クレイマンの事をよく知る彼らから、クレイマンの情報を聞き出す為に。
そんな彼らがどうなるのか…どうぞ。
そして、これが今年最後の投稿になります。
そのうちの1人は……紫苑だった。
「はっ!」
鋭い拳が紫苑に迫り、紫苑は両腕を交差させながら受け止めるも、そのまま殴り飛ばさせる。
「くっ…!」
殴り飛ばされる紫苑だが、足に力を込めて踏ん張りなんとか耐える事ができた。
「流石ですね。私の拳の一撃を耐えるとは。」
「ふっ。お前も中々やるではないか。どうやら、私はお前を侮りすぎていたようだ。」
そう言いながら笑みを浮かべる紫苑。その目線の先にいるのは……クレイマン・オルタだった。
2人の戦いを見守るフォルテとリムル達。……何故二人が戦っているのか。
時は少し遡り、オルタを創造した翌日に、執務室でオルタを皆に紹介した。
「今日から俺の第二秘書を務めるクレイマン・オルタだ。」
「皆さん。お初にお目に掛かります。今後とも宜しくお願い致します。」
そう言いながら、丁寧に御辞儀するクレイマン・オルタ。
「……クレイマン?フォルテ様これはいったい……⁉︎」
リムルとフォルテが倒した筈の魔王クレイマンが目の前にいる事に困惑する紅丸達。
「落ち着け紅丸。今からフォルテが説明するから聞くんだ。」
リムルにそう皆に言い、フォルテが事細かに説明した。
「……なるほど。まさかクレイマンを複製して配下にするとは。」
「流石はフォルテ様だよね。」
フォルテの説明を聞いて紅丸とウルティマは納得した。
他の皆も納得する中、1人だけ納得出来ずに声を上げる者がいた。
「私は納得できません!」
「紫苑?」
声を上げたのは紫苑だった。
「どうした紫苑?……やっぱりクレイマンの複製だから
信用できないのか?」
「いえ違いますリムル様!フォルテ様が創造した者なら何の問題ありません。でずが、フォルテ様の秘書としては力不足だと私は思うのです!」
……なるほど。紫苑は本物のクレイマンと戦ったから、
オルタの実力も同じくらいだと思っているのだろう。
すると、オルタが紫苑にある提案をする。
「それでしたら、紫苑殿と私で模擬戦をするのはどうでしょう?私の力がどれ程のものかを直接確かめていただく為に。」
「そうだな。…紫苑もそれでいいか?」
「はいフォルテ様!フォルテ様の秘書に相応しいか、私が直接確かめてやろう!」
「ええ。是非とも宜しくお願いします。」
オルタに指差しながらそう言い放つ紫苑!そんな紫苑に対して、オルタは礼儀正しくお辞儀をするのだった。
そして今、訓練場で紫苑とクレイマン・オルタによる模擬戦が行われているのだ。
「今度は私の番だ!」
そう言って紫苑はオルタに向かって突っ込みながら、クレイマンに放った怒涛の連撃を繰り出す。
「はあああ!」
だが、紫苑の連撃をオルタは涼しい顔て優雅に舞う様に躱していく。
「紫苑の攻撃を全て躱している!」
「それに、
紫苑の連撃を躱し続けるオルタの姿に驚く紅丸と、
紫苑の連撃を躱し続けるオルタは、連撃の隙を突いて横蹴りを放ち、見事に紫苑の腹部に決まった。
「かはっ⁉︎」
オルタの横蹴りを喰らった紫苑はその場に膝をついた。
「そこまで!」
それを見たリムルは声を上げる。
「もう十分だ。大丈夫か紫苑?」
フォルテは紫苑に声をかける。
「だっ大丈夫ですフォルテ様。このくらいどうって事ありません。」
そう言いながら立ち上がる紫苑。
「それに、手加減された攻撃で倒れる様なら、リムル様の秘書は務まりません!」
「やはり、気づいていましたか。」
その言いながら紫苑の前に立つクレイマン・オルタ。
「これはあくまで模擬戦ですからね。紫苑殿に怪我をさせる訳にはいきませんよ。」
「言ってくれるな。だが、お前の実力は分かった。」
そう言ってオルタに向かって笑みを浮かべる紫苑。
「確かにクレイマンよりも、強さが段違いでした。お前ならフォルテ様の秘書も務まるだろう。」
「ありがとうございます。では、これから宜しくお願いします。」
そう言ってオルタは紫苑に手を差し出し、紫苑もその手を取って握手を交わすのだった。
こうして、クレイマン・オルタはフォルテの第二秘書として皆に認められた。
それからのオルタの働きは見事で、ウルティマと共に秘書としてフォルテを支えた。そして、鍛錬も欠かさず紅丸と共に己を鍛えていた。
記憶の解析で、クレイマンは自分の力を過信し、鍛錬など一切していなかった。故にそれ以上強くなる事はなかった。
そんなクレイマンの記憶を引き継いでいるオルタだからこそ、フォルテに与えられた器と力に驕らず、日々鍛錬を積んでいるのだ。
そうして数日が過ぎ、フォルテもデューオから託されている様々な
得たスキルは
正義の執行者と呼べるライダーに変身も可能。
更に、スサノオモンの元となっている十闘士のスピリットを創造できるので、エンシェントやハイブリッド体の十闘士を創り出せる様になった。
新たに得たスキルを確認したフォルテは、リムルと共に
執務室にいた。
今日は、ファルムスからディアブロが経過報告に戻ってくるからだ。
「リムル様、フォルテ様。交渉は予定通りにまとまりました。こちらが和睦協定の証しである証書と、賠償金の一部として星金貨3000枚となります。」
フォルテはディアブロから証書を受け取り、リムルは星金貨を確認する。
「うおおおお……思ったより多いな。よくぞこれだけ溜め込んだものだ。」
「流石は大国ファルムスと言ったところか。」
製造元であるガゼル王から聞いた話しだと、この世界に出回っている星金貨の総数は一万あるかどうかという事らしい。
「確か、一月に一枚しか製造できないんだったな。つまり、全流通の三割がここにある訳だな。」
フォルテは星金貨を一枚手に取りながらそう言うのだった。
「そうですね。ですが大半は、エドマリス王が溜め込んでいた私的財産のようです。どのみち、王家を守る騎士がいない今、貴族派とことを構えれば全て奪われてしまうと考えたようですね。」
「なるほど。」
「それで、予定通り戦争にはなりそうか?」
「はい。間違いなく。」
フォルテの問いに笑顔で答えるディアブロ。
「請求額に足りない分を、借款として貸し付けましたので、新王エドワルドはこれに我慢出来ないでしょうから。それを見越して、王子のエドガーではなく、王弟のエドワルドに王位を継承させたのです。」
「なるほどねぇ〜。国として残りの賠償金を支払いたく無い新王側の勢力が、先王に全責任を押し付けようとするだうね。」
ディアブロの話を聞いて、ウルティマはディアブロの計画の流れをすぐさま理解した。
「ええ。退位し子爵となったエドマリスは、二ドル・マイガム伯爵領に程近い小領地に移り住む事となりました。」
「なるほど。二ドル領にはヨウム達の本拠地がある。何かあったらすぐに駆け付けることができるな。」
「はい。その通りです。」
「新王がエドマリスを切り捨てようと動いても、ヨウム達がそれを阻止するか。」
「その上で、新王の不誠実さを糾弾させる事で乱がおきるでしょう。」
「ヨウムがエドマリスを保護する事で、自然と対立が起きる様に仕向けられているな。流石はディアブロだ。」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。」
リムルとフォルテがディアブロと会話する中、紫苑はなんとか話しについていこう思考を巡らせていた。
「だが、警戒は怠るな。計画は完璧でも、なんらかの外的要因で予期せぬ事態になる可能性もあるからな。」
「フォルテの言う通りだ。それに、なるべく民衆には被害が出ない様にな。」
「お任せ下さい。」
「軍資金が足りないなら、この星金貨も使っても構わないぞ。」
そう言って星金貨を手にするフォルテ。
「お心遣いは大変に嬉しく思うのですが、その必要はございません。できましたら許可を。」
「あ〜…それは却下で。戦力は用意するから、お前が目立つのは避けておくように。」
原初の悪魔であるディアブロが戦えばすぐに終わるだろうが、これはあくまでファルムスの内乱だ。俺達はあまり目立たず助力するだけにする必要がある。
「承知しました。私は目立たぬよう裏方に徹しましょう。」
リムルの命令に従いお辞儀するディアブロ。
「うん。紫苑、ディアブロを見習えよ。」
「なっ…そんな!」
リムルの言葉にショックを受ける紫苑。
「私は常に、リムル様とフォルテ様の言いつけを守っております!」
「う〜ん。それはどうかな〜?」
「なっ⁉︎ウルティマまで⁉︎」
ウルティマにまでそう言われてしまう紫苑だった。
「オルタ、お前もディアブロを見習うといい。お前の足りない部分をディアブロは持っているからな。」
「承知しました。」
フォルテの言葉を聞き、オルタは素直にお辞儀するのだった。
「そういえば、西方聖教会がレイヒムに接触を図ったそうです。」
「レイヒム……?」
「俺達が捕虜にした大司教だな。」
「
「う〜ん……。」
「放置すると、面倒な事になるな。」
「はい。教会側の出方を見る為にも、一度説明に出向かせるべきかと。」
「先の戦いで生き残ったのはエドマリス、ラーゼン、レイヒムと、俺が救った兵士の四人だけだからな。情報を知りたがるのも当然だな。」
「西方聖教会はヴェルドラを監視してたみたいだし、嘘をつくとバレるよな…。」
「ああ。間違い無くな。」
「では、本当の事を話させますか?」
ディアブロがそう聞くと、リムルとフォルテが西方聖教会について話し合う。
西方聖教会の魔物を認めない教義が厄介だ。千年以上続く教義を否定する気はリムルもフォルテもない。だが、それを自分達に強いられるのは困る。
仲良くとはいかなくても、適切な対応と距離感は大事だ。
リムルとフォルテはしばらく話し合うと、互いに頷く。
「よし、レイヒムにメッセージを持たせよう。」
「紫苑。クレイマンの城から押収した水晶球を持ってきてくれ。」
「はい!」
フォルテに命じられ、水晶球を取りに行く紫苑。
紫苑から水晶球を受け取るリムル。
「こいつにメッセージを吹き込もう。」
「それをレイヒムに持たせて、教会側の反応を伺う。後、試作品だがこれも持たせてくれ。」
「承知しました。」
フォルテはそう言って、ディアブロに黒いくノ一型のLBXとあるバトルチップを渡した。
ディアブロがそれを受け取った直後、執務室の扉が開き
ゴブタが勢いよく入って来た。
「リムル様、フォルテ様!」
「ゴブタ?」
「どうした?」
「避難民と捕虜達が到着したっす!」
「来たか。」
「分かった。」
ゴブタからの報告を聞いたリムルとフォルテは、様子を見にすぐに向かった。
二人が現場に着いて見たのは、
「思ったより早く着いたな。」
「そうだな。……捕虜の魔人達は、やはりかなりの強さを持っているな。」
フォルテは魔人達一人一人を解析し、皆がかなりの強さを持つ者達だと知った。
(今回の戦は、俺達が敵の動きを読み先回りした上で、罠に嵌めた事で優位に戦い勝利したが、真正面から戦えばこちらにもそれなりの被害が出ただろうな。)
フォルテがそう考えていると、リムルとフォルテを見つけたアルビスとスフィアがこちらに近寄り声を掛ける。
「リムル様、フォルテ様。」
「アルビス、スフィア。」
「同胞達を受け入れていただき、ありがとうございます。」
「困っている時はお互い様だ。…それで、フォビオの姿が見えないがどうした?」
「フォビオは残った捕虜達を監視しております。」
「魔人達の反抗を抑える為に、睨みを利かせているのです。」
フォルテの問いに、スフィアとアルビスは笑顔でそう答える。
(なるほど。要するに、後始末と監視を押し付けられたのか…フォビオ、ご愁傷様。)
「こっちは準備万端だぞ。」
「仮設住宅の点検も済ませている。職業の振り分けについても検討済みだ。詳しい事は後で伝える。」
「はい。」
「では、失礼致します。」
リムルとフォルテとの会話を終え、その場を後にする
アルビスとスフィア。
丁度その時だった。
「リムル様〜!フォルテ様〜!」
「「「「うん?」」」」
上空からガビルの声が聞こえ俺達が真上を見ると、ガビルとランサーが降りて来た。
「ガビル、ランサー。」
俺達の前に降り立つガビルとランサー。
「只今戻りました。」
「おう、ご苦労さん。戦では二人共活躍したそうだな。」
「いやいや吾輩達などまだまだです。竜を祀る民のミッドレイ殿にはコテンパンに伸されてしまいました。」
「上には上がいると、身をもって体感しました。」
「紅丸から報告は聞いている。竜を祀る民の神官長らしいな。人と人化した竜の間に生まれた血族の末裔で殆ど人間と変わらないそうだが、その実力は相当のものだとな。」
フォルテはいつか自分も手合わせしてもらおうかと考えていた。
「
「自分達に足りないものが分かり、良い経験となりました。」
リムルがそう言うと、ランサーがそう答えるのだった。
「お前達も決して弱くない。これからより修練に励めば必ず強くなる。」
「はっ!このガビル!ランサーと共に、リムル様と
フォルテ様の期待に応えられる様に精進致します!」
フォルテの期待に応える為にも、声を上げるガビルだった。
すると、ランサーが二つの封筒を取り出しリムルと
フォルテに差し出す。
「リムル様、フォルテ様。ミリム様からこれを預かっておりました。必ずリムル様とフォルテ様に渡して欲しいと…。」
「ミリムから?」
「なんだこれ手紙?」
フォルテとリムルは封筒を開け中の手紙を広げて読んでみる。
【ミリムだぞ!今度遊びに行く時に、私の世話を焼きたがる者共を連れて行くのだ!その者達に〝料理とはどういうものなのか〟を教えてやって欲しい!これは切実な願いなので、
……手紙からミリムの必死さが伝わってくる。
何故ミリムがこんなお願いをしているのか、フォルテは
ステラから竜を祀る民の食生活について聞いていたので分かっていた。
「……大変だなミリムも。」
「いやどういう事?お抱え料理人の腕が悪いから改善してほしいってことか?」
リムルは分からず、ガビルとランサーに問いかける。
「いえ…あの国には料理人がいないのです。」
「え?」
ランサーの言葉にリムルは固まった。
「吾輩達が戦場の後始末をミッドレイ殿達としていたのですが、彼らが煮炊きしている様子は一切ありませんでした。」
「うむ。
「料理の腕前とか以前に、〝料理〟と言う概念がないってこと⁉︎人間と同じ味覚なのに⁉︎」
そう。ステラから聞いた話では、食材本来の味を大事にする余り、料理は食材に対する冒瀆だとミッドレイと呼ばれる神官長から教わっていたそうだ。
「はい。聞けばミリム様へ捧げる食物も素材そのままだとか。」
ずっと捧げ物が生野菜や焼いただけの物で、それしか食べていないなら、
「吾輩どもが魚を生で食すのを、至上とするような物なのかもしれませんな。」
ガビルがそう言うと、リムルが口を開いた。
「それはちょっと違うんじゃないか?」
「と言いますと?」
「ガビルも味覚が人間と同じになってから美味しい物を食べると嬉しいだろ?」
「はい!豊かな味覚を得た事で、以前は味気なかった食事が、今は楽しみの一つとなっております!」
フォルテの言葉に笑顔で答えるガビル。
「そうだろ?だったら、美味しい物を食べたら、またそれを食べたいと思うだろ?」
「そうか!ヘルメス殿が言いたかったのはそういう事でしたか!」
「ヘルメス?」
「ヘルメス殿は竜祀る民の1人で、ドワーフ王国や西側諸国を旅した事のある人物であります。」
ランサーが丁寧にヘルメスという人物について説明してくれた。
「しかし、それならミリム様が一言言えば良いだけではないのですか?」
話を聞いていた紫苑が、疑問に思いそう口を開いた。
「あいつはあれで、結構空気読むからな。」
「善意だと分かるからこそ、苦言を呈す事も出来ないんだろう。」
善意で行われているからこそ、無下に出来ない
ミリム。……子供舌にはいっそう辛いだろうに。
「よし!そういう事なら、盛大にもてなしてやるとしよう!」
「そうだな。竜を祀る民の皆に、料理の素晴らしさを知ってもらう為にもな。」
「はは!それが良いかと思います!」
その後、しばらく雑談を続けたが、相変わらずガビルと
ランサーは仲間達に慕われている。
「それでは、吾輩達もそろそろ戻ります。」
「おう。おつかれ。」
「ああそうだ。洞窟に朱菜が仲間にしたクレイマンの配下の一人アダルマンがいるから仲良くしてやってくれ。」
「アダルマンとはもしや、クレイマン五本指の一人である示指のアダルマンですかな。」
「そうだ。」
「それは会うのが楽しみですな!」
「ではガビル行くとするか。」
「うむ!ではリムル様、フォルテ様。吾輩達はこれで……トウっ!」
そう言って、ガビルとランサーはその場で飛翔しそのまま飛び去って行った。
その後、リムルと別れたフォルテはカーネルと合流した。
「フォルテ様。只今帰還致しました。」
「ご苦労だったなカーネル。戦場での活躍は、紅丸から聞いている。本当に良くやってくれた。」
「お褒め頂き、ありがとうございます。」
「戻って来て早々に悪いが、頼んでいた者達は連れてこれたか?」
「はい。クレイマンの配下の中で優秀かつ、クレイマンとの関係が多い者達は連れて来ました。」
「よし。…まずは、カーネルには俺の居城の
そう言って、フォルテはカーネルに天空城と海道邸の
「……流石はフォルテ様。二つの居城を建造していたとは。」
「まぁな。クレイマンの配下達は海道邸の俺の部屋に連れて来てくれ。」
「承知しました。」
そう言って、カーネルは転移した。
「……あいつらも呼んでおこう。」
フォルテは誰かに念話を繋げるのだった。
海道邸に転移させられ、
「くっ……俺達を何処へ連れて行くつもりだ?」
「分からない。だが、今は素直に従うほかあるまい。」
「そうすっよ。俺達じゃあの二人に勝てないっすからね。」
「私も同意権だ。」
ヤムザが苛立ちながらそう言うと、アルヴァロ、ジョイス、サイラスが宥める様に言う。
そんなヤムザは、進みながら周囲を見ていた。
(まさか、異空間にこの様な城が建造されているとは。
クレイマン様の城よりも圧倒的な城…内装も信じられない殆どに広大かつ豪華かな装飾……。)
ヤムザは海道邸の豪華な内装に驚いていた。
(……クレイマン様を倒したと言うスライムのリムル=
テンペストと
驚きながら進み続けるしかないヤムザ。
やがて、ある部屋の前に辿り着くと、
「ここだ。」
扉が勝手に開いた事に驚くヤムザ達
「入るぞ。」
後ろから
その部屋は広く中央には、長机とソファーが置いてあり、窓際には立派な机と椅子が置いてあった。
ダンボール戦機のゲーム、アニメで見た事のある
もっとも、ここは再現された部屋で今はフォルテの部屋となっている。
違いは、窓際の左右の隅に海道義光が置いてあった巨大な盆栽の代わりに、グレイガとファルザーの像が置いてあり、窓際に飾ってあった甲冑がゴスペルの像となっているくらいだ。
ヤムザ達は部屋の内装にも驚いたが、それより驚くものが目に入っていた。
中央のソファーに座る
「アダルマン⁉︎ピローネ⁉︎」
「おや?ヤムザさんにアルヴァロさん達。お元気そうですね。」
「貴様!何故ここに⁉︎(アダルマンはカザリーム様の呪いにより、ジスターヴから離れる事はできないはず⁉︎)」
「朱菜様の魔法で倒されたのですが、運良く生き残ることができたのです。おかげ様で、私を縛っていた呪法からも解放されました。」
「まさか…その様な事になっているとは。」
「これにはびっくりすね。」
アダルマンから語られる内容に、アルヴァロとジョイスは驚いた。
「ピローネ。お前はどうして此処にいる?」
サイラスがピローネに問いかける。
「……私はクレイマン様の命令で、ケーニッヒと共に
「そうだったのか……ケーニッヒが一人増えているのは一体…。」
アルヴァロがケーニッヒ達に問うと、ケーニッヒ達が口を開く。
「それは、フォルテ様のお陰っす!」
「フォルテ様が俺達の話を聞いて、俺達の兄貴を複製体を創ってくれたっす!」
「この俺が今いるのはフォルテ様のお陰ってことなんだぜ!」
フォルテは、蒼影が捕えた二世とフォルテが捕まえた三世とピローネの記憶から人格を構成し初代ケーニッヒを再現した複製体を創り上げていたのだ。
そして、フォルテはケーニッヒ達に名付けもした。
複製体の初代がフェザー、二世はウイング、三世にエールと名付けた。
名付けの影響で、ケーニッヒ達はそれぞれ体色が変化し、初代か赤、二世が青、三世が黄色となった。
「まさか……そんなことが…!」
「…信じられん。」
ケーニッヒ達の話にアルヴァロ達とヤムザは驚くしかなかった。
「感動の再会はもう済んだようですね。」
その時だった。ヤムザ達の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
ヤムザ達は思わず声のする方へと顔を向けた。
「なっ⁉︎」
「貴方は⁉︎」
ヤムザ達は我が目を疑った。何故なら、ヤムザ達の目に映ったのは、黒い紳士服を着たオールバックの金髪の優男……色は違えどその姿はクレイマンそのものだったからだ。
「クレイマン様⁉︎」
「いや……似ているが魔素量がクレイマン様を遥かに超えている。」
ヤムザ達思わず声を上げるが、アルヴァロはすぐにクレイマン本人ではないと気付いた。
「貴様は何者だ⁉︎何故クレイマン様の姿に化けている!」
アルヴァロが声を上げると、クレイマンの姿をした者は笑みを浮かべながら口を開いた。
「これは失礼しました。自己紹介がまだでしたね。私の名はクレイマン・オルタと申します。フォルテ様によって、クレイマンの複製から創り出されたフォルテ様の第二秘書でございます。」
そう言いながら、綺麗にお辞儀するクレイマン・オルタ。
「クレイマン様から創り出された……⁉︎」
「まさか…フォルテとは魔王まで創り出せるというのか⁉︎」
魔王クレイマンの強さを一番理解しているヤムザとアルヴァロは、クレイマンを倒しただけでなく、クレイマンを元に新たな存在を創り出したフォルテの力に驚愕した。
「さて、自己紹介も済んだところですが、そろそろフォルテ様も来られる筈です。」
オルタがそう言い終えた直後、タイミングよく自動ドアが開いた。
ヤムザ達が振り返ると、そこにいたのはカーネルと
ウルティマの二人を引き連れたフォルテの姿だった。
「お待ちしておりました。フォルテ様。」
オルタはそう言ってフォルテに向かって頭を下げると、
「なっ!コイツが……。」
「クレイマン様を倒したフォルテ=テンペスト…。」
ヤムザとアルヴァロはフォルテの姿を見て信じられないとばかりに驚くが、すぐにフォルテの力に気付いた。
鋭い眼差しから放たれる強い眼力と、その身体から溢れる圧倒的な
そして、フォルテはゆっくりと歩みながら自分の机に向かい椅子に座った。
カーネルとウルティマは、フォルテに付き従いフォルテの左側に立ち、右側にはクレイマン・オルタが立っている。
「初めましてだな。俺が新たな魔王となった
フォルテが自己紹介をすると、ヤムザ達はすぐさま膝をついた。
そして、ヤムザ達も自己紹介を始めた。
「はっ初めましてフォルテ様!存じているでしょうが、私はヤムザと申します!」
「アルヴァロと申します。」
「ジョイスです!」
「私はサイラスと申します。」
ヤムザ達の自己紹介を聞き終えたフォルテは、軽く頷くと口を開いた。
「早速だが、お前達を呼んだのは聞きたい事があるからだ。」
「私達に聞きたい事とは一体……。」
アルヴァロはフォルテにそう問う。
「……クレイマンの事に関する事だ。」
フォルテの言葉に、ヤムザ達は思わず顔を上げた。そして、アルヴァロが口を開く。
「クレイマン様についてとは一体何を……。」
「クレイマンの様子が突如変わったり、妙だと何か違和感を感じた事はなかったか?どんな些細な事でも構わない。気付いた事があるなら教えてくれ。」
フォルテがそう聞くと、サイラスが最初に口を開いた。
「そういえば、最近のクレイマン様は少し様子がおかしかった。」
「そうだよな。今回の
「……そうだな。クレイマン様は思慮深いお方だ。この様な侵攻作戦を実行される方ではなかった。」
「確かに、……非情さがより強まった様な感じはしていた。」
サイラス、ジョイス、アルヴァロ、ヤムザの言葉を聞いたフォルテは、納得した様な表情を浮かべていた。
「やはりそうか…。」
「その様子、クレイマン様の変化について何か知っているのですか!」
「ああ。クレイマンは何者かに精神操作されていたんだ。」
フォルテの言葉に、ヤムザ達は衝撃を受けた。まさかクレイマンが操られていたと言われたのだから無理はない。
「くっクレイマン様が操られていた⁉︎」
「きっ貴様!出鱈目を言うな……ッ⁉︎」
ヤムザが思わず声の上げた瞬間、ヤムザの頬に何者かが触れる。
「あれ〜。フォルテ様が嘘を言っていると思っているのかな?……君、死にたいの?」
ヤムザの背後から頬に触れているのはウルティマだった。
(……いつの間に⁉︎全く気配を感じなかった。それに、
コイツは危険だと俺の本能がそう叫んでいる‼︎)
全く気配を感じなかったヤムザは、ウルティマから異様な恐怖を感じた。
「ウルティマ。手を出さなくていい。」
「は〜い。」
フォルテの言葉に従い、ウルティマは笑顔で返事して
ヤムザから離れた。
ウルティマが離れた事で安堵したのか、ヤムザは息を荒げた。
「お前達が信じられないのも無理はない。操られていた
クレイマン本人ですら自分が操られているとは思っていなかったのだからな。」
「…フォルテ様は何故クレイマン様が操られていたと知ったのですか?」
「それは、直接調べたからだ。」
そう言って、フォルテは右手からクレイマンチップを取り出しアルヴァロ達に見せる。
そのチップを見たアルヴァロは、チップから感じる
「それは⁉︎」
「そう、クレイマンの魂だ。」
「クレイマン様の⁉︎」
ヤムザはフォルテの言葉に目を見開く。
「クレイマンを倒す際、俺はその魂を掌握した。
ミュウランとピローネの記憶を解析した際、クレイマンの行動に違和感がある事に気付いたからな。
クレイマンの記憶を直接調べた時も、クレイマンの思いと行動には矛盾があった。それを調べる為に、魂を掌握し解析をしていた。そして、クレイマンが何者かに精神操作されている事が判明したんだ。」
「まさか……その様な事が。」
「ピローネとアダルマンはこの事を知っていたのか?」
フォルテから聞かされた話の内容に開いた口が塞がらないヤムザ。
アルヴァロはピローネとアダルマンに問いかける。
「……私達も数日前に聞かされたばかりなの。」
「聞かされた時は私も驚きましたな。」
二人も、フォルテからこの事実を聞かされた時は驚愕した。
「俺が調べた限り、クレイマンが精神操作されたのは数十年前くらいだと判明した。」
「それほど前から…。」
「数十年前、変わってきた出来事があるなら教えて欲しい。」
フォルテの問いにヤムザ達を考える。……そして、ヤムザが口を開いた。
「そういえば、その頃から東の帝国との取引が盛んになった。」
「確かに。」
「そうだよな。」
ヤムザの言葉に、サイラスとジョイスもそう呟いた。
「東の帝国……商人ではなくてか。」
「はい。勿論、商人とも取引していましたが、数十年前から帝国との直接の取引が盛んとなり、クレイマン様自らが商談をしていました。」
(となると、クレイマンを操っていたのは東の帝国の可能性が高いな。)
フォルテは東の商人だけでなく、帝国そのものを警戒する事を考えるのだった。
「聞きたい事は聞けた。話してくれた事には感謝する。
さて、最後はお前達の今後についてだが……俺の配下として迎え入れたいと考えている。」
フォルテの言葉に、ヤムザ達はえっ?と目を見開いて驚いた。
「お前達の実力は、クレイマンの配下の中で特に優秀である事はカーネル達やアダルマンから聞いていた。そんな優秀な人材を労働力だけに使うのは惜しいからな。フレイにカリオンそしてミリムにも許可は貰っている。アダルマンとピローネは了承した。後はお前達だけだが…どうする?」
フォルテの誘いを聞いたヤムザ達。
少し呆気に取られたが、すぐに我に返ったヤムザは笑みを浮かべた。
「(願ってもないチャンスだ!まさか新たな魔王の配下となれるとは。クレイマン様をも倒す実力者だ。この好機を逃す訳にはいかない!)断る理由はございません。この
ヤムザ、フォルテ様に忠誠を誓わせていただきます。」
ヤムザはそう言って膝をついたまま、胸に手を当て臣下の礼をする。
それを見て軽く頷くフォルテ。
「アルヴァロ達はどうする?」
「……一つだけ聞きたい事が御座います。」
「なんだ、言ってみろ。」
「クレイマン様の魂を、今後どうなさるのでしょうか……。」
アルヴァロは心配そうに、フォルテは手にあるクレイマンチップ……クレイマンの魂を見る。
アルヴァロ達は魔王ガザリームの古参の配下達。クレイマンが魔王になる事を望んだのも彼らだ。故に、クレイマンを一番心配しているのだろう。
「……操られていたとはいえ、クレイマンの暗躍のせいで俺達の街に被害が出た。そして、大切な者達も一度は死んだ。本来なら許せずこのまま消滅させるところだが、操っていた黒幕を知る為にもまだクレイマンの魂の解析は必要だ。そして、まだあの方と呼ばれる存在も判明していない故に現在は保留となっている。」
フォルテの言葉を聞いたアルヴァロは、サイラスとジョイスに目線送る。
二人はすぐさま頷き応える。
そして、アルヴァロ達は一斉に頭を下げた。
「私達も、フォルテ様の配下に加わらせて頂きます!ですが、一つだけ願いたい事が御座います!」
「…その願いとはなんだ?」
「クレイマン様の魂の消滅はやめていただきたいのです‼︎クレイマン様を許せないフォルテ様の気持ちは十分理解しております!ですが、何卒私達の願い聞き届けて頂けませんでしょうか‼︎」
「俺からもお願いします‼︎」
「私からも‼︎」
必死に頭を下げて願うアルヴァロ達。
「……良いだろう。今はまだ保留だが、お前達の働き次第でクレイマンの魂の消滅は中止にしよう。」
フォルテの言葉を聞いたアルヴァロ達は安堵の笑みを浮かべて顔を上げた。
「ありがとうございます!御恩に応える為にも、必ずやお役立ってみせます!」
そう言って頭を下げるアルヴァロ。
こうして、元クレイマン配下の五本指のヤムザ達は
フォルテの配下となった。
「では、配下となったお前達には後ほど役割を与えるが、基本はオルタの助手として働いてもらう。」
フォルテがそう言うと、オルタが口を開く。
「私のオリジナルであるクレイマンは、貴方達を使い捨ての道具としていました。それも精神操作による影響でしょうが、私はその様な事はしないと誓いましょう。貴方達がどれだけ優秀な人材だったかは、クレイマンの記憶を引き継いだ私自身が理解しています。」
そう言って優しい笑みを浮かべるオルタ。
「クレイマンの様に言うならば、“道具は大切に扱わなければ”ですね。」
その言葉を聞いたヤムザは衝撃を受けた。
(流石はフォルテ様が創り出したクレイマン様を超える存在!器の大きさが違う!)
「それから、これからは俺の配下であるカーネルや白老達による特訓を受けてもらう。より強さを極めて欲しいからな。」
フォルテのその言葉を聞いたヤムザは、思わず声を上げてしまう。
「いや…申し訳ないのですが、私は既に剣術を極めております故に、もうやる事がありません。修行など、自分の実力に自身がない弱い者がやることですから…。」
「甘いですねヤムザ。」
「え?」
ヤムザの言葉を聞いて、オルタが口を開いた。
「自分の力に驕っていては駄目です。真の強者は日々鍛錬を積み、真面目に自分と向き合う事で本当の強さを隠し持つのだよ。…そう、フォルテ様や私の様に……。」
オルタの言葉に目を見開くヤムザ。
「ま…まさか、フォルテ様やオルタ様も日々鍛錬を…?」
「ええ。誇る事ではありませんが。」
「より強くなるには当然の事だ。」
オルタとフォルテの言葉を聞いたヤムザは、更に衝撃を受ける。
(なんという事だ…あれほど圧倒的な
ヤムザは再び臣下の礼をする。
「私は愚かでした。これからは慢心する事なく修行に励みます!」
ヤムザの言葉を聞き笑みを浮かべるフォルテ。
「期待している。それからヤムザ、君から預かっている
「なっ⁉︎本当ですか!」
「ああ。お前がより強くなれば、進化した
「はっ!必ずやフォルテ様の期待に応えてみせます‼︎」
更にやる気を燃やすヤムザ
これからの、ヤムザ達の成長を楽しみにしているフォルテだった。
フォルテに迎え入れられ配下となったヤムザ達。
ヤムザはこれからリベンジみたいな感じになってより成長する予定。
ウルティマとフリーズマン…そして、肝心の剣術は白老達によって徹底的に鍛えられる事になるのは間違いない。
ヤムザの
アルヴァロ達は、それぞれ相性の良い
ピローネには、あるスピリットを与えようかと思っています。
来年も頑張って投稿を続けていきます。