それから、漫画Vテイマー01に登場したあのデジモンも…。
ディアブロからの報告を聴き終えたフォルテは、プリンを没収されしょぼくれているヴェルドラに、よく考えて行動するよう注意してからプリンを渡した。
「おお!感謝するぞフォルテ!」
ヴェルドラは涙しながらプリンを食べ始め、リムルとフォルテは一旦別れ自由行動を取る事となった。
そうして、フォルテが転移し向かったのはプロトエリア。
赤い肉塊のスライムが広がるエリアに降り立ったフォルテ。
そして、フォルテの気配を察したプロトが人の姿でフォルテの前に姿を見せる。
「フォルテ、お帰りなさい。」
「ただいまプロト。」
「
「ああ。これからは魔王の名に恥じないように、より強さを求めるつもりだ。」
「フォルテらしいね。」
フォルテの話に笑みを浮かべるプロト。
「早速で悪いが、デジタルワールドの様子はどうなっているか分かるか。」
「うん。それぞれのエリアで様々なデジモン達が生態系を築き上げいるよ。」
プロトがそう言って手を翳すと、無数のモニターが宙に現れ様々な場所が映し出される。
ジャングルで暮らすクワガーモンなどの昆虫型デジモン達。
海で暮らすエビドラモンやシードラモンなどの海系デジモン。
鉱山エリアで採掘作業をしているメカノリモンやアンドロモンなどのマシーン型とサイボーグ型デジモン達が、採掘した鉱石などをインゴットに加工していた。………よく見るとインゴット全てがクロンデジゾイドだとフォルテは気付いた。
「ここまで、生態系ができているとはな。」
「ヴェルドラ達や、グレイガとファルザーの魔素が満ちているデジタルワールドだから、その魔素から発生したデジモン達がすぐに活動しているみたいだよ。」
「成る程な。」
本来はデジタマから産まれ進化していくのがデジモンだが、この俺の世界では魔素から発生するデジモンもいるようだ。
「デジタマはあるのか?」
「うん。様々な場所で散らばっているみたいだよ。」
モニターには確かに、様々な場所にデジタマがあり、そこから生まれるデジモンの姿があった。
(まだ始まりの町は存在しないようだな。……色々落ち着いたら作る必要があるな。………ん?)
フォルテは各エリアに散らばっているデジタマを見ながらそう考えていると、あるデジタマが目に映った。
それは普通のデジタマと違い、黒い岩の様な殻に覆われた禍々しいデジタマだった。
「フォルテ?」
「……プロト、済まないがあのデジタマを回収しに向かう。」
そう言ってフォルテはすぐさま転移してあのデジタマを回収した。
再びプロトエリアに戻ったフォルテは、回収したデジタマを撫でながら解析した。……その結果、このデジタマがなんのデジモンなのか判明した。
「そのデジタマ……フォルテは何のデジモンか知っているの?」
「ああ。このまま放置したら危険すぎるデジモンだ。」
そのデジモンは漫画に登場し、ゲームでボスキャラとなったデジモン。
ゲームでは、そのデジモンは封印されていて菱形の柩の中にいた。
「フォルテがそこまで言うほどなら、そのデジタマはどうするの?」
プロトがそう問いかけると、フォルテは笑みを浮かべながら言う。
「俺のパートナーデジモンにする。」
「パートナーに?」
「ああ。もし、実際にデジモンをパートナーにするならと前世で考えていた候補の一体がこのデジモンだったからな。」
そう言って、フォルテは自分の魔素をデジタマに注ぎ込む。魔素だけでなく、何かの
やがて、フォルテの魔素を得たデジタマに亀裂が入る。
そして、亀裂が広がりデジタマ全体に入った瞬間、デジタマは弾け生まれた。
生まれたデジモンは、フォルテの前に降り立つ。
その姿は、灰色の胴体に虫の様な節足が六本生えた幼体。
その赤い眼でフォルテを見ると、背中から縦に口が開いて中から鋭い節足が出てきた。
………生まれたデジモンは、アルカディモン幼年期だった。
Vジャンプで連載されていた漫画、デジモンアドベンチャーVテイマー01に登場したオリジナルデジモン。
漫画の設定では超究極体の卵から孵化し、そこから凄まじい強さを見せた凶悪デジモンだ。
公式図鑑では、様々なデジモンのデータを元に人工的に創られた呪われしデジモンとされている。
今回見つけたアルカディモンのデジタマは、まさにその超究極体の卵だった。
おそらく、このデジタルワールドに漂う様々デジモンのデータが集まり、そこに魔素が加わりデジタマとなったのだろう。
「ギチッ、ギチギチッ。」
そんなアルカディモンが、鳴きながらフォルテを見ている。
幼年期とはいえ油断できないのがアルカディモンだ。何故なら、手負いだったとはいえ、究極体のピエモンを一撃で倒すほどの力を持っているのだから。
そんなアルカディモンの赤い瞳を見据えるフォルテ。
互いに動かず視線を向け合っていると、アルカディモンは伸ばしていた鋭利な節足を口の中へと戻した。
そして、フォルテをしばらく見ていると、突然の跳躍!
そのままフォルテの肩の上に飛び乗った。
その後、すぐにフォルテの方へと振り向いた。
「……我が主人フォルテ=テンペスト様。この世に我を誕生させていただき感謝致します。」
そして喋った。本来アルカディモンは、自我があるのか不明で喋る事はない。
だが、フォルテはアルカディモンのデジタマに魔素を注ぐ際、高度な知識データをインストールした。つまり、生まれる前のアルカディモンに短期詰め込み学習を施したのだ。
それにより、アルカディモンは自我に目覚めた。
「気分はどうだ。」
「自分の意志で考え話せる事が嬉しく感じます。」
フォルテの言葉にそう答え、アルカディモンはフォルテの肩が飛び跳ねフォルテの前に降り立つ。
「我はフォルテ様のパートナーデジモンとしてお役に立つ事を誓います。」
本来のアルカディモンは、全てを喰らおうとする本能のままに動く邪悪なデジモン故に封印されている。
だが、このアルカディモンはフォルテが与えた高度な知識データによって、知的の人格になったようだ。
「ああ。これから宜しく頼む……〝アルカディモン〟。」
フォルテがアルカディモンの名を言った瞬動!フォルテの魔素がアルカディモンに注がれる。
そう。名付けである。
本来デジモンは幼年期Ⅰ.Ⅱへと進化し、成長期、成熟期、完全体、究極体へと進化していく。進化すれば当然別のデジモンとなる為、名付ける名をそのままアルカディモンには本来出来ないのだが、アルカディモンは進化ルートを分岐せずアルカディモンのまま進化出来る特殊なデジモンだ。
故に、フォルテはそのままアルカディモンの名を与えたのだ。
フォルテの名付けによって
体色が灰色からピンクとなり、両腕が鎌となった二足歩行の姿…アルカディモン成長期に。
「我への名付け感謝致します。」
アルカディモンはそう言って礼儀正しく御辞儀した。
「ではしばらくはこの中に入っていてくれ。」
そう言ってフォルテが手を翳し、掌から出現させたのは、丸みを帯びた縦長の箱状の端末。中央部にフォルテのエンブレムがあり、左側にボタンがあり右側にバトルチップを装填するチップスロット、下部にディスプレイ画面があるその端末は、ロックマンEXEシリーズ最後に登場したリンク
フォルテはリンク
このリンクPET_EXは、本来の機能だけでなく、フォルテが改良を加えてデジヴァイスの機能を併せ持っている。
備わっているのは、ディーアーク、デジヴァイスバースト、クロスローダーの三つにデジヴィスの機能。
ディーアークのカードスキャンの機能はリンクPET_EXに合わせて、デジモンカードをバトルチップに変換して使用可能となっている。
リンクPET_EXにアルカディモンが入ったのを確認したフォルテはディスプレイ画面に映るアルカディモンに話しかける。
「中の状態はどうだ?何か不具合はないか。」
「問題御座いません。寧ろ快適で、フォルテ様の力を感じます。」
「そうか。なら改めて、これから宜しく頼むぞアルカディモン。」
「はい。フォルテ様。」
こうして、フォルテはアルカディモンをパートナーデジモンとした。
「流石はフォルテだね。あんなデジモンも仲間にするなんて。」
その様子を見ていたプロトが、笑みを浮かべながらそう言う。
「プロトにもこれを渡しておこう。何か気になったりするデジモンがいれば仲間にすると良い。」
そう言って、フォルテは真紅のリンクPET_EXをプロトに渡した。
「ありがとうフォルテ。もうフォルテの用事はこれで終わりかな?」
「いや、…まだやるべき事がある。
そう言って、フォルテが手を前に翳す。
すると、掌から一枚のチップが出現し、そのチップからデータが放出される。それはやがて形を成していき、その姿を現す。
黒い身体に金色に輝く髪と瞳。銀色の胸当てと、両腕の肘まで覆う三本の鉤爪の様な刃を備えた漆黒の手甲を装備した竜人……ブラックウォーグレイモンだ。
このブラックウォーグレイモンは、アニメデジモンアドベンチャー02世界の存在だ。
ダークタワーと呼ばれる黒い塔を100本素材として作り出された人工デジモンだが、彼だけは自我を…心を持っていた。
物体である自分に心が何故あるのか、心ある故に彼は苦しみ悩んだ。
そんな彼の元となったダークタワーがデジタルワールドのバランスを崩壊させる物であると知り、彼は自分の居場所を探す為に旅立った事もあった。
それでも、彼を受け入れてくれる世界はなかった。そして、自身が生まれた元凶である及川を異物として自分ごとこの世から消し去ろうとした。
だがそれは、彼を思うアグモン…ウォーグレイモンに止められ二人はぶつかり合った。そこにインペリアルドラモンも参戦し二人を相手に引き分けとなった。その後、アグモンとブイモンとワームモンに生きて欲しいと諭されて無様でも生きようと決める。その後、伊織に手を掛けようとする及川を止めに現れるも、彼の中に潜む者が伊織の祖父である主税へ襲い掛かろうとした所を身を挺して庇った。
その時、及川の中に潜む者の正体に気付くが、致命傷を負ったブラックウォーグレイモンは最後の力を振り絞り、光が丘のデジタルワールドへのゲートを封印し散った。
そんなブラックウォーグレイモンの最後の瞬間、その時空を観察していたデューオが彼の意識データ…魂を回収していた。
その魂を託されていたフォルテは、その魂を解放し新たな
復活を果たしたブラックウォーグレイモンは、ゆっくりと目を開ける。
「ぐっ!……こっ此処は何処だ?俺は……。」
「目覚めたか、ブラックウォーグレイモン。」
目覚めたブラックウォーグレイモンは、フォルテの声に反応して顔を向ける。
「お前は……ぐっ!」
フォルテの顔を見たブラックウォーグレイモンは、突然頭を押さえる。
そして、ブラックウォーグレイモンの頭に様々なデータが駆け巡る。そのデータによって、ブラックウォーグレイモンは何故自分が生きているのか、此処は何処なのか全てを瞬時に理解した。
「……なるほど。俺は生かされたのか。デューオと言う存在に。」
「ああ。そして、俺がこの世界で復活させた。………真のデジモンとして。」
フォルテによって復活したブラックウォーグレイモンは、もうダークタワーデジモン…人工デジモンではない。魔素を変換した電脳物質体を得た
「…何故だ。何故この俺を復活させた。」
ブラックウォーグレイモンの金色の瞳がフォルテを見据える。
「……俺はお前の事を前世で知っていた。物体でありながら意志を…心を持ち苦しみ続けたお前を。苦しみ悩みながらも、やっと生きようと決意した後に消えてしまったお前を。……俺はお前に生きて欲しかった。だから復活させたんだ…
フォルテは真剣な表情で、ブラックウォーグレイモンに言う。フォルテの鋭い眼差しを見ていたブラックウォーグレイモンは、その言葉が嘘ではないと分かった。
「俺はお前を支配したりしない。お前は自由だ。お前はお前らしく自由に生きろ。…ブラックウォーグレイモン。」
「俺らしくか……。なら俺と戦え。」
フォルテの言葉に対して、ブラックウォーグレイモンはドラモンキラーをフォルテに突きつけながら、フォルテに戦いを挑む!
「俺の頭に入った情報でお前がこの世界の魔王の一人だと分かっている。なら魔王の…お前の力を俺に見せてみろ!」
そう声を上げるブラックウォーグレイモン
……こうなるだろうとフォルテは思っていた。自分の存在理由を求めて強い者達との戦いを求め続けたブラックウォーグレイモンが、自分という強者を前にして挑んでくるであろうと。
「………いいだろう。だが此処で戦うのは少し困る。場所を変えさせてもらうぞ。」
その言葉と共にフォルテが指を鳴らすと、この場にいた者達全員が転移する。
転移先はフォルテシティのインターネットコロシアム。
フォルテ達がフィールドに転移すると同時に、フィールドが荒野へと変わった。
「ここなら思う存分戦える。」
「……そのようだな。」
「プロトは観客席まで離れていてくれ。」
「分かった。」
プロトが離れていくのを見届けた後、フォルテとブラックウォーグレイモンは互いに構える。
「いくぞ!」
先に仕掛けたのはブラックウォーグレイモン
「ハァアアア!」
ドラモンキラーの連続突きでフォルテを攻撃
それに対して、フォルテは
「ハァ!」
攻撃を防ぎながらフォルテは、ブラックウォーグレイモンの溝内に蹴りを放ってそのまま蹴り飛ばした。
「ぐぅ!」
蹴り飛ばされながらも、何とか体勢を立て直したブラックウォーグレイモン。
「やはりこの程度は通じないか……ならば!」
ブラックウォーグレイモンは、両腕のドラモンキラーを頭上で合わせながらその場で高速回転を始める。
「ブラックトルネード!」
高速回転するブラックウォーグレイモンが黒い竜巻となって襲い掛かる。
迫る黒い旋風にフォルテは、
ブラックトルネードを受け止めたフォルテは少し後ろに押され、両手から高速回転の摩擦による火花が飛び散る。
「ハアアア!」
ブラックウォーグレイモンがより力を込める
「ふん!」
それに対しフォルテは、両腕に力を入れブラックトルネードの高速回転を無理矢理止めた。
「なにぃ⁉︎」
ブラックトルネードを攻撃を止められた事に驚くブラックウォーグレイモン
「ハァア!」
受け止めたまま、フォルテはブラックウォーグレイモンを宙へと投げ飛ばす。
「くっ!」
投げ飛ばされたブラックウォーグレイモンはなんとか体勢を整える。
だが、その隙にフォルテが飛び上がりブラックウォーグレイモンに急接近
「
両手に闇の刃を握り締め、ブラックウォーグレイモンに斬り掛かる
「はああああ!」
「うおおおお!」
フォルテの闇の刃とブラックウォーグレイモンの手甲の刃がぶつかり合い火花を散らす
「たああああ!」
「うおおおお!」
互いに繰り出す刃の連撃、互いに敵の刃を弾き返しながら受け流す。
ある程度斬り合うと、二人は同時に飛び引き距離を取る。
互角に思える斬り合いだが、……フォルテの方がやはり剣術が上だった。
「ぐぅぅ……。」
ブラックウォーグレイモンの身体には、フォルテの刃による切り傷が多数あり、フォルテは
「俺の攻撃が殆ど躱されるとはな。……流石は魔王だ。」
「俺の力だけではない。俺を鍛え、強くしてくれる仲間がいるからな。」
「仲間か……。」
ブラックウォーグレイモンの脳裏に、最後まで自分を想い友になろうとしてくれたアグモンの姿が思い浮かんだ。
「そろそろこの戦いを終わりにしようか。次の一撃で決着を付けるのはどうだ。」
「……いいだろう。」
フォルテの提案を、ブラックウォーグレイモンは認めた。
そして、ブラックウォーグレイモンは両腕を前に突き出すと、掌に赤黒いエネルギーが集まりエネルギーの球体が出現する。
それを見たフォルテは、ブラックウォーグレイモンの必殺技が来ると瞬時に理解し、片腕を真上に掲げる!
掲げた腕の掌の上に、紫の魔力弾が作り出し巨大化させていく。
ブラックウォーグレイモンの方は、両腕を真上に掲げて作り出したエネルギー弾を巨大化させ放つ。
それは、負のエネルギーを集めたブラックウォーグレイモンの必殺技
「ガイアフォース‼︎」
放たれた暗黒のガイアフォースがフォルテに向かうが、フォルテは慌てる事なく完成させた超極大魔力弾を放つ。
「
直後、フォルテの闇の魔力弾とブラックウォーグレイモンの暗黒のガイアフォースが正面から激突し、辺りに凄まじい衝撃波が放たれ、大地が裂ける。
二つのエネルギー弾は拮抗しているように一瞬見えたが、フォルテの
「なっ⁉︎」
これにはブラックウォーグレイモンも驚愕
ガイアフォースを呑み込み更に巨大化した
「くっ!」
ブラックウォーグレイモンは避けられないと分かり、背に装備していた漆黒のブレイブシールドを両腕に装備して防ごうと構える。
そして、
「グッアアアアアア‼︎」
爆発と同時にブラックウォーグレイモンの悲鳴が辺りに響いた。
大爆発と同時に辺り一面に広がる爆破の衝撃により辺りの岩山が全て吹き飛んだ。
やがて、爆発の衝撃波がおさまり爆煙が宙を漂う。
フォルテはじっと爆煙を見据えていると、爆煙か晴れ姿を現したのは、ボロボロになりながらも、ブレイブシールドを構えるブラックウォーグレイモンの姿だった。
「………見事だ。」
ブレイブシールドを構えながらフォルテを見たブラックウォーグレイモンは、事切れたかのように力無く落下し地面に激突した。
「ブラックウォーグレイモン!」
フォルテは急いでブラックウォーグレイモンの元に向かう。
コロシアムのフィールドが元のバトルフィールドに戻る中、フォルテはブラックウォーグレイモンの側に降り立ち容体を確認する。
「………ブレイブシールドでダメージを抑えたお陰で致命傷にはならずにすんだようだな……すまない。」
フォルテは謝罪しながらブラックウォーグレイモンの治療を始める。
「……気にするな。俺が望んで戦った結果なだけだ。寧ろ、…流石はこの世界の魔王だ。この俺が倒されるとはな。しかも、お前は本気で戦ってはいたが、全力ではなかった…違うか。」
ブラックウォーグレイモンの言葉に、フォルテは頷いた。
「ああ、その通りだ。……怒っているか?全力で戦わなかったことを…。」
「いいや、お前は全力は出さなかったが手加減した訳ではない。俺がお前に全力を出させられなかった。……ただそれだけだ。」
「ブラックウォーグレイモン…。」
ボロボロになりながらそう話すブラックウォーグレイモン。その表情は、満足そうに笑っているように思えた。
そして、治療が完了し立ち上がるブラックウォーグレイモン。
「完治させられた筈だがどうだ?」
「……ああ、問題ない。」
無事に回復したブラックウォーグレイモンは、フォルテの方に振り向く。
「俺の望みを叶えてくれた事に感謝する。お前は本当に強いな。」
「さっきも言ったが、俺だけではここまで強くなれなかった。仲間や…守るべき者達がいたから今の俺がある。」
フォルテの言葉を聞いたブラックウォーグレイモンは、何かを決めフォルテに向かって手を前に出した。
「ブラックウォーグレイモン?」
「お前の強さがなんなのか、今の俺には分かる。仲間に友……心があるから繋がる絆の力を。」
そう話すブラックウォーグレイモンの瞳は、とても澄んでいた。
「俺を思い、俺の為にここまでしてくれたお前の…フォルテの為に俺はこれから戦いたい。」
「……いいのか?」
「ああ。これが俺が決めた事…俺の意思だ。」
「…分かった。」
フォルテは優しい笑みを浮かべながらブラックウォーグレイモンの手を取り握手を交わした。
「ブラックウォーグレイモン。今日から俺の仲間…もう一人のパートナーデジモンになってくれるか?」
「無論だ。」
「ならお前にも名付けをしよう。今からお前は、俺のパートナーデジモンの〝ブラック〟だ。」
こうして、フォルテはブラックウォーグレイモンを二人目のパートナーデジモンのブラックとして迎え入れた。
当然名付けによって魔素をかなり消費したが、
「そういえば、あの男はもう復活させたのか?」
ブラックはある男を思い出し、フォルテに問いかける。
「いや。まだだが、…せっかくだからこの場で復活させようか。」
「俺は構わん。」
ブラックがそう言うので、フォルテは手を翳してある男が描かれたチップを出現させる。
「さあ貴方も目覚める時だ……
フォルテがその人物の名を言うと、チップからデータが放出され人の形を成していく。紫のロングコートに身を包んだ男……及川悠紀夫。
デジモン02であるデジモンに取り憑かれ、心を支配され悪事に手を染めてしまった男。本来は純粋で友であった火田宏樹と共にデジタルワールドについて語り合っていた。だが、その友の死で心を病みその心の隙を突かれそのデジモンに取り憑かれてしまった。
……最後に夢を信じる気持ちを取り戻し自分のパートナーデジモンと出会うも、取り憑いていたデジモンが肉体から抜け出た事でもはや助からない状態に。そして、最後の力を振り絞り自分の命の全てをエネルギーに変換してデジタルワールドの再生に使って散った。
そんな及川も、デューオは救い出していたのだ。
蘇った及川は、そのデジモンに取り憑かれていた様な生気を失った鋭い目をした痩せこけた顔ではなく、友である火田宏樹と笑い合っていた優しい顔立ちへと戻っていた。
「うっ…こっ此処は一体……っ⁉︎」
目を覚ました及川の脳裏に情報が流れ込み、全てを理解した。
「……俺は助けられたのか。」
「その通りだ及川悠紀夫。」
自分を名を呼ぶフォルテに顔を向ける及川。だが、最初に及川の目に映ったのはフォルテではなくブラックウォーグレイモンだった。
「ブラックウォーグレイモン……。」
蘇った及川の表情を見るブラックウォーグレイモン。
「……奴の影響から解放されたようだな。」
ブラックに関しての情報も及川に与えている。
「…すまなかった。俺を止めようとしてくれたお前を…。」
「……もう済んだことだ。」
「だが、これだけは言わせてくれ。…宏樹のお父さんを助けてくれてありがとう。」
及川はブラックに頭を下げて礼を言う。
取り憑かれたデジモンに支配され、友の父を殺めそうになった時庇ったブラックに今の及川は心から礼を言っている。
「…なら、その言葉は受け取っておこう。」
ブラックの言葉に、及川は頭を上げながら涙する。
「
フォルテは改めて及川の名を呼ぶ。
「お前……いや貴方は…。」
「貴方をこの世界に復活させたフォルテ=テンペストだ。」
「貴方が…。」
「及川悠紀夫。俺は貴方も救われるべきだと思っている。友の死に深く傷つき、悲しみにくれていた貴方をあのデジモン…ヴァンデモンが利用した。それがなければ、貴方の運命は変わった筈だ。」
「……だが、それでも俺がやった事は許される事じゃない。デジタルワールドをあそこまで荒廃させ、多くの子供達に暗黒の種を植え付けた俺は……。」
及川は、自分の犯した過ちに深い後悔を抱いていた。
「……確かにそうだ。だがそれは、貴方が自分の命をもって償った。」
フォルテの言葉に顔を上げる及川。
「それに、そんな貴方を今も待っていた者がいる。」
そう言ってフォルテが指を鳴らすと、及川の前に可愛らしい木の実様な幼年期デジモンが現れた。
そのデジモンを見た及川は目を見開いた。
「おっお前は……!」
「悠紀夫。また会えたね。」
「ピッ……ピピモン」
そう。最後に出会えた及川悠紀夫のパートナーデジモンであるピピモンだ。
「お前がエネルギーになった後、デューオがこの子も連れていたんだ。……二人が再会出来るようにと。」
及川は震えながら腕を広げてピピモンに歩み寄る。
「ピピモン……。」
及川がピピモンを呼ぶと、ピピモンは元気良く飛び跳ね及川の胸の中へ。
そして、及川は優しくピピモンを抱きしめる。
「やっと…やっと悠紀夫に会えた。」
「ピピモン。」
「これからはずっと一緒だよ悠紀夫。」
「ああ。もちろん…もちろんだピピモン。俺達はもう離れない。ずっと一緒だ。」
ピピモンを抱きしめながら涙する及川悠紀夫。
そんな及川の姿を、フォルテは優しい表情で見守るのだった。
これから及川には幸せになってもらう予定です。
そして、パートナーデジモンとしてアルカディモンとブラックウォーグレイモンを受け入れたフォルテ。
エネルギーを吸収し進化していくアルカディモンと強者との戦いを求めるブラックウォーグレイモン。
この二人ならフォルテのパートナーにピッタリかと思いました。
リムルにもパートナーデジモンをつけるなら、どんなデジモンが良いかな?