「あんたが助けてくれるとは思わなかったぜ、助かった。」
弥助は、懐にしまった心海の神の目に触れた。
「あなたと私の利害が一致した。であれば私がこのように動くのは当然でしょ?」
「ひっ!こえぇ女。いいのかよ、あの兄ちゃん知り合いなんだろ?」
「あなたこそ、同じ部隊だったのでしょう。追いつかれたら殺されるでしょうね。」
夜蘭は言外に黙ってろと伝えていた。
「待て!そこな女、何者だ。」
「あなたたちの憎き敵の首を持ってきたのだけど?。」
「お前何を言って...!」
(まぁ、そうなるわよね。)
「首とはいっても、神の目だけど。でも神の目を持つ者にとっては首も同然でしょう?だって、これをとられるということは抵抗する手段がないということなんだから。」
「ちょっと待っていろ!今確認を...」
「いや、必要ない。」
稲妻城城門に、黒い羽根が舞い散る。
「海祇島の結界は私が目視した。確かに、珊瑚宮心海の張った結界は消えている。今にでも総攻撃を仕掛けられるだろう。」
「チッてめぇのことなんざ信じられっかよ。将軍がやられたと聞くや否や鞍替えした腰抜けなんかよ。」
「今の私はお前たちの上司に相当する存在...ファトゥスだと聞いているが?」
「稲妻限定の、な。俺の魂はスネージナヤにあるんだ。こんな辺境の国での話なんか関係ねぇよ。」
「そうか、ではお前に目視させるとしよう。」
すると、天狗は門番をしているファデュイの一人を持ち、空へと飛んだ。
「うわあああああわかった!わかったからおろせ!」
「ここからじゃまだ見えないはずだ。私の言葉が信頼できないのなら...」
「いいよ、信頼する!だから降ろせって!」
「それで、私たちはいつまでその遊びを見せられなきゃいけないのかしら?」
「失礼をした。それで、その後ろの男は?」
「神の目を奪ったのはこの男よ。私は手助けをしただけ。」
「そうか、では二名ともついてこい。言っておくが、私は妙な動きをしたら即座に殺すことができる。抵抗軍を落としたという事実を加味しても、だ。」
「それで、功労者である私たちはどうして牢獄に入れられてるのかしら?」
「悪いが貴様らを信用しているわけではない。海祇島が完全に我々の手に落ちるまでそこでおとなしくしてもらう。」
「そう、私だけ?」
「神の目を持っているのだ。警戒すべきはお前だろ?」
「了解、じゃ、ここで休ませてもらうわ。」
(やけにすんなりと行ったわね...本当に警戒するならあの天狗が直接見張るべきなはずだけど...何か思惑が?)
「おい、お前はこっちだ。しっかりと神の目を持っているのだろうな?」
「あぁ、うっかり落としたなんて間抜けはしてないぜ。」
「ならいい、貴様を、天守閣に連れていく。」
「え、なんで俺の服をつかんで?おい、俺にもあれやんのかよ!いいよ、歩いてけるよ!」
「時間がないのだ。安心しろ、安全運転で行く。」
弥助の叫びが、城内に響いた。