「...」
(ありがとう、そのまま、見守ってあげて頂戴。)
「どうしたんだ、ナヒーダ。何か考えことか?おいらはもうお腹がすいて仕方がないぞ。」
「そうね...片翼を失った鳥は、決して空をあきらめないわ。」
「鶏肉か?おいらは獣肉系の口だぞ...」
「なぁ!君、あの男を知らないか?」
「あの男...というと、アルハイゼンかい?さぁ、僕は見てないね。」
「クラクサナリデビ様に伝えると言って出て行ったままなんだ...あいつがいないと僕が部屋に入れないじゃないか!」
「君まだ彼の家にいるのかい...」
「アルハイゼンさんなら、私見たよ。」
「ほ、ほんとうかい?いったいあいつは何を?」
「うん、えっとね、まず私が踊りの練習をしていたら、大急ぎで走ってるアルハイゼンさんを見つけたの。それで...」
「あーいや経緯はいいんだ。とにかく、居場所を...せめてどこに向かったかだけでも。」
「確か...そう!璃月港だったかな。」
「神里...社奉行め、これまで一体何を!」
「おや?私はてっきり気付かれていたと思っていましたよ。そうですか、それなら諸々杞憂だったみたいですね。」
「なんにせよ、顔を出したからにはここで止まってもらう。」
「そのダメージで、ですか?こちらとしては構いませんが、あなたは早く稲妻城に向かった方がいいと思いますよ。
今頃大慌てでしょうから。」
「お兄様!放浪者さんいらっしゃいました!わたくしは一度船に戻り手当をして参ります。」
「はい、任せました。きっと冷えてるでしょうから、暖かくしてあげてください。」
綾華は、放浪者を連れ船に向かった。
「くそ、この場は引いてやる。おい!公子殿、ここは任せたぞ!」
裟羅は呼びかけるが、返事はない。あちらはあちらで忙しいのだ。
『いや、ここは僕が引き継ごう。』
突然、その場にいないはずの人影が現れた。
紫をベースとした、機械のような見た目、しかしてサイズは人間大。
「お前は!?了解した、ならば問題はない。だが、必ず傷をつけるなよ。」
「さて、ここでこちらに戦力を割くことはしないと踏んでいましたが、読みは外れましたね。」
覆面の男?のような人物に向け、綾人は語り掛ける。
その恰好には、稲妻風の意匠が見受けられた。
『そうでもないさ、一瞬で片を付ければ、すぐ城に向かえる。』
「ずいぶんな余裕ですね。」
機械の塊のような者は、かすかに笑う。
『当り前じゃないか、君たちは、僕を前に一切手出しができなかったんだから。』
「なるほど、そうですか。」
「早柚、船に向かい綾華に船を出すよう伝えなさい。あぁ、そうそうあちらの皆さんを連れてね。」
「うぅ、わかった、でも、どうするんだ?」
「おや?心配なさってくれているのですか。安心してください。秘策がありますので。」
早柚はそれを聞くと、目にもとまらぬ速さで走っていった。
『始めよう、神を相手にどれだけ人間があがけるか、見ものじゃないか。』
見れば明白、それは人間サイズに改造された七葉寂照秘密主、つまり機神だった。
「派手さが無くなったようですね。せっかくの巨体を失ったのは、何かトラブルでもあったのですか?」
『別に、ただ小回りが利かないのが面倒だっただけだ。』
機神と、綾人がにらみ合う。
『耐えて見せなよ、人間。君たちを殺したのは初めてじゃない。』
「おりゃおりゃおりゃあ!砕きやがれ!」
「なんてスタミナだ。最高だね君は。でも君はもう少し頭を使って戦った方がいい。」
「んだと?うおッ!」
岩元素で形成された疑似的な丑雄、そして一斗に付与された断流効果が発動した。
「はぁ、はぁ、危なかった。パワーは俺以上だな、これは。」
「親分!大丈夫か!」
「さぁ、あっちはどうなったかな。場合に寄っちゃ第二ラウンドも...」
「おい、荒瀧派と抵抗軍のやつ、この場から逃げるぞ。」
「お前、社奉行の!九条裟羅はどうした?あそこにいるあいつ、あれはまさかッ!」
「俺はまだ負けてねぇ!くっそぅ。」
「うぅうるさい。あのお方に命令された。えっと、忍協力してくれ。」
「綾人の兄貴に!?ったく、なら聞くしかないか...いや、待て、兄貴は何を」
「ていっ!」
「おぉ、見事な手さばきだ。あのうるさいのが一瞬で静かに。」
「おい、ゴロー、大将を運ぶの手伝ってくれ。重い。」
「あ、あぁ。」
「でも、あのファトゥスが...」
ゴローはタルタリヤの方をむくが、タルタリヤはべつのほうを見ている。機神と綾人の戦いだ。
「俺のことはきにせず、さっさと行った方がいい。別に俺も手を出さないさ。君たちを殺すつもりはない。」
「でも、あの男はあきらめることだね。」