(先に狙われるのは、やっぱり私なのね。)
九条娑羅の攻撃は、真っ先に夜蘭へ向いていた。
知った顔よりは知らない顔の方が攻撃しやすいのだろう。
「別になんでもいいけど、そうね。地に引き摺り落としてあげる。」
夜蘭は元素爆発を発動させ、周囲に水のサイコロを浮かばせる。しかし、これまでのものとは何かが違う。
勝ち得る者、独り勝ち
「なにっ」
娑羅の攻撃は夜蘭の水の糸によって塞がれた。そして、
「これはッ」
九条娑羅を数々の打破の矢が襲う。一発一発が即死級のそれを間髪入れずに放ってくるのだ。
「悪いけど私にも余裕がなくなってきてるの。さっさとターゲットを保護して璃月にいる友人を安心させないと。」
九条娑羅を空中で狙うそれは5本。しかし、地上から夜蘭自身による射撃がさらに追い詰める。
空中から狙おうにもトーマの盾によって塞がれてしまう。
「ならば、邪眼だっ!」
娑羅は邪眼をフル活用し、風の渦をつくる。つまり、竜巻。
その竜巻は水の矢と夜蘭を巻き込み、霧散した。
その勢いのまま、トーマに向かい突撃する。
「君がっ!信じられなくても関係ない!俺や仲間は君を打倒し、将軍を助ける!気には食わないが、稲妻にはあの雷神が必要なのは確かだ!」
「だから、そうさせないように私は貴様らをッ」
「なら、殺すか!君がそうしない以上、俺たちは必ず折れない。そしてファデュイを一掃するぞ!そして、そこに君はいないんだ。君は将軍を助けられなかった存在に成り果てるんだぞ!」
「理想論を語るな、そんな言葉で惑わされるかっ。実際、お前たちはあの機神にすらっ。」
トーマの盾が消えかかる。もうほとんど槍で抑えてる状況だ。
夜蘭は先の攻撃が直撃しダウンしている。
そこで
「いや、それは違う。あの小型の機神は、倒された。」
「早柚!て、ことは若とお嬢は!?」
「大丈夫、だと思う。よくわからないスメールの人が助けてくれた。お嬢様は、さっきまで一緒にいた。今は鳴神大社に向かってる。ゴローや、あとなんだっけ...そう、笠っちも一緒。」
「よくわからないけどよかった!早柚!むじむじだるまをっ!」
「用意できてる。えいっ」
早柚の治療により、夜蘭は意識を取り戻した。
「とにかく、機神は倒された!お前はもう、お前のつきたい方につけれるんだ!」
「あの機神は...だが、確かに、あれを倒せるのなら...ッ!」
「いやいや、惑わされんなよ、大将。」
天守閣の方から、男が降りてきた。
と言っても、男だと判断できるのは声だけで、外見は例の機械を身に纏っているのだが。
「機神を倒した、だぁ?んまぁ良くやったとは思うぜ。なんせあん中に入ってるのはあの稲妻の救世主の一人、無想の一太刀を受け止めた強者だ。」
「でもあれを倒しただけで勝った気になっちゃ困る。なんせあんなの大元の機神の指先をベースに作られたもんだぜ。しかも動かしてる人工知能も安定しねぇ。そもそも俺は体と脳を別にするなんてやめとけって言ったんだ。でもあの人工知能?の中に楓原万葉を入れるのがいいのだなんて訳のわからんこだわりがあるらしくてよ。」
「今愚痴を言ってもしょうがねぇか。要はさ、お前らの勝つ可能性はほとんど変わってないってことよ。それをお前簡単に揺さぶられやがってよ。天狗の大将さん。そんなんでファトゥスが務まるのかねぇ。」