ナヒーダは、顛末をただ眺めているだけだった。
七葉寂照秘密主と雷電将軍が並び立つ。
『神の目を失った神同士の戦いというわけか。』
「自らを神と称する気はない。」
『謙虚になったつもりか。貴様も私の一人であろうに。』
機神はその両手で将軍をつつみ、そのまま押しつぶす。
「ふむ、せっかく神にいるのだ。権能はありがたく使わせてもらおう。」
『無想の一太刀か!その程度』
『輪轉百劫!』
両手でつかんだまま、雷元素の塊を将軍にぶつける。
だが、
「雷電将軍の本質は永遠。そのためなら彼女は非情を厭わない。」
「彼女が何の元素をつかさどるのか忘れたのか。」
「ちっもう始めていたのか。申し訳ないけど、僕は急がせてもらう。あの場には僕が...なんだっ!」
放浪者と万葉の前に、それは降ってきた。
「お主、大丈夫でござるか?」
落ちてきた女を万葉が心配するが、放浪者は黙ったまま、警戒を解かない。
「えぇ、大丈夫よ。お優しいお侍さん。だって、もう少し、もう少しであの方の報いが...」
「やはり貴様か。観念するとい。もう増援も来ている。この状況で僕たちに勝てるとでも思うのか。ただのファデュイの末端が。」
「そうね、ここであの方の力をつかってもきっと勝てないでしょう。だってあなたの方が順位もなにも上なんですもの。」
「なにを、やめろ」
「どうしたでござる、放浪者。あの女は何を」
二人の反応を見た女は、にやりとその唇をゆがませた。
「私は敬虔なる女皇の信徒。そしてあのお方が認める執行官様も私は畏敬の念を持っている。」
「もちろん好みはあるけれど、たとえ世界があなたを忘れても私は尊敬していますよ。『散兵』様。」
放浪者はそのばで膝をついた。
ここで何を言ってるのだとごまかすこともできたはずだった。だが、万葉の前で偽るのが嫌だったのか、脳の回路が回っていなかったのか。
とにかく、放浪者は何も返せなかった。
「放浪者、お主...そうなのでござるか?」
「あら、お仲間さんは存じ上げなかったのかしら?では雷電五家伝のほとんどを殺した国崩の話も?さすが執行官様。忘れているのをいいことに冷酷なのですね。それとも、知られたくない理由でも?」
「お前は殺す。」
放浪者は女の首を右手でつかみ。天高く舞い上がる。
「それで自らの行いが消えるとでも?私を殺してもあなたの行いが消えるわけではないのですよ。」
「博士から情報を受け取っただけだろう。安心しなよ、彼は僕がいっぺん残らず殺すと決
めているんだ。」
「どこまで上がるのか知りませんけど、そろそろその腕を話してもらえないでしょうか、裏切り者。」