放浪者の稲妻行 〜超巨大機神統治国家〜    作:旅人さんた

20 / 48
拾捌走 九条陣屋 二人のファトゥス

浪人たちでにぎわっていた九条陣屋は、静まり返っていた。

 

「すごいな、お前。あの量をこんな短時間で。しかも、腕を失ってるというのに。」

 

「別に、こんな力意味ないさ。あそこに流浪人たちが使っていた船がある。さぁ、あれに乗せて彼らを大社に預けよう。夜のうちに。」

 

放浪者たちは停留していた船に乗った。九条陣屋を離れ鳴神島に───

 

「なんか、違和感がある。」

 

ゴローが語る。

 

「あぁ、この島に来てから違和感ばっかだ。」

 

「いや、そういうんじゃなくて、もっと物理的な...」

 

「にしても雷ばっかだな。いったい誰が降らしているのやら。」

 

 

「いや!おかしい!こんな降りかた、」

 

その時、船の周りを九つの雷が降った。

一瞬で消えるはずの雷は、その場に残り続ける。

 

「なにか、来る...」

 

ゴローの読み通り、空から『それ』は降ってきた。

 

「千なる...」

 

それは闇を切り裂き、光をもたらす。

 

「雷光。」

 

船は九つに分かたれた雷は、一つに束ねられる。

 

「これほどの能力...神でないとありえない。」

 

「いや、神じゃない。知ってる顔だ。」

 

束ねられた雷は、船へと注がれた。

 

(まずい、あれを防がなければ、島に渡れなくなるッ!)

 

放浪者は、雷を一身に受ける。片腕から繰り出される風元素で拡散し続けているが、終わる気配はない。

 

「やめろ!九条裟羅、民間人も乗っているんだ!」

 

「ッ!」

 

(威力が減ってる!よし、このままならなんとか押し切れるかッ。)

 

「ゴロー、珊瑚宮心海はどうした。」

 

「お前には関係ない!そちらこそ、将軍はどうした。なぜ俺たちの邪魔をする!」

 

「将軍様は天守閣におられる。私は、将軍様に仕えるのみだ。」

 

「であれば、将軍はファデュイに屈したというわけか?」

 

「くッそんなわけ...ないだろう...」

 

(いいぞ、そのまま弱らせろ!)

 

 

「おいおい、【天狗】ちゃん。その程度の応答で力を弱めてしまうのかい。」

 

背後から、別の人間が現れた。

 

「まったく、数合わせとはいえ、ファトゥスの一人がそんなんじゃいけないよ。

今の順位は、俺以上なんだから。」

 

(この声、タルタリヤかッ。)

 

「ファトゥス?こいつは九条裟羅だろ、何言ってんだ。」

 

「君は抵抗軍の大将だね?あの時は惜しかった。死んでいなくて本当によかったよ。

 

そうだ、これは九条裟羅。だが、今俺たちは別の呼び方をしている。

十一人のファトゥス 第六位 『天狗』

 

まぁ、暫定だけどね。」

 

「まずい、ゴロー逃げろ!君じゃあいつに敵わない!」

 

「よそ見する暇があるのか!」

 

「ちッ、貴様、雷神の後押しを受けてるなッ!いいだろう、空中戦がお望みなら応えてあげるよ。」

 

「後輩。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。