない。……そうだ!面白い物を見せてやるよ。」
「面白い物?」
リムルがそう言った後、俺とシズの頭にある光景が見える。おそらく思念伝達でリムルの記憶を見せているのだろう。見えてきたのは誰かの部屋……そしてパソコンに映るエルフの女性が……。
「エルフさん?」
「おわぁお⁉︎違う!そうじゃ!そうじゃない‼︎」
「………リムル。」
「違う!違うからなフォルテ‼︎なしなし無し!今のは無し‼︎見せたいのはこっち!」
次に見えたのは戦争が終結し人々が復興に励み、俺たちの知る日本となる光景だった。成る程、流石リムルだ。これはシズさんも喜ぶはずだ。俺はシズさんの方を見ると予想通りまるで子供のような笑顔で発展した日本の光景を見ている。
「…凄い。絵はがきで見たニューヨークの摩天楼みたい。」
「戦争が終わって平和になったよ。街も経済も発展した。」
「そっか。良かった…お母さんにも見せてあげたかったな。」
「俺はこっちの世界でも皆が平和に暮らせる街を作りたいと思っている。」
「俺達がだろ?」
「あっ!そうだった。」
「そうなるといいね。」
「なるさきっと。」
「きっとじゃなくするだろ。」
「フフフ……ウッ!クゥ!」
突然胸を押さえてシズさんが苦しみだした。
「シズさん⁉︎」
「大丈夫か⁉︎」
「ごめんなさい……多分大丈夫。」
「リムルの旦那。」
そこにカイジンが現れリムルは家を建てる場所の相談に向かった。
「……さっきのは召喚主にかけられた呪いの影響か?」
先程のシズさんの苦しみようがどうしても気になり聞いてみた。
「……そうだね……私にとっては呪いだと思う。」
シズはそう答える。
「そうか……無理せずにもう休んだほうがいい。」
「ありがとうそうするよ。」
俺とシズさんは此処で別れるが、その際シズさんが俺の後姿を見つめていたことに俺は気付かなかった。
私は夢を見ていた。あの日母さんが炎の中に消え私も炎に包まれて死んでしまうと思った。でも気がつくと見知らぬ場所にいて目をの前に知らない人が立っていた。その人はまた失敗かと言って何処かに去ろうとしていた。私は炎に焼かれた痛みと苦しみから無意識にその人に助けを求めた。その人はこちらに顔を向けるとある存在を呼び出した。その者は炎を纏し精霊でその精霊は私の中に入った。
その後に、ケーニッヒと名乗る魔人が現れ私の前にいた人レオンと言う人に戦いを挑むがレオンと呼ばれる人は私をイフリートと呼ぶと私の体の中で何かを感じ私はその中かに突き動かされケーニッヒと呼ばれる魔人を炎で焼き払った。
レオンと呼ばれる人は私の名を聞き私にシズと新しく名をつけた。
これが私と魔王レオン・クロムウェルとの出会い。
私はレオンの側近として使えた。その中でピリノと言う少女と出会い彼女の連れていた魔物にピズと名をつけて友達になった。でもピリノがレオンの元にピズを連れていった時、ピズはレオンに威嚇をした。それを見ていた私は自分の中のイフリートが二人を敵と判断し、そのままピリノとピズを焼き払った。
私は自分の手で友達を殺してしまった。私は深い後悔の中泣いた。
そんな夢の中で私の意識が目覚めると何もない広い空間に私はいた。
何度か見るこの光景、そして、今日はいつもと違って私の前に光る何かが私に語りかけてくる。
《……彼を……救ってください。……この…先…彼には……辛く悲しい出来事が……彼を変えてしまう…。》
その語りかけられた私にある光景が見える。フォルテ君が立っていて深い悲しみの中で彼が声を上げる。そして彼の体が何かに支配され翼を持った巨大な狼の様な獣となり全てを破壊しながら世界を呑み込んでいく。
そこで私は目を覚ました。あの光景は……と思った時、私の中のイフリートがまた私から出ようと暴れた。なんとかイフリートを抑えた後、私は丘の上からスライムさんとフォルテ君が作っている街を見ていた。
「俺達の街は気に入ってくれたかな?」
私が振り返るとスライムさんとフォルテ君がいた。スライムさんは自分が名付けたランガと呼ぶ嵐牙狼に乗っていた。フォルテ君の隣にはそのランガのお父さんであるゴスペルがいた。ゴスペルの姿を見た時、夢で見たフォルテ君の変わった狼の姿に酷似していたことに少し驚いたけど、私は仮面を外してスライムさんに返事する。
「えぇ。とっても。」
私がそう答えるとスライムさんとフォルテ君は喜んでくれた。
「シズさんさえ良ければいつまでだって居ていいんだぞ。」
「俺も喜んで迎えるよ。」
「ありがとう。でも行かなきゃ…此処にいると迷惑をかけちゃうと思うし。」
「迷惑?」
「私の目的は、私を召喚した男を探すこと。」
それを聞いたフォルテ君は心配そうな顔で私を見ていた。
「見つけたらどうするんだ?」
そのフォルテ君に聞かれたけど私もどうするかわからなかった。
「わかった。残念だけどいつでも遊びに来てくれ!いつでも感激するよ。なぁフォルテ、ランガ、ゴスペル。」
「ああ。」
「もちろんです!」
「当然。」
「うん。ありがとう。」
私はそう言ってランガとゴスペルによって抱き寄せた。
「ランガもゴスペルもありがとう。」
そしてシズさん達を見送ろうと皆が集まりカバル達の準備ができ、後はエレンとシズさんを待っていた。
「お待たせ〜。」
エレンとシズさんがこちらに向かってくるが、途中でシズさんが立ち止まった。
「ん?シズさん?」
「ガ!ウグゥ!ガァ!アアァァァァァア‼︎」
突然苦しみだしたシズさんの仮面がひび割れシズさんから強大な魔力が天へと放出され空が雲に覆われシズさんから炎が燃え上がりシズさんを包む。
「シズさん!」
「シズ…シズエ・イザワ⁉︎」
「へ⁉︎」
「シズエ・イザワって…!」
「爆炎の支配者かぁ⁉︎」
「そっそれって五十年前に活躍したギルドの英雄よね!シズさんが…。」
「爆炎の支配者…。」
「グゥ!もう引退したんじゃなかったのか⁉︎」
カバル達はシズさんの正体を知り驚いているが、今はこの状況から皆を避難させなくては
「リグルド!リグル!すぐに皆を避難させろ!」
「しっしかし!」
「フォルテ様!」
「命令だ!皆を守れ!」
「は!承りました!」
リグルド達は皆の避難させるべく動きだし、そして炎に包まれているシズさんから仮面が落ち、その瞳は何か別の者に支配されいるようだった。
『解答者!シズさんに何が起きている⁉︎』
《シズエ・イザワと同化している炎の上位精霊
暴走……成る程シズさんが言っていた呪いって自分に宿っている精霊か。
なんらかのスキルで同化していたイフリートが制御できずに暴走してしまったことが過去にもあったに違いない。
シズさんの瞳に涙が流れるがその涙さえ炎が蒸発させ、シズさんの体はイフリートに完全に支配されてしまった。
俺達の前に炎の上位精霊イフリートが現れた。
「炎の精霊
「間違いないでやす。」
「シズさんは…伝説の英雄爆炎の支配者……あっあんなのどうやっても勝てないんですけど‼︎」
「無理でやす。あっしらは此処で死ぬでやす……短い人生だったでやんすね。」
「ヌアァァァァァァ‼︎」
イフリートが雄叫びを上げると凄まじい衝撃波が俺達に迫る。俺はカバル達の前に出て
土煙が晴れるとイフリートの周り八つの火柱が立ち中から炎の蜥蜴のような竜のような魔物が現れた。
『あれはなんだ?』
《イフリートが呼び出した
これは間違いなく戦闘は避けられない。俺はカバル達に逃げるように言う。
「お前達も此処から避難しろ!」
「いや…そう言う訳にはいかねぇ。」
そう言ってカバル達は立ち上がり武器を構える。
「あの人がなんで殺意を剥き出しにしているのかわからんが。」
「あっしらの仲間でやんすよ!」
「ほっとけないよ!」
いい奴らだなぁ。
「わかった。だが無理はするな。」
「えへへへ…まさか過去の英雄と戦う日がこようとはね。」
「人生……何が起こるかわかりやせんね。」
「おい!お前の目的は何だ⁉︎」
リムルがイフリートに問うが、イフリートは片腕を上げリムルに火球を放つ。リムルは交わしながら水刃を放つがイフリートに触れる前に蒸発した。
やはり単純に水で攻めても効かないか。
イフリートの攻撃を合図に
カバル達に1匹、リムルとランガに2匹、俺には残り5匹が襲ってくる……随分警戒されているようだが俺は浮遊移動で妖精の火炎を躱しながら
何か有効的な攻撃を考えているとランガに乗ったリムルがエレンの放つ氷魔法
そしてその氷魔法の応用した
成る程その手があったか。
俺もエレン達に向かう
「エレン!俺にも
俺の言葉にエレンがまた驚くも先程のリムルの捕食を見てすぐ理解した。
「わかりました!水氷大魔槍!」
俺目掛けて氷の槍が迫る。そいつを軽々と掴んで砕いた。さらにそのまま
《水氷大魔槍を解析しました。氷魔法を使用可能になりました。》
「よしっ!」狙い通りに〈氷魔法〉を獲得できたフォルテがエレン達の前に飛び出すと、彼女らが相手取っていたものを含めて6匹の
「おっおい⁉︎」
「まずいでやす!」
「フォルテさん⁉︎」
エレン達が俺を見る中、俺は手を地面に叩きつける。
「
その瞬間、地面から無数の氷の塔が突き出して
「……すげえ…。」
自分達が苦戦していた
さらにイフリートの左右にもう2体のイフリートが出現した
あれは
《イフリートの分身体です。魔力がかなり込められており、
どうやら俺は相当イフリートに警戒されているようだ……。
「フォルテ!皆!」
そこにランガとリムルも駆けつける。
「お前達此処からはマジで危険だ。俺とリムルに任せて避難してくれ。」
「フォルテさん⁉︎でも!」
「イフリートが本気で暴れ始めたらお前達の体は消し炭だ。そんな事、シズさんは望んでないはずだ。」
俺の言葉にカバル達は悔しそうにするが理解してくれたようだ。
「わかった。」
「フォルテの旦那。リムルの旦那。シズさんを頼みやす。」
「お願い!」
「ああ。任せておけ!ゴスペル!」
「はは!」
俺の足元の影からゴスペルが飛び出る。
「この三人を安全な場所へ!」
「ランガもだ!」
「お任せを!」
「御武運を!」
そうしてゴスペルはカバルとギドを、ランガはエレンを乗せて避難した。
「さぁて。これで心置きなく戦えるな。」
「ああ。リムルは本体を頼む。多分イフリートからシズさんを分離できるのはリムルの捕食者だ。俺の能力吸収だとシズさんまで吸収しかねない。」
「わかった、任せろ!」
俺はリムルに本体を任せ飛翔する。それをイフリートの分身2体が後を追う。
俺は飛翔しながら分身目掛けて攻撃する。
「
無数の光弾が雨のごとく分身達を襲うが分身体は構わず突っ込んでくる!
そして2体同時に火球を放つ!俺は火球の直撃を受けるが……
爆発が起こり分身2体はその場で静止し爆煙を見つめる。
しばらく煙が立ち込む中で煙の中から無傷のフォルテが飛び出す。
「
俺は分身体に腕に集めた
次の瞬間、分身の胸をフォルテの腕が貫いた。
あの一瞬内にイフリートの背後に俺が周りこんでいたのだ。
俺はそのまま能力吸収で分身体を吸収した。
《
こっちは終わった。後は本体だけだと下を向くと巨大な炎の竜巻が発生していた。
《イフリートが炎系最上級魔法
イフリートはリムルも敵と認めていたと言うことか。だが、相手が悪かったな。俺はリムルから耐性スキルを写させてもらった。だから分かる。リムルには熱変動耐性があるから炎系の攻撃は効かない。
やがて炎が弱まり、イフリートはリムルが燃え尽きたと判断して俺に向かうために振り返るが炎から糸が放たれイフリートの動きを封じる
イフリートが振り返ると炎の中から何事もなかったかのように無傷のリムルが出てきた。
「今何かしたのか?」
おっ中々の強者発言だな。
イフリートはリムルが放った糸を燃やそうとするがそれも叶わない。その隙にリムルがイフリートに近づく。
「俺もお前を舐めていたが、お前も俺を舐め過ぎたようだな。」
イフリートはリムルに炎を浴びせるがリムルには効果がない
「俺のターンだ。」
そう言ってリムルはイフリートを捕食した。
それにより暗雲は消え空が晴れる。そして焼けた大地にシズさんが倒れていた。
「あっ!シズさん‼︎」
俺とリムルはシズさんに駆け寄る
「……大丈夫だ。息はある。」
「良かった。急いで皆のところに!」
「ああ‼︎」
俺達はシズさんを皆のいる場所まで運んでいった。
そしてリムルに捕食されたイフリートは脱出をここみるも叶わず、そんなイフリートの前に巨大な影が近づく。
「観念するがいいイフリート。貴様にはこの空間は破れぬ。」
イフリートが声のする方に顔を上げるとその瞬間に目を見開く。何故なら、現れたのは暴風竜ヴェルドラだったからだ。
「リムルとフォルテは我の盟友ぞ。我は暴風竜ヴェルドラ=テンペスト。心ゆくまで相手をしてやろう。ふふふふ…ブッファハッハッハッハッハ!」
ヴェルドラの高笑いが響く中、イフリートはようやく口を開く。
「……暴風竜。」
イフリート戦で少しはフォルテらしい戦いができましたかね?
イフリートから分離したシズさんの命の灯火……シズさんの運命はいかに。