放浪者の稲妻行 〜超巨大機神統治国家〜    作:旅人さんた

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拾伍 冬夜の戯劇

「鳴神大社?あぁ、あそこなら今封鎖されてるよ。まさか、今から行くってんじゃないよな?」

 

「なにか問題でも?」

 

「やめとけやめとけ!いいことないって!今あそこはファデュイの警備が二番目にたかいとこなんだ。」

 

「あの妖か...八重宮司はどうしたんだ。」

 

「さぁ。閉じこもってるんじゃないか?多分中の人たちは無事だよ。城下町のひとたちもほとんどはあそこにいるらしい。」

 

なら、次の行き先は決まった。

激しい戦闘になるだろうが、なんにせよあの妖怪とは会う必要がある。

 

「じゃ、おれは抵抗軍の人たちを鶴見まで送らなきゃいけないから!もうじき鶴見からトーマさんがくるし、いそがないと。

なにすんのかよくわからねぇけど、気をつけてな!」

 

 

そういうと、荒瀧派のメンバーは去っていった。

 

 

まずはヤシオリ島に向かわなければ。だが、ゴローを抱えて飛んでいくには外付けでエネルギーが欲しい。

でなければ大海のなかでぽちゃりだ。

 

たたら砂につければ、なんとか補充できるかもしれない。

だが、そこまで行くのに戦闘用のエネルギーをすべて空居力に変える必要がある。

現在の稲妻では自殺行為だ。

 

あたりを見渡すと、むごたらしい死体とともに、遺跡機兵の残骸が転がっている。

 

(確か博士が僕の体はカーンルイア由来の物だと言っていた...試してみるか。)

 

遺跡機兵の中身を解体する。千切れた──パージした左腕の部分と接続させた。

放浪者の専門分野ではないため、少々難解だ。

人間だって自分の体について熟知しているものは少ない。機械だって同じだ。

どうやら中身は無事らしい。いったい何のために壊したのか。

 

「回路は...くそッロックがかかってるか。制御装置を誤認させれば...ドットーレめよくも好き勝手いじくってくれたな。」

 

 

「よし、バッテリーは取れ出せた。ここ一帯のすべて取り出してしまおう。どうせ朽ちた骸だ。」

 

人間的に考えれば、他人の墓...いや、死体泥棒みたいなものだがその点放浪者は気にしない。

死したモノに興味はないのか。

 

海祇島東部には遺跡機兵の出没数が多い。放浪者は作業をすすめる。

 

一瞬、海祇島のことを思う。

だが、

 

(僕の知る範疇ではない...優先順位を違えるな。)

 

そもそも放浪者は七葉寂照秘密主の処分と万葉の安否確認が最優先事項だ。

島に押し寄せるファデュイの軍勢を押しとどめることはできても、大幅な時間のロスになってしまう。

あの荒瀧派の人間が避難させると言っていたが、間に合うとは思えない。

 

(救世主なんていないんだ。そもそも、そうだったから僕は...)

 

 

ある程度作業を終え、時刻を確認した。

 

早く海に出なければ、ゴローが目覚めてしまう。

そろそろ出発だ。鳴神島に到着する分は集まっている。

 

「天へと舞え。」

空へ浮かぶ。片手をゴローにふさがれてるため、若干やりにくいが、仕方がない。

 

放浪者は、海祇島を後にした。

 

 

 

 

「なんでこんな出動命令が遅れてんだァ!」

 

「知らねぇよ。なんか上でトラブルがあったんだと。」

 

「まぁいいじゃねぇかどうせ奴ら逃げらんねぇよ。ハッ!海に囲まれた国ってのは不便だな。」

 

「巫女は死んだんだってな。チッもったいねェ。魚の生食なんてめったに見ねェのによ。」

 

「てめえの場合本当に食いそうだから怖ぇよ。そうだなーでもよく探せば死体の一つや二つあんじゃねぇの?」

 

「死体を生で食うなんて気持ちわりィ!」

 

「踊り食いの方がめずらしいんだが...お、島が見えたぞ。」

 

「にしてもよく揺れるなぁ気持ち悪ィよ俺。だめだ、ちょっと吐いてくる。...ん?なんだこれ。海が黒いぜ。」

 

「お前酔いすぎだぞ。馬鹿なこと言ってないでさっさともど」

 

「ちげェ!こいつら大量の遺跡機兵だ!」

 

「遺跡機兵だと?公子様が倒したはず...うわっなんだこれ?なんで俺らを攻撃してるんだ!?」

 

「おいやめろ!そこ壊したらッッ...」

 

ファデュイの一個小隊の船は、突如として現れた遺跡機兵の群れによって海の藻屑となった。

 

 

 

 

 

 

 

稲妻城天守閣

 

「まったく、だから壊しておけと言ったのに。あの男、大雑把なんだから。」

 

「なんか邪魔者がいたらしいな。てめぇらのファトゥスとやらもあてになら...うおっ!冷たっ」

男の体温が一気に下がる。

 

「死にたがりじゃないなら、ファトゥスへの侮辱はよしなさい。」

 

「わかった...わかったよ。んで、その邪魔者の正体は判明してんのかよ。」

 

「さぁ、稲妻風の格好をしているとしか。神里屋敷をあさっても情報はなかったわ。」

 

「どーすんだよ。そいつそのファトゥス様ともやりあえるくらい強いんだろ?なのに正体がわからないなんて...」

 

女は数日前のやり取りを思い出す。

あれは間違いなくファデュイの関係者だ。となると、おそらく彼なら...

 

「『あれ』を起動するわ。そしたらなにかわかるかも。」

 

「ひぇっマジか。んじゃ俺はあの璃月女と遊んでくるぜ。気の強い女は嫌いじゃねぇんだ。てめぇ以外はな。」

 

「すきになさい。」

 

男は下衆な笑みを浮かべ、立ち去った。女はそこに何の関心もよこさない。

 

「不穏分子はなんとかしないと。冷たい棺に閉じ込められた、あのお方の復讐のためにも...」

 




放浪者の体はカーンルイア由来の物らしいですが、雷電もそうなんでしょうね。
七神の一柱がカーンルイア産なのに天理はとくになにも思わないんでしょうか。
情報がなさ過ぎて何もわからない...
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