放浪者の稲妻行 〜超巨大機神統治国家〜    作:旅人さんた

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弐拾漆 笠っち

鳴神島に到着した放浪者一行だったが、早柚はいつの間にか消えており、一斗を治療するために忍は紺田村にとどまることにした。

紺田村には花火職人である長野原宵宮がおり、一人で村を守っていたらしい。父親はうまく鳴神大社に逃げ込めたので、心置きなくやれているとのことだ。

 

「うーん、いま別口で客がおるのやけど...」

 

と何故か渋っていたが、戦力が増えることには大助かりのようで、受け入れてもらえた。

 

「あんたもその子連れてるんやな。スメールではおおきにな

!」

 

去り際に、放浪者へ宵宮はそう語っていたが、なんのことかはさっぱりだった。

 

 

 

「指針としては、このまま鳴神大社にむかうってことでいいんだな?」

 

「あぁ、どのみちこのままじゃ戦力が足りない。あそこで大股広げてぐっすりしてる大狐を引っ張り出してやるさ。」

 

「それは構いませんが、わたくしは稲妻城へ向かわなければなりません。きっと今、友人達が...」

 

「いや、それはだめだよ。神里家のお嬢さん。宮司に頼みに行くんだ。君がいないと説得力がなくなる。」

 

「なぁ、笠っち、お前なんか妙に態度が柔らかくないか?意外と立場ってものを理解しているんだな。」

 

「そうなんですか?ゴローさん。大丈夫ですよ笠っちさん、わたくしにも友人に接するような態度で接していただけると嬉しいです。」

 

放浪者は複雑な感情を抱く。旅人はまだ、自分の罪業を彼らに話していないのか。

 

「別に意識しているわけではないさ。もし僕の態度がおかしいのならきっと彼女の高貴さにあてられたからかな。友人なんて、僕にそんな資格があるわけ...ちょっと待て今n」

 

「お前!それじゃ珊瑚宮様に高貴さがないって言いたいのか!はぁ、そういえばあのアビサルヴィッシャップやっぱりあれは...」

 

「高貴さだなんて、お恥ずかしいです。そういうことであれば、急いで狐宮司様のもとへ向かいましょう。ここからならもうすぐです。」

 

「笠っちだ!なぜ君たちがその呼び名を知っている!まさかアーカーシャ端末がいなず」

 

「あぁ、お前放浪者だなんてヘンテコな名を名乗っていたけど、ちゃんと名前があったんじゃないか。」

 

「アルハイゼンさんという方に教えてもらったんですよ。わたくしのお兄様も助けてもらいました。」

 

それは、予想だにしていなかったことだった。

まさか、あの男が稲妻に!?

 

放浪者はしばし考えたのち、帽子を取り、なかを覗いた。

 

「なんでお前がここに!まさか、ずっとついてきていたのか?」

 

綾華もゴローも首をかしげる。

 

「お、おい笠っち。お前なに帽子に向かって語り掛けているんだよ。」

 

「黙れ!いいか、僕のことを二度とその変な名で呼ぶんじゃないぞ!」

 

「笠っちという名前ではなかったのですか?」

 

「当たり前だ!放浪者と名乗っていただろう!あ、君にはまだ自己紹介をしていなかったかな。」

 

「待てよ、こいつがいるってことはまさか...」

 

 

 

 

 

 

稲妻城、地下洞窟。

 

「目が覚めたか?」

 

「恩に着るでござる、アルハイゼン殿。これは完全に拙者の不覚でござった。」

 

アルハイゼンは、瀕死の綾人にも声をかけたが、目を覚ます気配はなさそうだった。

 

「神里の当主殿はおそらく、治療をすれば何とかなるでござるが、珊瑚宮殿は、おそらく難しいでござるな。」

 

「俺は神の目についてそこまで詳しくはないのだが、神の目を失うと人は精神に支障をきたすと聞いた。」

 

「症例は様々でござる。ここまで完全に意識を失うというのも珍しいでござるが。」

 

「お前はもう戦えるのか?」

 

「拙者はもう十分やすめたでござる。アルハイゼン殿はなぜ稲妻のために戦うのでござるか?」

 

「とある人物を回収することを命じられている。笠っちという人物だ。彼の回収にはこの件の解決が最短だと判断した。それだけだ。」

 

「なるほど、笠っちでござるか。なかなかに珍妙ななめでござるな。かしこまった。それでは一時の戦友として背中を預けるでござる。」

 

「自分の背中は自分で守った方がいいと思うが。」

 

「お主もなかなか難儀な性格でござるな。」

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