「ここは...天守閣か?」
崩落した天守閣のがれきの中、目覚めた者がいた。
「そうだっ将軍様はどこに!?」
「ん?おい、お前大丈夫か!」
九条裟羅は、目の前に倒れている人間に声をかけた。
「まずいな、外の状況が何もわからない。とりあえず、ここは危ない。こいつを背負って外へ出なくては。」
七葉寂照秘密主が天守閣を突き破り、地上へと姿を現した。
その姿は、まさしく神と呼べるものだ。
稲妻に住む者、戦う者は敵味方に関わらずその姿に恐怖を抱く。
『一国の主に過ぎない貴様が、この神にいまさら何の用だ?』
「もう自分を神と呼称するの。今のあなたを見たら博士は何というのでしょうね。」
『あの裏切り者の断片に収まるような存在ではない。今の私は天空にすら手が届く存在なのだよ。』
「そう、じゃあその思い上がりを正さないとね。」
『クラクサナリデビ、悪いことは言わない。私の生誕の要因でもある貴様には、見逃す機会を』
「その話に乗るようじゃ、わたくしは知恵の神など名乗れないわ。」
『そうか、ではここで死ね。』
七葉寂照秘密主が、再び一太刀を発現させる。
『夢境の力が通用するとは思わない方がいい。私が振るうのは無層の一太刀。すべての幻を打ち破るぞ。』
「わかっているわ。知恵の神として、知識を使ってあなたを倒すのよ。」
ナヒーダの手には、缶詰知識が握られていた。
それも、禍々しい赤に染まったものだ。
『貴様、まさかそれは。』
「私にもよくわからない。旅人がひた隠しにしていた謎の知識。でも推測はできるわ。先代草神、つまり私の前身がどうしてこうなったのかとかね。」
『よせ、貴様は勘違いしている。それは...いや、そうか。神とはいえ世界樹には抗えないか。』
「その反応、あなたは何か知っているようね。まぁいいわ。知らない何かに頼るのは心苦しいけど、相打ちになってもあなたという厄災を払いましょう。」
「君は...そうか、君が本物の大将さんだね。」
「その負傷、貴様は味方ということでいいのか?」
「稲妻の味方とは言わないさ。ただ、ファデュイの側というわけでもないよ。警戒する必要はない。」
「そうか、私はこれからあの不届き者を滅しなければならない。」
「やめた方がいい。君じゃ勝てない。」
「かもしれない、でもあそこには将軍様がおられるはずだ。きっとあの方なら...」
「本当に、あの雷神に心酔しているんだな。」
「当然だ、私は稲妻軍大将。あの方のためになら命を捧げられる。」
「なら君はここにいたほうがいい。この事態が収まったあと、この国を立て直すために、君は必要だろう。」
「そんなことが...待て、あれはいったい誰だ?」
九条裟羅は七葉寂照秘密主の方へ目を向けると、そこに見慣れない人影があった。
「命知らずだろう。あれを止められるのはもう...」
「子供?なぜあんなところに。」
「まさか」
放浪者も同じ方向へ目を向ける。そこには今の放浪者にとって最悪の状況が広がっていた。
「ブエルッ」