「なんせなんせうるさい奴だな。おしゃべりがしたくて降りてきたのかい?」
トーマが挑発する。しかし、内心は焦っていた。
「ん、いや。まぁそうかもしれない。話したいのかもな。お前ら俺を見るたび適当に切り捨てやがったし。」
「なんの話だ。」
「まぁ聞けって、俺はなヤシオリで島張ってる野伏だったのよ。正確に言うと、ある秘境の前だな。」
「別に村に出て人を襲ってたわけでもねぇ。たまーに通りかかる人に金をせびってたケチな浪人よ。」
「それをあの金髪の旅人...あんたらも知ってんだろ。そいつが稲妻に来てからなんの理由もなく俺らを襲ってきやがる毎日だ。」
「いい加減飽き飽きしたのよ、やられっぱなしなのはな。」
「じゃあ、お前のそれは復讐ってことか。」
「ん、そうだな。そんなもんだ。酷く単純な理由だろ?単純ゆえに否定もできない。」
「あースッキリした。てことで、殺し合おうや。」
「天狗の姉ぇちゃんは邪魔だけしないでろな。適当なとこで好きなように戦ってくれて構わねぇよ。裏切ったら...まぁそれもそれでいいか。」
「あとそこの璃月女、せっかく見逃してやったのに戻ってきたんだ。容赦はもうねぇぞ。」
「えぇ、私もそんなことしてもらうつもりないわ。」
「そうかい、んじゃ始まるぜ。」
「システム名『楓原』。戦闘レベル魔神。余剰記入『バアル』」
「楓原万葉の神の目から抽出した戦闘データと、七葉寂照秘密主に眠る雷神の能力。フル活用させてもらう。」
その機神を纏う男の右手には、風でできた刀が握られ、左手には雷でできた刀が握られていた。
「無想の一太刀とはいわねぇが、ここまで再現できてりゃ十分だ。」
猛攻が、始まる。
最初に狙われたのはトーマだった。炎のシールドを纏い防ぐが、二刀の元素反応、拡散と過負荷によりすぐに削られてしまう。
「ちくしょうっ、やり辛い!槍技で勝負だ!」
二刀の連携は、決して良いものではなく、素人の付け焼き刃ではあったが、それでも素の威力が高く、どちらかに触れるだけでどちらかの元素によって甚大な被害を被るものだ。
シールドと早柚の回復でなんとか凌ぐが、消耗戦である。
一方夜蘭も、早々に復帰した娑羅との戦闘を続けていた。守りが消えたせいで、大胆に動けない。
奇しくも敵は二人とも風と雷の使い手だ。元素の戦闘を主にする神の目保有者にとって、元素力の枯渇だけは避けたいところである。
しかし、相手は邪眼と、そもそも雷神から直接エネルギーを受けているということもあり、無尽蔵である。
戦況は厳しい。